1447号(2014年10月20日) 政治主張 |
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日米ガイドライン改定阻止! 安倍政権打倒! 2014岩国行動に総結集しよう 沖縄―「本土」貫き新基地建設阻止 労働者派遣法改悪を阻止しよう 九月二十九日、安倍政権は臨時国会を召集した。冒頭の施政方針演説では「経済の再生は経済成長の好循環にはいりつつあり、景気回復の実感を全国に届ける」と居直り、今国会の課題は「魅力あふれる地方を創成する」とか「女性が輝く社会をつくる」と空文句をのべている。それは大企業、富裕層優遇のアベノミクスなる経済政策の破たんが露呈しつつあるなかで、「経済再生国会」と銘打って、来年四月の統一地方選を見据えて現状をとりつくろい、労働者人民の批判をそらそうとするものに他ならない。 さらに、政治課題の国会論議を封じこめながら、強権的に沖縄辺野古の新基地建設、川内原発を先頭にした原発の再稼動、「日米防衛協力の指針(日米ガイドライン)」の改定、集団的自衛権の閣議決定強行にもとづく立法の準備、成長戦略なる規制緩和と労働者の権利・生活の破壊、消費税再引き上げなどの策動を矢つぎ早にすすめ、こうして「戦争をする国」作りと格差社会を一段とおしすすめようとしている。これらの攻撃に全力でたちむかい、運動を広く深く組織することが今秋の中心的な任務である。 ●1章 反人民性を露呈する安倍政権を打倒しよう 七月一日に集団的自衛権行使の閣議決定を強行した安倍政権は、さっそくその具体化に入った。年内に「日米ガイドライン」を改定し、そのなかに集団的自衛権の行使を具体的にもりこむものである。七月には防衛相小野寺(当時)が訪米してヘーゲル国防長官と会談し、年内に「日米ガイドライン」に集団的自衛権行使を反映させることを約束した。ミサイル防衛、機雷除去をはじめとする米軍への後方支援の拡大、自衛隊がともに行動する米艦を守ることなどを念頭に、ヘーゲルは「画期的な改定になり日本の役割の強化を期待する」と表明した。 また、行使を可能にするための関連法の改悪を来春の通常国会において一挙に成立させようと準備している。これらは戦争立法であるが、これを待つまでもなく沖縄で、岩国で、京丹後で、そして全国各地で米軍と自衛隊の増強・一体化が進行している。沖縄辺野古においては、新基地建設にむけてボーリング工事が強行され、人民は激しく抵抗し体をはって闘っている。 これらの権力との攻防に勝利し、今秋にも予定されているガイドライン改定を粉砕し、来春にむけて一連の関連法の改悪・戦争立法を粉砕する戦列を整えなければならない。 閣議決定強行を踏まえて、安倍は精力的に「戦争のできる国」を既成事実化するために外国訪問を頻繁に行っている。日本の憲法も知らない外国の首相に対して、集団的自衛権によって日本が海外でも戦争できる国になったことを説明し、釣魚諸島や南沙諸島、西沙諸島の問題を利用して対中国軍事包囲網を強化しようと策動した。また露骨に日本の国連安保理非常任理事国入りの支持を買収しようと奔走した。財界の代表団をも随行させ、財政支援と借款をエサにして原発の輸出や経済進出、日本の成長戦略のなかに組み込もうと画策した。その訪問国数は就任以来四十九カ国にのぼっている。 安倍内閣は激動を開始した国際情勢をも自らの「戦争のできる国」作りに最大限利用しており、このなかで集団的自衛権行使の危険性がますます鮮明になっている。 九月十日、オバマ大統領は中東で伸張している「イスラム国」への攻撃をいままでの防衛的なものから転換し、壊滅作戦へと踏み切ると宣言した。地上戦の派兵は否定しながらも空爆をシリア領内にも拡大し、長期戦を予想したものである。二〇〇一年9・11事件から十余年、オバマはみずから撤収をめざした中東への軍事介入の深みに再び踏み込んでしまった。分解してしまったイラクの現状も、そしてテロリストという「イスラム国」武装集団にしても、もともとは、米帝国主義の中東支配と軍事介入がひきだしたものであり、そのつど米軍が資金を提供し武器を供与し訓練を施して利用し作り出したものである。米帝はかつてオサマ・ビンラディン殺害などのたびに「これでテロの脅威がなくなった」と宣言したが、それどころか、新たに宗派対立などをも引き出している。暴力がテロを減らすことはありえない。 オバマはまたぞろ反テロリズム有志連合という名でもって、米帝に近いサウジアラビアや中東湾岸諸国をひきつれ、またフランスなど帝国主義諸国をまきこんで空爆を激化させている。経済力が後退し、軍事予算が削減される中で、米帝は単独で軍事介入が困難になり、EU諸国、オーストラリア、日本などをまきこみ、肩代わりさせることが必須になっているのである。 これに先立って八月、フランスのパリにおいて「イラク支援国際会議」が開かれ、日本も参加した。会議は「イスラム国」を国際社会の脅威と規定し、イラクに軍事支援を含むあらゆる支援をおこなうことを決議した。 また、九月下旬、安倍は訪米し国連総会の一般討論演説を行なった。そして「イスラム国」非難に同調し、積極的平和主義でもって「国際平和の構築」「国連平和維持活動(PKO)に貢献する」ことを誓った。また米軍によるシリア領内での空爆にも理解を示し支持を表明した。あわせて「二十一世紀の現実にみあった姿に国連を改革し、常任理事国となり、ふさわしい役割を担っていきたい」とのべ、みずからの帝国主義的野望をあきらかにした。あろうことか、「不戦の誓いを受け継いでいる」とか「二十一世紀こそ女性にたいする人権侵害のない世界にする」などと臆面もなく述べたのである。 集団的自衛権行使の閣議決定を後ろ盾にして国連安保理非常任理事国入りをめざす安倍政権は、閣議決定への大衆的批判や来春の地方選挙での反発を意識して今回は軍事的参加は見送り資金協力にとどめるといわれる。しかし、軍事支援へのレールは敷かれており、その参加は内閣の判断の問題にされようとしている。 このような安倍政権の動きは日本帝国主義の直面する危機の深さに規定されていることを見ておかねばならない。日帝はいまだ九〇年代からの長期の不況や二〇〇八年以降の世界恐慌の打撃から脱出できていない。日帝自身の作り出したツケとしての、産業の国際競争力の後退、GDPの二倍を超える巨額の財政赤字は増加をつづけ、少子化と高齢化による国内市場の狭隘化は万力のように日帝をしめつけている。二〇一二年選挙における自民党の勝利と安倍の再登場においても、自民党が大幅な支持を得たわけではないことは各種報道でも明らかにされている。 加えて、安倍の経済政策がその正体を露呈しつつある。「アベノミクス」とは、日銀を従わせて国債を買わせ、異常な金融緩和を行い、円安と株価の上昇を演出するという使い古された「禁じ手」であった。この政策は自動車など輸出大企業の利益を増大させ、外資による株価の上昇を一時的にもたらすだけであり、富を富者と大企業など一極に集中させ、引き換えに、地方の疲弊、人民の困窮を推し進めるものであった。安倍はこの利益を「全産業、全地方へもゆきわたらせる、そして成長戦略で日本経済をとりもどす」などと言って人民を欺いた。しかし、膨大に蓄積された大企業の利潤はマネーゲームや海外投資、株主配当にむけられ、地方への投資や労働者の雇用、賃金には回らない。個人消費は増えようもなく消費税増税がそれを追い討ちしている。円安は輸出の増大につながらず、逆に急激な円安によって中小企業は原材料・燃料価格の高騰に悲鳴をあげている。安倍の「世界で一番企業が活動しやすい国にする」という成長戦略の反人民性がますます露呈している。それは「経済特区」を作り、今まではできなかった労働法の規制をなくし、不安定雇用を増やすことである。また、他方においては大企業への支援の財政出動を増やし、法人税減税を断行することであった。これに呼応し、またテコ入れしようとして、九月八日、日本経団連は露骨に政治献金の復活を決め、人民の怒りをかっている。 安倍政権は政治、経済全局面においてますます反人民性を露呈し人民との矛盾を深めている。これらの日帝―安倍政権の策動や攻撃の前に労働者人民の抵抗が立ちはだかり、粘り強い闘いが持続している。安倍政権はそれゆえに「戦後レジームからの脱却」を叫び、戦後史を画する右翼政権としていままで以上に急ピッチの攻撃を畳み掛けてくる。われわれは具体的な攻撃と対決し、左派部分の共闘を作り上げ、安倍政権にたいし全面的な宣伝扇動組織戦に勝利せねばならない。そして全人民の反安倍のたたかいと結びつき、もって安倍政権打倒のうねりを全国的に作り出さなければならない。 ●2章 辺野古新基地建設、岩国基地強化と断固闘おう 八月十八日から開始された海底ボーリング調査に対し、沖縄人民と全国からかけつけた人民は連日、カヌー隊を組織し、キャンプシュワブのゲート前で座り込み・阻止行動を行い、海上保安庁・警察権力と激しく闘っている。このようななかで、九月七日、沖縄の名護市議会選挙がおこなわれ、辺野古新建設に反対する稲嶺市長の与党が市議会の過半数を制した。市長選に続いて建設反対の民意が決定的に突き出された。 このような民意をふみにじり力ずくで工事を強行している安倍政権への怒りは一層高まってきている。八月二十三日に続き九月二十日、辺野古の浜で開かれたボーリング調査に反対する県民集会には前回を上回る五千五百人が結集し、工事の強行と既成事実化、海上抗議行動にたいする海上保安庁の無法な暴行に抗議した。政府の横暴にたいする世論はあらたな「島ぐるみ闘争」としてますます拡大している。 九月十日には翁長雄志・那覇市長が沖縄知事選立候補を正式に表明した。新基地反対を鮮明にした知事候補が一本化され、知事選が闘われる状況が作り出された。沖縄人民は名護市長選、名護市議選に続き、基地反対の意志を鮮明にした勝利をもぎとり、オール沖縄で新基地建設を阻止しようとしている、 これに対し、防衛省は埋め立て本体工事にむけた攻撃をも開始した。沖縄防衛局が名護市長の権限に関わる工法を避けるために「埋め立て工法の変更」を申請し、「県」はわずか一カ月の審査でもって十月上旬にもこれを承認する予定とみられている。承認されればすぐ埋め立て工事が始まる。政府はこれによって十一月沖縄知事選前に本体埋め立て工事に着手し、知事選の結果いかんにかかわらず基地建設強行の既成事実でもって沖縄人民に闘いをあきらめさせることを狙っているのである。工法変更の承認とそれに続く埋め立て工事をなんとしても阻止せねばならない。十一月知事選のまえに辺野古新基地建設は重大な決戦を迎えようとしている。全国から辺野古への派遣を組織しよう。 米軍岩国基地はいま沖縄とならぶ巨大基地として大幅に強化されつつある。すでに日米両政府は普天間基地から空中空油機KC130を移駐し、また米軍オスプレイの低空飛行訓練の拠点として使用している。さらに、二〇一七年を目標に厚木から空母艦載機五十九機を移駐し、F35戦闘機を配備し、愛宕山に二百七十戸の米軍住宅を建設しようとしている。工事はすでに着工された。基地内にも七百六十戸が増設される。これが完成すると岩国は極東最大の海兵隊基地となる。 岩国の市民は、二〇〇六年の住民投票で反対の総意を明確にしてきたが、政府はそれを無視し、カネと力づくで基地強化を進めている。この攻撃の構造は沖縄はじめ各地で同様のものである。たたかう岩国市民は定期的に「愛宕山見守りの集い」を継続し、各地の反基地闘争とも結合しつつ粘り強く闘っている。 AWCは八月二十一日に第一回の「岩国国際デー」に取り組んだ。同日の現地の「愛宕山見守りの集い」に連帯して各地での宣伝活動、東京での防衛省抗議闘争が行なわれ、海外でも連帯行動がもたれた。いま十一月二十九日、三十日に岩国において「アジアにおける米軍基地に反対し、日本の集団的自衛権行使に反対する反基地国際連帯集会」の開催が予定され、その準備がすすんでいる。岩国行動を支持し、住民と連帯して闘かおう。 ●3章 京都Xバンドレーダー10月搬入―12月運用阻止 在日米軍・防衛省は京都丹後半島において五月に基地建設を抜き打ち着工して以降、工事を急ピッチで進めている。政府も府も市も「住民の安全・安心の確保」など口先だけで何も動かず、環境影響評価の実施を米軍に要求することすら行なわず、住民団体の「米軍基地建設を憂う宇川有志の会」の質問状にもまともに答えていない。そのようななかで、十月ミサイル本体の搬入と十二月の運用開始があきらかにされた。運用開始の時点では百六十人の軍人・軍属が駐留する計画で、すでに一部分は駐留している。これに対して住民の「基地建設協力撤回要求署名」が宇川地区有権者の過半数を超えた。集団的自衛権の閣議決定という情勢のなかで、いまやXバンドレーダーでとらえたミサイルに対して舞鶴を母港とする自衛隊イージス艦のSMミサイルが迎撃する、という戦闘になり、また逆に攻撃される対象になるということが現実のものになろうとしている。まさに近畿北部が集団的自衛権行使の最前線になるのである。 このようななかで九月二十八日に、「京都にも沖縄にも東アジアのどこにも米軍基地はいらない! Xバンドレーダー搬入反対9・28全国集会in京丹後」が近畿連絡会の主催で開催された。地域住民はじめ近畿、全国の反基地運動、沖縄の運動の代表、そして韓国の反基地運動の代表が参加し、基地は国境を越えて相互に深く関連しており、運動の側も連携して東アジアから米軍基地を一掃するよう闘うことを確認した。住民と連帯し十月レーダー搬入と十二月運用開始を阻止する闘いに決起しよう。 ●4章 川内原発再稼動阻止、重大な局面を闘いぬこう 九月十日、ついに原子力規制委員会は九州電力の鹿児島川内原発一、二号機の再稼動を承認した。七月に「再稼動に必要な新規制基準に適合する」という不当な審査書案を発表した後、一万八千件のパブリックコメントが寄せられたが、その疑問や批判を実質的に無視して審査書を正式に採択し、再稼動に大きな道を開いたのである。だが、審査書はまったくズサンなものであり、大いにありうる火山爆発の危険性と被害とを無視し、地震振動値を低く見積もり、さらに住民の避難計画をまったく考えていない不当なものである。これが安倍のいう「世界一安全な原発」の実態である。規制委みずから「避難計画は安全基準の対象外」とうそぶいている。規制委は原発の安全性のチェック機関ではなく、安倍政権の「エネルギー基本計画」にもとづく再稼動促進の手段であることを誰の眼にもあらわにした。福島の惨事を一顧だにもせず、利潤追求のために原発に依存し、原発輸出で経済成長しようとする財界・政府の手先でしかない。 この審査書の決定によって諸手続きや地元の同意とりつけに入る。鹿児島県知事も薩摩川内市長も再稼動に前向きであり、早ければ来年初にも再稼動される、と予想されている。すでに、地元をはじめ全国の人民は、反原発・再稼動反対を掲げて闘いを準備してきた。各地の運動との連携を強め、原子力規制委員会の傍聴、申し入れ、弾劾行動を行なってきた。 9・23には東京亀戸において反原発集会が開かれ、労組、市民団体など一万六千人が結集し、規制委の審査書決定に抗議し、川内原発をはじめとしたすべての原発の再稼動を許さないことを確認した。また、9・28には鹿児島市で地元九十団体で構成されるの「ストップ再稼動!鹿児島集会実行委」主催の集会が開催され、現地と全国から七千五百人が参加した。周辺自治体の反対決議などが報告され、「再稼動ありき」の姿勢に反対する県民世論の高まりを反映するものであった。十月には地元合意にむけて地元・近隣における大規模な説明会が予定されており、また十二月には県議会がある。これら再稼動反対運動の重大な局面の攻防に勝利しなければならない。 |
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