共産主義者同盟(統一委員会)


1465号(2015年8月5日) 政治主張






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 基地建設阻止! 戦争法案粉砕!

 安倍政権を窮地に追い詰めろ
               

 


 日帝―安倍右翼反動政権は七月十五日、衆院特別委員会で、安全保障関連法案(戦争法案)の採決を強行した。この暴挙を断じて許すことはできない。徹底弾劾し、かならず廃案に追い込もう!
 この暴挙は、米帝との軍事同盟を強化し、日本を全世界で「戦争のできる国」に作り変えるためには、どのような反対の声があろうと踏みにじるという安倍政権の意志を体現している。国会周辺は連日、労働者人民に包囲され、「安倍を倒せ!」「九条壊すな!」の怒りの声が満ち満ちた。
 衆院で採決されたからといって、たたかいが終わるわけではない。安倍政権の支持率は急落している。七月十七、十八両日に実施された全国電話世論調査(共同通信社)によれば、安倍政権の支持率は37・7%で、前回六月の47・4%から9・7ポイント急落した。逆に不支持率は51・6%(前回43・0%)と半数を超え、第二次安倍政権の成立以降、初めて支持と不支持が逆転した。
 支持率低下に追い詰められた安倍は、七月十七日、二千五百二十億円にも膨らんだ建設費をめぐり批判が集中していた、新国立競技場の建設計画を「白紙に戻しゼロベースで見直す」と明言して、支持率回復に躍起になっている。だがこれは逆に、「新国立競技場が撤回できるなら、安保法制も撤回しろ」との怒りの声を巻き起こしてもいる。
 さらなる国会包囲行動、全国各地での反戦運動で、戦争法案成立阻止の全人民政治闘争を今こそ高揚させよう。そのただなかで、安倍政権そのものの打倒をめざす反資本主義左派の政治勢力を発展させようではないか。

 ●第1章 戦争法案強行採決を許すな!

 集団的自衛権「合憲」化を柱とする安全保障関連法案(戦争法案)が七月十五日の衆院特別委員会で、自民、公明両党の賛成で可決された。民主ら野党五党は採決に加わらなかった。法案は十六日の衆院本会議で可決され、参院に送付された。まさに国会内での数に力を言わせた暴挙であり、「議会制民主主義」の形骸化もはなはだしい。
 衆院での強行採決が迫るや、連日、国会周辺で抗議行動が取り組まれた。
 十四日夕方、「戦争させない・九条壊すな! 総がかり行動」が主催した日比谷野外音楽堂集会は開場直後に満杯となり、公園内に人があふれかえった。警察の不当規制で国会への請願デモが寸断されたため、デモ出発はひどく遅延した。国会に対する怒りのデモが、警察の弾圧をうちやぶって敢行された。国会の議員面会所前で手を振る野党議員に対し、叱咤激励の声が飛び交った。
 十五日は午後から国会正門を中心に強行採決に危機感を持った労働者人民が続々と結集。「安倍を倒せ! 反戦実」の仲間も正門のメインステージ横に陣取った。特別委での採決強行の知らせが入ると、あちこちで怒りの声が上がった。反戦実も独自集会を開くなど気勢を上げ、夕方から総がかり行動に合流。六時を過ぎると、勤め先から駆けつけた労働者が合流して正門前は足の踏み場もなくなった。
 警察権力は巨万人民の怒りの声を何とかして封殺しようと、勝手に歩行者の通行を制限した。機動隊が盾となって阻止線を張り、あちこちに鉄柵を設置した。熱中症予防のため配置された給水車や、深夜まで及ぶ抗議行動に炊き出しをする人々にすら規制を加えるという「過剰規制」に対し、あちこちで怒りの声が上がった。警察権力の弾圧体制をはねかえす行動が澎湃(ほうはい)と巻き起こった。
 抗議の声が巻き起こっているのは国会周辺だけではない。安倍の「憲法破壊のクーデター」に対し、これまで街頭での政治行動に参加したことのない学生など若い世代をはじめ、重大な危機感を持って多くの市民がたたかいに立ち上がりはじめたのが情勢の特徴のひとつだ。

 ▼1章―1節 違憲立法を許すな

 六月四日の衆院憲法審査会で、参考人の憲法学者三人全員が安保法案を「違憲」と断じた。それ以後も、戦争法案は違憲だとする声明などが各方面から続出している。
 全国の大学で憲法を教える教授ら三百二十八人を対象に、法案の合憲性などを尋ねるアンケートを実施したところ、回答した二百四人(回答率62%)のうち、法案を違憲としたのは百八十四人で、九割に上った。「合憲」はわずか七人(3%)にとどまった(東京新聞調べ)。世論調査を見れば、安保法制の賛否は七月四、五両日の調査で「賛成」29%、「反対」は58%(毎日新聞)。地方においても、全国で少なくとも三百三十一の地方議会が国会や政府への意見書を可決しており、その内訳は、「反対」の立場が百四十四議会、「賛成」が六議会、「慎重」は百八十一議会となっている。戦争法案は「違憲」「反対」であるというのが、保守層も含めて、世論の大勢になっていることが明らかだ。
 これに対し安倍政権が、集団的自衛権を合憲とする根拠としているのは何か。それは、在日米軍の合憲性が問われた「最高裁の砂川判決」のみである。
 安倍の論議は全く我田引水であり、この「判決」は集団的自衛権「合憲」の根拠になるものではない。
 衆院の安保国会では、合憲性のほか、「どんなときに集団的自衛権を行使できるのか」「自衛隊の活動範囲はどこまでか」「自衛隊員のリスクはどうなるか」「他国の戦争に巻き込まれるのか」など論点は多岐にわたった。これらについての安倍や中谷元・防衛大臣の答弁もデタラメで苦し紛れの逃げ口上に満ちていた。
 野党の質問で、自衛隊員のリスクはどうなるかと問われれば、「リスクが増える可能性がある」(中谷)「リスクは下がる」(安倍)と食い違う。どんなときに集団的自衛権は行使できるのか、という質問には「政府が総合的に判断する」と繰り返すだけで明確な基準は述べない。これでは「時の政府の裁量次第」と言っているのと同じだ。他国の領域での武力行使は「一般的に許されないが、ホルムズ海峡での機雷掃海は例外」と言ってみたかと思えば、「他国領域での米艦防護」も否定しない(安倍)。自衛隊の活動範囲も「日本の安全に重要な影響を及ぼす地域は限られない」と限定せず、「イスラム国」への軍事行動を支援する可能性も認めている。つまり、政策判断によって際限無く派兵範囲が拡大するのだ。
 安倍は「まだ国民の理解が進んでいないのも事実だ」と認めているが、こんなデタラメで、かつ恣意的な説明で「理解」などできるわけがないだろう。
 安倍と閣僚たちが国会答弁をいくら繰り返しても、それは詭弁の積み重ねになっている。安倍―自民党は論理的に破綻しており、マスコミなどの言論圧殺を企てるほかなくなっている。六月二十七日の自民党若手議員の勉強会「文化芸術懇話会」で講師として招かれた作家・百田尚樹による「沖縄二紙をつぶせ」発言は、悪辣な沖縄差別暴言である。安保法案を論理的に説明できないがゆえに、言論機関そのものを封殺しようとの衝動に駆られた自民党の本性そのものなのだ。

 ▼1章―2節 さらなる国会行動で安倍政権打倒の全人民決起を

 戦争法案は完全に違憲だ。後半国会で徹底的に追い詰め、廃案に追い込もう。
 国会包囲行動は、3・11東日本大震災―福島第一原発事故以後、原発再稼動とのたたかいや秘密保護法制定阻止のたたかいの地平の上に立ち、広範な人々が立ち上がった巨大な民衆運動になろうとしている。われわれはこの流れを促進し、「戦争と貧困を強制する安倍を倒せ」を合言葉に、労働者民衆の先頭でたたかおう。
 重要なことは、マスコミが戦争法制の「成立の公算大」と報道するなかで、むしろ「たたかいはこれからだ」と多くの人々が決意していることである。首相周辺は「国民はどうせすぐに忘れる」と侮っているが、とんでもない誤解である。戦争法案は阻止できる。これは根拠のないことではない。安倍の支持率をさらに急落させ、追い詰める中で、与党内から法案に反対ないし棄権する議員を生み出す。あるいは、たとえ可決されたとしても、裁判所の違憲判決を引き出すことができれば、戦争法制は無効となる。あらゆる手段で、徹底して廃案・無効をめざしてたたかおう。
 同時にわれわれは、戦争法案粉砕闘争を、沖縄の新基地反対運動に連帯し、沖縄人民の自己決定権を求めるたたかいと結合させるために奮闘しよう。
 現在の戦争法案は、日米安保と自衛隊の現状をさらに飛び越えつつ、辺野古への新たな基地建設攻撃と同時一体的に進められている。集団的自衛権行使の法制化で、日米両軍の一体化が進行し、沖縄が日米両軍の戦争出撃拠点としてますます固定化されることになる。これを見据え、戦争法案と辺野古新基地建設を串刺しにして粉砕しなければならない。いま、戦争法案に危機感を持ち、新たに立ち上がった市民にも、沖縄のたたかいとの連帯と結合を訴える必要がある。それはまた、戦争法案反対運動の中で主流となっている「戦後日本の民主主義・平和主義の防衛」という限界をも超えるものとなる。われわれは、沖縄民衆の自己解放闘争との結合、そして中国や朝鮮半島、フィリピンなどアジア民衆、そして世界の民衆との共同闘争による、帝国主義戦争の粉砕と真の平和の樹立という展望をたたかいの中で明らかにしつつ、戦争法案反対運動の一層の高揚をたたかいとろうではないか。

 ●第2章 川内原発再稼働阻止

 九州電力は七月七日、川内原発一号機(鹿児島県薩摩川内市)への核燃料搬入を開始した。再稼動に向けた設備検査を行なっており、八月中旬には原子炉を四年三か月ぶりに再稼動させようとしている。稼働後は、送電線網に電気を送りながら徐々に出力を上げ、原子力規制委員会の全検査が終わる見込みの九月中旬に営業運転に入る予定だという。
 誰もが指摘することだが、原発を再稼動しなくても電気は足りている。再稼動しなければならない理由、それは電力会社の利益のためであり、安倍・自民党の核武装準備のためである。住民にとって何の利益にもならない。福島第一原発事故の教訓を無視して、住民を被曝の危険にさらし、被曝労働者を増やすだけである。
 九州電力は、原子力規制委員会の審査に合格した昨年九月以降、何をしてきたのか。地元住民らが求める住民説明会などまったく開いていない。「九電が設定した基準地震動は過小ではないのか」「巨大噴火が起きても大丈夫なのか」、こうした住民の不安に九電はまったく答えない。
 一方、鹿児島県や原発周辺自治体は、いまだに避難訓練を一回も実施していない。福島第一原発事故では、高齢者や障害者の避難が大幅に遅れた。避難計画を持ってはいても、訓練をしなければ実効性はないに等しい。訓練を実施すれば再稼動反対の意見が高まるのを恐れているのだろうが、人命軽視もはなはだしい。

 ▼2章―1節 再稼働阻止! 川内現地攻防へ

 九州では六月七日、「GOODBYE NUKES ストップ再稼動! 三万人大集会in福岡」が開催され、一万五千人が結集して川内原発再稼働阻止を訴えている。
 「原発再稼働阻止全国ネットワーク」は、川内原発の再稼働に対して川内現地での阻止行動を呼びかけている。原発に反対する住民とともに、全国から川内現地にかけつけ、阻止闘争を断固たたかいぬこう。

 ●第3章 今夏、安倍打倒の連続闘争に起とう

 今夏、われわれは安倍政権打倒を掲げ、「戦争法案粉砕、辺野古新基地建設阻止、原発再稼動阻止」の三大決戦をたたかおう。
 戦争法案の審議は参議院に移った。これまで同様、破綻した論理で安倍政権は審議を進めるだろうが、ますます批判の声と運動が高まるのは必至だ。戦争法案を廃案へ。街頭に決起するすべての民衆とともにたたかおう。東京での国会攻防では、反資本主義・左派総結集でもって、安倍打倒闘争へと運動を牽引しよう。青年学生はその先頭に立とう。
 辺野古新基地建設を断固阻止しよう。
 大浦湾でのボーリング調査が、九月末まで延長された。これは、キャンプ・シュワブゲート前での工事車両搬入阻止闘争や、海上でのカヌーチームをはじめとする、沖縄人民のたたかいの成果である。だが、許しがたいことに安倍政権は基地建設を断念していない。今もキャンプ・シュワブ内で兵舎解体・移設などの工事を進めている。仮設道路の建設も虎視眈々と狙っている。
 七月十六日、仲井真元知事の新基地建設に関する埋め立て承認をめぐり、その手続きに瑕疵(かし)がないか検証してきた第三者委員会が、その報告書を翁長雄志知事に手渡した。そこでは、手続きには「四つの法的瑕疵がある」としているようだ。報告書の全貌は不明だが、翁長知事は「承認取り消しを含めて対応を考える」と発言している。いよいよ沖縄「県」は、安倍政府との法廷闘争も視野に入れた、本格的な対決段階に入ろうとしている。
 翁長知事のこの立場は、保守系も含むすべての沖縄人民の怒りと、現場のたたかいを根拠としている。七月十八日には、ゲート前の座り込みから一年を迎え、集まった市民は手をつなぎ基地包囲行動をたたかった。この一年、逮捕者やけが人を多数出しつつも、沖縄の民衆は連日、現場行動をたたかってきたのである。
 辺野古新基地建設阻止の現場攻防を、今後も全力で支援していこう。本体工事着工に備え、今まで以上に支援体制を強化しなければならない。同時に、沖縄のたたかいへの共感をつくりだし、戦争法案阻止からさらに一歩進んで、沖縄を犠牲にしている日米安保体制そのものを切り裂くたたかいを、「本土」において今こそ作り出すために、奮闘しようではないか。

 ▼3章―1節 労働法制改悪攻撃

 労働者派遣法改悪案は六月十九日に民主・生活・社民などが反対するなか、緊急上程の形で同法案の採決を衆院本会議で強行し、自民・公明などの賛成多数で可決された。七月八日からは、参議院での審議が始まっている。
 アベノミクスの「成長戦略」の本質こそ、労働者のさらなる非正規化であり、格差の拡大だ。派遣法改悪を絶対許してはならない。
 たたかう労働者、労働組合が指摘するように、派遣法改悪の狙いは「一生涯派遣」の労働者を増やすことにある。「三年後に派遣先で直接雇用される可能性が出てくると国は言っているが、ほとんどその可能性はないと思う」とは、ある派遣労働者の実感だ。「日本の労働規制は(解雇に厳しい制約があるなど)諸外国に比べ厳しく、日本企業の国際競争力を弱める大きな要因になっている」などと資本家たちはみずからの利益のみを考えている。七月十四日には、経団連など三団体が「労働者派遣法改正案の早期成立を求める要望書」なるものを関係機関に提出し、自民党にハッパをかけた。
 自公政権は、労働者を不安定雇用・低賃金のもとに抑え込み、戦争で兵士が必要となれば「経済的徴兵制」で自衛隊に勧誘しようというのだ。戦争法案阻止と一体に、労働法制改悪阻止のたたかいに立ち上がろう。

 ▼3章―2節 安倍七十年談話粉砕しよう

 安倍首相は戦争法案成立に向けた延長国会のただ中で、八月初旬にも戦後七十年の「安倍談話」なるものを発表しようとしている。日本軍性奴隷制度の歴史的事実を否定し、侵略戦争を賛美する安倍の悪辣な意図を徹底的に暴いていかなくてはならない。
 この「安倍談話」については、日帝の戦争被害を受けたアジア諸国・人民が警戒を強めている。国内でも、七月十七日、歴史学者や国際法学者、国際政治学者ら七十四人が声明を発表している。それは一九三一年の「満州事変」から四五年までの太平洋戦争について、日本の侵略戦争と明記しない場合、「過去への反省について関係諸国に誤解と不信が生まれる」として、安倍に侵略戦争と明記するように求めている。安倍はこれまで「侵略の定義は定まっていない」という趣旨の国会答弁を行ったり、「慰安婦報道」を巡って朝日新聞を徹底的に叩いたこと、さらに遡れば女性国際戦犯法廷を取り上げたNHK番組に圧力をかけ、改ざんしてきた経験をもつ極右分子であることを再度、暴露する必要がある。安倍政権のもとで跳躍する天皇主義右翼、排外主義勢力の跋扈(ばっこ)を許すな。
 「誇りある日本を」と侵略の歴史を美化し、労働者民衆を新たな戦争へ動員していく安倍右翼反動政権を戦争法案粉砕闘争のなかで打倒しよう。アジア人民と連帯し、侵略美化の「安倍談話」、閣僚の靖国神社参拝を阻止しよう!

 ▼3章―3節 8・6広島青空式典に結集しよう

 広島・長崎への原爆投下から七十年が経つ。この間、被爆者・戦争体験者はじめ多くの民衆は反戦反核を訴え続けてきた。だが安倍政権は、これをあざ笑うかのように解釈改憲で「戦争のできる国」づくりを進めている。さらには、原発再稼動、原発輸出に突き進んでいる。
 世界でも帝国主義の核戦争の危機が深化している。ロシアのプーチン政権は核の先制使用を想定した軍事訓練をおこなっている。米帝もまたマンハッタン計画の関連施設を国立歴史公園に指定する法案を可決するなど、「ヒバクシャ」の核廃絶への願いとはまったく逆行している。
 こうしたなか、たたかう被爆二世の仲間は、今年も広島平和公園内で、8・6青空式典を取り組もうとしている。青空式典はこの数年、韓国の平和・環境団体も加わり、日韓共同行動として積み重ねられてきた。来広する安倍首相を弾劾し、反戦反核・反原発のたたかいとして、全国から原爆ドーム前に結集しよう。
 八月~九月の攻防を断固たたかいぬき、安倍政権を徹底的に追い詰めていこう。



 

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