共産主義者同盟(統一委員会)


1428号(2013年12月5日) 政治主張






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  秘密国家、戦争国家に突進する安倍・石破打倒!

  Xバンドレーダー基地建設阻止

  派遣法改悪阻止! 解雇自由特区粉砕

  辺野古「埋立て承認」するな!





 全国の労働者、学生、市民のみなさん!
 安倍政権は戦争に突き進む戦争国家化内閣としての本質を前面に打ち出す攻撃を行っている。安倍政権の攻撃に対して総反撃していく闘いをさらにつくりだし、安倍政権打倒の闘いを切り拓いていこうではないか!

  ●第1章 戦争体制づくりの国家安全保障会議

 安倍政権は、国家安全保障会議設置法案を十一月六日の衆議院国家安全保障会議特別委員会で可決させ、七日の衆議院本会議で可決させた。十一月中には参議院での可決、成立を目指している。
 この法案の主旨は、首相・内閣官房長官・外務大臣・防衛大臣からなる「四大臣会合」を中心に据えた国家安全保障会議を内閣に創設し、この下に外交・安全保障の政策決定、執行を一元化できる形をつくるということだ。戦時を想定し、その国家指令部を創設するものであり、安倍が想定する戦争のできる国家の中軸に位置する機関である。現在、防衛問題に関しての議論を行っているのは安全保障会議であるが、閣僚九人による意思決定を国家安全保障会議においてはさらに迅速化するとしている。
 日本版NSCといわれる国家安全保障会議のモデルとなるのは、アメリカ国家安全保障会議(NSC)である。このNSCは一九四七年に国家安全保障法によって創設されたものであるが、これと同時にアメリカ軍の陸軍、海軍、空軍、海兵隊の四軍を傘下におく国防軍事を統括するアメリカ国防総省(通称ペンタゴン)と、第二次世界大戦中のアメリカ軍防諜機関情報調整局(OSS)を前身にもつ中央情報局(CIA)も設立されている。
 朝鮮戦争後の状況において、NSCは、日本とアメリカがMSA協定(日米相互防衛援助協定)を結び、アメリカが日本に対しての経済援助を行うことを口実に軍事部門における増強を図ることを主導したのであった。朝鮮戦争時にGHQのポツダム政令を受けた日本政府は警察予備隊を設置し、その後保安隊に改組された警察予備隊と海上警備隊を統括する保安庁が設置される。MSA協定が制定された後、自衛隊、海上自衛隊、新たに航空自衛隊が創設されている。
 直接的間接的に侵略反革命戦争を行ってきたこの米帝「戦争司令部」との共同作戦を企図する安倍政権は、名実ともに日本版の「戦争司令部」をつくろうとしているのだ。
 安倍政権は自民党改憲草案に見られるように、自衛隊の「国防軍化」、集団的自衛権行使容認、九条改憲によって、自衛隊と米軍が戦争を共同で行いうるものにしようというのだ。
 この日米帝の戦争体制をつくり出す国家安全保障会議設置法成立を絶対に許してはならない。

  ▼第1章―1節 秘密保護法を粉砕せよ

 特定秘密保護法案は十一月七日に衆議院での審理が開始され、拙速審議で十一月二十六日、衆議院本会議での採決が強行された。この特定秘密保護法案は戦争国家化、人民監視抑圧の戦争策動、治安弾圧立法である。安倍政権は「国家の安全に関わる秘密の漏洩を防ぐ管理体制が不十分だ」としてこの法案を成立させようとしている。
 法案において、特定秘密とされる対象は「防衛」「外交」「特定有害活動の防止」「テロリズムの防止」に関する情報である。その上で、内閣の管轄にある特定行政機関の長が、国家公務員法上秘密とするものを指定、管理しするというものだ。
 しかし、特定行政機関が「特定秘密」に指定した情報を取り扱うものに対しては「適正評価制度」を導入するというのだ。この「適正評価制度」は、取り扱い業務を行うもの、また家族、親戚、友人などその周辺の人々を政府が調査・管理するというのだ。
 「特定秘密」を漏らしたもの、またそれを知ろうとするものに対しては、厳罰処分を下すとしている。特定秘密を漏らしたものには懲役十年以下等を科すというのだ。
 またこの法案では、「特定秘密」を取り扱う人々への重大な人権侵害が盛り込まれている。法案の「適正評価制度」では、①テロ活動等との関係、②犯罪・懲戒の経歴、③情報の取り扱いについての非違歴、④薬物の濫用・影響、⑤精神疾患、⑥飲酒についての節度、⑦経済的な状況、これらを調査し「適正評価」を行うというのだ。
 この秘密とされる情報には国家公務員だけでなく、地方公務員、政府関連の民間事業者、大学等で働く労働者が関与することになる。「適正評価」の対象は本人だけではなく、その家族なども評価の対象になるのだ。
 さらに、この「特定秘密」とされるものは何をもって「秘密」と指定するのかが法案には全く書かれていない。政府や行政、警察が「秘密」とすれば、全てにおいて知りえることができなくなる。また行政機関による恣意的な情報操作や情報隠し、責任逃れにつながる恐れが十分にある。
 情報漏洩に対する刑罰に関しても、具体的にどのような行為が処罰の対象になるのか全く書かれていない。このような治安管理体制においては、勇気ある内部告発やジャーナリストの基本業務である情報収集またその発表も全て処罰の対象にされかねない。福島第一原発事故において、ずさんな汚染水漏れ事故によって第二第三の原発人災事故が起こされている原発関連の情報、沖縄をはじめとする全国の基地や自衛隊に関する情報、これらの情報も「特定秘密」とされれば、われわれは知ることもできない。知ろうとすれば、「防衛」「外交」「特定有害活動の防止」「テロリズムの防止」の名目の下に処罰の対象になるということだ。
 政府にとって都合の悪い情報、そして政府に敵対するものに対しては情報を管理し、処罰していくというまさに治安弾圧立法である。全ての国民を治安管理の対象にしていくことがこの法案の本質なのだ。
 安倍政権としては、「特定秘密」とする情報は専ら政府関係者、行政機関のみで恣意的に把握、管理すればよいということになる。
 「特定有害活動」「テロリズム」という概念自体を日本の法体系に持ち込むこと自体が反革命的策動である。政府、警察による恣意的な情報操作を行い、反体制運動を圧殺していく攻撃だ。
 特定秘密保護法案を絶対に成立させてはならない。
 国家安全保障会議と同じく、戦争と反革命の攻撃としてある特定秘密保護法案を廃案に追い込もうではないか。

  ▼第1章―2節 原発の再稼働と輸出推進する安倍

 安倍政権は福島第一原発の事故収束がなんら手付かずの状態において、原発再稼動、原発新設、原発輸出を行おうとしている。しかも、連日報道されているように、汚染水プールから膨大な量の汚染水が漏出している状況においてだ。安倍首相は東京オリンピック・パラリンピック招致のプレゼンテーションにおいて、「汚染水は福島第一原発の0・3平方キロメートルの港湾内で完全にブロックされている」「福島近海でのモニタリング数値は最大でもWHO(世界保健機関)の飲料水の水質ガイドラインの五百分の一だ」「健康に問題は、今までもこれからもない」と国際的に大うそをついたのだ。
 東京電力の幹部ですら、その後の記者会見において「(汚染水が)コントロールされているとは思えない」と述べる始末だ。
 安倍が「コントロールされている」としているのは、堤防や水中カーテンで仕切られた港湾を言っているだけであり、原発事故以降、原発内部の状況が全くわかっていない中で、たえず燃料棒を冷やす冷却水、また流れ込む地下水が、大量の汚染水として地下から港へ、また太平洋へと流れ続けているのだ。
 福島第一原発四号機では、燃料棒の取り出しを行う調査で亀裂が見つかり、冷却水が格納容器から漏れ出て汚染水として地下に流れ出ているということが報道でされている。
 福島第一原発における汚染水の問題は全く「コントロール」できていないのだ。安倍が言っているのは、ただ濃度が希釈された汚染水を前提にしているにすぎない。実際、福島第一原発周辺の海域での魚介類の放射性物質汚染の調査においては、基準値を大幅に上回る値が出ている。
 さらに十一月に発表された福島県が行った県民健康管理調査では、甲状腺がんと診断された子どもは二十六人となった。がんの疑いは三十二人である。甲状腺検査の対象は震災後の十八歳以下三十六万人である。昨年の九月の同調査においては、対象四万二千人のうち、六歳から十歳の女子54・1%、十一歳から十五歳の女子55・3%にのう胞または結節が見つかったと発表されている。通常、甲状腺異常が発生する確率は百万分の一以下とされている。非常に高い割合で診断されているのだ。これが安倍が言う「コントロールされている」「健康に問題はない」ということなのか!
 菅官房長官は「東電に任せるのではなく、国が前面に立って原発の対処に立たなければならない」と言っている。つまり東電では事故を収束する能力はもはやないだ。東京電力は被曝者、避難者への補償をまともにできず、原発事故の責任と取ろうとしていない。東京電力は即時解体し、国家の責任において中長期的に事故の収束、補償を行わなければならない。
 福島の人々の避難と補償、全ての原発停止―再稼動阻止、廃炉を勝ち取る反原発闘争を全国で推し進めよう。
 戦争国家化に突き進む安倍政権を打倒する闘いを、全国で反戦―反基地闘争を強化、拡大することをもって推し進めていこう。
 沖縄、岩国、神奈川をはじめとする全国の軍事基地こそ、日米安保の実体である。オスプレイ撤去、普天間基地即時閉鎖撤去、辺野古新基地建設阻止、岩国基地強化阻止、愛宕山米軍住宅建設粉砕、京都府京丹後市へのⅩバンドレーダー基地建設阻止、コレラの闘いこそが、安倍の戦争国家化を突き崩していく闘いだ。
 岩国行動に引き続き、全国で反戦反基地闘争をさらに推し進め、日米軍事同盟を粉砕していこう。

  ●第2章 Xバンドレーダー基地建設阻止闘争に決起を

 十二月十五日京丹後において、米軍早期警戒レーダー(Xバンドレーダー)建設反対闘争が取り組まれる。
 京丹後市経ヶ岬における新たな米軍基地建設に反対する闘いである。政府は航空自衛隊の経ヶ岬分屯基地にXバンドレーダーを建設することを突如打ち出した。Xバンドレーダーとは広範囲のミサイルや弾頭の把捉を行うレーダーである。この基地はあくまでアメリカ本国を防衛する目的の米軍専用基地である。しかも何ら地元住民に対して説明も行わないまま基地建設を決定しているのだ。山田啓二京都府知事、中山泰京丹後市長は相次いで受け入れ表明を行い、新たな米軍基地建設を強行しようとしている。このXバンドレーダーは、強力な電磁波を出す。それによる周辺地域への低周波障害の影響は計り知れない。
 この基地建設によって新たに経ヶ岬地域に米軍人・軍属が多数やってくることになる。沖縄での米軍人・軍属の犯罪・事故を見るならば、新たな米兵犯罪が引き起こされかねない。しかも、このレーダーはまさに朝鮮民主主義人民共和国への戦争攻撃の一環である。すでにXバンドレーダーは青森県車力駐屯地への配備がなされている。国内百三十三番目の米軍基地が建設されようとしている。有事の際には、真っ先に攻撃されることが予想に難くない。
 しかも、アメリカ本土に対して攻撃ミサイルが発射されるとなれば、日本がそのミサイルを迎撃するということは、文字通り集団的自衛権の行使になる。
 この間、米軍再編と称した米軍基地拡大・機能強化と、自衛隊との軍事一体化が文字通り全国規模で進められている。京丹後半島経ヶ岬地域はまさにこの戦争体制、朝鮮半島への侵略反革命戦争の前線基地化の攻撃のただ中にある。
 これに対して、地元住民からなる「米軍基地建設を憂う宇川有志の会」が結成され、この会が中心となって大集会が取り組まれようとしている。十二月十五日には、京丹後現地でのXバンドレーダー建設反対大集会が行われる。京丹後現地大集会に全国から結集しよう。

  ●第3章 雇用破壊阻止、労働運動の前進を

  ▼第3章―1節 解雇自由特区断固阻止

 十一月五日、安倍政権は国家戦略特区法案を閣議決定し、今国会において法案成立を目論んでいる。安倍は「大胆な規制改革を実行し、世界で一番ビジネスがしやすい環境を創出する」として、アベノミクスの「成長戦略」の重要な環として、「国家戦略特区」をつくろうとしている。
 この法案は、首相を議長とし、官房長官、民間有識者などからなる「国家戦略特別区諮問会議」、担当大臣、地方公共団体の長からなる「国家戦略特別区域会議」を創設し、特区地域を指定し、その地域から上げられる計画を特別諮問会議、最終的には安倍首相が認定するというものである。対象となるのは、医療、労働、教育、農業などの分野である。その内容は政府、行政、企業の間で決められ、ここには地域住民は入っていない。
 労働分野においては、特定地域で「雇用労働相談センター(仮称)」「雇用ガイドライン」なるものを使って、「(労使間での)紛争を生じることなく事業展開することが容易となるよう」「個別労働関係紛争の未然防止」をするという。
 特区化された地域では、企業や自治体、政府による「利害関係者」のみでその決定がなされる。解雇規制、労働時間規制、有期雇用規制など、企業にとって都合の悪い、労働者を保護する権利や規制、制度はどんどん撤廃していくということだ。
 また農業分野においては、企業が農業に参入するために農業生産法人の参入要件緩和を打ち出している。農業の「第六次産業化」を狙い、農業生産法人の農業に従事する役員数規定を現在の過半数から一人以上に緩和する方針だ。大企業が農業分野に進出しやすくし、生産性や効率性の下で農業を行うものだ。儲からなければ撤退するという企業の論理でのみ農業生産を行うことになる。
 ほかにも、公立学校の民間委託、混合診療の拡大が盛り込まれており、ますます格差社会の構造が作り出されることになる。
 小泉政権の構造改革特別区法を引き継ぐこの法案は、全くもって反労働者的な政策である。労働者を使い捨てにするというこの反動法案を絶対に阻止していこう。

  ▼第3章―2節 派遣法改悪阻止

 また安倍政権は労働者派遣法の改悪に乗り出そうとしている。八六年から、次々と派遣法の改悪が行われてきた。九九年の派遣法改悪では派遣業種の拡大が行われ、二〇〇四年の改定では実質的に全ての業種に派遣事業が全面解禁された。それでも現在の派遣法では専門的な二十六業種以外では、最長三年で派遣業務の打ち切りという制約がある。しかし、今回の改悪では、この二十六専門業種以外でも、派遣受け入れの制約を取り払ってしまおうというのだ。この改悪によって、全ての業種において派遣が認められることとなり、非正規雇用数が正規雇用数を上回ることになる。正社員がまったくいなくなってしまう雇用環境をつくり出す前段攻撃である。
 今年七月の総務省就業構造基本調査では、非正規労働者は約二千四十三万人に達したと発表された。労働人口比率の実に38・2%だ。十五歳から二十四歳までの若年労働者にいたっては、50%を超えており、女性労働者の非正規比率は57・5%だ。
 これまでの派遣法改悪によって、多くの労働者が非正規雇用化され、低賃金、劣悪な労働環境におかれて、将来の展望も見えず、どれだけ企業から搾取抑圧されても泣き寝入りするしかない状況が続いてきた。
 企業の使い勝手が良いだけの労働環境はなくさなければならない。そうした労働環境をさらに劣悪にしていくのが、この派遣法の改悪である。労働者の権利を守り、かちとっていくためにも、この改悪策動を絶対に阻止しよう。
 十二月十三日に、日比谷野外音楽堂において「労働法制の規制緩和と貧困問題を考える市民大集会」が開催される。12・13日比谷野音集会に労働者―労働組合の総決起を呼びかけ、圧倒的な参加をかちとっていこうではないか。


 

 

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