共産主義者同盟(統一委員会)


1435号(2014年4月5日) 政治主張






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■共産主義青年同盟(学生班協議会)



 
 
 この春、新たに大学の門をくぐる皆さん。私たち共産主義青年同盟(学生班協議会)は皆さんに、激動の世界にあって、世界を変革し獲得することをめざし、帝国主義政府に対するたたかいへと起ち上がることを心より呼びかけるものです。
 八百とも言われる日本国内の大学には、今や同年代人口の半分以上が学生として通う状況となっています。しかしこんにち、多くの皆さんが残念ながら、学問や知、理想への信頼や期待に燃え、胸を膨らませてというよりも、厳しい経済状況の中、個人的な生き残りの策として大学卒の資格を得ることを第一にやって来ているというのが実状だと思います。若者が置かれている経済的状況の厳しさこそが、大学への進学率を押し上げる大きな要因となっているのであって、高等教育を受ける権利を保障する政府の政策があるからでは全くありません。「世界一高い」と指摘される学費を必死に払い、本来の「奨学金」の名に値しないローンによる借金を背負いながら、学生たちは大学へと何とかたどり着いている、というのが現実です。そして多くの大学が、功利主義的で実利志向の空間へと変容していることは残念ながら否定できないものとなっています。
 しかしそうした状況を踏まえつつも私たちは、それでも皆さんに訴えたいのです。キャンパスで単位を積み上げ、「就活」に身を投じ、「社畜」への道をひた走ることが皆さんの明日の展望を拓くわけでは決してない、ということを。若者、若いインテリゲンチャである皆さんが、批判と開拓の精神を失い、反知性主義や排外主義に安直に身を委ねてしまうのであるならば。己の狭い利害にのみ汲々としてしまうのならば。結局は時代はあなたたちにこそ、牙を剥かずにはおかないでしょう。
 大学に来る以前に、そういうことを考えたこともなかった、というのならば、なお熱烈に訴えます。私たち、共青同(学班協)と一緒に、起ち上がりましょう。世界中で、日本国内で起ち上がる民衆のたたかいとつながる、学園でのたたかいを実現しましょう。学園での学生のたたかいを組織しましょう。

  ●1章 破綻に瀕する「アベノミクス」

 巷間、「アベノミクス」ということが政権とメディアによって喧伝されています。たとえば自民党政権に戻って以降、民主党政権の時期よりも景気は上向いているのだということが言い立てられています。
 三月十八日、厚労省は今春卒業予定の高校生の就職内定率が初めて、〇八年の「リーマン・ショック」前の水準を上回ったと発表しました。二月一日時点での大学生の就職率は、いまだ「リーマン越え」は成っていないものの三年連続で上昇していると言います。
 しかしどうでしょうか。安倍の登場以来、皆さんが「好景気」を実感できることなど、あったでしょうか? 若い世代が置かれている厳しい状況には、なんら変わりはありません。熾烈な競争の中、各大学が発表する「就職率」は様々に数字上のトリックが施されているのはもう常識で、仮に数年後に学窓を巣立つのだとしても、その時自分が安定した職に就けるのかどうか、今から全く楽観ができない、というのが実際のところだろうと思います。
 ご承知のとおり、四月から規定の方針どおり消費税が8%に引き上げられました。大衆収奪のいっそうの拡大であり、許し難い政策です。
 輸出の伸びで稼ぐことのできる、ごく一部の大企業をしか潤すことのできなかった日銀の「大幅緩和」と円安政策は、その効果も限定的なものにとどまり、年明けからは増税前の「駆け込み需要」こそあったものの、期待されたほどではありませんでした。
 先頃の報道をふりかえりましょう。三月十日に内閣府が昨年十~十二月期の実質GDP(国内総生産)改定値を発表しましたが、二月に公表された「速報値」から大きく数字を下げました。輸出が伸びず、その結果設備投資の回復も遅れ、かろうじて内需を牽引してきた消費や、公共投資の伸びが鈍化したからです。この一~三月期は「駆け込み需要」で数字が押し上げられると思われるものの、結局は経済的な足腰の弱さが露呈したのです。「駆け込み需要」は想定以上に弱く、個人消費は伸びませんでした。地方を中心に景気をけん引すると期待された公共投資も伸び悩み、設備投資も輸出が低調な製造業を中心に低迷。一~三月期こそ「駆け込み需要」で個人消費が押し上げられるでしょうが、四~六月期は反動で落ち込むことが既に確実視されています。
 安倍は昨年、日銀総裁の首を有無を言わせずにすげかえ、中央銀行に与党の政策を丸呑みさせる(円安誘導と大規模な金融緩和)という「禁じ手」を使いました。今年に入っては、「アベノミクス」の「成果」を演出させるためだけに、こともあろうに経産相の甘利がブルジョワジーたちを恫喝しながらベースアップを迫る(三月十一日の記者会見)という、前代未聞の「官製春闘」を演出しました。しかしベアが可能なのはごく一部の大企業だけであって、しわ寄せは中小企業の現場に波及しかねません。演出された賃上げなど、長続きするわけもない。ましてや正社員でさえない多くの非正規雇用の労働者にとっては、どこの国の話か、というくらいのものです。
 「アベノミクス」というまやかし、政府を挙げてのドーピングもいよいよ、完全な賞味期限切れを迎えようとしていると言わなくてはなりません。
 各種世論調査で言われていた安倍政権への高支持率は、その反動的諸政策に対しての支持では決してありません。何よりも経済的苦境から脱したい、という人々の切実な期待からのものでした。その期待が(元から散々指摘されてはいたものの)ついえようとしているこんにち、安倍には同盟国アメリカの指導部からでさえ警戒されずにはおかない歴史修正主義者、危険きわまりないナショナリストとしての顔しか、もはや残されてはいません。彼の進める軍事大国化路線や原発輸出・再稼働の方針が、私たちの未来と相容れないことは明白です。足下の自民党内部や公明党からさえ、異を唱える声が上がり始めた安倍政権の打倒を掲げて声を上げること。起ち上がること。これこそが私たちの明日を切り拓き、世界の民衆とつながり合うことのできる唯一の道であるということを、まず共青同(学班協)は訴えるものです。

  ●2章 凋落する米帝国主義、反帝国際主義の推進を

 世界に目を向けましょう。私たちも、皆さんも、共に、かつて経験しなかった世界を今や生きようとしています。その最大の要因は、ソビエト連邦の崩壊以降、この二十年あまり唯一の大国として君臨したアメリカの、隠しようもない凋落です。
 もちろんアメリカは依然、軍事的には圧倒的な力を保持しています。しかしながら思い返してみて下さい。昨年八月から十月にかけて、アサド政権打倒の意図もあらわに、シリア内戦への介入、軍事攻撃をぶち上げたはずのオバマ政権は、国内外の民衆から反対と非難の声を浴び、国連安保理の場で立ち往生してしまいました。皆さんもそうだと思いますが、世界中の民衆が忘れてはいなかったのです。二〇〇一年のニューヨークへの「同時多発」攻撃を機に、アラブ中東地域への侵略戦争に乗り出したブッシュ政権の蛮行がその後の世界に何をもたらしたかを。ありもしない「大量破壊兵器」の存在を口実にして、安保理の決議さえもなしに開始されたイラク侵略を。世界中を駆けめぐる「戦争反対」の声を無視したその不当性を。
 その後の政権交代を経て成立したオバマ政権ですが、ブッシュ政権となんら、本質的に違うわけではありません。帝国主義国として、自らの権益確保のために世界中で戦争を起こし、民衆を殺戮して来たアメリカの歴史を総括し、決別することなど、全くできていないのです。一期目に宣言していたはずのグァンタナモ収容所の閉鎖も果たせていません。そしてアフガニスタンやイラクからの撤兵を進めるとしながらも、一方でパキスタンやアフガニスタン、パレスチナ、アフリカ地域において、無人攻撃機による無法そのものの無差別爆撃、暗殺を繰り返しています。国家安全保障局(NSA)によって世界中の通信、メールを盗聴、覗き見していたことが職員の造反で暴露されても、なお実態を明らかにせず、諜報活動をやめようとしていません。アサド政権に対しても当初は、安保理決議なしの単独での武力攻撃すら画策していたのです。
 しかしながら全世界民衆の「NO」の声により、オバマはもはやアメリカが「例外的」(昨年九月十日の演説より)存在ではなくなった現実を強烈に突きつけられたのです。世界最大のごろつきが「世界の警察官」を僭称し続けることがついにかなわなくなってしまった、歴史的な瞬間だったとも言えるかも知れません。
 オバマのアメリカはそもそも同時期に、予算案をめぐる民主党と共和党との深刻な対立を解消できずに、国債の債務不履行を起こし、世界恐慌の引き金を引いてしまうかも知れない、という危機をも同時に抱えていました。巨大な財政赤字があるがゆえにそもそも政策的に打つ手が限られてしまう。だから自国民を十分に買収することができず、国内の深刻な分裂を防ぐことができなくなっているわけです。 
 かくてオバマは今年の年頭一般教書演説では、国内向けの政策アピールに終始し、世界戦略を打ち出すことができませんでした。二月二十四日には陸軍の兵力を一七年までに現在の五十二万人から四十四万人にまで減らすことを打ち出さざるを得なくなりました。
 皆さん、問題は、「警察官」不在の世界を私たちがいかに生き、たたかうのか、ということです。よくも悪くも私たちはこれまで、アメリカ政府がいかに振る舞うかにもっぱら目をやり、それへの評価を下していれば良かったとも言えるわけですが、そうした態度だけではもう不十分です。「警察官」がいた(と見えた)時代を懐かしむのはナンセンスです。ある一国だけが政治、経済、軍事とあらゆる面で突出していたことそのものが、異常だったのだとみなすべきでしょう。
 おりしも、ウクライナの情勢が世界を揺るがしています。三月十八日、ついにロシアはクリミア半島を自国へ編入しました。ウクライナ情勢は成り行きによっては消費税よりも何よりも、アベノミクスを揺るがしかねないほどの事態です(円が買われて円高に振れてしまうと、輸出産業には大打撃)。
 ヤヌコビッチ政権を打倒して成立した暫定政府を支持するアメリカ―EUにしろ、クリミア半島を事実上軍事占領したロシアにしろ、双方がこれまで様々な手法でウクライナ国内の政治勢力に介入を続けてきました。どちらの勢力も腐敗や暴力と無縁ではありません。オバマもEUも軍事的な介入はできないだろう、ということをロシアのプーチンは見透かしてはいますが、緊張と経済制裁が長期化すればロシア経済も悪化します。一方でEUも、ロシアからの天然ガスの供給が滞りなどすればこれまた経済への打撃は計り知れず、ユーロ危機からの脱出は遠のきます。
 私たちは今、何よりも軍事的衝突の回避を訴えるべきです。戦争反対、と強く訴えなくてはいけません。ソ連の崩壊以降、アメリカ主導の戦争がその都度どのようにキャンペーンされ、煽られて行ったのかを思い返すべきです。湾岸戦争で、コソボで、アフガニスタンで、イラクで。未遂に終わったとは言え、シリアで。その都度分かりやすい「敵」が手っ取り早く仕立てられて来ました。しかしそれらは介入する国々の政府の思惑を覆い隠すものでしかありません。軍事介入が問題を解決したことはないのです。新たな軍事的対立や憎悪、分断を生んで来たことを、私たちは思い起こすべきです。繰り返しますが「警察官」(というよりは粗暴で恣意的な保安官だったとでも言うべきでしょうか)の不在を嘆くのであってはなりません。
 いよいよ世界の民衆が互いに結び合う手と呼び交す声が力を発揮する時代になりつつあるのだ、という認識に立ちましょう。

  ●3章 安倍政権を打倒を掲げ、学生は起ち上がろう

 こうした情勢の中にあって、わが安倍政権とは一体どういう存在なのでしょうか。
 安倍晋三を総裁に据えて政権に復帰した自民党ですが、単純にそれ以前あった自民党が戻って来たのだとは言えません。野党の三年間、民主党政権との違いを手っ取り早く打ち出すべく彼らは、極めて復古的でナショナリスティックな、カルト集団化とも言うべき純化を遂げました。野党時代にまとめた新憲法草案が、彼らの思想とその(いただけない)水準を象徴しています。そして彼らに担がれた安倍は、政権一期目(〇六年~〇七年)に掲げてやれなかったことを今度こそ、という妄執にかられていると言えます。帝国主義国としての路線や展望が考慮されているわけではない。ただ三世政治家として己の信ずるところだけを民衆に強要しようとしているのです。
 戦後教育を「マインドコントロールだ」とまで言い放った(二月二十日の衆院予算委での発言)安倍は、ただ「自分がやりたいことをやる」ことが目的なのであって、それが仮にも「同盟国」たるアメリカや周辺のアジア諸国の政権や民衆の意志と、どれほどの矛盾や齟齬を来すものかそうでないのか、について、何の計算も考慮もないのだと言うべきでしょう。だからこそ彼は就任早々から国会答弁でアジア太平洋戦争が侵略戦争であったことを否定しようとし、河野談話、村山談話を否定しようとし、そして今河野談話の「検証」を言い立てて事実上無効化しようとしています。靖国神社への参拝の強行に至っては、アメリカ当局者をさえ当惑させるほどの愚挙であり、アジア民衆からの懸念と批判の声が上がるのは全くもって当然です。釣魚諸島の領有をめぐって緊張状態にある中国指導部からすれば、戦争挑発に等しい行為です。アメリカは、安倍の日本が北東アジア地域の不安定要因となりかねないことを深刻に受け止めています。偶発的な「日本(と中国)の戦争」にアメリカが巻き込まれることを恐れています。
 皆さん、かつて日米安保条約の存在は、「アメリカの戦争に日本を巻き込むもの」として批判されることがありましたが、第二次安倍政権の反動的政策と反動的言動の顕在化によって、「日本発の戦争にアメリカを引きずり込みかねないもの」になり変わろうとしているのです。かつてなかったというべき事態です。
 安倍や自民党の、「何があってもアメリカは帝国主義日本の味方であるはずだ」「このくらいは許されるはずだ」との勝手な思い込みは、日本をアジアにおいて、かつてのサダム・フセイン政権下のイラクのようにしてしまいかねない、そのような危機感を持って私たちは安倍政権を批判し、安倍打倒のたたかいに起つのでなくてはなりません。
 集団的自衛権の「合憲」化を許さないたたかいに! 改憲を許さないたたかいに! 特定秘密保護法を廃止に追い込むたたかいに! 米軍基地強化、軍事大国化を阻止するたたかいに! 原発の再稼働を阻止し、廃炉に追い込むたたかいに! 全国各地で、沖縄で、アジア地域で、全世界でたたかう人々と連帯し、ともにたたかう学生の隊列を、学園から組織し輩出しましょう。

  ●4章 大学の帝国主義的再編に抗して闘おう

 民主党政権の時代にあっても、大学政策はそれ以前の自民党政権下の政策と大きく変わるものではありませんでした。科学技術開発に力点を置いた産官学協同が指向され、文系の学部や講座は相対的に軽んじられるものとなっています。文教予算は相変わらず低く抑えられ続け、科学技術開発に投じられる予算もあくまで、成果を上げたり期待できる大学や研究機関へと露骨に傾斜配分される「競争的環境」にあるのが日本の大学、研究機関の現状です。研究にまつわる不正や腐敗が続発しています。製薬会社のノバルティスファーマが引き起こした臨床データの改ざん問題や、つい最近の「STAP細胞」論文をめぐる騒動は結局、こんにちの大学や学術研究の現場を、いや、日本帝国主義の「科学技術立国」路線そのものを象徴する、愚かしい事態だと言えます。
 大学と学生と学問そのものが、従来にも増して資本の下に従属することを強いられようとしています。
 安倍政権は今国会に、学校教育法の改悪案を提出し、大学における教授会の権限を限定的なものとし、学長の「指導力」を高めようとしています(二月十二日、中央教育審議会大学分科会)。また、学内の構成員による学長選挙を廃止しようという動きも強まり、京都大学では先月、総長を外部から引き入れようという動きも表面化しています。
 しかしながら皆さん、運営システムがどういじり壊されようとも、それでも人が学び、考えるという営みの場である限り、大学は大きな可能性を孕んだ空間であり続けるはずです。帝国主義権力と、民衆との、知をめぐるせめぎ合いの場であり続けるはずです。楽観は許されませんが、絶望することもまたあってはなりません。私たち共青同(学班協)は学園拠点に断固として根を張り、学生のたたかいを組織して行く決意です。学園拠点でまみえ、ともにたたかいを開始しましょう。



 

 

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