1472号(2015年12月5日) 政治主張 |
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米帝・仏帝・英帝・ロシアはシリア爆撃をやめろ! 「対テロ」戦争反対 辺野古埋め立て工事阻止! 沖縄―「本土」貫く反戦・反基地闘争を 十一月十八日・十九日、マニラでのAPEC首脳会合に反対する国際共同闘争がたたかわれた。 日本からも、アジア共同行動日本連絡会議などが闘争派遣団を送り出した。一方、戦争法を強行成立させ、日中韓、および日韓首脳会談を行ない、G20首脳会議、マニラAPEC首脳会議、東アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議への出席、さらに、マニラで日米首脳会談や日比首脳会談などを開催した安倍首相は、国際的にも国内的にも反動的な攻勢を一層強めている。帝国主義諸国は十一月十三日、ISによるパリ攻撃を受けて、おしなべて「対テロ」戦争にむけて全体重をかけだした。フランス政府は「戦争状態への突入」を宣言し、非常事態宣言を国内に発し、大統領に権限を集中する憲法改悪を策動しだした。EU諸国、米国などでは、移民、難民排斥の大合唱が起こり出した。侵略戦争と排外主義、愛国主義が吹き荒れている。そして、これを受けて、安倍政権は、米帝とともに軍事出動策動を強めようとしている。すでに、自民党は、幾度も廃案となっている「共謀罪」の新設を打ち出し、11・13に乗じた反動的攻勢を開始した。また、安倍政権は、沖縄一丸となった辺野古新基地建設拒否の意志を踏みにじり、弾圧と工事強行に踏み出している。岩国でも、二〇一七年、基地の大強化にむけた工事を安倍政権は急ピッチで強行している。また、川内原発再稼働に続いて、伊方、高浜での再稼働を狙っている。反動攻勢を強める安倍政権を打倒するためにたたかいを一層強化しよう。 ●第一章 マニラAPEC反対、国際共同闘争かちとる 十一月十八日・十九日、フィリピンのマニラでAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会合が開催された。国際民衆闘争同盟(ILPS)は、これに反対する国際共同闘争を全世界によびかけ、日本からも、アジア共同行動日本連絡会議が闘争派遣団をマニラ入りさせ、結集した世界各国地域の仲間とともに国際共同闘争をたたかった。首脳会議が開かれていたマニラの国際会議場に肉薄するたたかいが繰り広げられた。 今回のマニラAPECは「包括的な経済の構築、より良い世界をめざして」というテーマで開催された。約百のAPEC関連会合が、マニラ、セブ、イロイロ、タガイタイなどの都市やクラーク自由貿易港などで開かれ、その総仕上げとして首脳会合が組織されたのである。APECは、二十一の加盟国地域で構成され、三十億近い人口と世界経済の60%を占めている。APECは、発足以来、一貫して、日米などを中心とした帝国主義国の利益に基づいて、貿易・投資・金融の自由化を推し進めてきた。日米両帝国主義は、新自由主義攻撃の道具としてAPECを推進してきたのである。 こうした経緯のうえに、今回のマニラAPEC最大の課題は、新自由主義的枠組みのもとへ地域経済の統合をよりいっそう推し進めることにあった。それは、二〇一〇年から本格的に展望されてきた「アジア太平洋自由貿易地域(FTAAP)」にむけた条件を確立していこうとするさまざまな提案に示されている。だが、こうしたリージョナルな自由貿易地域の創設という日米両帝国主義の野望は、中国をはじめとした諸国との激烈な抗争を内包しつつ進んでいる。「アジア太平洋自由貿易地域」の将来的な創設にむけた動きとしては、一方では、日米などが主導し先に基本合意へと至った「環太平洋経済連携協定(TPP)」が存在している。これには中国は加盟していない。他方では、ASEANを中心に中国を含む「東アジア包括的経済連携協定(RCEP)」が存在し、これには米帝が加盟していない。さらには、中国の主導で欧米諸国も含め四十九カ国で出発した「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」には、日米両帝国主義は参加を拒否した。このように、アジア太平洋地域をめぐる新自由主義的な地域統合の流れは、その内部における日米両帝国主義と中国の激烈な抗争を伴いつつ進められているのである。 こうした経済圏の主導権をめぐる抗争は、領土・領海問題と結びつきながら展開している。スプラトリー諸島をめぐる中国と東南アジア諸国との対立は、この地域における軍事的緊張を一挙に高めている。中国に対抗し、米帝もスプラトリー諸島に駆逐艦を展開させるなど、あからさまに中国への威嚇を開始しだした。また、安倍政権は、北朝鮮や中国の脅威を扇動しながら、戦争法を強行成立させた。そして、これらと連動して、日米両帝国主義、韓国、フィリピンなどの東南アジア諸国、オーストラリアなどの合同軍事演習が活発化し、多国間の軍事協力体制が一挙に加速されている。今回のマニラAPECは、アジア太平洋地域における覇権をめぐる日・米・中の激烈な抗争を内包しつつ、競い合う大国の争闘の場であったのだ。また、こうしたなかで、APEC首脳会議に先立ち日中韓首脳会談や日韓首脳会談を行った安倍政権は、中国との抗争を内包しつつ日中韓自由貿易協定(日中韓FTA)の交渉加速で合意し、APECでより優位な主導的立場を確保しようとしたのである。 今回のAPEC首脳会合は、これに先立つG20首脳会議、さらに、APEC首脳会合に続いて行われたASEAN関連首脳会議などと同様に、11・13ISによるパリ攻撃をうけて開催され、「対テロ」戦争を結束してたたかうことを宣言する場となった。帝国主義諸国は、「対テロ」戦争にむけた有志国連合の結束を強めている。シリアをめぐる侵略戦争で、ロシアと米帝やEU諸国は、アサド政権に対する態度で対立しつつ空爆をそれぞれ続行してきた。そして、ISによるパリ攻撃を受けて、シリア統治をめぐって、米帝とロシアは一定の妥協をしつつ、「対テロ」戦争に新たに全体重をかけつつある。安倍政権も、これに乗じて、戦争法に基づいた軍事出動策動を強めている。絶対に許してはならない。G20に続き、APEC首脳会議、ASEAN関連首脳会議で、こうした「対テロ」戦争への反動的結束が叫ばれたのである。 安倍首相は、マニラで日米首脳会談や日比首脳会談なども開催した。オバマは、戦争法の成立を祝福し、安倍首相はオバマに対し、「米軍による航行の自由作戦を支持する」と表明したうえで、「(この海域での)情勢が日本の安全保障に与える影響を注視しつつ検討する」と、戦争法にもとづいてスプラトリー諸島周辺海域に自衛隊を出動させることもありうるという含みを持たせた表明をしたのである。また、オバマに対して、「普天間移設は辺野古が唯一の解決策だ」と主張し、辺野古新基地建設を強行することを誓ってみせたのである。日米ガイドラインにそって戦争法を強行し、戦争法の国会論議の前に、オバマには戦争法の夏期成立を約束し、そして、いま、沖縄知事を裁判に訴えてでも基地建設を強行することをオバマには誓うというこの安倍政権を、絶対に許してはならない。安倍政権を一刻も早く打倒しなければならない。 さらに安倍は、フィリピンのアキノ大統領に対して、対中国を念頭に、フィリピンへの武器などの防衛装備品を日本から輸出する協定の大筋合意を表明し、大型巡視船の供与も検討することを表明した。日比の軍事協力体制を一段と強化することを宣言したのである。安倍政権は、戦争法強行成立を根拠に、周辺各国との軍事協力体制の強化と、スプラトリー諸島海域へ米軍とともに軍事出動する可能性さえ公言したのである。戦争法廃止、安倍政権を打倒するために総力をあげねばならない。 フィリピン人民を先頭とした国際民衆闘争同盟(ILPS)は、APEC首脳会合に対して、新自由主義攻撃と日米と中国の争闘を暴露し、新自由主義攻撃とたたかい、大国の干渉と支配に抗する国際的な人民の共同闘争を呼びかけた。フィリピン人民は、米帝、日帝、中国に対して、抗議行動を繰り広げた。そして、フィリピン人民のよびかけに応え、世界各国地域から参加した国際共同闘争がAPEC首脳会合に対して果敢にたたかわれたのである。こうした国際共同闘争の地平を、さらに発展させていこう。 ●第二章 歴史改ざんと戦争準備進める安倍 安倍首相は、G20首脳会議、APEC首脳会合、ASEAN関連首脳会議などに先立ち、日中韓首脳会談と日韓首脳会談を行い、日中韓首脳会談では日中韓FTAの交渉加速を合意した。また、日韓首脳会談では、日本軍「慰安婦」問題の「可能な限りの早期妥結」を合意した。 そもそも、日中韓首脳会談は三年半開催さえできなかった。また、安倍政権にとって日韓首脳会談は初となった。理由は簡単である。安倍政権が歴史を歪曲し「南京大虐殺はなかった」、あるいは、日本軍「慰安婦」制度問題はでっち上げだ、などという右翼潮流の扇動の先頭に自らたってきたからである。さらに安倍は、かつての日本帝国主義のアジア侵略戦争と植民地支配を美化し肯定し、靖国公式参拝を強行し、アジア人民に真っ向から敵対することを信条としてきたからである。 日中韓首脳会談では、日中韓FTAの交渉加速が合意されたが、先述したように、安倍政権にとって、これは、APEC首脳会合などを前に、中国との激しい抗争を内包しつつ、アジア太平洋地域における自由貿易地域の形成をめぐる主導権を有利にするためのものでしかなかった。歴史認識をめぐっては、安倍首相はなにひとつ立場を変えることはなかった。 日韓首脳会談は、会談時間の予定を大幅に延長することとなったが、それは、日本軍「慰安婦」問題をめぐっての秘密会談となったのであり、実際、会談のほぼすべてがこれについやされたのである。安倍首相は、日本軍「慰安婦」問題についても、これまでの反動的態度をなにひとつ変えることはなかった。それどころか、日韓首脳会談で、安倍首相は、ソウルの日本大使館前に作られている慰安婦像の撤去を執拗に要求し続けたのである。像の撤去が交渉の前提だと恫喝し続けた。安倍首相は、日本軍「慰安婦」問題をめぐる反動的な歴史決着をつけることだけにしか関心がないのである。 だが、日本軍「慰安婦」問題を含め、歴史認識をめぐる安倍政権の態度は、逆に安倍政権のアキレス腱でもある。かつての日本帝国主義のアジア侵略戦争、植民地支配、日本軍「慰安婦」問題などをめぐる安倍右翼反動政権の攻勢を完膚なきまでにたたきつぶすために、アジア人民と一層連帯を強め、たたかいを強化しなければならない。安倍政権による、日本軍「慰安婦」問題の反動的決着、収束策動をいささかも許してはならない。国家による謝罪と補償、これを真正面から実現させるために日本人民自身のたたかいがあらためて問われている。 ●第三章 辺野古新基地建設を絶対に阻止しよう 反動的なアジア外交を推し進める安倍政権は、国内でも許しがたい反動攻勢を強めている。戦争法の成立強行と歩調をあわせるように、安倍政権は、辺野古新基地建設の工事強行を再開した。しかも、警視庁機動隊をも動員した弾圧体制をとるということまでしてきた。 沖縄はまさに一丸となって辺野古新基地建設を拒否している。昨年を通じて、名護市長選、名護市議選、沖縄知事選、衆院選と、そのすべてで辺野古新基地建設反対派が圧勝し、沖縄の民意は圧倒的に示されてきた。にもかかわらず、安倍政権と米政府は、沖縄の民意を真っ向から否定し、基地建設を強行しようとしている。翁長知事による埋め立て承認取り消しに対して、国交省は知事の取り消しの効力をとめる「執行停止」を決定した。そして、安倍政権は埋め立てに関する知事の権限を全面的に奪う「代執行」手続きに入る閣議決定を行い、辺野古新基地建設の本体工事着工を強行してきた。他方で安倍政権は、名護市を通さず辺野古三区に直接計三千万円を支出するなど、なりふりかまわぬ懐柔策にまで打って出ている。そして、十一月十七日、安倍政権は、翁長知事の埋め立て承認取り消しを、知事に代わって撤回する「代執行」にむけた訴訟を福岡高裁那覇支部に起こした。今後、沖縄と政府の全面対決は裁判も含めてその戦場を拡大していく。 沖縄のたたかいは、勝つか負けるか、二つに一つの歴史的決戦というべき局面に全面的に入っている。辺野古新基地建設をめぐるたたかいは、全国の反基地闘争の天王山である。これに勝つか負けるかで、「本土」各地の反基地闘争の今後をも大きく規定する位置をもつ。安倍政権は、完全に示されてきた辺野古新基地を拒否するという沖縄の民意を真っ向から否定し、強権と弾圧で基地建設をごり押しすることを宣言している。安倍首相は、十一月十一日に開かれた参議院予算委員会の閉会中審査で「建設を進めて五年たてば完成する」と開き直った。また、十一月十七日に翁長知事を提訴しつつ、二日後の十九日には、オバマに辺野古新基地建設を誓ってみせた。沖縄差別支配は、ここに凝縮している。沖縄の民意も、自己決定権も、民主主義も地方自治も、すべて破壊し、米政府とのみ利害を一致させる安倍政権を一刻も早く打倒しなければならない。 辺野古現地では、連日連夜、実力闘争で抵抗している。全国から辺野古現地へ結集しよう。同時に、沖縄のたたかいに連帯して「本土」各地で、辺野古新基地建設に反対する決起を総力で生み出していかねばならない。「本土」におけるたたかいこそが問われている。そして、辺野古新基地建設を阻止するために全国から決起を集中するとともに、これを、「本土」各地の反基地闘争と結合してより広範に推進していかねばならない。 十一月二十八日・二十九日には、アジア共同行動日本連絡会議などの主催で「岩国行動二〇一五」が開催され、岩国の地に、沖縄から、また、米軍Xバンドレーダー基地が建設された京丹後から、神奈川から、横田から、各地の反基地運動が結集し合流した。さらに、韓国、フィリピン、スコットランドからも結集し、アジアからすべての米軍基地撤去を要求する国際共同闘争がたたかわれた。岩国基地は二〇一七年、厚木からの空母艦載機移駐をはじめ、極東最大の海兵隊航空基地に強化されようとしている。沖縄と、岩国をはじめ各地の反基地闘争の大合流でたたかいを強化しよう。 ●第四章 日帝―安倍政権を打倒しよう 国際的・国内的に反動攻勢を強める安倍政権の姿は、一方では、安倍政権が追い詰められていることの結果でもある。戦争法をめぐる全人民政治闘争の地平を引き継ぎ、戦争法のもとでの日帝の新たな侵略反革命軍事出動を断固として阻止していくたたかいを作り出していかねばならない。まずは、戦争法の廃止をかかげて、たたかいを継続しよう。 安倍政権は、戦争法を強行成立させるやいなや、今度は経済だと、アベノミクス第二ステージ、「新三本の矢」を打ち出した。六〇年安保後に、池田政権が「所得倍増計画」を打ち出し、高度成長のもとに人民を動員したように、安倍政権は、「新三本の矢」を打ち出したのである。だが、そうはいかない。「新三本の矢」は、①「希望を生み出す強い経済」としてGDP六百兆円の達成、②「夢を紡ぐ子育て支援」として出生率1・8の実現、③「安心につながる社会保障」として介護離職ゼロ、だと言う。ブラックジョークである。新自由主義のもとで、貧富の格差が劇的に拡大し、ワーキングプアが広範に生み出された。非正規雇用が増大し、社会保障政策が後退させられ、社会保障分野が資本の市場へと解体させられた。そうであるが故に、出生率も下がり続け、介護離職も減ることがなかったのである。さらには、「一億総活躍社会」などと、担当大臣までおいた。「一億総活躍社会」とは、戦争法を成立させ、戦争国家化を進める安倍政権らしい発想と言わねばならない。戦争への総動員という発想と通底するものなのである。必要なのは、貧困も格差もなく、誰もが安心して暮らすことができる社会なのである。 そもそも、安倍政権の旧「三本の矢」は、完全に破産している。金融緩和と財政出動は、株価上昇のみに結果し、投機資本を潤しただけだった。成長戦略は、労働法制の改悪と労働者階級からの強搾取しか意味しなかった。2%インフレ政策もその実現は三度も繰り延べされ続けている。日本資本主義はデフレから脱却できず、ますます多国籍資本の利益のために、米軍とともに自衛隊を世界中に出動させることを迫られてきた。軍需産業の要求も強力にこれを支えている。ブルジョアジーの一部は、自らの活路を開くために安倍政権の戦争国家化に道を見出しているのである。 こうしたなかで、安倍政権は、戦争法を成立させるや、臨時国会も開くことなく、来年の参議院選挙で多数を獲得することに当面の焦点を移行しだした。参議院選挙で多数を獲得することで、いよいよ憲法改悪にむけた策動を政治日程にのぼせていこうとしている。十一月十日、日本会議が主導する改憲集会にビデオメッセージを寄せた安倍首相は、緊急事態条項の必要と九条改悪を主張したのである。安倍の強力な支持基盤へのリップサービスではなく、安倍自身の本音がここにあるということなのである。 反動攻勢を強める安倍政権を打倒しよう。安倍政権の戦争政策、日米軍事同盟強化と基地強化・新設策動、原発再稼働、さらに改憲策動、派遣法改悪などますます強まる労働者への搾取強化、生活破壊、こうした政治に真っ向から対決する全人民的決起を作り出そう。そして全人民政治闘争の内部に、左派勢力の復権を進めていこう。 こうした目的で形成された「集団的自衛権法制化阻止・安倍たおせ! 反戦実行委員会」は、戦争法をめぐる攻防をへて、「戦争法廃止! 安倍たおせ! 反戦実行委員会」として新たなたたかいを開始する。われわれは、このたたかいを牽引しともにたたかう。現代資本主義・帝国主義がもたらす、戦争、貧困、これらを真に一掃するためには、左派勢力の復権こそが求められているからである。「戦争法廃止! 安倍たおせ! 反戦実行委員会」は十二月十二日、「戦争法廃止・安倍たおせ! 12・12集会」を呼びかけている。左派勢力にとって、いま求められているのは、安倍政権の反動攻勢に抗し、安倍政権を倒す共同のたたかいに共に力をあわせること、これを一致点に、共同で左派勢力全体の復権を前進させていくことである。ともにたたかうことを訴える。 |
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