1503号(2017年5月5日) 政治主張 |
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米艦防護命令弾劾! 日米共同訓練をやめろ 共謀罪粉砕! 安倍打倒 辺野古新基地埋立て着工弾劾! 5・15沖縄―「本土」貫く決起を ●第一章 共謀罪法案成立阻止 安倍政権は三月二十一日、組織的犯罪処罰法改悪案=共謀罪法案を閣議決定し、四月六日、国会審議入りを強行した。安倍政権はこれを「テロ等準備罪」と呼び、「これを『共謀罪』と呼ぶのは全くの誤りだ」などと強弁しているが、過去三回にわたって廃案になってきた共謀罪法案と同一のものである。 これまでの共謀罪法案では、対象犯罪が六百以上(政府原案)から百二十八~百六十二(二〇〇七年の自民党法務部会による修正案)というように、その数が大きく変わってきているが、今回の共謀罪法案では二百七十七の犯罪について共謀罪を新設しようとしている。 まず、共謀罪導入の刑事司法制度上のポイントは以下の二点である。 第一点は、共謀罪は日本の刑法司法の体系そのものを改変するものだということである。現行の刑法は、何らかの行為を犯罪として規定するというように書かれている。犯罪が起き、守るべき法益が侵害されたから処罰するのである。未遂罪や予備罪などを規定するとしても、それは例外でなければならない。 これに対して、共謀罪は、犯罪行為がなくても処罰しようとするものである。何を処罰するのかと言えば、二人以上の人間が話し合い、合意すれば処罰するというのである。具体的な被害はないにもかかわらず、ある人間を処罰するというのだ。これを多数の犯罪について一挙に行うのであるから、体系そのものの改変というべきだ。 第二点は、警察権力にとって重大なのが、共謀罪を理由とした、捜査権限の飛躍的な拡大強化だということである。共謀罪による処罰も重大だが、共謀罪を理由とした捜査権限の拡大にこそ、警察権力の利害がかかっている。 たとえば、今回の共謀罪では、航空券を予約するなどの「準備行為」を処罰の条件に追加した。これをもって共謀罪とは違うと、安倍政権は強弁している。しかし同時に、安倍は「テロ組織にはそれぞれ役割がある。予約する人もいれば、資金を調達する人もいる。予約したら『準備』とみなし、ほかの人を含め一網打尽にできる」と答弁している。 社会には、役所や政党、会社、サークルなど数多くの組織がある。多くの労働者が、なにかしらの組織で労働し、活動している。これら社会生活を営む上で必要な組織と、「テロ組織」をどう区別するのか。また、旅行に行くために航空券を予約することと、「準備行為」として航空券を予約することをどのように区別するのか。これらの判断基準は書かれていない。 これは、警察権力が、労働者の生活のあらゆる場面を、労働者のあらゆる行為を共謀罪適用の対象にすることにつながる。つまり、労働者の生活全般が警察権力の監視・捜査対象になるということだ。 また、準備行為は処罰の要件であり、共謀罪の構成要件ではない。刑事裁判で有罪とする根拠としては必要だが、捜索令状を請求するためには共謀罪の疑いで足りるだろう。それは、準備行為がなくでも、合意の疑いがあれば、家屋を捜索し、身体を拘束できるということだ。この点で、「これを『共謀罪』と呼ぶのは全くの誤りだ」という安倍の答弁はまったくの詭弁である。 そして、共謀罪が成立するということの立証には、なにが必要か。二人以上の人間が、共謀罪にかかわる合意をしたという事実が必要であろう。合意には、文書による確認から、口頭での確認、SNSでのやり取り、身ぶり目くばせなど言葉を使わない身体表現まで、さまざまな方法がある。それらを証拠として収集するには、家宅捜索から、盗聴や監視、虚偽「自白」の強制や司法取引が行われることになることは確実だ。 二〇〇三年の志布志事件では、どのような権力犯罪が引き起こされたか。公選法違反の罪で十三人が起訴され、〇七年に全員の無罪が確定した。さらに、鹿児島県警の違法捜査も認定され、一五年に鹿児島地裁判決が確定している。この間、住民の一人は三百九十五日間も勾留され、過酷な取り調べを強いられた。無実の人間が、不当な身体拘束を長期間強制された。 刑事訴訟法が改正され、盗聴の拡大、司法取引が導入された一方で、取り調べは密室で行われるまま、共謀罪が導入されようとしている。志布志事件をはじめとした警察権力犯罪の横行を許してはならない。何よりもまず、取り調べの全面可視化、代用監獄制度の解体こそが必要なのだ。 先に挙げた安倍の答弁は「一網打尽にできる。テロを未然に防げる」と続く。この言葉を、安倍特有のレトリックや大言壮語と受け取ってはならない。ここに安倍の意図が明確にあらわれている。共謀罪導入の政治的意図をしっかりと捉えなくてはならない。 共謀罪法案は「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団の団体としての活動」を処罰の対象にするとしている。しかし、「組織的犯罪集団」の定義は不明確である。警察、検察、法務省の恣意的判断によっていくらでも拡大しうる。 その上に「テロリズム集団」という文言をわざわざ挿入している。これこそ法的にまったく定義せず、国家権力が弾圧しようとする者に「テロリスト」のレッテルを貼り、権力犯罪を情緒的に正当化するものだ。沖縄をはじめ全国各地で闘われている反戦・反基地運動、経営者の横暴や搾取に立ち向かう労働組合、国や地方の行政を監視する市民団体などを「テロリスト」と決めつけ、憎悪をあおり弾圧する意図は明白である。 安倍政権は改憲にむけて突進しようとしている。その前に立ちはだかって、反政府闘争、反戦闘争をたたかう反帝勢力を一掃する手段として、共謀罪新設がある。現代版「治安維持法」の成立を断固として阻止しよう。 ●第二章 日本会議疑獄事件糾弾! 政府―自民党と財務省や国交省、大阪府、大阪市が関与した、学校法人「森友学園」の国有地売買をめぐる疑獄事件が明るみになった。 森友学園が小学校を建設するため、国有地を購入するにあたり、近畿財務局が八億円も減額していた事実が発覚した。森友学園の元理事長・籠池泰典は日本会議に名を連ね、新設される小学校の名誉校長には安倍昭恵の就任が決定していた。 安倍、稲田、大阪府知事松井をはじめ、日本会議議連が動かなければ、このような破格の国有地売却が行われるわけがない。財政法や国有財産特別措置法に違反する八億円もの減額を誰が指示し決定したのか、明らかにさせなければならない。国会での質疑を中心に追及されているが、政府―自民党、財務官僚は事実をひた隠しにしている。官僚どもが虚偽答弁をくり返し、安倍はじめ閣僚がデタラメで無内容な答弁ではぐらかす。まったく人民を愚弄する国会運営が行われている。 理財局長・佐川は、森友学園との交渉経緯を記録した文書などを「破棄した」、「(電子データは)短期間で自動的に消去されて、復元できないようなシステムになっている」と嘘を言い放ち、事実の隠ぺいに躍起になっている。しかし、財務省の情報管理室は売却の交渉経緯が書かれた文書の電子データは復元できる可能性があることを明らかにしている。 同じような事実の隠ぺいが、南スーダンPKOでの陸上自衛隊の日報でも発覚している。南スーダンでは、首都ジュバで昨年七月に大規模な武力衝突が発生していた。この期間の日報の情報公開請求に対し、防衛省は一六年十二月「廃棄した」として不開示の決定を出していた。しかし、一七年の三月六日、これまでの説明を覆し、統合幕僚監部が文書の電子データを保管していたことを認めた。そのうえ、情報公開請求への不開示決定後に陸上自衛隊がデータを削除したという疑いもある。 日報では昨年七月の首都ジュバの状況を「戦闘」と記しているが、稲田はこれを「衝突」と強弁していた。南スーダンでの事態を「戦闘」と認めると、PKO五原則との整合性が問われるようになり、戦争法による陸自の海外派兵がとん挫する。これを突破するための強弁だ。 こうした一連の事実の隠ぺいに加えて、この疑獄事件の質疑の中で、安倍や稲田が教育勅語を礼賛してきたことを絶対に許してはならない。 稲田は「教育勅語の精神である、日本が道義国家を目指すべきであること、そして親孝行だとか友達を大切にするとか、そういう核の部分は今も大切なものとして維持をしているところだ」と国会で答弁した。 教育勅語の部分を評価しうるかという議論そのものが間違いであることを、はっきりさせなければならない。一九四八年に衆参両院が教育勅語について排除・失効の確認を決議している。これは、教育勅語が現憲法の価値と相いれないから排除され、失効したのだ。 勅語とは、主権者としての天皇が臣民に対してあるべき態度を強制するものである。それを露骨に示しているのが以下の箇所だ。 文部省の全文通釈では、「万一危急の大事が起ったならば、大義に基づいて勇気をふるい一身を捧げて皇室国家の為につくせ……かようにすることは、ただに朕に対して忠良な臣民であるばかりでなく、それがとりもなおさず、汝らの祖先ののこした美風をはっきりあらわすことになる」と訳されている。 この論理は、現憲法と全く立場を異にするものである。国会議員が、国会で教育勅語を礼賛すること自体が、現憲法と原理的に矛盾しているのである。 幼児教育に教育勅語をむりやり導入し、園児に安倍政権支持を叫ばせる。籠池のやってきた所業は、およそ教育とは言いえない代物である。森友学園―籠池がなそうとしてきたことは、天皇主義、民族排外主義の徹底である。これを翼賛してきた日本会議もろとも解体されなくてはならない。 起こっている事態は、安倍を先頭とした腐りきった極右―日本会議集団による、官僚を引きずり込んだ疑獄事件である。日本会議疑獄事件として徹底的に追及し、安倍政権を打倒し、日本会議を解体しよう。 ●第三章 安倍政権打倒の全人民運動を 安倍政権は、共謀罪成立を後半国会最大の課題として、国会審議入りし、拙速審議、成立強行に突き進もうとしている。共謀罪は反戦・反基地闘争を推進する勢力に対する弾圧手段である。この点で、共謀罪による国内治安弾圧の強化と、戦争法―改憲による軍事侵略は一体のものである。戦争総動員体制構築を絶対に許してはならない。戦争法反対闘争を超える全人民闘争で共謀罪を粉砕しよう。 森友学園事件―日本会議疑獄をはじめとして、あらゆる領域で安倍政権の反人民性と腐敗体質が噴出している。 福島第一原発事故をめぐっては、復興大臣・今村雅弘が四月四日の記者会見で、福島第一原発事故の避難者に対して、「(避難先から帰還しないのは)本人の判断」「裁判でも何でもやればいい」「自己責任だ」と言い放った。大臣としての資質の問題は当然だが、それだけではない。これが、安倍政権の福島原発事故に対する態度であり、真意だということだ。じじつ、安倍政権は福島第一原発事故の責任を放棄し、被害者を切り捨てている。絶対に許してはならない。 今村が暴言を吐いた直前、三月三十一日と四月一日に、避難指示の解除が行われた。放射線量の高い「帰還困難区域」を除いた「居住制限区域」と「避難指示解除準備区域」とされてきた川俣町、浪江町、富岡町、飯舘村である。一万二千世帯ほど、約三万二千人の人々に対する指示が解除されたことになる。この避難指示の解除が意味しているのは、一年後の一八年三月には、住民に対する東電による慰謝料支払いが打ち切られるということだ。 避難指示区域外からの避難住民に対する、唯一の支援策だった住宅の無償提供も打ち切られた。福島県によると、県内外へ避難しているのは約一万二千世帯にのぼる。 これだけ多くの人々が困難な生活を強いられた責任は誰にあるのか。誰がこんな事態を引き起こしたのかは、明らかである。原発事故による放射能汚染の責任は、国と東京電力にある。その責任を放棄し、原発事故の被害者に対する切り捨てが進んでいる。こうしたなかでの、今村の暴言である。絶対に許さず、東電と国に原発事故の責任をとらせなければならない。 原発の再稼働を許さず、すべての原発の停止―廃炉にむけてたたかいぬこう。 また安倍政権は、沖縄人民の歴史と記憶、反戦・反基地の決意を踏みにじり、辺野古新基地建設に向けた工事を強行している。工事に必要な岩礁破砕許可が三月末で期限切れになったにもかかわらず、違法に工事を続けている。 これに対して、沖縄「県」は四月五日、沖縄防衛局に対して、新たに許可を得るよう行政指導に入った。沖縄防衛局は岩礁破砕許可を「申請する予定はない」と居直り、工事を続けている。 翁長知事は、辺野古新基地建設反対を鮮明に掲げて、知事選に勝利した。その翁長知事に正面から向き合わず、法文上の抜け穴を探し出し強権をもって基地建設工事を強行する安倍政権を許してはならない。安倍は同じことを他の都道府県にしているか。沖縄だけに振るわれている、この差別的な暴挙を何としても打ち砕かなければならない。 沖縄人民は、「オール沖縄」の陣形をもって、辺野古新基地建設反対をたたかいぬいている。機動隊と海上保安庁による弾圧をはね返しながら、継続してキャンプ・シュワブのゲート前で座り込み、大浦湾にカヌーで漕ぎだし、ねばり強くたたかっている。そして翁長「県」政は「(工事の)差し止め訴訟含めてあらゆる権限を使って工事を止めたい」として、強硬に工事を進める安倍政権と対峙している。 沖縄人民とともに辺野古新基地建設を阻止するためにたたかおう。安倍政権の違法工事を許さず、辺野古現地にかけつけよう。五月沖縄現地に決起しよう。 沖縄―「本土」を貫いた反戦・反基地運動を推進し、米軍再編とたたかおう。F35B戦闘機の岩国配備を弾劾し、オスプレイの横田基地配備を許すな。オスプレイの全面撤去をかちとろう。 |
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