共産主義者同盟(統一委員会)


1411号(2013年3月5日) 政治主張






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  安倍政権打倒!原発再稼動阻止!

  13春闘勝利に向け総決起を





 全国で闘う仲間のみなさん。13春闘の闘いがすでに開始されている。登場した安倍自公政権は、労働者に対して徹底した搾取と収奪を激化する反動政権である。
 軍事大国化と新自由主義を推進し、独占資本の利益のみを防衛する安倍政権は労働者の生存権をも破壊しようとしている。この攻撃と真っ向から対決する階級的な労働運動の前進こそが要求されている。
 13春闘の闘いの前進で、相対的下層の労働者、中小・零細・非正規の労働者の闘いを前進させ、労働運動の階級的再生の一大前進をかちとろう。


  ●1章 13春闘をとりまく情勢

 資本主義は今、さらなる危機のなかにある。戦後世界体制の再編の中で、新自由主義グローバリゼーションという米帝の巻き返し戦略が登場した。だがリーマン・ショック以降世界的な金融恐慌は、現在の金融独占資本主義の根底的・歴史的危機を解決できないことを示している。
 現在の世界的な資本主義の引き続く危機は、その延長線のうちにある。米帝は、〇八年恐慌に対して、大幅な「金融緩和」、金融機関・大企業への国家的救済、また膨大な「財政出動」によるテコ入れをおこなった。だが依然として景気は回復せず、失業率も高止まりしている。そして国家債務の拡大のなかで「財政の崖」に直面したオバマ政権は、国家デフォルトさえむかえる危機となっている。
 米帝の新自由主義グローバリゼーションという世界支配の巻き返しは明らかに破綻しつつある。このなかで、環太平洋経済連衡協定(TPP)という社会構造自体を米国型に再編することを通して、米帝の独占資本の利益のみを追求する攻撃を本格化させている。まさに、アジア太平洋全域に米帝型のシステムをおしつけることでしか米帝が生き残れないという段階にいたっている。
 IMF・世銀総会をみても、すでに新自由主義グローバリゼーションの破産はあきらかであり、世界的な経済危機の解決策はみあたらず、経済破綻と国家間の格差は拡大しつづけ、世界的危機は増幅されているのである。
 そして、この間、世界経済の地勢的拡大に伴い、統一的世界市場のなかで拡大を続けてきたBRICsと言われる国々においても状況は膠(こう)着状態にいたっている。膨大な人口を有し、世界市場の拡大を担ってきた中国をはじめとする国々における格差の拡大など国内階級矛盾の激化と「経済成長」の鈍化は、この間の統一的世界市場の拡大が極点にいたったことを示している。
 この歴史的な段階において、資本主義―新自由主義グローバリゼーションに対する国際的な労働者人民の反撃が開始されている。EU諸国では、給与の削減・年金の削減・社会福祉の切り捨て等という根底からの生活の破壊に対して、昨年11・14に欧州労連の呼びかけで二十八ヵ国八百万人を上回る労働者の参加で一大抗議行動がおこなわれた。これをはじめとして創意にあふれる直接行動が各国で闘いぬかれている。文字どおり、生存権をかけた闘いである。また、中国やインド等においても多国籍企業の劣悪な労働条件の強制に対してストライキをはじめとした労働者の直接行動が陸続と続いている。
 国内においても、昨年7・16代々木公園における「脱原発」の十七万人の結集をはじめとした反原発の闘いや、沖縄における基地撤去の闘い等、労働者人民の生活と権利の防衛をかけた闘いが確実に拡大している。まさに資本主義と労働者人民の矛盾の拡大のなかで世界的な階級闘争が開始されているのである。
 このような情勢のなかで登場した安倍政権との総対決として13春闘は闘われている。新自由主義攻撃による階級矛盾の激化のなかで成立した民主党政権は結局のところ支配階級の政権と化し、労働者人民の要求をふみにじってみじめな破産を刻印した。深化する危機のなかで官僚・独占資本・マスコミ等の支配階級の総動員で成立したのが安倍政権である。だが安倍政権は、比例区をみれば得票率が27・6%しかない自民党が、小選挙区で79%の議席をしめ、全体で二百九十四議席をしめるという小選挙区制という選挙制度に助けられて生まれた政権である。
 支配階級が全勢力を傾注した結果は、最低の投票率と選挙制度による「圧勝」である。労働者人民は、議会という「間接民主主義―代議制」という方法は、どの政党にたよっても自らの状態を解決するものではない。労働者人民がみずからの直接的な行動によってこそ問題は解決しうるということを自覚してきているのだ。
 だが、登場した安倍政権は、労働者にとって最悪の反動政権であることは間違いない。安倍政権は、第一に、新自由主義政策をさらに激化させ、労働者の搾取・収奪を強める政権である。「アベノミクス」なる政策は破産する。「金融緩和」によるインフレターゲットと円安誘導、「財政出動」による独占資本の利益拡大、「成長戦略」なるさらなる「規制緩和」による社会構造の再編による搾取・収奪の激化である。
 この結果、「ごく一部の富めるものはより豊かになり、圧倒的多数の貧しいものはより貧しくなる」のである。国家による独占資本の救済のツケは労働者にまわされる。消費税増税、賃金の切り下げ、社会保障の切り捨て、失業と不安定雇用の拡大等、生活はますます破壊されるのである。
 第二に、武力行使も含めた戦争国家づくりを激化させていることである。激化する国内階級矛盾を排外主義のもとに人民の不満を集約することで幻想をつくりだし、激化する資本主義間の「競争」へと人民を動員しようとしている。「中国の脅威」や「領土問題」を全マスコミを動員して煽動し、防衛予算の拡大、「集団的自衛権」のなし崩し的な実質化をすすめ、「九六条」改憲(憲法の改正要件を、衆参各議院の三分の二以上の賛成から過半数の賛成に改悪)から「九条」改憲をすすめようとしている。また、沖縄・岩国等の基地強化をおこなおうとしている。
 そして第三に安倍政権は、原発の再稼働・新設を推進し、被災地・住民を切り捨てようとしている。まさに、労働者人民にとって真っ向からの敵である。安倍政権との総対決こそが労働者階級に問われている。


  ●2章 13春闘の勝利にむけ闘おう

 13春闘においてかちとるべき要求の第一は、賃金の大幅引き上げである。政権・マスコミは「数年我慢すれば景気がよくなり、賃金があがる」というキャンペーンをおこなっている。だがそれが、まったくのデマであることは、「小泉政権」以来証明されたことである。実際、日本経団連は一三年版経営労働政策委員会報告で、賃金の引き上げを断固拒否しており、それどころか「定期昇給」の見直しさえねらっている。資本家どもは「企業利益の内部留保第一、株主への配当第一」「総人件費の削減」という「新時代の日本的経営」を変えるつもりはないのである。
 実際、完全失業率4・2%、有効求人倍率0・8%と依然として雇用情勢は厳しく、公務員の賃金・退職金の大幅引き下げをはじめとして賃金の切り下げが拡大している。
 連合はベア1%をうちだしているが、資本の「パートナー」となった連合はそれすら実現する気もないのである。
 これに対して全労協は、「月額一万七千四百円、時給百円の引き上げ、だれでもどこでも月額十七万円、時給千二百円」をうちだしている。これを絶対にかちとらなければならない。大企業の内部留保をはきださせ、下請けにまわせば大幅賃上げは可能なのである。中小・零細・非正規の労働者が生活できる賃上げをかち取ろう。
 そして同時に、改正労働契約法の四月からの施行にともなって、年度末に有期雇用労働者の雇い止めや契約解除の多発が予想される。リストラ・解雇、雇い止め、派遣切りを許さず闘うことが必要である。中小・零細・非正規労働者を中心とする13春闘としなければならない。
 さらに、生活保護費の引き下げにともに、最低賃金の引き下げも策されている。最低限の生活すら破壊せんとしているのである。この攻撃を粉砕しなければならない。「成果主義」賃金制度の導入等によって、労働者間に「競争主義」が導入され、長時間労働やサービス残業が横行している。労働者の生活と権利と団結を破壊する制度そのものと闘わなければならない。
 第二は「規制緩和」「労働法の改悪」の攻撃と闘いぬくことである。資本の自由のままに労働者を働かせるという、新自由主義の基本的政策によって「労働市場の柔軟化」が推進され、労働者の基本的権利が剥奪されてきた。この「規制緩和」に対して労働法制の抜本的改正の闘いが実現されてきた。だが「改正派遣法」や「改正労働契約法」は労働者の権利の防衛とはほど遠いものである。「抜本改正」の闘いを強化しなければならない。同時に、「整理解雇四条件」の破壊の攻撃の激化に対してたたかわなければならない(注)。
 また、闘う労働組合に対するデッチあげ不当逮捕等の攻撃が拡大している。資本に反抗する労組を弾圧によって解体することをもって、労働者の反撃を解体せんとする攻撃である。断固として粉砕しなければならない。
 第三は、安倍政権の軍事大国化―改憲攻撃、排外主義への動員、原発の推進と闘いぬくことである。安倍政権は日米安保同盟のもとに、実際に世界で戦争ができる国への全社会的な再編を推進している。それと一体に、「中国の脅威」や「テロ」「領土問題」をマスコミや民間右翼を動員して煽動している。
 この攻撃と真っ向から対決していくことは、労働者階級にとって自己の生活と権利を防衛していくうえで必須の闘いである。「他国の労働者に銃をむけるものは、決して自由ではありえない」し、それは労働者にとって「犯罪」であり、階級としての「死」を意味する。歴史的な、国際的な労働者階級の闘いを断固として継承することが問われている。
 日米同盟―米軍再編という基地強化と闘わなければならない。沖縄・岩国をはじめとした闘いを全国に拡大していくものである。オスプレイの強行配備・訓練に反対する闘いを強化し、普天間基地即時返還―辺野古新基地建設阻止を沖縄労働者人民と連帯して闘おう。岩国基地は「本土」における最大の海兵隊基地として一大強化されんとしている岩国における闘いを、愛宕山米軍住宅建設反対をはじめとして、岩国住民と結合した全国の労働者の闘いで勝利させよう。オスプレイの訓練を阻止する闘いを全国で推進しよう。
 そして決定的な段階をむかえようとしている改憲攻撃と闘うことである。今や改憲勢力は衆議院の九割にもなっている。安倍政権はこれを根拠に改憲策動を強めている。労働者階級が自らの闘いで、この策動を粉砕することが問われている。
 また、反原発闘争のさらなる前進を実現することである。原発と人間・自然は相いれないことは明白である。労働者は全力を挙げて反原発の闘いを闘いぬいてきた。安倍政権は官僚・財界と結合し、再稼働・新設を推進するのみにとどまらず、核武装計画を推進しようとしている。大衆的な闘いの全国における結合を推進し、反原発闘争を前進させ、すべての原発の廃炉まで闘おう。同時に「除染」作業をはじめとした被曝労働におけるデタラメな管理とピンハネに対して起ちあがった労働者の闘いに連帯して闘おう。
 今こそ、労働運動の社会的な位置を自覚し、全社会的な攻撃に対して労働運動が先頭で闘うことが要求されている。これを13春闘の基軸的課題として闘おう。
 第四は、中小・零細・非正規労働者を中心とする春闘として闘いぬくことである。中小・零細・非正規労働者の生活と権利を前進させる闘いは、現在「けんり春闘」として継続的に実現されている。労働運動の歴史的な弱点を克服し、かつ現在の新自由主義攻撃の中で、「生存権」すら解体されんとしている「プロレタリア下層」(労働者の圧倒的多数)の利益の防衛と要求の実現を抜きに、政府・資本と闘い勝利することはとてもできない。
 労組の組織率が18%を割り込む中、ほどんとが未組織である中小・零細の労働者や非正規の労働者を労組に組織していくことが絶対に不可欠である。
 このために労組間の共闘を強化し、地域の共闘が拡大されなければならない。13春闘の只中であらゆる争議の勝利をかちとる連帯を強化し、その力を未組織の労働者の組織化の拡大へと結合させていかなければならない。
 すべての全国で闘う仲間のみなさん。4・9けんり春闘中央総行動を中心とする13春闘勝利のために闘おう。ストライキに決起する労働者を先頭に、安倍政権・資本に対して闘いぬこう。


  ●3章 階級的労働運動の前進かちとろう

 現在、労働運動において、歴史的な労働運動の弱点を突破し、新自由主義に根底から対決しうる労働運動の構築の努力が開始されている。われわれは、多くの労働運動の先進的な活動家・指導部におけるこの努力と結合し、階級的労働運動の前進を実現しなければならない。そのための課題の第一は、新自由主義グローバリゼーションと闘う国際的な労働運動の結合と連帯を実現・強化していくことである。金融独占資本をはじめとする独占資本は世界的に利益をむさぼっている。全世界の圧倒的多数の労働者は貧困と権利破壊に直面している。この資本主義の支配に対しては、ただ労働者の国境を越えた闘いと団結こそがこれに対抗しうる武器である。すでにこの闘いは開始されている。政府・資本による分断を越える闘いを拡大していこう。
 第二は、戦後的な階級支配の転換の攻撃のなかで、労働運動・労働組合の転換を実現することである。企業内労組・大企業労組を中心とした現在の労働運動の構造から、中小・零細・非正規という多数の労働者を組織する労組を中心とした構造への転換を実現すること。そして企業内労組を越える新たな労働組合運動を創造しなければならない。それは、産別・業種別労組と地域労組を結合し、職場を根拠としながら、より社会的であり、労働者の直接的参加を実現する構造である。全国的で、独占資本・政府に対して有効に闘うことができ、かつ現場の労働者が団結の中心である労働組合を作り出さなければならない。このための議論と実践が開始されている。この闘いを前進させよう。
 第三は、資本主義に代わる「労働者の社会」を作るという課題を鮮明にしていくことである。すでに、資本主義は「死」への道をつきすすんでいる。労働者人民から搾取・収奪を露骨に暴力的におこなうことしかできない。だが、自動崩壊はしない。ただ「新たな歴史の主人公」たる労働者階級の闘いによってしか崩壊はしない。このことを鮮明にし、「労働者を主人公とする社会」―社会主義によってこそ現在の状態からの解放があることを実践的にしめしていくことが必要なのである。
 13春闘の只中から、労働者階級の未来の獲得にむけて全力で闘いぬこう。

※脚注
二〇一二年、国会で「労働者派遣法の改正」、「有期契約法制(労働契約法改正)」、「高齢者雇用安定法の改正」がおこなわれた。果たして改正と言えるか否か大いに議論の余地があるが、成立した以上、闘いの現場で使えるようにしていく必要がある。

「労働者派遣法の改正」
昨年十月から施行。法律名が「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」と改められた。三十日以内の日雇い派遣の原則禁止、グループ企業派遣の八割規制、均等待遇、などが盛り込まれたが抜け道が多い。懸案の登録型派遣と製造業派遣の「原則禁止」規定はもりこまれず、違法派遣の場合の雇用みなし規定の施行も、二〇一五年十月に延期となった。

「有期契約法制(労働契約法改正)」
二〇一三年四月から完全施行。「五年を超えて反復更新された有期契約の無期契約への転換(労働契約法一八条)」、「最高裁で確定した雇止め法理の法定化(同一九条)」、「有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めのあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁止(同二〇条)」などを内容とする。

「高年齢者雇用安定法の改正」
二〇一三年四月から施行。使用者は六十歳定年後も労働者が雇用継続を希望すれば六十五歳まで継続雇用しなければならないことの義務化。従来は過半数を超える労働組合か、労働者の過半数を代表するものとの協定があれば、継続雇用するものの基準を設けることができた。但し、ひどい場合は半減、といわれる賃金水準の低下についての規制はなし。


 

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