共産主義者同盟(統一委員会)


1452号(2015年1月20日) 第2新年号






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反戦、反貧困、安倍政権打倒!

  全人民の総反攻を開始しよう

  重機搬入―工事再開弾劾!

  全国から決戦の辺野古現地へ



 

 

  ■第4章 政治運動方針
  

  辺野古新基地建設阻止、原発再稼働阻止

  戦争立法粉砕、全人民の決起で安倍打倒を



 昨年末、突然強行された衆議院解散・総選挙で自民公明は三百二十六議席を獲得し多数を維持・確保した。これによって、安倍政権は、二〇一五年、川内、高浜と続く原発再稼動、辺野古新基地建設、集団的自衛権関連法、労働法制改悪と次々と反動攻勢を強めてくるだろう。二〇一五年は、安倍政権との全面対決の年となる。安倍政権を人民の実力で打倒する全人民政治闘争を組織しよう。二〇一五年、原発再稼動阻止、辺野古新基地建設阻止、戦争法制(集団的自衛権関連法)粉砕へ、全人民の総決起を。

  ▼4章―1節

  安倍政権打倒の全人民政治闘争に決起した二〇一四年

  ◆4章―1節―1項

  集団的自衛権「合憲」化、米軍基地の新設・強化との闘い

 二〇一四年は、安倍政権による反動的攻撃が本格的に開始された年であった。二〇一四年、安倍政権は、「戦争のできる国」づくりにむけた反動的攻勢を矢継ぎ早にしかけてきた。七月一日には、集団的自衛権「合憲化」を閣議決定した。これは、二〇一三年、安倍政権によってなされた国家安全保障会議設置、秘密保護法制定などに続いて、戦争国家化にむかう決定的な踏みだしであった。連動して、安倍政権は、集団的自衛権行使にむけ、日米安保の再編強化を推し進めた。その要は、米軍基地の新設・強化であり、これと結合した自衛隊の派兵態勢の強化であった。夏には、辺野古新基地建設にむけたボーリング調査が開始された。岩国基地大強化にむけた空中給油機KC130部隊の岩国移駐が強行された。京丹後市では米軍Xバンドレーダー基地建設の工事着工が強行された。
 こうした情勢のなかで、わが同盟は、安倍政権の戦争国家化に反対し、二〇一四年、全国でたたかいに立ち上がった。安倍政権を打倒する全人民政治闘争組織化の一翼を全国各地で担った。同時に、一斉に現地攻防へと突入した米軍基地新設・強化に対決し立ち上がった。
 辺野古現地闘争に決起し、現地実力闘争を一貫してたたかいぬいた。辺野古新基地建設をめぐる攻防は、昨年一月の名護市長選、九月の名護市議選、そして、十一月沖縄知事選、十二月衆院選・沖縄選挙区とすべて勝利し沖縄の意思は明確に示された。こうした沖縄のたたかいに連帯したたかいぬいたのである。
 さらに、岩国基地強化に反対してたたかった。一の付く日に開催され続けている愛宕山見守りの集いへの結集、岩国市民集会への結集、また、岩国基地強化反対署名の推進を岩国ユースアクションなどの若者を先頭に、全国で取り組んだ。十一月二十九日、三十日には、「アジアにおける米軍基地に反対し、日本の集団的自衛権行使に反対する国際連帯集会」「岩国☆希望の祭」を支持し、全国から岩国に結集したたかった。
 京丹後での米軍Xバンドレーダー基地建設阻止闘争をたたかった。五月工事着工反対闘争、九月レーダー搬入阻止闘争など現地闘争を京丹後市民に連帯し、米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会、近畿連絡会の仲間とともにたたかいぬいた。さらに、オスプレイの全国低空飛行訓練、大矢原などでのオスプレイを使った日米共同訓練に反対したたかった。

  ◆4章―1節―2項

  川内原発再稼動阻止、反原発闘争


 また、原発再稼動攻撃とたたかいぬいた。安倍政権は、川内原発再稼動を突破口に、全国で原発を再稼動させていこうとしてきた。そもそも安倍政権は、反基地闘争と反原発闘争の解体を使命として登場した政権であった。迫り来る川内原発再稼動攻撃に対し、九州の同志を先頭にたたかい対峙してきた。また、上関原発建設を葬り去るために中国地方の同志を先頭にたたかいぬいた。首都圏における経産省前のたたかいなど、全国各地で反原発闘争をたたかった。二〇一四年、安倍政権の原発輸出、国内原発再稼動攻撃と全国でたたかいぬいてきた。

  ◆4章―1節―3項

  反帝国際主義派潮流形成の闘い


 こうしたたたかいと結合し、わが同盟は、反帝国際主義派の大衆的潮流を前進させるために全国で奮闘した。そのために、アジア共同行動日本連絡会議(AWC日本連)のたたかいを支持し、その前進のために全国で奮闘した。五月、韓国で開催されたAWC国際会議と韓国労働者への連帯闘争には、米国、インドネシア、フィリピン、台湾の仲間が結集し、ともに日米両帝国主義との闘争を推し進める国際的団結をうち固めた。六月には、首都圏、名古屋、京都、神戸、福山、福岡で、韓国の仲間が参加して、全国で安倍政権打倒を掲げてアジア共同行動が開催された。続いて、八月には岩国で夏期反戦合宿が開催され、また、八月二十一日には、岩国・愛宕山見守りの集いが開始された日にちなんで、岩国国際デーが海外、日本各地で開催された。そして、こうしたたたかいの集大成として、十一月二十九日、三十日には、アジア共同行動日本連絡会議、岩国・労働者反戦交流集会実行委員会、岩国・希望の祭実行委員会の三者共催で、「アジアにおける米軍基地に反対し、日本の集団的自衛権行使に反対する岩国国際連帯集会」が、オーストラリア、韓国、フィリピンの仲間、および、全国からの結集でたたかわれた。これを支持し、ともに、たたかった。沖縄、京丹後米軍Xバンドレーダー基地反対運動など、反基地勢力が総結集した国際共同闘争としてたたかわれた。AWC日本連や岩国・労働者反戦交流集会実などのたたかいを支持し、その発展に貢献した。また、韓国メーデーやフィリピンメーデー(KMUよびかけISA)、韓国労働者大会などへの連帯と参加で国際連帯運動に貢献した。

  ◆4章―1節―4項

  三里塚闘争、被差別戦線の闘い


 さらに、二〇一四年を貫いて、三里塚現闘・行動隊を先頭に三里塚闘争に決起した。市東さんの土地強奪を許さない裁判闘争に決起し、三月、十月の全国集会への決起を軸にたたかいぬいた。また、被差別戦線でのたたかいを推し進めた。沖縄解放闘争、障害者解放闘争、被爆者解放闘争、女性解放闘争、部落解放闘争、反入管闘争を推し進め、被差別大衆・被抑圧人民の解放闘争を前進させてきた。沖縄解放闘争は、辺野古新基地建設とのたたかいを基軸に推し進められた。被爆者解放闘争は、被爆二世が中心となった8・6広島闘争を頂点に日韓共同闘争としてたたかいぬかれた。また、差別・排外主義潮流の街頭行動などに対して各地でたたかった。
 青年戦線でのたたかいも前進させた。集団的自衛権「合憲」化、反基地、反貧困などで、若者の立ち上がりを支持し、その前進のために奮闘した。

  ◆4章―1節―5項

  新たな左派結集を推進する闘い


 加えて、二〇一四年、わが同盟は、戦争と新自由主義、階級対立の拡大と階級闘争の激化にそなえ、新たに、安倍政権を打倒する左派総結集の呼びかけを発した。安倍政権を打倒する左派総結集、そして、新たな時代に備える左派総結集と左派共闘を形成していく第一歩を踏み出した。分散する左派勢力の現状を打破し、その新たな再生をともに推し進めるたたかいを開始した。
 二〇一四年のたたかいは、戦争国家化を進める安倍政権を打倒する全人民政治闘争と、これを反帝国際主義をもってたたかう潮流建設を前進させ、さらに、新たな左派総結集と左派共闘の形成に踏み出した年であった。また、二〇一四年は、各地で一斉に攻撃が始まった基地新設・強化をめぐる現地闘争に実力闘争をもって各地で決起した年であった。二〇一五年、こうしたたたかいをともにより発展させていこう。

  ◆4章―2節

  衆議院選結果をテコに戦争国家に突き進む安倍政権


 十二月十四日に投開票が行われた第四十七回衆議院選挙は、安倍右翼反動政権の勝利に終わった。自民、公明両党は公示前勢力を上回る三百二十六議席を獲得し、自公で定数の三分の二を超え、自民単独でも二百九十一議席を確保した。野党は、民主党が十一議席増やしたが七十三議席にとどまり、党代表が落選。維新は微減、次世代は十七議席から二議席へ激減し敗北した。共産党は、安倍批判の受け皿として八議席から二十一議席へと大幅に議席を伸ばした。
 自公が勝利した選挙であったが、安倍自民党が労働者人民の支持を受けたわけではない。全有権者の中での得票率を表す絶対得票率では、小選挙区においては24・49%、比例代表では16・99%に過ぎない。沖縄では全四選挙区で辺野古移設反対を掲げた候補が当選し、知事選で示された新たな基地建設を拒否する沖縄の民意が一層鮮明になった。
 投票率は、小選挙区で戦後最低の52・66%だった。
 今回の衆院選挙は、安倍が長期政権を狙い、野党の選挙態勢が整わないことを周到に計算して仕掛けた選挙で、その戦略は見事に当たった。前回衆院選から二年、消費増税先送りの是非を仰ぐとかアベノミクスを争点化するなど「選挙の大義」を設定したが、最低を記録した投票率が示すように、選挙の争点が曖昧で労働者人民の関心は低いままであった。
 安倍の狙いは、戦後七十年にあたる本年を「戦争のできる国」に向けた戦争法制の制定と「安倍談話」による戦争責任・戦後責任の居直り、社会保障の削減と大企業優遇のアベノミクス推進、原発再稼動などの政策を進め、これに対する労働者人民の政権への批判・反発を計算に入れ、支持率が下がった状態での選挙戦を避けることであった。「戦争のできる国」を見据え、労働者人民の反対を撥ねのける翼賛議会体制を作るための解散総選挙であった。
 総選挙の勝利によって安倍政権は、二〇一八年までの長期政権を展望し、二〇一六年の参議院選挙においては改憲に向けて三分の二の確保を策動してくるであろう。
 安倍政権が今後進める「戦争のできる国」に向けた戦争法制の制定、新自由主義による搾取の強化―貧困と格差の拡大など階級支配の再編と徹底的にたたかわなくてはならない。民族排外主義・領土ナショナリズムと闘おう! 在特会・「頑張れ日本! 全国行動委員会」など民族排外主義・ファシストの差別扇動・「ヘイトスピーチ」を粉砕し、社会的解体に追い込もう。
 臨時国会では、カンパ禁止法改悪案、テロリスト指定・資産凍結法案、犯罪収益移転防止法改悪案が成立した。「テロ対策」を名目にした革命党・労働組合・市民団体への警察権力の弾圧体制が強化された。秘密保護法の施行も強行された。次に来るのは共謀罪だ。共謀罪成立を阻止しよう。「戦争のできる国」づくりと一体の治安弾圧体制を粉砕しよう。国家権力による革命党破壊攻撃を粉砕しよう。
 われわれは日帝足下の共産主義者として、安倍右翼反動政権と徹底的にたたかう。すべての労働者階級人民に対し、われわれ共産主義者同盟(統一委員会)とともに安倍政権打倒に決起することを訴える。

  ◆4章―3節

  安倍政権打倒の政治闘争に起とう


 本年安倍政権とのたたかいの最大の課題は、集団的自衛権行使に向けた関連諸法案=戦争法制の成立を阻止することである。
 昨年七月一日に強行された閣議決定「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」は、集団的自衛権行使を「合憲」化した上で、「武力攻撃に至らない侵害への対処」「国際社会の平和と安定への一層の貢献」を打ちだした。安倍政権はこれらの法整備に着手している。
 戦争法制の全貌は明らかになっていないが、恒久的な自衛隊派兵法案や既存の自衛隊法、周辺事態法、国連平和維持活動(PKO)協力法、船舶検査活動法など十本以上の法律の改定案が提出されると見られている。さらに自民党はこれら関連法を下位法と位置付け、上位法である「国家安全保障基本法」の制定も狙っている。「国家安全保障基本法」には、「国民の責務」として「国防の義務」が課せられ、「国際連合憲章上定められた安全保障措置等への参加」が明記されている。これら戦争法制が成立すれば、憲法九条は完全に空文化する。
 戦争法制の制定とともに、安倍政権は、「日米防衛協力のための指針」(以下「日米ガイドライン」)の改定も狙っている。改定合意は、四月統一地方選後に先送りされたが、昨年十月に発表された中間報告から、これまでの日米軍事協力をさらに強化する狙いは明確となっている。
 中間報告では、集団的自衛権「合憲」化の閣議決定に基づいて、「後方支援」や「非戦闘地域」という制約を取り払って、米軍との共同の軍事行動を具体化しようとしている。また共同作戦の地理的制約としてあった「周辺事態」概念を取り払い、米軍とともに世界中に展開すること、さらに「切れ目のない、力強い、柔軟かつ実効的な日米共同の対応」として平時から戦時にいたる恒常的な米軍支援、共同軍事作戦、労働者人民の戦争動員が打ち出されている。
 戦争法制と日米新ガイドラインの改定は、まさに日・米帝国主義による侵略反革命戦争へとつながる。
 通常国会が決戦となる。予算成立後の四月から法案成立を許さない決戦過程となる。法案成立阻止、「戦争のできる国」を許さないたたかいを全国の地域・学園・職場で組織し、全人民的たたかいへと拡大していかなくてはならない。地域における諸運動団体と連携し広範な人民が結集する構造を作り出そう。首都圏では、国会行動を大胆に組織しよう。
 また全人民政治闘争とともに、その先頭でたたかう左派勢力の総結集を実現していかなくてはならない。戦争法制成立阻止! 安倍政権打倒を掲げ左派総結集による政治闘争を実現しよう。全国で沸き起こる戦争法制阻止!、「戦争のできる国」を許さない全人民政治闘争で安倍政権を震撼させよう! 国会を包囲する巨万人民の立ち上がりを総力で組織しよう! 戦争法制・日米新ガイドライン粉砕! 安倍政権を打倒しよう!
 安倍政権と対決する反帝派の政治共闘として、反戦闘争実、反戦実のたたかいを継続し、街頭における反帝闘争を戦闘的に闘おう!

  ◆4章―3節―1項

  辺野古新基地建設阻止!沖縄差別軍事支配を打ち砕け


 辺野古新基地建設阻止も決戦を迎える。安倍政権は沖縄人民の基地建設反対の声に一切耳を傾けようとはしない。昨年十二月二十四~二十六日に対政府交渉のために東京入りした翁長知事に対し、安倍や菅は会おうとすらしなかった。昨年一月の名護市長選、九月名護市議選、十一月知事選、十二月衆議院選挙において示された沖縄人民の意思は、基地建設絶対反対! これ以上沖縄に基地を作ることは許さないということだ。
 沖縄は、これら選挙戦を勝ち抜き島ぐるみの闘争態勢=オール沖縄を築き、安倍政権と全面対決する情勢をつくりだしている。「本土」労働者階級人民は、沖縄人民とともに辺野古新基地を絶体に阻止するために起ち上がらなくてはならない。沖縄人民とともに、辺野古新基地建設計画を粉砕し、反基地闘争・冲縄解放闘争の新たな地平を切り拓く歴史的なたたかいに連帯しよう。日米帝国主義の沖縄差別軍事支配を粉砕しよう。沖縄解放―安保粉砕―日帝打倒・米帝放逐をたたかおう!
 安倍政権は、「普天間の固定化は許されない」と繰り返し、「丁寧に説明する」といいながら、警察権力・海上保安庁を動員して力ずくで工事を進めてきた。凄惨な沖縄戦の歴史とそれに続く米軍による差別軍事支配の苦しみの中から発せられる基地反対の声を一顧だにしない安倍政権の沖縄差別を断じて許すことはできない。沖縄では、安倍政権の基地建設強行、沖縄差別への怒りが充満している。
 「普天間の固定化は許されない」といっても、米軍は今から開始しても最低でも九年かかると言われる辺野古新基地が完成し基地機能が整わない限り、普天間基地は返還しないと言っており、その間は普天間基地はオスプレイが飛び回る危険な基地であり続けるのだ。また沖縄の負担軽減の名目で、オスプレイの訓練が全国に拡大し、山口の岩国基地や首都圏の横田基地、厚木基地も訓練の中継基地として頻繁にオスプレイが飛来するようになっている。オスプレイが普天間基地に配備されている限り実際には負担軽減にならないし、かえってオスプレイの訓練が全国に拡大することで騒音被害が拡大し危険が一層増しているだけだ。
 翁長知事のもと、沖縄では島ぐるみの新基地建設反対のたたかいが始まる。すでに仲井真前知事の埋め立て承認の経緯を検証する専門家チーム(環境分野三人、 弁護士二人)を作り、そこでの議論を踏まえて承認の取り消しや撤回を視野に入れ判断するとしている。また「沖縄『建白書』を実現し未来を拓く島ぐるみ会議」は、国連機関への直接要請や訪米行動を決定している。
 衆議院選挙において沖縄選挙区で全敗した安倍政権だが、「選挙の影響はない」「辺野古が唯一の解決策」として年明けから工事再開の恫喝をかけている。浮き桟橋を設置、仮設桟橋工事と、海上保安庁・機動隊を前面に出して、ボーリング調査、埋め立て工事を強行しようとしている。
 キャンプ・シュワブ・ゲート前での座り込み・実力阻止行動や海上のカヌー隊を断固として支えなくてはならない。埋め立て工事を絶対に阻止しなければならない。全国各地で支援行動を組織しよう。沖縄に襲いかかる安倍政権を弾劾するたたかいに立ち上がろう。辺野古現地への派遣の組織化を行おう。
 辺野古新基地建設とともに沖縄では、中国との国境地帯として自衛隊の増強が続いている。中国との領土問題をテコに領土ナショナリズムを煽り、中国から領土を防衛する名目で沖縄における自衛隊の基地建設が狙われ、部隊の新設が策動されている。与那国島の沿岸監視部隊(百五十人規模)をはじめ宮古島、石垣島には三百五十人規模の警戒部隊を設ける計画も進んでいる。
 平和な国際関係の中で独自の発展を展望する沖縄の未来を叩き潰し、対中国の軍事拠点として沖縄を位置付ける安倍政権の攻撃を粉砕しよう。

◆4章―3節―2項
米軍再編―日米軍事同盟の強化と対決する反基地闘争を

 第一は、岩国基地大強化反対を岩国市民とともに闘おう。岩国基地には、すでに強行された普天間基地からの空中給油機KC130の移駐に加え、二〇一七年までに厚木基地からの空母艦載機の移駐、米軍の次期主力戦闘機F35の配備が狙われている。これらの強化を許せば、岩国基地は嘉手納基地を上回る東アジア最大の米軍基地になる。また「沖縄の負担軽減」の名目で、オスプレイの訓練が全国に拡大し、岩国基地は中継基地として頻繁に利用されている。
 岩国基地大強化の発端は、岩国市民をだまし討ちにした滑走路沖合い移設事業だ。現在は、基地の強化によって不足する米軍住宅の建設を愛宕山開発事業跡地で強行している。
 岩国市民とともに、岩国基地大強化と米軍住宅建設を阻止するためにたたかおう。
 第二は、岩国基地とともに、オスプレイ訓練の中継基地となっている首都圏の厚木基地・横田基地に対するたたかいに立ち上がろう。昨年は、地元諸団体と結合しオスプレイ飛来弾劾の現地闘争をたたかった。今年も粘り強く抗議・弾劾のたたかいを継続する。横須賀基地の原子力空母撤去の取り組み、神奈川県央の座間基地、相模原補給廠に対するたたかいにも取り組んでいこう。
 第三は、京都府京丹後市経ヶ岬に建設が強行された米軍Xバンドレーダー基地に対するたたかいだ。これまで地元住民と結びつき、反対集会やデモ、基地ゲート前での抗議行動など基地建設反対運動が展開されてきた。しかし防衛省は、昨年五月に基地建設着工、十月にはレーダー本体の搬入を強行し十二月には基地の本格運用を開始した。Xバンドレーダーは、中国や朝鮮民主主義人民共和国からの弾道ミサイルを探知し追尾する高性能レーダーで、日米軍事一体化そのものだ。基地は作られてしまったが、今後は基地撤去に向けたたたかいが新たに始まる。地元住民とともに、基地撤去までたたかいぬこう。

  ◆4章―3節―3項

  再稼働阻止―全原発廃炉!現地実力阻止行動に決起を


 安倍政権のもとで、原発の再稼働が次々と狙われている。安倍政権は、再稼働を強行し既成事実化することで、原発を拒否する世論を封殺し、福島原発事故以前の原発政策へ回帰することを狙っている。電力会社、官僚、原発メーカー、銀行などが一体となって、原子力利権集団の莫大な利権を独占する体制を復活させ、同時に核武装力の潜在能力を維持するために、原発の再稼働・新設が狙われている。原発の海外輸出も安倍が先頭に立って推し進めている。
 安倍政権と原子力利権集団には、福島第一原発事故が見せつけた原子力災害の未曾有の危険性・破壊性すら歯止めにならない。まさに命よりも金なのだ。
 福島第一原発の危機的な状況は何も変わってはいない。いまだ汚染水の処理すら十分にできず貯蔵するタンクが増え続けている。多核種除去装置=ALPSは故障を繰り返し、永久凍土壁による地下水遮断も失敗。もはやタンクの増設は限界に近づいている。大規模な海洋投棄すら検討され始めている。四号機の燃料棒の取り出しはできたが、一~三号機は依然放射線量が高く、近づける状況ではない。廃炉に向けた工程は困難を極めている。
 放射能汚染による地域破壊・避難に苦しむ福島は、「復興」キャンペーンの中で切り捨てられている。今なお福島県内県外合わせて十二万五千人の避難者が存在し、その多くが十分な賠償・支援を受けられないまま苦しい生活を余儀なくされている。また未だ放射線量が高いにも関わらず、避難地域の住民の帰還が進められている。事故の「収束」をアピールし東電の負担を減らすためだ。
 再稼働を阻止し、すべての原発を廃炉にすることである。日本帝国主義が五十年にわたって進めてきた原子力政策そのものを粉砕しなければならない。
 再稼働一番目と見られる鹿児島県川内原発一・二号機は、すでに原子力規制委員会の審査に合格し、昨年十一月には地元鹿児島県と薩摩川内市は再稼動に合意した。しかし九州電力が、設備の詳しい設計などを記した「工事計画」の書類の修正が遅れており、再稼働は三月以降と見られている。昨年十二月十五日には、高浜原発も規制基準審査に合格したことが発表されている。
 再稼働を阻止する現地実力阻止行動に断固として決起しよう。「再稼働阻止! 全国ネットワーク」など諸団体は、再稼働が想定される原発所在地にテントなど反対闘争の拠点を設置し、再稼働を許さないたたかいを準備している。大飯原発再稼働阻止闘争を引き継ぎ、現地での大衆的な実力阻止行動に立ち上がろう。地元住民と結びつき、原発を包囲する労働者人民の巨大な決起で再稼働を阻止しよう!
 再稼働への動きが強まるなか、これまで反原発運動の拠点となってきた「経産省前テントひろば」に対する撤去攻撃が迫っている。昨年十二月三日、第九回口頭弁論において裁判長が突如として「結審」を宣言し法廷から逃走する事態がおこった。安倍政権の再稼働強行と一体となった攻撃だ。原子力政策の中枢=経産省前で、反原発運動の交流・発信の場として機能してきた「経産省前テントひろば」の強制撤去阻止をたたかおう。

  ◆4章―3節―4項

  侵略の歴史を抹殺しようとする右翼ファシストと対決を


 本年は日帝アジア侵略戦争での敗戦から七十年を迎える。「戦後レジームからの脱却」を掲げ、憲法や教育基本法など「戦後民主主義」の解体を進めてきた安倍政権は、この歴史的節目を排外主義と民族ナショナリズムの煽動に徹底的に悪用する攻撃に出てきている。
 安倍政権は、日本軍「慰安婦」制度における日本軍の組織的関与と強制性を認めた一九九三年の「河野談話」、あるいは戦後五十年(一九九五年)に、植民地支配と侵略を認め「痛切な反省の意を表し、心からのおわびの気持ちを表明した」村山談話を否定する、「未来に向けた」と称する安倍談話を出そうとしている。
 すでに安倍政権は、昨年「見直しは考えていない」と言いながら河野談話の作成過程を調査する「作成過程調査委員会」なるものを作り、調査結果を六月に公表している。そこでは日本政府が行った元「慰安婦」の方々への聞き取り調査は、真相究明のためではなく、真相究明への姿勢を示すセレモニーで、ゆえに証言の裏づけはないこと、談話をまとめるにあたって日韓政府の間で文言調整などのすり合わせが行われていたこと、などを公表し河野談話を実質的に否定している。
 この調査結果は、「慰安婦を強制連行した」とする吉田証言を巡る右翼ファシスト、右翼マスコミ等による朝日新聞攻撃と一体のものだ。朝日新聞に対する攻撃は、性奴隷制度としての日本軍「慰安婦」制度問題で日本政府の責任を追及する者への恫喝であり、日本軍「慰安婦」制度そのものを歴史から葬り去ろうという許しがたい攻撃であった。
 安倍政権の下で、朝日新聞に加えられた憎悪と差別に満ちたすさまじい攻撃が戦後七十年のなかで、さらに拡大し強まることも十分考えられる。アジア人民との連帯にかけて、河野談話・村山談話を葬り去ろうとする安倍談話を粉砕しよう。耐え難い苦しみの中で名乗り出て証言を行い、日本政府を糾弾した被害者のたたかいを実践的に捉えかえし、日本軍「慰安婦」制度を歴史から抹殺しようと企てる右翼ファシストの攻撃と対決しなければならない。
 また安倍による靖国参拝を許してはならない。植民地支配や侵略を正当視し、侵略戦争で戦死することを賛美する靖国神社は、安倍政権の「戦争のできる国」づくりに欠くことのできない施設だ。八月反靖国闘争に立ち上がろう。

  ◆4章―3節―5項

  反帝国際主義派の国際共同闘争の前進を

 反帝国際主義闘争においては、大衆的反帝国際統一戦線=アジア共同行動日本連絡会議を支援し、ともにたたかうことである。安倍政権の「戦争のできる国」攻撃と対決する反帝国際主義派の大衆的潮流を国内国外を貫いて組織していこう。
 第一に、反戦・反基地運動を推進しよう。沖縄・辺野古、岩国基地に対するAWC日本連のたたかいをさらに発展させよう。五月沖縄闘争、八月岩国国際デーを闘おう。また韓国斉州島・カンジョン海軍基地建設、クンサン基地強化あるいはフィリピン米軍駐留に反対する国際共同闘争を組織しよう。朝鮮戦争阻止、中国への軍事圧力に反対しよう。
 第二に、労働者・青年の国際連帯事業を支援しよう。五月韓国、フィリピンのメーデー、十一月韓国労働者大会をともにたたかおう。全国で派遣団を組織しよう。
 第三に新自由主義グローバリゼーションとのたたかいとして、今年フィリピンで開催されるAPECに対する闘争を、フィリピン人民はじめ世界の労働者人民とともにたたかおう。

  ◆4章―3節―6項

  市東さんの農地守り抜き、三里塚闘争に勝利しよう


 反帝闘争拠点=三里塚闘争をたたかいぬこう。三里塚闘争は、四十九年目を迎えるが、反対同盟は「農地死守」「実力闘争」の原則を守り、不屈にたたかい空港完成を阻んでいる。一昨年十二月の萩原進事務局次長の逝去を乗り越え、「用地内」農民を先頭に新たなたたかいが開始されている。反対同盟と支援が一体となって空港周辺地域において、署名やビラまきを行い、騒音に苦しむ多くの住民の支持を得て、空港反対の正当性を改めて確信している。
 本年のたたかいの焦点は、空港会社による市東さんの農地強奪攻撃を打ち砕くことである。一昨年七月、市東さんに対し、建物の収去と農地の明け渡しを命じた千葉地裁不当判決がだされ、昨年三月二十六日から東京高裁で控訴審闘争がたたかわれている。空港会社の主張には、一片の法的正当性もない。農地法に違反し不法を繰り返したのは空港会社であり、市東さんを訴える資格などない。
 農地法を悪用した農地強奪攻撃は、第三誘導路建設によって市東さんの家屋・畑を孤立させ、すさまじい騒音・振動による生活・営農破壊と一体の攻撃だ。空港建設のために手段を選ばず農地強奪を企てる空港会社を許すことはできない。
 三月四日には第三回公判が開かれる。三月二十九日に開催される三里塚全国総決起集会と一体のたたかいとして取り組もう。東京高裁の拙速審理を許さず、千葉地裁不当判決を打ち砕く裁判闘争に勝利しよう。三月二十九日全国総決起集会に全力で決起しよう。
 市東さんの農地を守り抜き、三里塚闘争勝利の道を切り拓こう! 反対同盟とともに空港廃港までたたかおう。

  ◆4章―3節―7項

  被抑圧人民・被差別大衆の闘いの前進をかちとろう


障害者解放闘争、被爆者解放闘争、女性解放闘争、部落解放闘争、入管・日韓連帯闘争の推進である。被抑圧人民・被差別大衆の自己解放闘争を日帝打倒の重要な戦線として位置付け、たたかっていこう。
部落解放闘争 狭山差別裁判糾弾・第三次再審闘争に勝利することだ。この間三者協議が継続している。その中で弁護団は、検察が隠し持つ非開示証拠を少しずつだが開示させ、それを基に石川さん無実の新証拠・新鑑定を作成し、東京高裁・高検を追い詰めている。戦闘的部落民と連帯し、本年こそ再審の扉をこじ開けよう。安倍政権下で激化する差別排外主義を糾弾し対決する部落解放闘争を推進しよう。
被爆者解放闘争 帝国主義を打倒する解放主体として立ち上がる被爆者・被爆二世のたたかいに連帯しよう。韓国との共同闘争を実現し大きく発展している「反戦・反核・反原発・被爆二世の国家補償を!」を掲げる8・6広島原爆ドーム前での青空集会を断固として支持し、推進していこう。被爆二世、三世の団結を形成しよう。被爆に対する国家責任を明確にした補償の実現をかちとろう。中国電力が目論む上関原発計画を阻止しよう。
女性解放闘争 岩国行動のなかで取り組まれてきた「軍事基地と性暴力」をテーマとする女性たちの取り組みを継続していこう。戦争と軍事基地は、女性にとって脅威であり女性差別を拡大する。戦争・軍事基地とたたかう女性解放闘争を進めよう。安倍右翼反動政権の下で、日本軍性奴隷制度を糾弾するたたかいへの攻撃が激化している。被害者の日帝糾弾・戦後補償実現運動への女性差別・排外主義攻撃を粉砕しよう。安倍政権は「女性が輝く日本」を「成長戦略」の一環として掲げている。しかし、その実態は、女性労働者を非正規雇用に固定化する差別政策である。女性労働者にとっては低賃金・労働強化による搾取強化の政策である。均等待遇実現など女性労働者の労働運動を推進しよう。女性の団結に基づく女性解放闘争を進めよう。
障害者解放闘争 安倍右翼反動政権の戦時障害者政策と対決しよう。精神障害者に対する実態的保安処分強化としての医療観察法廃止をかちとろう。「侵略反革命とたたかう障害者青年同盟」建設を推進しよう。沖縄反基地闘争、岩国行動、国際共同闘争など障害者の反帝決起を、障害者―精神障害者―健常者の三者共闘でさらに進めていこう。また、各地で障害者解放の拠点をつくり出していこう。
入管闘争 入管体制は、在日・滞日外国人を治安管理の対象として、分断・管理するものだ。労働力人口の減少を補う外国人労働者を、「技能実習制度」による「奴隷労働」ともいうべき状態で酷使・搾取する差別政策を許してはならない。差別排外主義に貫かれた入管体制を粉砕しよう。安倍政権の朝鮮学校「無償化」排除を許さず、裁判闘争に勝利しよう。



  
■第5章 労働運動方針

  安倍政権の労働法制大改悪攻撃粉砕

  労働者の団結で階級的労働運動構築を



 全国でたたかう仲間の皆さん。
 資本主義は今、誰の目にも明らかなように歴史的な危機の段階にある。まさに、「死滅しつつある資本主義」の姿を露わにしている。全世界で搾取と収奪、強権と抑圧に対して数千万の労働者人民がたたかいに決起している。資本主義と労働者階級が歴史の未来をかけた攻防の時代を迎えていると言える。だが、労働者階級のたたかいもまた多くの課題を抱えている。この歴史的な混迷を突き抜ける新たな階級闘争の前進に向け今、二〇一五年の激闘をたたかおう。

  ▼5章―1節

  現代世界の大転換と日本階級闘争

  ◆5章―1節―1項

  画歴史的段階に立つ現代世界


 現代世界は、今大きな転換点にたっている。
 戦後世界体制は、帝国主義諸国の中で実質的に唯一の戦勝国といえる米帝の世界支配として成立した。それは同時に、ソ連と、戦後革命に勝利した中国をはじめとする国々に対する「反共体制」として成立した。米帝・ドルを中心とする「統一的世界市場」と米帝を中心とする軍事同盟を根拠とする世界体制である。
 この戦後体制は、「ニクソン二つの声明」によって世界的な再編期に突入する。ドル散布や他帝の復興、そして、ベトナム民族解放革命戦争の勝利という米帝の歴史的敗北により、米帝のヘゲモニーが後退するなかで危機をむかえ、金を背景としたドルの固定相場制から「変動相場制」に移行する。
 七四年―七五年恐慌の混乱の後、米帝は金融力と軍事力を背景とした新たな「巻き返し戦略」をとる。レーガノミクスといわれる新自由主義グローバリゼーションへの再編成に突入する。帝国主義は金融独占資本主義段階における争闘へと突入するのである。これは、ソ連崩壊と中国等の資本主義への転換を受けて地政学的に全世界へと拡大していく。金融独占資本の無政府性と暴力性は、詐取的な手法を生み出し、いわゆるリーマン・ショックという金融に端を発する大恐慌を生み出した。
 この新自由主義グローバリゼーションの破産のなかで、米帝をはじめとして、帝国主義諸国は破綻した金融独占資本や独占企業に対して、国家が資本を注入して救済するという非常手段をとり、大量の国債発行と、中央銀行による国債買取によって貨幣を無制限に発行するという禁じ手を使わざるを得なくなっている。この結果、膨大な国家債務を抱えこみ財政危機に陥っている。そして、この債務一切を労働者人民からの収奪によってのりきろうとしている。社会保障の解体、増税等をおこない、それへの反撃には国家暴力をもって圧殺するものである。この構造は、破綻したギリシャをはじめとしたEU諸国にとどまらず全世界的である。今や、現代世界はこの間の世界市場の拡大の根拠としてあったBRICSの成長停滞にみられるように、新たな破たんの時代を迎えている。一方では、昨年七月の「BRICS銀行」の設立合意は、戦後世界体制の盟主であった米帝の相対的後退を象徴している。
 このように新たな再編に突入する中で伝統的保守主義を抱えて登場した安倍政権は、中曽根・小泉等の政策を引き継ぐものでしかなく、そのうえ米帝への追従を根拠とする国内外の政策はすでに破産を宣告されたものに他ならない。
 資本主義は、レーニンが『帝国主義論』で指摘したように「死滅しつつある資本主義」としての姿を全面化している。問われているのは、次の未来を実現すべき労働者階級の国際的・国内的なたたかいなのである。このたたかいがなければ、新たな未来を決して切り拓けない歴史的段階なのである。労働者階級は全世界でたたかいに起ちあがっている。新自由主義グローバリゼーションが賃金奴隷としての労働者の現実を明確にし、ごく一部の富める者がさらに富を独占し、貧しい者への搾取と収奪を激化させ、生存権をもはく奪している。労働者の低賃金化、失業者の増大、社会保障・福祉解体攻撃等々をとおし、労働者階級の貧困化・抑圧が世界的に拡大している。
 これに対し、世界的に反グローバリゼーションのたたかいが反失業・低賃金反対・搾取阻止等の旗の下で広がり、そして継続的にたたかいぬかれている。ブラジルの労働者のたたかい、ギリシャの反失業デモ・行動とそれに連帯する各国での連帯デモ、アメリカや世界での最低賃金引き上げを求めるたたかい等には数千から数十万の労働者が決起している。反グローバリゼーションのたたかいは、繰り返されることを通して確実に労働者の団結を国際的なものとして強化していく。
 全世界で増大する労働者のたたかいは、資本主義との矛盾のなかで労働者階級としての自覚を醸成していく。このたたかい、抵抗が資本主義との全面的対決へと至っていないのは、国際的な共産主義―社会主義運動の決定的な立ち遅れによるものに他ならない。このことを見据えた労働運動の階級的前進こそが問われている。

  ◆5章―1節―2項

  日本階級闘争の新段階


 国内においては再度登場した安倍政権が、「侵略戦争ができる国家」への転換と新自由主義的政策を推し進めることによって、日帝の危機を乗り切ろうとしている。この反動的な安倍政権の攻撃と総対決し、階級闘争を前進させるために新たな階級闘争構造を創出することが問われている。安倍反動政権と総対決し、新たな階級闘争構造を切り拓いていくためにはその歴史的な位置を明確にしなければならない。
 戦後階級闘争構造は、日帝の敗戦のなかでの在日の決起を契機として燎原の火のごとく全国を覆った戦後革命期の階級闘争の圧殺の上に成立した。いわゆる「終身雇用、年功序列賃金、企業内労組」という労働者支配構造ゆえに、体制内化し、一方で戦後社民の議会内反対派としての位置と結合した総評労働運動を基礎として成立した。そして、戦後復興と「高度成長」を客観的条件としながら、「平和と民主主義」を掲げた階級闘争として実現された。そのような構造の中で、この構造を突破しようとする階級的労働運動や反戦青年委員会運動も生み出された。
 だが、七〇年代中期以降、この構造は主客の条件を喪失し、再編に突入する。戦後革命期を乗り切った政権・資本によって進められてきた生産性向上運動等による労組への攻撃、同盟やIMF・JCの育成がなされ、中曽根政権は「戦後政治の総決算」として総評の解体へ突入した。公労協闘争の中心であった国労は「国鉄の分割民営化」という攻撃で弱体化され、「全民労協」から「総評解散・連合結成」へと至った。これによって、戦後的階級闘争の構造は終焉する。これ以降、連合は独占資本の利益の擁護者として、圧倒的多数の下層労働者を切り捨てる運動へと純化し、「新時代の日本的経営」の推進者となりはてているのである。
 連合は今日、民主党政権の崩壊、「保守二大政党制」の危機による連合自体の危機の中で、「政労使会談」に参加し、反動の安倍政権と結合し、そこに展望を見出そうとしている。連合は「労働組合」という装いすら脱ぎ捨て、戦前の「産業報国会」「大政翼賛会」と同様に行政権力と結合した資本の下僕になり、そのおこぼれにあずかりながら戦争動員運動へとひた走っているのである。
 このような現状のなかで、相対的に下層の労働者の政治的・経済的矛盾は拡大し、抑圧は激化している。支配階級はすでにこの層を切り捨て、搾取と収奪の対象としてのみ位置づけており、反抗・反乱があれば暴力的に圧殺する体制を構築している。
 現在の国内の労働者の雇用状況の現状についていえば、製造業においては大手がますます工場を「海外移転」していく中で、中小零細が中心となっている。また、労働者の圧倒的多数がいわゆるサービス産業に雇用されており、そのうえ労働者の約37%が非正規であり、労働者の四分の一が年収二百万円以下である。不安定雇用と低賃金、権利解体のなかで、展望をもちえない層として存在させられている。
 戦後階級闘争構造のなかでも労働運動の機軸とされなかった中小零細の労働者こそが階級闘争の中心とならなければならない。新たな階級闘争構造は、搾取と抑圧のなかで貧困を強制される相対的下層労働者の分断の突破、そのうえでの抵抗と反撃の開始なしには成立しない。
 自らが、多数であり、社会の主人公であることを自覚し、階級的共同性を地域から、業種から、一から創造していくたたかいの蓄積こそが本格的に要求されているのである。
 こうしたたたかいは、中小の労組の確実な組織化や、反原発闘争や反基地闘争の中で生みだされつつある。まさにこの細流を一個の勢力としていくことが問われている。階級闘争の現段階はこのことを要求している。労働者が労働者階級として、自らの利益とめざすべき社会を正面から掲げてたたかうことが要求されている。このことが現在の階級情勢の求めるものである。

  ▼5章―2節

  日本労働運動の新たな再編と課題

  ◆5章―2節―1項

  日本労働運動の動向


 現在の支配階級の攻撃は、新自由主義による強搾取・強収奪にとどまらず、戦後的な権利の解体(労働法制の改悪等)と、労働者の新たな支配構造への組織化の段階に至っている。新たな世界的再編における独占資本の利益と、戦争と民族排外主義への組織化である。支配階級の利益への全面的な屈服の強制である。徹底した階級の分断による階級意識の解体から、侵略戦争と排外主義への組織化への段階に至っている。労働者という概念すら社会的に抹殺しようとしている。
 この攻撃は、戦後革命期の圧殺の上に成立し、「平和と民主主義」と「高度成長」のなかで、社会党・総評を中心とし、「企業内労組、終身雇用、年功序列賃金」という労組をとおした労働者支配の実現としてあった時代、そのなかでの同盟、IMF・JCの育成による御用組合化の時代とは、明確に異なる攻撃である。
 総評解体・連合結成は、労働者のたたかいを体制内化するという段階から、政府・資本の利益を忠実に実行する労組・労働者という段階への転換であった。現在の攻撃の質は、労組は労働者上層のごく一部の利益を実現するが、それ以外は労組という組織体すら与えない、個人として分断していくものである。労働法制等の戦後的な労働者保護の全面的な解体と、国家・資本への全面的な屈服と動員としてある。階級支配構造自体の転換である。したがって、戦後的な労組構造の防衛だけでは、抗しきれないものだ。
 膨大に生み出される労働者下層の貧困化と無権利化のなかで、歴史的課題としてあった、この層の利益と要求による労働運動・労組の形成の実現として抜本的に労働運動を創造していかなければ、敗北への道を進むことになる。
 現在の安倍政権と支配階級の攻撃は、世界的な情勢に規定されたものである。戦後的な「安定」の時代はとっくの昔に終焉し、むき出しの独占資本の利益が、新自由主義として全面化している。労働者は自らの利益と社会を具体的に問題としなければならない時代である。
 労働運動も、このことに規定されて全体的な再編にむかっている。
 連合は、新自由主義への屈服から「政労使会議」として政権・自民党のもとへ走り、従来の位置すら一歩こえてしまった。その結果、内部に「旧総評系」との溝を拡大している。それは都知事選等にも現れている。だが、「旧総評系」にしても連合を割るという気はなく、公明党などをとおした政策要求の実現という以上ではなく、民間大手・公務員の既得権の維持を求める以上ではない。しかし、平和フォーラムに結集する自治労・日教組・私鉄等は労働組合として反原発・反基地など反戦平和運動を堅持してきている。連合内で主流になれないなかで他に存在証明はない。
 日共・全労連は、「自共対決」をうたい、諸大衆運動に参加を強めヘゲモニーをにぎらんとしている。だが、日共の本質に変化はない。基本的にブルジョア民主主義防衛、秩序維持の民族主義である。反動に対抗する姿勢で位置をしめているが、階級のたたかいには本質的に敵対するものである。
 総体として、「戦後レジームからの脱却」という攻撃に対して、戦後「平和と民主主義」の防衛と「戦後的権利」の防衛としてのたたかいは不断におこらざるをえない。問われているのは、六〇~七〇年代において左翼反対派としてあった新左翼運動を総括し、階級闘争総体を「新たな階級闘争構造」へと再編していくためのたたかいである。本格的な、反転攻勢を開始していくことである。

  ◆5章―2節―2項

  左派労働運動の現状と課題


 その反転攻勢の根拠ともいうべき「左派の労働運動」も再編の過程にあるということができる。右翼的労戦再編、総評解体・連合結成に対して「連合にいかない、いけない」勢力として存在してきた「左派労働運動」においては、戦後労働運動からの発展の道をめぐり、新たな転換の模索がなされてきた。
 「企業内労組の克服」や「民間中小を中心にする労働運動」等が課題となり実践が模索された。分裂していた春闘を中小を中心とした「けんり春闘」として新自由主義とたたかう構造へと転換させ、反基地・反原発という「反戦平和運動」を強める等の前進がおこなわれてきた。
 だが、公務員労組員が減少し、民間における新たな活動家の育成や、なによりも最大の課題である非正規の組織化の困難のなかで、ある意味では根底的な転換がせまられているといえる。このなかで、現在の課題と未来をみすえた、青年層や非正規雇用労働者を集めて、単組の枠を超えた運動と組織をつくる試みが開始されていることに注目しなければならない。
 再編の動きが、肯定的・否定的な両面において進行している。この動きを分析し、われわれの方向を確定しなければならない。それは次の階級闘争の構造を規定するからである。
 われわれは、連合型の産業報国会として支配階級への屈服の組織化、全労連の永遠の戦後民主主義の幻想と秩序への組織化と断固としてたたかい、あくまで労働者階級の解放を権力奪取として実現すること、その階級的根拠の組織化を目的とし、階級の経済的・政治的利益のもとに、その団結体としての労働組合運動を形成するのでなければならない。
 それは、主体形成的に独自勢力を外につくるのではなく、総評の再建の動きも含めて左派労働運動の全体的な結集の内部におけるたたかいでなければならない。あくまで全体的な労働運動を階級的に形成するという「新たな階級闘争構造」の形成のなかに階級的労働運動を位置づけなければ、歴史的な総括の克服とはならない。
 では、広い意味での労働運動の動きとはどのようなものか。反原発の一〇〇〇万人アクションや一〇〇〇人委員会等による反戦・反原発運動による、非連合・非全労連の勢力を形成しようとしている。このことは、労働運動の社会的位置の獲得において一定の意味を持つが、労働運動の全体的な方向を持っているとは言い難い。新たな労働運動の構造を形成するものではないが、その根拠の一部を形成するものとして位置づける必要がある。
 このような中で「左派」の労働運動も本格的な転換を実現しなければならない時期に至っている。新自由主義攻撃と侵略戦争体制に抗する労働者階級の根底的な反撃を組織する労働運動の推進構造を確実に実現していくことである。
 それは、労働者階級の相対的下層の政治的・経済的要求と利益に立脚し、それを実現していく労働運動に他ならない。
 それは第一に、民間中小零細・非正規の労働者の労組への組織化を中心とした労働運動を形成していくことである。地域的・業種的な、この層の労組への結集の実現無しに、「新たな階級闘争構造」と階級的労働運動の根拠は形成しえない。そのためには、ここに依拠する労組の全国的結合の強化が必要である。極めて困難な条件のなかで、「手工業性」は困難を拡大するだけである。
 第二に、総評の根本的弱点であった「企業内本工労組」構造を突破する新たな労組構造と団結を地域・業種という形態で創造していくことである。この点については、さまざまな実践がなされてきたが、本格的に強化されなければならない。
 第三に、極めて実践的な課題としての労組指導部の新たな層の形成の実現、青年労働者の形成、中小・零細、非正規の労組に不可避な財政問題等について、労組間の連携した解決を実現していくことである。
 第四に、国際的な反戦闘争と結合した労働者階級の政治的な決起を不断に組織していくことである。
 「左派労働運動」全体の結集によって、力を分散することなく、社会的な労働者の相対的下層の全国的な結集を実現しなければならない。このたたかいと同時に、労働者の階級的利益の社会的位置を実現していくものとして、政府・資本の推進する「新自由主義政策と侵略戦争・民族排外主義」と真っ向から対決するたたかいに、青年労働者をはじめ組織化していかなければならない。

  ▼5章―3節

  階級的労働運動 二〇一五年の任務・方針


 第一に、安倍右翼反動政権を打倒していくことである。
 「戦後レジームからの転換」を掲げた改憲攻撃と対決して、集団的自衛権行使、原発再稼動と海外輸出による核武装策動、社会保障削減と生涯派遣・残業代ゼロ・解雇自由をめざす労働法制大改悪など、労働者階級圧殺攻撃を許さず、中央政治闘争と現地実力闘争を断固たたかおう。
 第二に、アベノミクスのさらなる強化によって貧困と格差拡大により生活苦にあえぐ圧倒的多数の中小企業労働者、非正規雇用労働者、女性労働者の組織化をたたかいとることである。
 第三に、反グローバリゼーション、反戦・反基地、反差別・反貧困、国際連帯を掲げた階級闘争構造を、地域・全国を貫いて前進させることである。
 第四に、労働運動活動家とともに階級的実践を蓄積しつつ、革命的労働者党を建設していくことである。
 そのために、われわれは、以下の四点の具体的任務を先進的労働運動活動家とともに進めていく。
 第一に、国際連帯を掲げて、反戦反基地闘争、反原発・再稼動阻止、反差別、労働法制改悪阻止の中央政治闘争と現地実力闘争に断固決起することである。
 第二に、左派労働運動の大結集をめざして奮闘しよう。
 そのために、岩国反基地労働者実行委員会はじめ、労働組合による沖縄―岩国―京丹後―神奈川―韓国を貫く反戦反基地運動の発展をかちとっていこう。また、全国労組活動家ネット運動を推進し、左派労働運動活動家の経験交流をおこなう冊子『LANN』を刷新して、新世代育成のためにわれわれの歴史的教訓と内容を掲載し共有化していこう。
 第三に、新たな階級闘争構造創出にむけて、非正規・女性・青年労働者の組織化とともに左派労働運動の内部に拠点的労組を数年かけて作り出していこう。そのために、全国の、とりわけ首都圏―関西―九州山口地方の戦略的配置を進め、また自治労、郵政、教労のたたかいを頑強に牽引していこう。
 第四に、15春闘を、15けんり春闘全国実行委員会とともにたたかい勝利しよう。職場・地域の労働者の力を結集し、「官製」春闘をうち破ろう。
 格差・貧困の拡大を許さず、民間中小・非正規労働者の賃金底上げを断固実現しよう。雇用の劣化・非正規拡大を阻止し、三度目の再提出が狙われている改悪派遣法案を粉砕しよう。



  
■6章 青年運動方針

  現代資本主義の災禍を打ち砕く青年運動を構築していこう



 新自由主義―現代資本主義のもとで、今日の青年層、若者たちは、過酷な現状を強いられている。失業、半失業、不安定雇用、生活苦、労働苦、そして、こうした現実をすべて「自己責任」とされる現実。だが、一方で、若者たちの反抗も次第に生まれだしている。新自由主義、戦争国家化、階級対立の拡大、階級闘争の激化の予兆。今日の若者は、現代資本主義のもたらす災禍を集中的に受けている世代でもある。だからこそ、若者、青年たちが、階級闘争と共産主義運動・革命運動に立ち上がり、その主体へと登場していくことが決定的に重要なのであり、その成否は、階級闘争の将来を大きく左右していくことになろう。ゆえに、われわれは、二〇一五年を通しても、青年のたたかいを前進させるために一層奮闘するであろう。ともにたたかおう。

  ▼6章―1節

  青年の置かれている現状


 現代資本主義は、今日の青年、若者たちに過酷な現状を強いている。過酷な現状を強いている最も重要な問題は、雇用である。そもそも、新自由主義を特徴とする現代資本主義は、正規雇用の削減と非正規雇用の広範な一般化、社会保障政策の解体と自己責任化を、重要な特徴としている。日本でも、日経連によって、一九九五年の「新時代の日本的経営」でそうした方向が明確にされ、雇用形態は、長期蓄積能力活用型、高度専門能力活用型、雇用柔軟型と三分類された。
 それから二十年、いま安倍政権は、労働者派遣法改悪や、裁量労働制の大幅な導入など、引き続き、さらなる雇用をめぐる自由化を「成長戦略」の重要な柱に据えている。こうしたなかで、すでに、青年をめぐる雇用状況は大きく変化してきた。若年層にいたっては、二人に一人は非正規雇用という現状であり、失業・半失業状態が広範に蔓延している。それどころか、「夢は正規職」とまで言わせる過酷な現状を多くの若者が強いられている。非正規職を転々とし、一生、不安定雇用のままいくしかない。経済的事情から結婚ができない、あるいは、子育てができない、こうした現状が蔓延しつつあるのである。すでに、年功序列賃金や終身雇用は解体した。多くの若者、青年を待ちかまえているのは、先の三分類でいう雇用柔軟型の道であり、不安定雇用の道なのである。女性にいたっては、事態はさらに過酷である。安倍政権が鳴りもの入りで宣伝している女性政策の本質は、非正規、不安定雇用の広大な供給源として女性を「活用」するということである。それだけではない。経済的苦しさを背景に性産業で働かざるをえない女性も常に再生産される。性の商品化を再生産するのが資本主義なのである。
 学生の場合はどうか。今日の学生存在も大きく変化した。二人に一人が大学に入学するとはいっても、そもそも、今日、学力は親の経済力に大きく左右される。公教育は民間の教育産業(塾)を不可欠な補完物にしている。親の経済力がなければ、塾にかようことができない。塾によって学力が大きく左右されるのが現実である。そして、高卒に待っている道は、その多くが不安定雇用の道である。こうした現状は、もはや、大学卒でも本質的に大差ない。今日の学生は、行政、国家官僚や大企業正規職などへ進む、東大などを頂点とする一部のインテリゲンチャ的存在以外は、その多くが、不安定雇用労働者予備軍とでもいうべき存在に変化している。大学を出ても大半の学生にとっては安定した正規職は望むすべもない。しかも、多くの大学生が在学中にアルバイトなどで生活費や学費を工面せざるをえず、在学中にすでに不安定雇用労働者としての日々を送らねばならないのである。よしんば正規職に就いても、待っているのは無権利と過酷な長時間労働などであり、離職率は極めて高くなっている。
 もはや、働いても働いても暮らしが楽にならないという現状が一般化し、年収二百万円に満たないワーキングプアが広範に生み出されている。こうした現状を背景に、今日の若者には、結婚や子育てさえままならないという現実が襲いかかっているのである。かつて、高度経済成長の一時代、「一生懸命に働けば明日はもっとよくなる」という意識が青年層の共通の世代認識でもあった。しかし、今日の青年層にとってはそうではない。逆である。明日にまったく展望がもてないのである。今日の若い世代には、「明日はもっとよくなる」というような世代としての共通認識はもはや存在しない。新自由主義がこうした現状をもたらしたのである。今日の若者を待ち受けているのは、不安定雇用、生活苦、労働苦、そして、いまや、安倍政権が進めているような新たな戦争動員への道である。
 こうした現状は、何も、日本だけの問題ではない。米国やEU諸国など、新自由主義のもとで、帝国主義諸国では共通の状態となっている。帝国主義諸国の若者は、かつて経験したことのない失業・半失業、不安定雇用化という共通の事態にさらされている。
 しかも、若者の過酷な現状はすべて「自己責任」であるという、イデオロギー攻撃が社会の隅々にまでいき渡っている。この「自己責任論」は、新自由主義イデオロギーであるのだが、社会の責任、公的責任をまったく不問にする。それ故に、「自己責任」論にとらわれている若者たちは、「すべては自分のせいだ」と自己を責め、「生きずらさ」を感じ、さまざまな苦悩を背負わされている。だが、当然にも、若者を襲うこうした「生きずらさ」の原因は、「自己責任」にあるのではなく、今日の新自由主義―現代資本主義社会にこそある。新自由主義は、一方における冨の蓄積、他方における貧困層の固定化を拡大を極限的に推し進め、すべてを市場の論理におきかえ、市場こそ神であるかの如くの社会を作り上げてきたのである。そこではほんの一握りの「勝ち組」と多くの「負け組」が生み出されることが当たり前とされる。そして、それはすべて「自己責任」だというのである。
 こうしたなかで、今日の若者のなかには、明らかに不満が増大している。にもかかわらず、多くの若者は立ち上がってはいない。不満の増大は、いわば水面下で拡大しているのである。それは、一方では、「自己責任」論などのイデオロギー攻撃のなかで、若者自身が、それに囚われていることの結果でもあり、他方では、こうした不満を組織するたたかう側の主体的な陣形、さまざまな社会的空間の不在の結果でもあるということである。戦争、新自由主義、階級矛盾の激化という情勢のなかで、もしも、こうした状況が放置されていくならば、若者は容易に差別排外主義の側へと糾合されていくであろう。
だが一方で、この過酷な現実は、「自己責任」などではなく、資本主義社会に根拠を有していること、「この社会にこそ原因があるのだ」と自覚する青年も明らかに生まれつつある。そして、この間、青年の政治的な立ち上がりが明らかに登場してきた。それは、特に、反原発運動において、また、秘密保護法や集団的自衛権行使に反対する運動としても生み出されてきた。さらに、在特会などの差別・排外主義潮流の街頭行動や襲撃行動に対する抗議闘争などでも青年の立ち上がりが生まれている。若い人たち自身が、街頭で自己を表現し、社会に抗議しようとする傾向が明らかに生み出されつつある。若い人たちのこうした立ち上がりをあらゆる形で促進していかねばならない。

  ▼7章―2節

  若者、青年よ! 起ち上がろう


 若者、青年は立ちあがらなければならない。では、青年運動はいかなる方向で発展させねばならないのか。
 第一に、青年労働者こそが、労働者階級の若き世代として、あらゆる水路を通して階級的労働運動の新たな主体へと登場していくことにある。
 二〇〇〇年代に入ってから、いくつかの主要都市で、若者自身による労働組合が形成されてきた。さらには学生内部にもこうした志向が存在する。こうした志向を支持し促進しなければならない。若者自身が、自らの生活と権利を守り、失業、半失業、不安定雇用、長時間労働、無権利状態、これらに異議を申し立て立ち上がり団結していくことが不可欠である。また、既成の階級的労働運動内部において青年部活動を特別に重視し強化していくことも重要な課題である。青年労働者は、青年部を結成し、あるいは、青年部に結集し青年自身のたたかいを強化していかねばならない。
 その他にも、NGOなども含め、さまざまな形での若者、青年の社会参加を促進することも無視できない。
 要は、あらゆる形で、労働者階級の若き世代が、自己の生活と権利をかちとるために団結する場を創造していくことであり、こうした社会空間を創造していくことにある。それらは、「居場所作り」などと言われるが、個に分断されている若者たちが、団結しうる空間をあらゆる形で創造していくことが必要なのである。
 第二に、若者自身が政治闘争に立ち上がることであり、全人民政治闘争の先頭に若者こそが立っていくことにある。
 今日の若者を襲う過酷な現実と展望のもてない将来を創り出しているのは、あくまでも現代資本主義である。資本家階級の利益に基づいた政治に対して、労働者階級、被差別大衆、被抑圧人民の利益に基づいた政治を対置しなければならない。階級と階級のたたかいは政治闘争の形態を取る。政治的に立ち上がるということは、資本家階級の政治に反対し、労働者階級の政治要求をかかげてたたかうということである。
EU諸国では、反資本主義運動が直接果敢に組織されている。若者に労働苦、生活苦を強いる資本主義(個々の悪徳企業への直接行動を含む)そのものに対する運動を政治運動・街頭運動として組織しよう。
 いま、安倍政権によって、原発再稼動が開始されようとしている。川内原発をスタートに、次は高浜原発の再稼動が狙われている。若者こそが、川内原発再稼動を許さないたたかいの先頭に立とう。また、安倍政権によって進められようとしている集団的自衛権行使のための新法制定を絶対に許さず、若者こそがそのたたかいの先頭にたとう。安倍政権は、統一地方選後には新法国会上程を狙っている。全国から国会へ。国会を包囲する大闘争を創り出そう。さらに、集団的自衛権行使のために沖縄をはじめとする米軍基地の新設・強化と日米軍事同盟の一体化・強化が進んでいる。沖縄の人々は、辺野古新基地建設を拒否することを鮮明にしている。にもかかわらず、安倍政権は、辺野古新基地建設を強行しようとしている。沖縄に連帯し、辺野古新基地建設を阻止するたたかいの先頭に若者がたとう。岩国でも同様である。二〇一七年、極東最大の海兵隊基地へと変貌させられようとしている岩国基地強化に反対する若者の流れを創り出していこう。
 安倍政権は、戦争のできる国家改造を進めている。安倍政権を人民の実力で打倒する全人民政治闘争の先頭に若者こそがたとう。この間、街頭それ自身が結集点となり、街頭で自己を表現し、かつ訴える、ソーシャルネットによる大衆闘争、街頭行動の新たなスタイルなど、若者たちによる政治参加は、新たな形で創造されてきた。こうした若者の政治参加を促進していかなければならない。
第三に、差別排外主義とたたかうことにある。
ここ数年で社会的に登場してきた「在特会」をはじめとする差別排外主義勢力を許してはならない。在日韓国・朝鮮人への直接襲撃にさえ公然と踏み込んできたこうした勢力と若者こそが対峙しなければならない。鶴橋(大阪)で、「鶴橋大虐殺」を主張した女子中学生は、決して特異な存在ではない。現社会への不満が容易にこうした排外主義に組織される先行的な現れにすぎない。そして、こうした勢力の増長を促しているのが、安倍政権そのものなのである。かつてのアジア侵略戦争の美化、日本軍「慰安婦」制度問題をめぐる安倍政権の執拗な反動的試み、あるいは、橋下らの同様の攻撃、こうしたことが背景にあって、在特会などの突出が横行するのである。差別排外主義勢力を許さず、安倍政権を打倒しよう。本年は、敗戦七十年、日韓条約五十年である。安倍政権のアジア侵略戦争の美化、元日本軍「慰安婦」への敵対、河野談話、村山談話見直し策動を粉砕しよう。
第四に、同じ境遇にさらされている各国地域の若者、青年との国際的な連帯と共同闘争を創り出し発展させていくことにある。
先述したが、いま、主要な資本主義諸国の若者はまったく共通の事態にさらされている。失業、半失業、不安定雇用。こうしたなかで、EU諸国や米国の若者も街頭に進出している。米国でのオキュパイ運動、EC諸国での直接行動など、若者の新たな登場が国際的にも始まってきた。格差拡大や民主主義をめぐる若者の直接行動が増大していることは事実である。台湾や香港での占拠でも若者が大きな役割を果たした。アラブの春やオキュパイ運動が示したように、グローバリゼーションのもとで、各国地域のたたかいは、同時性、連動性をかつてなく強めている。若者たちのたたかいは特にそうである。
 また、学生の貧困化というこれも各国共通の傾向のなかで、米国のように、学生の貧困化につけこんで戦争へ組織しようとする動きも構造的となっている。貧困、戦争は、若者にとって、いまや本質的に共通の闘争課題なのである。
 さらに、不安定雇用が蔓延するなかで、韓国でもアルバイト労働組合などが結成されてきた。当然、学生を含む多くの若者が主体となっている。不安定雇用を根拠に各国地域で若者たちのたたかいがさまざまに形成されている。こうしたたたかいの国際的な連帯・共同の試みをどんどん促進していこう。
 最後に、若者こそが、共産主義に結集していくことにある。
 現代帝国主義を打倒し、新たな未来をつくるために、若者自身が共産主義の新たな再生に結集することである。資本主義のもたらす災禍を根絶しようとするならば、共産主義の新たな再生以外に道はない。かつて、資本主義に抗する全世界人民の希望であった共産主義は、スターリン主義のもとでまったく別物に変質し、結局は崩壊してしまった。こうした歴史を教訓とし、共産主義は新たに再生されねばならない。若者こそが、その主体となる必要がある。社会民主主義は、よりよき資本主義への改良を求める。日本共産党も政治的には同様となっている。だが、これらは、根本解決の道ではない。資本主義を打倒し、共産主義の新たな歴史的再生を生みだしていく以外に本当の歴史的な希望はない。若者こそ、この道に結集し、共産主義を再生していく主体とならねばならない。しかも、それは国際的であらねばならないし、そうでしかありえない。資本主義諸国で共通の状態を強制されている若者たちが、国際的に共同するなかでこそ、共産主義の世界的な再生は可能である。若者こそ、共産主義の新たな再生を創造していく先頭にたとう。



  
■第7章 学生運動方針

  闘う学生は共青同(学班協)に結集し

  日帝―安倍政権打倒に決起しよう


  ▼7章―1節

  二〇一四年のわが学生戦線の闘い


 二〇一四年、共青同(学班協)に結集する同志たちは、安倍政権の「戦争国家化」と全面対決して全国各地でたたかい抜いた。
 沖縄・辺野古での新基地建設の強行に対し、沖縄人民はボーリング調査を阻止する海上行動をたたかい、同時にキャンプ・シュワブ・ゲート前では工事車両の搬入を阻止する実力闘争を展開してきた。われわれもこの現場で海上保安庁や機動隊による暴力に抗し、工事を阻止するために奮闘した。東京でも、辺野古のたたかいに触れた青年・学生と共闘して、街頭宣伝や防衛省抗議行動を組織してきた。
 七月一日、安倍の「集団的自衛権の行使容認」閣議決定という情勢に対しては国会前抗議行動を連続的にたたかってきた。十一月、国会包囲行動を実力闘争としてたたかった。関西でも十二月「安倍政権の暴走を許すな」と立ち上がった学生たちとともに、集団的自衛権に反対する学生デモを組織し大成功をかちとった。
 進行する米軍再編を現場で阻止する闘争にも立ち上がった。岩国の基地大強化や愛宕山米軍住宅建設とたたかう岩国市民と連帯し、十一月国際連帯集会に結集した。京都・京丹後のXバンドレーダーの設置を許さず、現地集会に参加した。
 七月、新宿区での差別排外主義集団によるヘイトスピーチを許さず、カウンター行動を断固たたかい抜いた。このなかで公安警察はあろうことか「暴行」容疑をでっち上げてカウンター側の学生を不当逮捕した。これに対しわが同志は救援活動に奔走し、不当逮捕された学生を奪還した。
 原発再稼動の情勢が迫る中、経産省脱原発テントを断固防衛し、川内原発再稼動阻止の現地闘争に仲間を派遣した。福島の住民との連帯を求めフィールドワークを大衆的におこなうとともに、福島第一原発事故の復旧や除染作業で被曝労働を強いられる労働者との連帯を模索してきた。
 そして反帝闘争の拠点=三里塚闘争を、統一委員会行動隊を先頭にたたかってきた。市東さんの農地強奪攻撃と対決し、現地集会、裁判闘争、営農支援の一端を学生の同志は献身的に担ってきたのだ。
 全国の共青同(学班協)は、こうした闘争に決起する学生と結びつき、ともにたたかい抜いてきた。
 この地平をさらに推し拡げ、二〇一五年の激闘をともにたたかおう。

  ▼7章―2節

  燃え上がる東アジアの学生運動


 「世界の成長センター」と言われる東アジアだが、その「成長」の陰で、若者は経済格差・貧困と政治的抑圧に苦しんでいる。
 台湾では、昨年三月十八日から二十四日間、約三百人の学生が立法院の議場を占拠した。中台サービス貿易協定の審議を国民党が打ち切ったことに抗議したものだ。議場周辺には立てこもった学生を支援する人々が座り込みを行い、三月三十日には総統府周辺のデモに五十万人が結集。馬政権は譲歩をし、四月十日に学生らは議場から退出した。
 学生の決起には背景がある。台湾では二十代から三十代を『崩壊の世代』とネーミングした本が発売され社会現象になった。将来に希望を見出せず、財政や福祉制度の崩壊に直面する世代という意味だ。国民党も民進党も一貫して新自由主義政策を推進した結果、国家財政は危機的状態で、派遣など労働市場の規制緩和が進み、ワーキングプアが増え、若者は結婚や育児すら想定できなくなっている。日本の若者と同様の事態である。
 香港でも学生運動が爆発した。昨年九月、学生たちが政府庁舎周辺や繁華街の道路を占拠し、一部をバリケード封鎖した。警察の暴力排除をはねのけ、十二月中旬に退去されるまで二ヶ月半、占拠を続けた。
 運動を主導した学生団体は、「民主派」を事実上排除する行政長官選挙の撤回を求めてたたかったのだが、台湾同様、香港の学生たちも経済格差に対する怒りを同時に抱えている。
 梁振英行政長官が「デモ隊の要求に応じれば、選挙結果は香港の低所得層に左右されてしまう」と暴言を吐いたのは象徴的だ。香港の富裕層が大陸の資本と結託して、香港労働者民衆を政治的に抑圧しているという構図が鮮明となり、占拠行動に労働者も合流した。
 ただわれわれが「雨傘革命」を評価するとき、香港はイギリスや日本による植民地支配を受けてきた地域であることを想起する必要がある。中国人民から見れば、欧米や日本が「民主主義」の説教をする資格はない。
 一方、「反朴槿恵」の民衆運動が高揚する韓国でも、青年学生が新自由主義とのたたかいに立ち上がっている。
 「最低賃金を生活賃金の水準である時給一万ウォン(約千円)に引き上げよう」の要求を前面に掲げる「アルバイト連帯」は、アルバイトに代表される非正規職や失業者などの不安定労働者があふれる社会を「根本的に変えよう!」と闘争を開始。一昨年にこれを基礎にして「アルバイト労組」が結成された。半分以上は現役学生で、地域と大学に支部を持っている。マクドナルドで不当解雇された組合員の解雇撤回を求める活動を現在、展開中だ。
 アメリカを中心とする多国籍企業のグローバルな展開と、中国の資本主義大国化という巨大な地殻変動が同時進行するなかで、東アジアの青年学生はみずからの将来をかけ街頭行動に決起し始めた。
 今年は「戦後七十年」、すなわち一九四五年の日本帝国主義の敗北―アジア解放から七十年を迎える。日本国内で吹き荒れる民族排外主義とたたかい、日本帝国主義の侵略と植民地支配の歴史をしっかり踏まえることを前提として、韓国や台湾、フィリピンをはじめ、アジアのたたかう青年学生との国際連帯を着実に組織していこう。

  ▼7章―3節

  反戦反基地・沖縄解放・原発再稼動阻止、安倍打倒!

  ◆7章―3節―1項

  安倍政権の「戦争国家化」を阻止しよう!


 昨年安倍は、アメリカと共に「戦争のできる国」の実現を目指し、七月一日「集団的自衛権の行使容認」の閣議決定を強行した。「一内閣の解釈で憲法を変える」という立憲主義すら否定した暴挙は、一昨年の秘密保護法の強行成立と合わせ、広範な労働者・市民の怒りや不安をかきたてた。
 安倍はこうした人民の憤激に追い詰められると同時に、沖縄人民が名護市議選や沖縄知事選で大勝利を収めたことにあせりを募らせ、十二月衆院選に打って出た。三分の二の安定多数を確保したが、「集団的自衛権の行使容認」を民衆が認めたわけでは断じてない。
 安倍は今年、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)再改定をめざすとともに、四月の統一地方選後、安保法制の制定を強行してくるだろう。「アベノミクスによる景気回復」なるキャンペーンを前面に出して、その陰で「戦争国家化」を進めようという狡猾な政治手法だ。
 反安倍の広範な大衆運動は今年、さらに燃え広がる。われわれはこの動きを断固支持する。と同時に、安倍政権打倒を正面から掲げ、左派の統一戦線形成に向けて奮闘する。たたかう学生はこの戦線の一翼を全力で担おうではないか。

  ◆7章―3節―2項

  沖縄人民の闘いに連帯しよう!


 7・1「集団的自衛権の行使容認」閣議決定と同じ日、安倍政権はキャンプ・シュワブ沿岸域の立ち入り禁止水域の拡大を宣言した。新基地建設阻止行動に対し、「刑事特別法で逮捕する」と恫喝をかけたのだ。
 だが沖縄人民はこれにひるまず、海上で、キャンプ・シュワブ・ゲート前で、まさに体を張ったたたかいで基地建設を阻んできた。この現場攻防と一体に、繰り返し大規模な「県民集会」が開かれ、その大衆的決起を土台として、九月名護市議選の勝利、十一月沖縄知事選の勝利、そして十二月衆院選の勝利と、「オール沖縄」のたたかいが安倍政権を逆に追い詰めている。
 われわれは「基地に依存せず、誇りある豊かさを」と立ち上がった沖縄人民総体の立ち上がりを断固支持し、ともにたたかう。沖縄人民は「沖縄のことは沖縄が決める」たたかいに島ぐるみで踏み出した。歴史的な決起だ。「本土」労働者学生は、日本政府による沖縄に対する差別・抑圧を実践的に粉砕することを通じて、沖縄の決起に応えなければならない。
 安倍政権は衆院選直後に「辺野古が唯一の選択肢」と言いなし、沖縄選挙区での自民党全敗という現実を突きつけられてもなお、新基地建設を強行しようとしている。われわれはカヌー隊やゲート前座り込みの現地攻防に青年学生を今後も派遣する。そして基地建設を指揮する安倍首相・防衛省に対する直接抗議闘争を首都圏で断固展開してゆく。沖縄連帯行動を圧倒的に拡大していこう。

  ◆7章―3節―3項

  原発再稼動を阻止せよ


 安倍政権のもと、全国で原発再稼動の動きが強まっている。
 原子力規制委員会は「中立性」を投げ捨てて完全に「原発推進」の立場に立ち、昨年九月、九州電力・川内原発一、二号機の再稼動を了承したのに続き、十二月、関西電力・高浜原発三、四号機についても、再稼働のための事実上の合格証となる審査書案を了承した。いずれも地震や火山対策など全く不十分なままだ。
 福島第一原発ではようやく四号機プールから使用済み核燃料の搬送が完了したが、いまだ一~三号機の内部には人間が近寄ることもできない。この間、津波以前の地震による機器の破損などが明らかになった。原発はいかに安全対策をとろうとも重大事故が避けられない。電力会社、政府、原子力学会など原子力利権集団はこうした事実を改めて突きつけられてもなお、「命よりカネ」の本音をむき出しにして原発再稼動をおこなおうとしている。
 そもそも原発は、労働者の被曝労働なしには成立しえない。事故の有無に関わらず、現場作業員は定期検査などで放射線に体を蝕まれる。しかも重層的下請け構造のもと、被曝対策はなおざりにされてきた。被曝が原因で発病しても補償はなく、泣き寝入りした労働者は数知れない。労災認定されたのは氷山の一角だ。被曝労働者の「犠牲」なしに成立しえない発電所など本来あるべきではない。
 昨年末、経産省は電源三法交付金を使って、再稼動した自治体にカネをばらまく方針を打ち出した。またしても「カネの力」だ。経産省前に堂々と屹立し、運動の交流拠点でもある脱原発テントの意義は計り知れない。
 原発再稼動阻止の現地闘争に、地元住民と連帯しつつ決起しよう。経産省テントの強制撤去を許すな。被曝労働者の権利を守り、原子力利権集団の解体へ突き進もう。

  ◆7章―3節―4項

  排外主義の煽動を許さず、安倍右翼反動政権打倒


 安倍右翼反動政権のもと、差別排外主義、民族排外主義が吹き荒れている。
 安倍政権は極右運動「日本会議」の会員を多数抱えている。高市早苗や山谷えり子は在特会らと親しげに記念撮影していた。この政権そのものが排外主義集団と一体なのである。
 安倍といえば歴代自民党政権のなかでも、テレビや大手新聞を懐柔したり、場合によっては圧力をかけるなど、際立ったマスコミ統制をする政権だ。とりわけ「慰安婦」報道をめぐっては、朝日新聞に攻撃を集中させた。大手新聞や週刊誌は「国益を守れ」「売国奴を許すな」と大合唱し、記者個人に対する個人テロを含む脅迫もおこなわれた。安倍がけしかけたようなものだ。街中では中国や韓国を名指しして貶める書籍が大量に販売され、テレビでは「日本」「日本人」を礼賛する番組が連日放映されている。
 しかし一方で、ヘイトスピーチに対する抗議行動も広がり、社会的包囲網が形成されてきた。新宿区新大久保では、在特会らにデモをさせないなど一定の成功を収めてきた。われわれはこの運動に連帯しつつ、沖縄反基地運動や戦後補償運動に対する排外主義集団の敵対を断固粉砕しなければならない。そして排外主義の元凶・安倍政権を一刻も早く打倒しよう。

  ◆7章―3節―5項

  学生の貧困と新たな闘争


 「景気回復で大卒就職率が69%に上昇」等と報じられている。大卒の就職率が二〇一〇年以降、少しずつ上昇してきたのは確かだ。だが、全体的に非正規雇用が増加し、正規であっても賃金が低く抑え込められていることにより、依然として学生の生活と将来は厳しい。
 奨学金受給者は年々増加している。日本学生支援機構の有利子奨学金は急増し、二〇一四年で貸与者数が約九十六万人で十六年前の八・七倍、金額では八千六百七十七億円と同十三・三倍に達した。実に学生の二・六人に一人が同機構から奨学金を借りている。
 奨学金の受給が増加した最大の理由は、親の給与が減少し、教育費の家計負担が増加したためだ。奨学金の返済は卒業後だが、親の援助が受けられない学生はアルバイトに多くの時間を割く。そのアルバイトも、学生の足下を見て長時間で劣悪な労働を強いるものだ。「大学に通うためにバイトしてるのにバイトのせいで大学に通えない」という本末転倒の事態が起きている。
 卒業後、奨学金が返済できなくなる人が増えている。日本学生支援機構の三ヶ月延滞者の調査を見ると、無延滞者の場合、正規職が64・5%を占め、非正規職員は8・4%だったのに対して、延滞者は正規職が35・6%、非正規職が15・1%、無職・失業中・求職中が18・2%となっている。収入面でも無延滞者が年収二百万円以上が全体の七割弱を占めたのに対し、延滞者は年収二百万円未満が全体の六割強を占める。
 「非正規で収入が不安定」「正規でも収入が低い」という雇用状況、返済不要の給付金方奨学金が金額ベースでわずか3・8%に過ぎないという教育予算の欠陥。これが返済できない原因だ。
 昨年九月、文科省の「学生への経済的支援の在り方に関する検討会」で、経済同友会専務理事が、奨学金の延滞者に「防衛省でインターンシップ(就業体験)をさせたらどうか」と発言した。自衛隊が米軍と共に侵略戦争をおこなえば、戦死者が出て隊員が不足する。それを見越し、貧困層を自衛隊員にするよう仕向ける。まさに「経済的徴兵制」であり、絶対に許してはならない。
 だが学生の貧困化や労働の過酷さに対し、学生みずからが立ち上がりを開始している。昨年、東京で「ブラック企業、ブラックバイト、奨学金という借金」に怒りをもって街頭で抗議し、学生同士の連帯を模索するグループが登場した。この動きをわれわれも支持し、苦しみを抱える学生たちの団結を進めていく。

  ◆7章―3節―6項

 「新しい街頭闘争」と左派統一戦線


 3・11以後、首都圏では「新しいスタイルのデモ」が注目を集めてきた。
 大飯原発再稼動に対し、巨万の民衆が結集した首相官邸前抗議行動、在特会らの排外主義デモに抗議する「カウンター行動」、秘密保護法の制定に抗議する学生の独自デモ、7・1集団的自衛権行使容認の閣議決定に抗議する官邸前行動などがそれだ。
 これらの運動は、これまで街頭行動に参加したことのない人々を新たに結集させ、「政治に対する怒り」を可視化させた。他国にくらべ日本では「デモは当たり前の表現行為」であるという意識が若い世代ほど低い傾向がある。一連のデモは、その点を塗り替える試みとして大いに評価できる。
 ただし、その思想傾向を散見すると、賛同できない点も多い。
 集団的自衛権反対の「東京デモクラシークルー」仕掛け人の高橋若木氏は、「安倍首相の言う『戦後レジームからの脱却』は要は革命だが、私たちはその革命から戦後日本の民主主義を保守したい」と語る(朝日新聞「デモと民主主義」記事より)。
 だが「戦後日本の民主主義」は無条件に礼賛し、守るべきものなのか。戦後日本は天皇制と日米安保という基盤の上に成立した。昭和天皇の戦争責任を免罪し、アジアの侵略と植民地支配に向き合うことなく、国内では在日に対する差別・抑圧を温存した。朝鮮戦争・ベトナム戦争など、アジア人民の犠牲の上に「高度経済成長」を遂げた。米軍基地を沖縄に押し付けることで日米安保を維持した。この経緯を無視して単に「民主主義を保守」するのでは、安倍政権と真に対決することはできないのではないか。
 また高橋氏は、「3・11以前のデモは社会の『外側』から社会を糾弾している、少数の目覚めた弱者による多数派への抵抗。こわばった悲壮感が漂い、デモから人を遠ざけていた」「私たちは自らを社会の『内側』をつくっている市民であり、主権者という強者だと思っている」と語る。
 ここで問題は、社会の「内側」と強調する意味だ。一連のデモでは、労組や団体旗の掲揚が禁止される一方、「日の丸」の掲揚は容認された。またデモを規制する警察官に対し、主催者は一貫して親和的な態度をとってきた。既成の団体に属したり、警察官の規制に抗議する人々は社会の「外側」の者と判断されているのだろうか。既成の団体、あるいは新左翼一般に対する不信感もあるのだろうが、多様性を自ら狭めると言う点ではリベラルですらない。
 「戦後日本の民主主義を守る」という運動では、立憲主義をも破壊しようとする安倍政権とのひとつの対抗軸とはなりえても、資本のグローバルな展開を防衛するための帝国主義の「戦争国家」づくりを粉砕し、日本資本主義の根幹と結合した原子力利権集団を解体する方向へと、闘争を発展させることはできない。
 社会の「内側」から生まれつつ、階級意識に目覚めた労働者を中心とする、多様な層の社会的連帯の構築こそが求められている。安倍政権打倒の左派統一戦線を作り上げ、反権力・反資本主義・反侵略・反差別の原則的主張とたたかいを「新しい街頭闘争」に対置していくこと、われわれは今年このことに全力を傾ける。たたかう学生は左派統一戦線の一翼を担おう。

  ◆7章―3節―7項

  学生共産主義者の組織=キムを発展させよう


 最後にわれわれは、たたかう学生に対し、わが共産主義青年同盟(学生班協議会)=キムへの結集を呼びかける。
 二〇一五年は冒頭から安倍政権との熾烈なたたかいを迎える。「反戦反基地、沖縄解放闘争連帯、原発再稼動阻止」の三大決戦に勝利するためには、一人でも多くの学生を闘争へ立ち上がらせ、みずから先頭でたたかい、闘争を勝利へ導く学生共産主義者の集団が必要だ。
 日本共産党は、反安倍の票を集約し衆院選で議席を倍増した。しかし運動の成果を議会選挙へと収斂させ、労働者民衆の怒りやエネルギーを抑え込むのが共産党の路線であった。辺野古にせよ原発再稼動にせよ、現場が実力闘争へ煮詰まる段階では必ず制動をかけてくる。この制動を突破して闘争を勝利させよう。


 

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