1540号(2019年1月20日) 政治主張(第二新年号) |
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プロレタリア国際主義貫き安倍右翼反動政権打倒! 改憲阻止、天皇「祝賀」強制反対 G20大阪会合粉砕を闘い抜こう 12・20極反動判決弾劾 市東さんの農地を奪うな 【総括・方針】 二〇一九年、安倍政権を打倒するのか否かを決する重大な秋(とき)を迎えた。 新自由主義グローバリゼーションの矛盾は、米帝―トランプをして保護主義を選択せざるをえないところまで劇的に深まっている。〇八年恐慌は帝国主義(G7)だけでは収拾できず、G20が結集して財政政策、金融政策を集中することで、破綻の連鎖をむりやり防いだ。しかし、一〇年一一年の欧州金融危機―国家財政危機を引き起こし、さらに恐慌から一〇年経ても、現代資本主義は各国中央銀行の金融緩和の継続でしか延命できない、という事態になっている。新自由主義政策は極端な不平等社会を作り出してきた。ゼロ金利・マイナス金利政策と法人税減税によって、金融資本、金融投機資本を救済し優遇してきた。一方で労働者人民に対しては増税と緊縮財政で生活を破壊し続けてきた。この矛盾の発露を、トランプのごとく保護主義、排外主義で集約しようとする「自国第一主義」の政治がまかり通っている。トランプが横暴だというレベルの問題ではなく、米帝国主義がG7、G20を率いていく中心国としての力を喪失しているのだ。帝国主義間対立、そして米中間で激化する経済対立を収拾することができない。 日帝―安倍政権は、この混迷し対立する世界情勢の中で、その右翼的反動的本質をあからさまにして、一九年改憲強行に突き進もうとしている。秘密保護法、日米ガイドライン改悪―戦争法、共謀罪法、労働法制全面改悪と、その反動攻勢をすべて独善的強権的手法で進めてきた安倍晋三は、自らの政治生命をかけて改憲を強行しようとしている。天皇代替わりを国家式典として挙行し、二〇年オリンピック・パラリンピックを国家意識の発揚に全面利用し、改憲=戦争のできる国家への全面転換強行突破を目論んでいるのだ。 安倍政権は中国、朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)への敵対を強め、軍事的には米帝と一体となって侵略反革命戦争準備を促進してきた。さらに、韓国―文在寅(ムンジェイン)政権への批判・敵対にまで踏み込んでいる。東アジアの反動の牙城としての位置を強め、孤立の道をひた走っている。 昨年末、安倍政権は入管難民法改悪法案可決強行、沖縄・辺野古への土砂投入強行、三里塚・市東さんに対する強制執行判決と、反動攻撃をさらに激化させてきた。 改憲に政治生命をかけた安倍右翼反動政権に対して、改憲阻止、天皇代替わり反対、G20大阪会合粉砕を対置し、その反動攻勢を突き崩していかなくてはならない。本年こそ、安倍の政治生命を断ち、安倍政権を打倒していこうではないか。改憲―戦争総動員体制構築を許すのか、安倍政権を打倒するのか。これは、日本労働者階級人民の未来を拓く闘いであると同時に、東アジアの反動を打ち倒し反帝闘争を共同で前進させる国際主義的任務である。今こそ、自国帝国主義打倒のプロレタリ国際主義の旗幟を鮮明にし、反帝闘争に立ち上がろうではないか。ともに勝利をつかみとろう。 『戦旗』第一五三九号(一月一日)に続き、今号(一月二〇日)では新年第二論文を掲載し、共産同(統一委員会)の二〇一九年方針を提起する。 ●第1章 二〇一八年の総括 ▼1章―1節 新たな情勢の中の安倍政権打倒闘争 二〇一八年、南北首脳会談、米朝首脳会談を画期として朝鮮半島情勢の平和に向けた新たな時代が切り拓かれた。しかし、それは二〇一七年の朝鮮戦争危機情勢を大きく転換させる韓国民衆の「ろうそく革命」をはじめとした人民の闘いが基底にあって実現したものだ。 われわれは昨年年頭の戦争危機情勢の中で、多くの団体・人々とともに米韓合同軍事演習反対の緊急行動を立ち上げ、3・18米大使館行動を闘った。これは韓国の闘いと連携して取り組まれた。三月三一日には京都で米韓合同軍事演習に反対する集会・デモがかちとられた。韓国民衆、在日朝鮮人民に連帯し、朝鮮戦争阻止の旗幟を鮮明にして闘いぬいてきたからこそ、朝鮮半島情勢の新たな動向、終戦―自主的平和統一に向けた大きな流れを支持して国際連帯運動を進めていく方針をいち早く鮮明に掲げてきた。 東アジアの政治軍事情勢の大きな転回の中で、この流れに敵対しアジアにおける反動の牙城となった安倍政権との対決は、国内問題だけではなくアジア規模の階級闘争の任務である。 一八年の南北首脳会談、米朝首脳会談が進む中で、日帝―安倍政権は、日本政府として本来なすべき日朝国交正常化交渉を進めようとはしなかった。安倍政権は、米帝―トランプ政権、韓国―文在寅政権に対して、核・ミサイル問題、拉致被害者問題を「根拠」にして、南北、米朝の交渉進展を押し止めることに躍起になったのである。 韓国に対しても、共和国に対しても、政府として侵略戦争と植民地支配の責任を明確に認めて謝罪し、戦後補償を果たしていくことから、本来の国交正常化はなされなくてはならない。日本政府がこの根幹の課題を抜きにして戦後のアジア侵出を進めてきたことが、現在の日帝の排外主義と孤立を結果している。 東アジアにおける新たな情勢の客観的評価ではなく、日本人民が日本政府に対して何を要求し、何を行わせるのか、という主体的な任務こそが問われている。安倍政権が朝鮮戦争終戦―南北の自主的平和統一に敵対して反動を強めるのであれば、この政権を打倒することこそが歴史的な任務である。 一八年の東アジア情勢の転回の中で、われわれが安倍政権打倒闘争を闘ってきた第一の意義は、そういう意味でプロレタリア国際主義を貫くものであっただろう。われわれは、プロレタリア国際主義に貫かれた労働者階級の闘いを実現すべく、大衆運動に尽力してきた。安倍政権と対決し、沖縄、岩国をはじめとする反基地闘争を結合し、労働者―労働組合が結集する反戦闘争を実現する闘いである。アジア共同行動日本連、岩国・労働者反戦交流集会実を支持し支援して、昨年一一月の岩国国際連帯集会の成功に全面協力してきた。 ▼1章―2節 沖縄解放闘争の前進、安倍政権と対決 二〇一八年、安倍右翼反動政権と対決した重要な闘いは、沖縄解放闘争、とりわけ辺野古新基地建設阻止の攻防である。沖縄人民を最先頭としたこの闘いは、熾烈な攻防の中にありながら、勝利への展望を大きく切り拓いてきた。 安倍政権は、沖縄人民の辺野古新基地建設反対の声に耳を傾けることなく、否、沖縄人民の一切の闘いを圧殺することを狙って攻撃をしかけてきた。昨年二月の名護市長選に対しては、政府、自民党、公明党―創価学会が中央から人と金を注ぎ込んで渡具知選挙を行った。渡具知は辺野古新基地問題を争点からはずし、公開討論会を拒否して逃げ回るという選挙戦術で市長の座を奪った。渡具知が市長になるや、安倍政権は「再編交付金」を投入し、かつ、市政に人材まで送り込んで政治的に東京から支配しようとしているのだ。何より、辺野古の工事を強行して、沖縄人民の闘いの展望を奪おうと躍起になってきた。 九月名護市議選でも同様の選挙手法がとられたが、名護市民、沖縄人民はこの政治決戦を闘い抜き、与野党同数に持ち込むことで、安倍政権と渡具知派の策謀を打ち破った。九月三〇日に行われた沖縄知事選では、オール沖縄は翁長知事の遺志を継いだ玉城デニーさんを全力で支え抜き、三九万六六三二票の過去最多得票を獲得し、安倍政権が支持した佐喜真に八万一七四票の大差をつけて当選を果たした。 沖縄人民の辺野古新基地反対の民意は明らかに示された。玉城知事自身が菅、安倍に対して、まさに直談判しているのであるが、安倍政権は辺野古新基地建設強行の姿勢をまったく反省しようともしない。 翁長前知事は亡くなる直前に「埋立て承認」撤回を表明した。その断固たる遺志は沖縄「県」に引き継がれ、昨年八月三一日に撤回が実現された。安倍政権は、私人の権利としての「行政不服審査請求」を法の趣旨を捻じ曲げて適用して、撤回の「執行停止」を請求し、同じ政府内部の国交相が「執行停止」を決定した。この茶番をもって、沖縄人民の意思を踏みにじって工事を再び強行している。 一二月一四日には、とうとう土砂投入を強行した。この暴挙に対して、辺野古現地で、首相官邸前、防衛省前をはじめとした全国各地で反対闘争、阻止闘争、弾劾行動が続々と取り組まれている。沖縄人民が安倍政権と真っ向から対決している闘いに、労働者人民の選び取るべき方針が鮮明に示されている。これに鼓舞され、これを支援し、ここから安倍を倒そうといううねりはますます大きくなっているのだ。 ▼1章―3節 労働法制改悪攻撃との対決 安倍右翼反動政権との対決として重要なもう一つの闘いは、労働法制の全面改悪を打ち破る闘いだった。安倍政権は「世界一企業が活躍しやすい国」にすると豪語して、労働者の権利を徹底的に奪い取ろうとしてきた。昨年成立を強行した「働き方改革」一括法は、過労死が現実の問題になっている社会状況にもかかわらず、さらなる長時間労働を「残業代ゼロ」で強制しようとするものである。一方で安倍政権は「同一労働・同一賃金」をスローガンとしては喧伝しながら、正規・非正規の格差是正を根本的には行わない方向に法改悪を進めたのだ。 昨年の春闘過程では「『八時間働けば生活できる社会を』労働法制改悪を阻止する全国運動実行委員会」が全国キャラバンを展開し、沖縄・辺野古新基地建設阻止闘争をはじめとした全国の運動と結びつきながら闘った。官邸前座り込み行動、街宣行動、厚生労働委員会に対する行動が取り組まれてきた。この闘いの中で、杜撰極まりないデータに基づいた裁量労働制の拡大は阻止した。しかし、安倍政権は、高度プロフェッショナル制度を含む一括法案を強行採決した。 労働運動においては、この労働法制改悪攻撃阻止を掲げて真正面から闘うと同時に、労働契約法二〇条裁判においては、均等待遇を求めて非正規労働者の労働条件を改善させていく画期的な勝利をつかみとってきている。 ▼1章―4節 激化する排外主義との闘い 安倍右翼反動政権は、日本国の国会内においては多数与党ではあるが、その天皇主義、右翼排外主義、反共主義ゆえに東アジアにおいては孤立した反動政権である。共和国に対する敵視政策というだけではない。韓国―文在寅政権に対しても、反動的排外主義的対応に終始してきた。 日帝が朴正煕(パクチョンヒ)政権と結んだ日韓条約、そして、朴槿恵(パククネ)政権と確認した「日韓合意」を盾に、日帝政府は一貫して植民地支配と侵略戦争の責任と賠償を放棄してきた。しかし昨年、韓国大法院(最高裁)は元徴用工に対する損害賠償金の支払いを日本企業に命じる判決を出した。一一月一六日、文在寅政権は、日本軍性奴隷制度被害者に対する「和解・癒し財団」を解散する方針を決定した。 この問題に対して、安倍政権は日韓条約と「日韓合意」をもって、文在寅政権を非難し続けている。韓国民衆の「ろうそく革命」によって葬り去られた朴槿恵政権がなした過ちの一つである「日韓合意」が韓国民衆から拒絶されているのは当然である。安倍政権の反動的排外主義的外交こそ、日本人民の責任において改めさせなくてはならない。 この安倍政権の下で、歴史歪曲や外国人に対する排外主義が激化しており、これとの対決が、二〇一八年の階級攻防の重要な領域として取り組まれてきた。 一七年から続く、都知事小池による9・1慰霊式典へのメッセージ拒否問題、そして極右ファシストの地方議員などと結びついた排外主義による歴史歪曲の攻撃に対して、大衆的な反撃が組織され、在日韓国・朝鮮人と連帯した9・1の取り組みがかちとられてきた。 安倍政権は昨秋の臨時国会で入管難民法改悪を強行した。これは差別的な外国人技能実習制度を存続させ、その改悪・拡張を狙うものである。日帝資本の都合に合わせて外国人を「労働力」としてのみ動員しようとするものだ。在日・滞日外国人と連帯し、排外主義煽動に基づいて強行される攻撃を打ち破っていくことが問われている。 ●第2章 二〇一九年方針 ▼2章―1節 改憲・天皇代替わりを打ち破り、安倍政権を打倒しよう 二〇一九年、日本労働者階級人民の最大の任務は、安倍右翼反動政権の改憲攻撃、天皇代替わり攻撃を軸とした画歴史的な反動攻勢と対決し、安倍政権を打倒することである。 安倍政権は昨年、通常国会では労働法制全面改悪法案を強行可決し、年末の臨時国会では入管難民法改悪法案を、あらゆる批判を封殺して強行可決した。一二月一四日には、辺野古の海への土砂投入に踏み切った。沖縄「県」の承認取り消しを詐欺的手法で「執行停止」にした上、前日の会談での玉城知事の工事中止要請を、官房長官・菅は非礼にも拒絶して、一四日土砂投入を強行した。さらに、この安倍の強権政治を忖度した判決が出された。千葉地裁裁判長・高瀬は一二月二〇日、市東さんの農地に対する成田空港会社の強制執行を認める極反動判決を出した。 秘密保護法、戦争法、共謀罪法とすべて数の力で撫で切りにしてきた安倍独裁政権だが、その手法はさらに強引になっている。入管難民法改悪法案は、法としての体裁すら整っていないまま、自民・公明の数の力だけで押し切ったに過ぎない。安倍政権は、アベノミクスと銘打ったバラマキ財政、異次元緩和金融政策でブルジョアジーの利害を確保し続けてきた。一方で対外的には、共和国敵視、中国敵視、さらに韓国文在寅政権批判まで行っている。排外主義的な手法で「日本国家」「日本人」の利害を押し出して、国民的統合を図ろうとしてきた。この安倍の新自由主義と民族排外主義を自らの利害と捉える勢力こそが安倍政権を支えてきた。安倍晋三は、右翼ジャーナリズムも含めた、この層に訴え続けて支持を確保してきたのだ。 安倍晋三は、昨年九月二〇日の自民党総裁選において三選された。三年後の二〇二一年九月まで首相であり続ける可能性をつかんだ。 自民党内の基盤を固め悲願の改憲に踏み込もうと目論んでいたわけだが、総裁選は安倍の「圧勝」とは言い難いものだった。官邸―内閣人事局の強権による安倍独裁と、未決着の森友・加計疑獄に対する批判は強く、一定の党員票が石破支持に投ぜられる結果となり、安倍「圧勝」はくじかれた。 さらに、直後の九月三〇日に実施された沖縄知事選において、「オール沖縄」の玉城デニー氏が、自公全面支持の佐喜眞に八万票差で圧勝した。辺野古新基地反対で安倍政権と対決する沖縄人民の民意が鮮明に示された。この沖縄知事選結果の階級的意味を敏感に感じ取ったのは、佐喜眞支援に力を傾注した公明党―創価学会だった。玉城知事圧勝の直後、公明党幹部からは「憲法改正どころじゃない。このままでは参院選は負ける」という発言が飛び出した。沖縄で沸騰する安倍政権批判が全国に広がることに恐怖した発言だ。三選で改憲に踏み出そうとしていた安倍にとって、沖縄知事選敗北は桎梏となった。 安倍は自民党内の規約を変更してまで三選を果たした。一九年天皇代替わり、二〇年東京オリンピック・パラリンピックで「祝賀」状況を作り出し、これに乗じて改憲を強行しようと目論んできたのである。たしかに、衆参両院で改憲政党が三分の二を制しており、一方では行政権力を強化し、とくに官邸に権限を集中して安倍独裁体制を強めてきた今こそ、改憲強行の絶好の機会であると捉えているのだ。 しかし、権力を集中し独裁的な政権運営に踏み込んだがゆえに、安倍政権は磐石とは言い得ない問題を抱えている。労働法制全面改悪過程、入管難民法改悪過程で露呈したように、独尊的であるがゆえに立法府の論議とはいえない杜撰な法案提出、答弁に終始しており、労働者人民は強い不信と不安をもって安倍を注視している。森友疑獄事件、加計疑獄事件を労働者人民は忘れた訳ではない。安倍批判の世論は徐々にではあっても一貫して蓄積してきている。 そして、国際的には、安倍の極右の言動が日本の孤立を結果している。徴用工損害賠償判決でも、日本軍性奴隷制度犠牲者の「和解・癒し財団」解散でも、安倍政権は外交上の日本の利害だけに固執した主張を繰り返している。韓国、共和国、中国をはじめとしたアジア諸国に対する侵略戦争と植民地支配の謝罪・賠償問題を解決しないかぎり、近隣国との平等な外交など成立しないのだ。このことを理解できない極右勢力を基盤にした安倍政権は、必然的に東アジアの新たな情勢に敵対し、孤立を深めているのだ。 格差を拡大し、貧困化を強めてきた安倍右翼反動政権は、本質的に労働者人民の利害に対立している。アジア規模では孤立の道にはまり込んでいる。それでも、安倍はこれから三年で、力ずくで改憲を強行し、侵略戦争のできる帝国主義としての確立をなそうと躍起になっている。 二〇一九年、安倍の反動的目論見の一つひとつを打ち破り、安倍政権そのものを打倒していかなくてはならない。 ◆2章―1節―1項 改憲阻止―安倍打倒 安倍政権と対決し打倒するための第一の課題は、改憲を阻止し、戦争総動員国家体制への転換を阻止することである。 安倍自身は残り三年間の任期において、改憲を強行することを軸にして国家の支配形態そのものを転換させようとしている。安倍が今具体的になそうとしている改憲案は、①憲法九条に自衛隊条項を加えること、②緊急事態条項の新設、③参議院の合区の解消、④教育の充実の四点である。 とくに、九条一項二項を残したまま自衛隊を明記するとしているが、「実力組織」(軍事力)である自衛隊を合憲とすることは、憲法前文(平和的生存権)、九条一項(戦争放棄)、二項(戦力不保持、交戦権否認)を実質的に否定することである。これは「加憲」ではない。現行九条の否定である。 緊急事態条項は、大規模災害を理由にして行政権力に権限を集中するものだが、実際には戦争法で規定されてきた「武力攻撃事態」「存立危機事態」に際して「国家緊急権」を発動して行政権力=内閣がすべての権力を掌握するものである。「存立危機事態」の認定自体が政府の恣意によるところが大きいのであり、政権が政治的意図をもって「存立危機事態」だと煽り立てて、「緊急事態条項」を「根拠」に戒厳の権限を握ることが起こりうるということだ。 まさに安倍改憲は侵略戦争のできる帝国主義としての確立に向けた攻撃であり、新ガイドライン―戦争法を強行してきた安倍政権がなんとしても成し遂げようとしている攻撃なのだ。逆に言えば、安倍自身が政治生命を賭けている改憲を完全に阻止しぬくことは、安倍政権の反動的政治使命を終らせることになる。 沖縄知事選結果が公明党への制動となったように、安倍晋三の改憲攻撃を阻止できるか否かは、日本の階級攻防の結果である。 安倍右翼反動政権の諸反動攻勢に対して一つひとつ反撃していくと同時に、その総体が日本における階級関係(階級支配)の抜本的転換を許すのか否かの政治決戦としてあることを捉え抜いて、一九年攻防に臨んでいかなくてはならない。 加えて言えば安倍政権を打ち倒す政治攻防の一つに四月統一地方選、七月参院選もある。われわれは、反戦闘争、反基地闘争、反天皇闘争を闘うと同時に、安倍打倒を目指す候補を支持し、安倍打倒の政治闘争の一環としてブルジョア議会選挙を位置づける。 ◆2章―1節―2項 天皇制・天皇制イデオロギー攻撃との対決 安倍が改憲によってなそうとする国内階級支配構造の反動的転換に合致するものとして、天皇制・天皇制イデオロギー強化の攻撃がある。 安倍が目指しているのは、立憲主義によって国家権力が規制された社会から、国家(行政権力)が権力を集中・独占し人民を統制・支配する体制への転換だ。安倍は、日本における階級支配の転換を目指すがゆえに、一九年天皇代替わりを画期として徹底的に利用しようとしている。 本年、アキヒト退位―ナルヒト即位が国家式典として挙行される。この一連の式典に人々を動員し「祝賀」を強制する。国家権力への対抗を否定し、屈伏を強いる。国家権力による強制と思想的統制、まさに天皇制・天皇制イデオロギーを劇的に強化しようとする攻撃だ。 「野党共闘」のリベラル派や護憲派が、この天皇代替わり攻撃に総屈伏する状況にある。 二〇一六年八月八日の天皇ビデオ・メッセージは、アキヒト自身の意志によってなされたものだろう。アキヒトは、現憲法の天皇条項によって「象徴」という位置を保障され、まさにそれを体現することを通して「護憲」「平和」と表裏一体であるかのように振る舞い続けてきた。この表向きの天皇の有り様に無批判なマスコミ、知識人どもは、自らを「天皇主義護憲派」とでも呼ぶべき立場に立つことを平然と行っている。 しかし、天皇制の実態はそうではない。天皇戒厳令の下で、真に闘う人々、団体は常に弾圧されてきた。警察権力は、皇族警護においては現行法規を乗り越えた弾圧も平然と行う。さらには、天皇主義右翼集団とも結びついて弾圧をエスカレートさせることすら行う。表層における「祝賀」行事の羅列と、国家暴力を総動員した重弾圧。それが、天皇代替わりの現実の姿であると同時に、このようにして戦争体制が準備されるのだ。 安倍政権は、国内階級支配の転換攻撃、改憲―国内総動員体制構築攻撃の要として天皇代替わりを位置づけている。天皇代替わり攻撃の政治的階級的意図を、労働者人民の前にはっきりと暴き出し、この攻撃と対決する政治行動、政治闘争を実現していくことこそが、安倍政権の階級支配再編攻撃と実践的に対決していく闘いである。 国内総「祝賀」―総翼賛状況を打ち破り、4・30アキヒト退位、5・1ナルヒト即位、10・22ナルヒト「即位礼正殿の儀」国家式典に対する反対闘争―政治闘争に立ち上がろう。階級的労働運動を担い抜く日本労働者階級の闘いとして5・1メーデーに全国で立ち上がろう。 ▼2章―2節 土砂投入強行弾劾! 辺野古新基地建設阻止 昨年一二月一四日、安倍右翼反動政権は、沖縄人民の民意と闘いのすべてを踏みにじって、辺野古の海への土砂投入を強行した。海上ではカヌー隊と抗議船が、海上保安庁の暴力規制と対決して抗議・阻止行動を闘った。辺野古の浜の集会には一千名の人々が結集した。稲嶺進前市長、翌日には玉城デニー知事も辺野古の現場で怒りの声をあげた。沖縄人民が辺野古に結集し、ともに闘う人々が全国から結集し、安倍政権の沖縄差別の蛮行に怒りの声を上げ、共同行動をとった。 東京では一二月一二日、一三日、一四日と、首相官邸前座り込み、情宣活動、防衛省抗議行動が取り組まれた。関西や福岡など各地で、辺野古現地に連帯し、安倍政権の土砂投入を弾劾する抗議行動が取り組まれた。マスコミ各紙の世論調査では、辺野古土砂投入の直後に政権支持・不支持が逆転し、不支持が多数を占める状況になっている。 辺野古新基地建設を強行してしまえば、辺野古の海を埋め立ててしまえば、豊かな海の環境は決定的に破壊される。安倍政権はこの破壊強行をもって、沖縄人民に「あきらめ」と分断を強制しようとしているのだ。 政府は、沖縄人民総体の民意、玉城知事を先頭とする沖縄「県」政そのものに対して、真っ向からこれを否定し、踏み潰そうとしている。安倍政権自体が、修復することができない事態を引き起こしているのだ。沖縄人民と、全国の共に闘う労働者人民にとって、今直面していることは、安倍政権を打倒する以外に、この闘いの未来はないということだ。 一八―一九年の沖縄解放闘争において、あらためて、沖縄解放―安保粉砕―日帝打倒―米帝放逐が問われる状況にある。具体的には、直面する辺野古新基地建設阻止の闘いを、辺野古現地―全国貫いてさらに拡大することだ。知事の言葉を聴くことさえしない政権に対して、巨万人民の結集で憤怒を突きつけていくことだ。辺野古新基地建設阻止―安倍政権打倒に全力で立ち上がろう。 ▼2章―3節 G20大阪サミット粉砕 本年六月二八・二九日、G20首脳会合を大阪で開催することを、安倍政権は決定している。 保護主義、排外主義の台頭にも明らかだが、「貿易・投資の自由」を掲げた新自由主義グローバリゼーションは、全世界の労働者人民に押し付けた矛盾ゆえに大きく破綻している。にもかかわらず日帝―安倍政権は、帝国主義資本の利害のためにG20の枠組みを利用できる限り利用しようとしている。しかし今や、帝国主義、スターリン主義の混迷と対立は、首脳会議を開催したら解消できるようなものではなくなっている。 米帝―トランプの登場以降、帝国主義間の対立調整、侵略反革命戦争の謀議の場であったG7サミット(首脳会合)が、対立したまま決着できない場となっている。一八年のAPEC首脳会合は、米中の対立のために首脳宣言をまとめることができなかった。G20首脳会合においても、「反保護主義」を明記することができない事態となった。 それは、地球規模の単一市場における経済成長の持続のように語られてきたグローバリゼーションと、それに対抗する単独主義(トランプ政権)の対立のごとく報じられる。しかし、そうであろうか? 八九年から九〇年代初頭のソ連・東欧圏の瓦解という事態の中で、アメリカ型の新自由主義が全世界を覆いつくしていくように報じられた。とりわけ、極端な金融自由化に先んじて踏み出していた英帝、米帝が自らの基準を「グローバル・スタンダード」と言いなして、新自由主義を全世界に強制した。決して全世界が共同で豊かになるなどというものではない。 七四―七五年恐慌以降八〇年代を画期として進んだ新自由主義政策は、強者が弱者から徹底的に奪いつくす「自由」を世界中に拡大するものだ。帝国主義は、「貿易と投資の自由」であろうと、「保護主義」であろうと、支配と搾取に有利な「論理」とルールを選択するに過ぎない。 米帝の世界支配においては、一方では「民主主義」の旗を掲げて戦争を行ない。他方では、天皇制の日本や王政のサウジアラビアと同盟関係を構築するのだ。そこに一貫しているのは、何が米帝資本の利害に合致しているか、ということでしかない。それは決してトランプだけのことではない。 そもそも、新自由主義グローバリゼーションとは、そのような強欲な帝国主義資本が一人勝ちするための、米・英帝国主義、そして、独・仏・日の帝国主義が主張してきたものにすぎない。他国の障壁を取り払うために「グローバル・スタンダード」を強制してきただけのことだ。 大阪G20は、これまでにも増して帝国主義各国と中国・ロシアなど大国同士の激しい利害対立の場となるであろう。日帝が新たな資本侵出と侵略戦争の先鞭をつける場として位置づける大阪G20に対して、労働者人民の国際連帯をかけて反対しよう。 ▼2章―4節 国際主義を貫き反帝闘争を闘おう 安倍改憲攻撃の中心環は戦争問題である。日米ガイドライン改定―戦争法制定を強行した安倍にとって改憲こそ、この「戦争のできる国家」=本来の帝国主義としての再生を完遂する攻撃である。現憲法の、日米安保との矛盾、自衛隊の存在との矛盾を反動的に乗り越える攻撃として、安倍改憲はある。この改憲攻撃を打ち破る闘いは、憲法そのものをめぐる闘いであると同時に、日米安保との闘いであり、米軍基地との闘いであり、自衛隊基地との闘いである。反戦闘争こそ、改憲阻止の闘いである。 ◆2章―4節―1項 三里塚闘争 昨年末一二月二〇日、千葉地裁―高瀬順久裁判長は、市東さんの農地の強制執行をめぐる請求異議裁判において、市東さんの請求内容を全て棄却して、成田空港会社の強制執行を認めるという、極反動判決を打ち下ろしてきた。市東さんは農民として天神峰で農業を続けるという全く正当な権利を法廷ではっきり主張し、弁護団はこの市東さんの正義を裏付ける証拠、証人、論拠を積み重ねてきた。空港会社側には、市東さんの農地を奪う「公共性」も「緊急性」もない。そもそも、市東さんの農地を明け渡せという農地法裁判の最高裁判決自体が理不尽きわまりないのだが、利潤追求の一企業でしかない空港会社が強制執行でこれを強行するということが、いかに度外れた蛮行であるか。こんなことがどうしてできるのか! 労働者人民には明白なこのことを、裁判所が、高瀬が、全く理解できなかったということが、この裁判の階級性、反動性の極みである。 反対同盟・強制執行阻止決戦本部は、この判決を弾劾すると同時に、天神峰「座り込み」と監視行動をとることを宣言し、空港会社の強制執行着手に備え、二〇日その日から夜を徹しての防衛態勢をとった。市東さんと弁護団は即日控訴した。弁護団は二〇日・二一日と連日千葉地裁に対して折衝し、控訴審開始までの執行停止決定をかちとった。 市東さんを先頭とした反対同盟は、今回の判決に向けて、強制執行攻撃に対して原則を貫き実力で阻止する決意を固めた。控訴審で改めて市東さんの正義を明らかにし、強制執行阻止を闘いとっていこうではないか。 空港会社、国、県、地元周辺市町の首長による四者協議会は昨年三月一三日、芝山町、横芝光町など周辺住民の反対を押し潰して「空港機能強化策」を決定した。第3滑走路建設と夜間早朝飛行制限時間の短縮を強行する攻撃への着手だ。しかし空港会社は昨年一二月二〇日、二〇年夏からとしていた飛行時間制限短縮に関して、一九年冬ダイヤから強行することを提案してきた。昨年末段階では、横芝光町長、山武市長などが反対し、決定見送りになっている。 芝山、横芝光など周辺市町のさまざまな団体、個人が、空港会社の横暴な「空港機能強化策」に反対の声をあげている。市東さんの農地を守る闘いを要とする三里塚闘争は、周辺住民と呼応し、改めて広範な成田空港反対運動へと展開していく新たな展望の中にある。五三年間の連綿たる闘いをうけ、本年、農地死守―空港廃港の闘いに断固立ち上がろう。 ◆2章―4節―2項 反戦闘争、反基地闘争 まさに決戦状況に突入している辺野古新基地建設阻止闘争と結びつき、全国各地の米軍基地、自衛隊基地に対する闘いを、全力で推し進めていこう。 安倍政権は昨年一二月一八日、「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」を閣議決定した。イージス・アショア配備を正式に決定した。そして、「いずも」型護衛艦を改修して空母化することを明記した。公明党に配慮して「多機能の護衛艦」という文言にすり替えられているが、短距離離陸・垂直着陸(STOVL)戦闘機=F35Bの導入も合わせて決定しており、戦闘機を搭載した空母として機能することは事実だ。安倍は改憲攻撃に先んじて、敵基地攻撃能力を有する軍隊への転換に公然と踏み出したのだ。改憲攻撃と一体に進む軍事力強化、侵略反革命戦争準備に対して、具体的に対決していかなくてはならない。 昨年三月に空母艦載機移駐が完了した岩国基地は、戦闘機一二〇機が駐留する東アジア最大規模の米軍基地になると同時に、爆音被害が激化している。これに対する闘いが岩国住民、広島など周辺地域住民によって続けられてきた。アジア共同行動と岩国・労働者反戦交流集会実行委を中心にして、岩国住民と結びついた岩国行動が闘われてきている。 京丹後Xバンドレーダー基地建設反対の闘い、山口県萩市むつみ演習場へのイージス・アショア配備阻止の闘い、厚木、横須賀をはじめとした神奈川での米軍基地に対する闘い、横田基地への米空軍特殊部隊とオスプレイの配備阻止の闘い。安倍政権が日米ガイドラインと戦争法をもって、米軍配備、自衛隊配備を強化し、戦争のできる国家への脱皮を図る中、反基地闘争の実践的意味は大きい。米軍基地、自衛隊基地に対する住民の闘争は、基地と戦争が住民自身の生活とは相容れないことを鮮明にして闘い抜かれている。現憲法が保障しているはずの平和的生存権を実践する闘いである。 まさに、活きた改憲阻止闘争である。われわれは単に憲法の条文を守るのではなく、人民の側の権利を、人民の力で握りなおしていく闘いでなくてはならないと考える。安倍政権の改憲攻撃の実態を暴き、これを阻止する実践として、さらに反基地闘争、反戦闘争を進めよう。 ◆2章―4節―3項 反原発闘争 安倍政権は原子力発電を「ベースロード電源」と位置付け、電力の20~30%を原発でまかなうと主張してきた。しかし、安倍政権と電力資本は3・11事故後の福島を原状回復することはできず、福島第一原発の廃炉の展望さえ明確になっていない。各地の住民の反対を押し切って原発再稼働は強行してきたが、原発新設などできようはずがない。結果として、原子力規制委員会は「四〇年使用」のルールを踏みはずして、老朽原発の運転延長を認可するという暴挙に出てきた。 安倍の意を受けた規制委は昨年一一月七日、東海第二原発の二〇年運転延長を決定した。高浜一・二号、美浜三号の再稼働も認めている。日本原電副社長・和智は、地元自治体に「拒否権はない」と居直って、東海第二の再稼働を強行しようとしている。 安倍政権はアベノミクスの成長戦略の柱に原発輸出を据えてきた。しかし、原発反対は世界規模の運動として拡大してきている。その上でも強行するならば、安全対策費用が跳ね上がって採算がとれない状況に至る。原発は生命・生活と相容れないというだけでなく、安い電源ではないということが、世界的な常識になってきている。トルコ、米国、ベトナムと、日本政府肝いりの原発輸出はことごとく失敗し、昨年末には英国への輸出も困難になった。 電力資本、電機産業資本とこれに融資し続けてきた銀行資本の利害のため、そして核武装の根拠を護持するため、原発再稼働と原発輸出に執着する安倍政権を絶対に許してはならない。老朽原発運転延長、原発再稼働、原発新設を絶対に阻止しよう。 避難を余儀なくされている福島の人々に対する補償、そして、被曝労働を強いられた労働者に対する補償、原発によって奪われた権利を回復する闘いを全力で支援していこう。 ▼2章―5節 治安弾圧激化との闘い 二〇一九年、安倍政権打倒闘争は、安倍自身が改憲、天皇代替わりに政治生命を賭けて強行してくるがゆえに、闘う勢力への弾圧を激化してくることをはっきりと見据えて、これを打ち破る権力闘争―反弾圧闘争を構えていかなくてはならない。 すでに二〇一八年、闘う勢力に対する権力弾圧は熾烈を極めている。関西における労働運動、大衆運動の先頭で闘ってきた全日建運輸連帯労組関西生コン支部に対して、八月以来毎月不当逮捕を繰り返し、すでに逮捕者は四〇人に上っている。階級的労働運動に対して「威力業務妨害」「強要未遂」「恐喝未遂」などをデッチあげてきている。これは戦闘的階級的労働運動に対して資本の利害を貫くための弾圧である。同時に、天皇代替わり、G20大阪サミット、改憲という階級支配の一大再編攻撃に向けた先行的弾圧である。 本年の階級攻防を見据え、安倍独裁の強化、階級支配の反動的再編に向けた、階級勢力、革命勢力に対する弾圧と断固対決していこう。 国家権力が意図することは、階級的な屈伏である。国家権力に渡すものは何もない。完全黙秘―非転向こそが、敵の意図を打ち破る要諦である。完黙―非転向闘争こそが、闘う仲間を守り、階級闘争を防衛し、闘いの展望を拓く。反弾圧の原則を貫き、一九年階級攻防の勝利を掴みとろう。 一つひとつの弾圧を許さず、階級的団結を強めて、この攻撃を打ち破っていかなくてはならない。弾圧を寄せ付けない階級的警戒心を強めると同時に、大衆運動・労働運動などさまざまな運動において、権力弾圧と闘う態勢―陣形を意識的につくり出していくことが問われる。権力は弾圧の過程で、右翼マスコミに権力情報を垂れ流して、闘う勢力の分断と孤立を図ろうとする。国家権力、右翼マスコミ、極右勢力の一体となった攻撃を打ち破るには、反弾圧の共同の闘いを構築して労働者人民の圧倒的な怒りを結集することである。 ブルジョア国家権力の弾圧の意図をしっかりと見抜いて、権力弾圧を粉砕していこう。 ●第3章 階級闘争構造の建設 ▼3章―1節 階級的労働運動 安倍政権は、戦争準備を進める一方で、格差の拡大と貧困化に拍車をかけてきた。安倍晋三は、アベノミクスの経済的な「成果」によって政権支持率が維持されていると信じている。しかし、それは、ブルジョアジーと富裕層を徹底的に優遇する政策であり、そこから労働者人民に滴り落ちるものなど何もない。 昨年六月に成立が強行され、本年四月一日から施行される労働法制全面改悪によって、その度合いはますます酷くなる。安倍「働き方改革」なる過労死強要、さらなる貧困化攻撃に対して、職場から反撃する闘いを創り出していこう。 「19けんり春闘発足総会」は、「八時間働けば暮らせる社会を!」「大幅賃上げを勝ち取ろう」を掲げて、安倍政権の過労死攻撃、貧困化攻撃と対決する春闘方針を確定している。具体的には、最低賃金保証・時給一五〇〇円、高プロ制度導入反対・時間外労働の点検・見直し、インターバル休憩を要求している。さらに、非正規労働者の差別反対・均等待遇の実現、外国人労働者の処遇改善を要求している。 そして、労働法制改悪反対、裁量労働制の適用拡大反対、解雇の金銭解決制度反対、また、入管法改悪反対、外国人技能実習制度の廃止を掲げて、労働現場から闘いを組織し、安倍政権の労働政策そのものと対決する方針を明確にしている。 安倍政権が資本の利害を公然と振りかざして、労働条件の全面改悪に踏み込んでくる中での19春闘は、労働現場から反撃し、正規・非正規の分断を乗り越え、さらに外国人労働者との国際連帯を実現していく闘いとして追求されている。 労働者階級―労働組合が、沖縄―辺野古、岩国など反戦闘争、反基地闘争、改憲阻止闘争、反天皇闘争に立ち上がっていくことが重要である。安倍政権は五月一日に新天皇即位を決定しているが、闘う労働組合は五月一日メーデーを断固闘い抜く方針を決定している。 全日建運輸連帯労組関西生コン支部に対して熾烈な弾圧が加えられている。闘う労働組合は団結を強化して、この弾圧に立ち向かっている。これは本年の労働運動の重要な課題である。 安倍政権の過酷な労働政策に対して、労働者の権利を掲げて真正面から対決していくことが問われている。労働者階級が先頭に立ち、本年の階級攻防を切り拓いていこうではないか。 ▼3章―2節 被抑圧人民・被差別大衆の解放闘争 ◆3章―2節―1項 部落解放運動 安倍右翼反動政権の下で激化する差別排外主義との闘いにおいて、部落解放闘争は重要な軸となる闘いである。差別排外主義者どもはインターネットで部落解放運動を誹謗中傷し、差別書き込みを繰り返している。さらに「部落地名総鑑」を出版しようとして裁判で差し止められた「示現舎・鳥取ループ」は、「部落地名総鑑」の一部をインターネット上に書き込み、さらには「部落探訪」なる差別行為に及んでいる。差別者どものこのような行為を絶対に許してはならない。 狭山差別裁判闘争の第三次再審請求において、昨年、寺尾判決の根拠を打ち砕く新たな鑑定書が提出された。証拠とされてきた万年筆と被害者の万年筆は、インクの成分が根本的に異なっていることを実証した下山第二鑑定、コンピュータによる筆跡鑑定で脅迫状の筆跡は99・9%石川さんのものではないことを明らかにした福江報告書など、石川無実の新証拠が提出されている。あらためて狭山差別裁判糾弾―石川無実を明らかにしていく闘いの勝利をつかみとることが問われている。糾弾闘争を軸にして部落解放に勝利していく原則を貫いて、闘っていこう。 ◆3章―2節―2項 障害者解放運動 優生保護法の下で不妊手術を強制された障害者の国賠訴訟が次々に起こされている。この闘いは、国家権力が、障害者が障害者であることを理由に性と生殖の権利を剥奪したことに対する糾弾である。政府は今もって、優生保護法の違憲性を認めず、不妊手術を強制した人々への謝罪も補償も行ってはいない。手術を強制された人々の把握すらできていないのだ。国家が制度としてなしてきた障害者差別を放置したまま居直り続ける事態を絶対に許してはならない。 昨年、政府―行政の障害者差別実態として明らかになったのは、中央省庁における障害者雇用の水増し問題だ。「法定雇用率を達成するため」として、実際の雇用を促進するのではなく、数字を改ざんして水増しする手法だけを「工夫」していたのだ。「障害者の雇用」を掲げながら、採用条件に差別的条件を設けて障害者を分断する攻撃が、中央省庁でも地方自治体でも続けられてきた。 安倍政権がアベノミクスとしてなしてきた経済政策は、資本にとっての徹底した効率化である。労働現場から障害者を実質的に排除していく実態こそが、その差別性を浮き彫りにしているではないか。資本の利害をあからさまにし、戦争準備に突き進む安倍政権は、障害者・精神障害者を犠牲にし、社会から排除する攻撃を仕掛けてくるのだ。障害者・精神障害者の糾弾闘争、自己解放闘争と結合し、安倍政権の差別政策を打ち破っていこう。 ◆3章―2節―3項 女性解放運動 安倍政権は「女性活躍推進法」(二〇一五年)をもって「女性の活用」を主張してきた。しかし、アベノミクスの下で進められてきた雇用の非正規化の結果、格差は拡大してきた。現実には、女性労働者、若年労働者が貧困に直面する結果となっている。安倍政権は「少子高齢化対策」を進めることを公約してきたが、その成果などまったくない。女性労働者の労働条件の厳しさ、貧困化は、現実問題として未婚化、晩婚化を引き起こし、少子化に拍車をかける結果をもたらしている。安倍は入管法改悪法案の国会質疑の中でも「労働力不足」が緊急の課題であるかの答弁をくり返しているが、日本社会の構造をそのように固定化してきた自らの責任を絶対に認めようとはしないのだ。 格差が拡大する構造が固定化される社会において、女性の貧困化は決して解決されることはない。そのような社会ゆえに、セクシャル・ハラスメントもマタニティー・ハラスメントも引き起こされていく。女性差別が続き、それが隠蔽されるような社会体制そのものを変革していかなくてはならない。 労働運動において、青年運動において、さまざまな戦線において、女性が女性として生き活動する権利を主張し糾弾する闘いを創出していかなくてはならない。現実の矛盾の一つひとつに対する闘いと団結こそが、日帝足下の硬直した差別社会を変革していく。 同時にそれは、女性解放の国際的な団結としても築かれていかなくてはならない。安倍政権と朴槿恵政権によって強行された日本軍性奴隷制度の「日韓合意」に対して、韓国民衆の闘いは文在寅政権を突き動かしてきている。帝国主義を糾弾し続ける被害女性たちの闘いこそが、情勢を動かす原動力となっている。真の国際連帯が問われる時代が始まっている。 ◆3章―2節―4項 被爆者・被爆二世解放運動、被曝者・被曝労働者の解放 米トランプ政権は昨年、核体制見直しに踏み込んだ。小型核兵器開発を位置付け核武装強化―核兵器使用に突き進んでいる。これと連なった安倍政権は、「ミサイル防衛強化」という口実でイージス・アショア配備を強行しようとしている。混迷と対立を深める現代帝国主義が再び核武装を強化する状況に対して、被爆者、被爆二世は強い憤りをもって弾劾し、阻止行動の先頭に立っている。日本政府は東アジアの情勢転換に敵対する緊張強化の軍事政策を止め、直ちに核兵器禁止条約批准をなすべきだ。 一昨年、被爆二世への被爆者援護法適用を求める集団訴訟が開始された。政府は被爆二世への遺伝的影響を否定している。この国の主張を突き崩し、必ず被爆二世集団訴訟に勝利しよう。 福島原発事故後も原発再稼働、原発建設にひた走る安倍政権を許してはならない。被曝者、被曝労働者の裁判闘争の勝利に向け支援していこう。東京電力をはじめとした電力資本を糾弾し、原発を止め廃炉にしていかなくてはならない。被爆者・被爆二世の解放、被曝者・被曝労働者の解放をともに闘おう。 ◆3章―2節―5項 入管闘争、日韓連帯運動 安倍政権は昨年一二月、独裁的手法で入管難民法改悪を強行した。 安倍は「人手不足」を理由とし、移民の権利は決して認めずに、外国人を「労働力」としてのみ導入するのだと、あからさまに繰り返した。 国際的にも厳しく批判されてきた外国人技能実習制度を廃止することはせずに、安倍の言う「労働力導入」を「合法化」する入管法改悪が、誤りだらけの杜撰な資料でまともな国会審議もされないまま採決が強行された。低賃金長時間労働の根拠となってきた外国人技能実習制度がそのまま放置され、この悪辣な制度を拡大するものとして入管法改悪が強行されたのだ。 移民の権利を認めない「移民制度」ともいうべき改悪入管法の下で、日帝資本がなそうとしていることは、「人手不足」に応じて外国人労働者を導入し、不況に陥った場合には外国人から雇い止めにする、権利も生活も無視した差別的労働政策だ。 このような外国人差別政策を絶対に許してはならない。外国人労働者の権利を守り、外国人とともに闘い、労働者としての階級的団結を国際的に形成していく闘いが、日本人の側に厳しく問われる。外国人技能実習制度の廃止を闘い、日帝の入管体制と対決していかなくてはならない。 日帝の入管体制の根幹にあるのは、在日朝鮮人民に対する歴史的な入管体制である。安倍は「移民政策」ではなく「労働力」導入だと言う。この矛盾する言説の根底には、在日朝鮮人民をはじめとした在日外国人・滞日外国人に対する、日帝支配階級の入管政策の思想=差別・抑圧・分断・「同化」・追放がある。出入国管理庁の新設とはいっても、それは法務省入管局から引き継がれるのであり、日帝の出入国管理行政の思想が引き継がれていくのだ。 本年は、3・1独立蜂起から一〇〇年にあたる。日帝の植民地支配、侵略戦争の責任を追及し、アジア人民に対する日帝足下労働者階級人民の責任を問い直していくことが、厳しく問われている。この自覚の下に、安倍政権の排外主義と対決し、差別的入管体制を打ち破っていこう。 ▼3章―3節 青年運動・学生運動 わが学生戦線は次のように二〇一九年の具体的な方針を提起している。 第一に、安倍改憲攻撃、天皇制・天皇制イデオロギー攻撃と対決することである。天皇代替わり式典粉砕、国会行動をはじめとした改憲阻止闘争に断固立ち上がっていく。 第二に、辺野古新基地建設阻止闘争を闘う。昨年一二月の土砂投入強行に対して、沖縄現地の実力阻止闘争に断固立ち上がってきた。一九年、さらに現地攻防を担いぬくと同時に、全国の学園で沖縄集会を開催して、沖縄解放を闘う学生運動を創り出していく。 第三に、三里塚闘争をしっかり取り組み、市東さんの農地取り上げ阻止を闘うことである。12・20反動判決は絶対に看過することはできない。強制執行を絶対に阻止しよう。全国から天神峰決戦本部に集まり、国策と体を張って対決しよう。反対同盟の呼びかけに応え、市東さんの農地を守る青年・学生の闘いを広げていく。 第四に、全国学生運動の再建を全力で進めていく。大学でビラ撒きや立て看の自由すら認めない弾圧が吹き荒れている。安倍の改憲攻撃と一体に戦時型弾圧に着手してきている。これに対する闘いも徐々に広がり、全国学生の連帯がこの間前進してきている。これを土台に、全国学生運動を再建しよう。 韓国をはじめとするアジア各国・地域の青年・学生運動との連帯活動を進め、東アジアの平和を戦取し、資本主義を超える国際連帯の青年運動・学生運動を創出しよう。 ▼3章―4節 反帝国際主義潮流 われわれは、反帝闘争の具体的攻防を、アジア―世界の労働者階級人民との国際共同闘争の一環として推し進めていく。韓国、台湾、フィリピンをはじめとした東アジア各国・地域の労働者階級人民は、反基地闘争を闘い、階級的労働運動を果敢に推し進めている。一六年から一七年の韓国「ろうそく革命」は朴槿恵政権を打倒して文在寅政権を生み出し、一八年の東アジア政治軍事状況の一大転換を結果した。この切り拓かれた情勢の中で、われわれは米帝―トランプと日帝―安倍の一大反動との闘いを推し進めてきた。この闘いは、もはや一国の階級闘争の課題に収まるものではない。相互に連携し、連帯し、強権的政治反動と侵略戦争を阻止していく共同闘争として進めていかなくてはならない。 われわれは、この情勢を階級的視点から捉え抜き、安倍政権打倒闘争を推し進めていく。危機にかられた安倍政権、トランプ政権が、侵略戦争を準備し着手することを絶対に許してはならない。自国帝国主義の政府が、排外主義を強め、侵略反革命戦争への総動員を準備している時だからこそ、これと対峙し、革命的祖国敗北主義の立場に立ち切って、反戦闘争に立ち上がることが問われている。改憲阻止―安倍政権打倒闘争は、まさにプロレタリア国際主義の立場を貫く闘いとして取り組まれなくてはならない。 アジア共同行動日本連は、このような立場で日本における国際連帯運動を進めてきた。プロレタリア国際主義に貫かれた大衆運動がさらに発展し、運動の規模を大きく拡大していくことが問われる。アジア共同行動をはじめとした日本の国際連帯運動が反帝闘争の大衆的実践となるべく、われわれは全面的に支援していく。 安倍の反動が吹き荒れる帝国主義足下において、われわれは反帝国際主義潮流の建設を大胆に進めていく。 ▼3章―5節 左派潮流 われわれは、二〇〇〇年沖縄サミット反対の共同闘争を引き継ぎ、米帝・日帝の侵略反革命戦争と対決するべく「有事立法―改憲阻止・反戦闘争実行委員会(反戦闘争実)」を結成した。さらに、第二次安倍政権の秘密保護法、戦争法との闘いに向けて「戦争法廃止・安倍倒せ! 反戦実行委員会(反戦実)」を形成した。伊勢志摩サミット反対闘争、共謀罪反対闘争を闘う中で「戦争・治安・改憲NO! 総行動実行委員会(総行動)」を形成してきた。 安倍政権の反動攻勢が強まる中で、これと総対決し、日本の労働者階級人民の闘いを牽引する左翼勢力の結集をわれわれはめざしてきた。安倍政権と対決する反帝闘争を共同で担い、ともに論議を重ねる中で、日本の左翼勢力の新たな潮流が形成されてきた。 本年、安倍政権は、天皇代替わり、改憲、G20大阪サミット、そして二〇年東京オリンピック・パラリンピック準備と、国内の階級支配体制の一大再編を狙っている。この安倍政権の攻撃を許すのか否か。日本の左翼、共産主義者に厳しく問われている。安倍の改憲攻撃は階級支配構造の再編であり、闘う勢力の解体を伴った攻撃としてある。これと真っ向から対決する、日本の左翼の結集、左翼の共同の闘いが本年こそ強く問われている。 安倍が改憲をもって、戦争総動員体制構築に進もうとする中、改憲阻止の一大大衆運動が発展することは重要であり、前述したようのブルジョア選挙も位置づけなくてはならない。しかしながら、安倍右翼反動政権が常に策動する排外主義煽動による総翼賛化の攻撃に対して、日本の左翼―共産主義者は断固たる反抗、反撃に立ち上がることが厳しく問われている。排外主義との対決―自国帝国主義打倒を抜きにして、アジア各国・地域の労働者階級人民の闘いと結合していくことはできない。安倍政権の改憲攻撃は戦争総動員体制構築であるという本質を見据え、階級闘争の真価をかけた反帝闘争を組織していく日本の左翼運動を再生しなくてはならない。 安倍打倒の広範な大衆運動の実現を目指すと同時に、日帝足下で帝国主義打倒を鮮明に打ち出し、労働者階級人民の怒りを政治的力へと組織していくことである。今一度、日本の左派勢力が総結集し、改憲阻止、天皇代替わり反対、G20大阪首脳会合粉砕の攻防に臨んでいかなくてはならない。 われわれ共産同(統一委員会)は、これまでの共闘の信義に根ざし、左派―反帝派の総結集で安倍政権と対決していく。 ●第4章 革命的労働者党建設 ▼4章―1節 第五回大会路線に基づく党建設、党勢拡大 われわれ共産同(統一委員会)は昨年、第五回党大会をかちとった。中央委員会報告案を軸にして四大会以降の活動を総括し、今後三年間の路線、党建設に関して議論し、採択した。中央委員会報告はその内容を三本の五大会路線スローガンとして提示している。 「戦争・改憲、天皇制・差別排外主義、新自由主義・貧困化を全人民決起で粉砕しよう! 左派潮流・反帝国際主義潮流を拡大し、日帝・安倍政権打倒―プロレタリア社会主義革命をたたかおう!」 「労働者、被抑圧人民、被差別大衆、青年学生の闘いと団結を進め、階級闘争構造建設をたたかおう!」 「共産主義理論を学び、宣伝煽動し、党勢拡大に勝利しよう!」 〇四年の統一委員会結成から一四年の党活動の成果、そこにおいて生み出されてきた団結の上に、一八年以降の当面する政治任務と、党建設、とりわけ党勢拡大を重要な課題とした組織活動について一致した。 五大会では、三大会での綱領委員会編制以降、同委員会が軸になって六年間にわたって進められてきた綱領改訂案が採択された。さらに、労働運動決議、学生青年組織化決議が議論の上で採択された。そして、新中央委員が選出された。新たな中央委員会は五大会で採択された報告、決議に基づき、今後数年間の党活動全般を指導していく決意を明らかにしている。われわれは、この五大会路線に基づき、本年の階級攻防を闘い抜いていく。 昨年、われわれは機関紙『戦旗』の判型を改定し、紙面を刷新した。労働者階級人民の読みやすい『戦旗』をめざしてきた。革命的労働者党の全国政治新聞としての確立をめざし、本年も奮闘していく。『戦旗』を軸にして共産主義運動を推し進めていこう。 われわれは、安倍政権が本年、改憲、天皇代替わり、G20大阪会合、さらには二〇年東京オリンピック・パラリンピックをも全面的に利用して、国内階級支配構造を戦争総動員体制へと再編していこうとする歴史的画期にあることを厳しく確認し、この攻撃に対して安倍政権打倒闘争を対置して闘うことをまずもって明らかにしてきた。三里塚、沖縄に対して、また、闘う労働組合に対して、安倍反動の攻撃は先取り的にかけられている。 われわれ共産同(統一委)は革命的労働者党として、現在の階級攻防の実態を見極め、弾圧を打ち破る組織体制をさらに強固にして闘い抜いていく。完黙―非転向の原則を貫き、階級闘争、反帝闘争の利害を守り抜き、弾圧を打ち破る攻防の中で強固な革命的労働者党建設を断固推し進めていく。 ▼4章―2節 一九年階級攻防と共産主義運動の復権 現代帝国主義が依拠してきた新自由主義グローバリゼーションは、世界のいたるところで、その矛盾を噴出させている。かつて一九九〇年代のソ連・東欧圏の瓦解に際して「資本主義の勝利」などと自画自賛していた米帝国主義自体が今や危機に瀕して、トランプ自らグローバリゼーションを否定している。新自由主義グローバリゼーションが堆積してきた矛盾が新たな恐慌を引き起こしていくのか。さらには、資本主義そのものがその歴史的終焉へと向かっていくのか。しかし、この矛盾の中であがくブルジョアジーどもは、戦争以外にこの矛盾の発露を知らないのだ。 現代帝国主義が危機に直面しつつある時代に、労働者階級人民に展望を示すことが、共産主義者の任務である。 われわれ共産同(統一委)は〇四年の結成以来、綱領・規約に基づき、党内民主主義が貫かれた大会―中央委員会―政治局の集団指導の下に共産主義者党を建設していく活動を地道にすすめてきた。機関紙活動と組織会議を軸にして運営される活動、かつ、この活動の中において同志的な論議を尽くし、共同の組織活動を通して共産主義者の団結は培われる。このような共産主義者の地道な党活動こそが、スターリン主義党によって失われ、破壊されてきた共産主義運動への信頼、展望を回復させ、復権するのである。 社民、日共スターリン主義、リベラル左派―立憲民主党などは、安倍右翼反動政権が改憲攻撃を強める中にあって、「安倍改憲反対」を共通課題にして「野党共闘」を強めてきてはいる。しかし、あくまでブルジョア議会内野党勢力であり、安倍政権が改憲攻撃を一九年「天皇代替わり」、二〇年東京オリンピック・パラリンピックと一体にして攻撃をしかけていることに対して、真っ向から反撃できる内容をもってはいない。とりわけ、天皇「祝賀」、オリンピック「国家事業」をもっての「国民統合」強化への総動員・総翼賛の攻撃に対して、完全に屈伏している状況にある。 それと一体に、東アジアにおいて安倍政権が排外主義を強める状況に対しても、無力であることをさらけ出している。安倍政権は共和国、中国への敵対、戦争準備を強めてきたばかりでなく、徴用工裁判判決以降、韓国―文在寅政権への批判を急激に強めてきた。右翼マスコミばかりか、日本のジャーナリズム総体が安倍政権の排外主義煽動に振り回されている。日帝の侵略戦争と植民地支配の責任と賠償をあいまいにする論議に、リベラル文化人が足をすくわれている。護憲派、護憲政党が安倍政権の排外主義煽動と対決できていないのだ。 日本の左翼、共産主義勢力がマルクス・レーニン主義の立場に立ちきって闘うことが今ほど求められているときはない。安倍政権の改憲攻撃の反動性、右翼性、その排外主義的本質を根底から批判し、これと対決し、打倒していく闘いを進めていくことは、まさに自国帝国主義と対決してプロレタリア国際主義を貫く闘いである。われわれ共産同(統一委)は、帝国主義足下の共産主義者党としてこのことを厳しく自覚し、この攻防の中でこそ、マルクス・レーニン主義を再生するのだという決意で闘い抜く。 一九年の日本の階級闘争は、安倍政権と総対決する熾烈な攻防になるであろう。われわれは五大会スローガンで明らかにしているように、改憲、天皇代替わりをはじめとした反動攻勢に対して断固闘いぬいていく。同時に、あくまでも労働者階級人民の利害に立った共産主義者として、この攻撃の意味とそれに対する闘いの意義を明らかにし、さらにその先のプロレタリア革命の展望を明らかにしていく。ブントとして、階級攻防の現場に身を置き、労働者階級人民とともに闘い、かつ、労働者階級の前衛としてこの攻防を総括し、未来を共に切り拓く。このような闘いを通して、共産主義運動の現代的な復権を必ず成し遂げていく。 二〇一九年、日本―世界の共産主義運動を推進すべく、ともに闘おうではないか。 |
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