1492号(2016年11月5日) 政治主張 |
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TPP反対! 改憲阻止! 安倍政権打倒 南スーダンPKO撤退せよ 差別暴言弾劾! 高江工事やめろ 12月岩国行動に結集しよう 十月下旬、沖縄・高江で、オスプレイパッド建設を強行するため投入された機動隊員が、許しがたい差別暴言を吐いた。 工事に抗議している沖縄人民に対し、ある機動隊員は「ぼけ、土人が!」(ママ)と言い放った。別の機動隊員も「黙れコラ、シナ人」(ママ)と罵った。二人はいずれも二十代の大阪府警だ。これらの言葉自体、民族差別と植民地主義にまみれたものであり、言葉を発した機動隊員は徹底糾弾されなければならない。大阪府警の責任も重大だ。しかし、それだけで済む問題ではない。 「本土」に比べ圧倒的な規模の米軍駐留と、日米地位協定、刑事特別法によって沖縄人民は不断に人権を侵害されている。この上、新たな基地建設・強化は認めないと立ち上がった沖縄人民に対し、まさに安倍政権はカネと暴力でもって屈服させようとしている。その構造的沖縄差別の尖兵である機動隊員であるがゆえの差別暴言だ。沖縄人民を差別し弾圧すべき対象として教育を受け派遣されてきた結果だ。安倍政権と国家公安委員会、日本の警察機構が引き起こした事件なのだ。そのことが差別暴言に露わになったということだ。 差別暴言を繰り返しながら暴力工事を進める機動隊を、「本土」人民の責任として撤退させなければならない。全国で機動隊撤収を突き付けよう。高江、辺野古の現地攻防への派遣を集中しよう。 ●1章 南スーダン派兵阻止、戦争法発動を許すな ▼1章―1節 「駆け付け警護」付与を許すな 集団的自衛権行使を容認した「安全保障関連法」=戦争法によって、自衛隊の活動範囲は大幅に拡大した。今まさに安倍政権は、それを実行段階に移そうとしている。南スーダンの国連平和維持活動(PKO)で、十一月中旬以降に派遣する陸上自衛隊の交代部隊(第九師団第五普通科連隊・青森)に、戦争法に基づく「駆け付け警護」と他国軍との宿営地の共同防衛の二つの任務を付与することを狙っている。 防衛相・稲田は十月八日、南スーダンの現地視察をした。わずか七時間の滞在にも関わらず「(治安は)比較的落ち着いている」と強弁した。だが、その当日には首都ジュバ近郊の幹線道路でトラックが反政府勢力に襲撃され市民二十一人が死亡している。 今年七月には政府派と反政府派との間の銃撃戦で、約三百人が死亡。PKOの二カ所の宿営地が銃撃戦に巻き込まれ、中国のPKO隊員二人と国連職員一人が殺害された。さらに十月十五日には北部の都市マラカル近郊で、政府軍と反政府勢力が争い、反政府勢力の兵士少なくとも五十六人と政府軍の兵士四人が死亡している。 もはや「停戦合意の成立」などを前提とするPKO参加五原則が崩壊していることは明らかだ。新任務の付与どころか、PKO参加の根拠そのものが失われているのが現実なのである。にもかかわらず、稲田は「武力紛争が発生したとは考えていない」、七月の銃撃戦も「戦闘行為ではなく衝突だ」として、内戦状態ではないと強弁しているのだ。 安倍政権が、ここまで南スーダンPKO派兵の継続と新任務付与に固執するのはなぜか。ひとつにはこの機に乗じて、「専守防衛」の自衛隊を「海外で戦闘のできる軍隊」へと脱皮させることに狙いがある。 「駆け付け警護」とは、離れた場所にいる国連やNGO職員、他国軍兵士らが武装集団に襲われた場合に武器を持って助けに行くこととされる。その際、戦争法の成立で、自衛隊の武器使用の条件が正当防衛や緊急避難に限られていたのが緩和され、射撃前の警告を撤廃、相手の攻撃がなくても危害を加える射撃が認められた。 さらに、旧PKO協力法で自衛隊が守れるのは自らの拠点だけだったが、戦争法施行後は、他国軍の宿営地の全体を他国軍と「共同防衛」できるようになる。 いずれも憲法九条が禁じる武力行使以外の何ものでもない。 これら新任務に備え、それに対応する即応対処チーム(QRF)が部隊内に設置された。現在、南スーダンにいる自衛隊は道路補修などを担う施設部隊が中心だが(約三百五十人)、QRFはこれと異なり、「駆け付け警護」や「宿営地共同防衛」を担う部隊だ(四十人~五十人程度)。陸上自衛隊幹部は「現場に急行して敵を攻撃し、駆逐できる高い戦闘能力を持たせる」としており、実際にそのための訓練が九月から開始されている。 QRFが設置されるのは今回が初めてではない。二〇〇四年、イラク「復興支援活動」で初めて組織され、機関銃や無反動砲などで武装した隊員でチームを編成し、緊急出動に備えて八台の装甲車両に分乗して待機していた。この時、イラクの武装勢力との直接の交戦はなかったものの、QRFチームとしての実績をイラクで積んだ。新任務が付与されれば、この「経験」をふまえ、PKOの枠内であるとはいえ南スーダンの内戦に自衛隊が軍事介入することになるのだ。 安倍政権は憲法もPKO参加五原則も公然と無視して、自衛隊を「殺し、殺される」事態に置くことで、「海外で戦闘のできる軍隊」へと脱皮させることを狙っている。 われわれは、今後も戦争法廃止・改憲阻止をたたかう。しかしそれは、現実には自衛隊の実戦部隊化=新任務の付与阻止、南スーダン派兵の継続そのものを粉砕するものでなくてはならない。派兵―参戦との対決なくして、憲法だけを論じても意味はないからだ。 ▼1章―2節 内戦状態にある南スーダン 南スーダンがスーダンから分離独立したのは、二〇一一年七月のことだ。南スーダンの「非アラブ系」の世俗主義者が中心となり結成されたスーダン人民解放軍(SPLA)が北部の「アラブ人」主導の政権と内戦をたたかい、南スーダン共和国として独立を勝ち取ると、SPLAは政権与党となった。同年、国連安保理は南スーダンPKOを設置。翌年から陸上自衛隊施設部隊がPKOへの参加を開始した。 独立した地域はアフリカでも有数の産油地域であり、油田をめぐって南北で国境紛争が続いてきた。さらにSPLAの内部抗争が激化し、二〇一三年にはキール大統領がマシャル副大統領を罷免。今年七月の銃撃戦以後、両派の戦闘が激化し、南スーダンは内戦状況に陥った。こうした状況を受け、国連安保理は八月十二日、南スーダンPKOについて、強い権限を持つ「地域防護部隊」四千人を追加派兵する決議案を採択した。これでPKO部隊は、最大一万七千人規模の兵力となる。 この決議案を提起したのはアメリカ政府だ。南スーダンの代表は「我々の視点を検討すらしていない決議を拒絶する。主要な紛争当事者の同意というPKO原則に反している」と反対し、ロシア、中国、エジプト、ベネズエラの四カ国が棄権したが、賛成多数で採択された。ベネズエラ代表は、受け入れ国の同意なしに地域防護部隊を配備すれば「現地情勢をさらに緊張させ、暴力的にしかねない」と警告した。 地域防護部隊は首都ジュバとその周辺に展開し、「内戦から国連施設や住民を防護するのが使命」とされるが、地域防護部隊は、相手が南スーダン政府軍であろうと、先制攻撃も可能な武力行使に踏み切る権限を与えられている。南スーダン政府は地域防護部隊の受け入れに反対し続けたが、九月三日、国連安保理の大使が武器禁輸措置を圧力に受け入れを認めさせた。 地域防護部隊の投入は、米政府の強い意向が働いている。アメリカは中国のアフリカ進出を睨み、南スーダンの石油利権の確保のために内戦に介入しようとしている。安倍政権が南スーダンPKO派兵に固執する、もうひとつの理由がここにある。アメリカ政府の意向を受け、アフリカの資源獲得競争のために自衛隊を活用することが、隠された狙いなのだ。 そのような帝国主義の利権争奪のために、自衛隊員を「殺し、殺される」状況に叩き込む南スーダンPKO派兵を、断じて許してはならない。 ▼1章―3節 派兵阻止闘争に立ちあがろう 十月二十三日、陸上自衛隊・朝霞駐屯地(東京都練馬区、埼玉県朝霞市等)において、自衛隊最大の軍事パレード「観閲式」が行なわれた。安倍首相が最高司令官として自衛隊員に訓示し、南スーダン派兵や「対テロ」戦争への出動に向け、自衛隊員を鼓舞した。 安倍は、臨時国会冒頭の所信表明演説で、「今この瞬間も海上保安庁、警察、自衛隊の諸君が任務に当たっている。心から敬意を表そうではありませんか」と声を張り上げ、自民党議員にスタンディングオベーションを促した。 安倍は観閲式で自衛隊員を前に戦争法にもとづく新任務の意義を強調した。自衛隊員を内戦の地―南スーダンへ送り出する攻撃だ。 観閲式では約四千人の陸上自衛隊員、戦車や攻撃用ヘリコプターなどが参加した。許しがたいことに、米海兵隊のオスプレイが初めて「祝賀飛行」をおこなった。日米軍の一体化を見せつけ、来年のオスプレイ横田基地配備にはずみをつけようというのだ。 二十三日当日、「やめろ!軍事パレード 行くな!南スーダン 自衛隊国軍化を許さない! 朝霞デモ実行委員会」が呼びかけて、朝霞駅出発のデモをたたかった。観閲式への抗議の声をあげ、派兵阻止の意志を突き付けた。 防衛省に抗議し、「申し入れ書」を突き付けるなど、直接行動を展開しよう。自衛隊内部では、「海外での武力行使」への不安や安倍政権に対する怒りが渦巻いている。自衛隊員に対し、出兵拒否を呼びかける取り組みも必要になる。南スーダン派兵阻止を連続的にたたかおう。 ●2章 高江暴力工事阻止のさらなる闘いを ▼2章―1節 「年内完成」主張する官房長官・菅 安倍政権は「本土」から機動隊を大量に動員し、高江のオスプレイ・パッド工事を暴力的に推し進めている。 九月二十六日の所信表明演説で安倍は「日米同盟は不変の原則」であり、沖縄の北部訓練場の「返還」のためヘリパッド建設を進めるとし、「もはや先送りは許されない」と言い切った。 十月八日には官房長官・菅が自衛隊ヘリコプターで上空から北部訓練場を視察した。連日、沖縄民衆が不屈に阻止闘争をたたかいぬいていることを尻目に、菅は「順調に工事は進んでいる」とうそぶいた。そして地元の東村、国頭村の村長との会談では、なんとしても工事を年内に完了するとの決意を述べている。 完成の「タイムリミット」は、特別天然記念物ノグチゲラの繁殖期(三月~六月)までであることから、二月と見られていた。それが「年内完成」を急ぐのは、一月の米大統領交代までに完成させて、辺野古新基地建設にもはずみを付けたいという思惑だろう。絶対に許すな。 ▼2章―2節 沖縄差別判決との対決 九月十六日、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)は、辺野古の埋立承認取り消しをめぐる裁判で、完全に国側の立場に立った許しがたい判決を下した。司法による沖縄差別判決である。翁長知事は「県民の気持ちを踏みにじる、あまりにも国に偏った判断だ。裁判所が政府の追認機関であることが明らかになり、大変失望した」と述べ、九月二十三日、迷うことなく最高裁へ上告した。上告の理由について沖縄「県」は、「憲法が保障する地方の自治権を侵害している」、新たな基地が建設されれば「基地の過重負担が将来にわたって固定化される」として、民意に反して建設を強行することは違憲だとしている。 「オール沖縄会議」の高里鈴代共同代表は、「失望と怒りがあるが絶望はしていない。憲法や地方自治を尊重するべき司法が国の代弁者となった。長い間差別を受けているわれわれは決して(判決を)受け入れない」と批判した。 最高裁判決は来年一月にも出されるとみられるが、どのような判決が出されようとも、翁長知事は「あらゆる手段で阻止する」姿勢であり、稲嶺進名護市長も「不当な判決には屈しない。最高裁やその後もたたかい続ける、絶対に負けない」と決意している。 ▼2章―3節 辺野古高江現地の支援を 高江では七月の暴力的なN1テント撤去以降、警視庁、大阪府警など各県から動員された五百名以上の機動隊員が、文字通り安倍政権の尖兵として立ち振る舞っている。 これに対し、沖縄民衆と「本土」から駆け付けた支援者は連日、体を張って阻止闘争に決起している。「命の森を守れ」を合言葉に、集中行動日を設けてゲート前を座り込みで封鎖、工事車両の侵入を阻んできた。さらには、「北部訓練場」と米軍が勝手に命名した、希少生物の宝庫であり沖縄の水がめでもある森のなかに入り込み、作業をくりかえし中断させる直接行動をうちぬいている。 七月以後、権力・機動隊は不屈の抗議行動におそれをなし、不当逮捕を乱発している。九月にはN1ゲートに続く県道で、土砂を満載したダンプカーを進ませないたたかいをしていた二名の仲間に「往来妨害罪」を初適用して逮捕・勾留した。さらに十月十七日、現場リーダーをデッチあげ逮捕した。狙い撃ち逮捕であり、たたかいを委縮・混乱させようとする弾圧だ。 不当逮捕や機動隊の暴力だけではない。違法な自衛隊ヘリの投入、事前協議なしの立木の伐採、長時間の道路封鎖・不当検問、ダンプカーの荷台に二十数人の機動隊員を載せて移動、砂利を運ぶダンプカーの法令違反。これらはすべて、「年内完成」をぶちあげた菅の厳命のもと、沖縄防衛局と警察が連携し、何が何でも工事を進めるためにおこなわれている。 高江の工事を阻止することは、辺野古の埋立阻止ともつながっている。最高裁の判決は年内か、来年一月とされるが、高江の工事を阻止し続ければ安倍政権は辺野古工事を再開できない。 辺野古の攻防は「県」と国の法廷闘争で進行がストップしているが、何よりもたたかいの現場、辺野古の阻止行動が確固として維持されていることが闘争の支えになっている。今もなお、ゲート前テントならびに浜のテントは不屈に維持されており、海上でも工事の進捗状況が常時、監視されている。六月、元海兵隊員による女性殺害事件が発覚して以降、「海兵隊の撤退」は沖縄全体のスローガンとなっており、ゲート前ではたびたび米軍車両の外出を阻止するたたかいが繰り広げられている。ここで防衛省が「陸上部分の工事再開」に動き出そうものなら、ただちに阻止行動が再開するだろう。 今こそ高江へ、辺野古へ! 全国から派遣を集中させよう。高江オスプレイ・パッドの「年内完成」を阻止しよう。「本土」では機動隊の撤収を要求し、高江の暴力工事とその狙いを徹底的に暴露し、安倍政権を糾弾する運動を大衆的に広げよう。首相官邸、防衛省、都府県警、工事業者に対する抗議、弾劾の声をたたきつけようではないか。 ●3章 プロレタリア国際主義貫く反戦闘争を 十一月六日、「やめろ!南スーダン派兵 つぶせ!共謀罪 沖縄新基地建設を許さない! 戦争も改憲もNO!」のスローガンを掲げた新宿デモがおこなわれる。伊勢志摩サミット反対運動をひきつぎ、この間、原則的な反戦・反基地運動、治安管理の強化に反対する仲間が結集し、首都圏の広範な共闘関係を築き上げてきた。われわれは、「安倍たおせ!反戦実」の仲間とともに、新宿デモの一翼を担っていく。 十一月南スーダン派兵阻止闘争、沖縄―高江のオスプレイ・パッド暴力工事阻止闘争から、安倍政権の戦争国家づくりと正面から対決しこれを打倒する展望を切り拓こう。新宿デモの成功をかちとろう。 いま韓国では労働者が怒りのストライキに澎湃と立ち上がっている。民主労総は鉄道労組のストライキをはじめとして、成果年俸制導入を軸とする新自由主義攻撃と激しくたたかい、十一月民衆総決起大会へ突き進んでいる。同時に、在韓米軍のTHAADミサイル配備に抗し、星州住民は徹底抗戦・実力阻止のたたかいに入った。反戦反基地、労働者の国際連帯のたたかいとして、AWC日本連は十一月派遣団を準備している。プロレタリア国際主義の具体的実践として、日韓労働者民衆の連帯を推し進めよう。 十二月十日~十一日、岩国市で「二〇一六岩国行動」が開催される。 来年、厚木からの空母艦載機五十九機の移駐、最新鋭ステルス戦闘機F35の配備、そしてこれに伴う米軍住宅建設が進んでいる。まさに岩国基地は東アジア最大の米海兵隊基地へと変貌しようとしている。 これとたたかう岩国住民との連帯をさらに推進し、日米軍事同盟強化の要である岩国基地強化を断固粉砕しよう。多くの労働者民衆、とりわけ反戦をたたかう労働者、反基地運動を担う人々はともに岩国行動へ結集しよう! |
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