共産主義者同盟(統一委員会)


1485号(2016年7月5日) 政治主張






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  戦争と治安弾圧、改憲攻撃を打ち破れ!

  伊方原発再稼動阻止・川内原発停止せよ

           


  ●第1章 米軍基地撤去! 沖縄人民の怒りが爆発

  ▼1章―1節 女性殺害に抗議する6・19県民大会


 「怒りは限界を超えた」「海兵隊は撤退を」。
 六月十九日に開催された「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾! 被害者を追悼し海兵隊の撤退を求める県民大会」(主催:オール沖縄会議)で六万五千人の参加者が掲げたプラカードに書かれた言葉である。この言葉に象徴されるように、今回の県民大会では日本政府による一貫した沖縄への差別政策への怒りと米軍関係者による事件を二度と起こさせない決意が、従来の基地の「整理縮小」から大きく踏み込んだ「海兵隊の撤退」を日米両政府へ突きつける通告という形で表された。これは米軍が引き起こした事件・事故のたびに繰り返される「綱紀粛正」「再発防止」の口約束などなんの解決にもならないという沖縄人民からの痛烈な批判でもある。
 同時に、参加者は黒など哀悼の意を表す色を身につけ参加し、今回の事件の被害者に対する深い哀悼の思いと「守れなかった命と尊厳」への悔いの念が会場を満たした。今回の事件で、沖縄の人々、特に女性たちもまた大きく傷つけられ、混乱し、無力感にさいなまれた。今大会に先立つ五月二十二日に女性たちを中心として行われたサイレント・デモでは、大きな声でのシュプレヒコールもなく、突き上げる拳もなく、黒衣を身に着けただ静かに基地のゲート前に集まり、涙を流した。そのような姿に、沖縄の人々が感じる怒りと悲しみがいっそう如実に表現されていた。
 この大会においても、多くの登壇者は、悲劇が繰り返されたことへの悔しさと自責の念を述べ、そうであるからこそ、次の被害者を出さないために自分自身の問題として引き受け、海兵隊の撤退と普天間基地の封鎖・撤去、新基地建設拒否のたたかいを続けていく決意が誓われた。

  ▼1章―2節 米兵・軍属による犯罪事故は無くならない

 今大会の決議には具体的な解決策として海兵隊撤退と基地撤去が盛り込まれた。それによって超党派の枠組みが組めなかったとしても「この問題であいまいな立場になるつもりはない」(主催団体)とこの要求を取り下げなかったことは、米軍人・軍属による事件・事故への根本的解決から目をそらし、小手先の対策でお茶を濁そうとする日米両政府への強い憤りと「二度とこのような悲劇を繰り返させない」という沖縄の人々の決意の表明であった。
 この現実を突き付けられてなお、超党派の取り組みでなかったことを理由に日本政府は「県民の総意」ではないとし、影響は小さいかのようにみせるために躍起である。しかし、先日の沖縄「県」議選での与党の勝利と合わせてみても、圧倒的多数の沖縄人民が翁長知事を支持し、「オール沖縄」を支持し、基地の撤去と新基地建設反対を強く要求していることは明らかだ。このような日本政府の、民意を無視しようとする振るまいこそが、沖縄への差別・抑圧政策に他ならない。絶対に許せるものではない。

  ▼1章―3節 県民大会に呼応する6・19大行動

 登壇者の発言や新聞掲載の大会参加者へのインタビューでは、日米政府に対すると同時に、無関心を決め込み沖縄の現状と痛みを知ろうとしない「本土」の私たちに向けた怒りと、わかってほしいという願いも多く述べられている。今回の事件をわが事として受け止め、被害者と被害者家族と共に痛み、「もう繰り返させない」と決意する沖縄人民に、「本土」の私たちはどこまで寄り添うことができているのか。どう応えていくのか。私たち自身にも深く鋭く問われている。
 この日、沖縄での県民大会に呼応し、全国四十一都道府県、六十九か所で心を同じくする集会が開催された(県民大会事務局発表)。
 国会前では「戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動」と「止めよう! 辺野古埋め立て国会包囲実行委員会」の共催による「怒りと悲しみの沖縄県民大会に呼応するいのちと平和のための6・19大行動」が開催され、およそ一万人が結集した。
 沖縄からの発言として登壇した沖縄平和運動センター事務局長の大城悟氏は、地元紙の百人の若い人の顔写真を掲載した「あなたは、私だったかもしれない」という記事を紹介して、誰でもが犠牲者になり得る沖縄の実情を訴えた。また、読谷村出身の女性は「沖縄の人間は戦後七十年間、空からトレーラーが降ってきたり、いつも変わらぬ恐怖の中にいる。でもこれまで沖縄のたたかいは負けたことがない。沖縄は勝つまでたたかう」と宣言した。
 いまや、沖縄人民の悲しみと憤怒は、米軍基地の全面撤去という日米政府との非和解的なたたかいとして燃え上がっている。
 裁判上の「和解」によって中止されている辺野古新基地建設工事を再開することを絶対に許してはならない。そして、まずもって普天間基地の即時無条件閉鎖・撤去をたたかいとらなければならない。
 安倍政権が日米同盟の要として位置づけて沖縄差別軍事支配を強める中にあって、まさに「辺野古を止めれば安保は変わる」(沖縄平和運動センター議長・山城博治氏)のだ。沖縄反基地闘争から軍事同盟と戦争、改憲攻撃を突き崩していこうではないか。

  ●第2章 戦争と改憲に突き進む安倍政権打倒

  ▼2章―1節 緊急事態条項の新設狙い改憲へと突き進む安倍政権


 伊勢志摩サミットとオバマ大統領の広島訪問を「無事に」乗り切った安倍首相は、その「成果」を携え、六月から参院選挙に向けた遊説活動を開始した。安倍は街頭演説において「アベノミクスを加速するか、後戻りするかが参院選の最大の争点だ」などと、経済政策を選挙の争点にしようと躍起になっている。その一方で、隅に追いやっているのが改憲問題であるが、安倍がこれを諦めているわけでは決してない。
 先の総選挙でもアベノミクスを連呼して、戦争法制などないもののように扱いながら、その後強行採決によって成立させたことを考えれば、今回も改憲からの争点隠しごまかしであることは明らかである。
 悪名高い緊急事態条項をはじめ、人権さえおろそかにする改憲の中身を多くの人が知らされないまま憲法改悪のための選挙を行おうというのだ。このようなごまかしを許してはならない。
 自民党の憲法改正草案の九十八条・九十九条に盛り込まれている緊急事態条項は、国会にはからずに内閣のみで「緊急事態」を宣言し、立法を行い、国民の権利を制限できるという危険極まりない法案である。憲法で権力を縛る立憲主義は破壊され、三権分立や国会中心主義などの原則は停止してしまうだろう。基本的人権さえ「保障」されるのではなく、「最大限に尊重されなければならない」とされるのみなのだ。国会の事後承認が盛り込まれているものの、そもそも今のような与党多数の国会では何の歯止めにもならないことは明白だ。
 安倍政権・自民党はこれによって災害時の救助や復興などが迅速にできるようになる、人権制約は考えていないなどと吹聴しているが、災害は賛成を得るための口実に過ぎない。
 真の狙いは、戦争法とセットで通信傍受や「テロ容疑者」拘束のための強制手段を拡大させ、政府批判の言論への統制を一気に強化して、事実上の戒厳令を敷くことにある。また、災害時での発令でさえ、政府の都合の悪い情報を隠す情報統制に使われる可能性がある。東日本大震災時の福島第一原発の事故でさえも、この法律が成立してしまえば、「なかったこと」にすることが可能だ。

  ▼2章―2節 「アベノミクスの加速」を労働者人民は望んでない

 安倍は六月一日、「新興国や途上国の経済が落ち込んでおり、世界経済が大きなリスクに直面している」ことを理由にして消費増税再延期を決定した。自らの失政をごまかし、「これまでの約束とは異なる新しい判断だ」と強弁した。「アベノミクスによるデフレ脱却」がまったくデタラメだということはすでにはっきりしている。「アベノミクス」は「加速」すればするほど貧困と格差は拡大するのであり、これ以上の「加速」を労働者人民は誰も望んでいない。
 安倍が成果としてたびたび持ち出している、求職者にたいする求人の割合を示す有効求人倍率の上昇は、その求人のほとんどが非正規という、雇用破壊の実態そのものである。大企業のもうけと内部留保は急速に増えても、労働者の実質賃金は二〇一一年度から五年連続の減少で、5%も下がっている。国内総生産(GDP)の統計で見た個人消費も二年連続のマイナスだ。雇用を破壊し、労働者人民に低賃金長時間労働を強い、その上さらに増税してきたからこそ需要は伸びないのである。本当に労働者人民の生活を憂うるならば、消費税率を引き下げればよいし、法人税率を引き上げて、輸出産業の収益や富裕層の資産がタックスヘイブンに移動するのを厳しく取り締まればよいのだ。

  ▼2章―3節 安倍打倒の反帝闘争の前進を

 私たちは、これ以上、安倍政権にだまされてはならない。私たちの生活を破壊し、改憲と戦争に突き進む安倍政権に明確なNOを突き付けていこう。秘密保護法、国家安全保障会議設置法、そして戦争法の成立を強行し、ついに改憲に着手しようという安倍晋三に対して、これまでとは桁違いの労働者人民の決起が国会前で、そして全国各地で起こってきた。安倍政権を追い詰め、打倒していくのは、そしてそうであるが故に安倍自身が最も恐れているのは、この労働者人民の力である。
 公約がいともたやすく反故にされ、もはや「議会制民主主義」が腐れ落ちた今、選挙での投票行動だけでは私たちの命と生活を守ることはできない。議会制民主主義は、直接民主主義の確立が担保となってはじめて機能するのだ。反戦・反基地闘争、反原発闘争、反差別闘争など街頭から安倍政権を打倒していく反帝闘争をこそ、拡大させていかなければならない。

  ●第3章 日米韓の朝鮮戦争準備を許すな

  ▼3章―1節 日米韓三軍によるミサイル防衛訓練弾劾


 六~八月に開催される環太平洋合同演習(リムパック)直前の六月二十八日、ハワイ沖で日米韓三カ国は、それぞれ保有するイージス艦を出動させ、朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)のミサイルを探知・追跡するミサイル警報訓練を強行した。米国防省によれば、この訓練は日米韓が二〇一四年十二月に結んだ情報共有協定の一環だとしている。日米が行ってきたミサイル防衛(MD)分野の訓練に韓国が加わる形で、三カ国が合同で行うのは初めてのことである。
 韓国政府はこれまで、中国を刺激するとの理由で、米国主導のMD体制への参加に慎重な立場を取ってきたが、共和国の水爆実験と韓国政府の共和国向け拡声器放送の再開という対応で、南北関係は一気に悪化。この情勢を受けて朴槿惠政権は、日米両政府による中国に対する軍事的優位性の確保と、北東アジア戦略秩序と地域秩序の現状維持・強化のための軍事戦略に足並みをそろえた。韓国国内に米軍の高高度防衛ミサイルシステム(THAADミサイルシステム)の配備と日本・韓国の間での軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結を進め、日米韓によるMD構築の一層の強化を図った。
 このような朴槿惠政権の対共和国政策の推移の背景には、オバマ政権が南北関係に縛りをかけていることがある。オバマ政権は、一方で韓米首脳会談の共同声明では対話と交渉を推進するかのように表明しながら、他方では相変らずの制裁と圧迫、人権問題の提起を通した共和国の政権の崩壊誘導を中心に置いた敵対政策を維持し続けている。
 この米国による妨害の結果、完全に冷え切った南北関係を前に、朴槿惠政権もまた、米国の強硬政策に便乗して、新たな三国によるMD体制構築に乗り出したのだ。
 韓国国内に新たに配備されようとしているTHAADミサイルシステムは、これまで日米が保有していた探知レーダーの性能を大きく凌駕しており、これまで識別不能であったダミーとミサイル本体を的確に識別し、撃ち落とすことができるとされる。また、四千キロメートル先の弾道ミサイルの弾頭を補足することができるため、韓国に配備されれば中国の弾道ミサイルは無力化されることとなる。逆に、韓国と共和国では地理的に近すぎるためMDの効用性は落ちる、との見解も出ており、このレーダーを韓国に配備したいとする米国政府の狙いが、共和国に対しての揺さぶりであると同時に、中国に対する強力な牽制であることは明らかである。

  ▼3章―2節 アジア人民の国際連帯で、新たな朝鮮戦争阻止せよ

 このような軍事力と軍事行動の強化は、いたずらに共和国・中国への軍事的圧力を高め、新たな軍拡競争を呼び起こし、北東アジアでの新たな戦争への緊張を高める結果にしかならない。また、日本にとってはこのような軍事演習への参加は集団的自衛権の行使を前提とするものであり、米国と一体となりながら朝鮮半島への再侵略と中国を牽制し北東アジアにおける地域覇権を手にするための第一歩に他ならない。
 「戦争法廃止! 安倍たおせ! 反戦実行委員会」(以下「反戦実」)やアジア共同行動などは、この日米韓ミサイル防衛訓練に対して、断固抗議行動に立ち上がっている。
 六月十一日には「東アジアの民衆連帯を! 戦争廃止 安倍たおせ! 6・11集会」が「反戦実」の主催によって開催され、韓国最大の平和統一団体である「平和と統一を開く人々(ピョントンサ)」の方、そして、池田五律氏(戦争に協力しない! させない! 練馬アクション)、大仲尊氏(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック共同代表)に、それぞれの課題を提起していただき、民衆の手によって自らの未来を切り拓いていこうとの基調提起を全体で確認した。集会後には日米韓によるミサイル防衛訓練の中止、北東アジアの平和を壊し、緊張を高める政策を直ちに止めるよう求めるデモを行った。
 六月二十三日には、今回の訓練に反対する防衛省に抗議行動が呼びかけられ、われわれも、多くの仲間とともに全力で結集し、アジア諸国への覇権の奪取に乗り出し、そしてその足掛かりとしての朝鮮半島への再侵略をもくろむ防衛省に対して反対の声を突き付けていった。

  ▼3章―3節 国際共同行動で反戦闘争をたたかおう

 日・米帝国主義は各々の思惑を貫徹するために、対立と緊張を煽り、東アジアでの新たな戦争への着手をもくろんでいる。このようなもくろみを阻止するためには、世界の民衆同士が具体的・実践的な連帯を通してアジア太平洋規模での反戦・反帝闘争を推進していくことが不可欠だ。日米韓ミサイル防衛訓練に対しては、韓国でも反対行動がたたかわれている。われわれ日本の労働者階級人民は、この韓国における反対運動としっかりと手を取り合い、共に朝鮮半島に対する分断と戦争の策動を打ち砕いていこう。
 日帝足下の私たちには、日本による朝鮮・アジアへの侵略と植民地支配、その後の朝鮮戦争と南北分断への荷担、未解決なままの各国の戦争被害者への戦後補償問題に取り組む歴史的・階級的な責任がある。同時に何よりも二度と同じ過ちを繰り返さないためのたたかい、安倍政権によるこれ以上の軍事国家化と戦争策動を何としても食い止めるためのたたかいを進めていかなければならない。
 私たちはその先頭で奮闘する決意である。今こそ国際共同行動で反戦闘争を共にたたかおう。



 

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