共産主義者同盟(統一委員会)


1448号(2014年11月5日) 政治主張






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 新基地建設阻止! 沖縄知事選勝利

  11・29―30岩国に総結集しよう

  労働者派遣法改悪阻止!

  川内原発再稼動絶対阻止!

 


 九月二十九日に第一八七臨時国会が開会した。
 安倍政権はこの臨時国会において、労働法制の大改悪を企んでいる。派遣労働の自由化を進め不安定雇用を常態化させる労働者派遣法の全面改悪や「残業代ゼロ制度」とも批判される労働時間規制の撤廃など、新自由主義政策を進める安倍政権のもとで労働法制と労働者の権利は戦後最大の危機にさらされている。これらの「労働規制の撤廃」攻撃こそ、アベノミクスの「第三の矢」といわれる「民間投資を喚起する成長戦略」の基軸なのだ。安倍首相自身が「日本を世界一企業が活動しやすい国にする」「私がドリルになって岩盤規制を打ち破る」と公言している。「岩盤規制」とは労働者保護を原則とした労働法制のことを指している。一部の輸出大企業や大手ゼネコンをもうけさせ、大多数の中小零細企業とそこで働く労働者、非正規雇用労働者を犠牲にしながら「経済再生」を目指すというのがアベノミクスの本質なのである。さらに、消費税の再増税、医療・福祉制度の改悪、福島の原発被災者切り捨て政策、九州電力・川内原発の再稼働を皮切りとした原発再稼働、トルコなどへの原発輸出などを矢継ぎ早に進めようとしている。
 七月一日に閣議決定が強行された「集団的自衛権行使容認」は、それを実行に移すために関連法の整備が必要になるが、十一月沖縄知事選や来春の統一地方選への悪影響をおそれた安倍政権は臨時国会での法律上程を見送った。しかしその一方で、具体的な「戦争をする国づくり」が着々と進められている。沖縄の辺野古や高江での基地建設工事の強行、山口県の岩国基地大強化と愛宕山への米軍住宅建設工事、京都府京丹後市経ヶ岬でのXバンドレーダー基地建設(近畿地方初の米軍基地)、厚木(神奈川)や横田(東京)、東富士(静岡)や北富士(山梨)などでのオスプレイ飛行・離着陸訓練と東日本での訓練常態化計画(千葉県木更津市に整備拠点を置く策動)などが、集団的自衛権行使容認の五月「安保法制懇」の報告書提出・首相記者会見―七月閣議決定と軌を一にする形で開始されてきた。
 日米軍事一体化がますます強化されようという情況のなかで、各地の基地地元では粘り強く住民運動がたたかわれている。アジア共同行動日本連絡会議(AWC日本連)と「14岩国労働者反戦交流集会実行委員会」は十一月二十九~三十日の二日間、「国際連帯集会」と「岩国☆希望の祭」を開催する。共産主義者同盟(統一委員会)はこれらの取り組みを支持し、全党をあげて支援する方針だ。多くのたたかうみなさんに十一月岩国現地への結集をよびかけたい。この取り組みと同時に、安倍政権打倒を展望した原則的左派勢力の統一戦線構造をつくりだしていこう。


  ●第1章 日米ガイドライン改定中間報告を批判する

 十月八日、東京の防衛省で日米外務・防衛局長級協議が開催された。日本側から富田浩司外務省北米局長、黒江哲郎防衛省防衛政策局長らが参加し、アメリカ側からはダニエル・ラッセル国務次官補(東アジア・太平洋担当)、デイビッド・シェアー国防次官補(アジア・太平洋安全保障担当)らが参加した。このなかで、日米防衛協力小委員会(SDC)が「日米防衛協力のための指針(日米ガイドライン)」改定に向けた中間報告をまとめ、発表した。

  ▼1章―1節 「憲法上の制約」突破、段階画した安保の強化

 この中間報告のおおまかな内容は、七月の集団的自衛権行使を「合憲」とする閣議決定に基づき、従来の「後方支援」や「非戦闘地域」という制約を取り払い、自衛隊と米軍の共同軍事行動を具体化しようというものだ。
 日本側の位置づけは「指針の見直しは、その領域と国民を守るための取組及び国際協調主義に基づく『積極的平和主義』に対応する。切れ目のない安全保障法制の整備のための二〇一四年七月一日の日本政府の閣議決定は、日本国憲法に従った自衛隊の活動の拡大を視野に入れている。指針の見直しは、この閣議決定の内容を適切に反映し、同盟を強化し、抑止力を強化する」というものだ。「現行憲法の枠内で可能なかぎりの日米安保体制の強化」を図っていくとしているが、それは言い訳にもならない。「日米同盟のグローバルな性質を反映するため、協力の範囲を拡大する」と明記しているように、安倍政権が踏み込もうとしているのは「憲法上の制約」を破壊する、段階を画した日米安保体制の強化である。

  ▼1章―2節 全世界での軍事展開を想定

 日米ガイドラインは、米ソ冷戦時代の一九七八年に策定された自衛隊と米軍との相互協力・役割分担を定めた政府間文書であった。九六年四月の橋本・クリントン会談で発表された「日米安保共同宣言」を踏まえ、翌九七年九月に日米間で改定が合意された。これは「新ガイドライン」と呼ばれ、冷戦後の日米安保体制の強化・実戦化に道を開くものとなった。「日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合」を「周辺事態」とし、「新ガイドライン」を実現するために九八年の通常国会に周辺事態法(「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律」)が提出され、九九年の第一四五通常国会で国旗国歌法や盗聴法などの悪法とともに成立した。
 現在行われているガイドラインの改定は、これまでの「周辺事態」(地域的には「日本周辺」)という地理的制約を取り払って、集団的自衛権行使の名のもとに地球上どこでも自衛隊が米軍とともに展開することを可能にするということを想定している。

  ▼1章―3節  日米共同作戦を具体化、戦争立法制定攻撃

 報告のなかで「切れ目のない」という表現が多用されている。これまでの日米ガイドラインでは「平時」「周辺事態」「日本有事」とレベルを分けて日米共同作戦計画が策定され、それに基づいて周辺事態法や武力攻撃事態法(○三年に制定された有事三法のひとつ)が策定されてきた。そのような区分を取り払って、「切れ目のない、実効的な、政府全体にわたる同盟内の調整」を行うとしており、平時から恒常的な米軍支援、共同軍事作戦をなそうとするものだ。具体的には、情報収集、警戒監視及び偵察、訓練・演習、施設・区域の使用、防空及びミサイル防衛、経済制裁の実効性を確保するための活動、海洋安全保障などがあげられている。
 安倍政権は、日米ガイドライン改定で日米共同の軍事作戦を具体化させ、これと一体に来年通常国会での戦争立法制定に着手しようとしている。集団的自衛権「合憲」化をより鮮明な形をとって実現しようとしているのだ。


  ●第2章 反基地闘争を推し進め、安倍政権を打倒しよう

 安倍政権の集団的自衛権「合憲」化の閣議決定―日米ガイドライン改定策動は、現実には日米安保の軍事拠点である基地強化として強行されている。沖縄―辺野古をはじめとする反基地住民闘争は、安倍政権の戦争攻撃を打ち砕く実践的根拠となるだろう。各地で反基地闘争を進め、あるいは連帯し、安倍政権の戦争攻撃の実体的基盤を揺るがしていこう。

  ▼2章―1節 辺野古ボーリング調査―埋め立て工事粉砕!

 政府防衛省・沖縄防衛局は、十一月沖縄知事選前の埋め立て工事強行を狙っている。辺野古現地では、今年一月の名護市長選での稲嶺進市長の大勝と九月名護市議選での与党議員団の勝利という実績のもとで、キャンプ・シュワブ・ゲート前を占拠した座り込みやカヌー隊と船団による海上行動がたたかわれている。警察権力や海上保安庁の暴力弾圧と対峙し、体を張った実力闘争が敢然と展開されている。この十一月は文字通り辺野古決戦に突入している。
 この決戦情勢に、「本土」からあらゆる形での支援が求められている。首相官邸や防衛省への対政府行動、街頭情宣、SNSなどでの情報共有と支援ネットワークの拡大、現地への物質的・精神的支援など、各地でよびかけ、取り組んでいこう。そしてなにより、辺野古現地攻防に参加することだ。全国からの派遣を連続して行おう。

  ▼2章―3節 沖縄知事選に勝利し、反基地闘争の前進を

 沖縄の反基地勢力は、辺野古新基地建設反対を鮮明にした翁長雄志氏を候補として一本化し、「オール沖縄」の陣形で知事選をたたかっている。
 琉球・沖縄の歴史をみてみれば、薩摩藩の一六○九年の薩摩藩(島津家久藩主)の琉球征服、明治天皇制政府が一八七九年に松田直之(のち東京府知事)を「執行官」として軍警に首里城を包囲させて行った琉球処分=琉球王国の暴力的転覆、皇民化政策による日本「本土」への同化政策とアジア太平洋戦争末期に強制された「国体護持」=天皇制維持のための沖縄戦、日帝敗戦後の裕仁(昭和天皇)による「天皇メッセージ」の沖縄切り捨てと過酷な米軍政支配、七二年の返還後も四十年以上変わることのない日米帝国主義による差別軍事支配が続いてきた。日本「国土」の0・6%の沖縄に在日米軍基地の74%が集中し、沖縄島のおよそ18%が米軍基地・施設に占められているという現実がある。軍事植民地として自立経済の発展も阻害されてきた。〇〇年代後半以降は沖縄戦の史実が改ざんされた教科書も登場し、沖縄へのイデオロギー攻撃として押し付けられてきた。日本国憲法下で「本土」民衆の多数が一般的に前提としてきた諸権利から沖縄の人々は排除され続けている。反戦反基地と日本社会の変革を目指す勢力は、沖縄と「本土」の間に横たわる歴史的・現在的関係を後景化してはならないだろう。
 民主党政権時代、普天間基地閉鎖問題と辺野古新基地建設問題への怒りからはじまった「オール沖縄」の島ぐるみ闘争は、長年に渡る沖縄人民の差別軍事支配からの解放闘争を内包している。わたしたちはあくまで沖縄人民の自己決定権を支持し、沖縄解放闘争に連帯していく。辺野古新基地建設絶対反対を旗印にした一月名護市長選と九月名護市議選に続き、沖縄知事選での勝利をもぎとろうと奮闘している沖縄の人々を断固支持し支援していこう。

  ▼2章―4節 Xバンドレーダー基地建設阻止の現地攻防を闘おう

 近畿地方初の米軍基地として、Xバンドレーダー基地が建設されている京都府京丹後市経ヶ岬でも「米軍基地建設を憂う宇川有志の会」の住民による粘り強い抵抗が行われている。防衛省はろくな説明も行わないまま基地予定地の地権者に対して脅迫を交えつつ「同意」を強制し、今年の五月二十七日に突如工事を開始した。
 工事が強行されるなか、昨年結成された「米軍Xバンドレーダー基地反対・近畿連絡会」は現地行動を繰り返し取り組み、地元住民との対話を行ってきた。Xバンドレーダー「AN/TRY―Ⅱ」の搬入を控えた九月に現地集会とデモを行い、十月に入ってからは二十一日早朝のレーダー搬入と二十三日の米陸軍第十四ミサイル防衛中隊発足式の前後に、警察権力とぶつかりながらゲート前での抗議行動を展開してきた。十二月供用開始をゆるさず、地元住民との関係を深め運動を進めていこう。

  ▼2章―5節 岩国基地強化許さない「見守りの集い」

 山口県の岩国基地はこのかんオスプレイの訓練拠点として使用されてきた。さらに、空中給油機移駐が強行されるなかで、中国四国防衛局は五月十五日に愛宕山米軍住宅建設のための敷地造成の仮設工事を開始した。政府の一方的なやり方に対し「愛宕山を守る市民連絡協議会」の住民は怒りを燃やし、「愛宕山見守りの集い」を継続してたたかっている。
 岩国基地には、F―35戦闘機が二〇一七年に配備される計画が浮上している(アメリカ国外初の配備)。岩国基地を極東最大の海兵隊基地に変貌させる基地の大強化に反対していこう。


  ●第3章 14岩国行動の成功かちとり、安倍政権打倒の陣形強化を

 ガイドライン改定や沖縄をはじめとした具体的な新基地建設・基地強化の攻撃に明らかなように、安倍政権による「戦争をする国づくり」が急ピッチで進んでいる。このことを確認し、今秋期のたたかいの陣形を整えていこう。
 一昨年末の総理就任以来、安倍首相は国家安全保障会議設置、特定秘密保護法制定、集団的自衛権行使容認の閣議決定を多くの反対を押し切って強行してきた。衆参両院での数の力にまかせ、右翼反動政権としての本性をあらわにし暴走を続けている。しかし、一方で九月の内閣改造後、新閣僚の様々な問題が明らかにされてきた。「在特会」ら排外主義襲撃集団との密接な関係、公職選挙法違反疑惑、政治資金問題など、政権を揺るがしかねないスキャンダルが続出している。さらに、TPP参加問題、原発再稼働、消費税の再増税、社会保障の破壊、労働法制の大改悪など多くの人々の生活を破壊する改悪攻撃は階級間の対立をますます深めていく。しかし、これこそ安倍政権の本性である。今こそ、安倍打倒を鮮明にかかげるときだ。
 冒頭でも紹介したように、アジア共同行動日本連絡会議(AWC日本連)と「14岩国労働者反戦交流集会実行委員会」は十一月二十九~三十日、岩国現地で「国際連帯集会」と「岩国☆希望の祭」を開催する。全国の反基地勢力の総結集が呼びかけられている。
 以下、四点に渡って十一月岩国行動の意義を確認しておきたい。
 第一に、十一月岩国行動は労働者―労働組合を軸とした反戦反基地闘争、反政府闘争だということだ。
 一九三〇年代、日本帝国主義が中国侵略の全面戦争に突入していくなか、国家総動員法体制のもとでほとんどの労働組合は自ら積極的に解散し、戦時体制に組み込まれていった。労働組合運動は衰退し、政府の指導のもとで労使一体の「産業報国会」が作られ侵略戦争に賛成していった。その結果、多くの労働者が「殺し殺され」死んでいった。
 戦時には、多くの職種・職場が戦争に加担させられるようになる。資本家の利益のために他国の「同じ労働者」と殺し合いをさせられることを労働組合は拒否し、抵抗していかなければならない。労働者の生活と権利が守られるためには平和でなければならない。反戦平和運動の先頭に労働組合が起とう。反基地闘争に共感共闘し、アベノミクスによる格差と貧困の拡大に怒りをたぎらせている全国の労働者が結集する場が十一月岩国で実現されていくだろう。
 第二に、沖縄、岩国、神奈川、京丹後をはじめとして、全国の反基地運動の交流と連携をさらに強化していこう。
 沖縄と「本土」の基地地元では、戦後長い間、地道で粘り強い反基地運動が継続されてきた。それらひとつひとつが日本の反戦運動にとって貴重な財産であり、日米安保体制と象徴天皇制を基軸とした戦争攻撃・戦争動員攻撃を根底で阻み続けてきたといえる。これらのたたかいを個別バラバラに存在させるのではなく、相互の共闘関係をつくり、多くの人たちが支援する構造をつくることが大切な課題になってくる。この枠組みを拡大し強化していこう。
 第三に、アジア太平洋各国・各地域、アメリカをはじめとした世界各国・各地域の民衆による反帝闘争の結合を実現する場としていこう。
 毎年岩国には海外で反基地運動・反戦運動をたたかう仲間が参加する。米軍の展開に国境がないのなら、わたしたちの運動も国境を越えて結合し展開されなければならない。国際主義の旗を掲げ、日本の戦争政策に反対しアジア米軍総撤収をかちとろう。
 第四に、青年・学生の決起を実現することだ。
 安倍政権の一大反動攻撃は日本社会を大きく変化させることになる。戦争と強権政治、格差と貧困の一時代を生きていかなければならないのは若者たちだ。青年・学生は自らの未来をかけて安倍政権打倒の反政府闘争に決起し始めている。この闘争こそ、大きく発展、成長していかなくてはならない。
 多くのみなさんの結集で十一月岩国行動を大成功させ、安倍政権と対決する左派の統一戦線構造をつくりだしていこう。



 

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