共産主義者同盟(統一委員会)


1420号(2013年7月20日) 政治主張






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  8・6広島に決起しよう

  農地強奪阻止! 7・29千葉地裁包囲

  オスプレイ追加配備粉砕!


 


 六月二十六日第百八十三通常国会閉会、七月四日参院選が公示され、政局は参院選に集中している。安倍政権は、金融緩和・財政出動・成長戦略の「三本の矢」によるアベノミクスを前面に押し立てて、圧勝を狙っている。しかし、アベノミクスによる経済再建は、それ自身、成功しようが失敗しようが、かつての小泉政権以上の規制緩和による格差拡大、労働者の貧困化を結果することは間違いない。選挙後安倍政権は、参院選まで封印しておいた憲法改悪の野望をむき出しにしてくるだろう。
 また、成田空港会社の農地強奪攻撃の焦点である七月二十九日の千葉地裁判決が目前に迫っている。国家権力はペテンと暴力で市東さんの農地強奪を強行しようとしている。この事実を全国に広め、七月二十九日、千葉地裁をうめ尽くす人民の力で農地強奪判決を絶対に阻止しよう。

  ●第一章 改憲、原発再稼動に突き進む安倍政権を打倒せよ

 日帝―安倍政権の右翼反動の本性は鮮明になってきている。
 安倍政権は発足以来、金融緩和政策、財政出動と大盤振る舞いの経済政策を矢継ぎ早に打ち出し、財界はもとより国際的にも期待を膨らませ、これを背景に六月五日には成長戦略を「三本目の矢」として打ち出した。こうした経済政策への期待感が高い支持率の背景となっている。しかし、それは極めて不安定なものである。安倍政権が成長戦略を打ち出した直後の株価の大幅な下落は、アベノミクスに対する懐疑的な観測が極めて強いことを物語っている。期待と懐疑の微妙なバランスの上で事態は進行している。
 安倍政権の経済政策の根本にあるのは安全保障である。強い日本を支える強い経済力が必要だというのが経済政策の目的だ。労働者人民の生活のことなど関係ない。経済再建で国の富を増やし、莫大な借金にあえぐ財政を再建し、「強い日本」を作ること、それのみが安倍政権の関心事である。
 国の富を増やし戦争国家化をすすめることが、安倍政権の根幹の政策である。そのためには、当面の選挙に勝って、安定政権のレールを敷くことが最低条件となる。安倍政権は選挙対策として経済政策を前面に出し改憲や軍備増強など戦争国家化の狙いをその陰に隠そうとしているが、右翼反動、排外主義の本性は隠しようもない。
 自民党は昨年四月、基本的人権の制約や天皇制の強化、九条改悪―国防軍の設置などを内容とする改憲草案を発表し、改憲を公約に掲げてきた。中国や韓国との領土問題をてこに排外主義を煽り、改憲の機運を一気に高めようとしたが、これへの反発が強いと見るや、政権発足後は九六条(憲法改正の手続き規定)の改憲を先行させる戦略に切り替え、改憲発議のハードルを下げようとした。しかし、この戦略も五月以降見直しを余儀なくされ、改憲問題が参院選での争点にならないように、懸命に背後に隠している。その原因は、安倍自身が発した数々の歴史歪曲発言である。「(日本軍「慰安婦」制度問題で)強制連行を示す証拠はなかった」(二月七日衆院予算委員会)、「(村山談話について)継承する、しないではなくて、例えば(戦後)七〇年を期して新たな談話をだしていく」(四月二十二日参院予算委員会)、「(村山談話について)侵略という定義については、学界的にも国際的にも定まっていない」「(釣魚諸島問題で)固有の領土であり……(中国が)上陸となれば、強制排除は当然」(四月二十三日参院予算委員会)、「靖国が軍国主義の象徴なのか」(五月十四日参院予算委員会)など、挙げればきりがない。
 こうした安倍政権の歴史歪曲と排外主義発言への国内外の反発を更に極端な発言で打ち消す役割を果たしたのが、安倍右翼反動政権の露払いを引き受ける維新の会―橋下である。橋下は、五月十三日の二回にわたる会見で「日本国軍だけじゃなくて、いろんな軍で慰安婦制度ってのを活用してたわけなんです。……意に反してか、意に即してかは別に、慰安婦制度は必要だった」「(沖縄県宜野湾市の)米軍普天間飛行場に行ったとき、司令官にもっと風俗業を活用してほしいと言った。……法律の範囲内で、いわゆる性的なエネルギーを、ある意味、合法的に解消できる場所が日本にあるわけですから。『もっと真っ正面からそういうところを活用してもらわないと、海兵隊の猛者の性的なエネルギーをきちんとコンロールできないじゃないですか、建前論じゃなくて、そういうところを活用してください』と言ったのだが……」などと発言した。橋下の日本軍「慰安婦」制度の正当化、歴史の歪曲と女性蔑視に満ちた暴言を決して許すことはできない。また、街頭で口汚いヘイトスピーチをくり返し排外主義をあおる「在日特権を許さない市民の会」(以下、「在特会」)などの極右勢力は、昨年十二月の衆院選挙で精力的に安倍自民党の応援団を務め、安倍政権の成立に勢いを得て、跳梁跋扈している。
 格差と貧困の激化の中で、矛盾と不満の矛先を他民族への差別と攻撃にすりかえる排外主義ファシスト勢力と正面からたたかい、プロレタリア国際主義の旗をあらゆる戦線にうち立てねばならない。
 安倍政権による侵略戦争と植民地支配の事実を否定する歴史歪曲や排外主義、軍国主義の強まりは、国際関係に大きな亀裂と緊張を作りだしている。韓国や中国をはじめアジア労働者人民は侵略戦争と植民地支配によって蹂躙された歴史を決して忘れることはない。その激しい怒りは、アジア諸国の政権やブルジョアジーも無視できるものではない。また、むき出しの民族差別、女性差別、人権無視の反動イデオロギーは、アメリカ政府すらも反発をあらわにするように、現代の国際社会が受け入れるものではない。
 参院選を前に本性を覆い隠し、積極的な経済政策への期待感で安定政権を目指す安倍政権、その右翼反動、排外主義の本質を徹底的に暴き、打倒しよう。同時に維新の会―極右勢力を解体しよう。
 アジア労働者人民との連帯、国際主義に立脚した労働者人民の団結を固め、排外主義勢力との闘いに決起しよう。
 安倍が狙う九六条改憲―九条改憲を絶対に許してはならない。
 安倍政権の経済政策は徹頭徹尾、安全保障を焦点とした「強い日本」の実現が目的である。いかなる意味でも労働者人民の生活や福祉の向上につながるものではない。来年予定の消費税増税、2%のインフレ目標、解雇規制の緩和、医療分野の規制緩和など、労働者人民の雇用、生活、生命を犠牲にして大資本の利益追求、財政の再建を目指すものである。その行きつく先は改憲による基本的人権の制約と戦争国家化の道である。
 安倍政権の最初の国会であった第一八三通常国会では、マイナンバー法が成立した。国民総背番号制はかつて何度も導入が画策され、その度に大きな反対運動によって阻止されてきたが、今回、十分な議論もなく成立が強行された。納税や社会保障の手続の利便性を前面に打ち出しているが、本質は国家による監視強化である。今後所得や資産の把握のために、個人情報範囲が拡大されていくことは必至である。何よりも国家による国民管理の先には、徴兵制など戦争動員と結びついていくことは、まちがいない。また、今国会で成立しなかったものの、外交・安全保障政策の司令塔として、国家安全保障会議、いわゆる日本版NSCを創設するための法案や、自衛隊法の改正案などが継続審議になっている。安倍政権は、参院選挙を前に戦争国家化への野望を参院選の争点からはずしているが、実際には、戦争国家化にむけた法整備を着々と進めているのだ。六月二十五日に自民党の教育再生実行本部が内閣に対して「教科書検定の在り方特別部会議論の中間まとめ」を提出し、申入れを行なっていることも見過ごしてはならない。安倍政権は戦争国家化に向けて、日米同盟強化、軍備増強などのハード面とともに、経済力の強化、さらに、人民を戦争へと動員するための教育の決定的重要性を十分に認識している。歴史歪曲に基づく教科書検定の導入を決してゆるしてはならない。
 日米同盟強化、米軍再編をめぐっては、安倍政権は普天間基地の辺野古移設を強行しようとしている。沖縄県に対して三月二十二日に提出された公有水面埋立承認申請書は、六月二十八日から七月一八日まで縦覧期間として公開されている。八千八百ページに及ぶ膨大な申請書は「移設先は辺野古とすることが唯一の有効な解決策」だとして、沖縄に新たな基地負担を何がなんでも押し付けるものだ。
 六月二十五日には米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村高江でのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の建設現場付近で反対運動をしている住民の伊佐真次さんに対し、沖縄防衛局が通行妨害禁止を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁那覇支部(今泉秀和裁判長)は控訴棄却の不当判決を行なった。国家権力が総がかりで反対運動を押しつぶそうとする攻撃に対しては、さらに倍する反撃を組織していこう。
 岩国では、再びオスプレイ十二機が七月最終週に持ち込まれようとしている。七月一日には、山口県知事と岩国市長に対して、沖縄に追加配備される垂直離着陸輸送機MV―22オスプレイを前回と同様、岩国基地に一時搬入することを左藤防衛政務官が通知した。
 岩国では、今年一月にも防衛大臣政務官が訪れ、厚木飛行場から岩国飛行場へ空母艦載機を移駐する時期は、二〇一七年頃となる見込みであることを通知している。岩国飛行場において空母艦載機の移駐等に必要な格納庫や駐機場等の施設整備を進め、岩国住民の反対を無視して愛宕山跡地の米軍住宅建設を強行しようとしている。岩国住民は、一の日の愛宕山見守りのつどいを粘り強く継続しながら、裁判闘争を闘い、オスプレイの搬入阻止をたたかってきている。六月三十日にはオスプレイ搬入阻止、沖縄・普天間基地配備阻止全国集会とデモを開催、七月一日岩国に来た左藤防衛政務次官を抗議の声で迎え撃った。七月末と言われるオスプレイ搬入を阻止するために、緊急行動に各地から駆けつけ、全力でたたかおう。
 京都では、関西初の米軍基地となるXバンドレーダー基地建設をめぐる闘いが開始されている。丹後の経ヶ岬に米軍のXバンドレーダー基地を建設する計画が報道されて以来、京都府の各地で学習会や集会、申入れ行動などが取り組まれている。アジア共同行動京都の呼びかけで、関西の労働組合、市民運動のメンバーは五月十二日に経ヶ岬のフィールドワークを実施し、現地の反対運動活動家との交流を行った。以降、基地建設反対署名に取り組み、七月九日には、「緊急京都府民の会」を中心に京都府知事への申入れ、府議会議員への要請行動と集会を開催した。今夏、京都府知事の基地建設受け入れ表明を阻止するたたかいが焦点となる。
 安倍政権は参院選公約で米軍普天間飛行場の移設問題について「抑止力の維持を図るとともに、沖縄をはじめとする地元の負担軽減を実現するため、『日米合意』に基づく普天間飛行場の名護市辺野古への移設を推進し、在日米軍再編を着実に進めます」と主張している。これに対し、自民党県連は、「辺野古移設容認では選挙は戦えない」と、「県外移設」方針を堅持。五月二十七日に開いた県議団による議員総会で、「県外移設を求めて固定化阻止に取り組む」との地域公約(ローカル・マニュフェスト)を全会一致で承認している。誰がこのような公約を信用するだろうか。
 反戦、反安保、反基地、反原発を先頭でたたかう議員を生み出し、安倍政権に痛打を浴びせていこう。
 沖縄で、そして各地の反基地の現場やオスプレイの訓練ルートを行脚して、反基地の闘いの先頭に立ち続けている山シロ博治さんを全力で支援し、当選を勝ち取ろう。
 安倍政権の参院選の目標は、当初は自民+公明で過半数(六十三議席の獲得)だったが、東京都議選の結果を受けて、絶対安定多数を目指すとしている。安倍政権は、参院選に勝利して長期政権の基盤を固め、改憲へと突き進もうとしている。
 東京都議選は、投票率の低さが自公の圧勝をまねいた。深刻な問題は、多くの労働者人民が積極的に投票する政党を見いだせず、政治に意欲を失っている現状そのものである。
 改憲阻止―安倍政権打倒は日本労働者階級人民の責務である。激化する排外主義と改憲―戦争国家化を、労働者人民の密集した力で打ち破っていかなくてはならない。
 安倍政権―茂木経産相は、今秋の原発再稼動をめざしている。大飯原発の停止、再稼動阻止をはじめとして、全国で再稼動阻止のたたかいをさらに進めよう。
 七月一日、復興状況の視察に福島県を訪れた安倍は原子力政策について「(福島第一原発での)過酷事故の経験を世界と共有しながら日本の技術を生かし、世界の原子力の安全性向上のために貢献していくこともわが国の責任だ」と述べ、原発の再稼働と輸出を積極的に進める姿勢を示した。原発事故で苦しむ福島の現状を目の前にして、その厚顔無恥にはあきれるほかない。
 福島第一原発では、六月二十一日、一~四号機取水口北側の海水の放射性トリチウム(三重水素)濃度が一リットル当たり一〇〇〇ベクレルと前回測定の二倍に上昇し、七月一日には観測用井戸からストロンチウムなどの放射性物質が一リットル当たり四三〇〇ベクレル検出され、前回六月二十八日の測定から約一・五倍に上昇した。地下の高濃度汚染水が海に漏れ出した可能性が指摘されている。このように、原発事故は終息の目処すらたっておらず、汚染水の流出など、現在も放射能をばらまき続けている。廃炉にする方法も、莫大な放射性廃棄物を処分する方法もないままに、原発再稼働に突き進もうとしているのだ。
 原発再稼働阻止、原発輸出阻止のたたかいは、安倍政権の中心的な政策と正面から対決する、極めて重要な政治闘争課題である。

  ●第二章 農地強奪阻止! 7・29千葉地裁包囲

 市東さんの農地裁判、「農地法」を根拠に訴訟を起こし農地を強奪する手法そのものが不当である。この裁判こそ、市東さんが農民としていきるか、空港会社が暴力的に「国策」を強行するか、の対決だ。日本農民の利害をかけた決戦としてたたかおう。
 「仮執行宣言」付反動判決を絶対に阻止しよう。
 七月二十九日、市東さんの農地強奪を目論む空港会社による民事訴訟の判決公判が千葉地裁で行なわれる。空港会社は土地収用法でも成田治安法でも奪えなかった農民の土地を、民事訴訟で強奪しようというのだ。
 成田空港公団(=現成田空港会社)は一九八八年、直接の耕作者であった市東東市さんには隠して、地主から農地を買収した。空港公団は「地主」になりながら、市東東市さんには正式の賃貸借関係を隠し続けてきた。一九九九年に東市さんが亡くなり、孝雄さんが農業と空港反対運動を継いだが、さらにその後、二〇〇三年になって突然、空港会社は「地主」としての権利を主張し、小作権の解約と農地の明け渡しを要求してきたのだ。市東さんが三代―一〇〇年にわたって耕作してきた農地を、重要な関係人である市東さんに無断で地主から買収した上で、農地法に基づく賃貸借契約の解約許可決定を千葉県から取り付けて農地明け渡しを求めている「農地法裁判」である。市東さんの側からは、千葉県の決定の誤りを追及して「行政訴訟」を起こし、「農地法裁判」と「行政訴訟」は併合されている。
 この裁判では、訴訟の根幹である土地の特定を空港会社が誤っているということが明らかになっている。成田市農業委員会も県農業会議も県知事も、誤った土地特定のまま「農地法」に基づく賃貸借契約の解約許可決定をなしたということだ。解約許可処分の根拠が誤っているのであり、千葉県は処分を取り消さなくてはならない。また、空港会社が「賃貸借契約地」として市東さんに明け渡しを求めている別の土地では、一部が「空港敷地外」にあり、県農業会議は、空港にできない土地まで「空港転用相当」なる判断で解約許可決定という農地法違反をしているのだ。さらに、旧地主藤崎政吉氏が「作成した」とする境界確認書、同意書、地積測量図に関して、藤崎氏自身はこれらの書面を「自分は書いていない」と否定している。しかし、千葉地裁は充分な調査も審理もせずに、しゃにむに判決へと突っ走っている。
 空港会社、千葉県、司法権力―千葉地裁が一体となって、訴訟の形式をとって農地強奪を進める裁判そのものを、われわれは徹底弾劾する。その上で、市東さん、萩原さん、鈴木さんをはじめ反対同盟が、この反動訴訟指揮をも突き破って、三里塚闘争の真実―正義を貫こうとするたたかいを、ともに全力で担っていく。反対同盟は、第三誘導路許可処分取消訴訟、団結街道廃道取消訴訟をもって、日々強行されている生活破壊、営農破壊の攻撃とも対決している。農地強奪絶対阻止を、現地攻防で、裁判闘争でたたかいぬいていこう。
 7・14三里塚全国総決起集会に続き、7・29判決当日、千葉市に結集し、千葉地裁を包囲しよう。不当判決絶対阻止の一大闘争をたたかおう。
 七月十四日、千葉中央公園で三里塚全国総決起集会が闘いとられた。この間、「農地取り上げに反対する緊急三万人署名」を全国で展開し、不当判決―農地取り上げ絶対阻止の決意を胸に全国から労働者、学生、市民が結集した。
 空港会社の農地強奪攻撃は、極めて悪辣なSLAPP訴訟である。千葉地裁は一貫して空港会社側にたって訴訟指揮をしている。空港会社側は、当然のように「勝訴判決」を予想している。その上で「仮執行」をも要求している。控訴、上告しようとも、確定判決を待たずに、一審判決だけで農地強奪の強制執行をしようというのだ。
 さらに空港会社は、「勝訴判決」想定に基づいて、占有移転禁止の「仮処分」を申請し、千葉地裁は本年二月二十日に「仮処分」を強行した。行政訴訟・農地法裁判の対象となっている畑、作業場、離れ、トイレ、鶏小屋など十四箇所に「公示書」を設置し、市東さんの占有権限を「執行官が保管する」「債務者に限り使用を許す」などと、勝手に決め付けてきたのだ。
 空港会社、千葉県、千葉地裁が一体となって、一人の農民に農地強奪の攻撃をかけている。七月二十九日千葉地裁を圧倒的な労働者人民の結集で包囲し、反動判決を粉砕しよう。

  ●第三章 8・6広島に結集し反原発闘争の前進を

 侵略反革命と闘う被爆二世の会の呼びかけに応え、反戦・反核・反原発の「8・6広島青空式典」に結集しよう
 今年も、被爆二世の会が呼びかける8・6広島青空集会に、全国から参加しよう。安倍政権による原発再稼働・原発輸出阻止を反核の闘いと結合し、放射能の被害に対する包括的な対策と補償制度を求める運動の拡大を勝ち取ろう。
 この数年、「在特会」が青空集会に乱入し、妨害している。在特会の妨害をはねのけて、反戦・反核・反原発の「8・6広島青空集会」を断固として成功させよう。
 一九四五年八月六日八時十五分、米軍が原爆を投下する直前まで、そこに人々の暮らしがあった。広島平和記念公園はもともと中島地区とよばれ、広島市内でも有数の繁華街だった。原爆ドームは広島県産業奨励館というモダンな建物で、県下の物産品の展示・販売を行うほか、博物館や美術館の役割も担っていた。原爆が落とされなかったら今もそこには人々の暮らす賑わう街があった。その街が一瞬にして破壊され、多くの民衆が逃げるまもなく殺された。
 年と共に被爆者が高齢化し、被爆体験を語る事ができる一世は少なくなっている。被爆の現実を風化させることなく、次の世代、社会に伝える必要がある。被爆の現実について、原発事故や被曝労働者の今後の問題とも共通する課題として積極的に取り組んでいかねばならない。事故の終息と廃炉までの長い道のりの中で今後も膨大な被曝者が生み出される。日帝―厚労省は、「被爆二世には遺伝的影響は無い」と言いなし、被爆二世に対し何の補償もしてこなかった。福島第一原発事故においても同様の対応をする可能性がある。放射線量の高い地域でも、避難区域に指定されておらず、さらに、今後避難区域の縮小・解除により、放射線の高い地域で生活し続ける他ない膨大な人々が存在する。原爆被爆者たちが、またその二世、三世たちが苦しみ続けた現実が、原発事故の被害者と被曝労働者に襲いかかっている。日本政府による国家補償に基づく被爆者(二世・三世)援護の実現を求めていかなければならない。
 六月十九日、原子力規制委員会は原発の新しい規制基準を正式決定した。規制基準の主な内容は、以下のとおりである。
 中央制御室の代替となる「特定安全施設」の設置(五年間猶予)/事故時の前線基地「緊急時対策所」の建設(仮設でも当面可能)/フィルター付きベント装置の設置(加圧水型原発の大半は五年猶予)/ケーブル交換など火災対策/活火山、竜巻対策の強化/冷却装置、電源設備の多重化・多様化/想定される最高津波の高さに応じた安全対策/防潮堤などに最高の耐震性要求/必要に応じて「四十万年前以降」までさかのぼった活断層調査/活断層直上の重要施設設置禁止。施行日は七月八日とし、同日から電力会社の再稼働申請を受け付ける。同時に、原発の運転期間を原則四十年とする「改正原子炉等規制法」(最大二十年の延長は可能)が施行される。
 審査に半年程度はかかるとされ、電力各社は先を競って再稼働の申請を行っている。
 東京電力広瀬社長は「(福島第一原発)事故の当事者、原因者として、事故から学ぶべきものを学んで、そのうえで、安全対策を施してきたつもり」と居直り、福島第一原発事故の原因究明も、事故の終息も出来ていないにもかかわらず、七月二日の取締役会で、いち早く新潟の柏崎刈羽原発の再稼働申請を打ち出した。
 この東京電力の決定に対して、経産相茂木は訪問先のベトナムで「安全性が確認されれば、国として前面に出て、立地自治体や関係者の理解を得られるよう、最大限努力していきたい」と述べ、原発再稼働を積極的に推進することを表明した。
 一方、新潟県の泉田知事は、「(申請は)到底、国民の理解が得られると思えない」、東京電力が地元への説明の前に、申請の方針を決定したことについては「地元との信頼関係を構築する意思がないと、受け止めざるを得ない」「事故の責任も取らない企業が申請をするのは、地元自治体との信頼関係を破壊する行為」と厳しく批判している。
 六月三十日、福井県大飯町では再稼働に反対する集会、デモが全国から結集した四五〇名の参加者で闘いとられた。集会は一年前の大飯原発三・四号機再稼働に対して、夜を徹して阻止行動を闘った経験をふまえ、規制委員会の新基準施行と同時に申請がもくろまれている全国の原発再稼働を阻止すべく闘う事を確認した。
 安倍政権にとって原発再稼働は、アベノミクスを成功させるために欠くことのできない重要な課題となっている。経済活動に欠かせない電力の安価な供給が利益に直結し、成長戦略の鍵となっているからだ。また、世界中で原発輸出のトップセールスを積極的に展開し、原発輸出で莫大な利益を上げようとしている。安倍は四月二十八日から五月四日のロシア、サウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)、トルコ歴訪でも原発の売り込みを懸命に行ない、トルコでは三菱重工を中心とする企業連合が事業費二兆円を超える原発建設を受注している。安倍政権の原発輸出はインド、ベトナム、台湾をはじめとするアジアや、中東、東欧など世界に広がっている。福島第一原発事故の経験を教訓にせず、核のゴミの処理方法もないままに、危険な原発を輸出し、莫大な利益を経済再建の糧にしようとする安倍政権の原発セールスに対して、世界の労働者人民と連帯した反原発・原発輸出阻止のたたかいを広げていかなければならない。
 生命と環境を危険にさらすことと引き換えの経済再建など、決して認められるものではない。日本プロレタリアートの階級的責務として、安倍政権の原発再稼働と原発輸出に対する闘いに総力で立ちあがろう。


 

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