1441号(2014年7月5日) 政治主張 |
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憲法を破壊する閣議決定徹底弾劾! 戦争突撃の安倍打倒 三里塚第三滑走路計画粉砕 辺野古ボーリング調査阻止! 集団的自衛権「合憲」化に突き進む安倍政権の横暴は、国会内にとどまらず、全国各地で具体的な攻撃として激化している。戦争国家化の現実的基盤たる軍事基地の新設・強化、さらに原発再稼働の攻撃が、一気に推し進められようとしているのだ。だがこうした攻撃は、各地で国家の論理による人民抑圧の現実を生み出すがゆえに、安倍政権に対する、また帝国主義に対する人民の根底的な怒りを生み出さずにはおかない。 集団的自衛権「合憲」化をはじめとする、安倍政権の国会さえ無視した横暴に対して広がる全人民的な怒りの声と、各地で沸き起こる米軍基地建設反対、原発再稼働反対の声をしっかりと結合し、安倍政権打倒の全人民政治闘争をいまこそ大胆に組織し抜こうではないか! ●第1章 愛宕山米軍住宅建設着工弾劾! 五月十五日早朝、中四国防衛局は、岩国市での愛宕山米軍住宅建設の着工を強行した。まずもってわれわれは、地域住民からの説明の要求を事実上無視し、強い反対の声を押し切って進められた着工を満腔の怒りをもって弾劾する。この米軍住宅建設は、米軍厚木基地の空母艦載機を岩国基地に二〇一七年までに移転することに伴うものとされている。計画では、家族住宅地区(約二十八ヘクタール)に米軍住宅約二百七十戸、さらに運動施設地区(約十六ヘクタール)に野球場や陸上競技場などを建設するという。行政当局は、この野球場と陸上競技場は市民も利用できるとして宣伝し、市民への懐柔を進めている。だが米軍住宅ができれば、その区域は武装した米兵に厳重に警備される。住宅地の真ん中に、突如として戦場とつながった軍事施設ができるのである。これまでも岩国市では、米軍による事件や事故が発生しながらも、日米安保条約と日米地位協定の壁に阻まれて、十分な補償を受けられず、あるいは裁判すら行えず、泣き寝入りを強いられるなどしてきた。住民が不安と怒りを募らせるのは当然だ。 中四国防衛局は四月、周辺地区三カ所での住民説明会を実施した。しかし、その内容は、住民の不安に応えるものではまったくなかった。四月二十三日に牛野谷供用会館で開催された住民説明会には、住民約七十名が参加。中四国防衛局側は、四月十六日に「愛宕山を守る市民連絡協議会」が提出した公開質問状(「厚木からの艦載機移転が三年延期された理由」「移転してくる軍人・軍属及び家族の人数とそれに対応して必要となる住宅戸数」「運動施設及び家族住宅の施設建設スケジュール」「市の国に対する艦載機受入の前提となる四十三項目の安全・安心対策及び地域振興策の協議・達成状況」「最新の施設配置図の提示」など、二十八項目)への回答を拒否。一方的な工事概要の説明に終始した。質問時間を取るといいながら、一人一問に限定。さらに「持ち帰って上司に説明する」という回答ばかり。「住民に説明した」というアリバイづくりの説明会に、住民からの不満は頂点に達した。こうした住民の怒りに強制されて、二回目以降、中四国防衛局は説明資料の配布などを行ったが、どのような建築物を造るのかという実施計画が未決定であるにも関わらず、造成工事を強行しようとしていることが判明。さらに五月二日、中四国防衛局からの異例の文書回答がなされたが、内容のほとんどが「協議・調整中」というものであり、住民たちの不信と怒りはさらに高まった。 住民説明会のこのような破産にも関わらず、五月十五日、中四国防衛局は愛宕山米軍住宅の工事着工を強行したのである。「愛宕山を守る市民連絡協議会」をはじめ、岩国現地では国のでたらめなやり方に、ますます怒りが渦巻いている。そして、自分たちの暮らす地域がこのままでよいのか、もっと広く市民の間での議論が必要なのではないかと、さまざまな取り組みが始まろうとしている。岩国市民のこのような努力にエールを送り、政府の米軍基地建設強行を阻止するために、全国からの支援を広げよう。 ●第2章 Xバンドレーダー基地着工弾劾! 岩国での米軍住宅建設着工に続いて、五月二十七日には京都府京丹後市で米軍Xバンドレーダー基地の建設が開始された。Xバンドレーダーとは、強力な電磁波を用いたレーダーで、米軍のミサイル迎撃システムの一部である。日米政府は、発射されたミサイルをこのレーダーで探知し、その情報に基づいてミサイルを発射してこれを撃ち落そうというのだ。イラク戦争で米軍がイラク軍レーダー施設を真っ先に爆撃したように、レーダー基地は軍事戦略上の要衝となる。ひとたび戦争になれば、自分たちの地域が攻撃されるのではという不安を住民が抱くのも当然のことだ。何よりもこうした軍事基地の強化こそが、東アジアの軍事的緊張を高めている。 政府の計画では、すでに存在している航空自衛隊経ヶ岬分屯基地の敷地内にこのXバンドレーダー本体を配備するだけではなく、さらにこれに隣接する三・五ヘクタールに新たに米軍基地を建設し、ここに制御設備や電源設備、冷却装置など関連設備を設置しようというのだ。また自衛隊基地の拡張までもが計画されている。 この計画は、二〇一三年二月に行われた安倍とオバマによる日米首脳会談において合意され、以降、政府は近畿中部防衛局を通して、不安を抱え、あるいは反発する住民への切り崩しを強めてきた。京丹後市においても近畿中部防衛局による説明会は、住民を愚弄した、形式的なものだった。「説明していきたい」「受け止めている」など、中身のない答弁に終始して、住民の質問をかわしながら、他方では地権者のみを集めて賃料のつり上げと「拒否すれば村八分になる」などの脅しによって、土地の賃借契約を強制したのだ。各地で繰り返される、このような政府のやり方によって、地域住民の間には深い苦悩と分断が生み出されている。その想いを踏みにじるかのように、京丹後市長は「国益への地域の貢献」などと胸を張り、中央政府に尻尾をふっている。絶対に許すことはできない。繰り返される政府のこのような地域住民へのアメとムチを使った支配に対して、いかに反撃していくのか。人民運動の大きな課題だといわなければならない。 住民の不安と怒りはそれだけではない。米軍基地ができれば周辺の空域での飛行が制限されることが予定されている。ドクターヘリや海難救助など、人々の暮らしに必要な空の利用は保障されるのか。また強力な電磁波による人体への影響はないのか、漁船などの無線やGPSに支障はないのか。この点についても、発せられる電磁波がどのようなものかは「軍事機密」として隠されたままだ。こんな状態で住民が納得できるわけがない。さらに建設されている場所は、丹後半島の美しい海岸に沿った地域であり、丹後天橋立大江山国定公園の中にある。地元では「米軍基地建設を憂う宇川有志の会 」がつくられ、立場をこえた地元でのねばりづよい話し合いと、近畿中部防衛局による工事強行に対する監視と抗議の活動が続けられている。 近畿中部防衛局は四月に実施した住民説明会において、建設工事を五月に開始し、十二月には運用を開始する予定であると一方的に通告した。十月からはレーダー搬入など、施設の本格工事を行うとしている。近畿地方ではじめての米軍基地建設を許してよいのか。京都を中心に、事態への注目や批判も高まっている。本格工事の阻止に向け、政府防衛省への批判を強めなければならない。 ●第3章 辺野古ボーリング調査絶対に許すな 岩国と京丹後で新たな米軍基地建設が強行される一方、沖縄では名護新基地建設に向けた攻撃が強まっている。政府は七月にも辺野古沿岸でのボーリング調査を強行しようとしているのだ。政府はこのボーリング調査を七月から二、三カ月で終え、さらに二〇一五年春には埋め立て工事の着工を狙っている。 二〇〇四年から二〇〇五年にかけて政府が行おうとしたボーリング調査は、沖縄人民と全国からの支援者のカヌー隊をはじめとする阻止行動によって、とん挫した。それゆえに、政府は今回のボーリング調査になりふり構わぬ弾圧体制をもって臨もうとしている。まず今年三月には海上保安庁が米軍キャンプシュワブ内に拠点施設を設置。常駐での監視を開始した。さらに防衛省は漁船操業制限法に基づく漁業制限区域を拡大しようとしている。これまで漁船の操業が常時制限される第一種区域は沿岸から五十メートルだったが、これを最大で沿岸二キロまで拡大するというのだ。これは新基地建設予定区域をすっぽり囲む形となる。だが漁船操業制限法は、漁船の活動を制限するだけで、カヌーなどは対象外だ。そのため政府は一九七二年、「本土復帰」の際に、日米政府間で秘密裡に結ばれた合意文書「5・15メモ」の解釈を変更し、米軍キャンプシュワブへの提供区域を拡大しようとしている。これにより、この第一種区域を米軍基地の一部と見なし、ここへの立ち入りを「米軍基地への不法侵入」として、刑事特別法で逮捕するというのだ。政府の解釈ひとつで「米軍基地」が伸縮自在に拡大され、そこへの立ち入りが「違法」とされるなど、まったくでたらめとしか言いようがない。政府は海上保安庁の拠点強化など、このボーリング調査強行のために、五百億円の予算を投じるという。 政府が、このような異例の体制を敷いているのは、かつての調査が沖縄人民の静かな、しかし断固とした陸と海での抗議行動によって阻止されたからであり、さらに今年十一月に予定されている沖縄知事選に向けて、沖縄人民の怒りが拡大するのを恐れているからだ。ボーリング調査を二~三カ月で終え、知事選への影響を最小限にすることが、政府の狙いだとされている。だが法律さえも勝手な解釈で変更し、国家権力の暴力によって人々の願いを踏みにじりながら工事が強行されるなら、それは人々の怒りの炎に油を注ぐことになるだろう。われわれは、その怒りをますます広範なものへと押し広げるために、断固として奮闘しなければならない。 東京では、「辺野古への基地建設を許さない実行委員会(辺野古実)」が六~七月、防衛省への連続した抗議行動を呼びかけ、さらに七月十九日には、辺野古でのボーリング調査阻止を掲げた集会・デモを呼びかけている。辺野古現地でのたたかいへの支援と、全国・首都での抗議行動の拡大により、ボーリング調査を断固として阻止しよう。 これら一連の米軍基地建設は、まさに米軍の東アジア―世界戦略の一環であり、また日米軍事同盟の強化を通して、自国の戦争国家化を推し進める日本帝国主義のアジア支配の一環に他ならない。米軍基地は常に戦場と直結し、アジア人民の流血と直結している。アジア人民と連帯し、米軍基地の強化を阻止しよう。 ●第4章 川内原発の再稼働を阻止しよう! 原子力規制委は今年三月、川内原発一、二号機を「再稼働に向けた主な課題をクリアしている」とする「優先審査」の対象に選定した。九州電力が、基本設計、工事計画、保安規定などを記した補正申請書を原子力規制委に提出し、これが認められれば、規制委は「審査書案」の作成を進めることになる。意見募集などを経て、審査書が決定されれば、いよいよ設備点検などののち、再稼働が強行されることになる。報道によれば、九州電力は補正申請書の作成を進めており、今秋の再稼働に向けて手続き中だ。 こうした再稼働の動きを強力に押し進めているのは、ほかでもない安倍政権である。六月、政府は二〇一三年度のエネルギー白書を閣議決定し、そのなかで改めて原発を「エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」と位置づけた。さらに「規制基準に適合すると認められた場合には、再稼働を進める」と安倍政権の方針を明記した。原発再稼働を強硬に進める安倍政権は、ここでも米軍基地建設と同様、これまでの法律解釈を都合よく変更している。それが如実に示されているのが、原子力規制委をめぐる人事問題だ。今年九月をもって任期切れを迎える地震学者の島崎邦彦委員と外交官出身の大島賢三委員に代わり、国会は田中知・東京大教授と石渡明・東北大教授を新委員として選出する決議を行った。だが原子力社会工学を専門とするという田中知は「一定規模で原子力を維持することが適切」などと原発推進を主張してきた人物であり、かつ電力会社の関連団体などから報酬や研究費を受け取ってきた原子力村のあからさまな一員なのである。これは民主党政権下で原子力規制委が設置された当時、国会で決議された衆議院付帯決議「原子力規制行政に当たっては、推進側の論理に影響されることなく、国民の安全の確保を第一として行うこと」にも完全に反している。国会さえも無視して進められる、安倍政権の横暴を絶対に許すことはできない。 安倍政権がこうした暴走を進める一方、福井地裁は大飯原発の運転停止を求める画期的な判決を下した。「原発は電気を生み出す一手段に過ぎず、人格権よりも劣位にある」「大飯原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても これを国富の流出や喪失というべきではなくこれを取り戻すことが出来なくなることが 国富の喪失であると裁判所は考えている」。判決文で福井地裁はそう語った。原告団の粘り強い裁判闘争の成果として、そして何よりも福島をはじめとする全国各地での原発の廃止を求める人民のたたかいのひとつの、しかし重大な成果としてこの判決は勝ち取られたのだ。福島第一原発の事故の収束も、原因究明も、責任者の追及も、何も終わらず、何ひとつ明確にならないなかで、福島の人々の苦悩と怒りは続いている。そのことを考えれば、判決文の内容はあまりにも当然のことでもある。 いよいよ差し迫る攻防のなかで、六月十三日には鹿児島県庁前集会と県議会行動、十四日には川内原発ゲート前行動が行われた。県庁前集会には平日にも関わらず約七百名が参加。県議会の開会に合わせて行われたこの行動では、県議会各派と知事への要請書が提出された。このたたかいは県議会と県知事に対し、鹿児島の人々と全国からの原発再稼働を許さないという声を明確に叩きつけるものだ。川内原発の再稼働を阻止し、安倍政権の再稼働に向けた野望を粉砕するために、全国的な連携が強化されつつある。全国の怒りの声を結集し、川内原発の再稼働を絶対に阻止しよう。 各地での米軍基地建設とのたたかい、原発再稼働を阻止せんとする全国のたたかい、そして安倍政権の横暴によって広がる怒りの声を結集する、全人民政治闘争を断固として組織しよう! そしてその只中で、アジア人民と連帯し、日本帝国主義の打倒へと向かうたたかいを生み出そうではないか! |
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