共産主義者同盟(統一委員会)


1457号(2015年4月5日) 政治主張






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共産主義青年同盟(学生班協議会)




 新入生の皆さん! 皆さんはこれからどのような学生生活を送る予定でしょうか。
 殺人的な受験戦争を突破した皆さんは、大学に大きな希望を抱いている事と思います。
 しかし一方で、学生を取り巻く環境が大きく変容する中、学生総体の将来が決して輝かしいものとはいえない現実が存在することは、皆さんも察していると思います。
 少なくない学生が、国立大・私立大を問わず極めて高額な学費を納めるため、アルバイトに明け暮れざるを得ない。あるいは「学問の府」であるはずの大学から、入学当初より、就活のためのキャリア形成を要求され、自分のやりたいと思っていた研究ができない。徹底的に「就職予備校」化された大学の実態は、時を経るごとに深刻なものとなり、学生を個別分断し、絶望に追い込んでいます。
 大学のみならず、われわれの生きる社会も、激動の時代を迎えつつあります。
 安倍政権は一昨年、特定秘密保護法を制定し、昨年七月一日閣議決定によって集団的自衛権の「合憲」化を強行しました。これは憲法の抜本的改悪と、自衛隊を含んだ軍事力の海外展開を策動するものであり、戦後体制を右から突破する試みです。
 消費税増税や労働法制改悪など、大衆に対する収奪も強化されています。
 今や学生としての私たちは、自身の生き方を痛切に問われる時代に生きているといえます。
 大学当局に言われるまま、GPA(Grade Point Average)の上下に呻吟しながら就活に勝ち残り、小市民的な生活を追求することだけが、私たち学生に残された唯一の道なのでしょうか。
 決してそんなことはありません。
 私たち共産主義青年同盟(学生班協議会)はかかる時代にあって、日本社会そのものを変革する闘いに皆さんが決起されんことを切実に訴えたいと思います。

  ●一章 大学生の現状、閉塞を突破する道

 現在の日本には、およそ七百八十校もの大学が存在しており、十八歳人口の二人に一人が大学生です。
 一言で大学といっても、東大・京大を頂点とする将来の支配階級を形成する機関としての大学から、職業訓練校とほぼ同質の大学まで様々です。
 大学の多様化は、決して学生の要望や知的欲求にこたえたものなどではなく、徹底的に大学が産業に隷属する過程(就職予備校化)で生じたものに他なりません。
 二〇一四年十月に実施された文科省の有識者会議においては、「グローバルで通用する極めて高度のプロフェッショナル人材」(同会議資料)を輩出できるトップ大学以外をG(グローバル)型・L(ローカル)型大学に分類し、学問より「実践力」を学ばせるべきだとされ、文系学部の実質的廃止が公然と掲げられています。
 今年三月の教育再生実行会議では、「アカデミックに偏りがちな大学を変革し、産業界が求める即戦力を育てる」旨の提言が提出されました。
 国際競争に勝ち残るという観点から、産業の効率性・実効性のみに着目した「大学改革」なるものの内実が浮き彫りとなり、「学問の府」としての大学はもはやその面影すらないといってもよいでしょう。
 学生の貧困化・窮乏化も不可逆的に進行しています。大学の変質に伴い、大学の学費は異常なまでに高騰しており、その額は平均して国立大で年間約八十万円、私大で約百三十万円にもなっています。
 一九五〇年における学費がそれぞれ平均約二万九千円、六万七千円であったことに鑑みれば、物価の上昇をはるかに上回るペースです。
 現代において大学生は、決して「学問の主体」などではなく、商品化された教育サービスを仕入れる「消費者」として措定されているのです。
 このような極めて高額な学費のために、約百三十二万人もの学生が日本学生支援機構の奨学金を利用していますが、それは利息を伴う事実上の「教育ローン」と呼ぶべきものです。
 経済協力開発機構(OECD)加盟国三十四ヵ国中、給付型奨学金を設置していないのは日本のみです。
 学生は、卒業までに数百万円の負債を負うこととなり、アルバイトによって学費を稼ぎ、奨学金の返済に追い詰められる状況を強制されています。
 一方で、若年層の非正規職化・雇用の「ブラック化」は著しく、学生を含む十五歳から二十四歳の非正規率は約34%となっています。就活を終えても、低賃金・長時間労働の下で先の見えない生活を送っています。その意味では、今や学生の大多数は、構造的には下層労働者予備軍と規定される立場にあると言えるでしょう。
 私たち現代学生にとっては、戦後欺瞞的にでも謳われてきた「豊かで平和な日本」などという言説は、もはやはまったく理解できない過去でしかないのです。
 上の世代よりも、より多くの時間と労力を払いながら大学を四年で卒業・就職した学生が、「ワーキングプア」に甘んじるしかない。老後はもとより結婚・出産の見通しすら立たず、ただただ使い捨ての道具としてのみ扱われている。
 既存の企業内労働組合の多くは、不安定職へ手を差し伸べてはくれず、若者が日銭を稼ぎ職探しに汲々とする間、呑気にデモをやっているようにしか見えない。
 日本国憲法の下で「繁栄」してきた「平和で豊かな日本」は、若者の方を向いていない、むしろ若者に牙をむく存在なのではないか。学生ですら、「基本的人権」を享受する「市民」からは、当初より切断されている、あるいは「人間らしい生活」をこの社会によって奪われているのではないか。そう直感的に感じ取る若者は確実に増大しています。
 そして、残念ながら若者の抱く絶望感・喪失感は市民社会に対する直観的反発から出発し、現在むしろ復古主義、差別排外主義や右翼ナショナリズムの側へと回収されているのが現状といわざるを得ません。
 労働法制改悪や大学の新自由主義的再編を推し進め、憲法改悪を公言する自民党・安倍政権への積極的支持を表明する青年、あるいは「在特会」や「田母神グループ」による在日外国人へのヘイトスピーチに荷担し、被抑圧人民に対する擬似的な「階級闘争」に没入してゆく学生、「イスラム国」行きを志願する若者などは、その発露であると認識しています。これらはもちろん断じて支持できないものの、青年学生の持つ閉塞感や絶望感の反映であるといえるでしょう。
 問題は、私たちを含む左翼運動が、本来組織すべき若者に対して影響力を持ち得ておらず、右翼・ファシストとの若者をめぐる主導権争いに敗れていることです。この点は痛切な自己批判をもって皆さんに応える必要があると思います。
 それを踏まえた上で、共産主義青年同盟は、皆さんの置かれた現実に依拠しつつ、皆さんの生きづらさや苦しみが被差別大衆や労働者とこそ共有されるものであって、資本主義社会を打倒する反帝国主義・国際主義に立脚した学生運動によってのみ止揚されるものだということを訴えます。

  ●二章 反動攻勢強める安倍右翼反動政権

 資本主義の最終的発展段階を迎えた帝国主義国が、その命脈を保つには、自国の軍事力強化を根拠に絶えず他国への経済的・軍事的侵略を繰り返していかざるを得ません。
 超大国として君臨してきたアメリカ帝国主義は二〇〇八年のリーマンショック以降、その政治的・軍事的規定力を後退させ、国際情勢は大きく変化しています。
 その象徴的事態が、シリア―アサド政権に対する武力介入に失敗したオバマ政権を尻目におこなわれた、二〇一四年一月のロシアによるウクライナ軍事介入・クリミア併合でした。
 アメリカ主導のG8体制は事実上崩壊し、世界の資源と市場を奪い合う帝国主義国間の争闘戦は激化しています。
 二〇一四年六月には「イスラム国」が「カリフ制国家」の樹立を宣言し、有志国連合との戦争が継続しています。
 そもそも「イスラム国」とは、アメリカ帝国主義によるイラク侵略戦争と、それらがもたらした内戦の中で、伸長してきた武装勢力です。
 そもそもイスラム主義武装集団の発生の根拠も、歴史的には「サイクス・ピコ協定」に示されるような帝国主義列強による中東の人工的分割=植民地支配に起因するものです。
 私たちは決して「イスラム国」を解放勢力として支持するわけではありませんが、帝国主義列強による歴史的な中東・ムスリム人民に対する抑圧と収奪=植民地支配こそが、「イスラム国」を生み出した根本的要因であるがゆえに、帝国主義列強の「反テロ」を名目とした「イスラム国」鎮圧作戦に断固として反対します。
 そして何よりも、日本人人質二名を見殺しにしたにもかかわらず、これを中東への自衛隊派兵や集団的自衛権行使の正当化へと利用しようとする安倍右翼反動政権の戦争国家化攻撃を許さない闘いを推し進めていかなければなりません。
 安倍政権は、安保法制の改悪を通して、敗戦国としての制約を取り払い、より自立的に世界再編成=帝国主義戦争へと参与する道を拓こうとしています。
 昨年七月一日、多くの人々の反対にもかかわらず、安倍政権は閣議決定によって集団的自衛権の「合憲」化を決定しました。「平和主義」「専守防衛」の建前すらかなぐり捨てられ、米軍と一体化した自衛隊の軍事展開が可能となる画歴史的な暴挙です。領土・領海問題や、中国、朝鮮民主主義人民共和国の軍事的脅威などを最大限に利用し、国益主義感情に乗じた対外的な戦争準備に他なりません。これに合わせて安倍首相の「悲願」である憲法九条の破壊も狙われています。何としてでも阻止しなければなりません。
 集団的自衛権「合憲」化と同日に、沖縄・辺野古では、沖縄防衛局が普天間基地の辺野古への移設工事に着手しました。辺野古への移設が、沖縄の負担軽減のための代替策であると言われますが、果たしてそうでしょうか。
 新設される基地の護岸の全長は約二百メートルから二百七十二メートルへ伸びる予定で、オスプレイ十二機や海軍エアクッション型揚陸艇(LCAC)が搭載可能な米海軍強襲揚陸艦ボノム・リシャール(全長二百五十七メートル、四万五百トン)の立ち寄りが可能です。実質的な軍港化というべきでしょうし、辺野古新基地建設は、安倍政権による安保法制改悪と軌を一にするものです。
 二〇一四年十一月に行われた沖縄知事選では基地建設に反対する翁長氏が当選し、同年十二月の衆院選では、反基地を訴える候補が全選挙区で自民党公認候補を破って勝利しました。
 にもかかわらず今現在も基地建設は強硬に推進されており、キャンプ・シュワブゲート前や海上で基地反対の抗議行動を行う人々に対し、政府は刑事特別法による逮捕でもって攻撃をかけています。許されるものではありません。
 原発の再稼働も目論まれています。二〇一一年の福島第一原発事故は、その発生から四年が経過する現在もなお、収束の目途は立っていません。
 第一原発では汚染水が増え続ける原因となっている原子炉建屋などへの地下水の流入を防ぐため、建屋の周囲の地盤を一・五キロメートルにわたって凍らせる「凍土壁」を建設し、地下水を遮断する計画が進行中です。しかし作業員の死亡事故が相次ぎ、作業が中断した影響などから、凍土壁が完成する具体的な時期はまだ分からないとされています。
 これとは別に東京電力は、タンクで保管されている六十万トンに上る汚染水の処理について、目標とする今年五月末の時点でも、およそ二万トンの処理が終わらないことも明らかにしました。
 原発事故は、日本政府の原子力政策の脆弱性と、被曝労働を強制し使い捨てにしていく、原発の持つ本質的な反人民性・犯罪性を暴露しています。
 安倍政権はそれでもなお、原発を「重要なベースロード電源」と位置付けています。
 原子力規制委員会は昨年九月、九州電力・川内原発一、二号機の再稼動を了承したのに続き、十二月には関西電力・高浜原発三、四号機についても、再稼働のための事実上の合格証となる審査書案を了承しました。さらに安倍政権は、アジアへの原発輸出を推進しています。
 原発再稼動と原発輸出を絶対に阻止していかなければなりません。

  ●三章 新たな学生の起ち上がり

 共青同(学班協)は二〇一四年、安倍政権の「戦争国家化」に抗し、全力で闘い抜いてきました。
 集団的自衛権「合憲」化に際して、巨万の群集と共に国会議事堂前に結集し、共に安倍政権の暴挙への抗議行動を闘い抜きました。
 沖縄・辺野古においては、われわれの仲間が警察・海上保安庁による暴力を一身に受けながらも、沖縄人民に連帯する新基地建設阻止のたたかいに身体を張って取り組んでいます。
 また、京丹後Xバンドレーダー基地建設、岩国基地強化に反対し、現地攻防を担っています。
 反原発運動では、経産省前を実力で占拠しているテント広場を支援するとともに、川内原発再稼働、上関原発新設に反対して現地闘争に決起してきました。
 私たち以外にも、各地で学生の新たな闘いが開始されています。
 安倍政権による画歴史的な反動攻勢に対し、集団的自衛権に反対する官邸前抗議行動や特定秘密保護法に反対する闘いに決起する学生は着実に増加してきています。
 また、「在特会」をはじめとする、差別排外主義集団のヘイトデモに対して、これを圧倒的に包囲する闘いへと、青年学生が立ち上がっています。
 さらに学生の貧困化や「ブラック企業」「ブラックバイト」などの問題に焦点を当て、街頭行動を主催するグループや、学園で個々に分断された学生のため「居場所」建設に取り組む学生も登場してきています。
 私たちは二〇一五年、これら学生の新たな自発的取り組みに注目し、これらを共に闘う中から、学生の団結を促進し、安倍右翼反動政権の推し進める戦争国家と新自由主義攻撃と総対決する学生の広範な起ちあがりを創り出していきます。

  ●四章 共青同(学班協)の任務方針

 第一に、辺野古決戦・戦争国会粉砕・原発再稼働阻止を、本年の三大決戦として全力で闘います。
 辺野古においては、本年一月十五日より、機動隊や海保による不当弾圧に抗して、新基地建設阻止の実力抵抗闘争が闘い抜かれています。「オール沖縄」と表現される、沖縄人民の島ぐるみの闘いと、それに応えるべく、青年学生が続々と現地に駆けつけて身体を張って闘っており、われわれもその一翼を担っています。日米政府による米軍再編攻撃との最先端攻防が、辺野古における実力抵抗闘争です。われわれは辺野古決戦に全力で決起し、米軍再編攻撃を粉砕していきます。
 また、岩国基地大強化、京丹後Xバンドレーダー基地建設、オスプレイ配備阻止など、「本土」での米軍再編阻止を闘います。
 そして、集団的自衛権解釈変更に伴う、五~六月の安保=戦争法制上程・制定阻止の国会闘争を闘います。国会を包囲する人民の広範な闘いを共に創り出しましょう。
 また、鹿児島県川内原発をはじめとする、原発再稼動阻止闘争に決起しましょう。
 第二に、左派総結集の闘いを共同で推し進めていきます。安倍右翼反動政権による画歴史的な戦争攻撃に対して、民衆の直接行動を決定的に重視する左派勢力結集が今こそ求められています。
 六〇年・七〇年安保闘争のような、戦闘的学生運動を今こそ復権していきましょう。
 辺野古・戦争国会・原発再稼動阻止の三大決戦や、大学の新自由主義的再編攻撃との対決のなかから、戦闘的学生運動を復権させ、日本帝国主義・安倍政権を打倒する、民衆運動の巨大な奔流を創り出していきましょう。
 第三に「在特会」など、差別排外主義との闘いに勝利しましょう。アジアをはじめとする世界の反帝国主義をかかげた青年・学生との国際的連帯を促進していこう。
 第四に、反帝拠点―三里塚闘争を闘い抜きましょう。行動隊を先頭に、現地に駆けつけ、反対同盟農民の営農を支えていこう。3・4高裁による結審を弾劾する。不当判決を許さず、市東さんの農地取り上げ攻撃を粉砕しよう。
 最後に、共青同(学班協)の旗の下に全国学生は結集しよう。宗派主義やスターリン主義と分岐し、反帝国際主義と大衆的実力闘争をかかげ、全国学生は共に団結し、安倍右翼反動政権打倒の決戦に起ち上がろう。


 

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