共産主義者同盟(統一委員会)


1482号(2016年5月20日) 政治主張






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  オバマは被爆者に謝罪し、核兵器・原発をすべて廃絶せよ

  6月国際連帯運動の前進を

  政治弾圧粉砕! 安倍政権打倒

  反戦・反基地闘争を推進しよう
           

        


 全国の同志、友人の皆さん、『戦旗』読者の皆さん。さる四月十四日に発生した熊本地震後の情勢が、安倍反動政権の反人民性をますます浮かび上がらせる結果となっています。
 安倍は今、歯噛みしています。なぜか。
 衆議院の解散、七月の衆参同日選挙に打って出ることで両院の三分の二以上を制圧し、宿願の憲法改悪を実現してやろうと狙っていたところに大災害が発生し、ともあれ対策と復興に集中せざるを得なくなってしまったことを間違いなく悔しがっています。
 振り返ってみましょう。安倍は二○一三年七月、自身の「地元」山口県で水害が発生した際には、もう四日後には閣議決定も経ずに「激甚災害」への指定を明言し、一週間後には現地を視察しました。ところが今回、「前震」発生翌日の十五日には熊本県知事から激甚災害指定を要請されたのに、明確な返答をせず、十六日の「本震」発生後の国会答弁でもなお、「事務的な数字を積み上げていかないと法律的にできない」などと言っていました。この対応の差は何でしょうか。単に、自分の地元の選挙民を意識したお手盛りの対策があるかないかの差だけではありません。
 そうです、安倍は大規模な国政選挙など、改憲を実現するための「政争」をしかけることが出来なくなることを嫌がって、激甚災害指定をぐずぐずとためらっていたのです。人命よりも、被災者の生活再建よりも、戦争国家づくりのための改憲に向けた策動を優先させようと発想するのが、安倍晋三という人物なのです。
 第二次安倍政権の発足以来進めてきた「アベノミクス」は、労働者階級には結局のところ物価の上昇だけを押し付けています。円安を誘導して株価を吊り上げることで、資本家階級、富裕層、小金持ちたちの懐だけを温める政策です。労働者、民衆の生活はまるで楽にならず、明日の展望を持てません。加えて大地震が民衆を襲う中で、一体誰が今改憲など求めているでしょうか。それよりも何よりも、食える賃金をよこせ、将来を展望できる生活を保障せよ、というのが労働者人民の声ではありませんか。
 戦争国家化に突き進む安倍反動政権を打倒しましょう。改憲攻撃を打ち砕こう。

  ●1章 熊本地震の中、露呈した安倍政権の反人民性

  ▼1章―1節 川内原発を即時停止せよ

 熊本地震は発生から三週間を経た時点で、四十九人が死亡、建物の損壊が五万七千棟、一万八千人が避難生活を強いられ、小中高校など百八十八校が休校を余儀なくされています。そして震度一以上の揺れが一千二百回を超えて続いています。九州新幹線と高速道路こそ復旧したものの、より身近な生活道路や橋、水道などのインフラの復旧、仮設住宅の建設などが急務です。そして、いつ活断層の活動が収まるやら知れないこの状況下で、稼働中の鹿児島の川内原発を停止せよ、との声が地元鹿児島を中心に九州各所から上がるのは当然のことです。
 しかし、政権獲得以降原発の再稼働に突き進んできた安倍は、そうした声に全く耳を貸そうとしません。許しがたいことです。
 原子力防災担当相を兼務している環境相丸川は四月十六日、「原子力規制委員会において停止させる必要はないと判断されている」ので停止させないと言い切りました。今回川内原発で観測された揺れが、基準地震動として設定されている六二○ガルを超えていないということだけを根拠としていますが、一方で同じ日に気象庁は、今後の見通しに関して「今までの経験則から外れている地震」で、「今後どうなるかは分からない」と白旗を上げているのです。「想定外」のことが起きるのだ、そして原発はそれに耐えられないのだ、ということが、福島第一原発事故の教訓だったではありませんか。
 山間部でどれほどの被害が出、それがどういう事態を招くのかを、熊本地震は見せつけました。ただでさえ川内原発は半島部に位置していて、事故の際の九電と鹿児島県の避難計画が現実を見ていないと強く批判されているというのに、熊本地震のように道路の寸断までが起きれば、もはや避難など不可能です。九電や鹿児島県庁に、原発の即時停止を求める声は続々と寄せられています。それに対し九電は、「原発を止めても燃料が冷えるまでは時間がかかるからリスクは変わらない」と答えている!「どうせ安全ではないのだから」運転をやめません、という開き直りを、どうして許せるでしょうか!
 日本で地震の被害から逃れうる地域などない、ということを熊本地震は教えています。そんな日本で原発などありえません。川内原発の即時の停止を! そしてすべての原発の廃炉を!

  ▼1章―2節 米軍オスプレイ投入弾劾!

 安倍は熊本地震を、自身の改憲と戦争国家づくりの野望に利用しようとしています。そもそも多くの国で、「有事」にはとりあえず政権与党が支持を集めがちです。安倍はそれを意識して自身が被災地入りするなどしてパフォーマンスにこれ務めるとともに、被災地に自衛隊と米軍を展開させることで、軍隊組織の存在をアピールし、また、日米両軍の共同作戦、訓練の機会にしようとしているのです。
 特に露骨なのは今回、普天間飛行場所属のアメリカ海兵隊のMV―22オスプレイを投入したことです。これは被災地救援という点からは、全く必要のないものでした。
 今回オスプレイが使用されたのは陸上自衛隊高遊原分屯地(熊本県益城町)から南阿蘇村の白水運動公園間、わずか数キロという距離です。ヘリの二倍の速度、五倍の航続距離というオスプレイでなくても務まる「任務」でした。またそもそも、自衛隊のヘリCH―47Jチヌークの方が搭載量が大きく、より多くの物資を運べるのです。そして道路の寸断などで孤立した地域には、より小さなUH―1Jなどのヘリを投入したほうが有用だったはずです。今回オスプレイが投入されねばならない理由はまるでなかったのです。
 これには日米双方の思惑が反映しています。開発段階で墜落が相次いだオスプレイは、ヘリと固定翼機両方の「いいとこどり」をしようとした機体でしたが、出来上がってみるとヘリほどには安定的かつ自由にホバリング出来ず、また搭載量が多くなく、武器やレーダーを装備できません。従って実戦では速度の遅い護衛のヘリと一緒に行動せねばならず、飛行能力を活かせません。そして固定翼機ほどには速度が速くなく、機体が大きいために空母にも多くは積み込めないという、実に「中途半端な輸送機」としてしか完成を見ませんでした。
 こんな機体を陸上自衛隊は三千六百億円使って十七機も導入しようとしています。駐屯させようとしている佐賀空港周辺では当然にも住民からの反対、懸念の声が大きく、佐賀県知事はいまだに受け入れを認めることが出来ていません。だからこそ、同じ九州内での地震災害に際してここぞとばかりにオスプレイを投入し、「災害時に役立つ」ことと「安全性」をアピールしようというのが日米双方の狙いであることは明らかです。まさしく自然災害の政治利用です。
 政権の狙いは被災者からも見透かされていて、「地震をダシに米軍が訓練をしている」との批判が上がっています。
 自衛隊の展開も同じことで、米軍は問題だが自衛隊ならいい、という話ではもちろんありません。帝国主義の軍隊として、自衛隊も防衛省も、住民への政治工作、「宣撫工作」を常に考えています。軍事組織としての反人民的本質を糊塗し、災害派遣で醸成した自衛隊への「信頼」を、想定される今後の軍事行動への支持に結びつけようとしているのです。被災地での救援に資するところがたとえ小さくないのだとしても、秘められた政治的意図を見抜き、批判していくことが、「非常時」だからこそ求められているのだといえます。

  ▼1章―3節 「緊急事態条項」新設阻止!

 安倍政権による熊本地震の政治利用のもう一つは、憲法改悪につながるものです。
 官房長官の菅は、「前震」発生翌日一五日の記者会見で早々に、「今回のような大規模災害が発生したような緊急時に、国民の安全を守るために国家や国民がどのような役割を果たすべきかを、憲法にどう位置づけるかはきわめて重く大切な課題だ」と述べ、このかん自民党憲法草案に盛り込み、実際に新設をもくろんでいる「緊急事態条項」の重要性を地震と関連づけてみせました。
 四月二十六日には「『二一世紀の日本と憲法』有識者懇談会」(民間憲法臨調)代表の櫻井よしこら安倍の応援団が五月三日の「憲法フォーラム」のPRのために記者会見をし、その際に改憲して「緊急事態条項」を盛り込めば「最初から国が前面に出て」「事態に対処することが出来たであろうと思われる」と述べたてました。
 しかし、いずれの主張にも根拠などまるでないのです。
 東日本大震災を経験した四十二自治体に『毎日新聞』が行ったアンケート(今年四月)で、緊急事態条項が必要と答えたのは回答のあった三十七自治体の内たったの一つでした。現行の法整備や憲法に大きな不備があると考えた自治体はほとんどないのです。また、記者会見で櫻井は、緊急事態条項があると熊本地震でどういったことが可能になり、何が期待できたのか、という質問にまるで答えることが出来ず、同席した日大教授の百地章から「熊本地震は現行の法律内で対処できただろう」とたしなめられるお粗末さでした。被災者の苦難を、自分たちの政治目的を果たすべく引き合いに出して恥じない連中を許すことは出来ません。これほどの没論理でありながら、彼らはナチスによる合法的な独裁体制の確立を可能としたのと同じ「緊急事態条項」新設をゴリ押ししようとしています。
 安倍は五月三日の「憲法フォーラム」にビデオメッセージを寄せました。七割の憲法学者からの自衛隊の違憲性の指摘に対して毒づき、「本当に、自衛隊は違憲かも知れないと思われているままでよいのか、ということは、国民的な議論に値するものだと思います」、「憲法に指一本触れてはならない、議論すらしてはならないなどといった思考停止に陥ってはなりません」、「新しい時代にふさわしい憲法を自らの手で作り上げる、その精神を広めて行くための取り組みに力を尽くしてまいりたい」とぶち上げました。安倍の改憲―戦争国家体制づくりに向けた野望は明らかです。地震による被害までをも、憲法改悪のために徹底的に利用し尽くそうとする安倍反動政権を許さず、憲法改悪攻撃を打ち砕きましょう。

  ●2章 G7サミット反対! 伊勢志摩現地闘争に起とう

 読者の皆さん。大阪府警公安三課は五月二日、米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会、近畿連絡会に参加する団体の事務所や個人宅など十五カ所の家宅捜索を一斉に強行しました。公安三課は捜索の容疑を「詐欺」だとしていますが、言うまでもなくいわれのない、百パーセントのでっち上げです。
 昨年六月の「道路運送法」違反「容疑」での大量逮捕に続く、京丹後における米軍Xバンドレーダー基地反対闘争に対する政治弾圧です。また、五月二十六、二十七両日三重県賢島で行われる主要国首脳会議(G7サミット)反対闘争に対する事前弾圧でもあります。私たちはこの弾圧を決して許さず、たたかう仲間たちとともにはねかえします。
「五・二弾圧を許さない!五・一二反弾圧関西集会」に結集し、引き続く六月五日の京丹後総決起集会を沖縄、韓国から駆けつける仲間とともに大成功させようではありませんか。
 読者の皆さん。国家権力がこのような大弾圧体制をもって強行しようとするG7サミットとは何でしょうか。それは「主要国」を僭称する帝国主義諸国による、帝国主義者のためだけの強盗会議です。利害の対立をはらみながらも、帝国主義による世界支配を維持し続けることを至上命題とした徹底して反人民的な会合だと言わねばなりません。安倍は今回ホスト国の頭目として議長を務めますが、とはいえもとより「成功」が約束されたものでは決してありません。
 先立つ主要二十か国・地域財務相・中央銀行総裁会議(G20)で、政策協調の必要性が打ち出されはしたものの、アメリカ帝国主義は大統領選の予備選挙の真最中であり、イギリスはEUからの離脱を問う国民投票を控えています。その他ヨーロッパは概して難民、「テロ」対策が主要な国内課題であって、今回の伊勢志摩サミットが経済政策の明確な方向性を打ち出せる状況ではありません。しかしその中で日米は、軍事的政治的牽制を狙って中華人民共和国の「海洋進出問題」を議題に上げようとしているほか、世界的な民衆の反帝決起を念頭に「G7テロ対策行動計画」を採択しようとしています。
 民衆の弾劾・抗議の声から逃れるために、半島の先端の島に身をひそめながら行われようとしているG7サミットの強行を、私たちは許しません。弾圧をはねのけ、五月二十六、二十七の当日、伊勢志摩現地に登場して弾劾の声を響かせましょう。

  ●3章 六月国際連帯集会に結集しよう

 アジア共同行動(AWC)日本連絡会議は本年二月、四回目の国際総会を各国地域からの参加を得ながら開催しました。その場で、今後数年にわたる期間の東アジアとアメリカにおける反帝国際共同闘争の方針を確定しました。帝国主義が「対テロ」を口実に全世界で展開しようとする侵略戦争に抗してたたかうとともに、帝国主義資本が主導する新自由主義グローバリゼーションのさらなる展開に抗してたたかう国際的な共同闘争を、いっそう強めていくことが確認されています。伊勢志摩サミットに対するたたかいもまさしくその一環です。
 読者の皆さん。アジア共同行動日本連を全力で支持し支援し、今年の国際連帯闘争をおしすすめましょう。六月集会を各地で成功させましょう。
 昨年来、首都圏における反戦闘争の結集環となってきた「戦争法廃止! 安倍たおせ! 反戦実行委員会」(反戦実)は今年年頭から、伊勢志摩サミット反対を掲げたたたかいを展開してきました。また、反戦実として沖縄・辺野古新基地建設阻止のたたかいへの派遣を実現してきました。反戦実はこれらの地平のうえに六月十一日、反戦集会を開催します。伊勢志摩サミット反対闘争から、改憲阻止―安倍政権打倒に向けた首都圏での一大政治闘争・街頭行動です。全力で結集し、たたかい抜きましょう。
 国際的な連帯の声と力で、日本帝国主義―安倍自公政権を打倒しましょう。労働者人民の解放をかちとりましょう。ともに勝利まで。



 

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