共産主義者同盟(統一委員会)


1479号(2016年4月5日) 政治主張






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  戦争と改憲に突き進む安倍政権を打倒せよ

  4月政治集会に結集を

  伊勢志摩サミット粉砕!

  高浜に続き全原発の停止を

           


 三月七日、韓国において米軍と韓国軍の合同軍事演習が開始された。韓国軍三十万、米軍一万七千人が参加し四月にかけて長期にわたる史上最大規模の演習といわれる。今回は米空母「ジョン・ステニス」、レーダーに探知されない最新鋭機F22をも動員し、朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)に対する海兵隊による上陸訓練を行なおうとするものである。さらに露骨に金正恩はじめ要人を殺害する特殊部隊作戦も含まれているという。米・韓は共和国の核実験と「ミサイル」発射という挑発を許さない、という名目によってこの軍事挑発をおこなっているのである。中国外務省はこれに対して朝鮮半島において軍事的緊張を激化させるものであると警告をした。他方、官房長官菅はここぞとばかり共和国批判をくり返し、日本政府が米韓合同軍事演習を歓迎し、これを通じて米日韓軍事同盟を飛躍的に強化せんと策動する姿を鮮明に示している。安倍政権はこの機をとらえて安保法制の発動と自衛隊の海外派兵に拍車をかけ、その道へと日本人民を扇動しひきづりこもうと全力をあげているのである。
 二〇一六年、人民による安倍政権打倒のたたかいが新たなステージを迎えている。「アベノミクス」なる欺瞞が厳しい経済の現実の姿によって誰の眼にも明らかになっている。それと一体になっていた「震災からの復興」「地方創生」「新・三本の矢」「一億総活躍社会」などの反人民性が繕いようもなくさらけ出され行きづまっている。そうであるがゆえに一層安倍政権は大資本の利益をあらわに代表し、強権的に憲法改悪によって「国のかたち」を変え、排外主義をあおり、侵略国家と自衛隊海外派兵への道をひた走っている。それを貫徹するには今夏の参議院選挙に勝利することが至上命題となるのだ。そのために、自民党内では消費税値上げの延期―衆参同日選挙の可能性などもふくめて検討しているといわれる。
 だが、しかし、人民のたたかいは、沖縄の辺野古新基地建設の攻防を先頭にして、戦争法―新安保法廃止のたたかいにおいて、原発再稼動反対の戦線において、労働運動において、各戦線においてこの前に立ちふさがっている。現場における大衆闘争をさらに拡大し相互に結合し、生活破壊と戦争国家の安倍政権の正体を全人民の前に暴き、追いつめ、今春期のたたかいで文字どおり安倍を打ち倒す地歩を固めねばならない。

  ●1章 「在任中に改憲」をめざす安倍政権を打倒せよ

 三月二日、安倍首相は参議院予算委員会で改憲について「私の任期中に成し遂げたいと考えている」と期限まで示して踏み込んだ答弁を行なった。安倍はすでに一月四日の年頭の記者会見において「憲法改正を参議院選挙でしっかり訴えていく」と言明し、まもなく「どの条項について改正すべきか、新たな現実的な段階に移ってきた」「三分の二が可能となったものから取り組んでいきたい」と述べている。
 すなわち、今夏の参院選で改憲を問い、自民・公明に大阪維新などを加えて参院でも三分の二を獲得し、二〇一八年九月までの総裁任期中に改憲を実現する意思を鮮明にしたのである。しかも、「改正」項目については自民党案を修正してでも、何であれできるところから改正したい、と述べ、現実には、公明やおおさか維新などを取り込むためにまず災害時や戦争時の国家緊急事態条項を新設し、戒厳令を展望して政府の権限を強化するところから着手することを示唆している。
 しかし、この迂回路を通じて安倍が中心的に狙っているのはいうまでもなく九条改憲である。二月二十日には、安倍はあるラジオ番組において公然と「憲法において自衛隊の存在が明記されていない。実力組織、海外では軍隊だがその記述がないのはおかしい」と言い放っている。昨年九月、安倍は内閣による恣意的憲法解釈によって違憲である集団的自衛権にもとづく戦争法を強行採決した。いまやこの違法な解釈改憲にともなう制約を突破し、明文改憲を行って国防軍を擁する侵略派兵国家へと突き進むと宣言したのである。
 これを許してはならない。同時に、この安倍の発言と認識の背景にある日本帝国主義の認識と戦略をしっかりとつかんでたたかいを準備せねばならない。それは安倍の新安保法そして世界的な「対テロ」戦争への介入策動を貫いてきているものである。安倍政権と支配階級はグローバリゼーションの舞台で劣勢と後退を続ける日本資本主義に深い危機感を抱いている。
 日帝支配階級にとって、日帝が他帝と伍して侵略戦争に参戦していくこと、市場・資源などの権益を確保し、帝国主義としての利害を貫徹していくために必須である。また、軍需産業の発展という側面も含めて戦争を欲しているのである。それゆえに戦争に向けて必要な制度や国の形を作り、人民に、資本の延命のために死ぬまで搾取され、収奪され、そして命をささげることをも要求しているのである。
 安倍のいう「国のかたち」は、自衛隊による世界的な軍事的展開を伴って激化する帝国主義間争闘戦を勝ち抜き、侵略と覇権へと全人民を動員しうる国のことであり、人民の犠牲によって独占資本の延命をはかることである。したがって彼らには日本社会の二極分解、中産階層の減少、格差の拡大、貧困層の増大、一定の人民の抵抗なども想定内のことであり、日本帝国主義の延命のためには「この道しかない」とあらゆる抵抗を制圧して進もうとしているのである。
 これを粉砕していく大きな歴史的な闘いを準備しなければならない。
 昨年来の人民の戦争法に対するたたかいは強行採決後も継続し、毎月十九日には国会前をはじめ全国的に持続的に戦争法廃止の大衆集会やデモがもたれている。また、このたたかいが国会で野党による戦争法廃止法案の上程をおこなうなどの対応をもたらしている。昨年来の反戦闘争を改憲阻止闘争としてたたかうと同時に、ますます生活不安と貧困を強制される人民の怒りを組織し、安倍政権への政治的包囲を強化せねばならない。

  ●2章 辺野古新基地建設計画そのものを撤回せよ!

 辺野古における建設工事阻止のたたかいが続くなかで、安倍政権は三月四日、辺野古新基地建設をめぐる裁判に関して、裁判所からの新基地建設工事中止を含む「和解案」を受け入れた。和解内容の概略は、政府と沖縄県の双方がそれぞれの訴訟を事実上取り下げ、政府が行っている埋め立て工事をただちに中止すること、そのうえで両者が解決にむけて話し合うこと、となっている。同時にこの受け入れに関して安倍首相は「辺野古への移設が唯一の選択肢であるという国の考え方に何ら変更はない」と述べ、辺野古への移設の方針を変えていない。
 昨年八月、安倍政権は、戦争法への人民闘争の高揚のなかで突如辺野古をめぐる沖縄「県」との一カ月間の「話し合い」を提起して内閣支持率の低下をくいとめ、たたかいの分散化と鎮静化をはかろうとした。
 今回は、双方が「話し合い」を続けながら、政府が、翁長知事による「埋め立て承認取り消し」を撤回するよう是正指示を出し、知事がその是正指示撤回を求めて政府を高裁に訴えるという手続きをやりなおし、判決が確定した場合は政府、沖縄「県」双方が従うよう定めている。
 安倍政権が和解に踏み切った背景には、政府が提起した代執行裁判における政府敗訴の可能性を回避しておくことや、きたる六月の沖縄「県」議選、今夏の参院選への選挙対策があり、話し合いと工事中断が有利に影響するという判断がある。また、新たな訴訟において政府が勝訴した場合、「判決の趣旨にそって互いに協力し誠実に対応する」とする和解条項を盾にとって沖縄「県」の以降の対抗手段を封じる作戦も判断に含まれている。自民党沖縄の幹部は「今後の訴訟で国が勝てば県も合意した和解条項に沿って手続きが進むので県民の理解も得やすくなる」と語っている。
 しかし、和解などありえないという姿勢の安倍政権がここにきて和解案を受け入れざるをえなくなった事実は、なによりも翁長知事を先頭にした島ぐるみ運動の力がなしとげた事である。とりわけ、辺野古現地のキャンプ・シュワブ前での抗議行動によって、政府は工事強行の恫喝、暴力によるボーリング調査と資材搬入だけでは、工事を進められないところに追いこめられていた。「工事中止」という条件を呑む以外に政府側に選択肢がなくなったのである。もちろん、安倍政権はいったん「工事中止」をしてさまざまな「話し合い」のポーズをとり、懐柔策と恫喝と分断策によって沖縄を切り崩し、工事再開を策謀している。これに抗し、工事中止を完全に履行させ、現場での阻止行動を軸にさらにたたかいを強め、全国化させ、辺野古新基地建設そのものを最後的に撤回させなければならない。

  ●3章 4月政治集会に結集しよう

  ▼3章―1節 中小零細非正規の連帯春闘を

 いま、春闘は、トヨタなど大企業労組が昨年の半分に満たない賃上げという低位の妥結で「官製春闘」の限界を露呈するなかで、中小企業においては本番を迎えている。すでに世界経済の危機を予見している資本の側は安倍政権による「賃金引き上げ」の要請につきあう余裕はない。大資本の増益が回りまわって庶民の収入を増やす、という安倍の大嘘は、大資本の利益がほとんどマネーゲームや内部留保に向かい、理論的にも現実によっても、すでにその虚偽が露見している。
 労働者の実質賃金は四年連続で減少し、非正規労働者が全体の四割にのぼり、貧困の裾野が拡大し、政府厚労省の調査においても「生活が苦しい」という層が過去最高の62%に達している。多くの大企業は二年連続の賃上げを実施したが、それは物価の伸びには追いつかず景気回復を実感させるにはほど遠いものであった。追い討ちをかけるように、来年の四月には消費税増税がまちうけており、わずかな預金にもマイナス金利の影響がおそいかかる。また高齢者人口が増加するにもかかわらず、介護報酬の引き下げや年金のマクロ経済スライドの発動(物価が上昇しても年金は増えない)などによって社会保障の自然増を削る攻撃が打ち下ろされている。
 さらに、実質賃金が上がらないにもかかわらず、受診入院時医療費負担の引き上げ、要介護一、二の介護保険外し、年金支給開始年齢の引き上げ、生活保護基準の切り下げなど、次々と予算削減―大衆負担増が検討されている。このようななかで個人消費がのびずデフレ脱却などありえないのは当然であろう。
 これらの攻撃をはね返し、大企業労組によるエセ春闘や、政府の経済界への懇願にすがる「官製春闘」を許さず、生活できる大幅賃上げと最低賃金千円以上の実施をかちとらねばならない。中小零細企業労働者、非正規雇用労働者などの社会的利益を実現する連帯春闘を推進しよう。

  ▼3章―2節 反戦・反基地闘争強化し安倍政権打倒を

 昨年の戦争法反対闘争をひきつぎ安倍政権打倒のたたかいをさらに押し進めよう。安倍政権の「和解」のポーズのもとに進行する恫喝と懐柔、分断策動を打ち破ろう。辺野古現地のたたかいを槍の穂先としてさらに強化し、建設撤回の運動を全国津々浦々に広げよう。各地で連帯集会を組織し現地攻防に参加しよう。それとともに重要なことは全国において反基地闘争を強め、それを結合することである。
 いま、「本土」においても岩国基地の飛躍的強化に反対して、京都丹後半島における米軍Xバンドレーダー基地に反対して、首都圏における米軍基地強化に反対して、その他各地でたたかいが粘り強くたたかわれている。戦争法反対闘争を発展させ、これらのたたかいを結びつけ全国的な反戦―反安保闘争として推し進めることが要求されている。
 安倍政権の全体重をかけた辺野古新基地建設の撤回をかちとり、政権打倒のステージを切り開こう。

  ▼3章―3節 「対テロ」戦争参戦阻止、伊勢志摩サミット反対

 伊勢志摩における七カ国首脳会議(サミット)の反人民性を暴露し反対闘争に立ち上がろう。
 五月二十六―二十七日、三重県賢島(かしこじま)において伊勢志摩サミットが開催される。今回のサミットは、彼らがいうところの「対テロ」戦争の推進をめぐって、また現在の世界的な経済危機への対応策をめぐって議論する場だとされている。しかし、この内実は帝国主義間の利害抗争の場であり、それをいかに人民の生命と生活を犠牲にしてかちとるのか、を決定する危険な会合である。
 「対テロ」戦争とは「イスラム国(IS)」やシリア内戦に対して、米・仏・英・ロシアがシリアやイラクに出撃して空爆を行ない、さらに地上軍の派遣も展望するなどまさしく中東への侵略・支配のための戦争である。そもそもISは米・欧帝国主義によるイラク侵略戦争が生み出したものであり、空爆は連日無実の住民の生命と生活を奪い、難民と戦乱を世界中に拡散しているのである。首脳会議はこの侵略戦争への介入と支配の分け前をめぐる強盗どもの会議以外の何物でもない。
 また、もう一つの主要議題は世界経済の危機への対策である。帝国主義列強は現状に深い危機感を抱き、二月の上海でのG20財務相・中央銀行総裁会議では各国に、世界経済の暗雲を取り除くためもっと財政出動をして景気刺激をせよと呼びかけた。帝国主義には、結局は一方では財政出動で資本を救済し、その財政赤字の累積を増税で埋め、犠牲を人民の肩に転化するという方策と、他方では規制緩和やTPPなどの新自由主義政策を徹底化し資本の利益を増大させるという反人民的方策しか残されていないのである。
 これらに加えて安倍政権は開催国として、このサミットを最大限利用しようとしている。第一に、集団的自衛権の行使を可能とした戦争法を発動し、「対テロ」「対IS」を掲げた侵略戦争への参戦を狙っている。日本を「戦争をする国」へとする大きなステップとすると同時に、軍事的貢献をもって国連安保理常任理事国入りへのアピールの機会と位置づけているのである。そのために安倍はサミット前に欧米やロシアなどを訪問し、自らを政治的にも軍事的にも帝国主義列強の一角として売り出そうとしているのだ。
 第二に、開催地の伊勢志摩と伊勢神宮を押し出し、天皇制の強化と天皇制イデオロギーのもとへの人民の統合をはかることを狙っている。
 第三に、全国的に「反テロ」キャンペーンをふりまき、「サミット警備」を口実にして厳しい治安弾圧や違法な人権侵害を合理化し常態化させようとしている。
 第四に、サミット経済論議の機会を利用してアベノミクスの失敗を人民から隠蔽することである。安倍は仰々しくサミットにむけて世界経済の現状とリスクを分析するとして「国際金融経済分析会合」なるものを設置した。みずからの金融緩和、財政出動を世界的要請として合理化し、財政再建のしばりを解き、世界経済不況を口実に来春増税の再延期―参院選勝利というシナリオも選択肢にいれている。
 サミットのもつこれらの人民への攻撃を許してはならない。人民の運動を恫喝し萎縮を狙うサミット警備を跳ね返して、各地において、また伊勢志摩現地でたちあがろう。

  ▼3章―4節 原発再稼働を阻止しよう

 三月九日、大津地裁は住民の訴えを認め、再稼動した関西電力高浜原発の三、四号機の運転を差し止める仮処分決定を行なった。概略「安全性についての関電の説明は不十分である。福島原発事故の原因が解明されていない中で新規制基準には疑問が残る。避難計画についても不十分である」等を正当に指摘している。
 福島事故の教訓を踏まえずに再稼動へひた走る電力会社・政府・規制委員会を批判し、以降の全国的な住民からの再稼動阻止を求めるたたかいを力づけるものである。事故後五年を経ても避難者が十万人を超え、原因究明も放置され、汚染水の処理も汚染土除染の処理も進まず、福島第一原発事故がなんら収束していない。この状況の下で、政府・東電は避難指示区域の解除、露骨な福島への帰還政策、自主避難者支援打ち切りなどをおしすすめている。政府、東電への怒りは深い。これらに対するたたかいと連帯し、再稼動阻止の広範な戦線を作っていこう。

  ▼3章―5節 共産同政治集会に結集を

 四月、共産同(統一委員会)は全国各地方において政治集会を開催する。この政治集会においてわれわれは現在の階級闘争を分析し、そのなかで安倍打倒のたたかいと結合して反帝国際主義を貫き、階級的労働運動を拡大し強化していく路線を訴えていく。日本帝国主義の延命をかけた戦争と派兵、人民貧困化の攻撃がますます激しいものになるにつれて、さまざまな人民がたちあがっていく。このたたかいをともに担い確実に勝利するとともに、革命的労働者党はそれに留まらず帝国主義そのものをうち倒す任務を訴えひきうけねばならない。帝国主義支配が行き詰まり今までのやりかたで世界を支配できなくなり「支配階級にとっても被支配階級にとってもこれまで通りにやっていくことができなくなった」(レーニン)時代と情勢に入っている。党はそれを人民に明らかにし、この時代にこそ、プロレタリア革命を大きく進めていくことを訴えなくてはならない。
 すべての同志・友人のみなさんに、政治集会への結集を訴える。



 

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