共産主義者同盟(統一委員会)


1407号(2013年1月1日) 政治主張






■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

■ENGLISH

■リンク

 

□ホームへ

   戦乱と資本主義の危機をうち破り

  プロレタリア世界革命の前進を

  反動攻勢と対決する革命的労働者党建設を





 すべての同志、友人! そして『戦旗』読者のみなさん!
 二○一二年、日帝足下、反原発をかかげる日本労働者階級人民の歴史的決起は、首相官邸、国会、霞ヶ関を包囲し、首都東京を埋め尽くす数十万の巨大なうねりとなってあらわれた。7・16、29には全国から巨万人民が決起し、11・11には権力による妨害をはねのけて首都百万人大占拠闘争を勝利させた。また、沖縄でもオスプレイ配備に反対する沖縄人民の決起は十万人を超え、米帝のアジア支配を根底から揺さぶる歴史的闘いとしてかちとられた。
 今や自公政権であれ、民主党政権であれ「今の政府や議会には何もできない」「もう任せておくわけにはいかない」と徹底した政府、官僚、国会、議会そのものへの不信・不満が労働者階級人民の中に充満している。そうした人民の怒りが民主党―野田政権を解散・総選挙へと追い込んだのだ。そして、その闘いは本格的な反政府、反権力闘争への発展の可能性を内包し、本年の闘いへと引き継がれようとしている。労働者階級が自らの手で現在の権力、支配階級を打倒し、その手に権力を握らない限り、未来は決して切り拓けないことがますますあきらかになってきているのだ。
 リーマン・ショック以降、米帝国主義をはじめ日帝、EU各国帝国主義は経済危機を深め、泥沼の世界大恐慌へと突入している。特に、昨秋以降、EU債務危機に連動した中国をはじめとする新興国経済の急激な減速は、より一層、帝国主義を出口のない絶望的危機へと叩きこんでいる。ではこうした経済危機はリーマン・ショックによってもたらされた一時的なものなのか。否、決してそうではない。一九九一年にソ連・東欧が崩壊した時には、資本主義、自由経済の勝利が確定したといわれた。来るべき時代はグローバルな市場競争の時代であり、この大競争によって世界の富は一気に拡大すると帝国主義者どもは喧伝した。それから二十年たって事態は一体どうなったであろうか。帝国主義グローバリゼーションはいまや完全に破綻し、自らその克服の道筋すら描くことができず出口なき崩壊への道を突き進んでいる。
 経済の再生をかかげて登場した米大統領オバマは米帝の再生と復活を果たすことができず、その政治経済的影響力を大きく後退させた。今回の大統領選挙においてはかろうじて勝利することができたが、もはや世界を牽引していく力を完全に喪失している。
 EUではギリシャ、イタリア、スペインなど国家破綻の危機が続く中で、緊縮財政反対の闘いは先鋭化し、スペインなどでは各自治州の国からの分離独立の動きなども加速しており、EU崩壊の危機も顕在化しはじめている。
 日本帝国主義も円高とデフレの定着、三十一年ぶりの貿易赤字への転落と増え続ける財政赤字、高い失業率と貧困と格差の一層の拡大、大震災と収束のメドも立たない原発事故による復興の遅れなど、出口の見えない泥沼的危機へと突入しているのである。
 中国では、十年ぶりに指導部が交代し新たに習近平体制が発足した。「改革開放」政策以来約三十年。「社会主義市場経済」なる資本主義化政策のもとで世界資本主義体制の中に自らを組み入れた中国は、胡錦濤時代の十年で世界第二位の経済大国にのし上がった。しかし、一方急速な資本主義化は富の偏在をもたらしすさまじい貧富の格差を生み出した。
 こうした全世界を覆う経済危機は、資本主義システムそのものの命脈が尽きたことを明示している。
 しかし、帝国主義者どもは、この危機の突破をさらに労働者人民へ犠牲を押し付けることによって延命しようとしている。資本主義、帝国主義そのものを打倒しないかぎり全世界の労働者階級人民の未来は無いのだ。
 二○一三年、われわれは反原発闘争の更なる高揚と日米安保との全面対決をかかげ、自民党・公明党、さらには石原―橋下・日本維新の会など極右反動勢力による階級支配の再編強化のもくろみを粉砕し、新たな労働者階級人民の権力樹立にむけた闘いへと本格的に突き進んでいかなければならない。そして、死の淵に喘ぐ帝国主義の最後的打倒にむけて南米をはじめ中東・アラブ世界、アジア各国など全世界で反帝国主義を闘う人民と連帯し、プロレタリア世界革命の旗のもと日本革命運動の歴史的な前進をかちとろう。
 二〇一三年、プロレタリア日本革命の新たな時代を切り拓くべく、共産主義者同盟(統一委員会)の見解と方針を以下の構成で明らかにする。今号、第一四〇七号(一月一日付)に、第一章 世界情勢、第二章 国内情勢、第三章 党建設方針を掲載する。次号、第一四〇八号(一月二十日付)に、第四章 政治運動方針、第五章 労働運動方針、第六章 青年運動方針、第七章 学生運動方針を掲載する。



  
■第1章―世界情勢

  危機を深める現代帝国主義

  搾取と戦乱を打破する人民の決起




  ●1章―1節 革命、ゼネスト、占拠闘争、
                   帝国主義の世界支配の危機


 〇八年恐慌は、現代帝国主義各国に深い矛盾を与え続けてきている。
 G7やIMF・世銀総会の論議は、財政危機と景気悪化の両面から危機が深まり、帝国主義諸国が有効な政策をとれなくなっていることを如実に表わしている。
 根本的な問題は、この矛盾を、極端な緊縮政策をはじめとした徹底した新自由主義政策をもって、全面的に労働者人民に押し付けていることである。世界経済はグローバル化しながら、この矛盾の影響は平等ではない。欧州の財政基盤が弱い諸国の労働者に、そしてまた、帝国主義の資本輸出によって多国籍企業の支配下におかれたアジア諸国、ラテンアメリカ諸国の労働者に、その矛盾が極端な形で一挙に押し寄せている。財政危機、金融危機に陥った諸国でこそ、耐え難い政策を強いられた労働者が、資本と政府に対して闘いに立ち上がらざるをえなくなっている
 経済危機というだけではない。中心国―米帝の世界を編成する力の喪失が、現代帝国主義の階級支配の危機、世界支配の危機として現れている。最大の矛盾は、侵略戦争の泥沼化である。米帝―オバマ政権は、ブッシュ政権が開始したアフガニスタン戦争、イラク戦争を決着させることができない。イラクから「撤退」しアフガニスタンに兵力を集中しても、ブッシュやオバマが描いた「平和」や「民主主義」「自由」がもたらされた訳ではない。中東から中央アジアまでの全域に戦乱が拡大し、米軍への憎悪が蓄積している。爆弾攻撃などさまざまな反米闘争は収まることはない。
 米軍とその同盟国軍、そして、現代帝国主義そのものがもたらした巨大な矛盾への反攻が全世界で開始されている。

  ▼1章―1節―1項 米帝オバマ政権の戦争の意味

 二〇一〇年末のチュニジア革命から始まった独裁政権打倒闘争は、二〇一一年にはエジプト革命の勝利から、北アフリカ・中東全域のイスラム諸国での民主化闘争として発展した。
 この闘いは、人民の決起の正当性を全世界に示した。巨万人民の結集によって、腐敗した独裁国家権力を打倒していく闘いは、イスラム諸国に止まるものではなかった。全世界の労働者人民は、名もなき人々の巨大な結集がこれまで磐石に見えた国家権力を押し崩していく状況を同時代の闘いとして見て、そこに時代の大きな変化を感じ取っていた。それは変革への一つの希望であった。帝国主義諸国にも大きな影響を与えた。欧州の労働運動―緊縮政策反対のゼネスト、全人民的街頭行動、アメリカにおけるウォール街占拠闘争、さらに、日本における反原発闘争の全人民的高揚へと伝播し拡大した。
 しかし、一方では、新たな不安定の時代への突入でもあった。リビア内戦には、カダフィ政権打倒後の石油利権を確保を狙って、英帝、仏帝、米帝が介入した。さらに、シリアでは、反独裁闘争を武力鎮圧しようとするアサド政権と抵抗勢力との激しい内戦となっている。
 これは、一超大国―米帝が、その軍事的覇権によって世界の秩序を維持していく時代の終焉への突入である。米軍は、イラク戦争・アフガニスタン戦争の「全面的勝利」を確定する展望はなく、際限のない泥沼化に陥っている。
 オバマ政権は、イラク戦争を「選択の戦争」(やらなくてもよかった戦争)として批判し「撤退」を進め、一方ではアフガニスタン戦争を「必要な戦争」として位置付け増派を続けた。〇九年のオバマ就任時には三万二千人だったアフガニスタン駐留米軍は一〇年春には十万人に達していた。
 オバマは国内政策においては「民主的な」政策を執行しつつ、その外交においては無慈悲な戦争を激化させてきた。かつて、ケネディが南ベトナムに大規模な軍事顧問団を派遣してベトナム戦争を開始したように、これがアメリカ帝国主義の民主党の実像なのだが。
 昨年十一月のアメリカ大統領選の焦点は国内政策であった。アフガニスタンへの大規模な派兵が継続している戦時下にあることは忘れ去られたような選挙戦であった。
 オバマは〇九年就任直後にアフガニスタンに増派し、その結果米軍の戦死者は急増していた。その後、オバマは戦争のIT化、無人機化を進めることで、国内には戦争が見えない状況へと転換させてきた。米軍は、アフガニスタンで「対テロ」戦争を継続し、アフガニスタン人民を殺戮し続けている。しかし、それは、地上軍の戦闘によるのではなく、無人機での攻撃によって行なわれている。当初、無人機は偵察機として使われていたが、現在は直接殺戮する攻撃機として使われている。オバマ政権は無人機攻撃を急速に増やしてきた。
 駐留米軍は、兵員を徐々に戦場から撤退させ、陸軍・空軍の無人機での攻撃を拡大してきた。また、正規軍を撤退させる一方で、民間軍事会社に委託して戦争を継続してきた。さらには、「戦争」とは別枠でCIAが直接殺戮を行なっている。身勝手にも米帝はCIAによる殺戮を「戦争」とは捉えていない。まさに、国家によるテロリズムというべき非公然・非合法の戦争を、アフガニスタンのみならずパキスタンにも拡大させている。
 米軍がアフガニスタンで展開する「非対称な戦争」において、軍事における格差というべき事態が進行している。米帝はIT技術を駆使した無人機攻撃で、安全な場所から殺戮を行っている。タリバン側は、手製爆弾での攻撃で対抗する。米軍は無人機攻撃ゆえに誤爆が絶えない。米兵士の戦死者は減ったが、アフガニスタン民衆の民間人の死者は増えている。アフガニスタンの人々は、米軍がアフガニスタンのために「テロリストと戦っている」と思ってはいない。
 米軍は一昨年、オバマの指示の下で、パキスタン国内に潜入し、パキスタン政府と連携することなく、ビンラディンを殺害した。
 このような戦争ゆえに、アメリカ国民にはオバマのアフガニスタン戦争ははっきりとは見えない。残虐なオバマの戦争は大統領選の焦点とはならず、オバマはまるで民主主義の旗手であるかのごとく扱われて再選された。ロムニーならば、もっと残虐な戦争を、しかも公然と拡大したかもしれない。しかし、オバマの軍事戦略こそアメリカ帝国主義の利害を貫徹するものなのである。現代帝国主義のその腐りきった本質をしっかりと捉え、これと対決していかなくてはならない。

  ◆イスラエルのガザ攻撃―虐殺弾劾!

 イラク戦争・アフガニスタン戦争によって米帝が拡大した戦乱と、北アフリカ・中東諸国での革命、内戦という事態に対して、イスラエルは中東全域の軍事バランスが変動したと捉えた。この情勢を軍事的好機と見たイスラエルは昨年十一月十四日、パレスチナ自治区ガザに対して大規模な空爆を開始した。ハマスのアハメド・ジャバリ司令官を殺害した。ハマスを軍事的に圧殺しようとしたのだ。
 ガザを実効支配するハマスに対しては、イラン、シリア、トルコなどが支援してきた。イランに対しては核開発問題をめぐって米帝など帝国主義諸国が経済制裁を強めている。一方、シリア内戦が国境を越えて拡大しており、シリア・トルコ間での軍事衝突も生じている。イスラム諸国の混乱、困窮が生じていることを見据えた上で、イスラエルはガザ攻撃を開始し、激化させているのだ。
 暴発したイスラエルによって、中東情勢が一挙に戦時に突入というべき事態の中でも、米大統領オバマは「イスラエルの自衛権を全面的に支持する」として、このイスラエルのガザ空爆―殺戮を支持しているのだ。
 エジプトなどの仲介によって、十一月二十一日にイスラエルとガザの停戦が合意された。
 さらに、十一月二十九日には、国連総会で、圧倒的多数でパレスチナを「国家」として承認する決議が採択された。反対票を投じたイスラエル、米国は、全世界から孤立していることを印象付けた。

  ▼1章―1節―2項 欧州労働者階級の反撃

 〇八年恐慌に直面したG7、G20が、現代資本主義救済のために実施した財政政策は、現在にいたる各国財政危機の引き金だった。財政基盤が脆弱な諸国には財政破綻が先んじて現れた。一昨年、ギリシャをはじめとする南欧諸国の財政破綻は欧州全体の危機として拡大した。
 欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)、直接的にはユーロ圏財務省会合・首脳会合がギリシャ支援の枠組みをつくり、辛うじて危機を脱したかに見えた。しかし、それはギリシャ、スペイン、イタリアなど諸国の労働者・人民に極端な緊縮財政を強いるものであった。欧州労働者人民は、この矛盾の押し付けの本質を見抜き、階級的利害を前面に押し出して闘いに立ち上がってきた。二〇一二年、この欧州労働者階級の反撃がはっきりと現れてきた。

  ◆ギリシャとフランスの人民の選択

 欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、IMFのトロイカ体制によって実施されているギリシャ支援は、厳しい条件と一体であり、これは従来のIMFコンディショナリティを範としたものであった。このトロイカ体制によるギリシャ財政の管理統制というべき事態の中で、昨年五月、ギリシャ議会選挙が行われた。労働者人民の生活を直接破壊する極端な緊縮政策に反対する急進左翼連合が支持を集めて第二党に躍進し、第一党の新民主主義党を軸にした連立では新政権を樹立することができなかった。
 六月十七日に行なわれた再選挙では、得票率29・66%の新民主主義党が第一党としてのボーナス議席五十を加えて百二十九を確保し、第三党の全ギリシャ社会主義運動、第四党の民主左翼を加えて辛うじて連立政権を発足させた。第二党の急進左翼連合は得票率26・89%で七十一議席を獲得し、新民主主義党に迫る勢いであった。
 この五月・六月のギリシャ議会選挙は、トロイカ体制がギリシャ人民に強制する緊縮政策を受け入れるのか、反対するのかを第一に問うものであった。急進左翼連合に、ギリシャ共産党の得票率4・5%も加えれば、実に30%以上のギリシャ人民が緊縮策に反対の意思をもって投票行動を行ったのである。
 このギリシャ再選挙と同じ六月十七日に行なわれたフランス国民議会(下院)選挙では、三百十四議席を獲得した社会党を中心に左翼勢力が三百四十三議席を占めた。フランスの選挙は、大統領(社会党オランド)、上・下両院のすべてを左翼勢力が掌握する結果となった。
 「左翼政権」とはいっても、独帝とともに欧州連合の枢軸となっているフランス帝国主義の体制内の「左翼政権」であることは確かである。ただし、経済危機の中で欧州においても新自由主義政策が推し進められ、これに抗する労働者階級―労働組合の闘いが前進する中で社会党―左翼政権への支持がなされたのである。これまで、サルコジ政権の下で、労働条件の劣悪化、非正規雇用・不安定雇用に対する規制の緩和など新自由主義政策が進められたことに対する強い反対運動が起こっていることが、この流れの根底にあったことは明らかである。

  ◆欧州の国際共同闘争の発展

 EU公認で欧州最大の労働組合―欧州労連(ETUC:三十六カ国八十五労組ナショナルセンター、約六千万人が加盟)は「新自由主義金融化モデルの失敗」を批判し、金融危機への対応によって「雇用喪失、大量失業、労働者への増税」を結果してはならないと訴えている。
 欧州委員会、欧州中央銀行、IMFが進める欧州金融危機対策は新自由主義的制度再編である。「緊縮政策と労働市場改革」の強行であり、具体的には、賃下げ、労働条件切り下げ、雇用規制の緩和、非正規雇用・不安定雇用の拡大、社会保障の削減・縮小である。
 欧州労連は二〇一一年五月の第十二回大会(アテネ)で、具体的にギリシャ、アイルランド、ポルトガルなどで採用された緊縮政策は、賃金、公共サービス、社会保障、年金、生活水準に下降圧力をかけるものと規定し、これへの反対行動の重要性を確認した。
 欧州労連と各国の傘下労組は二〇一一年秋以降、緊縮政策反対運動を強化した。ギリシャをはじめとする欧州各国のゼネストは、この共同方針の下で、複数労組間の共同闘争として闘われてきている。そして、この闘いは、昨秋以降さらに拡大し、また、既成労働運動の指導部を突き上げるものとなってきている。
 スペインでは昨年七月十九日、全国八十以上の都市で計二百万人以上が参加して大規模デモが取り組まれた。緊縮政策反対闘争が高揚する中で、スペイン―ラホイ政権は昨年九月一日、二兆円の税収増を見込んで、付加価値税の標準税率を18%から21%に引き上げた。しかも、これまで4%の「軽減税率」だった食料品や学用品まで標準税率に変更し、急激な増税を強制したのである。九月十五日、緊縮反対の「マドリード大行進」は十万人が参加し、増税反対、賃下げ反対、整理解雇反対を掲げてたたかった。
 昨年九月三十日、パリでも緊縮反対デモが闘われ、五万人の労働者人民が参加した。オランド新政権が進めようとする財政協定(財政赤字削減の緊縮協定)に真っ向から反対を掲げる左翼戦線のデモであった。社会党―オランドがフランス帝国主義の利害で政策を進めることを突破しようとする主張と行動が、フランス労働者の決起として始まったのだ。
 十一月十四日には、スペイン、イタリア、ポルトガル、ギリシャの南欧四カ国で反緊縮同時ゼネストが闘われた。この闘いの中心となったスペインでは九百万人がストライキに参加した。バルセロナで十一万人、マドリードでは三万五千人が抗議集会・デモに参加し、マドリードでは警官隊と激突して百四十人が逮捕された。フランスでも労働組合によるデモが全国で行われた。
 南欧諸国のデモが実力闘争として発展している背景には、失業率の急激な上昇がある。ギリシャでは、若者の二人に一人が失業している。青年労働者、未組織の労働者の生活苦が極限に達している。マドリードのデモには非組合員の労働者がデモに加わり、ローマでは学生が独自のデモを展開している。
 欧州労働者階級の闘いは、ギリシャ、フランスなどに成立した「左翼政権」が進めようとする緊縮政策との対決を開始している。独帝・仏帝が支配する欧州連合の枠組みの中で新自由主義と妥協する政策を、階級的な実力闘争で突破しようとする闘いが始まっているのだ。

  ▼1章―1節―3項 反米諸国の抵抗と米帝の軍事的覇権の弱化

 一超大国として世界の軍事的覇権を護持してきた米帝が、その力を大きく減退させている。
 後に見るように、米帝―オバマ政権は、経済成長を続ける中国、インド、ASEAN諸国などアジア諸国にその利害を見い出し、アジア・太平洋地域への介入戦略を明確に打ち出している。しかし、それは、かつて中南米全域を自らの権益圏として植民地・従属国として支配していたアメリカ帝国主義が、NAFTAをもってカナダ、メキシコとの貿易自由化を進めたものの、米州全域を米帝の下での自由経済地域として経済的に独占していくことに失敗しているからである。
 ベネズエラ、キューバ、ボリビア、ニカラグアなど反米諸国八カ国による「米州ボリバール同盟(ALBA)」、また、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、ベネズエラが主導する「南米南部共同市場(メルコスール)」が、中南米・カリブ海諸国の地域統合として進んでいる。さらには、米国とカナダを除く米州諸国三十三カ国による「中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)」も成立している。CELACは、米国主導の米州機構(OAS)に対抗した組織である。
 米帝に意識的に対抗し、あるいは、ドルの支配からの一定の自立をめざして、中南米諸国が独自の枠組みを成立させてきているのである。
 昨年十月七日、ベネズエラ大統領選挙で、ウーゴ・チャベス現大統領が再選された。
 大統領選挙は、ベネズエラ社会主義統一党(チャベス党首)、ベネズエラ共産党、共同体変革党などが参加する左派「偉大なる祖国勢力」=チャベス候補と、民主行動党、キリスト教社会党、正義第一党、新時代党などの右派「民主団結会議」=カプリーレス候補との対決としてたたかわれた。チャベスが得票数八百十三万六千九百六十四票(55・25%)を獲得し、カプリーレスの六百四十九万九千五百七十五票(44・13%)に大差をつけて当選した。
 チャベス政権が推進してきた社会主義政策に対して、右派=カプリーレスは国内政策としての社会主義化に反対するだけでなく、中南米の左派政権への石油輸出に反対し、富裕層や多国籍企業への優遇政策を主張した。社会主義政策の推進か、新自由主義への後退かが問われた選挙であった。右派が得票を伸ばす中で、左派=チャベス政権がそれ以上に獲得票数を伸ばして勝利した。
 ベネズエラ人民が自らの選択としてチャベス政権が進める社会主義を選び取ったとともに、中南米全体で進む反米・左派政権の結合・連帯を着実に前進させる勝利となった。反米闘争、反米・非米の枠組みが、米帝を取り囲む地域において、さらに前進しているのである。


  ●1章―2節 恐慌の深化と進行する階級矛盾

 〇八年、中心国―米帝において引き起こされた金融恐慌は全世界に波及した。この危機に恐怖したG7―G20の支配者どもが合意したのは、世界規模での財政出動だった。それはグローバルに展開する巨大金融機関の破綻を救済はした。しかし、結果としてもたらされたことは、世界各国の莫大な財政危機だった。ギリシャ、スペイン、イタリアなど欧州各国で次々に露呈した財政危機が、欧州経済そのものを一挙に冷却し、世界経済総体を長期不況に引きずり込んできている。欧州の経済危機は、世界の工場として市場経済の発展を遂げてきた中国の輸出を押し止め、世界規模の経済の収縮を結果している。
 世界経済、そして、全世界の政治的枠組みをも規定するような危機が、アメリカ、ヨーロッパ、そしてアジア―日本を貫いて進行している。混迷する帝国主義は、危機の深化の中で何処へ進もうとしているのか。

  ▼1章―2節―1項 欧州経済危機の長期化と財政緊縮策、財政統合

 ヨーロッパの経済危機は、ギリシャ財政破綻からスペイン、イタリアの財政危機、金融危機へと拡大しつつある。ギリシャ一国とは規模が違う経済動乱に直面している。場合によってはEU総体が経済危機に陥る状況にある。ECBは昨年九月六日、新たな国債購入プログラム(OMT)を発表した。
 ユーロ圏全体の国債を、上限額を設定せずに購入するというものである。スペイン、イタリアなど財政が悪化した諸国では、国債利回りが急騰して財政再建が困難になるという事態が繰り返し起こっている。ECBが上限なしの国債買い取りを明示することで、市場での国債価格の不安定化を回避しようというのだ。このECB総裁ドラギの判断がユーロ危機を収束させるかと報じられている。
 しかし、ドラギは、スペイン、イタリアなど各国政府の財政危機をECBの全額負担でただ単に救済すると言っているのではない。この国債買い取りは無条件ではない。各国の財政削減など財政再建策の実行を条件とするものである
 このOMTの条件とは、欧州金融安定化基金(EFSF)―その後継としての欧州安定メカニズム(ESM)に対して、当該国が救済申請を行い、そこで決定された財政再建策を順守することである。財政危機に陥った諸国は、OMTによって財政危機を免れるものの、その後の財政運営はEFSF―ESMの決定に基づく「財政再建」というたががはめられてしまうのである。
 これは危機に陥った諸国を対象にしているとはいえ、その根底にあるのは、独帝・仏帝が欧州金融危機を利用して欧州の政治統合を進める策動である。通貨統合=ユーロの成立に伴って金融政策は一元化(欧州の政策金利はECBが一元的に決定)されてきた。しかし、財政は各国独自に決定・運営されている。この金融政策の統一と財政政策の分散という矛盾が大きな要因となって、〇八年恐慌の中で一挙に欧州各国は金融危機に突入してきた。ECBは、この矛盾の発現としての現在の危機を見定め、欧州危機への根本的対策として、ESMの管理下での国債購入という政策を決定したのである。
 昨年十月十八日、十九日に開催されたEUサミット(首脳会議)では、ECBがユーロ圏の銀行管理を一括して行う制度(銀行同盟)を二〇一三年中に開始することで一致した。それは、ESMによる銀行への直接資本注入についての基準をユーロ圏財務省会合で決定していくことと一体である。
 独帝・仏帝は、この欧州金融危機の中で、欧州委員会、ECB、IMFのトロイカ主導の危機打開策をもって、欧州全体の通貨・金融・財政という経済基盤、労働者人民の生活基盤への全面的な介入・支配を強化してきている。労働運動の歴史的な成果ゆえに「社会的欧州」と表現されてきた社会民主主義を、危機に乗じて全面的に新自由主義政策へと転換する攻撃が開始されている。
 EUとIMFは昨年十一月二十七日、財政破綻の瀬戸際にあったギリシャへの融資再開を決定した。しかし、それは緊縮政策の再確認でもあった。ギリシャ人民の憤激はより増大している。最新の世論調査では、急進左翼連合が現政権を乗り越えて政党支持率で首位となっているのだ。

  ▼1章―2節―2項 米大統領選挙と財政危機

 昨年十一月の米大統領選における民主党オバマと共和党ロムニーの対決は、恐慌下での現代帝国主義の大規模な財政政策と、急激な財政危機の進行という矛盾を端的に表わすものであった。
 民主党オバマは、二九年大恐慌を教訓としつつ、ニューディール的財政プログラムをもって危機回避の対応を継続することを掲げた。そのために富裕層増税による財政再建を主張した。共和党ロムニーは、医療・公的年金など社会保障支出を削減する「小さな政府」をもって、資本家・富裕層への増税を阻止することが、景気回復、失業率改善につながると主張した。
 大統領選では民主党オバマが勝利した。しかし、これで米国の財政危機に決着がついた訳ではない。かつ、米国の危機は、米国の国内問題としてのみ収まる問題ではない。
 巨額の財政赤字は連邦国債であり、その半分以上を海外に依存している。恐慌への対応ゆえに、米国の財政赤字は拡大した。米国経済の海外依存はさらに強まっている。米財政赤字の拡大は、ドルの信認問題に直結する。ドルの暴落―世界経済の大混乱へと直結している。ドルが米国一国で通用する通貨ではなく、現状でも唯一の基軸通貨であるがゆえに、米国の財政破綻は現代資本主義そのもの破綻となりうるのだ。
 米連邦準備制度理事会(FRB)は昨年九月、「毎月四百億ドルの住宅ローン担保証券(MBS)を購入する」という形で、金融の「量的緩和第三弾(QE3)」の実施を決定した。米政府も、これ以上の財政政策をとれない。大統領選を前にして、失業率7・8%、失業者数一千二百万人という経済状況の中で、FRBは長期的な失業率の目標を5・2~6・0%と設定して金融緩和策を発動した。このバーナンキの判断は、大統領選でのオバマを若干は支援することになったかもしれない。しかし、金融緩和を発動し継続したからといって、即座に景気回復し、失業率が改善した訳ではない。
 大統領選勝利後、第二期オバマ政権が直面しているのは「財政の崖(fiscal cliff)」である。
 第一には、一二年末でさまざまな減税措置が期限切れとなり、失効する。ブッシュ政権時代からの所得税率引き下げ、キャピタルゲイン配当減税が一二年末期限となっていることである。さらに、オバマ政権が恐慌対策として実施してきた社会保障税(公的年金保険料)減税などの減税措置も一二年末で期限切れになる。
 第二には、一三年からは財政支出の自動削減措置の開始が予定されている。一一年に民主党オバマ政権と共和党は財政問題をめぐって対立を続けた。その結果、向こう十年間で一・二兆ドルの財政削減を行うことになった。具体的には、その半分は国防費で削減、半分は医療保険の一部と民生費で一律削減することになっている。
 米新政権は、新たな財政措置がとれないどころか、二〇一三年年頭から「財政の崖」にそのまま踏み込んでいけば、恐慌下の景気悪化の中で実質的増税を行うことになる。「財政の崖」を放置すれば、失業率は9%台に跳ね上がると報じられている。
 米国内においては、オバマ政権が共和党の明確な譲歩を引き出せないのであれば、一旦「財政の崖」から転がり落ちたほうが、共和党を含めた米議会が根本的解決に踏み出せるはずだという議論さえ起こっている。
 〇八年リーマン・ショックからの四年、米国の金融危機、欧州の財政危機・金融危機、日本の財政危機と、全世界が連鎖して資本主義経済を急激に収縮させてきた。日本も米国も欧州も、G20諸国を総動員して、世界規模で全面的な財政政策をとって「景気回復」を目指してきた。新自由主義のスローガンとは全く矛盾するような国家財政の全面投入で行ったことは、新自由主義グローバリゼーションの尖兵たる銀行の連鎖倒産を回避しただけである。実体経済は冷え切っている。国家財政で銀行を救済した結果が、巨額の財政赤字である。日帝の消費税率引き上げに明らかなように、大衆増税をもって、緊縮財政をもって、労働者人民にその矛盾を押し付けようとしているのだ。
 労働者の賃金が上がらなければ、労働者が購買することができなければ、資本主義の危機がさらに連鎖して深化していくことは明らかである。にもかかわらず、労働者人民に矛盾を強いること以外に何の方途も持たない事態こそ、行き場をなくした現代資本主義の姿なのである。


  ●1章―3節 東アジアをめぐる日・米帝国主義と中国

  ▼1章―3節―1項 米帝のアジア重視の外交戦略と軍事戦略


 米帝オバマは昨年一月五日、「米国の国際的な指導力の維持――二一世紀の国防の優先順位」と題した新国防戦略を発表した。
 予算コントロール法によって、米国防予算は、二〇一三―一七年度の五年間で総額二千五百九十億ドル、二二年度までの十年間では四千八百七十億ドル削減される。
 全体として削減される国防予算の中で、オバマ政権は一一年十一月のオーストラリア議会演説を画期として、二正面作戦の護持ではなく、経済的利権とともにアジア太平洋地域を重視する軍事戦略を選択することを明示した。
 米国務長官クリントンは、この演説と同時期に発表した論文「米国の太平洋の世紀」の中で、「米国内では深刻な経済的課題に直面している今、米軍の再配置ではなく帰還を、国外への関与の縮小を求めている者がいるが見当違いである。米国は世界に関与しないわけにはいかない」とし、「戦略面では南中国海の航行の自由の防衛、北朝鮮による核拡散活動への対抗、地域の主要な国々の軍事活動の透明性の確保など、手段を問わずアジア太平洋地域全体の平和と安全を維持することがますます重要になっている」と述べている。
 日本、韓国、フィリピン、オーストラリア、タイと結んでいる二国間軍事同盟に関して「米国のアジア太平洋地域への戦略的方向転換の支点」だと強く確認している。
 オバマとクリントンのこの主張を米国防戦略として正式に明らかにしたものが、「米国の国際的な指導力の維持――二一世紀の国防の優先順位」であった。
 オバマ政権は十年にわたるイラク戦争・アフガニスタン戦争を終了し、「戦略的利益」のための新国防戦略に移行しようとしている。一点は、国防費削減という事態の中で、大規模な地上軍を投入した戦争ではなく、空軍と海軍に重点を置いた戦略に転換しようというものである。もう一点は、「戦略的利益がある地域」をアジアと中東であると明記し、戦略機軸をアジアに移すということである。
 戦術的には、初めに述べたような特殊作戦部隊や無人機を中心にし、空軍力・海軍力と宇宙、情報技術を強化するということである。その対象としては、イラン、中国、朝鮮民主主義人民共和国を想定している。中国に対しては「戦略的パートナー」として関係を強化しつつ、一方ではアジア太平洋地域の軍事同盟による中国包囲網を企図しているのである。その同盟国・地域が、日本、韓国、台湾、オーストラリア、フィリピン、タイである。しかし、アフガニスタン戦争もまだ終結している訳ではない。アジアに駐留する米軍は、中央アジア、中東をにらみ、いつでも派兵できる位置におくということだ。東アジアに重点をおく米軍の配置が、東アジアからアフガニスタン、パキスタン、イラン、中東全域を押さえているのであり、これと一体化する日米同盟とは、この侵略反革命戦争に常に参戦する態勢としてあるのだということを、怒りをもって確認しておかなくてはならない。

  ▼1章―3節―2項 アジアの権益をめぐる争闘

 米帝―オバマ政権は、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉を主導することで、アジア太平洋地域の自由貿易圏化を自国の利害に適った形に持ち込んでいこうとしている。
 日帝は、民主党―鳩山・小沢が東アジア共同体構想を掲げたものの、米帝と官僚組織に叩き潰されてしまった。野田政権は、TPP推進を掲げて日米同盟の下でのアジア権益確保に「活路」を見い出そうとしてきた。しかし、米国基準での市場開放が、多国籍企業化した独占資本にとっては「活路」であっても、農業・水産業や中小企業をはじめとして様々な国内産業を破壊しつくすものであることが明らかになってきている。日帝―支配階級は「アジア路線」を掲げながらも、アジア―中国の独自権益と日米同盟の護持という矛盾・対立をはらんだ課題の中で右往左往し続けている。
 日帝がこのような事態に陥っている中で、TPPが中国を排除した枠組みであることから、中国はこれに反発してきた。そもそも、TPP論議以前から、ASEANと日本、中国、韓国の枠組みでの会議は継続的に行われてきているのだ。
 昨年十一月、カンボジアのプノンペンで開催された東アジア首脳会議において、日中韓の自由貿易協定(FTA)の準備会合を進めていくことが具体的日程を伴って合意された。そして、ASEAN十カ国と日・中・韓、インド、オーストラリア、ニュージーランドの十六カ国(ASEAN+6)での包括的経済連携協定(RCEP)の交渉開始も宣言された。
 これは、すでに政権維持能力を失った野田政権の戦略ではなく、中国の対米戦略の一環として推し進められたものである。TPPをもって環太平洋という枠で東アジアを自らの権益圏に組み込んでいこうとする米帝の戦略に対して、中国は、日中韓、あるいはASEAN+6の枠組みで、米帝に対抗する根拠を形成すべく動いたのである。
 昨年十一月、中国共産党は第十八回党大会を開催し、習近平総書記を軸とする新指導体制を発足させた。改革開放路線を継続し、市場経済化―資本主義化をさらに進めていくであろう。しかし、都市と農村の貧富の格差など地域間格差は極端に拡大しており、争議、暴動が頻発している。中国共産党は「中華民族」を掲げているが、チベット、ウイグルをはじめとした民族問題も抱えている。
 一方で、急激に経済成長を続けてきた中国は、対外的には全世界の外貨準備の約30%を保有している。米国債の保有残高は〇九年以来日本を超えて中国が一位になっている。欧州債務危機の対策も、中国の資金提供が重要な位置を占めている。現代帝国主義の未曾有の危機を、低賃金労働を最大の武器とした世界の工場=中国が救済しているのだ。軍事的には、米帝のアジア戦略と対峙しつつ、中国はその海軍力を強化している。昨年九月には、中国初の空母「遼寧」を就航させている。
 「東アジアの権益」とは、今やまさに中国問題である。日帝こそが、中国を重要な対象国としたアジア資本輸出、アジア侵略反革命を展開しているのだ。グローバル化した現代資本主義の下では、欧州、米国の動向と常に連動しているのだ。

  ▼1章―3節―3項 アジア諸国・地域の階級闘争の前進

 東アジアの権益をめぐって日帝、米帝、中国がそれぞれの利害の下に動き、かつ、それと一体に軍事戦略を組み立てている。
 労働者人民からすれば、その現実は、国境を越えて展開する帝国主義の多国籍資本の搾取の下におかれ、資本の競争と大国間の争闘の下で搾取と支配が強化されているということである。中国の経済発展といったところで、その市場経済化の進展に伴って、帝国主義資本が参入し中国資本との合併の下で、資本主義的生産様式を全面化させているのである。
 外資導入が進む韓国、フィリピン、インドネシア、そして中国など各国で、労働組合結成が制動されていても、多くの労働者が賃上げを、労働条件改善を要求してストライキに立ち上がっている。
 昨年、インドネシアでは労働争議が相次いでたたかわれてきた。日系企業をも休業に追い込んでおり、操業停止によって工場閉鎖に追い込まれる企業も出ている。十月三日には、首都ジャカルタをはじめインドネシア全土で、二百八十万人が参加するゼネストがたたかわれた。労働者派遣制度廃止を求めるストライキであり、インドネシア政府も派遣労働を認める職種を限定する方針を決定せざるをえなくなっている。
 帝国主義資本が低賃金労働を求めてアジア各地に資本輸出を拡大する中で、インドネシアだけでなく、アジア各地に労働争議は拡大している。とりわけ、ベトナム、カンボジア、ビルマなど日帝が新たに資本輸出を拡大している諸国において、ストライキは頻発している。中国もそうだが、争議権などが奪われた状況の諸国に、それを好機と捉えて侵出した外国資本の強搾取に対して、労働者が立ち上がってきているのだ。
 フィリピン・トヨタに対するたたかい、韓国の双龍自動車やGMなど、まさに帝国主義資本・外国資本の侵出とその苛烈な搾取に対する労働争議が、アジア各地で激しくたたかわれてきている。このようなアジア各国・地域での状況と労働争議こそ、新自由主義グローバリゼーションがもたらした現実の結果なのである。
 この帝国主義資本のアジア展開と軌を一にして、米軍の駐留―軍事基地がある。韓国・済州のカンジョン海軍基地建設阻止闘争をはじめとする反基地闘争、米比合同軍事演習バリカタンに対するフィリピン人民のたたかい、そして、沖縄―岩国―神奈川を始めとする反基地闘争は、日米安保を軸にした帝国主義の侵略反革命戦争とのたたかいである。
 現代帝国主義の危機の深化の中で、アジアの「権益」獲得を目的として強化される資本輸出の拡大、新自由主義政策の強化はあり、それは、帝国主義の軍事・政治を大きく規定して進んでいるのだということを、アジア人民との共闘の中でこそ、しっかりとつかみとっていこうではないか。
 日本帝国主義は、〇八年恐慌、そして3・11東日本大震災、福島原発事故―拡大する放射能汚染という事態の中で国内階級支配の危機に直面している。そうであるがゆえに石原、橋下などは「尖閣購入」―領土拡張主義を前面に押し出し、釣魚諸島問題、独島問題、日本軍性奴隷制度問題で排外主義煽動を激化させながら極右新党を立ち上げた。アジア人民の批判をまともに捉えることもできず、混乱を作り出しながら、排外主義的ナショナリズムで国民を統合できると夢想しているのだ。
 この時代にこそプロレタリア国際主義をはっきりと掲げ、危機に瀕した日本帝国主義と対決し、何よりも恥ずべき排外主義勢力を撃破していかなくてはならない。
 アジア―世界の労働者階級人民と、階級闘争―革命運動の中でこそ真の結合を果たしていこうではないか。




  
■第2章 国内情勢

  矛盾の一切を人民におしつける日帝

  反基地・反原発、全人民決起の発展



  ●2章―1節 「失われた20年」と深まる日帝の危機

 資本主義世界が世界大恐慌の泥沼的危機を深める中で、日本資本主義も危機を一層深めている。「失われた二十年」といわれる日帝の危機の深刻さを再度確認しておこう。
 日本の成長率は一九八〇年代後半のバブル崩壊後、何度かのマイナスを繰り返し二〇〇〇年代の実質成長率は平均で0・8%、名目成長率はそれより1%は低くなっている。したがって、この二十年間名目成長率だとほぼゼロ成長ということである。さらに賃金水準を見ると長期的に下落しており、九○年代末からは文字通り、物価、賃金の下落というデフレ現象が続いている。しかも、所得再分配について、所得分配の不平等の指標であるジニ係数は九六年あたりから確実に上昇しており、所得の不平等=格差の拡大は確実に進行しているのだ。にもかかわらず、〇二年から○七年までは日本経済は長期の「景気回復」を経験し、戦後二番目の長期にわたる「いざなみ景気」などと呼ばれた。しかし、「実感なき景気回復」といわれたようにこの景気回復期はもっぱら大企業を中心に大量の首切り・合理化、賃金コストの削減・抑制によってもたらされたものなのだ。「ジョブレス・リカバリー(雇用なき景気回復)」といわれる所以だ。事実この十年ほどで、企業で働く非正規雇用の割合は年々増え、昨年には35%を超えている。非正規雇用は実に三分の一にもなっているのだ。
 また、この間の「景気回復」は輸出によるところが大きいが、もっぱらアメリカや特に中国市場に依存したものであった。そして「いざなみ景気」の時期が小泉の首相在任期間と重なるために、景気回復は「構造改革」の成果だと宣伝された。しかし、現実には極めて深刻な「貧困と格差」を生み出し、まさにデフレが続く中で誤った方向で「構造的不況」へと叩き込んだのが小泉改革なる経済、社会の破壊だったのである。「貧困と格差」が深刻さを増す一方で、小泉政権時代に労働市場の流動化、規制緩和により労働コストを限界まで引き下げ、大量の失業者・半失業者を生み出した企業、特に多国籍大企業はこれにより利益を大幅に増額させた。トヨタはこの時期初めて国内企業として純益が一兆円を超えた。そして、現在、多国籍大企業を中心として日本企業の内部留保は二百兆から三百兆円に上るといわれている。多国籍企業はまさにこうした内部留保を武器に、M&A(企業の合併・買収)や海外拠点への資本投下を通し足場を固めながらさらなる高利潤の獲得へと向かっているのである。
 欧州では一昨年からギリシャやイタリア、スペインでの債務危機が深刻化し、EU自体の崩壊の危機を孕みながら進行している。そうした影響は、中国をはじめとした新興国へと波及し、特に昨年後半からは中国経済も急激な減速傾向を示している。世界貿易に占める割合で中国が第一位となり、日帝にとって、中国への輸出減少にともなう深刻な影響が顕在化しはじめている。さらに、釣魚諸島国有化問題に端を発した「領土問題」は、日中間の貿易のみならず投資にも大きな影響を与え始めているのである。昨年十月、財務省が発表した十月の貿易統計では、四カ月連続での赤字。十月としては過去最大。特にトヨタ、日産をはじめとした中国向け自動車輸出が前年同月比八割減という大幅な落ち込みを記録した。日本から中国に進出している企業は二万二千社を超えているが、特に自動車産業において日本車の買い控え・不買運動の影響が明確となった。さらに、中国からの団体旅行客の減少や反日デモを契機に下落した株価は、その後の販売不振などを受けて回復しておらず、特に中国展開で先行していた資生堂やコマツ、日産などで下落幅が極めて大きくなっている。まさに、中国頼みの経済維持すらも破綻の危機に直面しているのだ。
 こうした中で内需主導による経済回復が叫ばれている。しかし、大量かつ長期にわたる失業者を生み出し、非正規雇用を増やし、賃金を抑制し、年金制度も実質的に破綻し、将来に対する不安がますます増大する中で内需拡大型の政策など採りようがないのである。さらに、今年から二十五年間にわたって続く復興増税(所得税の増税)と消費増税による大衆収奪の大強化は、日々多くの労働者の生活を破壊し、彼らを貧困と下層社会へと叩き落していくことになる。こうした中で、金融緩和策と巨額の財政出動による景気のテコいれを図ろうとも景気の回復には繋がらず、財政の悪化を一層深刻化させるだけなのだ。昨年、政府・地方の財政赤字は、ついに一千兆円を突破し、GDPの二倍を超えた。
 十数年前に始まったデフレは、一九九〇年の金融市場と不動産のバブル崩壊を契機としている。一九八〇年代後半の資産バブルは、過度な資金が金融市場や不動産市場へ向かったために生じた。消費者はモノを買うよりも株式投資などの財テクに走り、企業も長期的な研究開発や新技術の開発に向けた投資よりも、金融市場へと資本を動かしていった。それがバブルを引き起こし、資産価値の上昇は資産効果をもたらして人々の所得を押し上げ、一時的に景気を刺激した。しかし、バブルはやがて崩壊し、資産デフレを引き起こす。これは、逆資産効果によって人々の所得を減少させ、消費需要を抑制した。また、資産状態の悪化は銀行のバランスシートを悪化させて企業への貸出を減退させ、「貸し剥がし」とまでいわれた事態まで生み出した。バブルの崩壊という金融現象は、やがて実体経済に波及し悪化を招いたのだ。まさに、金融主導による経済の不安定化であった。これは、従来の景気循環論や経済変動論などが唱える実体経済における景気の波による経済の不安定化や単純な過剰生産が問題といった一時的、一過性の問題ではないのである。
 そして、経済のグローバル化は、帝国主義国の労働者の賃金を押し下げる傾向を持たざるを得ない。それはいうまでもなく、帝国主義国の労働者が途上国の低賃金労働と競争せざるを得ないからだ。そうして、帝国主義諸国では、恒常的に賃金水準の低下と物価の下落というデフレ圧力を受けることになるのである。こうした中で小泉「構造改革」が行われた。経済の停滞状況に対して、「規制」がその原因とされ、あらゆる規制緩和策が採られたのだ。金融の自由化、市場の開放、労働市場すらもが「雇用の流動化、柔軟化」の名のもとに規制緩和された。まさに一部金融独占と多国籍企業の利害をのみ優先させた経済構造へと変質させられたのである。今日の構造的不況、恐慌の深刻化をもたらしたものこそ、帝国主義グローバリゼーションと新自由主義にもとづく小泉「構造改革」であり、労働者の総貧困化・棄民化の政策なのである。
 日帝は、こうした構造的危機が進行する中で、一昨年の大震災と福島原発の未曾有の事故によりますます危機を深め、その危機をさらなる労働者人民への犠牲の転化、矛盾の押し付けによって乗り切ろうとしているのである。とりわけ下層労働者や青年、女性、高齢者などへの犠牲の強要は、極限的状態にまで強められている。この間、大企業を中心に危機の進行にともない何千・何万人単位でのリストラ・首切りが行われ、それがいとも簡単に当たり前のように行われ常態化している。中間層労働者の年間給与所得も年々減り続け、年収二百万円以下の給与所得者も五年連続で一千万人を超えている。その多くが派遣、アルバイト、女性労働者などであり、特に母子家庭では貧困率が57%を超えるという悲惨な状態が続いている。貯蓄ゼロの世帯は25%を超え、こうした中で当然にも生活保護人口は増え続け、昨年は二百十三万人に達し過去最高を更新した。しかし、この数字は生活保護受給可能な水準の人々の三割に過ぎない。そして、非正規職の多くが青年層や女性であり、青年層や女性の失業、半失業問題は一向に改善される状況にはないのである。一方、首切りから逃れることのできた労働者も長時間労働や職場での支配強化の中で過労死を強制され(昨年請求は九百件超)、また精神疾患を患い労災請求する件数も千件を超えて、前年より20%以上増加している。自殺者の数は、ここ十年以上年三万人を超えている。日雇い労働者たちも仕事の激減により原発労働などへと追い込まれ使い捨て労働が蔓延・拡大する時代になっているのである
 さらに、東北三県を中心とした被災地の人民は、まったくもって過酷な状況に追い込まれたままである。被災三県を中心にこれまでに自殺で亡くなられた方は七十人を超えている。家庭問題や健康問題、経済・生活問題が原因の大半を占めている。そして、震災と原発事故による関連死者も千六百人を超え、昨年九月末で失業手当が切れ、未だ六割以上の人々が就職することもできずにいる。仕事もない中でガレキの撤去や原発事故の後始末のために被曝を強制されながら日雇いなどで働く以外に手立ての無い状況に追い込まれているのである。企業本位の復興特区計画のもと住民生活の再建、再生のメドはまったく立っていないのである。こうした被災地の過酷な状況の中で今、復興予算のデタラメ極まりない使われ方が次々と発覚している。一般財源が削減される中で、被災三県の復興と住民の生活再建や再生とはまったく関係のない企業の設備投資や公共事業への流用など全官庁が復興予算を喰いものにしているのである。公安調査庁などは復興予算から「過激派対策」と称して車両十四台を購入し、古くなった車両の入れ替えに使うなど、被災三県の住民を愚弄し、死に追いやるデタラメ極まりないことを平然と行なっているのである。
 まさにこうした国内における長期的かつ構造的不況と恐慌的危機をもたらした最大の要因のひとつは、「労働市場の規制緩和」の名のもとに進められた労働者に対する失業・半失業政策であり、労働コストを極限まで押し下げ続けてきたことにあるのだ。このまま、政府・資本家どもの攻撃を許しておくならば、さらに「失われた三十年」へと突入するであろう。
 連合のダラ官どもは、中下層の労働者を犠牲にし、資本家と一体化することでみずからの生き残りをのみ策している。中小・下層労働者に立脚し、連合支配の中で闘い続ける先進的労働者・組合と結合し、新自由主義・帝国主義グローバリゼーションとの全面対決をかかげ、資本主義そのものの打倒をめざす強力な階級的労働運動を構築することが求められている。同時に帝国主義グローバリゼーションは、全世界の労働者を同様の危機へと叩きこんできた。それゆえに全世界の労働者階級は、国境を越えて闘う根拠と基盤をその手にいれることができるのだ。労働運動の国際的結合・連帯を強化し、資本主義そのものの全世界的打倒をめざす労働運動の再生で労働者階級の利害を守り、未来を切り拓いていかなければならないのだ。


  ●2章―2節 アジアに延命を求める日本帝国主義

 昨年七月、閣議決定された「日本再生戦略」は、冒頭「日本が世界の中で突出する経済力を誇り、アジアで唯一の先進国という地位が保障された時代はとうの昔に終わっている。今や日本は世界に先駆けて超高齢社会に突入し、未曾有の災害に遭遇し、さらには原発事故によって深刻なエネルギー制約にも直面している」と日帝ブルジョアジーの危機感をあらわにしている。そして、その危機の突破口を一層の海外への展開の強化に求めている。「人口減少に伴い、国内需要が低迷する日本にとって、内需拡大の努力だけでなく、外需を獲得することは至上命題である。そのためには、新興国を筆頭に世界各国の需要を取り込む通商関係を構築する必要がある。とりわけ、急成長するアジア圏の需要を日本に取り込むことが鍵となる」。そのために「新たな貿易・投資ルールの形成を主導していくことが重要である。こうした観点から、我が国として主要な貿易相手を始めとする幅広い国々と戦略的かつ多角的に経済連携を進める。具体的には、アジア太平洋自由貿易圏の実現に向け、日豪・日加交渉を推進、日韓交渉を再開し、また年内交渉開始につき一致した日中韓FTA、東アジア地域包括的経済連携といった広域経済連携の早期交渉開始を目指すとともに、環太平洋経済連携協定(TPP)については交渉参加に向けた関係国との協議を進める」としていた。
 TPP問題をめぐっては、日本国内では農林漁業、医療関係などからの猛烈な反対やアメリカでも自動車産業などの強力な抵抗があるわけだが、民主党―野田は、日本経団連など経済団体の意を受け、昨年十一月オバマの再選後TPPへの交渉参加の意向を明らかにした。TPPは、そもそもシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの四ヶ国が二○○六年に経済連携協定として発足させたものであったが、米帝は、二○○九年このTPPに参加を表明し、これを強力に推進しようとしてきた。TPPは、加盟国間の貿易において全品目の関税を十年以内に原則全面撤廃し、知的財産権、金融、労働、医療など広範な領域での規制や非関税障壁を撤廃することを目標にしている。しかし、実態は新たな自由貿易圏の創出ではなく、米帝のルールに基づいた一種のブロック経済圏に他ならない。「アメリカン・スタンダード」を「グローバル・スタンダード」といいなし、そのルールを他国へと押し付けつつ経済権益を確保しようという米帝の世界戦略そのものなのだ。この間、米帝が「庭先」としてきた中南米において、ベネズエラ、ボリビア、ニカラグアなど反米左翼政権が次々と誕生し、米帝の影響力は急速に後退した。また、イラク戦争やアフガニスタン戦争によって中東、南西アジアでの位置も大きく後退させた。没落する米帝にとって延命を託すことができるのが唯一アジアであり、TPPをもって環太平洋における自らの経済圏を形成する以外に生き残る道がないのである。
 日帝―野田も同様に対アジア勢力圏化にむけてTPPへの交渉参加の意向を表明した。しかし、TPPは、日本農業や地域経済に壊滅的打撃を与える「例外なき関税撤廃」だけでなく、食品安全の規制緩和や、国民皆保険制度を破壊する混合診療の解禁など、経済と社会のあり方を米帝基準(ルール)によって「大改造」することを狙ったものであり、労働者人民の生活と安全を擁護するためにはTPPへの参加など絶対に容認することはできないのだ。
 また、日中韓三カ国間では昨年十一月、FTAの交渉入りを決め、実務者レベルの協議を本年初めから開始することで合意した。釣魚諸島や独島など「領土問題」で対立は続くものの巨大な市場である中国の取り込みを狙う日韓とTPPを推進する米帝を牽制したい中国の思惑がひとまず合致した形だ。日帝にとっては同時にTPPを進めることで、TPPと対抗する中国やインドに関税引き下げを促し、巨大市場をより一層こじ開けようというのだ。
 まさに、各国帝国主義にとって巨大な市場である中国やインドをはじめとして成長の潜在的可能性を秘めるアジアの新興国を取り込んでいけるかどうか、その権益圏確保にむけて争闘戦を激化させていくしか生き延びる道は残されていないのである。


  ●2章―3節 歴史的高揚をかちとった巨万人民の決起

 日帝の存亡をかけて民主党―野田政権は、経団連を中心とする独占ブルジョアジーの利害を前面に掲げ、帝国主義労働運動を推進する連合を支えとして反動的、反労働者的政策を強行してきた。福島第一原発事故の収束のメドも立たず、事故原因も不明なままに大飯原発の再稼動を強行した。そして、全国の原発再稼動と核武装にむけて原子力基本法を改悪し、看板を代えただけの原子力規制庁を発足させた。そして、国内での原発建設が停滞する中で原発の輸出を加速させようとしている。アジアへの活路をもとめる中で中国、朝鮮民主主義人民共和国を睨み、日米安保同盟の再編強化へと乗り出している。その一環として沖縄へのオスプレイ配備を強行し、普天間基地の永久固定化をもくろんでいる。愛宕山開発用地の国への売却と岩国基地の拡張・強化により岩国は極東最大の航空基地へと作り変えられようとしている。武器輸出三原則の見直しや集団的自衛権の行使容認にむけた政府解釈の検討―改憲攻撃は戦争国家づくりへの突破口である。海底資源の略奪にむけた釣魚諸島や独島をめぐる領土拡張主義、国益主義、差別排外主義の全面化。民・自・公一体による消費増税による大衆収奪の強化。企業優先の復興特区構想と被災地復興予算を食い物にする不正流用など民主党―野田政権の米帝と大企業べったりの反労働者的本質が一層鮮明になったのである。
 こうした野田政権による反動的政策が次々と明らかとなる中で、大飯原発再稼動強行以降、反原発・脱原発デモは広範な人民の決起でゆうに十万人を超え、急速な発展を見せてきた。そして、それは全国へと波及し長期的闘いとなっている。そこには活動家はもちろん先進的組合労働者をはじめ、それまでデモの経験のなかった青年や学生、家族連れ、そして大量の女性たちが決起した。
 二○一○年、チュニジアに始まった民衆蜂起が瞬く間にエジプト、イエメン、リビア、シリアなどアラブ世界へと波及し、独裁政権を打倒した。そして、一昨年九月にはアメリカのウォール街を多くの若者たちが占拠し、帝国主義グローバリゼーションの元凶である金融資本が敵であることを明確にした。民衆のこうした闘いは、国家デフォルトの危機に瀕するEU圏各国や貧富の差が急速に拡大する中国など世界各地でもおこっている。まさに、日本における空前の反原発闘争の高揚、そしてオスプレイ強行配備に反対する沖縄人民の怒りの決起は、こうした全世界の蜂起や占拠闘争の大衆化、権力や支配者層に対する直接行動という流れの中で起こった画歴史的かつ世界的闘いの一環と位置づけることができる。
 首相官邸や国会を包囲する巨万人民の「再稼動反対」「原発とめろ」のスローガンとシュプレヒコールには、これまでの社会のあり方を根本から問い直し、失業や格差、貧困や不平等といったあらゆる原因の根本は原発事故を生み出したものとまったく同じものであること、資本主義システムそのものに原因があること、そして、それらを変えないと社会は変わらないし、変えることができるという多くの民衆の思いが凝縮されているのである。豊かな生活と経済の成長・社会の発展のためには不可欠と考えられ、絶対安全と言われ続けてきた原発。しかし、その幻想は福島第一原発の大事故により一瞬で吹き飛び、原発が瞬く間にそれまでの生活を破壊し、生命の危険すらもたらすこと、そして、核が一旦暴走するならば人類の手には負えないこと、そうした危険と隣り合わせにわれわれの生活と社会があったことを現実的に示したのである。
 現在の反原発闘争は、歴史的な高揚にあるとはいえ、権力打倒、政府打倒を直接的に訴えるものとはなっていない。しかし、今後、消費増税反対の闘いや反TPPの闘い、憲法改悪をめぐる攻防、反安保闘争などと共鳴・増幅しあいながら、確実に反政府、権力打倒闘争へと発展していく無限の可能性を有している。そして、重要なのは、こうした闘いに、福島の被災した女性たちを先頭に全国の母親たち、女性たちが子どもを守る、未来を守る闘いとして大量に決起していることである。原発事故を招いた責任者たちの処罰を徹底して追求する闘いは、原発推進を許してきたそれまでの真剣な反省と二度と事故を起こさせない=全原発の廃炉にむけた闘いであると同時に、未来社会はどうあるべきかを常に問い続ける闘いとして大きなうねりの原動力である。こうした闘いを支え、連帯することが極めて重要だ。
 また、「失われた二十年」といわれる「貧困と格差」の中で虐げられてきた多くの青年層が立ち上がった。戦後六十年以上にわたり原爆の被害に苦しみぬいてきた全国の被爆者や被爆二世が福島をはじめとした全国の被曝者の痛みと怒りに寄り添い、支えともに生きていく闘いを強めている。さらに、連合による帝国主義労働運動を突破し闘いぬく中小労働組合も労働組合の社会的存在意義の復権にかけて反原発闘争など様々な闘いの先頭に立ち上がろうとしている。「原子力ムラ」内部からも良心的学者や技術者たちが声をあげはじめ、文化人なども闘いを鼓舞している。このような全人民的な階級的・階層的連帯こそ、未来社会建設の基礎となるものなのだ。
 われわれ統一委員会は結成以降、崩壊した戦後階級闘争にかわる新たな階級闘争の構造建設に全力をあげてきた。中小・未組織に基礎を置く階級的労働運動の再生を柱に反帝政治闘争の全人民的発展をめざし、大衆的共同闘争を推進し、原則的党派との党派間統一戦線の形成に努力してきた。さらに被抑圧人民・被差別大衆をはじめ青年や学生など諸階層の運動と団結を促進し、新たな階級闘争構造を支えぬく強固な基盤を形成しようとしてきた。まさに昨年の反原発、反オスプレイをはじめとした闘いの大高揚は、日本階級闘争における新しい局面を切り拓き、新たな闘争構造を支えぬく階級基盤を形成したのだ。
 われわれは、形成された新たな階級基盤をさらに発展させ強化するためにあらゆる努力を傾注しなければならない。二○一三年、昨年を上回る反原発闘争をはじめとした全人民的政治闘争を大胆に推し進め、諸階層・人民の団結を促進し、戦後階級闘争構造のドラスティックな転換を勝ち取ることが求められているのである。
 一方、高揚する反原発・脱原発闘争が先進的労働組合や青年・学生たちの運動と結合し、反政府闘争へと発展することに危機感を抱く権力者どもは、こうした闘いを事前に潰そうと労働者人民への弾圧を強めている。横行する首切り・リストラ、非正規職労働者の雇用と権利を守るために闘わんとする中小労働組合、労働運動の解体にむけて威力業務妨害でのでっち上げや多額の損害賠償請求など刑事・民事を問わずあらゆる手段を動員して争議破壊にまい進している。さらには組合指導部の狙い打ち逮捕などで労組潰しそのものを狙った攻撃が全国で行われている。また、大飯原発再稼動阻止闘争や電力会社に対する抗議闘争に対して事後弾圧・デッチあげ逮捕が拡大してきている。
 こうした刑事弾圧のみならず、SLAPP訴訟といわれる民事訴訟を使ったあらゆる反対運動封じのための弾圧もかけられてきている。昨年九月には、上関原発の反対運動をめぐって最高裁は、「公有水面の埋め立て免許を受けたものは、妨害を排除する権利がある」と電力会社に「妨害」を排除する権利があるとする決定を下し、一切の実力的反対運動を潰していくという決定を下した。
 まさに日帝は、集会ごとに数を増す巨万の人民の決起と全国化を心底から恐れているのだ。こうした政府・権力・資本による弾圧、闘争破壊に屈することなく、より強靭な運動と組織を作りあげていかなければならない。昨年以上に権力による弾圧が予想される。しかし、弾圧を恐れることなく跳ね返し闘いの前進をかちとろう。昨年切り拓かれた反原発、反オスプレイ配備阻止の闘いの地平を継承し、昨年を上回る巨万の人民の決起をかちとろう。


  ●2章―4節 右翼反動政権と対決する革命的労働者党の建設を

 民主党が自民党に代わり政権をとってから約三年半。昨年は小沢グループが離党し、新党を結成。野田政権の支持率も18%までさがり、ついに支持政党でも自民党が優位に立ち、民主党―野田政権は解散・総選挙へと追い込まれた。日帝の経済的危機の深刻化にともない政治危機が一層進行し、支配階級内部でも新たな流動化と再編が開始されたのだ。すでに、自民党ではタカ派の安倍が総裁へと返り咲き、十二月総選挙を制して反動政権を成立させた。
 さらに注目しておかなければならないのが、衆議院の解散・総選挙が迫る中、民主、自民・公明でもない「第三極」なるものの形成にむけた動きが急速に強まり、流動と再編に一層の拍車をかけたことだ。石原・太陽の党は結成後たちまちに解党し、日本維新の会への合流を決定した。こうした動きは、保守二大政党がその支配力を後退させ、そこに不満を持ち収斂されない部分の受け皿として形成されようとしてきた。しかし、こうした「第三極」をめぐる動きの本質は保守潮流内部の再編に過ぎず、今や「第三極」の中心へと躍り出た石原や橋下は現状の保守支配体制の補完勢力であり、保守全体のより右への再編を目論む極右反動勢力であることをはっきりさせておかなければならない。
 橋下や石原に共通するのは、労働者人民の中に鬱積する将来への不安や閉塞感、経済弱体化の原因を国家そのものの弱体化=中央集権制や官僚支配、戦後的支配体制そのものの限界として捉え、強い国家の再建=国家体制の改編をめざす点にある。とりわけアジアにおいて急速に経済的発展を遂げて台頭してきた中国、韓国などに対して差別排外主義を煽りたて、戦争を可能とする国家構築のうちに危機の突破を図ろうというのである。同時にそのためには国内におけるあらゆる反戦勢力や反戦意識を叩き潰すことを目的としている。
 橋下が強行した自治労や日教組の一層の弱体化と解体を目論む教育基本条例や職員基本条例は、貧困が深刻化する中で公務員労働者に対するねたみを最大限に利用し、「日の丸・君が代」教育の徹底、反戦教育の解体、反戦・平和運動の圧殺を目論むものである。
 また、石原は一昨年、GDPで日本を追い抜いた中国の「大国としての脅威」が増す中で、「尖閣諸島」購入をぶち上げ、一挙に中国に対する国益主義、領土拡張主義、差別排外主義を全面化させ、アジアへの戦争と帝国主義的覇権の確立にむけて労働者人民を動員しようとしているのである。そのために現憲法の破棄=新憲法の制定、あるいは九条改憲による集団的自衛権の行使、首相公選制などの導入によって実際に戦争ができる国家へと改造しようというのが橋下や石原の狙いなのである。
 強固な核武装論者である石原は、「核兵器に関するシミュレーション」をやる必要があると言い出している。欺瞞的に脱原発依存を訴える橋下ももともと核武装論者である。石原・橋下率いる日本維新の会は、核戦争をも想定した国家再編を狙おうというのである。
 昨年末、自・公で衆議院の三分の二を確保して、安倍右翼反動政権が成立した。
 二○○六年「戦後レジュームからの脱却」を掲げて発足した安倍政権は、国民投票法や改悪教育基本法を成立させ、防衛庁を省へと昇格させた。今回の選挙公約では①「国防軍の保持」を明記した改憲原案の国会提出をめざす。自衛権の行使(集団的自衛権を含む)を明確にして「国家安全保障基本法」を制定。「国家安全保障会議」の設置、②二月二十二日を「竹島の日」として祝う式典を開催する。「従軍慰安婦問題の言説に的確な反論・反証」を行う。教科書検定制度を抜本的に改革し、「近隣諸国条項」を見直す。教育委員会制度の抜本的改革、③「尖閣諸島の実効支配」を強めるため公務員の常駐や周辺漁業環境整備などをかかげ、国家体制の右翼的再編強化を一気に進めようというのである。自民党―安倍のこうした動きには、「第三極」といわれる日本維新の会を筆頭とした保守総体が今後、日米安保同盟の再編・強化、改憲、戦後補償問題の右からの最後的決着などをめぐり連携を強めていくことは明白であり、こうした流れと徹底して闘いぬかなければならないのである。
 このような保守派総体の流動化と再編が強まる中、われわれにはこうした保守反動化と全面対決する徹底した闘いが問われると同時に、真に労働者階級の利害に立脚した労働者政党の建設が問われている。そうした中で労働者人民の立場と利害を一定訴える日本共産党や社民党の「領土問題」を巡る態度について批判しておかなければならない。特に、石原・橋下―日本維新の会や自民党が「固有の領土」を声高に叫ぶ中で、そのナショナリズムに絡めとられ、後押ししているのが日本共産党である。日本共産党は、二○一○年に「尖閣諸島」問題について「日本の領有は、歴史的にも国際法上も正当」として「日本政府は堂々とその大義を主張すべき」と政府にハッパをかけ、さらに歴代の日本政府の問題点は七二年の日中国交正常化以来、本腰を入れて日本の領有の正当性を主張してこなかったことが問題だ、と政府批判を行っていた。そして、石原による「尖閣諸島」の購入発言と国による国有化がなされて以降、急激に高まる日中間の対立に対して、野田政権による「領土問題は存在しない」とするだけではダメだ、「問題の存在を認めたうえで、交渉による解決を図るべきだ」としている。
 また、社民党も同様に「竹島、尖閣諸島」は「間違いなく日本の領土」であると言いなし、問題解決にむけて冷静に話し合える様々な手段を模索すべきだと主張している。ともに民族主義政党としてその限界を呈しており、日本帝国主義と一体になって領土ナショナリズム、国益主義、民族主義を全面化させ、労働者人民を戦争の沼地へと引きずり込む社会排外主義としての本質を顕にしているのである。
 すでに、「領土問題」は日本帝国主義としての成立過程から太平洋戦争に対する戦争責任問題や戦後賠償問題という本質的問題とも絡み、鋭い政治的経済的対立へと転化、激化しはじめている。
 中国では、第十八回中国共産党大会において習近平を総書記とする新指導体制が発足したが、そこで採択された活動報告には、初めて「国の海洋権益を断固守る」という文言が付け加えられた。釣魚諸島問題をめぐる対立は、紛争・戦争へと転化する可能性を持っている。まさに「領土問題」にいかなる態度をとるのかが鋭く問われる局面へと突入しているのである。「領土問題」を契機にアジアの労働者人民が互いに銃を持ち、戦争へと至ることを断固拒否しなければならない。
 われわれは、二○一二年、巨万人民の決起によって切り拓かれた新たな階級闘争の局面の中で真にプロレタリア国際主義で武装された共産主義政党の創出と共産主義勢力の構築を目指さなければならない。日本共産党や社民党に代わり中小・未組織の労働者階級に立脚し全労働者階級の解放、被抑圧人民・被差別大衆の解放を実現する強固な革命党建設に勝利しなければならない。安倍政権が反動攻勢に踏み込む中、あらゆるブルジョア保守反動政党を打倒し、真に労働者階級人民の権力を樹立しなければならないのだ。
 二○一三年、共産主義の旗のもと巨万人民の決起をかちとり、先進的労働者と結合し革命的労働者党建設に勝利しよう。




  
■第3章―党建設方針

  マルクス・レーニン主義を堅持し

  反動の嵐に抗し、党建設を強めよう




 同志友人のみなさん。巨万の労働者・人民の抵抗・決起が民主党政権の裏切りを突き破ってはじまっている。他方で、十二月総選挙を受け、安倍自民党と公明党の右翼反動政権が登場した。激動の時代が掛け値なしに訪れている。二〇一三年は、日帝―安倍政権による一連の大反動攻撃を打ち破り、労働者人民の闘う隊列をさらに強化する決定的局面にある。なんとしても、日帝・新政権による原発再稼働・核武装、米軍再編・オスプレイ全国飛行訓練の強行、九条など憲法改悪、新自由主義・貧困化、日本軍「慰安婦」問題の抹殺など戦後補償問題の右翼的決着等々、大反動攻撃を跳ね返していかねばならない。
 二章で捉えたように、反原発闘争の高揚、オスプレイ反対・配備撤回や米軍基地強化反対から基地撤去―日米安保廃棄の要求が沖縄や岩国などで噴出している。貧富格差と貧困化、非正規化・失業問題をめぐる若者・労働者の不安と困苦も激しい。
 これらの高揚しつつある労働者人民の憤りと闘いを、日帝―安倍右翼反動政権打倒にむけた労働者階級・被抑圧人民の総抵抗戦へと発展させ、首尾一貫した階級闘争へと組織することが求められている。日帝打倒―プロレタリア革命を準備する闘いが正面から問われている。わが共産主義者同盟(統一委員会)はこれに断固として応える。わが同盟は、階級闘争を組織し牽引するために、われわれの党派性・政治路線を強め、大反動との抵抗戦を支える広範な統一戦線を担っていく。そして新たな世代・若者が大量に参加する階級闘争構造をつくりだす決意である。これは、わが同盟の党勢・地方委員会系列の強化拡大へと結果するであろう。
 すべての同志友人、先進的活動家のみなさん。原則的な社会主義者・共産主義者のみなさん。わが同盟とともに、二〇一三年を闘おう。ともに連携し、連帯し、プロレタリア解放・被抑圧人民解放のバリケードを大規模に強化していこうではないか。


  ●3章―1節 わが同盟の党派性と政治路線

 われわれは、政治反動と対決し、高揚しはじめた階級闘争のいっそうの前進をかちとるために、つぎの党派性のもとに、労働者・被抑圧人民の解放運動と団結・行動を組織していく方針である。
 われわれが建設すべき党は、第一は、全人民政治闘争や反帝闘争において、人民の先頭にたって、これを牽引し、大衆的実力闘争を担っていく党である。反原発、反オスプレイ、反戦反基地、反九条改憲、反貧困の闘い、さらに三里塚闘争、沖縄解放闘争など、これらを大きく発展させなくてはならない。他方で、国家権力・官僚やファシスト右翼排外主義勢力、さらには暴力的労務屋などが、労働者人民の闘いに襲撃・攻撃を強めている。闘う労働者人民の怒りや抵抗を支え、その階級的団結を前進させるために、先進的活動家とわれわれ共産同(統一委)こそが、体を張って、大衆的な実力によって、ブルジョア的ファシスト的階級的暴力を跳ね返し、組織的に闘わねばならない。断固として、大衆的実力闘争を支え、その先頭で闘う共産主義者の旗を堅持していこうではないか。
 われわれが建設すべき党は、第二の党派性は、困窮する労働者大衆の決起と希望、団結・階級形成を支え、労働者階級の革命性を組織できる革命的労働者党である。経済恐慌は、資本主義社会の圧倒的多数派、つまり搾取収奪される労働者へ犠牲を集中している。資本攻勢に苦しみ怒り抵抗する労働者の組織化・団結の形成は、今日の中心的活動である。〇四年の共産同(統一委)結成において、わが党は、労働者を組織し、革命的階級へと形成する労働者党であると確認した。プロレタリア解放の綱領的立場に立ち、実際に労働者を組織化するのである。この間、労働運動指導をめぐる路線強化の論議も組織的に行ってきた。わが党は、これまで以上に、労働者の革命党として、階級的労働運動を組織していく決意である。青年労働者の失業・不安定雇用・貧困問題は大きな社会問題である。労働者大衆の諸権利をまもり、貧困・生活破壊を阻止し、反失業・雇用確保などを進め、階級的団結を組織する革命的労働者党の飛躍を進めなくてはならない。労働者の生活と権利、命と健康をまもり、団結と信頼を組織し、労働相談・労組組織化にも取り組んでいかねばならない。
 第三は、共産主義を組織する党である。これはきわめて目的意識的な活動である。世界恐慌の深まり、失業・貧困・非正規化の増大、貧富格差の強まり、終わりなき侵略戦争と差別排外主義、これらは資本主義と現代帝国主義の階級支配を根源とする人類史の大問題である。今日、新自由主義や差別排外主義などの「野放図で弱肉強食」の政治・経済・社会的な思想・理論に、社会民主主義やケインズ主義、人道主義・平和主義を対置する言説が多い。それらのほとんどは、商品生産システムで剰余価値を追求する資本が労働者・勤労大衆を搾取・収奪するというブルジョア階級支配の温存や強化の枠内にある。現代の資本主義・帝国主義の矛盾を革命する共産主義運動、プロレタリアート人民の解放運動、その理論・思想・路線を創造的に構築することは歴史的課題である。「共産主義というのは、創出されるべき一つの状態、それに則って現実が正されるべき一つの理想ではない。僕らが共産主義と呼ぶのは、現在の状態を止揚する現実的な運動だ。この運動の諸条件は、今日現存する前提から生じる」(マルクス・エンゲルス『ドイツ・イデオロギー』)。マルクス・レーニン主義を発展的に継承し、「(現代)帝国主義論、資本主義批判、階級論、階級形成論、唯物史観、共産主義論、価値論、国家論、権力論、革命的労働者党論、組織論」などの理論活動を深め、それらの成果を機関紙『戦旗』や理論誌『共産主義』で展開する。また、さまざまシンポジウム・学習会などを同盟の内外で組織する。
 第四は、被抑圧人民・被差別大衆の自己解放闘争を組織する党である。資本主義・帝国主義の階級社会は、労働者人民の差別分断、被差別大衆の排除と抹殺を構造化している。被抑圧人民・被差別大衆の解放は、共産主義運動の中心テーマである。
 被差別大衆の差別にたいする糾弾権を堅持し、被抑圧人民・被差別大衆の自己解放闘争を発展させることである。女性解放運動、障害者解放運動、被爆者解放運動、部落解放運動など、それぞれの実践と到達地平、現在的課題にたいして、粘り強く、主体的に取り組んでいかねばならない。被抑圧人民・被差別大衆の自己解放闘争の前進にむけて、大衆運動をつよめ、かつ、それと有機的に結合した組織的な指導委員会の活動を推進していかねばならない。
 第五には、国際主義を現実に実践する党である。共産同(統一委)は、日共の愛国的スターリン主義路線、宗派集団その他日和見主義の一国主義を批判し、プロレタリア国際主義の実践に奮闘してきた。在日・滞日外国人への差別排外主義と入管体制を許さず、レーニンの『帝国主義と民族植民地問題』で提起されている抑圧と被抑圧に分断された労働者人民の国際連帯と統一行動の形成、反帝国際統一戦線と新たなインターナショナル建設の課題など、プロレタリアート人民の国際的解放運動を推進してきた。AWC運動を支え、二十年を超える活動を積み上げてきた。これに恐怖する日米帝と韓国・フィリピンの反動政府はAWC関係者の入国拒否攻撃や不当違法なデッチあげ逮捕を加えている。弾圧を跳ね返し、国際主義の実践を貫徹しなければならない。アジア太平洋地域は、世界資本主義の生産拠点であり、巨大な市場となった。米帝・日帝・中国などの権益抗争が激しく、階級闘争の攻防において重要な地域である。このアジア太平洋における反帝国際統一戦線、労働者人民解放運動の国際連帯は、戦略上きわめて重要な階級闘争構造となる。AWC運動の強化を支え、アジア太平洋諸国・地域の階級闘争を担う諸団体組織・革命勢力との連帯と反帝国際共同行動を発展させ、原則的な共産主義活動(党)の国際ネットワークを編成していくことである。
 階級情勢が高揚するなかで、われわれがアジア―日帝本国を貫く階級闘争を組織化する党派性について、鮮明に五つの領域を打ち出した。これはわれわれが労働者階級人民の闘いを狭く囲い込んでいくものではない。高揚しはじめた労働者階級・被抑圧人民の闘いにわれわれが深く結びつき、自然発生的高揚を階級的確信と階級形成へと育んでいくものにほかならない。日帝打倒―プロレタリア革命への希望と勇気・確信を作り出していくものである。ぜひとも、わが同盟に結集・結合し、二〇一三年のプロレタリア階級闘争の大きな飛躍を切り拓いていこうではないか。


  ●3章―2節 マルクス・レーニン主義にもとづく革命的労働者党建設

 つづいて、労働者・被抑圧人民の解放運動の先進的勢力であるわが共産同(統一委)の組織建設について訴える。いつの時代も、勤労・被抑圧人民の解放運動が激烈に闘われ、その中心勢力として革命党・結社が組織されてきた。共産同(統一委)の源流は、一九五八年当時、ハンガリー事件、スターリン批判、中ソ論争など国際共産主義運動が分解・分裂するなか、日本共産党―スターリン主義を革命的に批判し、その分派から党建設を開始した第一次共産同にある。直後の六〇年安保闘争を戦闘的に牽引したが敗北・分裂し、六〇年代後半の第二次共産同結成と七〇年安保闘争、その後の分裂や統合努力を経験し、今年、党建設の歩みは五十五年となる。
 率直に言って、我々は全国党への途上にある。サークル主義への転落と闘い、労働者・被抑圧人民の闘いに党の基盤をしっかりと根付かせ、この階級形成と結合した党組織活動を発展させること、これを担っていかねばならない。
 我々の党建設・組織論は、マルクス(そしてエンゲルス)、レーニンの革命的理論と実践を現代に継承しなくてはならない。同時に、二〇〇四年の共産同(統一委)結成の地平をしっかりと確認するものでなくてはならない。それは、労働者人民の解放運動を分断・抑圧した一国社会主義・生産力主義のスターリン主義の誤りを、根底から突破するものである。
 マルクス・レーニンの理論と実践は、国際的で世界史的な労働者・被抑圧人民の解放運動の指針として、現在でも継承し教訓とする豊富なものがある。革命的労働者党の組織建設に関して、簡潔にマルクス・レーニンの内実を捉え返したい。
 マルクス・エンゲルスは、一八四八年のフランス革命・ヨーロッパ革命の爆発の直前に『共産党宣言』(『党宣言』と略)を起草し、発表した。『党宣言』はマルクスたち共産主義者同盟の綱領的文書である。そこには、旧封建社会から資本主義のグローバル化、ブルジョアジーとプロレタリアートの間の階級対立と闘争、空想的社会主義の批判、反政府労働者党のなかで共産主義者が労働者の現在・未来ならびに国際的利益を一貫して推しすすめることが述べられている。すなわち「プロレタリアートの階級への形成、ブルジョアジーの支配の転覆、プロレタリアートの政治権力の獲得」、「万国のプロレタリア、団結せよ」である。ここに、資本主義打倒と共産主義革命、プロレタリアートによる暴力革命と権力獲得、プロレタリア国際主義などといった労働者階級・人民の解放綱領が打ちたてられたのである。その革命党・結社としての「共産主義者同盟」が作られたのだ。しかし、ブルジョアジーと封建勢力の連合したヨーロッパ各地での激しい反革命弾圧、ならびにプロレタリア解放運動の未発展性や小ブルジョア民主主義勢力の動揺と分解によって、マルクスらのプロレタリア革命運動と革命組織は後退を余儀なくされたのであった。
 マルクスらは一八六四年、「国際労働者協会」(第一インターナショナル)を結成した。これは、ヨーロッパ各地の労働運動が組織力量を高める中でのことだった。「労働者階級の解放は労働者階級自身の事業であること」、「労働者階級の解放は、一地方の問題でも一国の問題でもなく、近代社会が成立しているすべての国々におよぶ社会問題であり、その解決はもっとも先進的な国々の実践的ならびに理論的協力にかかっていること」等、その目的を満天下に明らかにした。ここにプロレタリア人民の解放運動は、世界革命をめざす国際組織をうみだした。史上初の「プロレタリア独裁」であった「パリ・コミューン」敗北後の一八七二年、第一インター・ハーグ大会は、革命的労働者政党建設の決定的重要性を決議した。「プロレタリアートが階級として行動しうるのは、ただ、有産階級によって結成されたすべての旧来の政党とまっこうから対立する別個の一政党に自分を編成する場合だけである。プロレタリアートを一政党に編成することは、社会革命とその最終目標である階級廃止の勝利をたしかなものにするのに不可欠である」といった文言が第一インターの一般規約第七条に加えられた。
 この第一インターの国際的影響力を活用しながら、マルクスはドイツの革命的労働者党建設をめぐる誤った傾向との闘いを進める。一八七五年、封建勢力と結託するラサールの階級協調論を反映させたドイツ労働者党綱領(ゴータ綱領)にたいして、マルクスは革命的批判を展開した。その著名な『ゴータ綱領批判』において、マルクスはブルジョアジー打倒後の共産主義論ならびに資本主義から共産主義にいたる過渡期論を考察した。
 マルクス・エンゲルスは、革命労働者党・組織論において、多大な貢献を残した。すなわち、資本主義批判と唯物史観にもとづく労働者階級・人民の解放綱領、国際主義とインターナショナル建設・世界革命の実践、労働組合運動を基礎とした革命的労働者党建設、ブルジョア国家権力打倒の暴力革命とコミューン、小ブルジョア民主主義と分岐した永続革命論、小ブルジョア的「空想社会主義」を批判した過渡期論・共産主義論その他である。
 その後レーニンがマルクス・エンゲルスの革命論を継承し発展させる。彼の革命党(ボリシェビキ党)建設とロシア社会主義革命勝利の理論・実践・経験は、きわめて重要な教訓を与えている。
 レーニンは、帝国主義時代という当時の最新の独占資本主義が支配する世界において、プロレタリア革命を発展させた。帝国主義ブルジョアジーと融合した労働貴族層、これと結合した日和見主義・社会排外主義を徹底的に批判した。革命的祖国敗北主義によるプロレタリア国際主義を堅持すること、「帝国主義戦争を内乱へ」といったプロレタリア革命の戦術を駆使し、レーニンとボリシェビキ党は一九一七年のロシア革命を勝ち取った。さらに世界革命にむけ、社会排外主義の第二インターと分岐した第三インター(コミンテルン)を結成し、植民地・従属国の反帝民族解放闘争・プロレタリア解放運動に貢献する。
 レーニンの革命党論・組織論は、独裁者・官僚主義・反民主主義・「上から目線」などと不当な中傷を浴びている。これらは本質的には、ブルジョアジーによるマルクス・レーニン主義に反対するキャンペーンである。
 われわれは、レーニン主義への誹謗中傷と闘い、その党建設の内実として、革命家の組織、規律、戦闘性、意識的な階級形成の指導実践などを正当に評価する。レーニン主義の党組織論は、労働者階級解放の不屈の情熱に支えられ、ツアーリ専制治下の激しい弾圧を跳ね返し、農民・小生産者や知識人に依拠する無政府主義・自由主義・個人主義と分岐し、労働運動・労働者階級の深部に浸透し、その先進的労働者・革命家の戦闘的で階級的な国際主義の団結組織として、鍛え上げられていった。
 レーニンは、たえず、具体的な階級諸関係を詳細に弁証法的に考察し分析した。これにもとづいて、プロレタリアートへの指導戦術を柔軟に展開し、階級形成と武装蜂起を組織した。レーニンの代表的な党組織論をあつかった論文には、次のものがある。一九〇二年の『なにをなすべきか』、同年『われわれの組織上の任務について一同志にあたえる手紙』(『一同志への手紙』と略)、一九〇三年のロシア社会民主労働党第二回大会でマルトフらメンシェビキ派との分裂を総括した『一歩前進、二歩後退』(翌〇四年に冊子化、『一歩二歩』と略)、ロシア革命後の内戦勝利時(一九二〇年)の『左翼共産主義批判』などだ。
 『なにをなすべきか』では、労働者の階級形成にとって、経済闘争とツアーリ政権打倒といった全人民政治闘争との不可欠な結合が述べられている。さらに組織論では広い大衆の結集した労働組合と厳格な革命党の区別と連関が展開される。革命的階級意識を育成し各地の分散活動を統合する全国政治新聞の活動を通じた全国党建設などが、「経済主義者」への原則的批判をもって主張された。
 『一同志への手紙』では、「プロレタリアートの運動と革命闘争との思想的および実践的指導の点では、強い中央集権化が必要である、……。党にたいして責任を負うという点では、強い地方分散化が必要である」と述べ、次のような組織原則を究明した。①労働運動出身の革命家も結集した中央指導部に情報と権限を集中すること。中央集権主義である。②党への責任は広く地方分散化すること。中央指導部に従う地方組織・地区グループ・工場グループやその他諸機関が労働者大衆と広く結合する構造をつくることである。③党内情報の党内公開制である。党内公開の「定形」が、「党に教訓を与え、後継者に経験をつませ、多くの貢献」をするということである。④中央指導部の誤りなどの対処では、下級諸機関の決議や中央への意見申し立てなどの「同志的な働きかけ」を強調した。
 『一歩二歩』では、規約第一条をめぐる党員規定に関して、レーニンは「党組織の一つにみずから参加すること」=党組織への所属義務を明確化した。マルトフたちが党員資格を「党への協力者」や「党員の自己表明」とする無政府主義的主張によって党建設を解体したが、レーニンはこれと徹底してたたかった。さらに労働者階級解放にむけた「先進的部隊と、それにひきつけられる全大衆との差異」をはっきりと区別し、革命的労働者党論を発展させた。「労働者階級の先進部隊としての党を、階級全体と混同するのは許されない」と述べた。これによって、ロシア社会民主労働党がマルトフたちの少数派(メンシェビキ派)とレーニンたちの多数派(ボリシェビキ派)に分裂したことは、よく知られている。
 『左翼共産主義批判』では、ドイツの「左翼」共産主義者の誤りをたしなめ、ロシア革命の国際的意義、その経験と教訓をまとめている。党組織論で注目すべき内実では、「ボリシェビキが成功した一つの重要な条件」がある、それは「わが党に、厳しい鉄の規律がなかったら、労働者階級の全大衆を、……ひきつけることのできる、すべての人が党を完全に支持しなかったならば、ボリシェビキはこの二年半はおろか二ヵ月半も権力をもちこたえられなかった」、「プロレタリアートの無条件な中央集権と最も厳格な規律こそがブルジョアジーに勝つための根本条件の一つであることがはっきりした」という。レーニンは革命党の規律に関する三つの条件をまとめている。①「プロレタリアの前衛意識、革命にたいする献身、その忍耐、自己犠牲、勇敢さ」、②「きわめて広範な勤労者の大衆、……と結びつき、かれらに接近し、必要とあればある程度まで彼らととけあう能力」、③「これらの前衛が行う政治的指導のただしさ、政治的戦略と戦術のただしさによって、……これは広い大衆が自分の経験にもとづいて指導のただしさを納得する条件において」、これらである。
 さらに「労働組合と労働者階級の党との相互関係を通じる以外に、世界中のどこも、プロレタリアートの発達はおこらなかったし、おこることもできなかった」と述べた。
 レーニンの党組織論について学ぶべきことは、次の点にある。それは、中央集権主義と規律、党内民主主義、労働者階級の先進的部隊と大衆との間の厳格な区別・結合を明確化することである。さらに党の活動・生活に関して、レーニンは「同志的な働きかけ」=同志的批判と連帯、同志的信頼関係の形成を重視した。それはブルジョアジー・国家権力とたたかう戦闘的団結の基礎でもある。忘れてはならない重要なこととして、徹底的に大衆とその運動に立脚しようとするレーニン主義の路線がある。一九二〇年から二一年、トロツキーとの労働組合論争においては、レーニンは「どうやって大衆に近づき、大衆を捉え、大衆とむすびつくのか」という基本問題を理解していないトロツキーの行政主義・命令主義を厳しく批判した。


  ●3章―3節 共産主義者同盟(統一委員会)結成の到達地平

 わが共産同(統一委)は、二〇〇四年四月、戦旗派と全国委員会の両派が統合して結成された。その統合党大会では、綱領、戦術・組織テーゼ、規約が採択された。それは画期的な内実の獲得であった。
 第一に、マルクス・レーニン主義を継承し、革命的労働者党の全国的建設を明らかにした。
 われわれは、資本主義・帝国主義が支配する現代世界にたいして、プロレタリアート・被抑圧人民の社会主義世界革命・共産主義運動を進め、永続革命を行うことを宣言した。綱領では、第一部として、次の原則的な革命論をまとめている。一、資本制社会、二、資本主義の新しい発展段階―帝国主義、三、もっとも革命的な階級としてのプロレタリアート、四、共産主義、五、プロレタリア独裁、六、共産主義者の活動、七、ロシア革命の勝利とスターリン主義、八、現代過渡期世界と共産主義運動、である。綱領の第二部では、日本革命の内容が定式化された。つまり、「(1)日本革命の基本的性格」において、一、日本帝国主義の形成、二、日本革命の性格と特質、が明確化された。「(2)日本におけるプロレタリア独裁政権の政策についての基本的考え方」で、政治・経済・社会・国際の革命的諸政策がまとめられた。「(3)革命の準備」では、政治闘争・国際連帯・労働運動・民族問題・反差別運動・環境問題・反原発・教育問題・議会の利用・反ファシスト闘争など、プロレタリアート人民の闘争方針が具体化されている。
 第二に、一九五八年の共産同結成以来の総路線・革命的実践を総括して、その敗北と弱点を抜本的に突破する転換が組織された。これは、上述した綱領、いわば、われわれの革命の基本目標を具体的任務としてまとめたことにくわえて、戦術・組織のテーゼをもって、階級闘争のあらゆる発展段階に対応した革命的労働者党の活動形態を規定した。それは、安保闘争など全人民政治課題の牽引一般や、社共の左翼反対派の枠内という、これまでの共産同の限界からの抜本的転換であり、プロレタリアート・被抑圧人民の階級形成を営々と組織することにある。
 組織原則は、民主主義的中央集権制に定めた。同時に、政治警察との闘争によって制限があるものの、「できるだけの公開性と選挙制」をもって、民主主義的な組織運営を基本においた。
 第三として、六〇年代末に第二次共産同が掲げた「プロレタリア国際主義と組織された暴力」を画期的に発展させた。実際の国際主義活動をきりひらき、また暴力革命路線を武装蜂起の戦術へと確定していった。
 国際活動では、①アジア太平洋地域の各地において、労働者人民運動・青年学生の反帝国際統一戦線と国際共同行動を進めること、②原則的な左派労働運動の国際ネットワークを形成すること、③労働者人民運動の基盤を有する共産主義者組織・社会主義者組織との国際的協議を進め、とくにアジア・インターの建設をめざすこと、その他である。
 暴力革命の戦術では、ソビエトを基盤とする、プロレタリアート人民による全国一斉武装蜂起戦術が策定された。議会革命路線では、日帝国家権力・自衛隊・政治警察・天皇制右翼ファシスト勢力による反革命暴力弾圧に打ち負かされること。農村解放区から都市へと攻め立てる人民戦争路線や、山岳根拠地からのゲリラ路線は、日本のプロレタリア革命の条件と合致しない空論であること。日帝が高度に発達した資本主義であり、圧倒的多数派のプロレタリアートに依拠して被抑圧人民とともにコミューン・ソビエトを組織し、一斉武装蜂起の戦術によって革命権力を樹立する暴力革命路線が採用された。
 これらの綱領・戦術・組織を貫く基礎的実践として、新たな階級闘争構造の全国的建設は決定的課題とされた。以降、階級的労働運動、被抑圧人民・被差別大衆の解放運動、青年学生運動がそれぞれ進められている。反帝闘争の人民拠点として、三里塚闘争や沖縄解放闘争を展開している。


  ●3章―4節 広範な統一戦線構築し、 革命的労働者党―全国党を

 国際・国内の階級情勢が激動するなかで、われわれの党派性を労働者人民の闘いと結合し、労働者階級・被抑圧人民の自己解放闘争、その綱領・総路線を断固組織していかねばならない。
 日帝―安倍右翼反動政権の登場、これと連動して活発化する右翼ファシスト排外主義勢力にたいして、いまこそ、これらを打倒する全人民政治闘争とその広範な統一戦線や大衆的実力闘争を進めなくてはならない。わが同盟は、その先頭にたって闘う決意である。
 一方、日帝・安倍右翼反動政権を打倒する労働者人民の闘いを弱め、後退させ、排外主義の沼地へと引きずり込む勢力や日和見主義勢力との党派闘争もますます求められてくる。すなわち社会愛国主義・スターリン主義の日共や、一国主義で党=共産主義の母体論に立つ党の同心円的拡大を画策する宗派主義集団にたいして、彼らの誤りを徹底的に批判し、労働者人民の階級形成を前進させていかねばならない。
 安倍右翼反動政権への批判勢力として「鮮明な野党」を演じる日本共産党は、釣魚諸島など領土領海問題では日帝の侵略的領土拡張主義・民族排外主義を擁護する。自国帝国主義の擁護である。日共は米帝と安保、財界・日本独占資本を諸悪の根源だとするが、路線上は日帝を免罪し、排外主義・愛国主義ならびにそれを体現する天皇制に屈服する社会排外主義である。朝鮮やアジア各地人民の反日帝闘争を抑圧する側に立つ。被差別大衆の自己解放運動―糾弾権と大衆的実力闘争への抑圧・弾圧者の性格も何ら変わらない。最近は、大震災への自衛隊出動を賛美し、自衛隊容認論へ転落した。また原子力平和利用論の原発容認から脱原発へと、無総括で利用主義的に乗り移った。日共は、すでに資本主義・帝国主義の体制内改良勢力と化し、日帝本国の上層労働者・小経営者など中間層の階級利害に軸足をおく小ブルジョア党であり、その観点から反貧困キャンペーンを行うのである。日共の路線や社会福祉論その他、さらに批判を深める必要がある。それは、労働者・被抑圧人民の階級的団結と国際主義的前進をいっそうかちとっていかねばならないからだ。
 他方で、原則的な活動家・共産主義者のグループ・個人とわれわれとの間で共闘関係や理論活動を深めていくことなどを進めねばならない。高揚しつつある労働者人民の闘いを明確な階級闘争へと前進させる歴史的好機が到来している。安倍右翼反動政権による、戦争国家化や超インフレ政策、大衆収奪強化、差別排外主義攻撃、これらとの総対決に打ち勝っていかねばならない。われわれは、二〇一三年において、広範な統一戦線の推進に責任をもって取り組んでいくものである。反原発、反オスプレイ闘争、基地撤去―日米軍事同盟粉砕、沖縄解放闘争の推進、岩国闘争支援、反貧困、そして九条改憲阻止など、これらの闘争課題をめぐり、全国と各地において、またアジア太平洋地域をつらぬいて、総抵抗の統一戦線を大胆に断固として推進する。そのために、活動家や原則的な共産主義者・社会主義者・労働運動活動家のグループ・個人との共闘関係を発展させる方針である。また同時に、社会変革・革命論、現代資本主義分析・現代帝国主義論、階級論、変革主体その他をめぐる、政治・思想・社会・文化などの理論活動においても、党内・党外で活発に取り組んでいく。
 最後に、二〇一三年の党建設方針を締めくくるにあたり、党勢の拡大強化をなんとしてもかちとっていく決意である。その最大の主体的条件は、各地の地方委員会の指導力・結束力・展開力を強め、わが同盟の地方総司令部の建設を本格的に進めることである。地方委系列の基本組織活動をもっとも生命力あるものへと改革することも重要である。地方委指導部・カードルの建設において、世代交代・若手活動家育成を積極的に位置づけ、階級的労働運動、被抑圧人民・被差別大衆の闘い、青年運動・学生運動、統一戦線、理論活動、とりわけ若者の組織化に果敢にとりくんでいく。わが同盟は、困窮する労働者大衆・被抑圧人民・若者の深部に広範に根ざすよう奮闘していく。こうした階級基盤を粘り強く組織し、新たな階級闘争構造を総力で構築し、アジア革命と結合した日本帝国主義打倒―プロレタリア社会主義革命の準備をたたかおうではないか。ともにたたかわん。



 

当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006-2007, Japan Communist League, All Rights Reserved.