共産主義者同盟(統一委員会)


1408号(2013年1月20日) 政治主張






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   ●第二新年号論文

   反基地・反原発・反貧困、排外主義粉砕

  安倍右翼反動政権を打倒しよう!





 安倍政権の登場によって、二〇一三年のたたかいは、反原発闘争や反基地闘争の帰趨を決すると言ってもよい、きわめて重要な年となる。わが同盟は、階級闘争の前進のために、総力で、たたかう。全国の労働者、学生が、ともに闘うことを訴えるものである。
安倍政権が、自公連立政権として発足した。民主党政権への幻滅は自公政権を再び登場させることとなった。そもそも、民主党政権が成立したのは、小泉政権によって急進的に推進された新自由主義政策のもとで、格差社会が到来し、労働者人民の生活がとことん破壊されたことへの反発であった。民主党政権は、「国民の生活が第一」とし、広範な労働者人民の期待を引きつけることによって成立した。にもかかわらず、民主党政権は、三年余の間、そのすべてを反故にし裏切り続けた。民主党政権は、結局、新自由主義と日米軍事同盟重視という自民党と何ら変わることのないものとなった。民主党への幻想は完全に消え去り、その結果、自民党が再び政権についたのである。だが、自民党は決して労働者人民の支持を獲得したわけではない。自民党が圧勝した根拠は、小選挙区制によるものであり、現に、比例区での政党支持率は決して増大したわけではない。多くの労働者人民が投票を棄権し、戦後最低の投票率のなかで成立したのである。
成立した安倍政権は、まったく反動的な右翼政権である。第一に、安倍政権の性格は、長期的な危機に瀕する日本帝国主義の危機を、右から突破しようとする政権であるということだ。安倍自身が、「危機突破内閣」と名付け、現状を右から突破することを宣言しているのだ。安倍政権は、自らの反動的で右翼的な政治を全面的に推し進めるために、夏の参議院選挙に勝利し、その条件を確立することを当面の目標としていこうとしている。第二に、日米軍事同盟強化、米軍再編の強行、辺野古新基地建設の強行、岩国基地大強化、集団的自衛権容認を進めつつ、自衛隊の国防軍への変更など九条改悪を要とする憲法改悪を目指す政権だということだ。戦争国家化へと突入していく政権なのである。沖縄や岩国など全国の反基地闘争にとって、真正面からその解体と基地建設・強化を強行してくる安倍政権との対決は、たたかいの帰趨を決する。第三に、原発推進内閣だということだ。安倍政権は、反原発闘争を解体させ、原発推進、今夏以降の再稼働ラッシュを狙っている。民主党政権は、実際は、原発を再稼働させながらも、三〇年代原発ゼロなどと口先では主張せざるを得なかった。だが、安倍政権は違う。真っ正面から原発を推進し、新規原発建設、再稼働を進め、反原発闘争を解体させるために攻勢をしかけてくる政権だということにある。第四に、領土・領海問題、戦後補償問題などで、排外主義と愛国主義のもとへ人民を真正面から組織しようとする政権だということだ。日本軍慰安婦問題で強制はなかったと主張し、河野談話の撤回など、かつての侵略戦争をまるごと肯定し、人民を排外主義と愛国主義へと組織することで支持基盤を形成しようとする政権であるということだ。安倍政権の多くの閣僚が、日本会議議連、靖国議連、神道議連、教科書議連、改憲議連など、名だたる右翼、歴史修正主義者で占められている。第五に、デフレからの脱却を掲げ、金融緩和とともに、無駄な公共事業への財政出動を行いつつ、結局は新自由主義路線をより全面化していく政権だということにある。選挙公約とは裏腹にTPPへの参加もすでにほのめかし始めている。また、消費税増税、社会保障の削減、市場化を進めようとしている。すでに、生活保護費の削減を公言している。安倍政権のもとで、人民の生活破壊は一層推し進められる。
 安倍政権は、夏の参議院選挙で勝利すれば、一挙にその右翼反動政権としての攻撃を全面化してくるであろう。日本維新の会などの極右勢力を突撃隊としながら、憲法改悪と戦争国家化へ踏み込んでくるであろう。安倍政権に対して総抵抗を組織せよ。辺野古新基地建設阻止、岩国基地大強化粉砕、原発再稼働阻止、安倍政権との総対決を。アジア諸国地域人民とともに、反帝政治闘争の前進を組織していこう。階級的労働運動、青年運動、学生運動の前進をともに推し進めよう。プロレタリア国際主義と権力闘争の前進を、わが同盟とともに切り拓いていこう。
 今号は、前号につづく第二新年号として、第四章 政治運動方針、第五章 労働運動方針、第六章 青年運動方針、第七章 学生運動方針を掲載する。



  
■第4章―政治運動方針

  反帝国際主義で反戦反基地闘争と
  反原発闘争推進し安倍政権打倒せよ


  ●1節 反基地、反原発を軸に闘った2012年政治闘争


 昨二〇一二年われわれ共産主義者同盟(統一委員会)は、反戦反基地、反原発運動の推進を基軸としつつ、第三誘導路と市東さんの土地強奪を許さない三里塚闘争への決起、障害者解放闘争、部落解放闘争、女性解放闘争、被爆者解放闘争、入管闘争の各戦線での闘い、首都圏と関西における党派共闘による反帝政治闘争に継続して取り組んだ。またアジア共同行動日本連(以下AWC日本連)の呼びかけに応えともに六月と十月のAWC各地区集会の開催、十一月岩国行動への総力決起、沖縄、韓国への派遣団の組織化などを闘った。
 まさに反戦反基地闘争と反原発運動を政治闘争の焦点として定め、激動する日本階級闘争の只中で、反帝国際主義を核心とする革命的左翼として、首都圏―関西―九州・山口を貫いて街頭政治闘争へ決起し、あるいはそれぞれに地域における反戦反基地、反核、反原発の共同闘争を全力で闘いぬいた。

  ▼4章―1節―1項
  沖縄―「本土」貫くオスプレイ配備阻止闘争


 二〇一二年の闘いを総括し、われわれの闘いが切り拓いた政治的組織的地平を明らかにする。
 二〇一二年われわれは第一に、米軍のアジア太平洋地域の再編と一体に日米軍事同盟を強化し、中国・朝鮮民主主義人民共和国(以下共和国)をにらんだ侵略反革命戦争体制の構築をはかる日帝―野田政権と対決し、普天間基地の辺野古移設・オスプレイ配備阻止闘争、岩国闘争を基軸として反戦反基地闘争を沖縄―「本土」を貫き闘った。
 一九七二年の反革命的統合から四十年目の沖縄では、米軍基地の過重負担、米兵による事件事故は後を絶たず、差別軍事支配の過酷な状況が続いている。オスプレイの普天間配備はこの過酷な状況にさらに追い討ちをかけるものであり、辺野古新基地建設阻止を続けるなら普天間基地の固定化すら策動する日米政府に対する沖縄人民の怒りは、島ぐるみの闘いとなって爆発した。
 沖縄人民は、六月十七日の「普天間飛行場へのオスプレイ配備に反対し、固定化を許さず早期返還・閉鎖を求める宜野湾市民大会」から九月九日十万一千人が結集した「オスプレイ配備に反対する県民大会」へと闘いを拡大していった。四十一市町村全てでオスプレイ配備反対の決議があがり、「オール沖縄の総意」として沖縄はオスプレイ配備を拒否した。沖縄の島ぐるみの反対運動に対し、民主党政権は「沖縄の声に耳を傾け」「丁寧な説明」と言いつつ、米軍の要求に唯々諾々と従って「安全宣言」を出し普天間基地へのオスプレイ配備を強行してきた。
 九月下旬、翌月のオスプレイ本格運用をにらんで岩国基地に強行搬入したオスプレイ十二機の普天間配備が強行された。これに対し沖縄では「オスプレイの配備に反対する県民大会実行委員会」を中心に、九月二十七日から三十日にかけて、普天間基地のゲート前座り込み・占拠の闘いに立ち上がった。ゲートを封鎖し基地機能を麻痺させることで、オスプレイの配備を阻止する闘いだった。大山、野嵩、左真下の三ヵ所のゲートで警察権力との激しい攻防が闘われた。二十九日には普天間基地の三ヶ所のゲートを完全に封鎖することに成功した。警察権力の排除に対し体を張った座り込み闘争が貫徹された。
 われわれは沖縄人民のオスプレイ配備阻止の闘いに連帯し、「本土」における配備反対行動、沖縄連帯の闘いに全国で立ち上がった。AWC日本連の呼びかけに応え五月沖縄現地闘争に断固として立ち上がった。首都圏においては「辺野古への基地建設を許さない実行委員会」や「オスプレイ沖縄配備に反対する首都圏ネットワーク」が、県民大会に連帯する同時アクションとして、8・5集会デモ、9・9国会包囲行動、オスプレイ配備強行に抗議する十月十一月の首相官邸前や防衛省前での連続行動に立ち上がり、われわれも全力で取り組んだ。関西においても、京都・大阪を中心に大衆的な沖縄支援運動陣形の構築に取り組んだ。京都での円山野音での集会・デモや大阪での「しないさせない戦争協力 関西ネット」集会・デモが取り組まれた。
 神奈川における反基地運動への取り組みでは、厚木基地の違法爆音との闘いや座間―米陸軍第一軍団司令部の移設やこれと連動する自衛隊の中央即応司令部移転、核空母ジョージ・ワシントンの横須賀撤去の闘いに取り組んだ。既存基地内での再編強化に対する反対運動は困難を極めるが、ねばり強く取り組んでいる厚木基地爆音防止期成同盟・第四次厚木爆音訴訟原告団や県央共闘など、地元反基地団体に連帯し、現地闘争に決起した。
 AWC日本連の呼びかけに応え反戦反基地の国際共同闘争に立ち上がった。十一月岩国行動への総力結集と六月と十月のAWCの各地区集会を中心に、沖縄の五月現地闘争への派遣団組織化やオスプレイ配備反対運動の全国での推進、韓国李明博政権の入国拒否弾圧を打ち破って八月チェジュ島の海軍基地建設反対闘争や労働争議現場での交流・連帯、フィリピン労働運動と連帯するISA派遣、十月IMF世銀総会東京開催への抗議行動、九州・山口、関西を中心に「一の日行動」や裁判闘争への参加などの岩国闘争支援を取り組んだ。六月のAWCの各地区集会には、韓国からAWC韓国委員会と左派労働者会の仲間が結集した。七月普天間に配備されるオスプレイ十二機の岩国基地搬入と闘った現地闘争には、九州・山口、関西、東京から駆けつけて岩国市民とともに闘った。
 AWC日本連とともに総力を結集して取り組んだ2012岩国行動では、沖縄、岩国、神奈川、韓国、フィリピンなどアジア太平洋における反基地共同闘争として成功をかちとった。七回目を迎えた岩国行動は、愛宕山米軍住宅建設、空母艦載機の移設と闘う岩国市民との共闘関係を強化し、信頼を勝ち得ている。
 AWC日本連は、反戦反基地運動の推進とともに、済州海軍基地建設反対闘争に連帯する韓国大使館・領事館に対する抗議行動、共和国の「人工衛星打ち上げ」を「ミサイル発射実験」と決めつけ破壊措置命令を発動する排外主義攻撃を弾劾する防衛省抗議行動、反原発運動の大衆行動に結集した。
 首都圏と関西においては、党派共闘による反帝政治闘争を闘った。十月IMF世銀総会東京開催に対し、戦争と貧困を拡大する新自由主義グローバリゼーションの機関としてIMFと世銀を弾劾する政治闘争に立ち上がった。

  ▼4章―1節―2項
  福島・大飯現地をはじめ全国各地で反原発に決起

 第二にわれわれは、反原発運動を闘った。一昨年3・11東日本大震災と原発事故によって、福島を中心に東北地方・関東地方は甚大な被害を受けた。地震・津波によって冷却機能を喪失し、大爆発事故を起こし、大量の放射性物質を大気や海洋に放出した。福島では今なお十六万人が避難生活を余儀なくされ、福島第一原発事故の収束は全く見通せない状況だ。一~三号機は、核燃料棒が崩壊熱によって溶けて圧力容器の底に溜まるメルトダウンから、圧力容器の底を突き抜け格納容器にも穴があくメルトスルーの状態にまで至っている。現在はなんとか循環注水冷却システムで冷却を続けているに過ぎない。放射線量が高すぎて近付くことこができず内部の状態を把握することができない。圧力容器や格納容器に穴があいているため、高濃度汚染水が原子炉建屋やタービン建屋の地下に漏れ出し、雨水や地下水の流入もあり、それらを処理した膨大な汚染水がたまり続けている。四号機も水素爆発によって建屋上部が吹き飛ばされ、使用済み核燃料プールがむき出しとなり、建屋の強度は低下し、余震による倒壊が危ぶまれている。圧力容器や格納容器に溶けて溜まっている核燃料を取り出す方法も見つかっていない。
 事故によって環境に放出された放射能によって福島は東半分が放射線管理区域(毎時0・6マイクロシーベルト以上)レベルに汚染され、その中で福島の人たちは放置されている。現在も汚染された地下水は海へ流出し、大気中に放射性物質は放出されている。
 復興キャンペーンの下で、被曝の現実は隠蔽されている。年間100ミリシーベルトまでは影響ないというという山下俊一が、福島県立医科大学副学長に就任し、低線量被曝の影響を否定し、「安全」をでっち上げ、福島の人たちの被曝を放置している。まさに政府、東電、福島県の共謀による「原発事故による健康被害」の組織的隠蔽である。徹底的に弾劾しなければならない。
 福島第一原発事故は、日本労働者階級総体に対して原発をどうするのか、放射能と人類は共存できるのかという課題を突きつけた。政府や電力会社がキャンペーンしてきた経済性や安全性は徹底的に崩壊した。放射能汚染は取り返しのつかない被害を人間と環境に与える。原発推進政策は、日帝の核武装や米帝の核支配と一体のものして推進されてきた。
 われわれは大震災・原発事故から一ヵ年の昨年三月十一日、全国で反原発闘争を闘い、特に首都圏では全力で福島現地闘争へ決起した。前段では福島現地で闘っている労働者を囲んでの交流会を成功させた。全国に広がった再稼働反対、原発廃炉の要求を掲げた人民の決起と結びつきながら、反原発闘争を全国で展開した。大飯原発の再稼動をめぐる情勢の煮つまりの中で、首都圏反原発連合が呼びかける首相官邸前行動には、再稼動に反対し原発の廃炉を要求する巨万人民が押し寄せた。
 六月、七月の首相官邸前での反原発運動のエネルギーは圧倒的であった。金曜日六時半から反原発首都圏連合が呼びかける抗議行動に結集する人民によって、日帝国家権力の中枢である霞が関・国会議事堂周辺は埋め尽くされた。仕事帰りの労働者や青年・学生、高齢者、子供を連れた母親たちなど、これまで政治行動に参加することのなかった人民が結集し、歩道から車道にあふれた人民の波は、警備の警察権力もたやすく撥ね退け首相官邸前や国会議事堂前を占拠した。甚大な放射能汚染の処理や第一原発事故の収束がまったく見通せず、事故の原因すらわかっていないのに、電力不足を理由にして原発維持・再稼動に突き進む日帝―野田政権に人民の怒りが爆発したのだ。五月には全ての原発が稼動を停止しても、電力不足は起きないことがはっきりして、いよいよ原発からの脱却が可能ということを労働者人民は確信し、野田政権によるペテン的な説明に憤慨した。
 関西における大飯原発の再稼働との闘いでは、地元の反原発団体に関西、首都圏の反原発運動が合流し闘いを展開した。再稼働が迫った昨年六月三十日から七月一日にかけて再稼働を阻止するためにテントを設営し道路を封鎖する直接行動が果敢に闘われた。
 首都圏では、反原発運動の拠点となった経産省前テント村や福島の女たちと結びついて運動を進めてきた。6・29首相官邸前二十万人や7・16代々木公園の十六万人の歴史的な大結集を全人民的政治闘争として位置づけ、総力で闘った。反原発集会への決起とともに、福島との具体的連帯の取り組みとして、放射能汚染の中で放置され復興キャンペーンの下で反原発や被曝の恐怖を語ることすらできない福島の人々と結びつき、原発がある限りあるいは廃炉の過程でも避けてとおることのできない被曝労働への取り組んできた。東電首脳陣や原発の安全性にお墨付きを与えてきた御用学者、原発を推進した官僚を告訴告発する告訴団運動への取り組み、子供を被曝から守り、国家の責任による避難をもとめる福島集団疎開裁判支援を通して、われわれの反原発運動の内容をより豊富化するために闘った。

  ▼4章―1節―3項
  反帝闘争拠点、諸戦線の解放闘争堅持し闘い抜く

 反戦反基地闘争、反原発闘争とともに、沖縄解放闘争、三里塚闘争を堅持し推進した。三里塚では、天神峰の市東さんをたたき出そうとする第三誘導路の建設強行阻止と、農地法によって農地強奪を企てる空港会社との裁判闘争が闘われた。反対同盟は、昨年一月七日同盟の中軸であった鈴木謙太郎さんの急逝という困難を乗り越えて、空港会社の攻撃に一歩も後退することなく対決した。われわれは、三月、十月の全国総決起集会に総力で決起し、現地攻防、裁判闘争、援農を担う現地支援体制を堅持し、反対同盟とともに闘いぬいた。
 沖縄解放闘争では、沖縄労共闘とともに沖縄人民の自己解放闘争と固く連帯し、沖縄―「本土」を貫いて辺野古新基地建設、オスプレイ配備、高江ヘリパット建設に反対して全力で闘った。
 障害者解放闘争、部落解放闘争、女性解放闘争、被爆者解放闘争、入管闘争の各戦線においては、被抑圧人民・被差別大衆の自己解放闘争を推進し共に闘い抜いた。

  ●4章―2節
  安倍右翼反動政権打倒  2013年政治運動方針


 昨年十二月十六日に行われた第四十六回総選挙では、自民党が二百九十四議席を獲得し、公明党とあわせて国会運営の絶対安定多数の三百二十議席を越える三百二十五議席を獲得し、極右安倍を首相とする右翼反動政権が成立した。石原、橋下に率いられた日本維新の会も五十四議席を獲得し、第三党に躍進した。一方民主党は、七人の現職閣僚が落選するなどわずか五十七議席にとどまり、壊滅的な敗北を喫した。反原発の受け皿として滋賀県知事嘉田由紀子らが設立した日本未来の党も九議席を獲得したのみで、労働者人民の反原発要求を取り込むことに失敗した。原発に反対する層の支持を集約できなかった。同日行われた東京都知事選挙においても、石原都政の継承を掲げる猪瀬が、他候補を寄せ付けず圧勝した。反貧困・脱原発の宇都宮候補は、勝手連運動のひろがりも見られたが、届かなかった。労働者人民に広範に共有されている原発ゼロの要求が、必ずしも投票行動として反原発候補に集中されたわけではなかった。また労働組合を標的とした公務員たたきや反「日の丸」「君が代」運動の解体を狙った教育「改革」を推進した橋下がつくった日本維新の会が、一定の支持を獲得していることも見逃すことは出来ない。長期不況とデフレ経済の下で、労働者人民の生活困窮と貧困化、社会を覆う閉塞感のなかで、「領土問題」や反中国の排外主義煽動に少なからず取り込まれていることも事実だ。

  ▼4章―2節―1項
  戦争・排外主義攻撃と対決し安倍政権打倒へ


 二〇一三年われわれの政治任務のまず第一は、安倍右翼反動政権打倒を掲げて、断固として反政府闘争に立ち上がることである。自衛権を明記し「国防軍」を創設しようとする憲法九条の改悪、村山・河野談話の見直し、集団的自衛権の行使などを公約に掲げ、侵略反革命戦争体制の構築を鮮明にする安倍反動政権によって次々と打ち出されてくる戦争と排外主義攻撃と対決しなければならない。
 安倍自民党は選挙では大量に議席を獲得したが、労働者人民の圧倒的支持を受けたものでは決してない。自民党は、選挙直前の政党支持率では21%で、比例区の得票数では二〇〇九年総選挙を下回っていた。その自民党がここまで大勝できたのは、民主党政権に対する失望、怒りが自民党へ流れたということ、「第三極」政党の乱立による票割れ、59%という史上最低の投票率が示すように選挙そのものに行かない無党派層の存在が、組織票を持つ自民党・公明党を相対的に有利にし、小選挙区での議席獲得につながったのである。選挙結果のより詳細な分析を行わなければならないが、自民党の圧勝は、労働者人民の憲法改悪や原発推進の自民党選挙公約の全面的な支持を意味しない。そのことは当の自民党が一番認識していることだ。自民党と安倍政権は、すでに今年七月の参議院議員選挙に照準を合わせている。参院選までは、経済再生と景気回復に集中し、右翼反動の本性をかくし自公でも過半数に届かない参議院において三分の二あるいは過半数獲得を狙っている。そして参院選で勝利し、長期政権の足場を固めた上で、あらゆる政策を議会内反対勢力の抵抗を排して、憲法改悪、労働者階級への搾取強化、戦争動員攻撃、日米軍事一体化など侵略反革命戦争体制の強化に乗り出そうとしているのだ。
 参院選までは「安全運転」と言いながらも、安倍政権は政権発足後、矢継ぎ早に新ガイドラインの再改定や自衛隊へのオスプレイ導入の検討、民主党政権の中期防衛力整備計画や防衛大綱の見直しなどを打ち出している。釣魚諸島の領有権問題をてこに、米帝と一体になって中国を軍事的に包囲し封じ込めようとする戦争体制構築に突き進んでいる。
 経済政策においては、デフレ脱却と円高是正のため2%の物価上昇率の目標達成を掲げ、「日銀法の改正も視野」に「大胆な金融緩和」を行い、「国土強靭化」を掲げ大規模な公共投資をする「アベノミクス」を打ち出している。まさに自民党の伝統的な大企業優先とバラマキによる景気対策であり、これによって一時的には株価は上昇し景気は上向くかもしれないが、労働者人民の低賃金や劣悪な労働条件がよくなることはない。見かけの景気上昇をもって消費税増税を狙っているのだ。やがて円と国債が暴落の危機に直面することになる。アベノミクスとともに安倍政権は「自助」「自立」や規制緩和など新自由主義主義政策を前面に出し、生活保護給付の削減や労働法制の規制緩和も打ち出している。労働者階級の一層の貧困化、格差拡大を許すことはできない。労働者階級人民の利害を掲げ、安倍政権の反労働者政策と闘わなければならない。
 安倍右翼反動政権の戦争と排外主義との闘いにおいて、もはや体制内議会勢力には安倍政権の攻撃と対決する思想も力量もない。共産党・社民党は領土ナショナリズム、民族排外主義に屈服している。戦争と排外主義攻撃と対決する革命的左翼の闘いが根本的に問われることになる。自国帝国主義の戦争攻撃と対決するという最も国際主義的な内実が厳しく問われる課題に、真正面から立ち向かわなければならない。われわれが闘うということと同時に、労働者階級人民の組織化をめぐる激烈な階級闘争を勝ち抜かなければならないのだ。まさに革命的労働者党としての組織―綱領―戦術の全てが、日帝との激突に耐えうるのかが容赦なく問われているのだ。安倍政権を労働者階級人民の政治闘争の爆発で打倒する階級攻防をわれわれこそが最先頭で闘いぬこう。

  ▼4章―2節―2項
  沖縄と岩国を基軸に反戦反基地闘争闘おう

 政治闘争の課題の第二は、昨年の闘いを引き継ぎ、沖縄と岩国を基軸とする反戦反基地闘争を闘うことだ。沖縄人民のオスプレイ配備撤回の闘いは、不屈に闘いぬかれている。普天間基地ゲート前では、抗議行動が継続している。
 本年一月二十七、二十八日には、「オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会実行員会」によって総理直訴東京行動が取り組まれる。東京では二十七日「オスプレイ配備撤回、普天間基地閉鎖・返還を求める東京集会」(於:日比谷野外音楽堂)に総力で結集し共に闘おう。沖縄―「本土」を貫いた闘いで、オスプレイの撤去を勝ち取ろう。米軍は今年夏にはさらに十二機オスプレイの配備を強行しようとしている。新たなオスプレイの配備を何としても阻止しよう。
 安倍政権によって、辺野古移設攻撃が民主党政権以上に強まってくることは確実だ。安倍は早ければ一月にも訪米して「民主党が壊した日米関係の修復」し、中国をにらんだ軍事包囲網の強化―新ガイドラインの改定や「尖閣防衛」の協力関係の強化を狙っている。沖縄防衛局は、環境影響評価書の補正書の公告・縦覧を行い、辺野古新基地の埋め立て許可申請の前段手続きは全て終わっている。埋め立て許可申請をめぐる攻防が始まる。高江でのオスプレイパッドの建設も強行されている。オスプレイ配備撤回の闘いとともに辺野古新基地建設を粉砕するために闘わなくてはならない。
 米帝―オバマ政権は、釣魚諸島を「日本防衛義務を定めた日米安保条約第五条の適用対象とする」として、釣魚諸島の領有権対立に一層介入する姿勢を強めている。中国は、領有権について一歩も譲歩せず、日帝に対しますます政治的経済的軍事的な揺さぶりをかけてくるだろう。釣魚諸島における軍事的な緊張はますます強まるであろうし、突発的な交戦という事態も十分予想される。安倍政権は沖縄を、対立の最前線として位置づけ、米軍と自衛隊の強化を一層策動してくる。与那国島への陸上自衛隊配備の計画をはじめ、自衛隊の新たな配備・強化が狙われている。これと一体に、中国や共和国の脅威を煽り、「領土防衛」のスローガンをもって沖縄の反基地運動の抑さえ込みを図ってくるであろう。沖縄人民の差別軍事支配からの解放をかけた反基地運動と連帯する「本土」における反戦反基地反安保闘争を組織していかなくてはならない。沖縄では、十万人が結集した県民大会を開催しても、日本政府はオスプレイ配備を止めず、日米合意を無視したオスプレイの訓練・運用を強行している中で、一昨年の環境影響評価書の「県」庁座り込み行動や普天間基地のゲート座り込み・占拠行動で闘ったように、直接行動によってオスプレイ撤去と新たな配備を阻止する闘いが開始されている。沖縄人民の闘いに連帯しうる「本土」での闘いに立ち上がらなければならない。
 沖縄に連帯する「本土」の闘いとしてわれわれは、AWC日本連、岩国労働者実の仲間とともに岩国における反基地闘争に支援・連帯し、闘いを前進させなければならない。滑走路が沖合に拡張され水深十三メートル、長さ三百六十メートルの岸壁が作られた岩国基地は、強襲揚陸艦も接岸でき、飛躍的に輸送能力が高まり海兵隊の拠点基地として強化された。核空母ジョージ・ワシントンの艦載機が移設され全国で展開されるオスプレイの低空飛行訓練の拠点基地としても機能しようとしている。戦後岩国基地ほど拡大し強化された米軍基地はない。岩国市民はこれ以上基地が強化され、街が米軍に支配され、騒音や米兵の犯罪に苦しめられることを拒否している。毎年の岩国行動とともに、愛宕山の一の日行動や裁判闘争への結集など日常的に岩国市民を支え連帯する闘いを強めなくてならない。愛宕山米軍住宅建設と空母艦載機の移駐を、岩国市民とともに阻止しよう。

  ▼4章―2節―3項
  反核反原発運動に立ち上がろう


 第三に、安倍政権の原発再稼働、原発の維持・推進と対決し、反核反原発運動の更なる拡大に立ち上がらなければならない。昨年民主党政権の下で、原子力規制委員会が発足し「革新的エネルギー環境戦略」が策定されたが、安倍政権は見直しを明確にしている。規制委員会が安全と認めた原発はどんどん再稼働させていく、新たな原発の建設も認める、など福島第一原発の事故以前の原発政策に回帰しようとしている。
 原子力規制委員会が七月に新しい安全基準を作り、再稼動の安全審査がはじまるが、各電力会社はすでに新しい安全基準を見越して再稼働への対策をとり、すぐにでも再稼動できるとように策動している。新安全基準の策定を受けて、夏以降に全国の原発で再稼動の動きが強まることになる。われわれは「再稼働阻止! 全国ネットワーク」とともに、再稼働が目論まれる原発の現地闘争を闘わなければならない。また全国をつらぬいて反原発運動の全人民的高揚の発展のために奮闘しなければならない。労働者人民の再稼働反対・脱原発への支持は変わってはいない。昨年を上回る全人民的な反原発運動の高揚を目指して奮闘しよう。
 首都圏においては、反原発運動の拠点となっている経産省前テントひろばの防衛が重要である。安倍政権によるテント撤去の攻撃と対決しなければならない。経産省前テントの闘いや反原連の金曜行動は、全国の反原発運動を勇気づけ、運動の拡大に大きな影響を与えた。各地の電力会社前での抗議行動が始まり、様々な形態の金曜行動が全国津々浦々で取り組まれた。経産省前テントは全国の反原発運動を支援し、大飯原発再稼働阻止の闘いにもバスを連ねて現地闘争に駆けつけた。経産省前テントの横には福島の女たちのテントもあり、福島の人達と全国の闘いを結ぶ場所ともなっている。反原発運動の拠点・経産省前テントを守り抜こう。
 安倍政権の発足によって、再稼働の強行とともに反原発運動の弾圧も格段に強くなってくる。すでに昨年の大飯原発の再稼働阻止闘争への報復弾圧や、大阪におけるがれき受け入れ反対運動に対する弾圧が行われている。これら不当弾圧を徹底的に弾劾する。再稼働に身構えた反原発運動への弾圧を粉砕しなければならない。
 再稼動を許さない闘いとともに、原発事故による放射能汚染下で、逃げることもできず生活を余儀なくされている福島の人々が政府・福島県・東電を糾弾し、国家の責任による避難、生活再建を要求して闘っている。政府・福島県・東電による低線量被曝の健康被害を隠蔽することは犯罪行為だ。特に低線量被曝によって強い健康被害を受ける子供の避難は緊急の課題だ。また福島第一原発労働者や除染作業労働者を被曝から可能な限り保護し、低賃金や使い捨てを許さない取り組みも重要な闘いである。

  ▼4章―2節―4項
  差別排外主義、領土強奪の野望を粉砕しよう


 第四に、差別排外主義、領土併合の野望を粉砕しよう。中国との釣魚諸島、韓国との独島の「領土問題」を通して、「我が国の固有の領土」を掲げ、日本帝国主義による侵略と領土強奪の歴史を隠蔽し、中国、韓国から領土と主権を守れという領土ナショナリズムと排外主義煽動が吹き荒れている。釣魚諸島、独島も「我が国固有の領土」では断じてない。釣魚諸島は、日清戦争に乗じて清国から日本帝国主義が略奪し、独島も日露戦争に乗じて大韓帝国から略奪したものだ。日本の労働者人民にとって、釣魚諸島や独島の領土問題とはまず何よりも、日本帝国主義によるアジア植民地支配と侵略戦争の歴史的決着をつけていく闘いの重要な一部であって、まさにかつての植民地支配と侵略戦争に対する政治的態度を迫る課題なのである。「我が国固有の領土」や「不法占拠」といった排外主義扇動に反撃し、領土ナショナリズムによる「国民統合」を粉砕しなければならない。また安倍政権の下で一層強まる共和国の脅威を煽り蔑視するむき出しの民族排外主義と対決しなければならない。安倍政権は民族学校の高校無償化からの排除を決定した。在特会などファシストによる在日朝鮮人に対する差別排外主義攻撃を許さず、広範な社会的共闘によって解体しよう。

  ▼4章―2節―5項
  反帝国際共同闘争の前進をかちとろう


 第五に、AWC日本連を支援し、反帝国際連帯、国際共同闘争に取り組み、前進をかちとろう。AWC(日米のアジア侵略支配に反対するアジアキャンペーン)は三月台湾において国際キャンペーン調整委員会(CCB)を開催する。米帝―オバマ政権が、アジア太平洋地域において釣魚諸島や南沙・西沙諸島の領土問題への介入や中国の軍事的包囲体制を強化する中で、国境を越えた労働者人民の団結を強めこれと対決するアジア規模での反戦反基地運動の推進は極めて重要である。国際キャンペーン調整委員会の成功を支援し、団結を強化し新たなAWC運動の方針の下、闘いを開始しなければならない。本年もAWC日本連とともに、沖縄や岩国における反米軍基地運動、フィリピンにおける米軍再駐留との闘い、韓国における済州海軍基地建設との闘いなどの国際共同闘争を推進しアジア米軍総撤収の実現に向け闘いを継続し発展させよう。国際的な反原発運動を推進しよう。

  ▼4章―2節―6項
  反帝闘争拠点―沖縄・三里塚の闘いを進めよう


 第六に反帝闘争拠点としての沖縄、三里塚の闘いを進めよう。オスプレイ配備強行との闘いは、沖縄への構造的な差別軍事支配に対する自己解放闘争として飛躍しつつある。沖縄労共闘を先頭に、沖縄解放闘争のさらなる前進を勝ち取ろう。激動する沖縄階級闘争のただ中、差別軍事支配打破・沖縄解放―安保粉砕―日帝打倒・米帝放逐の総路線を闘おう。
 三里塚闘争は、市東さんの農地強奪を許すのか否かの決戦を迎える。三月には農地法・行政裁判の結審を迎える。千葉地裁は、空港会社による数々の違法行為を見逃し不当な主張に加担し、拙速審理を強行してきた。まさに裁判所が収用委員会となって空港会社とともに市東さんの農地を奪おうとしている。さらに三月には第三誘導路の供用を開始し、これまで以上の騒音・振動を浴びせ生活・営農を破壊しようとしている。市東さんは空港会社の攻撃に対し「一歩もひかずに闘います」と決意を述べている。現闘―行動隊の現地体制を支え、市東さんを先頭に徹底非妥協・農地死守を闘う反対同盟とともに、第三誘導路―農地強奪攻撃を粉砕しよう。もし空港会社が市東さんの農地強奪に出てきたなら、実力闘争によってこれを阻止しなければならない。決戦に突入する三里塚闘争に勝利する決意をもって三月全国総決起集会に総力で結集しよう。

  ▼4章―2節―7項
  被抑圧人民・被差別大衆の自己解放闘争を推進しよう


 第七に障害者解放闘争、被爆者解放闘争、女性解放闘争、部落解放闘争の被抑圧人民・被差別大衆の自己解放闘争を日帝打倒における重要な戦線として位置づけ推進しなければならない。

  ◆4章―2節―7項―①
  障害者解放闘争


 障害者解放闘争では、障害者総合福祉法と精神障害者の保安処分・抹殺攻撃である医療観察法制度の撤廃を求め、障害者解放運動を推進しよう。障害者総合福祉法は、応益負担を原則とし市場原理にサービス供給をゆだねるなど障害者の生存権を否定する障害者自立支援法を一部改正しただけの差別法だ。負担に耐えられず必要なサービス・介護を受けることができな障害者の悲痛な叫びがあがっている。障害者総合福祉法を撤廃させよう。医療観察法は、精神障害者の保安処分体制を強化し、差別医療・隔離収容攻撃を激化させてきた。精神障害者への差別に貫かれた医療観察法体制を粉砕しよう。侵略反革命と闘う障害者青年同盟は、この闘いとともに首都圏においては地域の施設障害者との交流運動、山口では岩国闘争・沖縄現地闘争への決起、地域での自立解放運動に日々立ち上がっている。障害者・精神障害者・健全者の三者共闘を強化し、障害者解放闘争の発展を勝ち取ろう。

  ◆4章―2節―7項―②
  被爆者解放闘争


 被爆者解放闘争では、8・6広島原爆ドーム前での「反戦・反核・反原発・被爆二世の国家補償を!」を掲げる青空集会を支持し、われわれは共に闘いを積み重ねてきている。帝国主義の人民虐殺の生き証人として、自らの身体にその歴史を刻み込んだ帝国主義を打倒する解放主体として立ち上がる被爆二世の闘いに連帯し被爆者解放闘争を推進しよう。被爆に対する国家責任を明確化した補償の実現、被曝労働を必ず生み出す原発の廃炉、中国電力が目論む山口県上関原発阻止の闘い、岩国基地の大強化と艦載機移駐に反対する岩国の闘いへの連帯を闘おう。福島第一原発事故による放射能汚染と被曝の拡大の中で、原爆による被爆と同様に、帝国主義による原発や核開発による被曝を帝国主義支配の打倒の課題として提起し闘う被爆者解放運動の新たな地平を切り拓いていこう。

  ◆4章―2節―7項―③
  女性解放闘争


 女性解放闘争においては、沖縄や広島で起こった米兵の性暴力事件を糾弾する「基地と性暴力」の闘いが継続して取り組まれている。〇七年の岩国基地米兵による広島集団レイプ事件への抗議キャンペーンが毎年各地で闘われている。昨年二〇一二岩国行動においても岩国基地正門で女性を先頭に抗議行動が行われた。反戦反基地運動や岩国闘争の重要な領域として「基地と性暴力」の問題に取り組んでいかなくてはならない。第二に、女性労働者に対する労働条件差別・非正規・有期契約労働の使い捨てを告発し、均等待遇運動を推進しよう。女性労働者の均等待遇運動を階級的労働運動の課題として発展させよう。

  ◆4章―2節―7項―④
  部落解放闘争


 部落解放闘争では、石川さん夫妻・狭山弁護団、全国の狭山差別裁判糾弾の闘いが、東京高裁・東京高検を追い詰めている。三者協議の中で、検察は石川さん無実が明らかとなる証拠開示をかたくなに拒否し、不当不合理な口実で逃げ回っている。しかしきわめて不十分ながら検察が開示してきた新証拠からも弁護団は石川さん無実の新証拠新鑑定を裁判所・検察に突きつけている。三者協議で裁判所・検察を追い詰め再審の扉をこじ開けるには、全国での戦闘的部落民と反差別共闘の闘いが決定的に重要だ。今年こそ再審開始・無罪をかちとり、国家権力による差別裁判を徹底的に糾弾しなければならない。
 また繰り返される部落差別に対して大衆的な差別糾弾闘争の原則を堅持して闘おう。糾弾闘争は、被差別大衆の解放闘争勝利の原動力だ。安倍右翼反動政権の成立は、在特会など差別排外主義勢力の煽動・攻撃を強力に後押しするだろう。差別糾弾闘争を環とする反差別共同闘争を闘おう。戦争と排外主義攻撃に対決する部落解放運動を推移しよう。

  ◆4章―2節―7項―⑤
  入管闘争


 入管闘争においては、昨年改悪入管法が施行され、日帝の滞日外国人に対する一元的な管理、日常的な管理が強まっている。日帝は新たな入管体制をもって、資本のグローバルな展開と一体に、国家による管理体制を強化しているのだ。在日韓国・朝鮮人の闘いにしっかり連帯し、日帝の入管体制と対決していこう。

  ▼4章―2節―8項
  日帝の弾圧、組織破壊と対決し、革命党建設を


 第八に、日帝国家権力の革命運動弾圧、革命党破壊の攻撃と対決し、これを粉砕する組織建設に勝利しよう。日帝は、侵略反革命戦争体制の構築、排外主義ナショナリズム扇動と一体に、治安弾圧体制の強化に乗り出している。国民総背番号制導入を目論む共通番号制法案や秘密保全法、共謀罪の新設、仮想身分捜査や通信傍受、司法取引などの「新たな捜査手法」の法制化などが策動されている。治安弾圧体制の強化は、日帝―独占ブルジョアジーの階級支配の危機の表明に他ならない。国家権力の弾圧を粉砕する革命党を建設しなければならない。



  
■第5章―労働運動方針

  貧困、失業、格差と分断うち破り階級的労働運動の前進かちとろう


  ●はじめに


 世界情勢は今、大きな再編と転換の時代へと突入している。新自由主義グローバリゼーションという米帝を中心とする戦後世界体制の再編は、ブルジョアジーの無制限の利益を追求し、金融資本の詐欺的手法を拡大してきた。しかし、それは米帝の足元での「リーマン・ショック」といわれる世界的な破綻として結果した。現在もその危機の中にある。
 信用崩壊と、独占資本の救済のための金融・財政政策による国家債務の天文学的拡大によって、米帝においては「財政の崖」が迫り、ヨーロッパでは危機が拡大し世界は新たな危機の時代をむかえた。その脱出の展望をもちえてない。

  ▼5章―1節
  帝国主義ブルジョアジーの危機突破策と労働者動員攻撃


 日本の支配階級もまさにその中にある。レーガン・サッチャー以来の新自由主義グローバリゼーションと結合した中曽根の「戦後政治の総決算」以降、政府・官僚・独占資本は国内再編を推進してきた。新自由主義グローバリゼーションと結合した戦後的支配構造の全面的な再編である。小泉「構造改革」・経団連「新時代の日本的経営」など、資本の利益を全面化し、「総人件費の抑制」「雇用の柔軟化」等の推進により、労働者の雇用・生活と権利を破壊するものである。
 だが、この自ら推進してきた再編によって必然的に産み出された危機のただ中に、日本資本主義は叩き込まれているのである。国際的な資本間の「競争」の激化、資本輸出と生産拠点の海外への移転等による「空洞化」、金融資本や独占資本の救済と支援のための財政・金融政策による膨大な国家債務の拡大等という国内的な危機を招いているのである。今や、戦後的な政治支配体制の危機のなかでうみ出された「保守二大政党制」は、民主党政権の破産のなかで、その基盤が不安定化している。戦後的な政策は破綻しており、政府・官僚・独占資本・マスコミ等の労働者人民へのデマゴギーは通用しなくなっている。
 この間の新自由主義政策の中で、労働者人民は生存権すら奪われようとしている。総人件費の抑制のなかで賃金の切り下げの攻撃は公務員・民間を貫いてすさまじく進行している。また、「労働力の流動化」の攻撃のなかで、非正規雇用が若年層を中心として拡大している。このなかで失業・半失業状態の労働者が拡大している。長時間労働、過労死が横行し、いのちと健康の破壊もまた搾取の強化とともに増大している。そしてさらに、社会保障の切りさげの攻撃が激化し、生活の展望さえ奪われている。このうえに、「消費税増税」、TPPによる保険制度をはじめとした社会保障の解体、賃金のさらなる切り下げ、退職金の大幅切り下げ等の攻撃がかけられている。この攻撃はどのブルジョア政党が政権をにぎろうと、支配階級の基本的な政策である。まさに全社会的な再編を加速し、労働者からの搾取と収奪の激化によって生活と権利の破壊が決定的に進行するのである。
 政府・資本は、自らが導いた危機、長期的な不況のなかでも、利益をむさぼり、膨大な内部留保を確保し、労働者には生活と権利の破壊を強行してきた。資本主義の本質を全面化した攻撃に対して、全世界で労働者人民の反撃が開始されている。極端な不平等に対して99%の反撃が開始されているのである。これに対して、支配階級は暴力と排外主義の育成を拡大しようとしている。
 独島や釣魚諸島等の「領土問題」のキャンペーンによる民族排外主義の育成、「日の丸・君が代」強制等による天皇制・国家主義の育成、石原・橋下をはじめとした行政による労働組合の解体、反共主義の育成、「在特会」等の民間排外主義運動の育成と「日の丸」を掲げた街頭行動と襲撃、労働者内における正規と非正規間の対立と分断を促進し、現実の矛盾を排外主義への動員によって隠ぺいし、矛盾をおしつける攻撃がすさまじく進行している。
 そして、安倍政権の登場によって、この攻撃は決定的に激化している。民主党政権の破産のなかで登場した安倍政権は、新自由主義を米帝と結合しながらさらに推進し、排外主義を徹底化し、改憲―戦争へと労働者を動員することをめざしている。公然たる改憲の動き、排外主義の扇動(靖国や「領土」、教育、民間右翼の育成)、独占資本への援助(TPPや原発推進、消費増税と金融緩和やインフレ・ターゲットの設定等)、社会保障の解体等の攻撃をかけてきている。どれをとっても労働者の正面の敵である。
 まさに資本主義の危機と労働者人民の反撃というなかで、安倍政権は正面からの反動として登場しているのである。このことは労働者階級に、階級的利益を正面から掲げて闘うことを要求している。まさに歴史的な段階がせまっている。
 労働者が現実の矛盾と対決し、自らの利益を社会的に実現していくためには、団結こそが最大にして唯一の武器である。したがって、支配階級にとって、この解体こそが不可欠である。労働者が労働組合によって団結し、自らの要求を実現していくことは、現在の攻撃と対決する道である。支配階級はこのことを恐れ、労働組合の解体を歴史的に推進してきた。
 労働者の階級性が根底的に問われている。労働組合の社会的位置が問われている。激化する労働者間の分断、戦争・排外主義への動員と対決する、プロレタリア国際主義と階級的利益をふまえた団結を労働者階級自身が再構築しなければならない。

  ●5章―2節
  転換が迫られる労働運動の現状と果たすべき役割


 日本においても始まった社会運動の新たな兆しの中で、階級的労働運動の生命力を闘い取らなければならない。
 一九九〇年を前後して、労働運動・社会運動を取り巻く状況は、大きく変化してきた。とりわけ労働運動は、八五年国労大弾圧と派遣法導入、八九年総評解体―連合結成、九五年「新時代の日本的経営」と、戦後労働運動を土台から崩される攻撃に直面してきた。以降、労働者の雇用・賃金は悪化の一途をたどり、現在では、非正規雇用労働者が39%、賃金はこの十年間下落し続け、年収二百万円以下が35%超、とりわけ女性や若年労働者では半数を超えている。総評に代わって、日本労働運動の主流として登場した連合は、その中心勢力として労使一体化路線を取る大企業労組が占めた。この主流勢力は、電力関係労組による原発推進、金属労協の「武器輸出解禁待望論」やいじめ・無権利状態の放置、非正規雇用労働者への無関心と敵対など、資本と一体となって労働者の前に立ちはだかっている。帝国主義―独占資本と同調する勢力が、労働運動の主流としてのさばることによって、労働組合は自己利益のみを主張する特権勢力、「正社員クラブ」として宣伝され、この壁を突破しえず、その中で大衆的信頼を失ってきた。
 このような中で、小泉政権による「痛みを伴う構造改革」は、「弱肉強食」「自己責任」論を社会的に浸透させ、正規雇用を非正規雇用へ置き換え雇用・生活破壊への社会的反撃を絶ち、貧困と荒廃(雇用・生活の)を社会全体に蔓延させていった。この滞留の中から、象徴的には秋葉原無差別殺人事件(二〇〇八年)のようなやり場なき怒りが噴き出し、他方で、「在特会」のような極端な排外主義も湧きだしてきた。前者は、行き場のない絶望の現れであり、後者は、経済成長を続けるアジア近隣諸国に対し、かつての植民地意識を引きずったまま憎悪することに、自らのアイデンティティを求めるものである。
 二〇〇八年には、このことが大きな社会問題として現れた。リーマン・ショックは、日本国内でもリストラ・派遣切りを大規模に引き起こし、「派遣村」が登場して、構造改革による雇用破壊がもたらした貧困や不安定雇用を、全社会的問題として浮上させた。二〇〇九年、その怒りは戦後政治の中枢であった自民党政権に向かい、民主党への政権交代が行なわれた。誰の目にも明らかなほどに、戦後の一時代を形作った社会の構造が崩れ落ち、大きな時代的転換期が眼前にあらわれてきた。
 さらに拍車をかけたのが、二〇一一年の東日本大震災である。とりわけ福島原発事故は、「安心・安全」神話に塗り固められてきた原発の脅威を、さらけ出した。ひとたび事故が起これば、その地は汚染され、産業存続はおろか居住さえ不可能となり、将来へと至る生命と健康への脅威は防ぎようもない。その労働には必ず被曝が伴い、使用済み核燃料の廃棄処理技術も廃棄場所もメドが立っていない。地震列島と言われる日本の不安定な地盤の上に、貧しい地方財政につけこんで、五十数基もの原発が建設された。福島原発事故が明らかにしたこの事実に慄然とし、福島の女たちを先頭に、反原発・脱原発の流れが噴き出してきた。しかし原発を軸としたエネルギー政策は、日米安保に基づいた核燃料処理技術の提供の必要や、第三世界への巨大な社会インフラとしての原発輸出など、日本独占資本の主流にとって、政治的にも経済的にも生命線である。
 雇用・エネルギー政策と並ぶのが、安保外交政策である。中国を始めとするアジア諸国、中東地域の経済成長は、この域をめぐる権益抗争を激化させている。帝国主義―独占大資本の戦略は、日米一体の戦争遂行を実現するために米軍再編・自衛隊強化を進めることである。欠陥機オスプレイの配備・低空飛行訓練も、このような中で持ち込まれ、日米を軸としたアジア諸地域での合同軍事演習は、アジア諸国に大きな緊張をもたらしている。このような危険な流れに真っ向から反対し、沖縄での島ぐるみの闘い、沖縄と連帯した岩国・神奈川での粘り強い反戦反基地闘争が持続している。
 民主党政権下の三年間は、日本労働者・民衆が、このような問題をめぐって、どのような選択をするのかをめぐる攻防がくり広げられた一時期となった。しかし民主党が、この転換期をつぎの時代へと歩ませられるわけがない。反自民の寄り合い所帯として作られた民主党は、マニュフェストを実現するための明確な戦略を持たず、迷走の挙句、分裂をくり返し、米政府や行政官僚の言いなりになって政権末期を迎えるという醜態をさらした。それは、現状変革への希望を政権交代に託した民衆の期待を裏切るに充分であった。衆議院選の投票率は史上最低となり、白票が二百四万票も投じられ、このような中、自民・公明などによる政権奪回や日本維新の会など反動政党の躍進をもたらすに至った。
 このような社会的変動が始まっていく中で、この転換期から次の時代を切り拓けるか否かは、帝国主義―独占資本と最後まで闘いぬくことのできる新たな労働運動・階級闘争構造の建設にかかっている。労働者階級が大衆的に団結し、分断された労働者・勤労大衆・被差別民衆を結合させ、帝国主義政府・独占資本との対抗布陣を敷いて一時代に渡る攻防を担いぬくかなければならない。
 今まで明らかにしてきたように、利潤獲得の欲望を原動力とする資本主義生産システムは、全世界を破滅的な状況に追い込んでおり、この息の根を止め、新たな社会システムへと取りかえることが必要となっている。この闘いの中で、大きな力を発揮する可能性を持つのが、生産主体である労働者階級の運動である。しかし、この可能性を引き出すためには、労働運動を経済主義・組合主義の影響から引き離すことが必要である。連合・大企業労組が示すように、労働組合が自らの労働力をいかに高く売るかという狭義の経済闘争だけを課題とし、資本主義が全社会にもたらす問題に向き合わなければ、資本との相互依存性を深め、危機の時代には労使一体化して、企業あっての雇用・賃金という企業意識に取り込まれていく。日本の労働(組合)運動は、「高度成長期」と呼ばれる生産資本の拡大の時期に、企業別組合として成長してきた。中小零細や不安定雇用労働者に労働組合の手は及ばず、この下で日本では、企業規模や雇用形態の違いによって、同じ労働であっても差別待遇となる"身分制"とも言える思想・文化が定着してきた。「新時代の日本的経営」という資本家階級の戦略のもとで、日本労働運動が弱体化されているのは、このような歴史に根拠を持っている。
 国際労働運動においては、長い時間をかけて産別や一般(ゼネラル)労働運動が組織され、完全ではないにせよ、企業間競争によって労働者が競争させられ差別分断されることを許さない仕組みが勝ち取られてきた。しかし日本では、港湾や建設などで、いくつかの産別が存在しているにすぎない。
 経済闘争を闘うことを基盤としている労働組合は、企業や雇用形態・性別による差別分断を許さず、反失業・反貧困・均等待遇などを掲げ、労働者階級全体の大衆的利益の防衛をなしうる団結と闘いを築きあげていくことが必要である。また、いまや資本主義的災禍は社会のあらゆるところに噴き出しており、これらと闘い、資本家に取って代わっていく社会的・政治的勢力として成長していくことが要請されている。さらに資本のグローバル化によって、世界の生産や市場は結合させられ、資本(国家)間、労働者間競争(抗争)がくり広げられている。領土領海問題を始め、国民国家形成の歴史の中で生み出されている様々な問題は、国境を越えた労働者階級の団結を基盤にする以外に、解決の道は拓かれることはない。国家間紛争や戦争による解決は、権益を持つ資本家のみを利するものであり、労働者間に災禍と憎悪を残すもの以外ではない。
 次代を創りだす可能性を持つ労働者階級の闘いの前進を、開始された流動の中で、全力で切り拓いていくことが、次の局面を決する。
 しかし事態は簡単ではない。厚生労働省の労働組合基礎調査によると、労働組合加入の推定組織率が二〇一二年六月末時点で17・9%(前年比0・2ポイント減)と、一九四七年の調査開始以降、過去最低を更新した。組合員も九百八十九万二千人(同六万八千人減)となり、二年連続で過去最低を更新した。労働組合の弱体化とともに、産業構造の変化(製造業からサービス産業へ)が拍車をかけている。生産過程におけるロボット化と資本の国境を越えた侵出は、失業・半失業、使い捨ての機械補助役へと、労働者とりわけ若年労働者を追いやっており、団結の獲得、社会意識の獲得に大きな困難を与え、立ち上がることもできない難しさを生み出している。このような中で、持てるものと持たざるものとの対決が、1%の資本家と99%の労働者・民衆との闘いではなく、30%の安定雇用労働者(公務員や正社員)と30%の不安定雇用労働者(非正規雇用や半失業者)の対立という構図としてマスコミ等によって描かれ、誘導されている。全力でこれらを押し返して行かなければならない。
 日本経団連は、労働運動の弱体化につけ込み、連合の非正規雇用労働者を含む1%賃上げ要求すらせせら笑い、今年の「経営労働政策委員会報告」で「定期昇給の見直し」、すなわち一三春闘においては賃下げに踏み込むことを宣言した。すでに大幅リストラや非正規雇用への置き換えによって、労働コストは絞れるだけ絞りあげてきたが、いよいよ大企業本工にも手を付けようというのである。他方、企業の内部留保額や役員報酬は、拡大の一途をたどっている。貧困化し縮小していく国内市場に見切りをつけ、日本の巨大独占資本は、インフラ分野での巨大投資やアジア成長市場の確保など、アジア権益への支配欲を膨らませ、軍事力で確保しようという衝動を、社会に満ちあふれさせつつある。
 このような社会的気運の醸成、労働者民衆の経済的貧窮の進行、新たな階級闘争構造の未形成の中で、帝国主義―独占資本と基本路線では同調しながら、現状打破をうたい、民衆の不満を動員して、その権力を拡大しようとする有象無象(うぞうむぞう)が台頭している。「競争原理の徹底」を主張する橋下大阪市長は、労働組合を抵抗勢力として敵視し、政治活動禁止、命令への絶対服従などを大阪市職員・教師に強制する市条例を策定した。教員・公務員をもの言わぬ国家・行政の下僕とする先例を確立しようとしている。衆議院選挙戦では、「最低賃金の撤廃」「解雇規制の緩和」に言及し、下層労働者は死ねと言わんばかりの態度を明らかにした。これに「日本維新の会」で合流した石原元東京都知事は、領土拡張主義と排外主義の尖兵であり、「日本の核武装化」を掲げて反原発運動への敵意をあらわにしている。これらが、日本の今後を決定する政治勢力として登場してきた。
 「政権能力のある自民党」をうたって衆議院選挙で政権多数派となった自民党は、資本家たちの要望に正面から呼応し、「集団的自衛権の行使」「自衛隊を国防軍へ」「憲法改正」を旗印に、覇権国・日本をめざし精力的な動きを開始している。今後、反動攻勢が吹き荒れる苦しい状況が予測される。
 この時代を闘い抜き、戦争と貧困の時代の新たな労働運動と階級闘争構造を切り拓いていく以外に、労働者・民衆の未来は存在しない。
 われわれは、ゼロから出発するわけではない。戦後の階級闘争構造が崩れ落ち、大きな時代的転換期が現れてくる中で、この十数年、左派労働運動によって様々な努力が重ねられ、また継承すべき歴史的な経験も掘り出されてきた。
 八八年総評解散、八九年連合結成という流れに抗し、全労連や全労協が結成され、また独立系労組・ユニオンなどが、企業内労組の壁を破り、非正規雇用労働者の組織化に着手してきた。日本では数少ない階級的な産別労組である全港湾、全日建、また総評一般労組を継承した全国一般全国協などが共闘し、有期雇用ネットワークや沖縄連帯闘争、反原発闘争などを闘っている。また、自治体労働者は困難な中で地域の労働運動や反基地闘争のセンター的な役割を担ってきた。若者ユニオンや女性ユニオン、派遣・非常勤など非正規雇用労働者を主体としたユニオンなど、様々な新たな労働組合も誕生してきている。
 反原発運動の中では、福島事故の重大さにもかかわらず、原発推進を降ろさない電力労組に対し、「水俣労組の『恥宣言』」に学べ、という声が上がり、労働組合の社会的責任が課題となっている。また、沖縄連帯闘争の中から、岩国・神奈川と結んで、米軍再編反対、アジアからの米軍総撤収を掲げる労働者反戦闘争の新たな闘いも開始されてきた。処分攻撃に立ち向かいながら、「日の丸・君が代」反対闘争が教育労働者を中心としてアジア民衆と連帯し、粘り強く闘い続けられている。
 大阪市の教育条例・職員条例、争議行為への損害賠償訴訟や、ストーカー法を使っての街頭宣伝活動の禁止、反原発・反がれき処理を担う活動家への狙いうち逮捕など、闘う部分への弾圧も激しくなっているが、次の時代のために、不当弾圧をものともせずに闘いが続けられている。
 戦前には労働(組合)運動はつぶされ、政府―資本と闘う唯一の武器である団結と組織を奪われ、日本の労働者は侵略戦争の加害者となり被害者となった。そんな歴史は決してくり返すわけにはいかない。階級的労働運動の旗を掲げて、闘い続けることによってしか、労働者・民衆解放の未来は勝ち取ることはできない。

  ●5章―3節
  労働者階級の反撃の闘いを前進させよう

 今全世界で階級激突戦が開始されようとしている。支配者階級は、自ら作り出した危機から脱出できずに断末魔のあがきを開始し、労働者階級人民を沼地に引きずりこもうとしている。しかし、労働者階級人民は99%が1%の支配の下に置かれていることに対して反撃の闘いを開始している。この闘いは、時には日和見主義者の登場や闘いの困難性の中で敗北や後退が余儀なくされているが、この中から労働者階級人民は新たな闘うエネルギーと陣形を作り出している。このような中で日本の労働者階級人民の闘いの方向性も明確である。余裕を失い、今までのようにおこぼれを与えることによってプロレタリアの一部を買収することもできず、むき出しの支配を強めてくる敵支配者階級に対して真正面から闘いをいどむことである。
 その闘いの第一は、労働者階級の大衆的組織である労働組合をあらゆるところに作り上げ、その運動を前進させることである。日本経団連は、定期昇給の見直しによる賃下げ、年金制度の改悪による六十歳以降の無賃金・無年金時代の到来を前にしてこのことに備えると称して賃下げ(賃金カーブの見直し)を行おうとしている。資本家たちの懐を痛めることなく、搾取の強化をしようとしている。「税と社会保障の一体的改革」と言いながら、社会保障制度の改革は先送りにされる一方で消費税の増税などが行われようとしている。また、TPPによる農業・医療・労働法制の破壊が目論まれている。さらに最後のセイフティーネットである最低賃金の引き下げと生活保護制度の改悪を行いたい衝動があけすけに語りだされている。職場では不景気を口実にした偽装倒産や解雇が横行し、業務の下請け化や公務労働の民間委託が進められている。このような中、非正規雇用や失業などが、拡大の一途を辿っている。また、大阪の橋下のようにペテンと恫喝によって労働者を従わせようとする動きもある。このような中で労働者の中に「定昇がストップしていても成績さえ良ければ給料は上がる」「生活保護を受けている人は楽をしている」等々他人を蹴落とし、他者を見下すことをよしとする風潮が作り出されようとしている。こうした労働者へ支配者階級の狙いを暴露し、非正規労働者、未組織労働者、若者の中に分け入り、闘いのための団結、労働組合を無数に作り出していこう。そのためには、左派労働組合がその中心的役割を果すように闘いを押し上げていこう。また、このような困難な時代を切り拓く、労働運動活動家の育成と交流、連携を大規模に強めていく必要がある。この一環として、労働運動活動家全国ネットワーク(準備会)の冊子「LANN」を、労働運動活動家の経験交流誌として闘い取ろう。そして労働者階級全体の利益を防衛し、階級的労働運動を前進させよう。
 第二は、改憲を行い覇権国日本を目指そうとしている動きに対決する労働者階級人民の反戦闘争を作り出していくことである。命を守ることは、全ての闘いの根幹である。戦前において労働者階級人民の命は鉄砲玉より軽んじられ、死ぬことが美徳とされた。そして、侵略戦争に動員され、他国の人民を殺しつくし、奪いつくしてきた。この反省の上に戦後の憲法は作られてきた。労働者は「教え子を戦場に送らない」「港を軍港にさせない」「武器弾薬を作らない」「武器を運ばない」等々の闘いを職場から行ってきた。この闘いは、PKO派兵反対の闘いや有事法制反対の闘いなどと結びつきながら闘われてきた。今は、沖縄・神奈川そして岩国の反基地の闘いと結びつきながら闘われている。貧困からの出口を侵略戦争に求めさせては絶対にならない。改憲阻止、反戦、反基地、反安保の旗を高く揚げた労働運動の前進を勝ち取ろう。敵の弾圧や排外主義勢力と対決し、沖縄連帯闘争や岩国労働者反戦闘争などを発展させていこう。
 第三は、原発の再稼動阻止、廃炉の実現に向けて闘うことである。地震国日本にある原子力発電所は人々のふる里と家族を崩壊させ、命までも破壊するものであることが福島原子力発電所の事故によって鮮明になった。しかも使用済みの核燃料の廃棄技術も廃棄場所のめどすらないことが明らかになっている。また、原子力発電所で働く労働者のほとんどが下請け労働者であり、最低限の労働安全基準すら守られていない。賃金のピンはねが横行していることも明らかになってきた。また、電力各社の労働組合が、自己の賃金や労働条件のみを守り、反原発の声に背を向けていることも人々の怒りをかっている。原発事故現場等において働らかざるを得ない労働者の命と健康を守ると共に、再稼動阻止、廃炉の実現に向けて、全ての人々と連帯し団結して闘おう。
 第四に、国際的な連帯によって闘いの前進を勝ちとることである。今、支配者階級は、労働者を差別排外主義の沼地へと引きずり込もうとしている。中国や共和国への敵対意識を煽り、また、歴史的に植えつけられてきた朝鮮人差別を煽っている。また、アジア諸国への侵略戦争の事実すら歴史教科書から消し去るための「教科書の近隣条項の見直し」が行われようとしている。さらに、アジアでの権益を確保するために軍事力を増強とともに集団的自衛権の行使ができる体制が目指されている。この動きの上に憲法改悪があるのである。アジア諸国、全世界から「日本の右傾化」への警戒の声があがるのは当然のことである。われわれは、こうした差別排外主義の動きをきっぱりと拒否し、闘うアジア人民と連帯した運動を職場から作り出そう。そのためにあらゆる機会を通じて過去の歴史を正しく学ぶように労働者に働きかけよう。そして、現在のアジア諸国人民の運動と連帯するためのアジア共同行動の運動への参加を組織しよう。
 そして第五に、これらの闘いを通して、先進的労働者は、労働者の中にしっかりと根を張り、階級の利害を真に代表する労働者階級の党建設をさらに前進させることが必要である。今、多くの心ある労働者は、日和見主義と欺瞞に満ちた既成政党に代わる新たな労働者階級の指導部を求めている。口先だけで革命を語り、自己の延命のためにカンパニアを繰り返すような傾向と決別し、労働者階級が必要としている部署で、階級とともに闘い、その中で自己を真の指導部としていくための試練を引き受け闘い抜こう。
 今こそ、階級的労働運動の真価が問われるときである。大胆に、そして真摯に現実に立ち向かい前進させよう。全世界を獲得するために。



  
■第6章―青年運動方針

  青年労働者こそが、階級闘争、共産主義運動を担いぬこう


  ●6章―1節
  青年運動の今日的重要性


 わが同盟は、ここ数年、今日の若者、青年労働者を階級闘争と共産主義運動、革命運動の主体へと登場させていくことを、特別に重視しなければならないことを強調し訴えてきた。それは、ただ単に、若い人々が闘いに立ち上がることの重要性を一般的に主張したのではない。そうではなくて、共産主義運動にとって、今日の若者、青年労働者を階級闘争の主体へと登場させていくことが、特別に重要な意味をもつと訴えてきたのである。それは、次の二つの意味でそうである。
 第一に、日本階級闘争と革命運動は、歴史的には、戦後革命期から六〇年安保闘争、六〇年代後半から七〇年に至るいくつかの高揚期を経て、その後、きわめて長期の低迷期を経ざるをえなかった。そのことに起因して、日本階級闘争には大きな世代的陥没が生み出されてきた。それには、また、旧ソ連スターリン主義支配の崩壊と、資本主義・帝国主義の新自由主義グローバリゼーションの進行が照応していた。こうしたなかで、今日、階級闘争と革命運動に新たな世代を登場させていくことが、共産主義運動の継承と発展という意味において、特別に重要な歴史的責務となっている。革命は、世代を継いで継承発展させねばならない。スターリン主義支配から自由な地平で、かつ、現代資本主義の矛盾を一身にあびた世代こそ、新たな闘いを開始できる。
 第二に、今日の若者、青年労働者は、新自由主義が全面化した現代資本主義の矛盾の集中された世代として存在しており、そのことが逆に、階級闘争に世代として登場する可能性をもった、そういう一世代として生み出されているということにある。そうだからこそ、資本主義の矛盾を集中させられながら形成され続ける今日の若き労働者階級を、階級闘争と共産主義運動、革命運動の主体へと登場させ続けることに生命力をもてないならば、今日の共産主義運動そのものの生命力が問われるのである。
 いま、多くの若者が、不安定雇用、失業・半失業状態を強制され、明日への希望をもつことさえできない。若者の内部に、憎悪が拡大している。こうしたことを背景に、3・11以降、人の命や健康も顧みず、原発を推進しようとする社会のありように批判をもつ若者もかつてなく拡大している。ツイッターなどを通して、街頭にでる若者の新たな政治行動が拡大している。そうだからこそ、こうした若者の政治行動の拡大を全面的に擁護し、それらをより明確な反資本主義運動へと前進させていくことが問われている。本年を通して、われわれは、そのために一層奮闘するであろう。

  ●6章―2節
  青年が強いられている過酷な現状


今日の若者、青年労働者は、新自由主義がもたらす一切の犠牲を一身に集中されている世代と言ってよい。全世界を襲った新自由主義グローバリゼーションは、貧富の格差を劇的に拡大させた。日本においても、小泉政権によって進められた急進的な新自由主義政策によって、貧富の格差は拡大し、階級矛盾があからさまに顕在化することとなった。労働市場の自由化と社会保障制度の解体とその市場化は、労働者階級に過酷な状態を強い、ワーキングプアを広範に生み出すこととなった。しかも、それが固定化・構造化されつつある。
 特に、若者、青年労働者は、こうした攻撃の直撃を受けた。すでに、若年労働者の二名に一人は非正規労働者である。多くの若者が、失業・半失業、不安定雇用を強いられ、生活苦を強いられている。正規労働者であっても、低賃金、長時間労働、無権利状態のなかで生活苦にさらされている。それゆえ、離職率は非常に高くなっている。もはや、多くの若者は、明日の生活がどうなるかわからず、長期的な将来設計ができない。すでに、終身雇用制、年功序列賃金など、いわゆる日本型雇用制度は最後的に解体され、非正規雇用、無権利状態が常態化された。そして、こうした若者の現状が、すべて「自己責任」という新自由主義イデオロギーによって正当化されてきた。だが、そもそも、若者が強いられている現状は、決して「自己責任」の結果ではない。それは、新自由主義政策を推進してきた今日の資本主義が生み出してきたものなのである。新自由主義のもとで、貧富の格差は拡大し、働けど働けど生活もままならない状態が広範に生み出されてきた。そして、労働者階級内部における相対的下層が構造化されつつある。相対的下層に落とし込められた労働者階級は、子供の教育にお金をかけることもできない。いまや、学力は親の経済力とそれによって得られる塾が決定する。貧乏人の子供の多くは学力もつけられない。そうして、労働者階級の相対的下層に属する若者は、実質的な中卒、高校中退、よしんば高卒であっても、その多には、非正規雇用の道しか待ち受けていない。さらに、大卒であっても、もはや、安定した就職は望めない。大卒であっても、非正規雇用や、さまざまな有期雇用の道が待っている。そして、この全過程が、他人を蹴落とす競争なのである。もはや、ごく一部の「勝ち組」以外の大半の若者は、その全生涯を不安定労働者として日々の糧を得るために生き抜くしかないのである。こうしたなかでは、多くの若者が、かつて高度経済成長時代に成立したような、「がんばれば明日はもっとよくなる」という世代としての共通意識を持ってはいない。それどころか、自分の将来設計さえ持ちようがなく、「明日はもっと悪くなる」という世代としての共通意識を持たされている。若者の離職率も圧倒的に高い。低賃金すぎて、生活の安定を望めないからである。
 女性労働者はもっと過酷である。女性であるがゆえの低賃金と差別待遇を強制されている。こうしたなかで、女性のなかには、専業主婦願望も高まっている。もはや、不安定雇用で生き続けるよりも、一握りの「勝ち組」男性と結婚することに「永久就職」の道を選ばざるをえないからである。あるいは、そもそも低賃金と無権利状態が蔓延するキャバクラなどで、あわよくば一時的な高収入を得ることを期待することを強いられる。そして、こうした現状の延長には、性産業での女性労働者の搾取がある。それは、性の商品化を再生産し続ける資本主義社会そのものの属性に他ならなず、女性労働者の一部は、常にこうした境遇に置かれる。新自由主義を全面化する現代資本主義社会が、いかに若者に過酷な現状を強いるものであるか、すでに、現実が日々明らかにしている。

  ●6章―3節
  青年の内部に現れてきた特徴


  若者が置かれているこうした過酷な現状は、若者の内部に、現代社会に対する不満を明らかに増大させている。しかし、これらはいまだ自らの過酷な労働条件、生活全般が、現代資本主義社会にその根拠を有しており、決して、「自己責任」の結果ではないということを充分自覚しえているわけではない。そして、こうした現状を蔓延させているのは、左翼勢力全体の立ち遅れの結果でもある。また、こうした若者を階級闘争の新たな主体へと登場せしめていない左翼勢力のある種の罰でもある。こうした否定的現状を放置するならば、現代資本主義によって呻吟する若者、青年労働者たちは、容易に差別・排外主義の側へと組織される可能性も有している。すでに、現状に対する不満を、右から突破しようとする勢力も活発化している。「在日特権を許さない市民の会」(在特会)などは、その突出した例に他ならない。
 だが、こうしたなかで、若者のなかには、明らかに、新たな闘いというべき動きも始まってきた。そのひとつの現れは、二〇〇〇年代に入って始まってきた、若者自身の手で自ら労働組合を形成していこうとする動きである。若者自身が、自らの生活のために労働組合を武器にしていこうとするこうした動きは、きわめて重要である。もうひとつの現れは、3・11以降、反原発に立ち上がる若者の政治行動への参加が増大し続けてきたことにある。それらの特徴のひとつは、なんらかの組織動員とは違い、ツイッターなどを通して街頭での政治行動に結集してきていることにある。ストレートに街頭での政治行動が合流点であり結集点になるという政治行動の新たな台頭と言える。もちろん、こうした闘いには、反原発以外の政治要求を排除したり、街頭における大衆行動が戦闘的に発展することを制動しようとする誤った傾向も内在している。しかし、一方では、反原発闘争に立ち上がる若者の内部には、明確に、電力独占資本に対する闘争、これを擁護するブルジョア政府に対する反政府闘争としての質を内包させた闘いが前進しているのもまた事実である。大飯原発再稼働をめぐる若者の闘いは、その実質的な実力闘争という意味において、特筆されるべき闘いでもあった。こうした反原発闘争が、若者の反貧困闘争、反資本主義、反帝国主義闘争として発展していくことが要求されている。今日の若者、青年労働者の政治行動への進出とその拡大をあらゆる形で擁護しなければならない。現代資本主義の階級支配、新自由主義のもとで育ってきた今日の若者こそが、一世代としてこうした政治行動を拡大させていく可能性を秘めているのである。

  ●6章―4節
  青年運動の全面的発展を

  ▼6章―4節―1項
  階級的労働運動の一翼としての若者労働運動


 では、どのような闘いが必要なのか。それは、まず第一に、階級的な労働運動の一翼として、若者、青年労働者の組織化を進めるということにある。
 このことは、今日の若者、青年労働者をその基礎から組織するという組織化路線をとらねばならないということを意味している。今日の若者、青年労働者の組織化は、若者が強制されている広範な現状にしっかりと立脚することなくして真の意味で前進させることはできない。すでにこうした努力が、若者自身の努力によって新たに生み出されてもきた。いくつかの都市部において登場してきた若者自身の労働組合作りなどがそうである。こうした試みを擁護し拡大していかねばならない。同時に、既成の労働組合運動が、青年労働者の組織化に特別な注意を払うとともに、若者の居場所作りを内包したものへと自らを変革していくことも重要な課題である。いずれにしても、今日の青年労働者の生存権を最もよく守ることができるのは、やはり労働組合である。今日の若者にとって、労働組合の存在が今こそ求められているときはない。資本主義のもとで呻吟する若き労働者の結集場所として、労働組合をあらゆる形でこれに応えるものへと発展させること、そのことによって、階級的な労働運動の強化・発展がなされていかねばならない。
 また、この間、新自由主義のもとで、あらゆる領域が資本の利益追求のための市場へと転化されてきた。高齢化社会の到来とともに、福祉、介護、医療、こうした領域も資本の新たな利潤追求の草刈り場となってきた。政府は、新たな雇用の受け皿として、こうした領域に若い労働力を吸引していこうとしている。だが、そこでは、低賃金、長時間労働、不安定雇用、無権利状態が蔓延している。今後、こうした領域で、青年労働者を組織していくことはきわめて重要な課題である。そして、若者に労働組合を! 若者こそ労働組合を! である。

  ▼6章―4節―2項
  反資本主義運動としての若者運動を


 第二に、こうした若者自身の闘いを、その最初から反資本主義運動としての直接的性格をもって作っていくことにある。
 今日の若者を襲う過酷な現実は、新自由主義の結果である。それは、「弱肉強食」社会ということだ。今日の若者、青年労働者を襲う生活苦やあらゆる精神的苦悩の元凶は、すべてこの資本主義社会にある。資本主義社会とは、人間と人間の関係が、物と物の関係として、すなわち、すべて商品関係へと転倒される社会である。いわば、人間どうしの関係が、すべて金銭関係へと転化される社会である。友情や人の命より、すべては金儲けということだ。若者が抱いている今日の生きづらさ、失業、不安定雇用、どうしようもない生活苦、将来への不安と絶望、こうした現状を変革するためには、資本主義社会そのものが変革されねばならない。日本共産党は、資本主義社会そのものの変革ではなく、ルールある資本主義にすることだと言う。社民党なども同じようなものだ。しかし、資本主義の改良に目的をおくことでは、根本的解決は彼岸へと追いやられてしまう。目的にすべきなのは、改良ではなく革命である。革命こそ、若者が生きる道である。資本主義にノーをつきつけよう。

  ▼6章―4節―3項
  若者こそ全人民政治闘争の先頭に立とう


 第三に、若者が、全人民的政治闘争に決起し、その牽引力となっていくことにある。
 若者こそ、全人民政治闘争の先頭にたつべきである。資本主義・帝国主義とその政府に対する政治闘争なしに若者の革命化はありえない。
 若者の政治決起は、特にこの間、反原発闘争の全人民的政治闘争としての発展の中で、大きな位置を占めつつある。それを支えているのは、放射能に対する恐怖であり、未曾有の被害をもたらしながらも、利潤追求を優先し原発を維持しようとする電力独占資本などへの怒りである。特に、若い女性や若い母親にとって、自己と子供が被曝することへの恐怖は計り知れない。放射能への恐怖が反原発の全人民的政治闘争を生み出している基礎なのである。それは、人間の命や健康よりも、資本の利益を優先する資本主義社会に対する根本的な批判の質を内包している。また、今日の若者の反原発闘争の内部には、反貧困・反資本主義の質が内包されている。放射能被曝への恐怖は自らの生活苦と、そして生存権を求める要求と結合している。こうした反原発闘争を全人民的政治闘争へ、より明確な反政府闘争へ、資本主義・帝国主義政府との闘争へと前進させねばならない。若者こそ、反原発の全人民的政治闘争の先頭にたとう。
 新たに登場した安倍政権は、完全に原発推進だ。旧民主党政権は、「革新的エネルギー・環境戦略」で二〇三〇年代に脱原発と言いながら、一方で、大間、東通、島根第三原発の新規原発建設は進め、核燃料サイクルも継続すると言ってきた。「新たな安全基準を策定し、安全が確認されれば再稼働を行う」と言ってきた。おまけに、閣議決定もせず、不断に安全基準を見直していこうとした。まったくのごまかし、まやかしだった。しかも、原発輸出は続けようとしている。だが、自民党は、こうした民主党政権など比較にならないほどもっと悪い。自民党は、原発推進を公言し、再稼働を強行しようとしている。「十年後に電力のベストミックスを確立する」などと、はなから原発推進を前提にしているのだ。また、日本維新の会に至っては、核武装を主張してきた石原を代表に頂いている。橋下の「脱原発」なるものも詭弁以外のなにものでもない。原発を推進する安倍政権は無条件に全人民の決起で打倒しなければならない。そのためには、反原発闘争の反政府闘争、反資本主義・反帝国主義闘争としての発展が不可欠である。若者、青年こそ、その先頭にたとう。
 同時に、すべての核に反対する闘いも強めよう。安倍政権は、憲法改悪、原発推進、日本軍性奴隷制の歴史否定、民族排外主義と戦争準備に邁進する超反動政権だ。今こそ、核の「平和利用」であれ軍事利用であれ、すべての核に反対する闘いを強力に進めよう。すべての被爆者・被曝者に連帯し、反原発・反基地闘争をひとつのものとしてたたかおう。こうした政治潮流を前進させていこう。オスプレイ配備、全国での飛行訓練を許さない闘い、沖縄、岩国、神奈川を貫く反基地闘争、韓国、フィリピン、米国などとの人民の反基地国際共同闘争を前進させよう。やむことのない、軍隊による性暴力を弾劾し、すべての基地撤去を。
 また、登場した右派政権の背景には、帝国主義国として長期の低迷局面に入っている日帝自身の危機がある。民族排外主義、軍拡、軍事出動への願望、憲法改悪、こうした衝動が強まっている。閉塞感に襲われる若者がこうした流れに糾合される危険も強まっている。だからこそ、若者、青年労働者の政治決起がますます重要になっている。若者こそ、いたるところであらゆる領域で政治決起を進め全人民的政治闘争の先頭で闘うとともに、排外主義との闘いを重視してたたかおう。この間、釣魚諸島、独島などへの日帝の領土併合の野望と民族排外主義扇動が激化してきた。安倍政権は、集団的自衛権を容認し、九条を改悪し、自衛隊を国防軍としたがっている。民族排外主義扇動の激化と戦争準備を進める安倍政権を背景に、在特会などによる、在日韓国・朝鮮人に対する差別襲撃が激化するであろう。若者こそ、こうした差別・排外主義とたたかおう。また、部落差別、障害者差別、女性差別とたたかっていこう。
そして、こうした闘いを推進するために、党と結合する若者自身の大衆的な政治組織、政治グループ、大衆的な政治潮流をあらゆる形で形成していくために奮闘しなければならない。若者、青年労働者自身の闘う武器としての大衆的な政治組織を建設していこう。

  ▼6章―4節―4項
  プロレタリア国際主義に貫かれた闘いを


 第四に、プロレタリア国際主義に貫かれた若者の闘いを発展させていくことにある。
  新自由主義グローバリゼーションは全世界を席巻してきた。しかも、恐慌のなかで、米国やヨーロッパ諸国、日本などの資本主義・帝国主義諸国では、各国の若者、青年労働者は共通の攻撃にさらされている。失業・半失業、不安定雇用、こうしたなかで、ヨーロッパ諸国をはじめ、各国の若者の闘いも拡大し激化している。街頭反乱が各国で続出している。「われわれは99%だ」(1%ではなく、99%の人々の社会を)を掲げたオキュパイ運動は、米国から世界各国へと波及した。若者はどんどん街頭にでて占拠闘争をたたかっている。闘いの国際的な同時性・連動性は大きな特徴となった。こうした世界の若者と連帯した日本の若者の闘いを作っていこう。資本主義・帝国主義と闘う国際的な労働者階級の共同闘争の先頭に若者がたとう。若者を襲う過酷な現状を背景に、一方に台頭するのは、在特会のような民族主義・差別排外主義者である。ヨーロッパなどでも移民排斥を掲げるファシスト勢力が台頭している。こうした対極に、国際的な闘う労働者階級の一翼としての若者運動、国際主義派の若者運動を大胆に生み出していこう。

  ▼6章―4節―5項
  共産主義を人民の希望として復権しよう


 最後に、共産主義を人民の希望として復権するためにたたかっていくことである。
 若者には未来がある。だが、それは、今日の資本主義のもとでの過酷な現状を変革し、この社会を変革する道にのみ存在する。資本主義を打倒しそれにかわる社会を建設するということは、共産主義を人民の希望へと新たに復権していくこと以外ありえない。二十世紀を通して、旧ソ連スターリン主義は崩壊した。それは、本来の共産主義とはまったく無縁なものに転化したことの結果であった。こうした歴史的教訓をまるごと対象化し、資本主義との仮借なき闘争のなかから、共産主義を人民の希望へと新たに復権していく先頭に若者こそがたっていこう。そして、そのために、共産主義党建設、革命党建設に、若者自身が結集し、闘うことである。革命党に結集し、強大な革命党建設のためにともにたたかおう。
 二〇一三年、若者、青年労働者の組織化と階級闘争の発展のために、ともに奮闘していこう。



  
■第7章―学生運動方針 共産主義同盟(学生班協議会)

  新自由主義下の大学再編に抗し学生の政治決起・団結かちとろう

  ●7章―1節
  現代学生を取り巻く情勢


  ▼はじめに


 日帝は「日本が世界の中で突出する経済力を誇り、アジアで唯一の先進国という地位が保障された時代はとうの昔に終わっている」(「日本再生戦略」二〇一二年七月三十一日)と、危機意識を前面に出して新自由主義的な全社会的再編につき進んでいる。
 中央教育審議会教育振興基本計画部会は、昨年八月「第二期教育振興基本計画について」を発表した。そこでは少子高齢化やグローバル化の進展、非正規雇用の増大に加え、東日本大震災を受けた日本は、「社会システム転換」を果たさない限り「極東の一小国」として「早晩我が国社会は衰退の一途をたどることは免れない」と、「日本再生戦略」と同様の危機意識をあらわにしている。そして「大学等は社会の変革・成長のエンジン」と位置づけられ、グローバルな企業展開に対応した資格や外国語コミュニケーション能力の取得、授業の実学化、企業からの資金獲得などを具体的施策としてうちだしている。すなわち、日帝ブルジョアジーは大学に対して、今まで以上に「即戦力」として使えるような人材育成を要求しているのだ。
 現在の大学は、この日帝ブルジョアジーの危機感のもと、急速に再編が進められている。そのなかで現代学生は「シューカツ」(就職活動)へと駆り立てられ、また教育の新自由主義化による貧困に直面している。

  ▼7章―1節―1項
  「就活」のさらなる熾烈化


 二〇一二年卒業者(五十五万九千三十名)のうち、就職できた者は63・9%であり、大学院などへ進学した者を除き、3・9%は非正規職、3・5%は一時的な仕事に就いた者、進学も就職もしていない者は15・5%となっている。合計十二万八千人、割合にして22・9%もの新卒者が、卒業しても安定した雇用先を確保できていないのだ(文部科学省「学校基本調査」より)。
 大学当局は、大学全入時代に突入する中、生き残りをかけ就職率アップに必死になっている。一年次から学生に就職セミナーを受けさせ、「キャリアアップ」のため資格の取得を煽り立てる。そして三年次秋の就活本格化からは、業界セミナー、就職ガイダンス、インターンシップ研修などにつぎつぎ参加させ、際限のない「就活」という名の生き残り競争へと、学生を駆り立てている。
 一九九〇年代の大学再編は、教授会自治の剥奪と、学長・理事長などへの権限集中、民営化などを特徴としていたが、現在大学はそれらの上に、完全にブルジョアジーの要求する人材育成を至上目的とした「就職予備校」とでもいうべき姿をさらけ出している。

  ▼7章―1節―2項
  学生の貧困化


 出口のない長期大不況のなかで、学生の貧困化が進んでいる。独立行政法人である日本学生支援機構(旧日本育英会)の学生生活調査(二〇一〇年度報告)からもその実態が明らかとなっている。
 二〇一〇年度の大学昼間部学生の学生生活費(学費+生活費)は、百八十三万五百円であり、五年連続して下落している。今から十年前(〇二年)の学生生活費は二百一万七千七百円であり、八年間でおよそ約10%も減少しているのだ。
 学費は百十六万千二百円(〇二年)から、百十七万円(一〇年)へと増加しつづけており、実に学生生活費の六割強を学費が占めていることになる。
 長期不況の影響で親からの仕送りも減少しており、不足分の生活費はアルバイト収入と奨学金で補うしかない。アルバイト学生の約半数が、仕送りのみでは学業の継続が困難となっており、深夜勤務など少しでも割りの良いアルバイト先を求める学生が増加している。
 また、奨学金を受給する学生の割合は、二〇一二年度で50・7%と、すでに半数以上だ(一九九八年度は28・7%)。年収三百万未満の家庭での受給率は、八割以上にものぼる。
 83・7%が学生支援機構から奨学金を受給しているが、この奨学金は貸付型=借金であり、逆に学生を困窮状態へと落としこめる要因ともなってきている。
 二十年以上つづく大不況下、経済的困窮によって奨学金返済が困難となっている者が激増している。学生支援機構はこの事態にたいして、〇八年度からは取立て強化方針をうちだしてきたのである。
 具体的には三ケ月以上の滞納者情報を、個人信用情報機関に登録しはじめたのである。これが「ブラックリスト」化といわれるものだ。
 そればかりではない。九カ月以上の返還滞納者に対しては、返還訴訟を次々と起こし、容赦ない取り立てに奔走しているのである(訴訟移行は〇九年で四千二百二十三件に急増。〇四年は五十八件)。債権回収は民間の債権回収業者に委託されており、本人・親元ばかりか職場などにまで連絡をし、支払いの督促を執拗に行っているのである。
 こうなると、もはや学生支援機構とサラ金業者との違いを見つけるのは難しい。現代学生は奨学金という名の借金で卒業前から借金漬けにされるのだ。
 卒業後も逃れることができないローン地獄へと叩き込まれ、容赦のない取立てに追われながら、必死になって返済をつづける奨学金卒業生が少なくないのである。
 十一年度の滞納者は約三十三万人で滞納額は八百七十六億円だ。数字の上では、滞納者は全体の11%弱だが、経済的困窮にあえぎながら必死に返済をつづけている者はかなりの数にのぼる。

  ▼7章―1節―3項
  学内管理規制のさらなる強化


 学生の自主・自治活動への規制強化は一段と進行している。歴史的には二〇〇〇年前後に、自治会、文化・サークル連盟をはじめ学生自治機関の非公認化(予算打ち切り)が相次いで強行された。これと同時並行的に、学生会館や自治寮などが解体され、学生の自主活動拠点が根こそぎ潰されてきた。特に首都圏でのそれは公安・機動隊、さらには暴力ガードマンを動員するなど極めて強権的・暴力的な形態であった。
 現在はこれに加え、ビラ貼りやビラまき規制、立て看禁止、トラメガでの宣伝活動禁止、空き教室の使用禁止、入校チェック規制ばかりか、学内での飲酒全面禁止や花見禁止までもが、「常識化・日常化」されつつある。とくに首都圏の大学においてはその傾向が著しい。
 大学当局による「就活」煽動、貧困化と相まって、学生は政治や社会、文化などを語り合う空間と時間を不断に奪われ、個別に分断されてしまっているのだ。
 しかしながら、こういったブルジョアジーの要求する人材への道や、大学の「就職予備校化」を拒否する学生もまた存在している。近年「就活」や「ブラックリスト化」に抗する運動が開始された。
 また、被災地支援運動や反原発運動に、学生を含む若者たちがたち上がりはじめている。
 われわれは、こういった学生と結合し、団結を促進する活動・回路を形成し、反帝国際主義派学生運動の拠点を粘り強く構築していかなければならない。

  ●7章―2節
  2012年に闘い取ったわれわれの地平


 昨年われわれ共青同(学班協)は、第一に反原発運動の継続的発展・高揚を広範な労働者階級人民とともに作り出してきた。
 二〇一一年3・11以降、われわれは被災地支援活動を継続的に取り組むと同時に、これを反原発闘争=全人民的政治闘争へと意識的に結合する活動を追求してきた。これらを全国拠点大学において展開し、学生の組織化を実現してきた。
 また、3・11原発震災から一ヵ年の福島現地全国闘争や、昨年六~七月期の大飯原発再稼働阻止現地闘争をはじめ、7・16反原発十万人集会や、機動隊の阻止線を民衆が実力で突破した7・29国会議事堂前占拠闘争など、日帝の政治的中枢へと直接抗議する大闘争と、毎週金曜日の首相官邸前などの行動(首都圏)、対関電行動(関西)、上関原発阻止闘争(九州・山口)などに連続して決起し、結集した多くの労働者民衆とともに闘いぬいてきたのである。
 第二に、反戦・反基地・反安保闘争に全力で取り組んできた。われわれは米軍再編の攻撃と、その具体的な現れとしての基地強化攻撃に対し、現地で日常的に反基地運動を取り組む住民との結合を重視し、支援・連帯の取り組みを展開してきた。
 また、5・15沖縄解放闘争、十一月岩国基地大強化反対闘争に全力で決起してきた。とりわけ昨秋より、米軍の新型輸送機オスプレイ強行配備を許さない闘い、辺野古新基地建設阻止闘争を米軍再編との闘いの最重要の環として設定し、これに全力を傾注してきた。
 われわれは岩国住民とともに、七月オスプレイ搬入阻止・弾劾行動に断固として決起すると同時に、これに呼応する防衛省などへの抗議闘争を全国で闘い抜いたのである。
 米帝オバマは、昨年より二正面作戦を放棄し、アジア太平洋での戦力増強を明確に打ち出し、そのもとで米軍再編を強めている。
 日米両政府は、米軍厚木基地所属の空母艦載機五十九機を、二〇一四年までに岩国基地へと移駐しようとしている。また、岩国基地の大強化と違法な米軍住宅建設を強行している。欠陥機オスプレイの配備もその一環である。
 沖縄のオスプレイ配備反対闘争は「オール沖縄」と表現されるように、いまや保守層をも巻き込んだ巨大な奔流として成長・発展し、日米帝の安保・軍事戦略に真っ向から立ちはだかっている。
 昨年九月九日には、「オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会」が十万一千人という空前の大結集をかちとった。さらに、九月二十六日からは、普天間基地大山ゲート、野嵩(のだけ)ゲートを実力封鎖する座り込み闘争が、「県」警による暴力的排除攻撃と対峙してたたかわれた。
 日帝・野田政権は、沖縄人民の圧倒的な配備撤回の声を「日米安保のキーストーン(要石)」「安保は国の専管事項」という歴代自民党政権とまったく同一の論理をもって切り捨て、配備を強行し、高江オスプレイパッド建設工事を強行しつづけている。
 また、沖縄駐留米兵は昨年十月の女性への性暴力事件、住宅侵入事件など重大犯罪を繰り返しており、米軍はまたも言葉だけの「綱紀粛正」で事態を収束させようとしている。基地外での飲酒禁止令を出した直後の昨年十二月二十八日にも、住居侵入事件が繰り返されている。これこそ、まさに沖縄人民にたいする差別軍事支配そのものである。
 沖縄人民の決起は、欠陥機オスプレイの強行配備という危険性ばかりでなく、薩摩による「琉球処分」、「本土防衛」の捨て石とされた沖縄戦や、戦後の米軍政支配の強制など、沖縄―「本土」の歴史的な差別構造に対する告発・糾弾でもあるのだ。
 自民党の「県」連幹事長だったこともあり、親の代からの保守政治家である翁長(おなが)雄志那覇市長は「あなたが沖縄の人間だったらどうする。米軍機が墜落して家族が死ぬかもしれないというのに『しょうがないや、日本全体のためだもんね』って言うのか。そんな地方が日本のどこにあるんだ。」と、沖縄に対する「本土」の構造的差別を鋭く批判し、反対運動にたちあがっている(十二月四日『東京新聞』)。
 われわれ「本土」労働者階級人民は、この沖縄人民の怒りの声を痛苦に受け止め、米軍基地撤去・沖縄解放闘争をともにたたかっていかなければならない。
 日帝・防衛省は「領土問題」を契機に、二万名以上の自衛隊員を、八重山など南西諸島へと配備しようとしている。自衛隊の誘致に積極的に動いていた与那国島の外間守吉町長は、「『軍』には違和感がある。ついていけない」「沖縄戦を経験した沖縄の人間として、軍命、総動員とくれば行政が成り立たないことは知っている」(十二月十一日『沖縄タイムス』)と国防軍創設をぶちあげた安倍・自民党に対して拒否の姿勢を示しはじめている。
 米軍再編攻撃のただ中、被災地支援出動を契機として、自衛隊の実戦部隊化と市民社会への公然登場は突出している。自衛隊の南西諸島配備を、断固して阻止していこう。
 われわれは、安倍右翼反動政権による戦争国家化と断固として対決し、米軍再編攻撃に対し、現地実力闘争を軸にたたかおう。

  ●7章―3節
  学生は反原発・反戦・反基地、反帝国際連帯を先頭で闘おう


 われわれ共青同(学班協)の、二〇一三年任務方針は第一に、反原発闘争の継続的高揚と全人民的政治闘争としてのさらなる発展をつくりだしていくことだ。
 日帝・安倍右翼反動政権は、全国で原発の再稼働・新設をもくろんでいる。それは組閣人事からも明白だ。
 まず「推進派ナンバーワン」である元経産相・甘利明を経済再生担当相に据えた。甘利は、「安全を確認した原発は動かした方が国民利益にかなう」などと公言する根っからの原発推進派だ。
 また「反原発は集団ヒステリー」(ママ)と、差別暴言を放った石原伸晃を、原子力規制を担う環境相に起用し、いまなお福島第一原発の排出する放射能汚染に苦しむ福島県民の神経を逆なでしているのである。
 新経産相・茂木敏は、民主党政権時の「二〇三〇年代に原発稼動ゼロ」目標を「前政権の方針は再検討が必要」(十二月二十七日新閣僚記者会見)と就任早々に転換表明した。
 さらに、敷地内を走る活断層によって大地震を起こす可能性が高い、日本原子力発電敦賀原発三、四号機や、中国電力上関原発一、二号機など、計画段階の原発九基についても、民主党政権時の建設を認めない方針からの転換を表明している。また、実現のメドすらはっきりしない核燃料サイクルについても「いま放棄する選択肢はない」と継続姿勢を明確にしているのだ。
 現在、関電大飯原発三、四号機を除いて、全国の原発はストップしている。だが、旧経済産業省原子力安全・保安院の「安全評価」を終えている四国伊方原発三号機などの再稼動へむけた調査を、今春より強行する可能性が高い。
 大飯現地での再稼働反対闘争の大高揚をひきつぎ、大衆的実力闘争の力で原発再稼働を阻止していこう。
 原子力発電は、稼働する限り被曝労働者を必然的に生み出さざるを得ない。日帝政府の被災地切捨て政策と、より深刻化する失業状態の中で、被曝労働(除染作業を含む)に従事せざるを得ない被災者も多く存在する。また、歴史的にも原発労働は、寄せ場などの流動的下層労働者による、大量の被曝労働によって支えられてきたのである。
 そもそも原子力発電は、このような日帝による被曝労働の強制=棄民化政策がないかぎり存続が不可能なのだ。われわれは、原発の存在自体が持っている本質的な反人間性=階級的・重層的な差別構造をこそ重視しなければならない。被曝労働者を見捨て、見殺しにしつづけることによってしか存立しえない原子力発電など今すぐに廃炉にしなければならないのだ。
 いまだ三十二万一千人におよぶ原発・震災避難者をはじめとする被災者を切り捨て、労働者人民に被曝を強制し、原発再稼動をもくろむ安倍右翼反動政権を、大衆的実力闘争の力で打倒しよう。
 第二に、反戦、反基地、反安保闘争に断固として決起していこう。厚木、横須賀、岩国、沖縄をはじめ、反米軍基地闘争に断固として決起しよう。一月二十七日には、沖縄人民の政府中枢に対するオスプレイ配備撤回を求める大抗議行動が予定されている。ともに決起したたかっていこう。
 同時に、全国のオスプレイ低空飛行訓練を許さない闘いを進めていこう。「ヘリモードは基地内限定」「人口密集地上空を避ける」といった日米合同委での合意事項は、すでに岩国、沖縄などにおいて完全に無視されている。試作段階から事故を繰り返す欠陥機オスプレイの低空飛行訓練を絶対に阻止せよ。
 また、安倍右翼反動政権の改憲攻撃を粉砕する闘いにたち上がらなければならない。安倍は集団的自衛権行使の容認を検討することを内閣発足直後から明言している。
 また、九条改憲に向け、改憲発議要件を衆参両院の過半数に緩和する、憲法九六条の改悪を狙っている。すでに第一次安倍内閣時に国民投票法を成立させており、安倍は現政権で憲法そのものに手をかけようとしているのだ。
 衆院選において自民党と日本維新の会が「勝利」した結果、改憲勢力は三分の二を占めている。九条改憲攻撃を阻止する広範な運動を全国学園で巻き起こして行こうではないか。
 第三に韓国、フィリピンをはじめとする、アジア反帝学生組織との共同闘争を推進していこう。アジア共同行動日本連絡会議をはじめとする活動家・市民への「入国拒否・強制退去」攻撃をうちやぶり、闘うアジア学生諸団体との共同闘争、国際連帯を継続的につくりだそう。各地での日常的な国際主義的諸実践活動に、地域・学園を基盤に継続的に取り組んでいこう。
 さらに、在特会などファシスト勢力による排外主義煽動・襲撃との攻防は、極めて重要な国際主義的任務である。民族排外主義への屈服は戦争への道に直結している。在特会は8・6広島闘争に対しても「核武装」「原発再稼働」をかかげ敵対的に登場している。断固として粉砕していかなければならない。
 第四に大学再編攻撃、学内規制管理強化に抗し、学生の団結を促進していこう。
 全国学園で学生自治と自主的サークル活動を徹底して防衛しよう。近年われわれの活動する大学においても、自主管理・運営をつづけるサークル会館への規制・解体攻撃や、サークル非公認化などの攻撃がかけられてきている。
 これら大学当局の攻撃に対して、われわれはサークル間など学生の共闘を維持・発展させ、共同で反撃していこう。また、それらを大学再編に抗する全国学生の共闘へと強化・発展させていかなければならない。
 また同時にわれわれは、近年新たに登場した「就活ぶっこわせデモ」や奨学金滞納者の「ブラックリスト化」反対運動に注目すると同時に、共同の闘いを呼びかけ、総貧困化に抗する学生の広範な裾野を形成していかなければならない。
 第五に三里塚闘争の勝利に向けて、闘い抜いていこう。われわれは、昨年行動隊への新たな学友の決起をかちとってきた。行動隊同志は、農地取り上げ攻撃と敢然と闘いぬく市東孝雄さんを先頭とした、反対同盟農民の営農・生活を守る活動をはじめ、あらゆる闘争の最前線で闘いぬいている。全国の学友は、行動隊に決起していこう。
 三里塚情勢は「用地内」農民=市東孝雄さんの土地をめぐる決戦的状況である。われわれは、「国策」による暴力的な土地取り上げに抗し、「農地死守・実力闘争・一切の話し合い拒否」の原則を貫き、四十六年にわたり闘いぬく三里塚芝山連合空港反対同盟との革命的共闘にかけて、市東さんの農地を守る決戦に断固としてたち上がらなければならない。
 反対同盟の不屈・非妥協の闘いに恐怖した日帝国家権力は、昨年東京高裁5・20現闘本部裁判控訴審において、「不退去罪」をもっての五十名大量逮捕弾圧に出てきたのである。
 不当逮捕された行動隊の同志たちは二十三日間のブント担当公安・野村らの取り調べ=転向強要攻撃と徹底的に対決し、完黙・非転向を貫徹したのである。
 反対同盟の呼びかけに応え、3・24三里塚全国総決起集会に決起していこうではないか。
 全国の闘う学友は、われわれ共青同(学班協)とともに闘おう。




 

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