共産主義者同盟(統一委員会)


1488号(2016年9月5日) 政治主張






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  高江の工事と弾圧をやめろ!

  経産省前テント強制撤去弾劾

  




 全国でたたかいぬいている同志・友人の皆さん!
 安倍右翼反動政権の戦争・改憲と対決する今秋期闘争に全国で立ち上がろう。七月参議院選挙の勝利を梃子(てこ)に、安倍政権は内閣改造・党役員人事を行い、戦争法の発動と改憲攻撃をより一層強めてきている。
 第三次安倍政権の閣僚は、公明党の石井を除く全員が神社本庁を母体とする神道政治連盟国会議員懇談会か日本最大の右翼団体・日本会議に属している。幹事長に就任した二階は、総裁任期の延長論者で、憲法改悪を見据え二〇一八年の任期の延長を狙う安倍の意を受けている。第三次安倍内閣は、まさに両院での過半数支配をもって戦争・改憲攻撃に突き進む右翼反動政権に他ならない。
 戦争法の制定は、米軍と一体となった中国・朝鮮民主主義人民共和国(以下共和国)に対する軍事包囲体制の強化と海外自衛隊の武力行使策動となって表れている。安倍政権は、環境権の新設など前面に出し、九条改悪と緊急事態条項の新設を隠しながら、現憲法の抜本的な改悪に向けた地ならしを、憲法審査会の議論から始めようとしている。
 戦争法の発動と改憲を通して「戦争する国」への階級支配再編に突き進む安倍政権と徹底的にたたかわなくてはならない。
 安倍政権の暴走に、差別軍事支配からの解放をかけて島ぐるみでたたかう沖縄人民が立ちふさがっている。沖縄人民の決起に応える「本土」労働者階級人民のたたかいが問われている。安倍政権は現在、総力で沖縄に襲いかかり、高江ヘリパッド建設強行・辺野古新基地建設工事再開を力ずくで進め、沖縄人民に屈服を迫っている。沖縄人民に連帯し、安倍政権の沖縄つぶしを何としても打ち砕かなくてはならない。
 沖縄現地派遣を地域・職場・学園でくり広げよう。同時に「本土」における反戦反基地闘争の推進、安倍政権打倒闘争に立ち上がろう。
 反帝国主義に基づいた左派勢力の結集と、反帝国際連帯を貫くアジア共同行動とを結合してたたかおう。二〇一六岩国行動の成功のために全国で奮闘しよう。
 反原発闘争を推進し、福島切り捨てと対決しよう。安倍政権は、川内原発に続いて八月十二日伊方原発の再稼働を強行した。川内・伊方原発の即時停止とさらなる再稼働を阻止するためにたたかおう。
 反原発運動の拠点―経産省前テントひろばの急襲・撤去を弾劾する!
 福島では、除染作業による一時的な線量の低減を理由にして、避難住民の帰還が強制されている。福島切り捨てを許してはならない。

 ●第一章 戦争・改憲攻撃と対決しよう

 安倍政権の改憲攻撃を打ち砕かなければならない。
 七月十日投開票の参議院選挙では、自民党が五十六議席、公明党が十四議席を獲得し、おおさか維新の会などを加えた改憲勢力は、非改選勢力とあわせて参院の三分の二(百六十二議席)を超えた。これで衆参両院で改憲勢力が、改憲発議に必要な三分の二を占めたことになる。安倍首相は、かねがね「(改憲を)在任中に成し遂げたい」と明言してきたが、七月十日のインタビューでは「(憲法改定へ)橋がかかったと思う」「これからは憲法審査会においていかに与野党合意案をつくっていくかだ」と述べ、翌日十一日の記者会見では野党時代につくった自民党草案をもとに議論を主導する、と一層踏み込んだ発言をおこなっている。
 二〇一二年の自民党改憲草案とは、天皇を国家元首とし、「日の丸・君が代」を国旗・国歌と規定、九条を解体する自衛権の明記と国防軍の保持、「公益及び公の秩序」による基本的人権の制約、憲法改正要件緩和、緊急事態条項の新設など徹頭徹尾天皇制と国家を重視し、侵略反革命戦争の制約を取り払い、労働者人民の基本的人権・諸権利を制約する草案である。まさに現憲法を根底から破壊する、戦争国家の憲法そのものだ。こんな草案を基にした憲法改定論議など断じて許すわけにはいかない。粉砕あるのみだ。改憲阻止の全人民政治闘争を全国で組織しよう。
 そもそも今回の参院選で安倍政権が一定の支持を受けてはいるが、安倍政治とたたかう沖縄・福島では現職大臣が落選した。TPP推進・農業きり捨てに怒る東北では、秋田を除く青森、宮城、岩手、山形、福島の五県ですべて自民党は敗北している。新潟、長野でも野党が勝利した。さらに川内原発の立地する鹿児島知事選では、原発推進の現職知事が落選している。辺野古新基地建設、福島原発事故と復興、TPPが大きな争点となったところでは、すべて安倍政権は敗北している。安倍政治の暴走と対峙する人民のたたかいの現場では、安倍政権を打倒する人民の力がはっきりと示されている。
 改憲と一体に、戦争法の発動も安倍政権は着々と進めている。その一つとして、南スーダンPKO(国連平和維持活動)に派遣されている陸上自衛隊部隊約三百五十人に、PKO要員やNGO(非政府組織)関係者が襲撃された際の「駆けつけ警護」と、宿営地が襲撃された際に他国軍とともに対処する「宿営地共同防護」の新たな任務を付与しようとしている。防衛省の内部文書では、自衛隊員の戦死、武装集団の「狙撃・射殺」を想定していることが明記されている。
 南スーダンでは七月、大統領派と前副大統領派による内戦が再発し、昨年八月の和平合意は崩壊している。すでに大使館職員などほとんどの邦人は避難している。自衛隊も宿営地に退避しているが、宿営地にも着弾する事態になっている。それにも関わらず安倍政権は、「(紛争当事者間の停戦合意など)PKO参加五原則が崩れたとは考えていない」(菅官房長官)と派兵を継続し、交代で十一月に派兵される部隊に、「駆けつけ警護」と「宿営地共同防護」の新任務を付与し、海外での武力行使=戦争に踏み出そうとしているのだ。
 国際平和、国際貢献を前面に押し出し南スーダン派兵を継続する安倍政権の狙いは、自衛隊を他国人民を殺すことのできる軍隊へと転換させることだ。
 新任務の付与反対、海外での武力行使阻止、自衛隊部隊の撤退を掲げ断固としてたたかわなくてはならない。

 ●第二章 左派結集、反基地運動、AWC運動を推進しよう

 今年前半期においてわれわれは、安倍首相が議長となって開催された先進国首脳会談・伊勢志摩サミット反対を掲げ、首都圏と関西において、「対テロ」戦争弾劾・治安弾圧体制の強化反対と帝国主義批判を基軸に、左派結集による実行委員会を形成し、東京と大阪での集会・デモをたたかった。
 この成果を引き継いで、安倍政権の戦争・改憲とたたかう左派結集を実現していこう。共産党など議会内政党の戦争法反対運動は、帝国主義批判・民族排外主義批判が決定的に抜け落ちていた。安倍の戦争は、中国や共和国の脅威の煽動、領土ナショナリズムの鼓吹と一体だ。
 安倍政治は、敗戦帝国主義の制約を突破し、戦争のできる帝国主義を目指し、戦争のできる軍隊と国内階級支配づくりを目指している。左派こそが安倍政治の暴走を根底から批判し、民族排外主義と対決しなければならない。
 戦争と改憲に突き進む安倍政権と対決する反基地運動を全国でたたかいぬこう。戦争法体制の下、「本土」においても米軍基地の強化、日米軍事一体化が進行している。地域住民と結びつきながら、反基地運動を展開していかなくてはならない。
 東京の米空軍横田基地には、空軍仕様のCV22オスプレイが二〇一七年後半に三機、二一年までに七機を追加配備する計画が明らかになっている。オスプレイとともに特殊作戦部隊が配備される。米軍の中国をにらんだ再均衡戦略の一環であり、横田基地にいる自衛隊との一体化も狙われている。
 部隊の配備によって訓練が始まり、欠陥機オスプレイが基地周辺を飛び回り、騒音被害をもたらす。横田基地のオスプレイ配備反対、米軍撤退・基地の返還を地位住民・労働組合の仲間とともにたたかおう。
 神奈川にある座間基地、また厚木基地、横須賀基地も米軍再編の中で強化されてきた。厚木基地は、オスプレイの訓練拠点としてその飛来が常態化している。横須賀基地も、米海軍第七艦隊の母港として米軍の侵略反革命戦争の出撃拠点となっている。二〇一五年には米海軍の最新鋭原子力空母ロナルド・レーガンが配備された。
 神奈川の反基地運動を断固としてたたかわなくてはならない。
 関西では、京丹後市の経ヶ岬Xバンドレーダー基地撤去闘争をたたかおう。Xバンドレーダー基地は、関西における初めての米軍基地として地元住民の反対を無視して建設が強行され、二〇一四年十二月に運用が開始された。Xバンドレーダーは、日米のミサイル防衛体制のなかで共和国や中国の弾道ミサイルの探知・追尾を行なう。
 京都や大阪において、基地建設反対のたたかいを地元住民、関西の市民運動・労働組合の人々とともにたたかいを進めてきた。日米軍事態勢の強化を許さないという観点から、沖縄や韓国、岩国とも共闘してきた。基地建設は強行されたが、現在は基地撤去闘争を始まりとして、決意も新たにたたかいを継続している。基地の運用開始にともない、レーダーの騒音問題、米兵・軍属の交通事故など地元住民の安全・安心な生活を侵害する事態も起こっている。これからも地元住民・諸人民の基地撤去にむけた粘り強いたたかいを支援していこう。
 アジア共同行動の仲間とともに岩国基地大強化に抗する二〇一六岩国行動の成功をかち取ろう。
 アジア共同行動は、空母ロナルド・レーガンの艦載機五十九機の移駐、レーダーに捕捉されにくく垂直離着陸ができる最新鋭戦闘機F35Bの配備、基地の強化に伴う米軍住宅建設に反対し、十年前から岩国市民とともに反基地運動に取り組み続けてきた。
 大強化された岩国基地が、アジアを見据えた米軍の侵略反革命戦争の拠点となると看破し、アジア人民連帯、反帝国際連帯の実践的具体的課題と設定したたかいを積み重ねてきた。このたたかいの意義を継承し、決してあきらめることなく、岩国市民とともに反対運動を支援しなくてはならない。
 岩国基地は、岩国市民をだまし討ちにした滑走路沖合移設によって大幅に拡張され、空母艦載機やF35Bの配備によって米軍機約百三十機、米軍関係者一万人を擁す、嘉手納基地とともに東アジア最大の米軍基地に強化されようとしている。
 アジア共同行動は、二〇一六岩国行動を呼び掛けている。この呼びかけに応え、全国から岩国に結集しよう。

 ●第三章 辺野古新基地建設粉砕、高江ヘリパッド建設阻止

 七月十一日、参院選挙の翌日、安倍政権は沖縄の民意を踏みにじり、米軍北部訓練場内のヘリパッド建設に着手した。沖縄防衛局は、国頭村安波のN1地区に二つのヘリパッドを建設するための資機材を基地内に搬入し、工事に向けた書類を県に提出した。二十二日には、警視庁をはじめ全国から動員した機動隊五百名、沖縄県警機動隊三百名などを投入し、N1ゲート前に工事強行を阻止するために座り込む人々を力ずくで排除し、テントや駐車車両を強制撤去し、工事車両を搬入した。米軍占領下での「銃剣とブルドーザー」による基地建設と同様の許しがたい暴挙だ。高江の現地で、機動隊の暴力に決して屈することなくたたかいぬいている沖縄人民・全国から駆けつけた人民と連帯して、工事強行を阻止するためにたたかわなくてはならない。
 機動隊の強制排除によって救急搬送される負傷者も出ているし不当逮捕も続いている。機動隊による過剰警備・弾圧を徹底的に弾劾しなければならない。沖縄に派遣されている全国動員の機動隊の撤退をたたかおう。沖縄現地への派遣に取り組もう。沖縄連帯・安倍政権の工事強行を弾劾する大衆行動を職場・街頭・学園でたたかおう。
 高江のヘリパッド建設は、一九九六年日米特別行動委員会(SACO)最終報告に北部訓練場の一部返還と引き換えに盛り込まれ、防衛省は六カ所のヘリパッド建設を計画している。すでに二〇一五年二月に高江集落に最も近いN4地区の二カ所のヘリパッドは米軍に提供され、MV22オスプレイの離着陸訓練が繰り返されている。この訓練によって高江住民は耐えがたい騒音、墜落の恐怖に苦しめられている。今年六月中旬からは連日、夜間まで離着陸を繰り返している。東村ではこの夜間訓練の騒音の影響で児童生徒が睡眠不足になり、学校を欠席する事態が起きている。この事態を受けて東村議会は、N4の使用禁止を求める決議を全会一致で可決したが、米軍は決議翌日にも離着陸を強行している。
 新たなヘリパッド建設を絶対に許してはならない。高江では、機動隊の力ずくの排除で、N1ゲートのテントの車両は撤去されたが、粘り強く工事車両を搬入させない攻防が連日たたかわれている。現在はヘリパッド建設現場まで通ずる建設道路のための砕石を積んだダンプ搬入とのたたかいが続いている。たたかいはまだまだこれからだ。ヘリパッド建設を、沖縄人民とともに粉砕しよう。
 高江ヘリパッド建設強行と一体に、七月二十三日、安倍政権は辺野古新基地建設を再開させるために、翁長知事が、埋め立て承認取り消し撤回を求めた国土交通大臣の是正指示に従わないのは違法だとして、沖縄「県」を相手取る違法確認訴訟を提訴した。
 この訴訟では、沖縄「県」が申請した名護市長や安全保障、環境の専門家ら八人の意見陳述は認められず、わずか二回の弁論で結審が強行され、九月十六日に判決が出される。翁長知事は最終弁論で「このような事態が繰り返されると、日本の民主主義・地方自治は今後困難を極める」と司法の拙速審理を批判している。翁長知事の埋めたて承認取り消しの適否と、その後に国が出した是正指示に応じない沖縄「県」の対応が「違法な不作為」に当たるか否かの争点にかかわる本質的な議論をしないまま結審を強行した福岡高裁那覇支部を弾劾する。
 安倍政権は沖縄の抵抗を叩き潰すために、沖縄振興予算と基地建設の進捗をリンクさせ、予算減額を持って沖縄を締め上げる攻撃にも出てきている。内閣府の二〇一七年沖縄関係予算の概算要求額は三千二百十億円で、このうち本来国の予算で措置すべき那覇空港滑走路増設と沖縄科学技術大学院大学関連分を除けば三千億円を大きく割り込む。
 菅官房長官は、これまでの発言を一変させ、会見で基地と予算のリンクを明言し、沖縄を屈服させる新たな手法としていこうとしている。オール沖縄を分断し、切り崩す攻撃だ。
 安倍政権は、総力で沖縄の抵抗を叩き潰し、日米軍事同盟の拠点として差別軍事支配を貫徹する攻撃に出てきている。われわれは、差別軍事基地支配からの解放をかけてたたかう沖縄人民が、安倍右翼反動政権との歴史的な攻防に立ち上がっていることを痛切に自覚して、沖縄人民とともにたたかいぬかなくてはならない。沖縄人民の自己解放闘争を共にたたかうことは、「本土」労働者階級人民自身の責務であり、労働者階級解放の事業であることを確信としてたたかいぬこう。

 ●第四章 原発再稼働阻止、全原発の停止・廃炉を

 安倍政権は八月十二日、昨年の川内原発再稼働に続いて、愛媛の伊方原発三号機の再稼働を強行した。徹底的に弾劾しなければならない。
 再稼働を強行する安倍政権の狙いは、核武装総力の保持のための原子力産業の維持、国家にたて突く反原発運動の解体だ。
 地震と津波によって全電源を喪失し、炉心溶融し膨大な放射能を拡散させ、福島を取り返しのつかない放射能汚染地域にしまった福島第一原発事故から、何らの教訓を学ぶことなく、原発を推進する安倍政権、原子力利権に群がる勢力を打倒しなければならない。
 安倍政権は躍起となって再稼働を策動しているが、再稼働阻止のたたかいは全国で拡大している。核と人類は共存できないという事実を、福島第一原発事故の甚大な破壊と犠牲を通して労働者人民は学んだのだ。
 今後も再稼働が画策される原発現地における闘争への決起、各地の反原発行動への参加を闘っていこう。



 

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