共産主義者同盟(統一委員会)


1504号(2017年5月20日) 政治主張






■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

■ENGLISH

■リンク

 

□ホームへ

 
  アジア人民との連帯かけて朝鮮戦争阻止

  安倍の改憲宣言弾劾!

  高浜原発再稼働阻止

  共謀罪阻止! 国会行動へ


       


 日々奮闘されている同志、友人の皆さん。『戦旗』読者の皆さん。
 発足して百日を経たアメリカのトランプ政権が、ついに暴悪な本性をあらわにしています。
 トランプは選挙中から「アメリカ・ファースト」を標榜し続けていたことで、良くも悪くも、「世界の警察」よろしく軍事的に他国へと介入することには熱心ではないのではないか、と思われていました。しかし発足以来、内政でまったく成果をあげることができず、人民やメディアからの批判を他へ向ける必要に迫られていました。
 四月六日、中国の習近平国家主席との夕食会の最中に、シリアのシャイラト空軍基地に巡航ミサイルトマホークを五十九発撃ち込んだのを皮切りに、アフガニスタンの「イスラム国(IS)」の施設を狙って大規模爆風爆弾で攻撃しました。続いて空母カールビンソンを中心とする第一空母打撃群の、朝鮮半島に向けての出港を明らかにし、朝鮮民主主義人民共和国への武力行使、戦争重圧へと乗り出したのです。いささかの開明性を装ってみせる余裕すらない力押しであって、なんの戦略も展望もない軍事行動です。それに何の批判もなく追随し、ともにことさらに「朝鮮半島危機」を演出することで「森友疑獄隠し」を狙っている安倍政権ともども、私たちは徹底的な批判を浴びせねばなりません、打倒あるのみです。
 安倍は五月三日、改憲勢力の集会に寄せたビデオメッセージで、「二〇二〇年までに九条をを改憲し施行する」とぶち上げました。「半島危機」を最大限に利用しながら戦争のできる、戦争をする国づくりに突き進む安倍の野望を許さず、打倒しましょう。
 朝鮮半島での戦争策動を許さない。朴槿恵政権打倒から南北自主平和統一に歩みを進める韓国民衆と連帯して、アジア地域から米軍を撤収させましょう。日本帝国主義安倍政権を打倒しましょう。

  ●1章 政権危機にあえぎ、軍事力で打開をはかるトランプ

 米帝トランプ政権が発足して百日が過ぎました。しかしその支持率は、第二次大戦後の大統領としてはこれまで最低だった、発足当初のビル・クリントンを10ポイント以上も下回るという、実に歴史的と評すべき不人気ぶりです。国内政治的にはこれまで、ほとんど成果をあげることができていません。
 イスラム諸国からの渡航を禁止するという、差別的大統領令は、裁判所から差し止められました。医療保険制度改革(オバマケア)を廃止して別の制度を立ち上げることも、メキシコとの国境に「壁」を建設する費用の予算化のめども立っていません。そもそも政策を立て、政権を実際に機能させるために不可欠な、閣僚や高官など、議会の承認を必要とする「政治任用官」ポスト(政権交代のたびに入れ替わる)は四月二十六日段階で、五百五十六のうち四百六十八が空席(!)なのです。国内の専門家たちが政権入りを拒否したり、トランプ側が自らに批判的な発言をした人物の登用を避けているのです。政権がまともに機能しているとは言い難い状況が解消されることは当面あるまいと言われています。
 三月十六日に明らかにした二〇一八年度予算案は、軍事費と国境警備費(「壁」建設)のみ増額し、それ以外の予算に大ナタをふるうものでした。もともと健全財政を党是とする米共和党らしいと言うこともできますが、それにしても労働省、農務省で21%、環境保護庁で31%など、対外援助、外交、芸術、環境、公共放送など一部に集中した予算削減案はドラスティックなものでした。環境政策に注力する議会民主党が賛成できる内容ではなく(上院では民主党議員からの賛成なしには承認され得ない)、政府機関内からも批判が上がり、出された時点で成立の見込めない予算案となりました。結局、昨年度からの暫定予算が期限切れとなる、政権九十九日目の四月二十八日に、ごく一部を除く政府機関の閉鎖の危機を迎えるという危機に直面してしまったのです。その後、結局「壁」建設の予算確保を先送りすることでそれを回避しました。
 こうした状況の中で、トランプが即座に動かすことができ、状況の打開を期待できるのはともかくも人事の終わっている軍だけだったのです。
 もともとシリア情勢に関してトランプは、ISこそが最大の問題であって、アサド政権を排除するのではなく対ISで協力すらすべきなのだと、選挙中から一貫して主張して来ました。彼が四月六日に突如踏み込んだシリア攻撃が、それまでの発言からはまるで説明がつかない、場当たり的なものであることは明らかです。またアフガニスタンのIS攻撃ともども、いうまでもなく国際法違反です。
 続いてトランプ政権は、シンガポールを出港した空母カールビンソンをはじめとした空母打撃群を朝鮮半島に向かわせたと四月八日に発表し(のちに、最初は訓練のためインド洋に向かったがその後朝鮮半島へ向かったと修正)、朝鮮民主主義人民共和国への戦争重圧を公然化させました。三月一日からは過去最大規模の米韓合同軍事演習「フォール・イーグル」「キー・リゾルブ」を二ヶ月にわたって展開しています。空母カールビンソンはその後も、海自と韓国海軍との訓練を行いながら、日本海に展開するとされています。
 「(共和国の)体制変革までは求めていない」と言い、あるいはトランプ自身が「金正恩と会談してもいい」とも発言する一方で、国務長官ティラーソンも「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」のだと、先制攻撃をも含めた軍事行動の意志を隠そうとしていません。トランプの政治的「点数稼ぎ」のためだけに、人民を侵略戦争に巻き込むこともいとわないというのです。誰が侵略行為を支持するというのか! 誰が殺し殺されることを望むというのか! 今こそ激烈な戦争反対の声を叩きつけるべき時です。
 また決して見落としてはならないのは、これらが共和国政府のみに向けられたものではない、ということです。朴政権打倒後の大統領選挙に臨んでいる韓国民衆や左派候補に対する重圧であり、介入だということです。THAAD配備にまっこうから反対し、戦争をではなく、南北の自主的平和統一を果たそうとする在野勢力のたたかいに制動をかけ、押しつぶそうとする米帝や韓国軍部動きを決して許してはなりません。アジア共同行動が培ってきた国際連帯の力を今こそ発揮する時だと言えます。
 米帝の、朝鮮半島に対する軍事圧力、戦争攻撃を許さず、アジアからの米軍の総撤収を実現させようではありませんか。

  ●2章 朝鮮戦争重圧を利用し、「森友隠し」と改憲攻撃強める安倍

 いっぽう安倍政権は、トランプ政権に対し完全に追随しています。ともに「脛に傷持つ」権力者として、この演出された「危機」を最大限に政治的に利用し尽くそうとしています。
 四月六日のシリア攻撃については「決意を支持する」と表明しました。明らかな国際法違反を「支持」したのです。
 四月十八日、来日した米副大統領ペンスを公邸に迎えた安倍は、共和国を「新たな段階の脅威」だといいなし、「対話のための対話では意味がない。圧力をかけていくことも必要」だと切り出しました。それに対しペンスは、「平和は力によってのみ初めて達成される」と応じたのです。極めて許しがたい、認めることのできない発言です。
 現行憲法九条は、武力の「行使」はもちろん、武力による「威嚇」もまた否定しています。軍事的圧力を加えることも憲法違反なのです。安倍はペンスとの会談でのこの一言だけで、現行憲法における平和主義を投げ捨てたのだと言っても過言ではありません。
 安倍政権は、このかん暴露されていた「森友疑獄」「アッキード事件」とそれへの追及によって、ボディーブローをじわじわと効かされている状態でした。森友学園や加計学園など、「日本会議」と政権周辺に群がる利権屋たちが、官僚たちの安倍や夫人昭恵への「忖度」をテコに、人民には望むべくもない便宜を図られ、「濡れ手に粟」状態であったことが明らかになりつつあったのです。それは、先般「崔順実ゲート」事件で打倒された韓国朴槿恵政権や、実の娘や娘婿、ビジネス仲間などで政権を固めている米帝トランプ政権と全く同様の、「縁故(クローニー)資本主義」ともいうべき姿です。帝国主義者たちの腐敗した姿が、隠しようもなく暴露されたということなのです。
 各種世論調査で安倍政権への支持率はまだ50%超えを維持しているとはいえ、一方で「森友」をめぐる政府の説明に、八割近くが納得をしていないということも明らかになっています。
 それ以外にも、人民の怒りを掻き立てずにはおかない、政権の思い上がった実態は次々に明らかになっています。南スーダンPKOに関する、防衛省内部での組織的な情報隠蔽(いんぺい)が発覚し、防衛相稲田が「特別監察」を発動する事態となりました。メディアにあらかじめ文書を配布することで、野党による共謀罪法案への質問を封じようとした法相金田や、「自主避難者の自己責任」に続いて、こともあろうに「震災が(首都圏でなく)東北でよかった」という暴言を吐いて事実上の更迭に追い込まれた復興相今村。そのほか、政務官の務台や中川も、自身の軽口や女性差別事件によって、辞任や離党に追い込まれました。人民の苦況や憤激を見向きもしていない政権の体質が、隠しようもなくなっていたのでした。
 もう一押しされたらどうなったか分からない、という安倍の窮状を救ったのが、トランプが一方的に火をつけた「朝鮮半島危機」でした。安倍は完全にこれに飛びついて乗っかっています。
 「サリンを積んだミサイルが着弾する」可能性に国会でことさら言及して見せたり(四月十三日)、「国際社会が一致して圧力を高めていく必要がある」と訪問先のイギリスで発言したり(同二十九日)と、「危機」を沈静化させるよりも、人民の不安をあおる発言を続けています。さらに、護衛艦をカールビンソンに同行させ共同訓練を強行して、対外的軍事的な「危機」を煽ったり演出することで、短期的な支持を高めることを、トランプも安倍も狙っているのです。
 朝鮮民主主義人民共和国政府の核保有が、人民にとって歓迎すべき事態でないのは当然です。私たちはこれを強く批判します。しかし、自分たちは核を独占しつつ、核実験や核保有について相手国、勢力次第で追認しさえする米帝が、共和国政府を批判する資格は全くないのだし、まして軍事圧力をかけることなど、許してはなりません。
 米商務長官のロスは五月一日、経済会合でシリア攻撃について「夕食後の余興」だったと発言しました。国際法違反と侵略、殺戮を「余興」と言い放つこの思い上がった言い草よ! これはただの軽口なのではなく、彼らの本音なのです。帝国主義者が「危機」を弄んでいることが明らかです。安倍はこの発言をも「支持」するというのでしょうか?

  ●安倍の九条改悪宣言弾劾! 共謀罪法案を葬り去ろう!

 安倍は五月三日、美しい日本の憲法をつくる国民の会などの、改憲勢力が開催した「公開憲法フォーラム」に、「自民党総裁としての」ビデオメッセージを寄せ、「二〇二〇年までに改憲し施行する」とぶち上げました。現行の九条に、第三項として自衛隊の根拠規定を追加するとともに、「大学までの教育の無償化」も新たに盛り込もうというものです。いずれも、従来からの自民党の改憲草案にはないもので、公明党と日本維新の会の主張を採り入れた形となっています。ここには安倍の並々ならぬ決意とともに、現状への苛立ちが現れています。
 九条の改悪については、賛成が多数を占めることの多かった十年ほど前と異なり、多くの世論調査では反対が多数か、賛否が拮抗する状況となっていました。それは第一に、安保関連法制定の過程で、安倍が戦争のできる国づくりを進めていることが、第二に森友疑獄で右翼ファシスト勢力が展望している教育や国のあり方が、ともにあらわとなって、少なくない人民が安倍やその周辺が目指すものへの反対、忌避を強めた結果です。また、格差と貧困が広がる中で、「改憲などやってる場合か!」という人民の怒りと批判の現れでもあります。安倍の宿願こそが、人民から「ノー」を突きつけられていたのです。
 この現状を安倍は、公明と維新の二党を取り込むとともに、人民にとって耳当たりのいい「教育無償化」と九条改悪とを「セット販売」することで、突破しようというのです。許すことのできない、人民を舐めきった手法です。
 二〇二〇年施行ということは、早ければ来年中にも国民投票を強行するということになります。安倍の狙いを私たちは人民の中に徹底的に暴き広めることで、安倍の目論見を粉砕するのでなくてはなりません。
 もちろんそれは日本の革命派と労働者人民のみの事業ではありえません。アジア民衆との、国境を越えた連帯の力で果たされるべき事業です。読者の皆さん、心ある友人の皆さん、国際連帯の力で憲法改悪を粉砕しようではありませんか。
 さらに、安倍は今国会で共謀罪法案の審議を強行し、改憲と戦争に向けた動きに立ち向かう労働者階級人民のたたかいを押しつぶすことを狙っています。定義が全く曖昧で、いかようにも捜査側の恣意を反映させることのできる「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」を取り締まると謳いながら、権力に異を唱えるあらゆる人民の動きをあらかじめ弾圧し、封じ込めようとする極悪の治安弾圧立法です。
 皆さん、これまで安倍は、二〇二〇年の東京五輪開催を、共謀罪導入の一応の理由付けとしていましたが、その目的は五月三日の「宣言」でよりはっきりしたのだと言うべきでしょう。憲法改悪と国民投票に間に合わせるための共謀罪導入なのです。国民投票実施の前に、憲法改悪に反対する勢力を一掃し、沈黙させるための共謀罪だということです! 改憲のための、戦争のための共謀罪導入を、絶対に阻止しましょう。

  ●4章 辺野古埋め立て着工弾劾! 岩国基地の強化を阻止しよう

 安倍政権は沖縄辺野古において、新基地の建設を暴力的に推し進めています。沖縄「県」による岩礁破砕許可がこの三月いっぱいで期限切れとなったにもかかわらず、違法な状態で工事を強行してきたのです。
 四月二十五日には、辺野古埋め立てに向けた護岸工事に着工しました。海の現状回復がもはや困難とされる埋め立てが、とうとう開始されたということです。決して許してはなりません。現地ではシュワブゲート前での集会と座り込みが連日不屈に展開されています。稲嶺名護市長も駆け付けています。
 沖縄人民の圧倒的多数が、辺野古新基地建設に反対しています。四月二十二~二十三日の朝日新聞、沖縄タイムスなどによる「沖縄県民世論調査」では、辺野古新基地建設に反対が61%、賛成が23%です。この数字からも人民の意志は明らかです。翁長知事を先頭とした「オール沖縄」は、工事差し止め訴訟、埋め立て承認の撤回へと歩を進めようとしています。連日の辺野古現地攻防を最先頭としつつ、安倍政権の新基地建設阻止、違法工事阻止を、全国でたたかいましょう。沖縄反革命統合四十五年を弾劾し、五月沖縄現地闘争に起ちましょう。
 一方「本土」においては朝鮮半島情勢や中華人民共和国を睨んだ、海兵隊岩国基地の強化が推し進められています。厚木基地からの艦載機部隊の移駐が、今年強行されようとしており、騒音や低空飛行訓練、軍人軍属の住宅への大量流入と、今後予想される地元や中四国全域の基地被害は甚大です。米軍は五月五日の「フレンドシップ・デー」に際して、新たに配備されるF35戦闘機を麗々しくも公開してみせました。
 岩国現地住民は今年をまさに決戦の年として、艦載機やF35を迎え撃つ体制を固めつつあります。アジア共同行動の仲間は四月二十一日、朝鮮半島への戦争重圧を許さない、基地正門ゲート前での抗議行動に心ある人々とともに起ちました。侵略戦争のための岩国基地とその強化を許さない、機能させない、という断固たる意思表示です。岩国住民と連帯し、岩国基地の強化を許さないたたかいに起ちましょう。
 かかる情勢下で取り組まれる今年のアジア共同行動六月行動は、まさにアジアにおける国際連帯の内実が問われるものとなります。アジア共同行動日本連を支持し、支援し、日米両帝国主義の侵略戦争策動を許さない、民衆のたたかいを前進させようではありませんか。各地での取り組みを成功させ、朝鮮半島への戦争攻撃を粉砕しましょう。帝国主義者どもの目論見を打ち砕きましょう。


 

当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006-2007, Japan Communist League, All Rights Reserved.