共産主義者同盟(統一委員会)


1526号(2018年5月20日) 政治主張






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  4・27南北首脳会談――

 韓国民衆が切り拓いた地平と結び

 さらに前進させる国際共同行動を

 



 四月二七日、第三回南北首脳会談が開催された。板門店(パンムンジョム)で会った両首脳が握手し、相互に軍事境界線を乗り越えるさまが生中継された。平和を求める多くの東アジアの民衆が、とりわけ分断の歴史の中に置かれてきた南北朝鮮人民、日本社会の差別のもとでさらに民族の分断、対立にも翻弄されてきた在日韓国・朝鮮人民の多くが、この歴史的会談を歓迎している。会談後に署名された板門店宣言では朝鮮戦争を終戦させることを宣言し、現在の停戦協定を平和協定へと転換していくことがうたわれた。われわれは今回の首脳会談と共同宣言を支持する。日本人民は朝鮮半島の自主的平和統一を求める南北朝鮮人民に連帯して闘おう。
 南北首脳に比して恥をさらし続けているのが安倍政権だ。会談に至るまで「対話のための対話は意味がない」と朝鮮民主主義人民共和国(以下共和国)に対する敵対をあおり続けた挙句、南北、米朝の首脳会談の準備過程から完全に外された。四月一七、一八日の日米首脳会談でもしょうこりもなく朝鮮敵視を「ご注進」するばかりで、安倍は「トランプが拉致問題を取り上げてくれる」と「外交成果」のように自賛したが、リップサービスの範疇を超えるものではなかった。財界の意向を負ったはずの為替や経済交渉、貿易戦争の問題では全く成果なし。いつものように高価な米国製武器を買いますよというへつらいぶり。国内ではモリカケ疑惑で国会が空転し、支持率は30%台まで低下した。日本人民の責任はこの恥さらしを官邸から引きずりおろすことにある。

 ●1章 南北首脳会談と東アジアの新たな政治状況の展望

 二七日朝の両首脳の軍事境界線での対面から始まった第三回南北首脳会談は午前、午後の二回の会談を経て板門店共同宣言へと結実した。その内容を抜粋する。
 まず、南北の関係改善から、共同繁栄、自主統一を目指すことに関する項目として①民族の運命は自ら決する原則と過去の南北共同宣言の完全履行、②首脳会談履行のための高官級協議の継続、③開城(ケソン)に南北共同連絡事務所を設置、④各界各層の多面的協力・交流、具体的には二〇一八年アジア競技大会への統一チーム編成、⑤南北赤十字会談の開催、八月一五日に離散家族再会の実施、⑥東海線、京義線、道路の接続が掲げられた。次に軍事緊張緩和についての項目として①相互敵対行為の中止、②黄海での偶発衝突の防止、③軍事当局者会談の頻繁な実施を掲げた。
 最後に朝鮮半島平和体制の構築として①相互不可侵の再確認、②段階的軍縮、③平和協定締結のための朝・韓・米の三か国協議ないし朝・韓・米・中の四か国協議の実施、④朝鮮半島非核化、を掲げている。
 朝鮮戦争を終わらせると両首脳が宣言した意義は大きい。戦争の終結は南北それぞれはもちろん、東アジア全体の人民、とりわけこの戦時体制をもって軍事・経済支配を正当化してきた日米両帝国主義と闘う民衆にとって決定的である。緊張緩和に結びつくものを含めて、すべての項目が戦争の終結という目的のもとに編成されていることも理解できる。
 さて、南北の首脳が宣言した朝鮮戦争の終結だが、実現するにはもう一方の当事者であるアメリカの参加が欠かせない。その点で南北首脳会談の成果を受けて、六月一二日に予定される米朝首脳会談が重要になる。トランプ政権はこの間対話派を排除し、タカ派の人物に置き換える人事を行っている。一方でトランプ自身の金正恩(キムジョンウン)委員長への評価は罵倒したり褒めたたえたりと目まぐるしく変わっている。今や朝鮮和平の最大の不安定要因は米帝の単独行動(安倍の扇動など国際的には何ほどの価値もない)だが、それは文在寅(ムンジェイン)政権を生み出した「ろうそく革命」=韓国民衆との直接の軋轢を生みだす。いわんや、今回の南北首脳会談は一部の韓国保守派からも評価されている現状にあってはなおさらである。国際的には南北首脳会談と朝鮮戦争の終結は圧倒的な支持を受けており、没落傾向にある米帝がここで会談をぶち壊すことには相当な困難が伴うだろう。闘う民衆の力でトランプを席に縛り付けなくてはならない。
 朝鮮戦争休戦協定から六五年にして朝鮮半島の平和の確定へと進む最大のチャンスがやってきた。韓国民衆が先頭で切り拓いたこの東アジアの軍事・政治状況の大きな転回を、われわれは支持する。さらに闘いを進め、平和協定を勝ち取ろう。それは朝鮮半島の自主的平和統一、東アジア人民解放の一里塚となるだろう。
 問われることは、米帝、日帝の戦争重圧をとり除くことだ。平昌(ピョンチャン)オリンピックで延期したとはいえ、また米空母の投入は控えたとはいえ、今回の南北首脳会談に先立って、今年も四月一日よりフォール・イーグル、キー・リゾルブの米韓合同軍事演習が実施された。また、星州(ソンジュ)のTHAADについても会談直前の四月二三日資材の強行搬入が実施された。日本では米軍基地(辺野古新基地建設・京丹後Xバンドレーダー二期工事・岩国艦載機訓練激化・横田CV22オスプレイ配備)、自衛隊基地の建設・強化(佐世保水陸機動団発足、イージスアショア導入、自衛隊宮古・石垣・与那国配備)が継続して進められている。こうした出来事は、労働者人民を分断して利益を得てきた大資本と支配層が今もなお、朝鮮戦争を念頭においた戦争体制に突き進んでいるということを示すものだ。
 日本人民の任務は、日本帝国主義の朝鮮半島の平和に敵対する行為を止めさせ、戦争責任―戦後補償を真に果たさせることである。そして、日朝国交正常化を実現させなければならない。

 ●2章 「働き方改革推進法案」粉砕! 安倍政権打倒!

 モリカケ問題、自衛隊の日報隠し問題、財務省セクハラ問題などで国会が空転する中、政府は「働き方改革推進法案」を閣議決定、国会提出し、五月二日政府・与党はついに衆議院厚生労働委員会での「働き方改革推進法案」の審議に入った。野党が欠席する中、野党側質問時間の四時間半にわたって厚労大臣などが待機するという異常な幕開けであった。疑惑追及の中で冒頭示したとおり政権支持率は30%台まで低下、四月の世論調査では政権寄りの読売新聞でさえ不支持の理由の六割が安倍晋三を信用できないと言っている状態になっている。いかに官僚に責任をなすりつけようとも、開き直ろうとも、民衆の目には疑惑の中心に安倍晋三がいるのは明らかだ。こうした中で、安倍の悲願である改憲を危険にさらしかねないような形での今回の審議開始は一見異様に見える。
 二月末の裁量労働制拡大断念の直後に経団連・日本商工会議所から失望のコメントがあふれたように、「働き方改革推進法案」への財界の注力は大きい。代理人たる安倍政権としては、いかなる犠牲を払っても成立させる構えだろう。
 ここで「働き方改革推進法案」の中身について繰り返しとなるが簡単に確認しておく。実に多くの労働法制の改悪が含まれており、雇用対策法・労働基準法・労働時間等設定改善法・労働安全衛生法・じん肺法・パートタイム労働法・労働契約法・労働者派遣法と八法にも及ぶ。大きな改悪点にポイントを絞ると、①労働者の雇用の安定(労働者の都合)から生産性向上(資本家の都合)への法の目的の変更(雇用対策法)、②高度プロフェッショナル制度(いわゆる残業代ゼロ法)導入で過労死ライン越え長時間労働の合法化(労働基準法ほか)、③まがい物の同一労働同一賃金、すなわち合法的非正規差別の虎の巻(労働契約法ほか)、④非正規差別解消の根拠として裁判などで活用されてきた労働契約法二〇条の廃止(労働契約法、パート労働法)などである。「定額働かせ放題」、つまり裁量労働制拡大は先述のとおり粉砕されたが、それでもまだこれだけの改悪が目白押しだ。
 今や政権を打倒するか、さらなる強搾取を許すかの決戦情勢に入った。与野党は加計問題で柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人招致で合意し、五月八日より野党は国会審理に戻った。柳瀬の参考人招致は五月一〇日に実施されたが加計学園事件の疑惑は増々深まっている。「働き方改革推進法案」の行方を決めるのは国会審理ではなく、大衆的な運動の盛り上がりだ。現在実施中の「八時間働けば暮らせる社会を」労働法制改悪を阻止する全国運動実行委員会のキャラバンを成功させ、五月二二日日比谷公園で開催される労働法制改悪阻止集会への結集を勝ち取ろう。
 憲法改悪については三月の自民党党大会ではまだ安倍晋三は改憲発議への決意を前面に出していた。ところが五月三日の改憲派集会に対するメッセージでは同様に決意を語ってはいるものの、昨年は言及していた二〇二〇年施行というスケジュールを下した。また自民党内での改憲議論も低迷しており、特に四月以降は注目されるような発言も見られず、それどころか安倍以外の派閥領袖どもがこそこそと会合しているといった動きがみられるような状態になっている。ここ数年で改憲派が最も追いつめられていることは間違いない。民衆の力で安倍政権を打倒し、「働き方改革推進法案」もろとも安倍改憲を葬ろう。
 5・26辺野古新基地建設反対国会包囲行動、6・3京丹後現地集会、6・5オスプレイ飛ばすな!首都圏行動をはじめとした五―六月反戦・反基地闘争を全力で闘っていこう。
 南北朝鮮人民をはじめとするアジア人民との連帯にかけ、六月アジア共同行動の成功にまい進し、その力をもって安倍政権を打倒しよう。



 

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