1432号(2014年2月10日) 政治主張 |
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集団的自衛権行使「合憲化」粉砕! 安倍の改憲と戦争攻撃打ち砕け 再稼動阻止!3月反原発闘争に決起しよう 「国家戦略特区構想」粉砕!14春闘勝利! 全ての同志、友人、『戦旗』読者のみなさん。 一月二十四日に通常国会がスタートした。冒頭から安倍政権は「教育」を中心に反動攻勢を強めている。手始めは教育委員会制度改革であり、首長に教育行政の権限を集中するというものである。 二十四日行われた施政方針演説において、安倍は自らの思想的立場と「願望」とを明らかにしている。「国権主義者」だということだ。人民は彼にとっては「国力」を上げるためのコマでしかない。安倍は「国力」を評価する指標は軍事力と経済力だと考えている。 政府が企業の活動を全面的にサポートするのは、国民の生活水準を向上させるためではない。日本企業が世界市場で活躍することが彼にとっては「国威の発揚」に他ならないからだ。安倍が日米同盟の強化に邁進し、軍備の増強をはかるのは、軍事力を「国力」の表れと見るからだ。それゆえに、自衛隊の活躍の場を求めて、「積極的平和主義」なるものを掲げ、集団的自衛権行使の「合憲化」に踏み込もうとしている。 安倍は国権主義のもと、教育の反動化に乗り出している。NHK会長・経営委員人事もその一環である。安倍政権が全体重をかけて仕かけてくる戦争国家建設の攻撃を断固として粉砕しよう。 ●第一章 名護市長選勝利受け、沖縄―「本土」貫く総反撃を 一月十九日、沖縄・名護市の市長選において、辺野古への新基地建設に反対する稲嶺候補が、安倍政権の全面的な支持を得た末松候補を破り、再選を果たした。自民党中央と安倍政権はこの間、沖縄県選出の自民党国会議員に重圧をかけて屈服させ、「県内移設反対」を掲げていた自民党沖縄県連を屈服させ、仲井真知事に対しても経済振興と引き換えに名護市辺野古沿岸部の埋め立てを承認させた。また、名護市長選においては、末松候補の当選の暁には五百億円もの「名護振興基金」を出すと、あからさまな票の買収を掛けてきた。こうした力づく、金づくの恫喝に対して、基地強化に反対する沖縄人民は、断固として「否」を突き付けたのである。われわれはこの沖縄人民・名護市民のたたかいを断固として支持する。このたたかい、勝利と結び、安倍政権打倒の総反抗を開始しよう。 安倍政権はこの選挙結果を受けてもなお、辺野古への普天間移設を見直す気はない。菅官房長官は一月二十日の記者会見において「市長権限は限定されている。理解を求めるなかで淡々と進める」と表明しており、二十一日には沖縄防衛局は「辺野古移設」にともなう作業ヤードなどの建設・調査を請け負う業者を募る入札を公告している。 稲嶺名護市長は就任早々、市長権限に基づく「拒否権」の行使を表明している。「拒否権」として想定されているのは、資材置き場として予定されている辺野古漁港の防波堤の使用手続きや、航空機の運用に必要となる燃料タンクの設置に関わるものとされている。稲嶺市長を支えたたかう沖縄人民・名護市民と連帯し、「辺野古埋め立て」に向けた、安倍政権の新たな攻撃を打ち破ろう。東京では、一月二十九日に「沖縄を再び戦場にするな 辺野古の海の埋め立てを許さない 辺野古新基地建設反対一・二九集会」が取り組まれている。「普天間基地即時撤去」「辺野古新基地建設反対」のたたかいを全国で闘おう。 安倍政権は「日米同盟」の強化を掲げて、在日米軍の再編=機能強化を推し進めている。昨今は沖縄人民のたたかいを受け、「基地負担の軽減」がうたい文句となっている。 山口県の岩国基地に関して、安倍政権は、KC130空中給油機十五機の先行移駐について福田岩国市長と山口県の副知事から了承を取り付けた。空中給油機に関して、岩国市長は普天間基地の移設問題が解決しない限り先行移駐は認めない、というようなことを言っていたのであるが、「沖縄の基地負担軽減」への協力という名目で了承したのである。無論、福田市長は地域振興策と引き換えに受け入れた訳である。この動きの後に、仲井真知事は辺野古埋め立て申請を承認した。沖縄、岩国の反基地のたたかいに真っ向から敵対する基地推進派の「連携」を打ち砕くたたかいが問われている。 オスプレイに関しても、基地負担軽減の名目で、訓練を全国に広げようとしている。あたかも顔見世興行と言わんばかりに、あらゆる「訓練」、イベントにオスプレイを登場させ、欠陥機との汚名を返上させようと狙っている。 安倍政権の狙いは、沖縄と「本土」の反基地闘争の間に楔を打ち込もうということだ。 昨年十一月三十日、十二月一日、岩国行動二〇一三が取り組まれた。海外からのゲストを加えたこの二日にわたるたたかいにおいて、われわれは、沖縄、岩国、京丹後、神奈川、横田を貫く反基地闘争の前進と結合の必要性とその実現が可能であるとの確信を得ることができた。日本での反基地闘争の前進は、米帝の軍事政策の下で虐げられているアジア民衆のたたかいへの連帯であり、同時に、アメリカにおける反戦闘争に連帯するものでもある。反基地闘争の一大前進をかちとろう。 ●第二章 全国で安倍反動政権打倒の闘いまき起こそう 安倍首相は一月二十四日、通常国会冒頭の施政方針演説を行った。 最大の問題は、自衛隊の海外展開を誇示して「積極的平和主義」を掲げ、初めて集団的自衛権行使の「合憲化」を進めることを明言したことである。集団的自衛権は、自衛権とは全く異なる。同盟関係を根拠にして、他国の紛争、内戦に介入し、派兵し参戦することである。言わば、侵略戦争を合理化する論理である。日本国憲法をどのように解釈しようとも、成立しない論議である。安倍は、これを解釈改憲で強行する意図を「積極的平和主義」の詭弁の中にすべりこませたのだ。安倍の戦争国家への突進を絶対に阻止しなければならない。「やれば、できる」が何度も繰り返される演説は、四十五分もしゃべった割には何ともスカスカの印象を与える。何も説明されてはいないのだ。ただ、安倍の「信念」と「期待される国民像」が繰り返されている。重要な問題は、「やれば、できる」とは誰に向かって言っているのか、である。 安倍の言う経済好循環の中身について見てみよう。アベノミクスにより、経済が「自信」を取り戻しつつあると安倍は主張する。 「四半期連続でプラス成長。GDP五百兆円も視野に入ってきました」「有効求人倍率は、六年一カ月ぶりに一・〇倍を回復。冬のボーナスは、連合の調査によると、平均で三万九千円増えました」。景況感もプラスに転じて、「景気回復の裾野は着実に広がっています」。ここで決め言葉、「この道しかない。皆さん、共に、この道を、進んで行こうではありませんか」。 安倍首相は今国会を「好循環実現国会」と位置付けている。「企業収益を、雇用の拡大や所得の上昇につなげる。それが、消費の拡大を通じて、更なる景気回復につながる」ことが「好循環」だと安倍は言う。 果たして企業の業績と、労働者の利益とは連動したものであろうか。否である。昨年末、郵政労働者の「自爆営業」が新聞紙面を飾った。自爆営業とは、年賀状やギフト等の販売ノルマを達成するために、従業員が密かに自費で購入し、ノルマ未達成分を補填することを指す。こうした行為が広範に行われていることが今さらながらに報道されたのである。自爆営業は例えばコンビニにおいてもクリスマスケーキ、恵方巻きといった季節商品にしばしば見られる。まさに従業員は労働で企業に貢献するばかりか、商品購入を通じて売り上げにも貢献している。雇用契約を継続するためにやむなく行われている。実質的な賃金切り下げである。また、コンビニ各社は本年大規模な店舗数拡大を計画しているという。一店当たりの売り上げが下がっているのを店舗数で補うというのだ。 安倍首相「利益を従業員に還元する企業を応援する税制を拡充します。(中略)来年度から復興特別法人税を廃止し、法人実効税率を2・4%引き下げます」。これはどうか。法人税は人件費、材料費などを差し引いた利益にかかる税金であり、雇用の拡大には直接影響しない。内部留保と株主配当・役員報酬につながるだけである。 アベノミクス第一の矢、大胆な金融緩和の総括はどうなったのか? 円安にして輸出関連企業の業績を回復させるのではなかったのか。この点に演説は触れていない。結果から言えば、すでに海外生産に移った分は国内に回帰せず、輸入品の価格が上がっただけだ。 実際のところ、ブラック企業が横行するなど、労働環境の劣悪化、賃下げが当たり前のように行われているのである。「限りなくブラックに近いグレー」、これが労働者の抱いている実感であろう。 社会保障の分野ではどうであろうか。「社会保障関係費が初めて三十兆円を突破しました。少子高齢化の下、受益と負担の均衡がとれた制度へと、社会保障改革を不断に進めます」とした上で、消費税率引き上げによる税収を全額を「社会保障の充実・安定化に充てます」としている。そもそも、社会保障の財源を所得の低い人ほど負担の大きな消費税に求めること自体が、入り口からしておかしい。社会保障制度改革国民会議の報告書を見れば、肝心の社会保障費自体はどんどん削られているのだ。 労働者は、賃下げと長時間労働でブラック企業の収益に貢献、物価上昇に伴う消費の増大で景気に貢献。消費税を通じて社会保障に貢献。貢献、貢献に力尽き、社会保障を頼れば追い返される……。安倍は「この道しかない」というのだ。「やれば、できる」と。 「生かすべからず、殺すべからず」な状況に置かれたなかで生活の遣り繰りをし、その力の全てを「国力」の増強に充てて惑わず、テレビで「日本企業」や「自衛隊」の活躍を見ては喝采を送る。これが安倍の期待する国民像だ。 安倍は彼の理想国家建設のために議会を形がい化し、行政権力を強化し、司法権力の恣意的な行使を強めてくるだろう。新自由主義はこの強化された統治機構の確立によってより強力に推し進められる。安倍右翼反動政権を打ち破るたたかいを全国で推し進めていこう。 ●第三章 14春闘勝利! アベノミクス打ち破る階級的労働運動を アベノミクスの正体は明らかとなりつつある。企業に対しては大幅な減税を約束する一方で、労働者人民に対しては消費税増税が重く圧し掛かってくる。アベノミクスを打ち破るたたかいを大胆に推し進めていこう。 第一に、14春闘を果敢にたたかい、勝利することである。非正規、中小企業労働者の雇用と生活をかけて、14春闘をたたかいぬこう。最低賃金の引き上げを勝ち取ろう。 四月に予定されている消費税率8%への増税は春闘の成果に関わる重要な問題である。消費税の増税に反対しよう。 第二に、派遣法改悪を阻止することである。厚生労働省の審議会は一月二十九日、労働者派遣法を見直す最終報告をまとめた。大まかな内容は①専門二十六業種の区分を廃止。原則として一人の派遣労働者が同じ職場で働ける期間を三年までとする。②派遣先企業は、労働組合の意見を聞けば四年目以降も別の派遣労働者を受け入れられる。③人材派遣会社は、三年働いた派遣労働者の次の働き口を見つける義務を負う。④人材派遣会社はすべて国の許可制にする。といった内容である。 この見直しは一体何のために行われたのだろうか。見直しの契機は何だったのか。労働者を疲弊させる「派遣労働」を改めようというのが本来の課題だったではないか。それが、派遣労働を一般化する内容に改悪されている。 また、安倍政権はアベノミクスの「成長戦略」の重要な環として、「国家戦力特区」をつくろうとしている。この特区において、解雇規制、労働時間規制、有期雇用規制を撤廃させようとしている。それが投資しやすい条件だというのである。労働者人民に徹底的に矛盾を押しつけていくことで、日帝資本が収益を独占し続けようとしているのだ。国家戦略特区構想を阻止しよう。労働者の利益と資本の利益との矛盾を明確にし、労働者の利益をかち取るために春闘をたたかおう。 ●第四章 3月反原発闘争に決起しよう、再稼働阻止の陣形構築を 東日本大震災、それに続く福島第一原発の事故から三年目を迎える。福島第一原発の廃炉も先が見えない状態が続いており、今なお多くの人々が避難生活を強いられている。原発の安全神話は完全に崩壊した。 今、安倍政権や電力業界、原発関連メーカーを中心とした経済界の主要部分、および、いわゆる「原子力村」と呼ばれる学術者の面を被った利益者集団は、事故の教訓を活かしてより安全な原発が提供出来る等と面の皮厚く振舞っている。放射能汚染をあたかも「制御可能」であるかのように宣伝している。彼らは、原発事故の惨禍から立ち直りたい、故郷に帰還したいという人々の心情に付け入り、被災者に分断すらもたらしている。 安倍政権は原発の再稼働を推し進めようとしている。伊方、川内、泊等が最も早く再稼働に動こうとしている。のみならず、電気事業連合会は原発新増設に向けて、自民党に対する働きかけを強めている。福島の人々と結びついて、全国で原発再稼働阻止に立ち上がろう。 再稼働を強行しようとする第一の理由は、電力各社の経営破綻を防ぐためである。電力各社は原発停止により大幅な赤字に陥っており、電気料金の値上げが必要と繰り返している。彼らは、値上げの理由として、原発停止に伴い、火力発電の燃料費が上昇したことを挙げているが、本当の理由は停止中の原発が不良債権化していることである。何のことはない、国の支援を当てにして原発依存度を上げてしまった結果であり、経営責任というものである。 第二の理由は原発の海外輸出を推し進めるためである。安倍政権は成長戦略の一つに原発輸出を挙げているが、そのためにも原発の再稼働が何としても必要だというのだ。壊れたら制御も出来ない欠陥商品(原発自体がそういうモノなのであるが)を海外に輸出していこうというのだ。運転中はもちろん、稼働期間が過ぎた後も廃炉のために被曝労働が避けられない。しかも現在、放射性廃棄物の処分方法すら確立していない。こんなモノを輸出すること自体、道理的にもおかしいのである。 原発再稼働を絶対に許さない、全ての原発を直ちに廃炉へ。三月、全国各地で反原発・再稼働阻止のたたかいが取り組まれる。3・8福島集会、3・8上関原発を建てさせない山口県民集会、3・15日比谷集会等、各地での闘争に決起しよう。大飯原発再稼働阻止闘争の地平を受け、「再稼働阻止全国ネットワーク」の下に再稼働実力阻止をたたかおう。 |
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