共産主義者同盟(統一委員会)


1454号(2015年2月20日) 政治主張






■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

■ENGLISH

■リンク

 

□ホームへ

 
 高浜原発再稼働許可決定弾劾! 川内原発再稼働阻止

 全国から辺野古決戦に起とう

 3・4農地裁判控訴審に決起を

 15けんり春闘を闘いぬこう


 


 
 ●第一章 戦争立法―改憲阻止! 安倍政権打倒に決起せよ

 一月二十六日、通常国会がスタートした。昨年末に発足した第三次安倍内閣での初国会となるが、今回安倍は所信表明演説を行わなかった。
 今国会では自衛隊法改悪の他、労働者派遣法改悪等が目論まれている。安倍政権は議会内多数派であることを根拠に労働者人民の貧困化と戦争政策を一層強化しようとしている。
 アベノミクスに対する疑問の声は徐々に高まってきている。円高を是正し、雇用を流動化し、海外とのコスト競争に打ち勝ち、輸出産業を伸ばすことで経済を好転させるという説明では、人民を騙しおおせなくなった。
 法人税を低く抑える一方で、消費税の増税を行い、労働者人民の負担は増大した。「企業の業績が改善しないと景気が回復しない」「景気が良くならないと給料が増えない」「社会保障を維持するためには消費税の増税も、社会保障費の削減もやむを得ないのかな……」というように世論を誘導し、民衆の「責任感」につけこんで、政府は労働者人民の負担増を強いている。過剰な「自己責任」の思想を民衆に吹き込んできた結果、鬱積した不満が政府に向かわず、社会的弱者と呼ばれる人達に批判が集中したり、差別排外主義に結び付くきっかけを与えてきた。
 アベノミクスがもたらすものは富める者への富の集中に過ぎない。アベノミクスの前提となっている理論はサプライサイド経済学と呼ばれている。早い話が、資本家、投資家層が豊かになれば彼らの消費活動から余剰分が労働者人民にトリクルダウンする(滴り落ちる)というものである。そう上手くはいかないということは誰でもわかろうというものだ。滴り落ちる分を少なくすることで富める者はますます富を大きくする。政府が制限をかけでもしなければ、滴る部分を減らすことこそ自らの使命と経営者は考えるであろうし、総資本と投資家は各経営者にかく求めることを権利であると主張するであろう。
 二〇一四年の統計を見てみると、有効求人倍率は1・09倍、完全失業率は3・6パーセントとなっているが、正社員に限った有効求人倍率は0・66。非正社員数は一年前より四十九万人増え、二〇一六万人。役員を除く働き手の38パーセントが非正社員となっている。また、実質賃金は物価の上昇もあり一三年七月から一四年十一月まで十七ヶ月連続で減少している。安倍は今国会で労働者派遣法の改悪を行い、派遣会社から派遣される労働者を定期的に取り換えれば、直接雇用すること無く無期限に派遣社員を使うことが出来るというふうに変えようとしている。言いかえるならば、生涯派遣労働者で終わる労働者が増える可能性が高まるということだ。
 早い話が、より安い賃金で働く労働者がより多く必要になった、ということだ。これで職場環境が最悪であるならば労働は苦役でしかない。
 安倍政権による労働破壊、生活破壊に抗して立ち上がろう。
 安倍は一月十六日から中東歴訪を行った。多数の企業関係者を引き連れた今回の歴訪は、政権がお膳立てした商談外交であったということが出来る。また、エジプト、ヨルダン、イスラエルという訪問先の選定は、有志連合に参加し、「イスラム国」を相手にした戦争への経済的支援を内外に印象付けることを目的としたものであったというほかない。
 「イスラム国」による人質事件についても、安倍外交の展開の中で起こったのだということをはっきりと捉えておかなければならない。
 日本人二名の拘束は、安倍の中東歴訪以前に起こっていた。日本政府はその事実を知りながら、安倍の中東歴訪を強行し、「イスラム国」対策としての二億ドルの供与、また、イスラエル首相ネタニヤフとの首脳会談まで行った。これは、まさに、「イスラム国」に対する挑発であった。
 安倍は「有志連合」を支持すると捉える事が出来る表現でもって、難民支援を表明した。一方で、人質の解放への努力は、端から放棄していたということだ。
 また安倍は一月二十五日にはNHKの番組で、人質事件に絡めて、自衛隊の活動の拡大に言及している。自身も認めているようだが、今回の事例は、自衛隊を投入することが人質解放に繋がるものではない。事件解決に全力を尽くすと言いながら、事態に巻き込まれた(あるいは今日の事態を引き寄せた)ことを利用して、自衛隊を戦場に投入することへの人民の抵抗感を取り除こうとしているのだ。
 集団的自衛権の「合憲」化―戦争立法を柱として「積極的平和主義」なるものが、「戦争をする」帝国主義への超脱を目指すものであることは、現在の年頭の情勢の中に刻印されている。
 防衛省はアフリカ南部のジブチにある自衛隊の拠点を、中東・アフリカにおける活動拠点として位置づけ、強化することを検討している。ジブチ拠点は二〇〇九年の海賊対処法に基づくものである。自衛隊はこれまでにもイラク復興支援特別措置法に基づいて、イラクに「サマワ宿営地」を置くなどしてきたが、役目を終えるまでの暫定的なものとされてきた。ジブチ拠点強化の構想は、海外派兵の度に目的を絞った新たな法律を作るのをやめ、自衛隊の海外での活動に対する法的な制約を減らそうとする、現在の戦争法制議論と一体のものだ。長期的な海外拠点を持つことにより、日本は中東・アフリカに関与する姿勢を海外に明らかにすることになるであろう。加えて、安倍は中東歴訪で米帝をはじめとした「対テロ」の「有志連合」に近い姿勢を明らかにしている。既に、米帝によるアフガニスタン侵略戦争、イラク侵略戦争に加担してきた以上、今回のスピーチの文言を超えて、そう解釈せざるを得ない文脈を作ってしまっている。
 日帝―安倍政権は「対テロ」戦争参戦から、「戦争のできる国」への道を大きく踏み出そうとしている。安倍政権打倒のたたかいは、反基地・反原発をはじめとして、あらゆる戦線で開始されている。
 一月二十五日、「国会ヒューマンチェーン 沖縄の民意を無視するな! 辺野古に基地を作らせない」が取り組まれ、七千人が国会議事堂を取り囲んだ。また、京都ではアジア共同行動主催で「倒そう! 安倍政権 戦争への道を許さない2・14集会」が闘いとられた。
 戦争立法―改憲攻撃阻止をはっきりと掲げて安倍政権打倒の政治闘争を進めよう。

 ●第二章 辺野古新基地建設阻止、沖縄―「本土」貫く闘いを

 辺野古では新基地建設に反対し、キャンプ・シュワブ・ゲート前での座り込み、海上ではカヌー隊による阻止行動が闘われている。
 カヌー隊による海上での阻止行動に対しては、海上保安庁がむき出しの暴力でもって敵対を繰り返している。
 一月二十六日、翁長沖縄知事が防衛省沖縄防衛局に対して辺野古での工事一時中止を要請している。翁長知事は仲井真前知事による埋め立て承認を検証する第三者委員会を設置しており、今回の要請も検証作業の間は工事を中止するように求めるというものである。
 これに対して菅官房長官は「(工事は)当時の仲井間知事の承認を受けたもので、法治国家として関係法令に基づく判断がされたという認識だ」としたうえで「安全に留意しながら着実に進めていく」とコメントしている。
 では、一体安全に留意した工事方法とはいかなるものであるのか。実態は先に示したように、ゲート前での抗議行動に対しては、夜間の抜き打ちでの資材搬入、工事に抗議する住民を「県」警により力ずくで排除し、海上では海上保安庁の職員たちが暴力的に拘束を行うというものだ。安倍政権は、二月中にも海上でのボーリング調査を強行しようとしている。安倍政権による弾圧に断固抗議して闘おう。
 二〇一四年、名護市長選、名護市議選、沖縄知事選、衆議院選沖縄小選挙区において、沖縄人民の基地反対の民意は明確に示された。この結果はこれまでの保守・革新の対立を超え、オール沖縄を実現させた沖縄人民の闘いの結果である。翁長知事は就任後三度も東京に出向いたが、安倍首相も菅官房長官も知事に会おうとはしなかった。沖縄の民意を踏まえることもせず、基地建設強行だけを進める所業を絶対に許してはならない。
 安倍は年末の抜き打ち解散・総選挙の結果をもって、自身の政策に全面的な信任が与えられたかのように振る舞っている。であれば、複数回の選挙を持って示された沖縄人民の反基地の訴えに向き合うべきであろう。選挙結果といっても政権をかすめ取ったかに見える安倍の場合と、反基地の意志を示した沖縄の選挙の場合には重みに明確な違いがある。沖縄人民はただ選挙のみに自身の政治参加の方法を切り縮めることなく、身体を張った反基地の直接行動をとって民意を選挙に反映させ、そうした意思を目に見える形で示していることだ。身体を張って闘う沖縄人民に連帯し、辺野古には「本土」からも大勢の支援者が駆け付け、闘いを支えている。
 また、「本土」でも沖縄の闘いに連帯する取り組みが継続的に行われている。東京では防衛省に抗議する行動が辺野古実の呼びかけで取り組まれているほか、街頭での宣伝活動が取り組まれている。
 全国から沖縄―辺野古現地への支援をさらに大胆に進めよう。新基地建設阻止―安倍政権打倒を闘おう。

 ●第三章 反戦・反基地、原発再稼働阻止、3・4控訴審、3・29三里塚へ

 沖縄の反基地闘争と結合し、決戦の辺野古、高江現地へ全国から駆け付けよう、全国で反基地闘争を闘おう。日米安保反対―米軍再編反対の闘いを全国で闘おう。辺野古新基地建設は、山口県での岩国基地強化、京都でのXバンドレーダー基地建設等と同じく、米軍再編の一環であり、決して沖縄の基地負担軽減のためなどではない。歴代の政権下で行われてきた米軍と自衛隊との一体化の促進、即ち日米安保体制をより実際的な「日米軍事同盟」へと強化しようとする流れの中に位置づけられているということだ。安倍政権が推し進める、積極的平和主義―集団的自衛権の合法化は、日本を戦争のできる国にしたい、より具体的には、軍事をより直接的にビジネスの中に取り込みたいという、一部経済界からの一定の支持を得て行われているということをしっかりと捉えたうえで、こうした勢力との政治的、思想的な闘いを断固として推し進めていくことが重要だ。
 全国各地で反基地で立ち上がった住民を支えて闘うこと。そして、ある地域の反基地運動が他の地域への基地の押し付けにならないように、各地の反基地運動間の連帯を実現し、米軍再編―日米軍事同盟との対決として発展させることが重要である。
 「イスラム国」による人質事件を口実として、安倍政権は「有志連合」の一員であることを明確にした。積極的平和主義の欺瞞を暴き、反戦―反基地の闘いを推し進めよう。
 また、安倍政権が推し進める原発再稼働、原発輸出を阻止する闘いを推し進めていこう。九州電力は、鹿児島県にある川内原発の1、2号機の再稼働を目論んでいる。昨年十一月には伊藤鹿児島県知事の同意も取り付けており、現在は原子力規制委員会に提出する書類を作成している段階にある。四月以降に再稼働の見通しと報じられている。
 川内原発は、規制委員会の新しい基準に合格したとされているが、そのことは安全性を保証するものではない。また、桜島が噴火した時の対応にしても、噴火を事前に察知することができることが前提となっている。しかも、十分に対策をとる時間がとれるほど事前に察知できる、というのだ。
 事故の際の住民避難計画も実効性の無いものに留まっている。原発事故が深刻な自然災害に伴って起こるということが真剣に考慮されていない。福島の教訓が全く活かされていない。
 原発比率を含む二〇三〇年の電源構成(エネルギーミックス)を話し合う経済産業省の作業部会が一月三十日に始まった。「長期エネルギー需給見通し小委員会」では、将来も原発を維持することを求める発言が相次いでいる。小委員会のもとに設けられた「発電コスト検証ワーキング・グループ」が七名の委員で構成されているが、構成員には電力業界等がお金を出している公益財団法人・地球環境産業技術研究機構から二名が選ばれている。報じられた発言を見るに、原発の比率を15パーセントから25パーセントあたりにおこうとしていることがうかがえる。原発ゼロの結論が出ることはないであろう。
 既に明らかにされているように、原発は電力会社が運用できるようなものではなく、国が莫大な資金を投じて漸く運用されているものに過ぎない。一度事故が起きれば、多大な被害を生じることは明らかとなっている。
 原発の問題は労働問題としても捉えなければならない。福島第一原発では昨年も労働災害が相次いで起こった。安全対策を取らずに穴掘りをさせられていた作業員が生き埋めとなって死亡、汚染水タンクの上部鉄骨が落下し、作業員多数が重軽傷を負うなど、普通の建設・土木工事にあっても許されない事故が繰り返し起こっているという異常事態だ。めちゃくちゃに破壊された建物を撤去すること自体が相当な危険を伴う。加えて原発ともなれば放射線被曝の危険性もある。被曝を抑えるために防護服なるものをつけて肉体労働を行うことは多大な苦痛だ。一人ずつの作業員の作業量、作業時間にも限界がある。放射性物質の流出を防ぐための方法も確立しておらず、場当たり的とも見える対処を繰り返し、またその工程すら作業効率の名のもとに省かれてしまっている。この他にも危険手当や賃金のピンハネ、健康診断書の偽造、違法派遣、奴隷労働。それらの不当労働行為を生み出す大手ゼネコンを頂点とする、子請け、孫請けの重層下請構造の問題もある。
 明らかなことは、原発では、たとえ事故を起こさなくても、被曝労働を避けることができないのである。しかも、被曝を避けるために同じ人間が長期間働くことができないため、熟練労働者が成立しない。加えて、そうした被曝労働が、稼働中はもとより廃炉になってからも行われなければならないのだ。原発から出る放射性廃棄物の処分、管理方法は確立さえしていない。全てが先送りだ。
 原発を論じる時、現在の発電コストからのみ議論するというのは誤っている。将来の労働者に被曝労働を押し付けていくのか、という世代間の問題でもある。
 鹿児島県の川内原発、福井県の高浜原発の再稼働が焦点化している。高浜原発に関しては一月三十日、滋賀県の住民らが再稼働禁止の仮処分を大津地裁に申し立てた。川内原発では、経産省前テントや「再稼働阻止! 全国ネットワーク」が昨年九月に原発近くの海岸にテントを設置している。東京では「さようなら原発一千万人署名市民の会」主催の「川内・高浜原発の再稼働を許さない! 東京集会」が開催された。また「スイッチは押させない! ストップ川内原発再稼働! 全国集会」が闘いとられている。再稼働を許さない現地闘争に決起しよう。
 安倍政権が原発再稼働・維持を鮮明にするなか、経産省前テントに対する攻撃が強まっている。テントの撤去を許さない闘いに立ち上がろう。
 反戦の砦、三里塚に結集し闘おう。三里塚の闘いは、日帝の全体重をかけた攻撃を跳ね返し、五十年にわたって闘われている。
 成田空港会社(NAA)が、市東孝雄さんの農地強奪を目論んで仕掛けてきた農地法裁判の控訴審の第四回口頭弁論が三月四日、東京高裁で開かれる。小林昭彦裁判長による審議打ち切りを阻止し、市東さんの農地を守るため裁判傍聴に決起しよう。農地取り上げに反対する署名行動に取り組もう。
 三月二十九日には成田市栗山公園で三里塚全国総決起集会が行われる。TPP推進による日帝の営農破壊、農民殺しが行われようとする中にあって、国策に対して徹底非妥協・実力闘争をもって対峙してきた三里塚の闘いを、全国的な労農連帯の闘いとして拡大することが、決定的に問われている。三月三里塚全国闘争に全力で決起しよう。



 

当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006-2007, Japan Communist League, All Rights Reserved.