共産主義者同盟(統一委員会)


1439号(2014年6月5日) 政治主張






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 再稼動阻止! 反原発闘争に決起を

                 
 


 ●1章 侵略戦争国家づくり叫ぶ安保法制懇報告

 帝国主義者はいつも「平和」をかたって平和を壊し、「自衛」とうそぶいてまつろわぬ「他」を討つ。「国益」「国家国民」と繰り返し叫ぶが実際は私益しか頭にない。にもかかわらず自らを正義・正当と信じ込み、信じ込ませようと謀る。国家官僚の詭弁と駄文をもとに「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の嘘とペテンに満ちた報告書が五月十五日に出された。安倍の悪らつな野望を代弁するものだ。同懇談会は、安倍の私的諮問機関であり、まさにこの右翼ファシストどもの仲良しクラブである。
 その要旨は次の通りだ。
 第一に、憲法解釈は時代とともに変わるのであり不変ではない。大きく変化した現情勢に政府見解は合わない。ゆえに解釈を変えるべきだ。
 第二に、具体的には、国連憲章を大原則に据え、現解釈が否定する①集団的自衛権の行使と②集団安全保障措置への参加を認める。また、③国連平和維持活動、④在外邦人救助活動、⑤海賊退治など治安活動での自衛隊の武器使用を存分に認める。現行憲法をよく読めば以上の点は可能と解釈できる。だから改憲は必要ない。解釈変更で可能だ。
 第三に、政府は憲法解釈を早く変えて、その上で関係する法律を作ったり変えたりすべきだ。
 つまり、米帝主導下での「集団的自衛」=共同の侵略、及び「集団的安保措置」=共同の破壊戦争ができる侵略戦争国家即ち英仏帝並みの完全たる帝国主義になるべしと言っているのだ。アフガニスタン・イラク・リビアに対する侵略戦争に自衛隊を参戦させ「テロリスト」を殺すべきだ、それが日本の歩む道だというのだ。安倍が目指す「美しい」国家像はこういうことなのだ。侵略戦争国家だ。
 アベノミクスは「死の商人」路線だ。技術革新の展望が絶望的ゆえに既存の原発と兵器をいち押し商品として世界中に売りまくることで景気浮揚を図っている。だがそれだけではない。売り込みの際に必ず、日本の国連安保理常任理事国入りへの支持を要請している。国連で日本は中国の格下だ。世界に名だたる超国家主義者にとっては、領土問題もあわせて、「爺ちゃんの名誉」にかけて絶対に挽回すべき事態なのだ。加えて、侵略戦争遂行能力を身に付け、米帝の副官としてアジアの盟主に復帰する、というわけだ。
 十二年衆院選時の自民党の謳い文句「日本を取り戻す」とは結局こういうことだったのだ。「景気沈滞以前の元気な」もしくは「民主党政権以前の」という意味を付与されて宣伝されたが、本質は「戦前のアジアの盟主たる軍国主義の『明るく元気な』日本にもう一度戻る」ということであり、安倍の悪らつな野望を端的に表現したものだったのだ。
 オバマという虎の威を借りた安倍が、狐よろしく懇談会という腹話術で本音をぶちまけたのがこの報告書だ。形だけの「検討」もせずにその発表直後に行った記者会見では、第一に、上記の五点のうち、肝の一つである集団安全保障措置への参加だけを否定した。
 第二に、しかし中国と朝鮮民主主義人民共和国の「脅威」を理由に「限定的に集団的自衛権を行使すること」は許されるとするなどとして、残りの四点は検討するとした。第三に、「切れ目のない対応を可能とする国内法整備の作業」を進める方針を示し、憲法解釈変更のための手続きに入るとした。
 見え透いたその場しのぎの芝居だ。安倍の本音は報告書通りの解釈改憲だ。だが、民衆の猛反発を避けるために段階的に攻めるというわけだ。日本軍性奴隷制度同様、ぬけぬけと大ウソをつく。人民が「喉元過ぎれば熱さ忘れる」時に「情勢がさらに変わった」として報告書の丸ごと実現に突進するはずだ。
 安倍は会見で、避難する家族の話などを例に挙げ、「国民の命を守る」と繰り返した。だが、現在進行中の福島原発事故と甚大な被害を見よ。空疎で空虚な自分の言葉に酔っている場合か!多くの人民を放射能の危険にさらしたままの政府として、その失態を反省し、まずなすべきことをせよ!
 会見には注目すべき個所があった。カンボジアPKO派遣でPKOで犬死した警察官二人に昨年十一月に手を合わせたと述べている点だ。「悲しい出来事」とほざいたが、彼らが無駄死にを強制された理由を省みることなく、行動と死を美化している。何故か。安倍にとっての理想像だからだ。
 侵略反革命戦争を強行すれば、他国の民衆を虐殺する過程で犬死する自衛官が大量に発生する。昨年十二月の安倍の靖国参拝強行は今回の報告書と根が一つだ。血塗られた侵略戦争遂行国家構想と戦争動員にとって、大量の戦死兵士に対する国家による「英霊化」が必要不可欠だからだ。
 安倍政権の集団的自衛権「合憲」化策動を止める全人民的運動を前進させよう。集団的自衛権すなわち「米帝と共同で他国を侵略し民衆を大虐殺する権利」をわれわれは絶対に認めない。解釈改憲による憲法九条破壊を許すな。日本政府に全ての戦争責任、戦後責任を取らせるのだ。反戦反基地闘争の柱として集団的自衛権「合憲」化阻止に起て。

 ●2章 原再稼動阻止の現地行動に決起しよう

 安倍政権は○二年制定のエネルギー政策基本法に基づき、○三・○七・一○年に続く第四次となる「エネルギー基本計画」を四月十一日に閣議決定した。二○二○年までを見据えたこのエネルギー政策方針の最大の特徴は原発推進だ。原発ゼロの撤回、主要エネルギー源としての原発の位置づけの復活、再稼働と輸出の推進だ。
 「計画」は原発政策を次のように位置付ける。
 第一に、福島原発事故と「安全神話」について反省のポーズをしぶしぶ取りながら「震災前に描いていたエネルギー戦略は白紙から見直し、原発依存度を可能な限り低減する」とし、これが「エネルギー政策を再構築するための出発点」と強調する。だがこれは、裏を返せば、可能でなければ原発依存度は低減せず維持するということなのだ。これが肝だ。「反省」など彼らの腹に微塵もない。将来の電源構成については「バランスのとれた構造を追求していく必要がある」とし、「エネルギー政策に奇策は通用しない」とまで踏み込んでいる。「二○三○年代に原発ゼロをめざす」とした民主党政権の原発政策を全面否定しているのだ。「計画」は、原子力マフィアの事務局である経済産業省の官僚による、民主党及び反・脱原発勢力に対する憎悪に満ちた高慢な「逆襲宣言」だ。
 また、「万が一の事故のリスク」を低減する技術、放射性廃棄物の減容化・有害度低減の技術、最終処分のための技術を今後開発すると空文句を並べて、自信満々だ。「計画」によって浮かび上がった重要な事実は、原発事故は起こると認めたことである。そして、事故を収める技術がまだない現状を実質追認していることだ。 
 だが、それでも再稼働し輸出すると強弁する。加えて、「科学的知見(!)やデータなどに基づいた客観的で多様な情報提供」、「子供の頃からのエネルギー教育」に取り組む方針も示した。何一つ変わっていない。今後も「安全神話」を民衆の中に注入していくという決意が脂のように行間にこびりついている。
 第二に、原発を重視し、再稼働を明言した。「エネルギーコストの上昇」及び「温室効果ガスの排出力の増大」というカビの生えた理由を挙げ、「コストが、低廉で、安定的に発電することができ」る原子力を、再生エネルギーと並ぶ「ベースロード電源」すなわちエネルギー政策の主軸として位置付けた。その上で、原発停止によって悪化した貿易収支の改善と電力の安定供給とのために、原子力規制委の認定後に、停止中の原発を再稼働すると明言する。使用済燃料問題については「対策を着実に進める」と述べるだけだ。対策は全く存在しないのだ。「トイレなきマンション」と言われる原発列島日本が致死性の糞で埋まっても構わないとふんぞり返っている。
 第三に、経済成長への貢献度を勘案し、貿易収支改善のためにも原発と「世界で最も厳しい水準の規制水準」の技術のアジア向け輸出を増やすとした。また、核不拡散と核セキュリティ強化に貢献すると付け加えている。
 原発を批判する声も受け止めると書いているが、それだけだ。
 要するに、「計画」は①原発の維持②再稼働の推進③輸出の拡大を打ち出した日帝国家権力側からする反・脱原発運動掃討の宣戦布告なのだ。しかし、3・11以前と何一つ変らない超楽観主義の安全神話にからめとられた噴飯ものの「計画」の展望とは裏腹に、原発事故と被害の現実は絶望的なほどに苛酷だ。
 福島の子どもたちの甲状腺がん被害はチェルノブイリの約三倍の多さで拡大している。五月十八日発表の福島県民健康管理調査によれば、甲状腺がん確定五十人、疑い三十九人。発生頻度は、チェルノブイリは四年後以降一万人に約一人だったが、福島は三年経過して一万人に約三人だ。福島と東日本はウクライナ・ベラルーシよりも土壌汚染が深刻だ。
 福島第一原発は今も空・土・海に大量に放射性汚染物質を噴出し、それは周辺地域のみならず東日本全域に今も降り、人々はそれを肺の奥深く吸い込んでいる。東京でさえ公的機関の発表でウクライナの首都キエフと同等かそれ以上の土壌汚染度だ。キエフのある高校の全生徒の半数は心臓疾患を抱えて体育の授業に出られないという報道も過日なされた。放射能被害は世代を越えて深刻な影響を及ぼし続ける。
 日本政府は帰還政策を放棄し、一刻も早く、福島の人たち、東日本の汚染地域の人たちの、特に子どもの避難の権利を認め、避難費用を保障しろ。
 漫画「美味しんぼ」の鼻血などの描写に対する権力・自治体・マスコミ挙げての罵詈雑言の嵐は、異見を一切許さないファッショ的な言論弾圧だ。反政府の声、被害の実態を伝える声を圧し殺そうというのだ。原発事故下の言論弾圧を粉砕しなければならない。
 福島第一原発の事故処理、汚染水対策、廃炉のめども一切立たない。それどころか、高濃度の放射能汚染水が太平洋にダダ漏れ状態だ。二十年三十年で済むわけがない。次世代・次々世代に引き継がざるを得ないのだ。人類史上最悪の放射能災害の中にわれわれはいる。それが半永久的に続くというのに、同様の事態が二つ三つ、或いはそれ以上爆発することになる再稼動をどうして認められるだろうか。
 事故と今なお続く放射能被害の全責任は東京電力・原発企業そして日本政府にある。「計画」自身が言うように、十四万人もの人が故郷に帰れない。その責任を取らずに、原発云々すること自体、断じて許されない。命より金を、生活より利潤を優先してはばからない原発推進派の政治家・官僚・資本家は今すぐ退場だ。恥を知れ!
 厚顔無恥な安倍政権と経産省官僚は川内・伊方原発を再稼働させ、これを突破口に可能な所からの再稼働を次々に強行しようと狙っている。停止中でももちろん、稼動中に事故が起これば、放射能汚染地域は現在の二倍三倍に拡大し、収束作業自体が不可能になり、放射能被害の拡大に文字通り手を付けられなくなる。
 原子力規制委員会の再稼動決定を阻止しよう。原発再稼動阻止の現地攻防に立ち上がろう。原発輸出を止めよう。原発企業・政治家・官僚・学者などが巨額の税金目当てに群がる原子力マフィアを根こそぎ絶滅しよう。

 ●3章 反帝国際主義に立ち安倍政権を打倒せよ

 去る五月に韓国ソウル市で第十七回アジア共同行動(AWC)キャンペーン調整委員会会議が行われた。地元韓国をはじめ、台湾・フィリピン・インドネシア・米国・日本の参加団体が各国・地域の現状を共有し、今後の方針を確認した。帝国主義及び新自由主義と対決する国際連帯闘争の推進を基調にした共同決議には、八月二十一日の岩国国際デーの取り組みが盛り込まれた。また「歴史を歪曲し、アジア民衆に敵対する安倍首相を弾劾する特別決議」と「京丹後市宇川地区における新たな米軍基地建設計画の撤回を要求する決議」が採択された。
 会議後、ユソン企業の観光塔籠城闘争と双竜自動車労組の現場訪問を行った。また、一部の参加者は会議に先立ち、民主労総主催のメーデー集会に参加し、アルバ労組と交流した。
 反帝国際共同行動に取り組むAWCを我々は断固支持する。六月中下旬のAWC各地集会に対しても全面的に協力し、しっかり支えていこう。
 同集会では、日韓などアジア各国・地域間の連帯をさらに推し進めること、帝国主義及び新自由主義に抗するアジア労働者民衆の共同の闘いを力強く前進させること、安倍政権の改憲・戦争・生活破壊など諸政策と対決することが主目的と位置づけられている。
 六月各地集会の内容的柱である反・新自由主義闘争を推し進める上で、押さえるべき韓国での二つの事故について簡単に触れよう。
 四月にフェリー歳月(セウォル)号沈没事件が起き、三百人近くの乗員・乗客(大半が高校生)が死亡し、捜索が今も続いている。韓国では新自由主義がもたらした大惨事という批判の声が強い。その具体的中身は、①いち早く逃げ出した船長をはじめ乗員の大半が非正規職労働者で、低賃金に避難訓練も十分になされず、乗客の安全を確保する意識をもつことが困難だった。②使用十八年の日本製の中古船は、韓国での船舶使用期限二十年の基準によればほとんど価値がなかったが、李明博(イ・ミョンバク)政権時に規制緩和で三十年に延長され、格安で船主に買い取られた。③無理な船体改造、重量削減のためのバランス用の水の抜き取り、車両や荷物のずさんな固定など運航自体に大きな問題を日頃から抱えていたにもかかわらず、官民癒着により是正されなかった――などだ。
 他方、五月に発生したソウル地下鉄二号線事故はこれと対照的だ。信号機事故で駅に停車中の車両に後続車両が衝突して運転手及び乗客百人以上が負傷した。だが、訓練を受けた運転手が、駅に停車中の先行車両を視認した後も、死の可能性が高まる中でも逃げずにブレーキを掛け続けたために、衝突はしたが本人の肩の骨折、それに乗客全員が軽傷で済んだ。もし運転手が持ち場を離れて避難していたなら、多数の死者を出す大惨事になっていたはずだ。
 命より金優先の新自由主義がどういう結果をもたらすのかが両事故の対比から鮮明に浮かび上がるではないか。
 日本労働者階級人民がすべきことははっきりしている。反帝国主義と国際主義だ。
 階級の最も深い所の怒りと渾身の力を解き放ち、日帝―安倍の頭上に革命的鉄槌を何度も振り下ろし抜き、打倒せよ。
 韓国労働者民衆は警察・ヤクザによる暴力的弾圧・敵対に真っ向から立ち向かい、文字通り血を流しながら労働者解放、自主的平和統一完遂、朴政権退陣闘争を進めている。
 フィリピン労働者民衆は、今年に入り一週間に一人の割合で国軍による政治的殺人攻撃を受けている。だが、そうした極限状態でもひるまずに闘っている。
 こうしたアジアの労働者人民とつながって行こうではないか。アジア規模の共同の力で帝国主義と新自由主義を打ち破っていこうではないか。
 
 集団的自衛権「合憲」化阻止!
 アジア米軍基地の総撤収!
 普天間基地即時無条件返還! 辺野古新基地建設阻止!
 京丹後Xバンドレーダー基地建設阻止!
 岩国基地強化-米軍住宅建設着工弾劾!
 労働者人民の生活破壊阻止!
 AWC日本連の六月各地集会に協力し、支えて成功させよう!
 安倍右翼反動政権打倒!


 

 

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