共産主義者同盟(統一委員会)


1500号(2017年3月20日) 政治主張






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共産主義青年同盟(学生班協議会)

  




 新入生のみなさん。たたかう学生のみなさん。私たち共産主義青年同盟(学生班協議会)は、世界中で噴出するナショナリズムと戦争の危機を打ち破り、安倍政権による戦争国家づくり、大学の軍事研究解禁や学生生活の破壊を許さないたたかいに、ともに立ち上がることを訴える。
 人種差別主義と国益第一主義を掲げる米帝―トランプ政権が発足した。世界の誰よりもトランプを支持し、日米同盟強化を宣言したのが安倍政権だ。この政権に私たちの未来を託すことなど絶対にできない。
 トランプ就任に対してアメリカでは「これはわれわれの大統領ではない」と巨万の人々が街頭に立ち上がり、学生がその先頭に立っている。韓国では財界と癒着し、セウォル号事件に象徴される、若者を犠牲にする新自由主義政策を進めてきた朴槿恵打倒のローソク集会が毎週たたかわれ、ここでも大学生・高校生が次々と、まさに自らの未来をかけて街頭に立ち上がっている。
 森友学園に対する国有地払い下げ問題で、この学園が運営する塚本幼稚園の「教育勅語」教育が明るみに出た。そのおぞましさに誰もが驚く。だが、右翼の支柱・日本会議に支えられた安倍政権が改憲によって目指そうとしているのは、まさにこのような教育であり国家体制なのだ。アメリカ、韓国に続き、日本の学生は自分たちの未来をかけて、安倍政権打倒に立ち上がろう。

  ●第1章 大学の軍事研究―「安全保障技術推進制度」を粉砕しよう

 戦争法の閣議決定と軌を一にして、防衛省は二〇一五年度から「安全保障技術推進制度」を導入した。大学や民間の研究機関、企業を対象に、防衛省が示したテーマで研究を募集し、採択された研究に対して最長三年間で九千万円を支給するものだ。初年度の予算額は三億円だったが、一七年度予算案で一挙に百十億円と桁違いに増額された。防衛省の狙いは明らかだ。それは、これまで軍事技術の研究が防衛省や一部の軍需産業に限定されていたのを取り払い、広く大学や研究機関にも担わせることによって、アメリカ並みの先端科学技術を駆使した兵器を獲得しようとすることにある。
 アメリカでは「軍産学」複合化が進行すると共に、人工知能が軍事技術の主役となりつつある。すでに無人機による中東人民の無差別虐殺が日常的に行なわれ、ロボット型の殺人兵器の開発も実用段階に入っている。防衛省が目指す自衛隊の将来の姿が、これだ。
 一五年度と一六年度、安全保障技術推進制度で、応募があった百五十三件中、八十一件が大学で、神奈川工科大など理科系の九件が採択されたという。予算案が急増した一七年度は、応募する大学が一挙に拡大する可能性がある。
 これに対し、いくつかの大学は制度に応募しない意思表示をしている。「原爆の被災から復興した大学として、戦争を目的とした科学研究は行なわない」(広島大)、「研究成果が防衛装備品の製造等に将来つながることが想定される」(琉球大)、「軍事への寄与を目的とする研究は行わない」(新潟大)、「軍事研究や人権抑圧など人類の福祉に反する活動は行わない」(法政大)等だ。逆に研究費がかさむ理系の大学では率先して応募する大学もある。
 こうしたなか、科学者の代表機関である日本学術会議が動揺している。そもそも日本学術会議は軍事研究に関して戦後、二回の声明を出していた。朝鮮戦争直前の一九五〇年の声明では「戦争を目的とする科学の研究には、今後絶対従わない」と決議し、ベトナム侵略戦争を背景にした六七年の声明でも「戦争目的の科学研究は行わない」としていた。しかし二〇一四年、武器の「原則禁輸」を撤廃する「防衛装備移転三原則」の閣議決定、一五年の戦争法閣議決定、そして同年の安全保障技術推進制度を経て、これまでの立場を投げ捨てるか否か、動揺しているのが現状だ。
 日本学術会議の「安全保障と学術に関する検討委員会」が、昨年六月から議論をしている。焦点は第一に、軍事研究が、憲法二三条が保障する「学問の自由」に抵触するかどうかだ。通常、研究者は論文や学会で成果を広く公開できるが、防衛省は特定秘密保護法で罰則を持って軍事機密を秘匿している。防衛省が応募する研究テーマが、特定秘密に指定されない保証などどこにもない。
 また本来、研究者は何を研究すべきかは自由であるべきだ。もっとも資本主義社会にあっては、科学研究は労働者民衆の生活向上よりも企業の利潤追求に利用される傾向が強い。これを根本から批判する必要があるが、それはさておき、いま多くの研究者は防衛省による資金誘導で研究の自由が奪われることを懸念している。
 この背景には、政府の極めて貧しい教育予算配分がある。国から国立大に支出される運営費交付金は、法人化された〇四年度から一六年度までに約千四百七十億円も減少した。国から私立大への運営費補助の割合も一五年度には四十四年ぶりに一割を切ったという(朝日新聞調べ)。こうした貧しい教育予算によって、研究が続けられない研究者は、防衛省の意向に沿った軍事研究へと誘導されていくことになりかねないのだ。
 こうした懸念の声が検討委員会では出されているが、これとはまったく逆に「国の自衛のための研究は国民としての義務。積極的に貢献したい研究者を否定するのは、学問の自由の束縛だ」(小松利光・九州大名誉教授)と、率先して学術者は軍事研究をおこなうべきとの意見も公然と上がっている。これは憲法にいう「学問の自由」についてのまったくの無理解にもとづいているが、むしろ「自衛のための研究は国民としての義務」という論理を、研究者、学生は明確に拒否する必要がある。他国を例に出すまでもなく、日本のアジア太平洋侵略戦争は「自衛のため」という政府の論理で引き起こされた。現在の自衛隊は「専守防衛」だから、自衛隊の「装備研究」も自衛のためだという理屈は、安保法制の成立後、完全に成り立たなくなっている。
 日本学術会議は今後、四月に開く総会で結論を出すとしており、その結論次第では大学の軍事研究が全面的に解禁されていく。とりわけ理系の大学が軍事研究を率先して担うことになりかねない。それはアメリカ型「軍産学」複合体への道だ。戦争によって軍需産業が金儲けをし、大学での研究はそれに利用される構造になる。動揺する日本学術会議を批判し、学生・研究者こそが、大学の足元から「軍事研究を許さない!」「安全保障技術推進制度反対!」の声を上げて行こう。

  ●2章 安倍政権による欺瞞的な「奨学金の一部無償化」

 先に触れたように、政府の教育に対する支出はあまりに低水準であり、それが学費を高止まりさせ、学生の生活を苦しめ、卒業後も暗い影を落としている。
 大学に支払う費用は、入学金・授業料・施設整備費などがある。全国で平均して、国公立は四年間で約二百四十万円、私立の文系は約三百九十万円、私立の理系は約五百二十万円となっており、これに下宿代などを含めれば、仕送りやアルバイトではとうていカバーできないため、多くの学生が奨学金を利用している(奨学金を得ても授業料を納めきれず、通学を断念する学生も少なからずいるだろう)。
 奨学金の受給率の変化を、一九九二年度から二〇一四年度まで見てみる。大学昼間部の学生が九二年度に奨学金を受給していたのは22・4%だったのが、今世紀に入って急上昇し、〇四年度には51・3%と実に過半数の学生が受給するようになった。そして、奨学金の大部分は給付ではなく貸付であるから、就職などで定期収入を得るようになってから漸次返却する義務を負うことになる。だから入学直後から、ほとんどの学生が、よりよい収入を得られる就職探しを意識することになる。
 学生生活そのものが貧困状態といえる。日本学生支援機構の学生生活実態調査によれば、一四年度の昼間部学生の一日当たりの、住居費を除いた生活費を計算すると千三百十三円、食費はわずか四百六十四円となっている。その結果、上記のように奨学金に頼り、アルバイトに追われ、生活を維持するのが精一杯となっている。社会運動への接近はおろか、書籍を購入する金銭的余裕もなく、サークル活動などに参加するゆとりもなくなってしまっている。
 そもそも日本政府の教育に対する公的支出は、世界最低水準であることを改めて押さえておく必要がある。小学校から大学までの教育機関に対する支出が国内総生産に占める割合は一三年度で3・2%でしかなく、これはOECD(経済協力開発機構)の三十三カ国中、下から二番目という低さである。特に大学など高等教育への公的支出に至っては、最下位だ。
 政府は長年、「子どもの教育は親の責任」として、こうした信じ難いほど貧困な教育予算を維持してきた。しかし親である労働者層も非正規化が進行し、賃金水準が低く抑えられ、上昇する見込みがなくなっている。高校、大学進学をあきらめざるをえない子どもも今後、増加するだろう。そうした労働政策をとってきたのは、ほかならぬ自民党政府なのである。
 こうしたなかで「せめて給付型奨学金の拡充を」と求める声が高まってきたことを背景に、安倍政権は昨年十二月、一八年度から、返還不要の給付型奨学金制度を導入すると発表せざるを得なくなった。ところがその内実をみれば、住民税非課税世帯だけが対象で、給付月額は二万~四万円程度でしかない。かつ、「成績基準をクリアした学生」に限定するとしており、この基準では実際には学生数全体の2%にしかならないだろうと見られている。まさに雀の涙であり、貧困な教育予算そのものは現状維持でごまかそうとするものだ。
 その一方、安倍政権は一七年度の防衛予算を前年度比で1・4%増の五兆一千二百五十一億円とした。五年連続の増額だ。その一部は、大学の軍事研究に回ることになる。「軍事費を削って、教育に予算を回せ!」は学生にとって、労働者にとって、あたりまえの要求だ。それを決して実現しようとしない安倍政権は、打倒するほかない。

  ●3章 戦争国家と総対決する街頭政治行動に立ち上がろう

 アメリカのトランプ大統領による軍事拡大路線に勢いを得て、安倍政権は日米軍事同盟の強化に乗り出した。台頭する中国との軍事的緊張をはらんだ東アジア「包囲網」の形成と、朝鮮民主主義人民共和国の指導部抹殺を視野に入れた、侵略的な日米韓の連携・強化が進んでいる。
 私たち日本の民衆が忘れてはならないのは、近代日本はアジアに対する侵略と植民地支配によって、朝鮮や中国をはじめアジア民衆を支配し二千万人を殺戮の渦に叩き込んだこと、しかしアジア民衆の抗日闘争と米軍の圧倒的な武力によって敗北し、「学徒出陣」で動員された学生を含めて、最後には日本民衆も悲惨な末路をたどったという歴史である。
 本来、被害者への謝罪と賠償をおこない、昭和天皇を筆頭に戦争責任を明確化し、近代日本の総括を踏まえた歴史教育が、戦後ただちに開始されるべきだった。ところが米ソ冷戦体制のもと、日本はアメリカにとって「反共の砦」となり、アジア民衆に対する謝罪と賠償は、経済援助や一片の政府談話で置き換えられた。歴史教育は日本人が受けた被害の側面が強調された。冷戦体制の崩壊後、中国や朝鮮から戦後補償要求が澎湃と高まるのは当然だった。このことに日本政府だけでなく、多くの民衆が向き合ってこなかったことが、現在もなお日韓のあいだの日本軍「慰安婦」制度問題、あるいは日中のあいだの歴史認識問題として存在し続けることになった原因のひとつだ。
 日本会議に支えられた安倍右翼反動政権は、これを反動的に居直り、アジア民衆の要求に対する日本民衆の「反感」を利用して、日米同盟の強化と自衛隊の実戦部隊化に竿さしているのだ。この先にあるのは「いつか来た道」である。
 集団的自衛権の発動としての陸上自衛隊・南スーダン派兵は、海外で自衛隊が武力行使をし、人民殺戮の軍隊へ変貌する第一歩となった。あの一五年安保国会で、「戦争法案絶対反対!」「安倍を倒せ!」と決起した十万人を超える人々の声と行動を傲慢にも踏みにじり、安保法制を強行成立させた安倍政権は、いまや次の段階である憲法改悪へと突き進んでいる。自衛隊が実際に戦闘行為に突入するには、憲法第九条が「障壁」となって立ちはだかっているからだ。
 昨年夏の南スーダンPKO派遣部隊が現地情勢について「首都で戦闘があった」等と記録していた日報が、隠蔽されていた。これが発覚するや、稲田防衛相は「戦闘」と言わず、「憲法九条上の問題になる言葉を使うべきでないから武力衝突と使っている」とあけすけに述べた。安倍政権にとっては、だからこそ改憲をする必要があるとの論理にすり替わるのだ。
 しかしこんなデタラメに満ちた戦争国家づくりに人々はだまされるものではない。今後、一五年安保国会を上回る反戦―反基地運動が高揚することは目に見えている。そのことに身構えて、安倍政権は今国会に共謀罪法案を提出しようとしている。
 これまで三度も廃案となった共謀罪(「テロ等準備罪」)を「オリンピック開催にはテロ対策法が必要だ」として提出しようとしている。しかしマスコミがリークした条文によれば、「テロ」の文言などは入っていない。その本質的な狙いは、「刑法に触れる犯罪の準備段階」から捜査することを合法化し、警察権力にフリーハンドで盗聴などの捜査を可能にさせることにある。思想・表現の自由そのものを侵害し、労働者の団結したたたかいや反戦運動そのものを根絶していく狙いがある。絶対に葬り去り、完全に廃案にしなければならない。
 沖縄では、安倍政権が「本土」から大量の機動隊員を動員して、高江の森を破壊するオスプレイパッド工事を強行している。そして北部訓練場の一部返還式典を開催すると、ただちに今度は辺野古の海の埋め立てに向けた工事を再開させた。二月の日米首脳会談では「辺野古が唯一の選択肢」と確認。沖縄の翁長知事に対しては、公有水面埋め立て承認取り消し裁判で、反動裁判官たちに敗訴判決(昨年十二月)を出させた。それだけではない。沖縄民衆の「これ以上、基地はいらない」の願いや叫び、体を張ったたたかいを抑え込むために、三名を昨年十月以降、連続してデッチあげ逮捕し、不当にも長期勾留し続けている。
 しかし沖縄の人々は「勝つことはあきらめないこと」と不屈にたたかっている。弾圧に対して、国際的な救援の声も受けつつ、二月二十四日、八百人の人々が那覇地裁前に集まり、「仲間を返せ」と断固抗議した。辺野古の海上では船団とカヌーチームがトンブロック投下に抗議し続け、キャンプシュワブ・ゲート前では座り込みで、陸上部分の工事を実力阻止するたたかいが連日、繰り広げられている。
 辺野古・高江に「本土」からもかけつけ、連帯してたたかおう。在日米軍とりわけ海兵隊という殴り込み部隊を沖縄に配置させ、「基地の島」を強要している安倍政権を許すならば、私たち「本土」の学生はこの沖縄差別の構造を黙認することになる。辺野古のたたかいは、この差別的な軍事支配を終わらせるための、沖縄の人々の血叫びの解放闘争だ。このたたかいに応え、学園や街頭で辺野古新基地建設を止めようと粘り強く訴え続けることが今こそ必要だ。
 右翼・排外主義者たちは、安倍政権の意を受けて、沖縄のたたかいを侮辱し、インターネット果ては公共のテレビ放送をも用いて、悪質なデマ宣伝を繰り広げている。絶対に許してはならない。東京都内では、「ニュース女子」なるデマ番組を放送したMXテレビ抗議行動が毎週、取り組まれている。ともに参加しよう。
 安倍政権の戦争国家づくり、沖縄新基地建設に真っ向から立ち向かう「戦争・治安・改憲NO! 総行動実行委員会」は三月、屋内集会と霞が関デモを連続的にたたかっている。戦闘的学生は原則的で国際連帯の質をもった反戦運動に結集して、安倍政権と対決しよう。
 そして沖縄、福島、全国の反基地闘争とならび、たたかう民衆の砦である三里塚へとかけつけようではないか。三里塚では今、反対同盟・市東孝雄さんに対する、農地強奪攻撃が迫っている。一九六六年の自民党政権による空港建設の閣議決定以降、農民は文字通り体を張って空港建設とたたかいぬき、七九年の開港後も、天神峰・東峰をはじめ空港「用地内」農民は空港会社や機動隊と対決し、空港完成を阻んできた。いま市東家が三代かけて育て上げた農地が、詐欺と強権でもって奪われそうになっている。
 三里塚五十年の歴史は常に権力の暴力と騙しとのたたかいだった。市東さんは「農地はわが命」と自宅離れに「決戦本部」をおき、全国に支援・連帯を呼びかけている。深夜早朝に及ぶ離発着制限の緩和、第三滑走路建設計画等、住民の意向を無視して一方的に工事を進めるやり方は、沖縄の米軍基地建設や原発再稼働と同じだ。福島、沖縄と連帯してたたかう三里塚の地に結集し、農地強奪の攻撃を粉砕しよう。



 

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