1476号(2016年2月20日) 政治主張 |
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アジア太平洋地域の反帝国際共同行動の前進を 「対テロ」戦争反対! 参戦阻止! 全原発の運転停止―廃炉を 2016けんり春闘勝利! 安倍首相は一月二十二日、通常国会において施政方針演説を行った。「挑戦」なる用語を多用した演説の内容は無内容で、デマゴギーに満ち溢れたものである。われわれは安倍政権の本性を明らかにし、昨年のたたかいを継承して安倍政権打倒に突き進んでいく。 われわれは一月十七日、反戦闘争実行委員会の仲間とともに天皇フィリピン訪問反対をたたかいぬいた。右翼ファシストの妨害をはねのけ、フィリピン人民と連帯した街頭行動を貫徹した。このたたかいの意義を再確認し、国際主義に貫かれた反天皇闘争をたたかおう。 そしてわれわれは、国際主義の断固たる前進をかちとっていく。アジア共同行動(AWC)日本連絡会議を国際主義の実践として、断固支持し、連帯し、共にたたかう決意である。青年・学生が主体的積極的に参加する国際共同行動を作り出していこうではないか! ●第1章 安倍施政方針演説を許すな 日帝―安倍首相は一月二十二日、衆参両院で施政方針演説を行なった。七月の参院選を意識したこの演説は、経済政策を中心にし日本の未来はばら色の成長であるかのように長々と語るものであった。「イノベーション」「チャレンジ」「挑戦」という言葉が繰り返されているが、その中身は労働者階級人民の生活破壊そのものだ。 施政方針演説のなかで安倍は、「地方創生への挑戦」として環太平洋経済連協定(TPP)を絶賛している。「二〇二〇年までに農林水産物の輸出を一兆円に増やす」「TPPはピンチではありません。世界へ売り込む大きなチャンスであります」「攻めの農政」「中小企業版の『競争力強化法』を制定します」「国土強靭化を進めてまいります」等の美辞麗句をもって、TPPがあたかも労働者階級人民の生活を向上させるかのような論法を用いている。しかしこれらは全くのでたらめに過ぎない。 例外的に海外輸出に成功した一部の農産物を取り上げ、「攻めの農政」などと賛美しているだけなのだ。TPPが日本の農業―農村そのものを破壊していくのは明らかだ。その一方で、「国土強靭化」を掲げて一部の談合企業だけに財政をばら撒こうというのである。 そもそもTPPによって農業が発展するはずがないということは、権力内部で農水省が反対に回った経緯を振り返るだけでも明らかである。「攻めの農業」などと聞こえはいいが、攻めることのできない農家は保護することなく切り捨てていくということだ。安倍のTPP賛美は農民層の動揺を極力抑えるための詭弁にすぎない。 一方において労働者階級に対しては、「一億総活躍への挑戦」などと称して生活向上の幻想を振りまこうとしている。 具体的政策的根拠がないままに、「非正規雇用の皆さんの均衡待遇の確保」「同一労働同一賃金」「介護離職ゼロ」「定年引き上げに向けた政策」「希望出生率1・8」「待機児童ゼロ」と、労働者階級人民の要求を逆手にとって、生活を向上させる政策をとるかのような言辞を全面にちりばめてはいる。が、安倍政権は出生率向上や保育に関して本当に具体的な政策をとろうとしている訳ではない。実際これらの内容は極めて抽象的であいまいな論調で書かれている。選挙を見越したリップサービスであることがありありとうかがえる内容になっている。 同一労働同一賃金に関してはより巧妙な論法を用いている。安倍政権は労働現場の要求である均等待遇ではなく、「均衡待遇」を主張しているのだ。つまり、賃金を等しくするのではなく、均衡=バランスがとれていればいいという意味である。正規労働者の賃金があがったら、その均衡の範囲で非正規労働者も若干の賃上げをするという意味であり、根本的に同一賃金とは正反対の政策である。 また「一億総活躍」という安倍政権のスローガンは、逆に言えば、高齢者をも働かせ年金を取り上げ死ぬまで酷使する社会を作り出そうということだ。 さらに安倍は「『戦後最大のGDP六百兆円』というもう一つの『的』を掲げ」ることで、企業収益を拡大し賃上げを目指すと主張する。掲げるのは勝手だが、日銀―黒田の異次元の金融緩和をさらに拡大して辛うじて株価を維持しているような対策では、「GDP六百兆円」などは単なる「的」でしかない。参院選に向けて夢をばら撒いているに過ぎない。結局のところ、賃上げよりも企業収益拡大が先だと言っているのである。 そもそもアベノミクスなるまやかしの経済政策がすでに破たんしていることを確認しておかなくてはならない。アベノミクスの柱であるTPP担当閣僚である経済再生担当相甘利の汚職―辞任は、安倍政権の経済政策にとって大きな打撃を与えたことは間違いない。 そして一月二十九日、日銀―黒田がマイナス金利政策に踏み込んだ。これこそアベノミクスの失政を明らかにするものである。異次元の規制緩和として進めてきた金融政策でもデフレから脱却できず、年明け以降は株価が急落し、あまつさえ甘利の辞任という事態の中で政府と日銀は追い詰められてきた。経済政策として打つ手をなくして窮余の策として出てきたのがマイナス金利政策に他ならない。 日銀に金を預ければ手数料として0・1%を徴収するという政策は、資本主義そのものを否定する政策であり、長期に継続することができないのは火を見るよりも明らかだ。マイナス金利政策こそアベノミクスの終わりの始まりである。 ●第2章 改憲に突き進む安倍政権 われわれがこの施政方針演説で徹底的に批判しなければならないのは、戦争法と辺野古新基地建設を賛美し「より良い世界への挑戦」という文言で参戦を主張しているということだ。 本施政方針演説は、七月参院選を意識して、そのほとんどが抽象的な経済政策で占められてはいる。しかし、「より良い世界への挑戦」と題した外交と軍事をめぐる領域は極めて具体的に展開されている。安倍は「積極的平和主義」を主張し、「平和安全法制は、世界から、支持され高く評価されています」と強弁している。わざわざ「『戦争法案』などという批判は、全く根拠のないレッテル貼り」などとしつこく弁解しているのである。 この演説は、戦争法制をもって侵略反革命戦争に参戦していく宣言にほかならない。さらに、辺野古新基地建設強行を自画自賛するという、許しがたい演説である。 そして、この演説の政治的性格を決定的にしているのは、改憲方針を明示したことである。「おわりに」で「国の形を決める憲法改正」について「正々堂々と議論し、逃げることなく答えを出していく」という言葉をもって、改憲攻撃に踏み込むことを宣言しているのだ。 第百九十回国会施政方針演説を絶対に許してはならない。参戦―派兵、改憲に突き進む安倍政権と対決し、打倒していこう! ●第3章 天皇フィリピン訪問弾劾! 天皇アキヒト、皇后ミチコは一月二十六日から三十日、フィリピン訪問を強行した。「日比国交正常化六十年」ということを名目にした訪問だが、「慰霊の旅」という報道に顕著なように、フィリピンをはじめとするアジア各国に対する日本の戦争責任を隠蔽し、天皇外交を通して日帝の侵略戦争を美化していく攻撃である。日米軍事一体化―日帝の軍事大国化路線との関係で見れば、天皇フィリピン訪問は日米軍事同盟を基底にしつつ、日本とフィリピンの間の軍事協定(訪問軍協定)締結の策動と結びついた外交政策でもある。 われわれは一月十七日、天皇フィリピン反対闘争に断固立ち上がった。極右ファシスト集団の敵対を粉砕して都心での街頭行動をたたかった。フィリピン人民との国際連帯にかけて街頭闘争を貫徹したのである。集会ではフィリピン人民からする天皇訪問反対の提起を確認し、あらためて国際主義的観点に立って、フィリピン人民の闘いに連帯する反天皇闘争としてたたかったのである。 BAYAN、リラ・ピリピーナは一月二十七日、天皇―アキノ会談反対を掲げてマラカニアン宮殿(大統領府)に対する抗議行動をたたかっている。そして国際民衆闘争同盟(ILPS)が抗議声明を出している。 ILPSは「今回の天皇アキヒトのフィリピン訪問は、安倍政権と日本の支配階級―独占資本―の意志を反映した政治行為である」と位置付けたうえで、日比当局が「被害者への真の謝罪と国家補償を抜きにしたまま、日本の戦争責任問題を『解決』しようとしている」と糾弾している。 さらに「日本は現在、『集団的自衛権行使』を口実に海外での自衛隊の戦争行為を可能にする昨年九月の新安保法制定など、その軍国主義を加速させている」と日本の軍事大国化に最大限の懸念を表明し、「日本軍のフィリピン駐留―およびフィリピン国軍との軍事演習への参加を認めるための―米比訪問軍協定と同様の―日比訪問軍協定締結策動」であるとして、軍事協定策動と一体の今回の天皇フィリピン訪問を批判している。 たたかうアジア人民の声に応え、国際主義を鮮明に掲げた反天皇闘争をたたかっていこう。 ●第4章 AWC運動を支持・支援し、国際共同行動を進めよう アジア人民との具体的実践的連帯を掲げた大衆運動をさらに前進させなければならない。 アジア共同行動(AWC)日本連絡会議は、日帝のPKO派兵に抗して一九九二年から活動を開始した。AWCは本年、国際運動体としての第四回総会を開催する。われわれはこの取り組みを全力で支えていかなければならない。 前述のILPSの声明にあるように、アジア人民は日帝の戦争法案成立を第二、第三のアジア侵略戦争への踏み込みとして危機感を抱いている。日帝の軍事大国化はアジア人民のたたかいに直接的に敵対する攻撃としてあるのだ。 集団的自衛権行使―戦争法、そして改憲攻撃に対しては、国際主義をもってたたかわなければならないということだ。集団的自衛権行使の問題は「日本が戦争に巻き込まれる」というような一国主義的観点だけでは決してたたかえないのだ。アジア人民が正しく指摘するように、日帝のアジア侵略反革命戦争阻止をアジア人民との連帯にかけた帝国主義足下労働者階級のたたかいとしていく観点がなければならない。かかるたたかいは、単なる理論や立場性、スローガンだけの問題ではなく、具体的実践的大衆運動として取り組まれなければならない。 われわれはかかる観点から、AWC第四回国際総会を全力で支援していく。集団的自衛権行使の戦争法制、そして改憲攻撃との熾烈な攻防を迎えようとしている現在であるからこそ、アジア人民との具体的・実践的連帯が、日本の労働者階級人民にとって最重要の課題となっている。 そしてかかる取り組みの上に、伊勢志摩サミット粉砕をたたかっていこうではないか。安倍は、帝国主義の強盗会談―G7サミットを本年五月伊勢志摩で開催し、「対テロ」戦争をその中心議題にすることを目論んでいる。われわれはこのような帝国主義強盗会談を許すことはできない。断固粉砕あるのみである。 帝国主義者による「対テロ」とはなにか。それは帝国主義侵略戦争を正当化する方便であり、なによりも全世界人民のたたかいを弾圧するものに他ならない。「対テロ」を掲げることによって、爆撃を繰り返して何の罪もない人民を虐殺してきたのが帝国主義である。そしてそのような帝国主義各国首脳が集まって、いかに全世界の労働者人民から利潤を搾り取ろうとするかを話し合う場がサミットである。 われわれはG7サミットと総対決していく。国際的団結、そして左派潮流の結集によってサミットそのものに対する断固たる抗議行動を貫徹していこう。 ●第5章 青年運動・学生運動の高揚を! 差別排外主義・原発再稼働と闘おう これらたたかいを青年・学生が主体的積極的に参加する国際共同行動としてたたかっていこう。昨年の戦争法制反対闘争、そして辺野古新基地建設反対闘争の高揚のなかで青年・学生層の流動化が開始されている。 戦後民主主義の防衛ではなく、反帝国際連帯を基軸に据えた安倍政権打倒のたたかいこそが、青年・学生の階級的エネルギーを思う存分発揮できる場である。アジア―世界の青年層との具体的討論を通じた連帯関係の構築こそ、二十一世紀の青年運動、そして革命運動にとって必須の課題である。階級闘争、革命運動の最先頭には常に青年層のたたかいがあった。われわれは、たたかう青年・学生諸君とともに断固とした反帝闘争に決起する決意である。 そして青年・学生諸君とともに、戦争国家化と一体に煽動される排外主義とのたたかいを推進していこう。われわれは安倍政権と朴槿恵政権による、12・28「合意」を徹底的に弾劾する。当事者抜きの「政治的」解決など断じて許すことはできない。ハルモニたちの血叫びに応え、歴史修正主義と対決していこう。さらに三・四月、教育現場における子どもたちの戦争動員政策としてある「日の丸・君が代」強制とたたかっていこう。 一月二十九日の高浜原発再稼働を弾劾する。われわれは、全ての原発の廃炉を求めてたたかっていく。経産省前テント広場を断固防衛し、原発再稼働阻止をたたかいぬいていこう! |
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