共産主義者同盟(統一委員会)


1430号(2014年1月20日) 政治主張






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      2014年第二新年号論文

 
  今号は、前号につづく第二新年号として、第四章 政治運動方針、第五章 労働運動方針、第六章 青年運動方針、第七章 学生運動方針を掲載する。


 ■第4章―政治運動方針

 戦争に突進する安倍政権打倒

 反帝国際主義潮流の前進を



 ●4章―1節

 反戦・反基地、反原発闘い抜いた2013年

 二〇一三年の政治闘争は、発足した安倍政権の登場によって、新たな局面を迎えた。
 小泉政権以降、本格的に推進された新自由主義政策で、労働者階級の貧困化が深まり階級対立は飛躍的に拡大した。強化される日米軍事同盟は、沖縄と「本土」各地に基地強化を強いた。反基地闘争は激化した。二〇一一年三月の福島第一原発事故は、広範な放射能汚染を発生させ全国で反原発のうねりが起こった。情勢を規定し続けたのは、こうした人民のたたかいであった。そして、これに対する反動的な巻き返しという使命をもって登場したのが安倍政権だった。
 安倍政権は、原発輸出の攻勢を開始し、国内原発の再稼働へ全面的準備を開始した。辺野古新基地建設と岩国基地大強化を要とする米軍再編強行への巻き返しを開始した。安倍政権と自民党による辺野古新基地建設にむけた全体重をかけた反動攻勢は、沖縄自民党に辺野古新基地建設容認を強制し、昨年末には仲井真知事に辺野古埋め立て申請許可を強制させた。今後八年間にわたって毎年三〇〇〇億円以上の振興策などと引き替えにである。なりふり構わぬ安倍政権による辺野古新基地建設策動を徹底して弾劾する。また、安倍政権は、TPP参加へと踏み込んだ。国家安全保障会議創設と特定秘密保護法制定に踏み込んだ。同時に、安倍自身が、年末には靖国神社参拝を強行した。安倍の靖国参拝の強行は、アジア人民に対する真っ向からの挑発であり挑戦であった。安倍首相の靖国参拝の強行を徹底して弾劾する。安倍政権は、二〇一三年を通して、その本性をむき出しにし、九条改悪、国防軍創設を頂点とする戦争国家化への全面的な踏み込みを開始しだしたのである。
 われわれは二〇一三年、安倍政権を打倒する総抵抗戦を訴え、安倍政権を打倒する全人民政治闘争を前進させるために全国で奮闘した。特に、反原発闘争と反基地闘争の前進のために奮闘した。福島をはじめとした人々に連帯し、全国で街頭闘争に決起し、経産省前テントや電力独占資本への直接行動を重視したたかった。また、核の軍事利用であれ「平和利用」であれ、一切の核を許さないたたかいを明確にし、反原発闘争と核で武装された日米軍事同盟と基地に対するたたかいを結合してたたかった。普天間基地の即時閉鎖、辺野古新基地建設反対、岩国基地大強化反対、オスプレイ追加配備、全国低空飛行訓練に反対し全国で奮闘した。
 こうしたたたかいの総結集として、十一月三十日、十二月一日、アジア共同行動(AWC)日本連絡会議と一三岩国・労働者反戦交流集会実行委員会が呼びかけた「岩国行動二〇一三」を支持し全国闘争としてたたかった。「岩国行動二〇一三」は、米国、韓国、フィリピンから仲間が結集し、アジアからの米軍総撤収を要求する国際共同闘争としてたたかわれた。AWCは、昨年三月には、台湾において国際会議を開催し、安倍首相と閣僚、国会議員らの靖国公式参拝策動を弾劾する国際共同声明を発表するとともに、アジア太平洋地域から米軍基地を撤去するためにたたかうことを決定した。国際会議には、台湾、米国、韓国、フィリピン、日本のたたかう仲間が結集し、反帝国際共同闘争を強めることを宣言した。六月には、韓国の仲間が来日し、各地でアジア共同闘争を開催した。
 また、二〇一三年を通して、市東さんに対する土地強奪を許さず三里塚闘争をたたかいぬいた。沖縄解放闘争、障害者解放闘争、被爆者解放闘争、女性解放闘争、部落解放闘争、入管闘争など、被抑圧人民・被差別大衆の解放闘争をたたかった。安倍政権の戦争国家化に抗し、労働運動のなかに反戦闘争を再建するために、また、若者運動、学生運動の前進のために奮闘した。安倍政権を打倒する全人民政治闘争のために全国で奮闘し、そのための政治的統一戦線を重視したたかうとともに、反戦闘争実などを堅持し反戦闘争を果敢にたたかいぬいた。反帝国際主義潮流の前進のために奮闘した。

 ●4章―2節 労働者階級人民の最先頭で2014年の闘い切り拓け

 ▼4章―2節―1項 戦争準備―改憲を推し進める安倍政権


 安倍政権は、新自由主義政策を全面化させている。世界で最も企業が活動しやすい国にすると宣言し、法人税減税の一方で、「解雇特区」など徹底した労働者の無権利化を推し進めている。労働者階級の貧困化が深まり、階級対立は一層拡大している。また、安倍政権は、かつてない段階へと戦争国家化を推し進めることを使命としている。安倍の言う「積極的平和主義」は、帝国主義の平和を守るためには積極的に戦争をするという趣旨である。
 昨年末、安倍政権は、国家安全保障会議創設と特定秘密保護法の制定を強行した。これは、米帝とともに情報を秘匿共有し、米帝とともに世界中で戦争を遂行するためであり、現代の大本営、国家機構における戦争司令部の確立であった。安倍政権は、日米安保再編強化・沖縄や岩国における基地強化を進めつつ、九条改悪と国防軍創設を頂点とする戦争国家化に突き進もうとしている。昨年末には、国家安全保障戦略と新防衛大綱、中期防衛計画を策定し、朝鮮民主主義人民共和国(共和国)と中国に対抗する軍事力と日米軍事同盟の強化を明確にした。そして、沖縄方面への部隊の重点配備と、海兵隊と同様のなぐりこみ部隊である水陸機動団の新設を打ち出した。こうした戦争策動のなかで、辺野古新基地建設をめぐる攻防は本年いよいよ重要な局面を迎える。
 また、戦争国家化にむけて、安倍政権は、国家と天皇に忠誠を尽くす愛国心教育を強化してきた。日本維新の会など差別排外主義勢力と連動して、中国や韓国への排外主義を扇動してきた。靖国公式参拝を強行した。安倍首相とこれを支える右翼勢力は、かつての日帝のアジア侵略戦争を正義の戦争だとし、「自虐史観」への批判を強めとの闘争を進め、元日本軍「慰安婦」の国家謝罪要求に敵対してきた。
 さらに、安倍政権は、原発輸出を成長戦略の重要な一つとし原子力協定の締結などを次々と進め、国内でも原発再稼働へ次々と踏み込もうとしている。本年は反原発闘争をめぐる決戦の年となる。

 ▼4章―2節―2項 安倍政権を打倒する全人民政治闘争の爆発を

 本年、たたかう労働者階級人民の第一の任務は、生活破壊と戦争国家化を推し進める安倍政権に対する総抵抗戦を組織し全人民政治闘争で安倍政権打倒することである。
参議院選で勝利した安倍政権は、向こう三年間は国政選挙を迎えることなく政権を維持する可能性を手にした。これを絶好の条件に、安倍政権は、新自由主義政策を推し進め、労働法制を前全面改悪し労働者階級人民への強搾取の諸条件をより確立しようとしている。TPP参加は、農業のみならず、医療や保険、さまざまな分野の規制を撤廃し、弱肉強食社会を一層激化させていく。生活保護費は削減され、医療福祉は解体される。消費税は四月から8%、来年には10%に引き上げられようとしている。安倍政権の生活破壊攻撃を許さず、これと全面対決していこう。
 同時に、安倍政権は、戦争国家化への大攻勢に拍車をかけている。昨年末の、国家安全保障会議の創設と特定秘密保護法制定の強行は大きなステップだった。特定秘密保護法の撤廃にむけてたたかいを一層強化しよう。さらに、集団的自衛権行使の「合憲」化、新たな日米ガイドラインの制定、「国家安全保障基本法」の制定策動などが目論まれている。これらを、日米軍事同盟の再編強化を軸に進めようと言うのだ。辺野古新基地建設、岩国基地大強化がその要だ。さらに、福島をはじめとした被災者は放置され、被曝の深刻な実態は隠され、原発再稼働に突入しようとしている。
 こうしたすべてで、労働者階級人民の生活と権利、健康、あらゆる領域で自らの生存を守ろうとする抵抗が拡大し激化せざるをえない。戦争国家化と生活破壊を進める安倍政権に対する諸抵抗闘争を総抵抗として合流させ、安倍政権を全人民政治闘争で打倒する年としよう。そして、そのための政治統一戦線を前進させよう。人民の抵抗闘争の先頭に立ち、このただ中で左翼勢力の復権を大衆的に進めていこう。労働者階級の反戦反基地闘争を大衆的に復権するためにたたかおう。連合指導部は、安倍政権の戦争国家化と対決できないばかりか、その尻押し部隊に他ならない。また、今日、二人に一人が非正規雇用労働を強いられ、将来を展望できない状態を強制される若年労働者の怒りを組織し、若者を階級闘争の最前線へと登場せしめていこう。
こうしたたたかいとあわせて、東西において反戦闘争を果敢に組織する反戦闘争実、反戦実のたたかいを本年も推進していこう。

 ▼4章―2節―3項 反原発闘争

 第二に、反原発闘争を決戦としてたたかい、再稼働阻止の実力闘争を爆発させることにある。
 安倍政権を打倒する全人民政治闘争のためにも、特に重視する必要があるのが、今日の反原発闘争と反基地・反安保闘争である。反原発闘争は、全人民的闘争として発展してきた。そして、本年は、再稼働を阻止するか否かの決戦の年となる。原子力規制委員会は、「新たな安全神話」を作り出すためのものでしかない。本年度内に、伊方、川内、泊、柏崎刈羽、高浜、大飯、島根などの再稼働が日程にのぼりだしている。続いて、玄海、浜岡、女川などの再稼動も策動されている。絶対に許すな。
 安倍政権と電力独占資本をはじめとする原発推進勢力は、再稼働を次々と強行することで、反原発闘争を大きく後退させようとしている。こうした策動に抗し、再稼働阻止をかかげた集会・デモを、あらゆる市町村で拡大しよう。再稼働を阻止する国会前、経産省前、電力会社への直接行動、街頭での政治決起を一層拡大し、全人民の力で全原発を廃炉においこもう。エネルギー政策の根本的転換をかちとれ。大飯での大衆的実力闘争に続き、再稼働を阻止する現地実力闘争を爆発させよう。
同時に、福島をはじめとした被曝者と連帯してたたかおう。放射能汚染によって故郷も仕事も家も奪われた。それを、自己責任であるかの如くに扱う許しがたい政策を絶対に許すな。被災者、被曝者の要求に基づく全面的な賠償を実現するためにたたかおう。また、原発内労働、汚染除去労働、何重もの下請けのもとで被曝に晒される労働者の命と健康を防衛してたたかおう。国内の反原発闘争と結合し原発輸出攻勢を粉砕しよう。原発に反対する世界中のたたかいと結合した反原発闘争を。
さらに、反原発闘争と反基地闘争の結合を推進していこう。すべての核に反対するたたかいをこそ前進させよう。核で武装された日米軍事同盟・日米安保を粉砕せよ。横須賀を母港とする原子力空母ジョージ・ワシントンが事故を起こせば、福島第一原発の一号機と同規模の放射能被害に首都圏は襲われる。反原発闘争を、反基地闘争・反核闘争と結合したうねりへと前進させていこう。

 ▼4章―2節―4項 反戦反基地闘争

第三に、反戦反基地闘争を全国で前進させることである。
 安倍政権の進める戦争国家化は、日米安保条約の下で沖縄と「本土」各地における米軍基地強化とこれと結合した日帝の軍事力の強化と、戦争のできる法整備、国家機構整備、さらに憲法改悪策動として進められている。各地の反基地闘争は、戦争国家化への抵抗拠点としての位置をますます増大させている。
 沖縄はその最大の攻防環である。普天間基地の即時閉鎖、辺野古新基地建設阻止のたたかいは、その中軸である。安倍政権は、辺野古新基地建設に全体重をかけた反動攻勢を開始した。知事の埋め立て申請許可を弾劾しよう。沖縄のたたかいを軸に、首都圏における辺野古実のたたかいをはじめ各地における沖縄連帯、辺野古新基地建設反対のたたかいを支持したたかおう。本年、辺野古新基地建設をめぐる攻防を決戦の年としてたたかわねばならない。
 同時に、岩国基地強化とのたたかいも重要な位置を占めている。岩国は、極東最大の海兵隊基地へと変貌させられる。二〇一七年、厚木からの空母艦載機移駐、F35配備、愛宕山米軍住宅建設が策動され、本年中に、普天間基地からの空中給油機部隊の移駐が目論まれている。岩国はオスプレイ低空飛行訓練の拠点基地として機能させられている。一方、二〇〇六年、艦載機移駐に反対する住民投票に勝利した岩国市民のたたかいは激しい解体攻撃に晒されてきた。これに抗し、たたかう岩国市民に連帯し岩国基地強化とのたたかいを全国的闘争へと押し上げていかねばならない。沖縄、岩国、神奈川などを結ぶ反基地闘争を、安倍政権の戦争国家化と対決する抵抗拠点として一層うちかためよう。
 さらに、オスプレイの全国低空飛行訓練に対して全国でたたかおう。自衛隊もオスプレイ導入を策動している。普天間基地からのオスプレイ即時撤去、大阪八尾空港や横田基地へのオスプレイ配備策動粉砕、自衛隊のオスプレイ配備策動粉砕、全国で反オスプレイ闘争のうねりをつくりだそう。
 また、新たな米軍基地建設策動も進められている。京丹後地方への米軍Xバンドレーダー基地建設策動も、本年、大きな局面を迎える。政府、防衛省は、本年中にも着工に踏み込むことを宣言した。このレーダー基地は、青森についで二カ所目となる。これは、共和国によって米国に向けて発射された「ミサイル」を打ち落とすためであり、集団的自衛権行使をはなから前提としたものだ。新たな基地建設を許さず、これを粉砕するためにたたかおう。各地での反基地闘争を強め、反基地闘争の全国的共闘を発展させよう。さらに、アジア太平洋地域から米軍と米軍基地を一掃するための国際共同闘争を強化しよう。日米軍事同盟と対決するアジア共同闘争を前進させよう。また、反基地闘争の国際共同闘争を推進するAWC、労働運動のなかに反戦反基地闘争を再生させようとする岩国・労働者反戦交流集会実などを断固支持し、その発展のために奮闘しよう。

 ▼4章―2節―5項 差別排外主義との対決

 第四に、安倍政権の戦争国家化にむけた差別・排外主義の激化とたたかうことである。
 昨年末に安倍は靖国参拝を強行した。徹底して弾劾する。安倍の靖国参拝は戦争国家化にむけた攻撃の重要な一環である。かつてのアジア侵略戦争を正当化しA級戦犯も合祀する靖国神社への参拝は、安倍政権が、そういう歴史観に立脚していることの公然たる表明であり、かつ、国家のために死することを新たに強制していこうとする攻撃に他ならない。それはまた、日本帝国主義の侵略戦争によるすべての犠牲者への冒涜であり、アジア人民に対する真っ向からの挑戦である。さらに、日本軍「慰安婦」問題への敵対、日帝のかつてのアジア侵略戦争の賛美、改悪教育基本法の下での愛国心教育の強化、道徳科目の教科化、教育現場での「日の丸・君が代」強制、橋下らの日本維新の会とも連動した、こうした一連の策動を粉砕しよう。また、在日特権を許さない市民の会(在特会)などの差別・排外主義襲撃を全戦線において粉砕していこう。在日韓国・朝鮮人に対する差別・排外主義扇動を粉砕しよう。

 ▼4章―2節―6項 反帝国際主義潮流の前進

 第五に、国際主義をつらぬき、反帝国際主義潮流を一層前進させていくことにある。
 国境を越えた反グローバリゼーション闘争のうねりはもはや国際的な趨勢である。アジア太平洋地域でも、こうしたたたかいを一層強め、資本主義・帝国主義の戦争、生活破壊とたたかう国際的な共同闘争を前進させていこう。AWCは、アジア太平洋における反帝国際共同闘争を一貫して組織してきた。米軍と米軍基地を一掃し日米軍事同盟とたたかう国際共同闘争を追求してきた。こうした先駆的なたたかいを支持し発展させよう。帝国主義の戦争とたたかい、国境を越えた国際共同闘争を組織し続ける反帝国際主義派潮流をあらゆるたたかいのなかで前進させていこう。

 ▼4章―2節―7項 三里塚闘争

 第六の任務は三里塚闘争に決起することである。
 方針を提起するに先立って、痛惜の思いで昨年末十二月二十一日、急逝された反対同盟の事務局次長萩原進さんについて述べなくてはならない。萩原さんはその日あった産直忘年会の終了後、帰宅途中で心筋梗塞をおこし逝去された。享年六十九歳。衷心から哀悼の意を表する。同時に、四十七年にわたる萩原さんの三里塚闘争を引き継いで、共産主義者同盟(統一委員会)は市東さんをはじめ反対同盟とともに三里塚闘争の勝利までたたかいぬく決意を明らかにする。
 反対同盟の大黒柱であり三里塚闘争の指導者であった萩原さんの急逝の打撃は計り知れないものがある。しかし国家権力・空港会社との厳しい攻防が続いている状況でたたかいを停滞させることはできない。
 本年、三里塚闘争の焦点は、市東さんの農地強奪をめぐる決戦である。昨年七月行政訴訟・農地法裁判では、「農地明け渡しと建物の収去」の反動判決が打ち下ろされた。この判決は空港会社による数々の農地法違法行為を免罪し、空港会社の主張を丸呑みにした反動判決である。徹底的に弾劾しなければならない。しかし空港会社が請求していた「仮執行宣言」を付けることはできなかった。
 市東さんの農地をめぐる今ひとつの裁判―耕作権裁判―も継続しており、こちらも反動判決を許さない裁判闘争を続けなければならない。市東さんの耕作地を「不法耕作」と決め付け、明け渡しを要求する耕作権裁判は一年以上とまっていたが、昨年十二月、市東さんの賃借地の位置にかかわる文書について、千葉地裁が空港会社に対して文書提出命令を出した。反対同盟弁護団の粘り強いたたかいの全面勝利である。
 空港会社はこれまでそのような文書は「一切存在しない」として隠蔽してきた。この文書が明らかになれば、市東さんが現在耕作している農地が戦前からの正規の賃借地であり空港会社が主張するような「不法耕作」でないことが明白になる。そうなれば耕作権裁判の前提が崩壊してしまうことになるし、行政訴訟・農地法裁判にも大きな影響を与える。
 羽田の本格的な国際化や航空自由化が図られるなかで、これまでの国際空港としての保護政策がなくなり、激しい空港間競争に晒される成田空港の地盤沈下を回避するために、空港会社はへの字誘導路の直線化やB滑走路の更なる延伸を策動し、市東さんの農地を強奪し、天神峰からのたたき出し攻撃を強めているのだ。農業と農民を踏みにじり、空港の拡大をひたすら追求する空港会社の攻撃を粉砕しなければならない。
 空港会社によるたたき出し・農地強奪攻撃の激しさは、危機の裏返しでもある。空港会社も航空自由化に危機感を深め、LCCの誘致など生き残り策を模索している。成田空港は決して磐石ではない。空港会社による農地強奪を粉砕し、痛打を浴びせよう。市東さんの農地を守り通して、成田空港粉砕!三里塚闘争勝利!を切り開こう。
 行政訴訟・農地法裁判の控訴審、耕作権裁判に勝利しよう。現地における支援・闘争と裁判闘争を一体に推進しよう。市東さんの農地をめぐる二つの裁判闘争に勝利し、農地法を悪用する市東さんの農地強奪策動を粉砕しよう。
 行政訴訟・農地法裁判は、三月二十六日に第一回控訴審がおこなわれるが、その三日前には総決起集会が東京・芝公園で開催される。反対同盟は一月十二日の旗開きから三月二十六日第一回控訴審(東京高裁民事第十九部 貝阿彌裁判長)の期間を決戦として構え、新たな署名運動、カンパ運動、情宣活動に決起する方針を打ち出している。反対同盟が先頭にたって地元地域で展開し、市東さんの農地を守るたたかいの陣形を新たに作り出そうとしている。市東さんも反動判決を徹底的に弾劾し、農民として天神峰で生きていく決意を明らかにしている。空港施設に取り囲まれ騒音・振動・排ガスの中で淡々と営農を続け屈することのない市東さんを守りきろう! 市東さんとともに反対同盟とともに、国家権力の弾圧をはねかえしてたたかおうではないか!
 われわれは三里塚現地で展開する現闘・行動隊による現地支援活動・裁判闘争を継続しつつ、三月二十三日芝公園の総決起集会に総力で結集していかなくてはならない。反対同盟は一千名の大結集を呼びかけている。三里塚勢力の大結集によって東京高裁、空港会社に圧力をかけ、早期結審粉砕、拙速裁判を阻止し控訴審闘争の勝利を勝ち取ろう。三里塚現地で奮闘する現闘・行動隊の同志のたたかいと一体に、芝公園への首都圏総力の動員に決起しよう。市東さんはじめ農地強奪攻撃と反対同盟の決起に応える日本反帝戦線・二期阻止全国共闘の隊列を登場させよう!

 ▼4章―2節―8項 沖縄解放闘争

 第七の任務は沖縄解放闘争の推進である。すでに第三に提起した反戦反基地闘争のなかで、安倍右翼反動政権による戦争国家作りと対決する最大の攻防環として沖縄闘争を設定し方針を明らかにしている。ここで、情勢の緊迫性と闘争の重要性に鑑み、より詳細な情勢の確認と闘争任務を提起したい。
 十二月二十七日、仲井真知事は、辺野古の埋立許可申請を承認した。それまでの「辺野古は不可能」という姿勢を転換し、「県外移設」の公約を反故にする沖縄人民に対する裏切りを弾劾しなければならない。「普天間基地の五年以内の運用停止」「牧港補給地区の七年以内の全面返還」などの「負担軽減策」の要望に対する、曖昧で何の実効性もない政府の回答と沖縄振興予算との引き換えに承認の判断を下した。安倍政権による恫喝と甘言に屈服した判断を沖縄人民は厳しく弾劾し、裏切り行為として追及している。
 一月十九日投開票の名護市長選前に埋立許可申請の承認を得たい安倍政権による、それまでの「丁寧に説明する」といったポーズをかなぐり捨てた露骨な恫喝と利益誘導による承認圧力はすさまじかった。自民党・石破幹事長は、普天間基地の「県外移設」を公約に当選した沖縄選出国会議員を「離党勧告」で恫喝し、菅官房長官は「県外移設なんてとんでもない」「普天間が固定化される」と言い放った。国会議員に続いて自民党沖縄県連も屈服させた。
 一方、沖縄振興予算では、概算要求額を上回る予算編成を行った。那覇空港第二滑走路建設や沖縄科学技術大学院大学の拡大などの予算を認めるなど、表面上は沖縄振興に配慮しているかに見えるが、中身は欺まんである。たとえば那覇空港の第二滑走路建設は、航空自衛隊那覇基地にF15戦闘機一個飛行隊の追加配備を前提としたものだ。大学院大学も国が設置責任者であり、本来なら政府が対応すべきであり、それを沖縄振興予算にもぐりこませるごまかしに過ぎない。
 安倍政権は手段を選ばぬ恫喝と策動を弄している。沖縄に新基地受け入れを強要するその姿は、まさに沖縄差別である。
 沖縄の負担軽減を名目に基地機能が強化された海兵隊基地の建設を強行する日米帝国主義に対して、基地の「県」内たらいまわしを拒否し、基地の重圧や危険、負担からの解放を願い沖縄人民は対決している。この沖縄人民のたたかいは、反戦反基地闘争であるとともに、自己決定権や生存権を要求するたたかいだ。沖縄の解放をかけたたたかいだ。
 「本土」労働者階級人民に問われていることは、日米軍事同盟の戦略拠点として差別軍事支配の下に組み敷かれる沖縄への攻撃を許さず、立ち上がる沖縄人民と如何に連帯するのか、しうるのかということだ。それは同時に、安倍右翼反動政権による戦争国家体制―自衛隊の侵略反革命戦争と如何に対決するのかという課題でもある。
 二〇一四年において、沖縄解放闘争と連帯する方針の第一は、辺野古新基地建設を許さない沖縄人民のたたかいに連帯し支えるたたかいを、九州・山口、関西、首都圏を貫いて全国で展開することである。普天間基地の辺野古移設が、沖縄の負担軽減にはならないこと、一部基地の返還と引き換えに、嘉手納などの基地の永久固定化と基地機能の強化が行われ、沖縄の負担は軽減されるどころか、いっそう酷くなることを徹底的に暴露・宣伝しなければならない。
 また「本土」におけるオスプレイ訓練・運用の拠点となっている岩国基地におけるたたかいを沖縄と連帯するたたかいとしても強化しなければならない。沖縄だけでなく岩国基地はじめ全国の米軍基地所在地でも、欠陥輸送機オスプレイの訓練・配備を許さないたたかいを強め撤去させよう。
 地域・学園・職場における沖縄闘争課題の牽引、地域における沖縄人民との共闘、連帯の模索などそれぞれの運動実態に応じた沖縄闘争を推進しよう。
 第二は、沖縄における自衛隊の増強とたたかうことである。安倍政権の下で、沖縄が国境地域―釣魚諸島(尖閣諸島)をめぐる「領土問題」の最前線として、与那国島における陸上自衛隊沿岸監視部隊の配備など自衛隊の強化が策動されている。安倍政権によって策定され昨年十二月十七日に閣議決定した「国家安全保障戦略」とこれを支える新防衛大綱、中期防衛力整備計画においては、中国について「尖閣諸島付近の領海侵入や防空識別圏の設定への懸念を表明」し、「島嶼部への侵攻があった場合に速やかに上陸・奪回・確保する」として「水陸機動団」の設置が打ち出されている。まさに沖縄が戦場として想定されている。与那国島など沖縄人民のたたかいは粘り強く継続している。連帯するたたかいに全国で取り組むとともに、領土ナショナリズム、民族排外主義と対決しなければならない。

 ▼4章―2節―9項 被抑圧人民・被差別大衆の解放運動

 被抑圧人民・被差別大衆の解放運動の各領域においては、次の方針でたたかおう。
 女性解放運動 岩国行動における「基地と性暴力」の課題・領域の提起と取り組みの地平を発展させよう。戦争と軍事基地こそ女性たちの脅威であり女性差別を拡大するという認識に立ち、帝国主義支配と対決する女性解放闘争を推進しよう。安倍右翼反動政権の下で吹き荒れる民族排外主義と対決し、元日本軍「慰安婦」の日帝糾弾・戦後補償実現運動に連帯して闘おう。女性労働者に貧困を強制する非正規・有期契約労働の使い捨てを許さず、均等待遇運動を推進しよう。
 部落解放運動 狭山再審闘争が正念場を迎えている。十五回にわたる三者協議のなかでこれまで検察が隠し持っていた証拠の開示を実現させてきている。狭山弁護団は、開示証拠を精査し、石川さん無実の新証拠・新鑑定をさらに積み上げている。今年こそ東京高裁における再審開始決定を実現させよう。また安倍政権の下で進む戦争国家化や排外主義が激化するなか、差別事件も増加している。差別糾弾権を堅持し、部落解放運動の発展をかちとろう。
 障害者解放運動 安倍右翼反動政権の戦時障害者政策と対決する障害者解放運動を推進する。精神障害者に対する実態的保安処分強化としての医療観察法廃止をかちとろう。侵略反革命とたたかう障害者青年同盟の組織建設をたたかおう。東京においては医療観察法廃止に向けた取り組みや路上生活者支援の運動がたたかわれている。山口では沖縄現地闘争や岩国行動へと決起している。
 被爆者解放運動 帝国主義を打倒する解放主体として立ち上がる被爆二世のたたかいに連帯し、被爆者解放闘争を推進しよう。このかん8・6広島原爆ドーム前での「反戦・反核・反原発・被爆二世の国家補償を!」を掲げる青空集会を一貫して取り組まれてきた。また被爆に対する国家責任の明確化と国家補償を要求する被爆二世解放運動をたたかっている。中国電力がもくろむ山口県上関原発阻止のたたかい、岩国基地の強化と空母艦載機移駐に反対する岩国闘争に決起している。帝国主義による原発や核開発による被曝を帝国主義支配の打倒の課題として提起したたかう被爆者解放運動の新たな地平を切りひらいていこう。
 入管闘争 一昨年、日本帝国主義は外国人の一元的管理に転換する改悪入管法が施行された。改悪入管法との闘争を継続しなければならない。日帝の入管体制と対決し、外国人労働者管理や差別排外主義政策を粉砕しよう。朝鮮学校無償化排除を弾劾し、在日朝鮮人・韓国人と連帯し、在特会はじめ民族排外主義勢力を包囲、解体しよう。
 二〇一四年、安倍政権を打倒する全人民政治闘争を爆発させよう。原発再稼動を阻止しよう。沖縄、岩国をはじめとした基地強化を阻止しよう。
 人民の抵抗闘争のただなかで、共産主義運動の再生を推し進めよう。すべての労働者人民の決起を訴える。


 ■第5章―労働運動方針

 階級的労働運動前進させ14春闘の勝利かちとろう



 ●5章―第1節

 資本主義の危機の深化と階級闘争の現段階


 全国でたたかう仲間のみなさん。
 資本主義は今、誰の目にも明らかなように歴史的な危機の段階に至っている。まさに、「死滅しつつある資本主義」の姿を露わにしている。これに対して全世界で搾取と収奪、抑圧に対して数千万の労働者人民がたたかいに決起している。
 資本主義と労働者階級が歴史の未来をかけた攻防の時代をむかえていると言える。だが、労働者階級のたたかいもまた多くの課題を抱えている。この歴史的な混迷をつきぬける新たな階級闘争の前進にむけて今、二〇一四年の激闘を闘おう。
 現代世界は、今大きな転換点にたっている。戦後世界体制は、帝国主義諸国の中で実質的に唯一の「戦勝国」といえる米帝の世界支配として成立した。それは同時にソ連と、戦後革命に勝利した中国をはじめとする国々に対する「反共体制」として成立した。米帝・ドルを中心とする「統一的世界市場」と軍事同盟を根拠とする世界体制である。
 この戦後体制は、ベトナム革命の勝利という米帝の歴史的な敗北とドル散布と他帝の復興による、米帝の後退のなかで危機をむかえ、「ニクソン二つの声明」によって世界的な再編期に突入する。「変動相場制」への移行は、米帝の金融力を背景とした新たな「巻き返し戦略」としてあり、後に「レーガノミックス」といわれる「新自由主義グローバリゼーション」という資本主義体制の戦後的形態からの再編に突入する。帝国主義は「弱肉強食」といわれる資本主義、とりわけ金融独占資本主義段階における争闘へと突入するのである。
 この段階は、「ソ連崩壊」と中国等の資本主義への転換をうけて地政学的に全世界へと拡大していく。金融独占資本の無政府性と暴力性は、「詐欺的」な手法を生み出し、いわゆる「リーマン・ショック」という金融恐慌を生み出した。
 この「新自由主義グローバリゼーション」の破産のなかで、米帝をはじめとして、破綻した金融独占資本や独占企業にたいして国家が資本を注入して救済するという「非常手段」をとり、大量の国債の発行と、中央銀行による買取りによって貨幣を無制限に発行するという「禁じ手」をつかわざるをえなくなっている。この結果、膨大な国家債務をかかえこみ財政危機をむかえている。
 そして、この債務の一切を労働者人民からの収奪によってのりきらんとしている。社会保障の解体、増税等をおこない、それへの反撃には国家暴力をもって圧殺するものである。この構造は、破綻したギリシャをはじめとしたEU諸国にとどまらず全世界的である。今や、現代世界はこの間の世界市場の拡大の根拠としてあったBRICsの停滞の開始をはじめとして、歴史的・世界的な新たな破綻の時代を迎えていると言える。
 戦後世界体制の盟主であった米帝の相対的後退はそのことを示している。すでに、新たな再編に突入するなかで「伝統的保守主義」を抱えて登場した安倍政権は、中曽根・小泉等の政策を引き継ぐものでしかない。米帝への追従を根拠とする国内外の政策はすでに破産を宣告されたものに他ならない。
 歴史は、レーニンが『帝国主義論』で指摘したように「死滅しつつある資本主義」としての姿を全面化している。問われているのは、次の未来を実現すべき労働者階級の国際的・国内的なたたかいなのである。このたたかいがなければ、新たな未来を決して切り拓けない歴史的な段階なのである。
 労働者階級は全世界でたたかいに起ちあがっている。新自由主義グローバリゼーションが、賃金奴隷としての労働者の現実を明確にし、ごく一部の富める者がより富を独占し、99%の下層への搾取と収奪を激化し、生存権をも剥奪している。低賃金と失業、社会保障・福祉の解体等として、世界的に貧困と抑圧が拡大している。
 これに対する世界的な反グローバリゼーションの運動が拡大した。それは、数万―数百万にもおよぶ。今やヨーロッパ、アメリカ、アジア、中南米と全世界的なたたかいとして労働者は決起している。このたたかいはくりかえされることにおいて確実に労働者の団結を国際的なものとして強化していくものに他ならない。全世界で増大する労働者は資本主義との矛盾のなかで労働者階級としての自覚を醸成していく。
 このたたかい、抵抗が資本主義との全面的な対決へと至っていないのは、国際的な共産主義―社会主義運動の決定的な立ち遅れによるものに他ならない。このことを見据えた労働運動の階級的前進こそが問われている。
 国内においては、安倍政権が登場し、日帝の危機を一大反動によって乗り切らんとしている。この攻撃と総対決し、階級闘争の前進を実現するためには新たな階級闘争構造の創出が問われている。安倍極反動政権と総対決し、新たな階級闘争構造を切り拓いていくためには、その歴史的な位置を明確にしなければならない。
 戦後階級闘争構造は、日帝の敗戦のなかでの在日の決起を契機とした戦後革命期の圧殺の上に成立した。いわゆる「終身雇用、年功序列賃金、企業内労組」という労働者支配のうえに体制内化し、戦後的社民の議会内反対派としての位置と結合した総評運動を基礎として成立した。そして、戦後復興と「高度成長」を客観的条件としながら、「戦後、平和と民主主義」をかかげた階級闘争として実現された。その中に、この構造を突破しようとする階級的労働運動や反戦青年委員会運動も生み出された。
 だが、七〇年代以降、この構造は主客の条件を喪失し、再編に突入する。戦後一貫して政権・資本によって進められてきた同盟やIMF・JCの育成、「生産性向上運動」等による労組への攻撃は、中曽根の「戦後政治の総決算」として総評の解体へ突入し、公労協の中心としての国労の「分割民営化」による解体の攻撃、「全民労協」から「総評解散・連合結成」へと至る。これによって、戦後的階級闘争の構造は終焉する。これ以降、連合は独占資本の利益の擁護者として、圧倒的多数の下層労働者を切り捨てる運動へと純化し、「新時代の日本的経営」の推進者となりはてるのである。
 そして連合は現在的には、民主党政権の破産による「保守二大政党制」自体の危機のなかで、「政労使会談」によって極反動の安倍政権と結合し、「労働組合」という装いすら脱ぎ捨て、文字どおりの「産業報国会」「大政翼賛会」として、行政権力と結合した資本の下僕、戦争動員運動へとひた走っているのである。
 このような情勢のなかで、相対的下層の労働者の政治的・経済的な矛盾と抑圧は激化している。支配階級は、すでにこの層を切り捨て、搾取と収奪の対象としてのみ位置づけている。そして反抗があれば暴力的に圧殺する体制を構築している。
 現在の国内の労働者の現状について言えば、大企業を中心とする工場の「海外移転」のなかで、製造業は中小零細が中心であり、そして圧倒的多数がいわゆるサービス産業の労働者である。約40%が非正規であり、労働者の四分の一が年収二百万円以下である。不安定雇用と低賃金、権利の解体のなかで、展望をもちえないものとして存在させられている。
 戦後階級闘争構造のなかでも基軸とされなかった中小零細の労働者こそが階級闘争の中心とならなければならない。新たな階級闘争の構造は、搾取と抑圧のなかで貧困を強制される相対的下層の労働者の分断の突破と、抵抗と反撃の開始なしには成立しない。
 自らが、多数であり、社会の主人公であることを自覚し、階級的共同性を地域から業種から一から創造していくたたかいの蓄積こそが本格的に要求されているのである。
 このことは、中小の労組の確実な組織化や、反原発や反基地等のたたかいのなかで生み出されつつある。まさにこの細流を一個の勢力としていくことが問われている。階級闘争の現段階はこのことを要求している。現実には多くの困難が存在している。労働者が労働者階級として、自らの利益とめざすべき社会を正面から掲げてたたかうことが要求されている、このことが現在の階級情勢の求めるものである。
 「産業報国会」として突き進む連合指導部と対決し、安倍右翼反動とたたかう労働運動を階級的勢力の結合による、相対的下層の利益と要求を実現する運動として、地域・職場からつくりだし、業種的に全国的に結合していくことが問われている。

 ●5章―第2節 階級的労働運動建設のための課題

 安倍政権の登場によって、貧困が拡大し、労働条件が切り下げられ、戦争国家化が一挙に進行している。これに正面から対決していくべき労働運動、それを推進する労働運動活動家もまた大きな克服すべき課題を抱えている
 第一の課題は、貧困と生活苦の蔓延のなかで、「中小企業労働者、非正規雇用労働者の組織化」というたたかいを全力で取り組むことである。
 労働組合の組織率は一二年六月時点で17・9%であり下落を続けている。われわれの主要な組織化対象であり、労働者総数の七割が働いているといわれる中小企業において、百人未満の企業での組織率にいたっては1%前後といわれている。われわれが直面しているのは非正規雇用労働者や中小零細企業労働者など、雇用と生活を維持するために労働組合が必要とされる職場において、労働組合が存在していないという現実である。
 これは戦後一貫して百人以下企業では2%を超えることはなかったことに示されるように、「二重構造」の中で日本労働運動が歴史的に敗北し続けてきた問題である。日本労働運動の歴史的敗北をのりこえ新たな成果を収めなければならないたたかいであり、一時代をかけたたたかいでありこの突破はそれほど簡単なことではない。
 もちろんユニオン運動、若者ユニオンなどのユニオン運動、全国一般による合同労組運動などが取り組まれ、個々的には様々な成果をあげている。しかし百人の労働者のうち一人しか組織できていないという現実が示しているように、貧困化の中でそれに対抗する社会的影響力のある勢力としての形成という意味で言えば十分ではない。
 その突破に何らかの新機軸はない。ユニオン運動や合同労組などによる組織化、相対的左派が存在する官公労内部における公務非常勤労働者の組織化、彼らや有力な左派労組による地域ユニオン運動の支援など、有効性が実証されているたたかいを地道に前進させていくことしかない。圧倒的に不足しているのは組織化に向けたたたかいの量である。その量の不足が有効な組織化戦術を明らかにする質を実現できていないというのが現状である。
 このように中小労働者、非正規雇用労働者の組織化の量を拡大するためには、「数の力」が必要である。現状のユニオンや合同労組の「少数乱立状態」は克服されるべき課題である。もちろん各ユニオン、合同労組にはそれぞれ、生き残りをかけた苦闘の歴史が存在しており、それは尊重されなければならない。
 しかしそれにこだわる限り、現状を突破する「数の力」を獲得することはできない。争議における共闘、様々な地域における課題での共闘を積み重ねながら信頼関係を構築し、「民間中小労働者、非正規雇用労働者の組織化」という社会的大義の実現にむけて、地域、地方におけるより幅広く強固な共闘を構築し、社会的勢力化すべく奮闘する必要がある。
 第二の課題は、地域・全国を貫いた「反グローバリゼーション、反戦・平和、貧困とのたたかい」を掲げた階級闘争構造の確立のたたかいの前進である。
 労働運動の前進の基礎は労働組合への組織化であるが、それだけではない。労働組合運動は個別資本とのたたかいだけでは、増税、社会保障・福祉、教育、医療その他、諸々の政策と法律の一挙的改悪によって、その成果すら簡単に奪い取られる。その最悪の攻撃が戦争動員である。些細な賃上げ、労働条件の改善と引き換えに戦争への労働者動員を許すならば、労働運動の未来はない。労働者は資本の戦争動員、法改悪による搾取収奪の強化に対して、個別資本の枠を乗り越えて全国的、社会的に労働者階級として団結してたたかうことを抜きに、自らの個別の利益すら守りぬくことはできない。
 同時に、労働者は被差別大衆や滞日外国人など、様々な形で抑圧され、搾取されている民衆のたたかいを重視するのみならず、自らのたたかいとして担う、という社会的役割を果たしていかなければならない。それは労働者にとっては労働者内部での差別分断支配を克服し、労働者階級としての団結を強化していくたたかいでもある。
 労働者は全国的、社会的に結合して労働者階級として資本家と国家権力に対してたたかうことを通じて、自ら新たな社会を建設する主人公へと形成していくことができる。そのためには地方・全国における階級闘争の存在とそれへの参加が不可欠である。
 新たな階級闘争構造の建設は階級闘争全体の課題であり、労働組合の課題でもある。労働組合は個別資本内部における労働条件改善だけではなく、この課題に責任を負わなければならない。主要に労働運動活動家が、労働組合がこれを実現するために大きな役割を果たすことになる。
 第三の課題は労働運動活動家と共に、「中小労働者、非正規雇用労働者の組織化」という労働組合運動上の課題、「反グローバリゼーション、反戦・平和、貧困とのたたかい」という階級闘争構造建設を、労働運動活動家建設を通じて統合的に推進し、労働運動の階級的前進を実現する革命的労働者党の強固な建設である。
 革命的労働者党は「中小労働者、非正規雇用労働者の組織化」という困難な課題を、正面から引き受けたたかいぬき、労働者階級の計画的な組織化にとって必要な経験を蓄積していくたたかいを、いくら不十分であったとしても労働者階級の眼前で主体的に推進していかなければならない。
 今日では中小労働者、非正規雇用労働者を労働組合へ組織することは非常に困難である。とりわけ地域合同労組やユニオンを新たに立ち上げ、それを維持していくことは、それを支える地域共闘や、力のある左派労組や党派活動家の存在がなければ極めて困難である。
 革命的労働者党の党員やシンパ、協力者たちが自ら属する既存の労働組合の活動としてそれを推進する、自らの職場で労組を結成し地域の総体的左派労組へ加入する、などのたたかいがなければ組織化はすすまない。もちろんのこと労働組合の結成、組織化において、労働運動全体から言えば革命的労働者党が直接、組織しえる部分は一部である。また労働組合は革命的労働者党が全面的に力量を投入して組織しようが、その主体はその労働組合の組合員である。
 しかし今ほど革命的労働者党自らが、「中小労働者、非正規雇用労働者の組織化」を推進し、いくつかの成功事例を提示し、労働者のたたかいを支援し、鼓舞・激励していく必要が高まっている時期はない。
 新たな階級闘争構造は原則的な労働組合運動と結合した社会的、政治的統一戦線として存在する。このたたかいは各々の孤立、分断されたたたかいとしては推進されない。革命的労働者党の蓄積された階級闘争の経験にもとづく努力によって、地方・全国においてその路線、戦略が明らかにされ、粘り強く系統的なオルグ活動によって多くの先進的労働者がそれを自らのたたかいとして支持し担うことによってのみ実現されるたたかいである。革命的労働者党が労働者党であると自任するならば全面的に責任を負わなければならない領域のたたかいである。
 これらのたたかいを推進していく上で、重要となる課題は革命的労働者党による先進的な労働運動活動家の建設である。
 労働運動活動家は、労働組合の組織化、日々の賃金労働条件獲得に向け、その先頭でたたかう存在でなければならない。それのみならず戦争と強搾取、強収奪によって腐敗しつくし社会を荒廃させることしかできない資本主義・帝国主義に代わる新たな社会建設の主体であることも、日々のたたかいを通じて明らかにしていく役割を果たしていく。
 「中小労働者、非正規雇用労働者の組織化」や「反グローバリゼーション、反戦・平和、貧困とのたたかい」などにおいても、様々な傾向をもつ社会的勢力との共闘は不可避である。それらの勢力の傾向にとらわれていては、組織化も新たな階級闘争構造建設もありえない。通常、原則的な労働運動勢力よりも、それらの勢力の方が社会的影響力も大きい場合が多い。このような時に決定的になるのは、労働運動活動家の存在である。彼らは、何故共闘が必要なのか、それは階級的労働運動の前進にとっていかなる意味をもつのか、共闘を維持しながらその傾向といかにたたかい、我々の側に労働者を獲得していかなければならないのかを、労働運動内部で労働者大衆に明らかにしていく存在だからである。
 今後、労働運動の未来にとって、このような任務を果たす革命的労働者党の前進が大きな役割を果たさなければならない。そうでなければ階級的労働運動の前進はない。

 ●第3節 新自由主義―構造改革、改憲―戦争国家うち砕け

 安倍政権の戦争国家化に総対決しよう!!
 二〇一四年、階級的労働運動の前進ための任務方針の第一は、まず何よりも新自由主義・構造改革と改憲・戦争国家化を強行する安倍右翼反動政権と総対決することである。
 安倍政権が十二月二十四日決定した二〇一四年度予算は、歳出総額約九十五兆九千億円と過去最大で、安倍が「強い日本を取り戻す」と言うように二年連続で防衛費を増大させ、官邸広報と道徳教育を格段に強化するものとなっている。また十二月二十三日、新設したNSC(国家安保会議)によって、南スーダンPKO(国連平和維持活動)で韓国軍に対して、現地自衛隊の銃弾一万発を武器提供する決定をおこなった。
 このように安倍は「積極的平和主義」を掲げて、自衛隊が米軍と共に世界展開できるよう、まず防衛費増額による自衛隊の再編強化をおこない、武器三原則の解禁、兵器産業の強化、解釈変更で集団的自衛権の行使に道を開き、最後には九条明文改憲をおこなうとしているのだ。
 先の十二月六日数千人の労働者人民が包囲する国会において強行成立させられた特定秘密保護法は、防衛・外交、テロ・スパイ防止を口実とするまさに「ナチスの手口」ばりの改憲・戦争国家化の攻撃に他ならない。廃止あるのみだ。
 労働法制においては、限定正社員の導入、労働時間法制の見直し、派遣労働の全面的自由化など、労働者保護法制の「完全撤廃」と生存権の解体とも言うべき攻撃がかけられている。また、「国家戦略特区」設置では、医療・教育・農業などのあらゆる規制が取り払われ、資本のやりたい放題が合法化されようとしているが、特に雇用の分野では、残業代ゼロ、解雇自由などを実質化して、労働に関する規制撤廃の突破口とすることを目論んでいる。労働法制の改悪攻撃と断固対決しよう。
 さらに、辺野古新基地建設問題では、十二月二十五日安倍首相が沖縄振興策で概算要求を上回るといいながらその実はペテン的な予算額を提示することによって、仲井真知事に公有水面埋め立ての承認を取り付けた。翌日、二千人の沖縄人民が「不承認」のカードを掲げて裏切りの知事を包囲弾劾して、絶対阻止の意思を示した。新年一月十九日の名護市長選勝利を沖縄―「本土」を貫ぬく陣形でかちとり、沖縄の総意として辺野古基地建設阻止を安倍政権に突きつけよう。沖縄をはじめ日米軍事基地の強化阻止、オスプレイ訓練飛行阻止をかかげて沖縄・岩国・神奈川・横田を貫いてたたかい、京丹後Xバンドレーダー基地建設阻止闘争に決起し、安倍政権の戦争国家化と改憲攻撃を粉砕しよう。
 十二月二十八日、韓国では国鉄労組の二十日間ストに続いて、民主労総がゼネストに突入した。ソウル中心部の「第一次ゼネスト決意大会」には十万人の労働者市民が結集して、国鉄民営化中断・労働弾圧粉砕・パククネ退陣を要求した。引き続き一月九日第二波、十六日第三波から二月二十五日国民ゼネストへと、新自由主義・民営化と強権弾圧を粉砕する政権打倒闘争を宣言している。韓国労働者民衆の大闘争に、国際主義の精神と反グローバリゼーションのたたかいで断固連帯しよう。
 階級的労働運動の組織化を前進させよう!!
 労働運動の階級的前進のための任務方針の第二は、新たな階級闘争構造の建設のためのたたかいである。
 十二月二十日首相官邸で「政労使会議」第五回会合をおこない、安倍首相と閣僚、経団連・米倉会長と連合・古賀会長らは、デフレ脱却協調と企業収益拡大を合意した。「賃上げ一致」「中小や非正規の賃上げ」はリップサービスにすぎず、連合は安倍路線推進を報国翼賛したにすぎない。そもそも、政財界が目論む雇用破壊・労働ビックバンへの導水路として政労使会議があり、連合も「五回にわたる会合を通じ、労政使がデフレ脱却と経済の好循環実現に向けた認識の共有化」を第一義に認めている。連合は、企業収益・経済成長が第一の前提であるが故に、派遣労働やTPPそして原発推進を容認し、また安保維持、自衛隊容認の立場である。圧倒的多数の中小・非正規の下層労働者の利害を代表することも実現することもできない帝国主義労働運動、報国翼賛団体でしかない。この連合路線と対決して、中小零細未組織・非正規の圧倒的多数の下層労働者に依拠した労働運動を再構築していかなければならない。
 そのためには、第一に、中小一般運動、地域合同労組において、いっそう増大し生存権さえ奪われつつある非正規労働者の組織化を強化していくことである。地域と産別職種の結合や、正規・非正規を貫いた労働者の共同性を具体的に作り出していこう。
 第二に、労働運動の全国的な結合をめざすたたかいの組織化である。最賃闘争・均等待遇実現・派遣法改悪阻止のたたかい、外国人労働者の権利のためのたたかい、あらゆる争議支援、処分攻撃とたたかう教育労働者のたたかい、反戦反基地闘争、国際的連帯活動など、労働運動の階級的な前進のための様々な共同行動・連帯共闘を求めていかなければならない。そのたたかいの一環として岩国労働者実行員会運動を支持し強化しよう。さらに具体的実践を通じて左派労働運動を強化していこう。
 第三に、全国的な労働運動の階級的転換をめざして左派労働運動指導部・活動家の交流と連携、共通のたたかいを粘り強く建設していかなければならない。その一環として、労働運動活動家全国ネットワーク(準備会)の冊子『LANN』を、経験交流誌として広げていこう。
 第四に、青年労働者の多くは劣悪な条件におかれている非正規であり、この青年たちの組織化である。次世代の労組活動家としての育成の課題である。
 二〇一三年の平均失業率4・1%がやや改善したと宣伝されているが、十五~二十四歳の完全失業率は7・1%と高水準が続き、求職を断念する「自発的理由」での離職者も増えている。十五~三十四歳の若年無業者は六十三万人で、人口比2・3%と過去最高だ。また労災認定で過労・精神疾患罹患の労災数は過去最大となり、さらに自殺者は昨年二万七千八百六十八人と約三万人の高水準が続いており、そのうち二十~三十歳代の死亡原因一位が『自殺』という深刻な事態となっている。まさに青年たちは、非正規・低賃金・就職難・貧困という負の連鎖に直面しているのだ。しかし、若者ユニオンや居場所系サークルなど、自主的で独創的な青年労働者の活動が模索されている。総評労働運動と反戦青年委員会活動を知らない世代であり、労組の団結や国際連帯の意義と確信に触れる機会がないと言えるだろう。閉塞状況の中で呻吟する青年労働者が、希望を持って未来を切り開けるように労働組合への結集を大胆に呼びかけていこう。
 第五に、先進的活動家は、革命的労働者党に結集してともに闘おう。
 昨年末の韓国民主労総によるパククネ政権打倒のゼネスト闘争への突入でソウルでの十万人規模のたたかいが続いている。この中で、非正規職の青年労働者によって昨年十一月新結成された全国「アルバイト労組」が登場して大きな注目が注がれている。「金融資本の収奪中止、非正規労働者の組織化、労働者による左派政治の出現、核廃絶・世界平和、国際連帯の実現」の旗のもとに結集している。そして韓国最低賃金が外資系カフェ珈琲一杯約五百円にも満たず、呻吟する青年労働者たちが、最賃一万ウォン(約千円)を要求してたたかっている。このように、全世界・アジアで労働者階級人民が、帝国主義グローバリゼーションと死活をかけたたたかいに立ち上がっている。階級的労働運動の発展と国際的結合の推進こそが、帝国主義の戦争を阻止し、真に労働者階級人民の未来を切り開くことができる。社会主義的確信を深め、労働運動と社会主義の結合をたたかいとろう。先進的活動家は、革命的労働者党に結集して全世界を獲得しよう。
 14春闘に勝利しよう!!
 任務方針の第三は、14春闘への総決起で、階級的労働運動の新たな前進をかちとることである。
 その第一には、全ての労働者の大幅賃上げを実現すべくたたかおう。
 この十三年間労働者の年収は六十万円も下落しているが、この四月より消費税3%増の8%が強行されようとしている。断固反対しなければならない。安倍政権のインフレ目標とされている2%と、可処分所得賃金目減り分をも考えると、これまでの生活維持だけでも5%以上の賃上げが必要な計算だ。民間中小では、月額一万七千四百円以上、時給百円以上の賃上げ要求と、全ての労働者に月額賃金十七万円以上、時給千二百円の最低保証は当然だといえる。
 そして、二〇一〇年の政労使合意である「早期に全国最低八百円確保、二〇二〇年までに全国平均千円をめざす」は、昨年十月実施の最賃が七百六十四円(全国加重平均)にとどまっており、早急に実現しなければならない。
 昨年七月発表の一二年度就業構造基本調査では、非正規労働者が二千四十二万人で全体の38・2%(うち女性57・5%)に達し、この五年間に転職者が再び再雇用されたのは59・7%である。非正規雇用はこの二十年間で16・5%増と確実に増え続けており、今や年収二百万円以下のワーキングプアが一千万人を超え、貧困化が進んでいる。このような最低賃金レベルで働く労働者や、その影響を受ける労働者は、最低賃金の引上げにむけたたたかいに全力で取り組もう。
 また、生活保護を受けている人は二百十六万人・百六十万世帯であるが、最賃引上げは、生活保護制度改悪の中で苦しむ人々や、東日本大震災で苦しむ被災者に対する連帯のたたかいでもある。
 原発事故被災地の警戒区域内の除染労働は、避難民も含めた地元の労働者や地方の出稼ぎ労働者で成り立っている。ゼネコンが設計労務単価一万五千円に上乗せされるべき危険手当(日額一万円)を、重層的下請け構造を利用してピンハネし、これが労働争議となり社会問題化した。今度はあろうことか、労基署が「危険手当プラス最低賃金(五千~六千円)」を指導して、手取り賃金が以前と変わらず合計一万五~六千円とされたままなのだ。地域合同労組に結集する除染労働者が粘り強いたたかいを展開している。また、被災三県の最低賃金引き上げ幅の抑制のみならず、「最賃特区」の設定で最賃適用除外を主張するマスコミ暴言さえあるなかで、復興連帯をかかげて最賃闘争をたたかう意義は大きい。
 第二に、消費税増税、労働法制改悪反対、社会保障・福祉制度など、法制度改悪に反対してたたかおう。
 法改正のたたかいは、企業の枠組みを越えた全国的なたたかいとして推進することが不可欠であり、同時に労働者としての団結をより強く自覚していくたたかいでもある。
 安倍右翼反動政権によって、社会保障、福祉制度の解体による企業負担の軽減、労働の規制緩和が急ピッチで進められている。また、環太平洋経済連携協定(TPP)は、十二月七日からのシンガポール閣僚会議での年内合意はひとまず先送りとなった。TPP参加はグローバル企業の利益拡大のためのものでしかなく、農漁業や国民皆保険制度をはじめとした労働者人民の健康医療と生活の安全、雇用と地域共同体を破壊するものである。
 労働法制においては、限定正社員の導入、労働時間法制の見直し、派遣法の抜本改悪など、労働者保護法制の「完全撤廃」、生存権の解体とも言うべき攻撃がかけられている。実質的な改憲攻撃に他ならない。
 国際競争力と国際的産業拠点の構築を口実にした「国家戦略特区」設置では、医療・教育・農業などのあらゆる規制が取り払われ、資本のやりたい放題が合法化されようとしている。特に、雇用の分野では、残業代ゼロ、解雇自由などを実質化して、労働に関する規制撤廃の突破口とすることを目論んでいる。特区構想を粉砕しよう。
 派遣法の改悪が、労政審とりまとめから法案化へと急を告げている。製造業派遣の原則禁止の棚上げ、「常用代替防止」原則を破棄して「濫用防止」への緩和、派遣の上限規制の業務単位から人単位に変更して労働者さえ変えれば派遣業務が永遠に続けられる、というような改悪が目論まれているのだ。安倍政権の労働法改悪は、企業利潤の確保のためだけにあり、解雇自由、労働時間規制緩和、非正社員化の攻撃を許すならば、労働者の貧困は拡大し続け、社会の荒廃は必至である。
 第三に、戦争国家化に反対していこう。
 先に強行成立させられた特定秘密保護法と国家安全保障会議(NSC)法と一体の「国家安全保障基本法」、そして労働者人民弾圧のための「共謀罪」の再上程を許すな。
 安倍政権の戦争国家化と一体の核武装にむけた原発再稼働、原発輸出を阻止しよう。
 第四に、14春闘において、大幅賃上げと生活防衛のたたかいを進め、政策制度要求、戦争国家化に対するたたかい、脱原発社会の実現にむけたたたかいを一体的に推進していこう。このようなたたかいの一体的前進をかちとりながら、労働者が貧困拡大と社会荒廃への道をきっぱり拒否し、労働者が団結して自らが社会の主人公として世界を切り開いていく偉大な一歩として、14春闘をかちとろう。
 第五に、上記の課題をかかげて、14けんり春闘全国実行委員会とともにたたかおう。
 日本の階級的戦闘的な労働組合勢力が、例年の日程より前倒しして「戦後最悪の安倍政権と対決すべく、たたかいの戦列を強固に作り上げることにした」と宣言し、十二月十四日「14けんり春闘全国実行委員会」の発足集会をかちとった。その代表幹事組合として、全労協、全港湾、全造船関東地協、民間中小労組懇談会、大阪ユニオンネットが確認された。
 実行委員会は次のように呼びかけている。すなわち、安倍首相は自ら「右翼軍国主義者と呼ばれてもかまわない」と豪語し、特定秘密保護法と日本版NSCを強行採決して、急ピッチで日本をアメリカと共同して「戦争ができる国」へと突き進んでいる。一方、日本を「世界で一番企業が活動しやすい国」にすると、大企業を優遇しながら、労働者の生活は疲弊し一部大企業の正社員労働者が潤う他は、非正規労働者は増え続け、貧困層は確実に拡大させられている。東日本大震災から復興を願い必死で働く東北地方の人々は、復興は進まず政府から忘れ去られようとしており、労働者国民の憤りは頂点に達している。14春闘、団結を固め連帯を強めてたたかい抜こう、と。
 すでに中央闘争第一派のたたかいとして、十二月十三日東京総行動と労働法制改悪反対日比谷集会デモが二千人でかちとられている。第二波は、一月二十四日からの通常国会に対する諸行動と二月中旬に経団連抗議行動が予定されている。第三波三月は、賃上げ要求ストライキ闘争、外国人労働者のためのけんり総行動、また三月八日脱原発福島現地集会からキャラバン行動と三月十五日日比谷野音集会、そして消費税引き上げ反対行動、さらに第四波四月春闘総行動デモなどが、予定されている。
 14けんり春闘全国実行委員会とともに、地域・職場から中央闘争を断固たたかい抜こう。


 ■第6章―青年運動方針

 新自由主義政策を打ち破り、未来を切り拓く青年運動を


 今、プロレタリア階級の若者たちを先の見えない不安と苦痛が覆っている。
 それは、日本において九〇年代以降に強まった新自由主義的発想からくる弱者切り捨ての経営への転換、経済戦略の犠牲が若者に集中、集積され、一方で、それを自分たちではどうすることもできない運命であるかのように若者自身が受け止めている結果だといえるだろう。私たちは今こそ、未来への希望となる若者たちのたたかいをつくり上げていかなければならない。

 ●6章―1節 労働者階級の若者たちを覆う先の見えない不安と苦痛

 ▼6章―1節―1項 生存競争


 新自由主義政策が若者の雇用を縮小・不安定化させ、社会保障を切り崩していく中で、若者たちは明日への安心材料を失ってしまった。日常は、親世代やメディアが描き教えてくれた「フツーの生活」を得るため、日本社会に新たに現れ始めている絶対的な貧困の生活に陥らないための生存競争の場に変わってしまった。若者たちは受験競争や就活競争、職場内部での競争など、生存をかけた競争を長期にわたり強制されている。
 今日、安定した職に就くチャンスと厳しい社会を前にしたモラトリアム期を得るために、若者の半数以上が大学進学している。だが、卒業時期を後ろ倒ししても、今日の大卒者(二〇一三年春卒業)の正規採用63・2%、非正規7・1%で、就職も進学も決まらず卒業しニートとなるものは20・7%と大変な状況だ。大学院などへの進学率は13%だが、就職が決まらず就職浪人として進学を決めるものも多く含まれる。また正社員になれたとしてもブラックな企業は山ほどあり、離職率も高い。もはや大卒者イコール安泰という状況にはない。もちろん、大学進学・卒業すらできなかった若者たちの大多数が相対的下層に追いやられ、苦しい生活を強いられている。
 こうした厳しい競争は若者の中に勝者と敗者を決めるための場でしかなく、むしろ、大学産業や社会のあらゆる資本によって雇用の不安定化に恐怖する若者たちが貪り食われる餌場をつくり出している。二〇一〇年度の大学学部生の学生ローン借入者は50・7%と学生の半数を超えた。二〇一〇年度末時点で百二十三万千三百七十八人に総額一兆百十八億円の学生ローンが貸し出されている。これが若者個人の背負わされる借金となり、働くことへのプレッシャーや日々の生活の負担となって若者を苦しめる。今日では十五~二十四歳の若者の二人にひとりが非正規雇用労働者であるが、その一因は学生アルバイターの増加にある。飲食チェーンやコンビニなどは最賃か最賃以下で学生バイトを働かせ、若者から搾取することによって儲けている。これらの在り方を、若者を食い物にする貧困ビジネスと言わずしてなんと言おうか。

 ▼6章―1節―2項 競争の「敗者」たち

 生存競争に「敗れた」若者たちは、失業者となり、ニートとなり、ワーキングプア(≒非正規労働者)となる。その数は、最新の「労働力調査」(二〇一三年十月)によれば、十五~二十四歳の完全失業率6・5%、二十五~三十四歳失業率5・2%。十五~三十四歳のニートが約六十万人で2%。非正規労働者の男女計が十五~二十四歳(在学中を除く)31・0%、二十五~三十四歳27・2%である。これら統計上の数字を合わせただけでも、少なくとも若者の四割近くが失業か半失業状態に置かれていることが分かる(さらに、その背後には数字に現れてこない多くの働けない若者がいる)。こうした若者たちは、職のない状態か職があっても単純作業の繰り返しばかりで、労働者としての様々な経験を積む機会さえ失っている。そのため、不安定な労働者の位置から抜け出すことが難しく、その位置を生涯に渡り固定されていく。
 しかし、失業者やニート、非正規労働者の若者たちが即、絶対的な貧困状態に陥っているわけではない。失業者やニート、非正規労働者の若者たちの内の少なくない数が、ほどほどに安定した収入のある親家族によって支えられている。この構造が、若者のニート化やひきこもりを可能にしているともいえるが、そこには親とのいざこざやストレスも当然生まれる。親から独立できない情けなさも抱えている。しかし、ここにいる若者たち個人の独立の自由意思は経済的困窮と家族制度によって吸収され、依存を強制されている。そしてこの搾取の隠ぺいのための構造は、「家族の大切さ」を連呼する政治家たちによって故意に作り出されている。
 家族制度に吸収され、依存させられる若者たちがいる一方で、そうした依存する先すらない若者たちが、もっとも雇用の不安定化の犠牲を受けている。貧困な家庭や、ネグレクトした親を持つ家庭など出身の若者たちは、家庭に教育費の負担を負わせる現在の教育制度の下では学歴が低くなってしまう傾向が強い。知識や技術を身に付ける機会が乏しく、学歴差別が存在する状況の中では、その重いハンディーを抱えながら生存競争を勝ち抜くことは非常に困難である。そして、失業やワーキングプア状態に陥ったとき、家族というセーフティーネットもなく、絶対的な貧困に陥る。若年ホームレスやネットカフェ、マック難民、脱法ハウスやゼロゼロ物件の被害者などとして社会に現れる若い絶対的貧困者たちは、そんな階層の出身者たちだ。
 本来、正しく生活保護制度が機能しているならば、若者たちにも堂々と生活保護を受ける権利はある。若者の雇用の不安定化や貧困は、資本家の活動や政治家の政策による、弱者たる若者への明確な切り捨て政策の結果だ。しかし現実には若者たちは、「若い」ということを口実に窓口で締め出されたり、家族に依存することを強制されたり、流布する自己責任イデオロギーやバッシングへの恐怖感によって、社会の最後のセーフティーネットからさえふるい落とされている。

 ▼6章―1節―3項 若年女性への表れ

 女性たちには、不安定な雇用の影響は別の形で現れる。若年女性の非正規割合は15~24歳(在学中を除く)で35・0%、二十五~三十四歳で40・5%だ。女性の場合は世代が上がるほどに非正規率が高まるのだが、それでも若年女性の非正規率は、男性のその割合より圧倒的に高い。これほどまでに、女性に差別的な非正規労働が激しく押し付けられているにも関わらず、その搾取の実態は見えにくい。それは女性が妻として、家計の補助的な担い手として、家族制への帰属を強制させられるためである。しかし女性たちの貧困は、体を売るセックスワーカーやDV被害を受けても家庭に留まろうとする妻、仕事を掛け持ちするワーキングプアな母子家庭の母親の姿になったとき、その構造の輪郭を社会に浮かび上がらせる。近年では若年女性たちの専業主婦願望が高まっているという調査結果もある。厳しい雇用情勢が若い女性たちに男性への依存を高め、女性の真の解放への意識を奪っている。

 ▼6章―1節―4項 蝕まれる若者たち

 こうした若者たちが置かれる全ての場面で、若者たちは不安や恐怖、苦悩と絶望を抱えている。競争は若者を利己主義に走らせ、個々の関係を分断し、孤立させ、友人同士が助け合うことを許さない。しかし、資本家や政治家たちがばらまく「自己責任論」はこんな悲劇的な状況を可能にする。少なくない若者たちがこのイデオロギーを内在化させ、同世代の友人たちが転落していく姿や、自らの苦しい状況、そこへ追いやる競争そのものをも肯定してしまう。一方、「失敗」した自分自身を否定し、激しい攻撃性を内部に向ける。今日の若者を取り巻く状況は、若者たちから自尊心を奪う。そして、労働や社会への参加を拒絶し、ひきこもる若者たちや自ら命を絶つものさえ生み出していく。こうした現われは、今日の社会に対する若者たちの無言の叫びなのである。

 ●6章―2節 何が若者たちを追い込んだのか

 ▼6章―2節―1項 切り捨てられた弱者としての若者たち

 若者たちへ先の見えない不安や日々の苦痛が集積されはじめたのは、バブル崩壊後の〈第一次〉就職氷河期の時代である。この頃、資本家たちはバブル崩壊による危機から資本を救うことを第一の目的に、様々なリストラ策を講じていた。その中では、好況期には手厚く保護し、囲い込んできた労働者の削減策も打ち出された。しかし、長年企業に仕えてきた労働者たちには働き続ける権利があり、彼らの首を切るのは容易なことではない。そのために資本家たちが取ったひとつの大きな労務政策は、「労働者の権利」からはみ出す、労働市場への新規参入者たる若者たちの受け入れを拒否する策であった。そして一九九三年頃から新規学卒者の正社員としての採用抑制は断行されていった。
 同じ頃、日経連(現、日本経団連)により『新時代の「日本的経営」―挑戦すべき方向とその具体策』(一九九五)が示された。その中で資本家たちは、正社員を中心として長期雇用慣行や年功賃金制を支柱としてきた日本的雇用政策に対し、経営者が行なうべき二十一世紀型雇用戦略として、【①長期蓄積能力活用型、②高度専門能力活用型、③雇用柔軟型】の三つに分化した雇用形態を提示した。それは資本家による、一部の安定した正社員と、大量の切り捨てできる有期雇用労働者・非正規労働者輩出の宣言であった。政治家たちはこの資本家たちの提言に沿い、労働者派遣の原則自由化に代表される、雇用の流動化・不安定化のための規制緩和を打ち出していった。
 労働市場の弱者たる若者たちはこうした資本家らによる明確な戦略によって、雇用柔軟型の不安定な非正規労働者になることを迫られ、今日、拡大する格差の下層部に追いやられてきた。
 未来ある若者を襲った貧困は社会の注目を集め、政府には対策が迫られたが、彼らは本気で解決する気などない。「自己責任論」や「資本主義と競争の必要性」を喧伝しながら、「雇用のミスマッチ」対策や「インターンシップ」の推進など、小手先の対策に留まるパフォーマンスを繰り返すばかりだ。彼らが本気で推進したがっているのは、「解雇特区」の設置をはじめ、さらなる労働者の権利の切り崩しの方だ。部落出身者や沖縄出身者、在日韓国朝鮮人・外国人、女性、途上国の労働者らをこれまで雇用の調整弁に使い、強搾取を行ってきた彼らにとって、若者は新たな強搾取のターゲットに過ぎない。
 こうした若者切り捨ての状況は、新自由主義の蔓延する世界各国でも起こっており、若者の失業者が世界にあふれている。

 ▼6章―2節―2項 左翼運動の弱さ


 今日、様々に形をかえた資本主義・新自由主義の犠牲が若者に集積され、確かに苦痛を感じている若者は大勢いるのだが、しかし、たたかうものは少ない。消費行動によって日々のストレスや資本主義への憎悪を発散させているものもいれば、現状に諦めを覚え、無気力の中に置かれているものも、矛盾の中で「心の病」を抱えるものもいる。
 こうした背景の一つには、日本における左翼運動の弱さがあることを認めなければならない。ソ連崩壊とともに左翼運動が弱体化し、新自由主義が席巻する一九八〇年代~二〇〇〇年代に今の若者たちは育った。若者たちは、「ソ連の崩壊=共産主義は失敗・悪+競争は必要・資本主義が絶対」といった公式を子供の頃から頭に刷り込まれてきた。階級的労働運動が弱体化する中で、本当に貧しい労働者たちが立ち上がりたたかう姿を、目にし、実感することもなかった。今日の若者たちは、日常感覚の中で、労働者自らが立ち上がり、団結して現状を変えていくという生き方を知らない。多くの若者の目の前には、生存競争を必死でたたかい「勝ち組」になるか、「敗れて」悲惨な生活を送ることを受け入れるかという二つの選択肢しか存在しない。そして、それが運命であるかのように受け止め、孤独の中、未来に希望を見いだせずにいる。
 しかし、まだまだ少数派ではあるが、ここ十年の間、若者たちのたたかいの萌芽も生まれている。都市部には若者系ユニオンや若者の貧困問題を扱うNPOが生まれている。「生きさせろ」デモなど、今日の若者たちの困窮を訴え、生存権を求めるデモも繰り広げられている。3・11以降には反原発デモへ、初めてデモ参加するという若者たちも現れ、つい先日の秘密保護法反対デモでも若者たちが声を上げている。こうした希望を私たちは次のたたかいへと繋げていかなければならない。そして、若者たちのたたかいのなかでこそ、新たな左翼運動、共産主義運動を作り出していかなければならない。

 ●6章―2節―3項 希望となる若者自身の闘いをつくり出そう

 私たちは、若者たち自身の自己解放闘争を組織しなければならない。新自由主義の犠牲を一身に受ける若者の苦悩を、たたかう怒りへと転化させなければ若者に未来はない。まだまだ多くの若者たちが、自己責任イデオロギーが蔓延する中で個々に分断され、沈黙を続けている。若者たちが置かれているのは、物質的・絶対的貧困ばかりではない。人間関係・社会関係の貧しさや、依存を強いられ、自らに尊厳を持てないでいる。そうした物心両面の貧しさからの解放のたたかいを組織しなければならない。
 今日のたたかいには、私たちの今持つ条件や、社会的条件を活かしながらの様々な組織化の模索が求められている。若者の中にもある階層差――絶対的貧困層や非正規労働者層、女性や学生などなど――、それぞれに対応した質のたたかいをつくり、またそれを結合させていく努力が必要である。喧伝される自己責任イデオロギーに対抗する声を発信し続け、分断され、尊厳を奪われた若者たちの結合と尊厳を取り戻す取り組みも欠かせない。そうした努力の中で私たちは若者の自己解放闘争を組織していく。
 そして、私たちはそのたたかいを、資本主義そのものを変革するたたかいへと高め上げなければならない。若者をはじめ、全ての労働者階級の真の解放のためには、「ましな資本主義」のように誰かを差別し、それを踏み台にし続ける社会であってはならないはずだ。若者こそ、資本主義・帝国主義に対する政治闘争に立ち上がろう。戦争や基地に反対するたたかい、原発政策を推し進めようとする資本・政府へのたたかい、反貧困闘争、これらすべてのたたかいのなかで、共産主義を今日の若者たちの希望として示していくことこそが、私たちのもっとも重要な役割だ。私たちは全ての被差別大衆、たたかう労働者との連帯、プロレタリア国際主義に貫かれたたたかいを維持・発展させ、勝利するまでたたかい続ける。


 ■第7章―学生運動方針
 

 日帝―安倍政権打倒 学生運動の再建かちとれ

 日帝安倍政権は「戦争のできる国家」への再編を「数の力」をもってゴリ押ししてきている。
 日帝・安倍は、昨年末日本版NSC法案、それと一体の特定秘密保護法案を、民衆の反対運動に一切耳を傾けることなく強行成立させた。さらには次期国会での共謀罪新設までもくろんでいる。政権与党へと返り咲いた自民党による、反動的巻き返しの本格化がついにはじまったのだ。
 だがしかし、昨年夏の参院選での「圧勝」なるものは、小泉構造改革以降の戦争と大失業(失われた二〇年)からの変革を希求した民衆を終始裏切り続けた民主党への拒絶の結果であって、自民党が支持されたわけでは決してない。また、有権者の約半数という極めて低い投票率(52・61%。戦後三番目に低い)は、議会政治にたいする民衆の絶望感の表れに他ならない。
 何らの民意も反映しない議会の空洞化と、行政権力の肥大化、民衆的コンセンサスの完全な無視・否定が進行している。福島をはじめとする被災地住民への棄民化、特定秘密保護法案の拙速審議・採決強行、沖縄「県」自民党に対する石破の恫喝・辺野古移設「容認」の強要、生活保護切り下げの強行など、安倍右翼反動政権の反人民性は数え上げればキリがないほどだ。
 公明党は安倍政権暴走の「歯止め役」としては何らの役割も果たしはていない。一方で増税攻撃、労働者派遣法改悪、生活保護法改悪など、大衆収奪激化と戦争国家化へむけた社会のファシズム的再編に対する人民の憤激が広範に巻き起こりはじめている。
 共産主義青年同盟(学生班協議会)は、これら労働者階級人民の憤激と固く結合し、これを安倍右翼反動政権に対する総反抗戦として組織し、安倍右翼反動政権打倒をかかげ、労働者階級人民の先頭たってたたかいぬく決意である。

 ●7章―1節 大学生の置かれている現状

 現在日本には七百八十大学と約二百九十万人の大学生が存在している(二〇一二年文科省学校基本調査)。二〇一〇年(52・2%)を頂点に若干の減少傾向にはあるが、大学進学率は50%以上の水準(二〇一三年で50・8%)で推移している。減少傾向にあるのは親の経済的困難により大学進学をあきらめざるを得なかった層が増大した結果と推測される。ともあれ、すでに十八歳人口の二人に一人以上は大学生なのだ。
 一口に大学生といっても、そのありようは極めて多様なものとなってきている。
 大学生は東大・京大など少数のエリート・インテリゲンチャ的な層を頂点に、技術・資格習得のための職業訓練学校的性格の極めて強い大学の学生層までも含んでおり、重層的な階層構造を形成している。
 小泉政権以降の新自由主義的構造改革による階級間不平等(「格差社会」という表現の一般化)の拡大、労働者階級の雇用形態の変化によって、現在多くの大学生が、たとえ卒業できたとしても、正規雇用になれるとは限らない状況に置かれている。
 マスコミでは「アベノミクス効果」によって、新卒採用が回復したと喧伝されているが、それらはほんの一部の大企業にしかすぎない。
 ここ十年ほど、いわゆる「新卒無業」は卒業生の二割近くで推移しており、基本的な構造は変わっていない。一部エリート層を除く大半の学生は、いまや使い捨ての労働力商品予備軍としての性格を一層濃くしている。
 もはや学生の圧倒的多数である、将来の相対的下層労働者階級=不安定雇用予備軍は、ほぼ同数の割合を占める若年労働者階級と同一の環境におかれているといって良い。学生を含む一五~二四歳の若年層の非正規率は、すでに50%近くにまで上昇している。
 大学当局は、キャリアセンターなどを通して、入学当初より「就活」という名の生き残り競争に学生を駆り立てている。あたかも「就活」が学生生活の唯一の目的であるかのような学生への刷り込みを授業・その他の機会を通じて不断に行い、学生のその他の選択肢をあらかじめ遮断してきているのだ。
 山梨学院大学長・理事長の古屋忠彦は「大学が就職予備校化するのは、堕落でもなんでもない。経営を成り立たせ、大学を存続させるには、求められる人材育成は当然です。大学は社会や学生からの期待と信頼に、確かな形で応えなければならない」(12・18朝日新聞朝刊)と公言している。古屋のここで言う「社会」とは「資本」と読み替えて理解すべきだろう。
 しかし現実には、正規雇用の絶対数が年々減少しており、どんなにがんばっても正規職になれない新卒者が一定数存在せざるを得ない構造となっている。エントリーシートを五十社以上送っても一社も内定が取れないといった例は就活生にとって、もはや珍しくもない状態なのである。
 そして、新自由主義的イデオロギーとしての「自己責任論」が社会に浸透している中で、内定が取れないのは自己の能力不足のせいだと自分を責め、将来への希望を喪失する学生が広範に生み出されている。
 自殺対策に取り組んでいるNPO法人が、就活生を対象に昨年実施したアンケート調査では、二割もの学生が就活中に「死にたい」と考えたと回答していることが明らかとなっている。実際にも「就職失敗」を理由とした大学生の自殺は〇七年十三件、〇九年二十三件、一〇年には四十六件というように就活を苦にして自死をする学生が確実に増加してきているのだ。
 また、いまや社会には「ブラック企業」が社会問題化するレベルで横行している。サービス残業・実現不可能なノルマなど過酷労働を強制され、無理をすれば、「うつ」や過労死という状況に叩き込まれる。たとえ正社員になることができたとしても、それが安定した収入や職場環境である保障など全くない。たとえ高卒や大卒で新卒就職しても、およそ三割が三年後に離職せざるを得ないという厳しい状態に置かれているのだ。

 ●7章―2節 深刻化する学生の貧困化

 親が労働者階級の相対的下層に属する学生の貧困化が顕著となっている。日本学生支援機構の奨学金利用者は現在、およそ百三十二万人で、ほぼ三人に一人の学生がこれを利用していることになる。
 一九九九年からは、長期大不況の影響で親の経済力が低下し、借り入れを希望する学生が増加したことをもって、それまで無利子が主流だった奨学金から、支給額を大幅に増やした有利子の奨学金が導入された。これを契機に有利子の奨学金が現在は主流となっており、現在その割合は有利子が七割を占めるに至っている。
 しかし、賃金抑制、非正規化など雇用環境の悪化、学費の高騰などによって返済が滞る者が続出している。その数は、この一五年で二倍以上の三十三万人となり、滞納額は九百二十五億円にのぼる。
 奨学金の返還相談センターには、病気や失業のため返済できないといった深刻な問い合わせが、毎日約三百件も寄せられているという。
 返済が滞ってしまうと、年率10%の延滞金が発生する。そして延滞が九ヵ月以上つづくと簡裁に支払い督促が申し立てられ、異議がなければ財産差し押さえを受け、異議があれば訴訟に持ち込まれる。
 訴訟への移行件数は〇四年度で五十八件だったが、機構は〇九年度より民間金融機関の手法を導入し、救済措置を講ずることなく容赦ない取り立てに方針転換した。
 その結果、訴訟移行件数は四千二百三十三件に激増し、昨年度には六千百九十三件と、〇四年度の実に百六倍に達しているのだ。
 これではもはや奨学金ではなく、むしろ学生ローンといった方が正確である。ここにおいても新自由主義と「自己責任論」が貧困層にあたえる酷い実態を見て取ることができる。
 大学における学生管理支配も依然として強化されている。自己責任論が蔓延し、就職競争にかきたてられることを背景に、学園における政治活動をはじめとする、自主・自治活動はさまざまな面から規制されている。
 しかし、これら「就活」に象徴される、就職予備校化の著しい大学に対して疑問を抱き、その原因が社会にあるのではないかと直感する学生が生み出される客観的条件は、情況の過酷さ故に確実に増加してきている。
 また、反原発闘争、特定秘密保護法反対闘争、民族排外主義反対闘争など、さまざまな政治闘争にたちあがる学生も拡大しはじめている。
 われわれは、これらを階級闘争と共産主義運動の側へと粘り強く組織していかなければならない。
 そして、新自由主義とそのイデオロギーである「自己責任論」と対決し、労働者・被抑圧人民の自己解放闘争と結合した学園での粘り強いたたかいを形成していかなければならない。
 われわれは一三年、全国各地において反帝国際主義派学生戦線として、広範にたちあがる民衆とともに反原発闘争、反戦・反基地・反安保闘争、国際連帯闘争に取り組んできた。
 また各拠点大学において、これらの政治キャンペーンと学生の組織化を進め、組織的な前進をかちとってきた。
 同時に、これらを学内管理支配強化の攻撃に抗して、学生の自治・自主活動を守りぬくたたかいと一体のものとして取り組んできた。
 いまや多くの大学においてビラまき・情宣への当局の規制・介入、教室使用にかんする使用制限が常態化しており、政治活動の自由の獲得、学生へのさまざまな手段を通した呼びかけの回路を創造していくことじたいが、日帝および大学当局との熾烈な攻防となってきているのである。
 大学の新自由主義化による「就活」熾烈化、そのイデオロギー的背景としての自己責任論の蔓延というなかで、学生は個に分断されている。このような状況下で多くの学生が政治や社会に目を向ける余裕すらなくなっており、情況はかつてなく厳しくなっているが、われわれは、この情況を学生が団結し、たたかえば変革可能であるということを粘り強く呼びかけ続けていかなければならない。
 すでに就活、学費、奨学金などをめぐって、あらたな学生の取り組みが開始されてきている。われわれはこれらとの共同行動を追求し、学生の団結を促進しながら、総貧困化と対決していかなければならない。

 ●7章―3節 反帝国際主義潮流牽引する学生運動の再建かちとろう

 共青同(学班協)の二〇一四年任務方針は、第一に原発再稼動阻止の決戦的たたかいへと立ち上がることだ。
 安倍右翼反動政権は、いまだ十五万人以上の被災地住民が避難を余儀なくされ、また高濃度汚染水が海洋へと垂れ流されているにもかかわらず、原発再稼動を強行しようとしている。経済産業省は昨年十二月六日、エネルギー基本計画の素案において、民主党政権時のゼロ目標を撤回し、原発を「重要なベース電源」であり「安全性が確保できた原発は再稼動を進める」と明記した。徹底弾劾しなければならない。
 原発再稼動阻止のたたかいは、ひきつづき全人民的政治課題として全国的に広範な陣形を維持・発展させながら、継続して取り組まれている。
 一昨年大飯原発再稼動阻止闘争でたたかいぬかれた実力的決起を先頭にして、再稼動阻止の広範な全人民的な決起は持続し、各原発立地の反対運動のネットワークを強化・発展させてきている。この力こそが再稼動を阻止しつづけているのだ。これら広範なたたかいの継続的発展は、昨年九月の大飯原発の検査停止により、原発ゼロ稼動を再度日帝ブルジョアジーに強制してきた。
 原発再稼動の根拠であった電力不足キャンペーンは、日帝政府とブルジョアジーのデマであることがもはや明白となっている。
 そして何よりも、高濃度汚染水漏れなど、放射能汚染の極めて深刻な事態が次々と明らかとなっているにもかかわらず、日帝安倍は二〇年東京オリンピック誘致のため「完全にブロックされている」などというデマを全世界にふりまき続けているのだ。
 政府・東電による柏崎刈羽、伊方、川内、大飯などでの原発再稼動のもくろみを、現地実力決起と結合し、絶対に阻止していかなければならない。政府・東電は福島をはじめとした住民への被曝を強制しつづけている。福島においては、すでに甲状腺ガンの疑いを持つ十八歳未満の子供が二十五人にのぼっている。本人・家族に被曝の恐怖を与え続けながら、その声に一切耳を傾けることなく、自らの利益のためにのみ原発再稼動を強行しようとする政府・東電の反人民的本質を徹底弾劾し、その責任を追及し続けていかなければならない。
 全国各地で原発再稼動阻止闘争に決起していこう。原発再稼動を強行せんとする安倍右翼反動政権打倒をかかげ、三月反原発大闘争に全国から総決起せよ。
 第二にわれわれは、改憲・戦争国家化へと突き進む安倍右翼反動政権への総反抗戦を組織していかなければならない。
 昨年末、特定秘密保護法案強行成立をめぐって、国論を二分する論議が巻き起こった。十二月六日の国会会期末まで極めて短期間であったにもかかわらず、反対運動は燎原の火のごとく全国に燃え広がった。数万の人民による国会包囲をはじめ、全国各地で成立阻止闘争がたたかいぬかれた。
 それらは自民党幹事長・石破茂による「デモはテロ行為」などの、立ち上がる労働者人民への危機感と憎悪をむき出しにした本音を引き出すほどに高揚した。
 また、形ばかりのアリバイ的な地方公聴会が福島市において強行されたが、与党側を含めた七人の公聴人全員が慎重審議や廃案を主張したのである。世論調査結果においても圧倒的に反対が多数派をしめた。にもかかわらず安倍右翼反動政権は、これらを一切無視し、国会での「数の力」のみをもって強行成立させたのである。
 特定秘密保護法案と日本版NSCは一体であり、その本質は集団的自衛権を行使できる体制づくりだ。米軍と自衛隊が一体となった海外派兵=共同軍事作戦を展開するためのものだ。
 集団的自衛権行使容認から、九条改憲攻撃へとつきすすむ日帝安倍政権の戦争国家化を阻止しよう。
 第三に、差別排外主義攻撃と断固として対決していこう。在特会はじめとするファシスト集団を社会的に包囲・解体するたたかいを、反帝国際主義派の責務として昨年にひきつづき実力的にたたかいぬいていこう。
 在特会は、安倍政権の別働隊として民族排外主義的扇動を行なっている。昨年より新宿・大久保などを標的にし「日韓国交断絶」を掲げ、「韓国人を皆殺しにしろ」などというむき出しの排外主義を特徴とするヘイトスピーチデモを繰り返してきた。
 これに対する反対行動が民衆の広範かつ実力的なたたかいとして巻き起こり、排外主義デモに抗議する人民が排外主義集団を逆包囲するなど、大きな社会的注目を集めてきた。このような民衆の立ち上がりの結果、排外主義デモは新宿・大久保などにおいて一定鎮静化してきている。
 しかしこのかん右派メディアによる領土・領海問題を利用した反韓国・中国キャンペーンが吹き荒れている。とりわけ週刊紙などが反韓国、反中国煽動を強めてきている。
 在特会をはじめとする排外主義集団は、安倍の戦争国家化と連動し、閉塞感を持つ青年層を排外主義的に組織しようとしている。
 日本軍「慰安婦」問題をはじめとした、戦後補償要求運動に取り組み、歴史修正主義とのたたかいを強化していこう。
 第四に反戦・反基地・反安保闘争に決起していこう。沖縄・神奈川(横田)・岩国貫いた反基地闘争に決起しよう。
 日帝政府は、昨年十二月十七日の国家安全保障会議(日本版NSC)と閣議において、外交・安全保障政策の指針「国家安全保障戦略」(NSS)と、新たな防衛大綱、中期防衛力整備計画(中期防)を決定した。
 これらにおいて安倍政権は、集団的自衛権の行使容認を前提にした自衛隊海外派兵の拡大(「積極的平和主義」)をもくろんでいる。さらには武器輸出の解禁へと踏み込もうとしているのだ。
 新防衛大綱においては「節度ある防衛力を整備する」という表現を削除し、「実効性の高い統合的な防衛力を効率的に整備する。防衛力の質および量を必要かつ十分に確保する」として、軍事費増強路線を明確にしているのだ。
 中期防では、一四年度から五年間で欠陥機オスプレイ十七機の配備、無人偵察機三機導入が明記されている。また、離島奪還作戦のための「水陸機動団」創設が画策されている。
 沖縄においては一三年のオスプレイ配備阻止闘争にみられるように「オール沖縄」と表現される、保守層をもまきこんだ全島的な反基地決起が高揚した。これは本質的には沖縄―「本土」の歴史的差別構造に対する沖縄人民の自己解放的契機を孕んだものということができる。
 日帝はこれら沖縄人民の全島的決起に対して、釣魚諸島(日本名「尖閣諸島」)など領土・領海問題を最大限利用して中国の軍事的脅威を煽動し、在沖米軍基地の維持を正当化しようとしてきた。さらにはファシスト別働隊としての「がんばれ日本!行動委員会」(=田母神グループ)や、在特会などを利用し、昨年一月の沖縄全市町村長によるオスプレイ配備撤回直訴行動に対して「国賊」「売国奴」などの悪罵を投げつけ、全面的な敵対・破壊を行ってきたのだ。
 それでも屈服しない沖縄人民に、今度は自民党幹事長石破が露骨な恫喝を強行した。沖縄人民の総意としての基地撤去・「県」外移設の要求を公然たる恫喝によって分断・解体し、沖縄人民に米軍基地永続化を強制する石破に対して、沖縄人民はこれを新たな「琉球処分」として徹底弾劾の声を上げている。
 われわれは沖縄反基地闘争への連帯を「本土」労働者階級人民の階級的責務としてたたかいぬかなければならない。
 昨年十二月二七日、仲井真沖縄知事は、辺野古新基地建設容認の大裏切りを行った。徹底弾劾しなければならない。沖縄人民はすぐさま猛然たる抗議のたたかいに立ち上がっている。
 基地反対派の稲嶺名護市長選挙闘争に勝利し、辺野古新基地建設阻止闘争に断固として立ち上がっていこう。
 沖縄―「本土」をつらぬいて、米軍基地再編攻撃と断固としてたたかいぬいていこう。
 第五に三里塚農地法決戦に行動隊を先頭として決起しよう。千葉地裁による農地法裁判不当判決を弾劾し、東京高裁での控訴審闘争に決起せよ。急逝した反対同盟事務局次長萩原進さんの遺志をひきついで三里塚闘争の勝利まで陣形を堅持してたたかいぬこう。三月二十三日全国総決起集会に全国学生は決起せよ。
 最後に、これら一連の政治課題を全人民の先頭でたたかうなかから、反帝国際主義派学生戦線の組織的強化をたたかいとろう。日帝安倍の戦争国家化の全面化、就活の熾烈化と学生の貧困の拡大、在特会などファシスト勢力の公然たる登場に対し、これらを打ち破る共産主義者の青年・学生運動の再建は急務である。全国に共青同(学班協)の拠点を建設していこう。

 

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