共産主義者同盟(統一委員会)


1460号(2015年5月20日) 政治主張






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 日帝―安倍政権は五月十四日、戦争法制案の閣議決定を強行した。これに先立つ四月二十七日には日米安全保障協議委員会(2+2)、二十八日には日米首脳会談を行ない、日米防衛協力の指針(日米ガイドライン)の改定を行なっている。
 新たな日米ガイドラインをもって、侵略反革命戦争を日米共同作戦として進める戦争体制を作り出すことを絶対に阻止しよう!
 全国で闘う労働者、学生、市民のみなさん、われわれ共産主義者同盟(統一委員会)とともに、戦争法制粉砕―安倍政権打倒の全人民政治闘争を創出していこう!

 ●第1章 日米ガイドライン改定弾劾―戦争法制粉砕

 ▼1章―1節 日米首脳会談弾劾

 四月二十八日、日・米帝国主義は首脳会談を行なった。日米共同声明では、日米安保条約すらのりこえる二国間の「経済的軍事的協力と発展」を発表した。
 日米首脳会談と合わせて行なわれた四月二十七日の2+2は、日米ガイドライン改定に合意した。
 日米ガイドラインは、日米安全保障条約に基づくとされながら、日米間の日米軍事同盟の強化、戦争の共同作戦計画の策定、それを遂行するための体制整備、共同演習、そして、日本の派兵-参戦の基礎とその根拠となってきたのである。
 そもそも、日米安全保障協議委員会(2+2)文書は日米の外務・防衛の四閣僚が合意しただけの文書であり、条約でもなんでもない。それぞれの国内法を規定するような法的な効力、拘束力はまったくないのである。しかし、九七年ガイドラインにおいて明らかなように、その合意内容は周辺事態法、武力攻撃事態法の内容を規定していたのである。今回新たに作られた一五ガイドラインは、今後の日本の戦争法制を規定する内容を日米両政府が合意したものであるということは怒りをもって押さえておかなくてはならない。
 新たなガイドラインは、日米の共同軍事作戦に関して次の五つの類型を規定している。
 「A、平時からの協力措置」は、情報収集、警戒監視および偵察活動、訓練・演習
「グレーゾーン事態」に対してこの内容で対処することを企図している。
 「B、日本の平和および安全に対して発生する潜在的な脅威への対処」は、九七年ガイドラインでは周辺事態への対処となっていた項目を改定したものである。「日本の安全に重要な影響を与える事態(重要影響事態)」と設定し直し、地理的制約をはずして、世界中どこでも「非戦闘員退避活動」や「捜索・救難」、「警護活動」などを行なうとともに、日米間で相互の「後方支援」を行なうとしている。
 「C、日本に対する武力攻撃事態への対処攻撃」は、九七年ガイドラインを踏襲するものであるが、「作戦構想」「作戦支援活動」を改定していくことを企図するとしている。
 「D、日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動」は、集団的自衛権法制化を前提とした項目である。「自衛隊は、日本と密接な関係のある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態に対処し、日本国民を守るため、武力の行使を伴う適切な作戦を実施する」としている。
 そして、その後に掲げられた「作戦の例」の主語はすべて「自衛隊および米軍は」となっており、日米共同作戦として、この「武力の行使」すなわち戦争をなすことが明示されている。この項に「弾道ミサイルの迎撃」もあげられている。
 「E、日本における大規模災害への対処における協力」は、東日本大震災の米軍「トモダチ作戦」の制度化ともいえるが、災害に対する日米間の対処を軍事同盟関係による対処として捉えて「協力」しようということであり、防災を軍事主導で行なうということである。また、本文中には、「当該災害が日本における米軍の活動に影響を与える可能性があることを認識し」という考え方が前提となっており、災害時にも米軍の軍事行動を確保することを位置づけている。

 ▼1章―2節 新ガイドラインは違憲違法

 このガイドライン改定は、昨年七月一日の閣議をも大きく乗り越えるような違憲違法な行為である。「集団的自衛権法制化」を、日本の国会ではなく、ニューヨークで開催された2+2の場で、まるで「国際公約」であるかのように合意し、これを「公式文書」として発表するという、そのものが問題なのである。D項目は「日本以外の国」での戦争への参戦を明記しており、集団的自衛権行使であり、明白に憲法九条を否定するものである。昨年七月一日に安倍政権が勝手に閣議決定したといっても、憲法九条をはじめとした日本の法体系はまったく変更されていないのである。このような文書を、一内閣の二人の閣僚の判断によって米政府と合意するということ自体が違憲違法な行為であることは明らかである。

 ▼1章―3節 日米ガイドラインと軍事作戦

 B項目は「周辺事態」から「重要影響事態」へ書き換えられたものであるが、ガイドラインの文言を書き換えれば何でも可能になるということではない。日米ガイドラインの前提となっている安保条約第四条および第六条は、地理的範囲を「日本」と「極東」に限定している。B項目は米軍の活動範囲ではなく、自衛隊と米軍の活動範囲に関して、これを公然と乗り越えることを想定しているのであり、違憲違法どころか、安保条約をすら乗り越えてしまっているのである。
 このような内容は、条約改定として扱わなければならないものである。
 日米安保条約―日米軍事同盟とは何なのか。
 日本帝国主義の帝国主義としての軍事力の回復、「普通の帝国主義」としての侵略反革命戦争に参戦する野望と、一方ではこの日帝の意図を全面的に利用し、同盟国として動員する米帝のアジア太平洋戦略―軍事戦略によって、この同盟関係は維持、強化されてきた。
 この日米軍事同盟の強化の歴史的な結節点において、日米安保の実質的な改編を推し進めるために日米ガイドラインは位置づけられてきたのである。
 七八年ガイドラインは、ベトナム民族解放革命戦争の勝利―米帝の敗退、そして、七四―七五年恐慌という国際情勢の中で行なわれた七五年以降の日米安保協議によって合意されたものであった。世界情勢全般の「危機」に対応して、東アジア―アジア太平洋レベルでの軍事再編を進めようとしたものであった。
 九七年ガイドラインは、ソ連邦・東欧圏の崩壊、九一年中東侵略反革命戦争(中東湾岸戦争)以降の世界支配体制の転換、世界規模での軍事侵略の転換という状況下で、アジアにおける「冷戦後」の軍事戦略の練り直しとして進めようとしたものであった。
 九七年ガイドラインは、具体的には朝鮮戦争を想定した米軍の軍事作戦を全面的に支援するために日本国内の人的・物的資源を確保し、総動員する計画を立法化すると同時に、日本有事に対しては日本が主導して戦争を行なう態勢への転換を図ろうとした。
 一方では、極東―「周辺」という範囲で想定された日米共同作戦計画に対応したガイドラインと有事法制であったために、中東での対応が困難になり、アフガニスタン侵略戦争、イラク侵略戦争に際しては、時限立法で対応せざるをえないという矛盾も伴ったのである。
 二〇一五年、新たなガイドライン合意をもって、日帝―安倍政権は、没落しつつある米帝の世界戦略の一端を担うことをもって、「戦争ができる国」への脱皮を図ろうとしている。断じて許すことはできない。
 安倍政権は、日米間の軍事協力、共同軍事作戦計画を先行させ、これをもって憲法、国内法を乗り越える戦争法制を作ろうとしているのだ。
 今回のガイドライン改定は、これまでの「日本の防衛」という論議の次元では、いかに詭弁を弄しても説明できない軍事作戦を想定している。「日本の自衛」などではなく、世界中どこでも侵略反革命戦争に日本が参戦できる共同作戦を策定しようということである。そのために、安倍政権は集団的自衛権「合憲」化に踏み込み、戦争法制策定に突き進んでいるのだ。
 前述したように、ガイドラインとは条約でもなんでもない。日米両国の外務・防衛閣僚四人の合意事項でしかない。こんなもので、自衛隊と労働者人民を戦争に総動員する体制を創り出していくことを絶対に許してはならない。
 ガイドラインの内容を無効化すべく、戦争法制を粉砕していこう。

 ●第2章 辺野古決戦を断固闘おう

 安倍政権は、日米新ガイドラインの画歴史的改編から戦争立法へと突き進み、その重要な基盤として沖縄―辺野古新基地建設を強行している。
 四月五日の翁長知事と菅官房長官の会談に続き、四月十七日には安倍首相との会談が行なわれた。安倍政権が沖縄の民意を踏みにじり、暴力的に推し進めている辺野古新基地建設について、安倍は「(辺野古移設が)唯一の解決策であると考えている」としたのに対して、翁長知事は「すべての選挙で辺野古の新基地建設反対という圧倒的な民意が示された。沖縄は自ら基地を提供したことは一度もない。銃剣とブルトーザーで強制収用され、基地建設が行なわれた。(強行される基地建設について)こんな理不尽なことはない。移設作業の中止を求める」と批判したのだ。
 翁長知事は、全選挙において圧倒的な支持を受けて誕生している。その最大級の焦点は、沖縄の民意であり翁長知事の公約でもある辺野古新基地建設阻止である。安倍はこの会談において、「(沖縄に対して)大きな負担をおかけしている。少しでも負担軽減を行なっていきたい」とうそぶき、翁長知事に対して、屈服と懐柔を迫っている。しかし実際には、安倍政権は「県」警―機動隊、海上保安庁を使い、この新基地建設に抗うゲート前、海上において、沖縄人民の不屈の闘いを弾圧し、基地建設を強行しているのだ。基地負担軽減などとは全くのでたらめである。
 日米首脳会談を前にして、米帝に「基地建設は着々と進んでいます」という「手土産」作りにすぎない。日米ガイドライン改定を強行し、新たな侵略反革命戦争に突き進む準備を行なっているのである。絶対に許すことはできない。
 辺野古現地のたたかいが翁長知事の三月二十三日の「工事停止命令」の決断を生み出している。
 辺野古現地において、ゲート前では実力でもってテント設置―二十四時間態勢の闘争を続けている。沖縄「県」警―機動隊は暴力を行使し、資材搬入阻止のゲート前の闘いを弾圧している。しかし、ケガ人を出しながらも新基地建設実力阻止闘争は大爆発が勝ち取られているのである。海上では、「辺野古ブルー」の闘いによって、沖縄防衛局が三月三十日まで再延長したボーリング調査をじりじりと遅れさせ、さらなる再延長をせざるを得ない状況に追い込んでいる。
 海上保安庁の国家権力むき出しの暴力を受けながらも、果敢に闘いを推し進めているのだ。この陸上、海上を貫いた沖縄人民の総抵抗、実力闘争が、辺野古新基地建設を阻止しているのである。
 沖縄防衛局は、仲井真前知事が許可した「岩礁破砕」のために、大型フロート設置のための三十トンから四十五トンものトンブロック投入を行なった。ヘリ基地反対協所属のダイビングチーム「レインボー」の潜水調査でこの投入された場所が区域外であること、そしてそのブロックの下ではサンゴ群落が破壊されていることが判明した。
 沖縄防衛局はボーリング調査が大幅に遅れており、これからの台風対策、さらには「辺野古ブルー」や「船団ドリーム」によって、いとも簡単に乗り越えられていたフロートを大型化、さらには大幅に拡張するために行なったアンカートンブロックの投入が全くの裏目に出てしまったのである。この「岩礁破砕許可申請」の行政文書には、「本申請外の行為をし、又は付した条件に違反した場合は、許可を取り消すことがある」とあり、それを受けて三月二十三日に、翁長知事は工事停止命令を沖縄防衛局に対して提出した。しかし、防衛局はトンブロックを「アンカー(錨)」だから、「許可対象外」であると言い放ち、日帝―防衛省は停止命令が出た次の日の二十四日には農林水産省宛に行政不服審査請求と審査完了までの作業停止命令の執行停止申し立てを行なったのである。その舌の根も乾かないうちに農林水産大臣林は「停止指示効力の執行停止」を決定する茶番を打ったのである。
 農水大臣でありながら林は「普天間周辺の住民の危険性や騒音の継続による損害、日米両国間の信頼関係への悪影響による外交・防衛上の重大な損害が生じる」と防衛大臣・防衛省そのままの説明を行なっている。
 本来、行政不服審査法は、「行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立ての道を開くことによつて、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする」ものであって、日帝―防衛省が一民間人であるかのようにそれを行使することは、国家権力の濫用そのものである。恣意的意図的なこの法の悪用、濫用は断罪されなくてはならない。
 日帝―安倍政権の全体重をかけた沖縄人民への圧力を、わたしたちは断固粉砕していかなければならない。違法不当な工事を行なっている沖縄防衛局は直ちに作業を中止しろ! 不屈に闘いを続ける沖縄人民とともに、警察権力、海上保安庁の激化する不当弾圧を打ち破ってたたかおう!

 ●3章 沖縄の島ぐるみ決起に連帯し、辺野古現地決戦に起とう
 

 昨年から大爆発を勝ち取っている辺野古新基地建設阻止の「県民集会」においては、二月二十二日には約四千人、三月二十一日にも約四千人が結集し、さらには「止めよう辺野古新基地建設! 民意無視の日米首脳会談糾弾! 4・28県民屈辱の日 県民大集会」には二千五百人が結集した。
 五月十七日には、那覇市セルラースタジアムにおいて三万人規模の辺野古新基地建設阻止の県民大会が行なわれた。
 この沖縄の闘いを受けて、五月二十四日には「5・24首都圏アクション 国会包囲ヒューマンチェーン 止めよう!辺野古新基地建設 許すな!日本政府による沖縄の民意の圧殺を」が行なわれる。沖縄人民の闘いに呼応し、辺野古新基地建設を絶対に阻止するために総力で決起しよう。
 辺野古新基地建設阻止の闘いはまさに沖縄人民総体の闘い、島ぐるみの闘いとして繰り広げられている。「本土」、全国各地において、この沖縄人民の闘いに応え、日帝―安倍右翼反動政権打倒を闘おう。この闘いを最大の階級攻防としなければならない。革命党の責務をかけ、辺野古基地建設阻止の決戦に全党で断固として決起する。ともに勝利に向けて闘おう。

 ●第4章 安倍政権打倒の全人民政治闘争を創出しよう

 安倍政権は五月十四日、戦争法案を閣議決定した。今国会において、戦争法制を強行可決し、集団的自衛権「合憲」化、派兵―侵略戦争を「合法化」しようとしている。日米首脳会談、日米ガイドライン改定、戦争体制、「戦争ができる国づくり」を絶対に許してはならない。五月、六月での「安保国会」を断固粉砕するべく、国会を取り囲み実力闘争で闘おうではないか。まさに今国会周辺での闘争は、一連の戦争法制、辺野古新基地建設、川内原発をはじめとした原発の再稼動、労働法制改悪、貧困格差を作り出してきたアベノミクスによるさらなる人民搾取強化、これら全てに対する闘いを結合し、安倍右翼反動政権打倒の全人民政治闘争へと発展、糾合していく闘いである。総力で決起し、闘おう!
 日米のアジア支配に反対する日本の闘いを発展させ、アジア人民との連帯運動を推進する全国的な共同闘争を発展させるべく、六月に行なわれる、アジア共同行動日本連絡会議の連続的取り組みを全国で支持・支援し、成功させよう!
 辺野古決戦、原発再稼働阻止、戦争法制阻止を掲げた反帝国際連帯運動を全国で成功させよう!
 「集団的自衛権阻止! 安倍をたおせ! 3・21さあいくぞ!デモ」から開始された左派総結集の闘争をさらに大きく拡大しよう! 安倍政権打倒の全人民決起の国会行動を実現していこう。今こそ、「安倍たおせ」をはっきりと掲げた全人民政治闘争を大きく推し進めていこう! 6・21反戦デモに全国から総決起して闘おう!


 

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