1426号(2013年11月5日) 政治主張 |
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米国反戦運動、韓国反基地運動との実践的結合を 全国から岩国行動2013へ 派遣法改悪・「解雇特区」粉砕! 米軍・自衛隊参加の東京都防災訓練反対 十月十五日、臨時国会が召集された。安倍は所信表明演説で、「失敗を恐れて何もしないのは最低だ。……日本人はいつしか自信を失ってしまった。長引くデフレの中で萎縮してしまった」と人民を罵倒してみせた。「長引くデフレ」と雇用なき成長に、長く与党幹部や首相であった自分の責任などまるでないかのごとくである。 これに先立つ十月一日に表明した消費税の3%引き上げで一層の大衆収奪を強化しながら、法人減税を強行することをもって「成長」を、という資本優遇政策を、怒りなしに聞くことができようか。強烈な批判にさらされて当面は断念したとはいえ、成長戦略の一つとして「解雇特区」を構想していることからも明らかなように、現状以上の規制緩和で人民を無権利状態に追い込み、絞り上げることで資本を肥え太らせることこそが、安倍政権の狙いなのである。アベノミクスの反労働者性、反階級性を批判し、粉砕しよう。 加えて安倍晋三は、日帝の戦争国家化に突き進もうとしている。しかしどうであろうか。もはや自身でぶち上げたはずの戦争攻撃(化学兵器の使用を口実としたシリア政府攻撃)も通商外交もままならぬ(TPP、APEC、G20欠席)状況の米帝と一体化し、付き従う以外に何もない、帝国主義の「戦略」や「路線」と呼ぶにも値せぬその姿には一体、どれほどの展望があるといえるだろうか。日帝の解釈改憲、軍事大国化は、アジア人民からの激しい警戒と批判を呼び起こさずにはいないのであって、われわれは国内外をつらぬく連帯をもって安倍の野望をくじいてやるのでなくてはならない。 十月二十日、激しい風雨の中、三里塚全国総決起集会が断固としてかちとられた。反対同盟を先頭に、市東さんの農地を守る控訴審闘争をたたかい抜く陣形が成ったのである。 狡猾で凶暴な解釈改憲によって、戦争国家化をひた走ろうとする安倍政権を打倒するたたかいの号砲が鳴らされた。今秋期のたたかいに起ち上がろう。艦載機移駐と米軍住宅建設阻止を粘り強くたたかう岩国市民と連帯し、岩国国際集会の圧倒的勝利をかちとろう。 ●1章 デフォルトに直面、米帝の分裂と危機 去る十月十七日未明。史上初の、アメリカ発のデフォルト(債務不履行)の勃発まであと数時間、というぎりぎりのところで、米議会の上下両院はこれを回避した。 米連邦債務の上限(十六兆七千億ドル)を凍結し、来年二月七日まで政府に国債発行を認める、という内容である。これに加えて、与野党は赤字の削減策などについて協議する委員会を作り、十二月十五日までに報告書をまとめることでも合意した。 しかし与党民主党と野党共和党の、最も鋭い対立点となっていた「医療保険改革法」(オバマケア)の扱いについては、「医療保険に加入する際に補助金を受ける人の所得確認を厳格化する」という微修正にとどまっている。共和党側が求めていた、正副大統領や連邦議員、議会スタッフらを補助金対象から外すことは、盛り込まれなかった。 ドル暴落から世界恐慌へ、という「最悪の事態」を直前に、世界の資本家、投資家たちはつかの間の安堵を得たであろう。十月一日から続いていた政府機関の一部閉鎖(シャットダウン)も解除され、一時帰休を強いられていた連邦政府職員も職場に復帰した。 しかし、アメリカの政治と経済の抱える危機が、これで根本的に解決されたわけではないことは明白だ。上下両院で決まったのは、「次の破局のタイムリミットをいつにするか」ということでしかない。予算案や、赤字削減策を巡る与野党の路線対立が解消されていない以上、年末から年明けにかけてもまた同じことが繰り返されるだろう。オバマはいよいよ、議会対策に追われることになる。 それもこれも結局、米帝をはじめとする帝国主義各国がリーマンショックに対する巨額の財政出動と経済危機下での急激な税収の落ち込みによって財政が悪化しているためである。しかし二大政党の対立によって根本的な赤字削減策は打ち出しようもない。野党共和党は今回、十月からの新会計年度を前に予算案を「人質」に取ることで、オバマケアを葬り去ろうとした。強硬な下院共和党議員の一部は、「デフォルトもいとわず」という姿勢を見せた。さすがに有権者の共和党支持率は目に見えて下がっているのが現実だが、彼らの強力な支持母体である「ティーパーティー(茶会)」運動は、「怠け者の貧乏人たち向けに、自分たちの税金を使わせてたまるか」という、きわめて狭量な政治勢力であり、オバマ個人に対する人種差別すら内包しつつ、およそ民主党の政策に歩み寄ることを共和党に許さない。現行の選挙区割りが共和党に有利なこともあって、少々の支持率の低下は議席に影響しない。共和党議員には、民主党の政策に対して非妥協的にふるまう以外の選択はないのである。 かくて明らかになったのは、シリア攻撃をめぐる多数派工作でも敗北したことからも分かる、米帝の政治的な失墜である。経済状況の悪化で、今や自国民を買収することができなくなったアメリカの分裂と政治権力の無能さが暴露されたのである。アメリカは当面、内政以外に関心を向ける余裕を喪失している。 「世界の警察」などもはや存在しない。圧倒的な経済力・軍事力・政治権力をもって戦後世界を再編成してきた米帝国主義の威力が今も継続すると見る幻想は大きく瓦解している。卓越した国家の存在しない「Gゼロ」(イアン・ブレマー)の世界が現実のものとなろうとしている。 この事実に帝国主義者たちはおびえつつ身構えるであろう(オバマが欠席したワシントンでのG20は、十月十一日、「アメリカはデフォルト回避に向けて早急に行動せよ」と、恐怖に満ちて異例の声明を出した)が、人民にとってはまたとない好機の到来でもある。階級支配の危機は世界の各所で火を噴くであろう。それは帝国主義にとって、デフォルトや恐慌をも超える危機の爆発なのである。 確認しよう。デフォルトが回避されたことにただ胸をなでおろしているのは、帝国主義者や資本家どもだ。デフォルトと恐慌がないというだけの帝国主義支配の世界が、デフォルトを経たその後の世界よりも一体、どれほどましだと言えようか? 革命派はいかなる危機の到来をも、帝国主義打倒のたたかいへと転化させる覚悟と気概をもって情況と対峙するものである。 読者諸氏、喜びと希望とをもってこの危機の時代を迎えようではないか。 ●2章 戦争国家化を狙う安倍政権打倒せよ 盟主、政治的パトロンとあおぐ米帝の、あわやデフォルトかという危機におびえながら、安倍晋三は十月十五日からの第百八十五臨時国会に臨むこととなった。今や醜態をさらし続ける米帝との一体化に突き進もうとするその姿は、一面では滑稽なものでしかないとも言えるが、とはいえ今国会で安倍が狙っているのはまさに、戦後史を画する戦争突撃の攻撃である。絶対に許してはならない。今秋のたたかいの第一にわれわれは、安倍の押し進める改憲攻撃‐文字通りの戦争国家化との対決をすえるのでなくてはならない。 今国会での成立が狙われている戦争法案や、進められている戦争政策たるや、怒りなしには挙げることもできない。 戦争法案の筆頭は、特定秘密保護法案である。「保護」される対象は安全保障、外交のみならず、警察関連の情報にいたるまできわめて広範かつあいまいである。所轄大臣の独断と恣意で「特定秘密」と指定し、その気になれば未来永劫、人民に秘密にし続けることを可能とする。成立すれば、たとえば原発関連の情報も出されることはなくなるであろう。もちろん、腐敗や汚職、密約、裏取引など、あらゆる政治スキャンダルが表に出ることはなくなる。 そして、これら特定秘密にアクセスする公務員や民間人の「適性」を問題とし、そのための身元調査を無制限に行うのだ。当の公務員・民間人だけが調査の対象となるのではない。親族、友人関係に至るまでも調査が可能なのであり、この法を口実として人民への監視体制が画段階的に強化されて行くのは明らかである。そして、「特定秘密」を外部に暴露する者は十年以下の懲役という重罰に処せられるうえ、暴露を教唆したり、そもそもアクセスを試みた者すらも処罰の対象とされる。帝国主義政府が明らかにしたくない情報を防衛する目的とともに、目障りなメディアやオンブズパーソン、市民運動家までをも、でっち上げ弾圧できる体制の到来である。 ブルジョアメディアは「知る権利」と取材の自由を侵害するから問題だ、とこれを批判し、民主党も「これでは賛成は難しい」などと言ってみせてはいる。民主党、公明党は、成立と引き換えに情報公開法を改正しようとする動きもしているが、「知る権利」だけの問題ではない。政府や官僚組織に都合の悪い情報にアクセスさせない、と身構える安倍政権のホンネはつまり、「政権を批判し打倒する権利」をこそ人民から剥奪せんとするものであることは明らかではないか。 自民党幹事長石破は十月二十日、NHKの日曜討論で「三十年、五十年経っても出せないものが全くないとは断言できない」と居直った。また、二十二日には記者会見で少子化担当相の森雅子は、沖縄密約をすっぱ抜いた西山太吉氏の事例(七二年)を挙げて、「処罰の対象となる」と言い切った。政権が秘匿しようとする情報をそもそも人民が、穏当でまっとうな手段で入手出来るはずがない。手法が問題なのではない。忘れてはならない。人民から情報を隠そうとすること自体が犯罪なのである!稀代の悪法の成立を、絶対に許してはならない。 これと一体のものとして成立が狙われているのが、国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案(安全保障会議設置法改正案)である。現行の、内閣の安全保障会議を強化(首相ら四人の閣僚による)し、トップダウンによる迅速で機動的な意志決定をはかるものとされるが、法案を一読して明らかなように、それは政府の暴走と独断を根拠づけるものにほかならない。 特定秘密保護法案と日本版NSC設置法案を集中審議するための衆議院特別委員会の設置が十月十七日に決定された(委員長は元防衛相額賀)。安倍も石破も繰り返し、両法案の一体性を言い、早期成立の必要を言う。すでに英帝当局が秋波を送って来ているように、帝国主義政府同士が秘密裏に情報をやり取りしながら反革命弾圧・戦争を遂行するための機関として、「期待」されているのである。特定秘密保護法ができさえすれば、仮にほころびがあろうとも実態を隠蔽できる。そのためにこそ、「一体」での成立が目指されているということだ。両法案の成立を絶対に許してはならない。国会へと怒りの声を集中させ、廃案に追い込もう。 安倍はこれら法整備に加えて、「積極的平和主義」を掲げ、集団的自衛権の行使を容認することで、憲法の実質的な改悪=解釈改憲の意図をあらわにしている。内閣法制局長官の首をすげかえたのもその布石である。十月二十一日、安倍の私的諮問機関「安保防衛懇」の四回会合で、「国家安全保障戦略」(NSS)の政府原案がまとめられた。新防衛大綱とともに、今年中の閣議決定がもくろまれている。朝鮮民主主義人民共和国と中国を脅威とみなし、「日米間の安全保障・防衛協力のさらなる強化」「国際テロ対策の強化」「サイバー攻撃に対するセキュリティの強化」が打ち出され、武器輸出三原則の見直し=武器輸出の解禁を明記した。さらに、「国を愛する心の涵養」「安保教育の拡充」も言及された。教育を通じ「少国民」育成まで行おうというのである。既に教育再生実行会議が「道徳の特別教科化」を提言したが、これとも軌を一にするものであろう。 安倍は就任から参院選までの過程で、憲法九六条の改悪を口にしてみせた。しかしこれには「政権に都合のいいルール変更」とのごうごうたる批判が叩きつけられ、事実上これを封印せざるを得なかった。ところが参院選勝利の後安倍は、数の力のみを背景に、それ以上の暴走を見せている。完全に解釈改憲に狙いを定めて突き進んでいる。時の政権=多数派がそれまでの経緯を無視して、諮問機関の設置や閣議決定でいかようにも憲法解釈を変更できるというのなら、立憲主義も法治主義もあったものではない。自民党がこれまで仮にも政治目標として掲げてきたはずの明文改憲とは、一体何であったというのか。 米帝でさえ、手放しで安倍を支持しているわけではすでにない。歴史認識をめぐって中韓からの激烈な批判を浴びるなど、安倍の言動と存在自体が、米帝のアジア戦略、安保戦略の桎梏になりかかっているのが実態である。集団的自衛権行使の「合憲化」攻撃、日本版NSC設置などの反動政策は、必ずや周辺国の警戒を呼び起こし、軍拡競争を招かずにはおかない。アジア地域の不安定要因にさえなりかねない安倍の戦争国家化政策と、われわれは断固対決していく。国際連帯の下、安倍政権そのものを破産に追い込もう。 ●3章 規制緩和反対、「解雇特区」粉砕 安倍は「解雇特区」を諦めていない。「国家戦略特区」設置のための、「国家戦略特区諮問会議」を発足させようとしている。そこからは農相や厚労相を除外し、規制緩和への抵抗を封じようとしている。「地域限定」とは言いながら、労働者の自由な解雇がひとたび容認されたなら、瞬く間にそれが地域を問わず当たり前化するのは明白ではないか。このような政策を「成長戦略」の目玉とし、「世界で最も企業活動がしやすい国」を仕立て上げようとする安倍こそはまさしく階級敵以外の何者でもない。農業破壊の本質を露呈し始めたTPP交渉ともども、アベノミクスの反人民性を満天下に暴露し、葬り去ろうではないか。 今秋から年頭にかけて、安倍政権との総対決の時期が到来する。国際連帯の旗の下、安倍打倒のたたかいを各地でたたかおう。 汚染水の漏出を止めることも出来ないまま、原発の再稼働と「リプレース(原子炉の建て替え)」を狙う自民党を許してはならない。あの小泉ですらが「原発ゼロ」を口にせねばならないところにまで、日帝支配階級は追いつめられているのだ。これ以上の悪あがきを許さず、全ての原発の廃炉を実現しよう。 国際的な連帯を掲げた、反戦反基地のたたかいを実現しよう。米軍住宅建設に反対したたかう岩国市民との連帯を果たし、岩国国際集会の圧倒的な成功をかちとろう。京都への米軍Xバンドレーダー配備を阻止しよう。オスプレイの全国展開を許さず、撤去を実現しよう。 沖縄のたたかいに連帯しよう。名護市長選に、基地容認派が稲嶺現市長に対抗して元副市長、末松文信を擁立した。名護市長選に圧倒的に勝利し、辺野古への新基地建設を阻止しよう。アジアからの米軍の総撤収を実現しよう。 勝利は人民のものだ。 |
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