共産主義者同盟(統一委員会)


1406号(2012年12月5日) 政治主張






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   オスプレイ普天間配備撤回!全国低空飛行訓練阻止!

 PAC3―沖縄、宮古、石垣配備弾劾

 IAEA福島閣僚会議粉砕





 十一月、米民主党のバラク・オバマが大統領選で再選された。しかしわれわれはこの再選をなにかしらリベラルな動きとして評価することはけっしてしない。オバマは米帝国主義の利害を代表するもの以外のなにものでもないし、明確な軍事主義者である。徹底的に批判しなければならない。そしてオバマの東アジア戦略に乗る形で、米軍再編―日米軍事一体化を進めようとしてきた日帝―野田政権を許してはならない。日米両帝国主義は全世界人民にとって明確な敵である。われわれは国際主義者の任務として、自国政府打倒を闘っていこうではないか!
 オバマと野田は沖縄人民に危険なオスプレイを強制してきた責任者である。沖縄人民の命を軽んじ、基地被害を強制してきた張本人に他ならない! われわれは沖縄人民の闘いに連帯しオスプレイ反対を闘う。岩国国際集会の地平を継承し、米軍再編反対―アジアからすべての米軍をたたき出す闘いに邁進していこう!
 本年十二月にIAEA(国際原子力機関)が福島に乗り込もうとしている。IAEAとは本質的に原発を推進し、かつ全世界の核を独占的に支配する国際機関に他ならない。IAEA福島閣僚会議を許すな! 全国の再稼働阻止勢力と結合し、反原発―再稼働阻止を掲げた断固たる闘いを巻き起こしていこうではないか!


 ●第一章 米帝の軍事戦略をうち破れ

 十一月六日、米大統領選でバラク・オバマが再選された。
 経済危機が進行し、高失業状態が一向に改善されないアメリカの国内状況において、緊縮財政などの新自由主義政策の徹底化を主張した共和党のロムニーよりも、一定の財政出動で景気対策・雇用対策を継続し、そのための財源を富裕層への増税で行うというオバマの政策指針が大衆的な支持を得たということである。それはまた、アメリカでも新自由主義がいきづまり大衆的な支持が得られないということであり、一方では富裕層と貧困層の格差拡大と対立が進行しているということでもあろう。
 辛くも僅差で勝利したオバマだが、その前途は多難である。
 大統領選と同日に行われた議会選挙において上院では民主党が過半数を確保したものの、下院では共和党が過半数を獲得した。上院・下院のねじれ状況が続いているのである。こうした状況が示すことは、本年末から来年年頭にかけて米政府が直面する「財政の崖(減税措置の終了、政府歳出の強制的削減の開始)」に関して、オバマ政権は共和党との協調なしには問題を解決できないという事態に陥ったということである。それはオバマ政権が共和党の政策を反映せざるを得ないということでもあり、こうした矛盾を抱きながら第二期政権が運営されていくということである。
 さらにわれわれが確認しなければならないのは、今回大統領選挙においてアフガニスタン戦争などのアメリカが派兵を続ける戦争がほとんど争点にならなかったということだ。米支配階級は泥沼化する戦争に対して、なんら有効な方針を出すことができなかった。ダラダラと従来の路線を踏襲していく可能性が高いということである。
 オバマは四年前の大統領就任以降、イラク撤退―アフガニスタン増派を行ってきた。一時期はブッシュ政権時代よりも米兵の戦死者(月別)を増大させてきたのがオバマ政権である。オバマ政権は戦争における攻撃方法を可能な限り無人機に切り換えたり、軍隊そのものを民間軍事会社に置き換えたりして、米兵の直接被害を減少させてきた。そのことで国家的責任を曖昧化させ、もって国内外の反戦―厭戦気分をかわそうとしてきた。また、米軍が行う戦争とは別に、CIAがパキスタンやアフガニスタンで「タリバン」と見なした人々へ殺戮を非公然的に行っている。オバマはアフガニスタンを中央アジア地域の覇権を護持する重要な拠点として位置付け、戦争そのものを非公然化し、曖昧化し、問題を焦点化させることなく殺戮を強行してきた大統領である。
 われわれはこうした実態を怒りをもって暴露しなければならない。
 「オバマ政権が発足した〇九年一月から同年四月末までに、米空軍と国際治安支援部隊(ISAF)がアフガニスタンに投下した爆弾の数は計一〇九六個で、年間を通じて過去最多だったブッシュ政権時代の〇七年(計三五七二個)の同時期(八五三個)を三割も上回っていた」(岩波新書『勝てないアメリカ―「対テロ戦争」の日常』大治朋子183頁)。「米シンクタンク『ニュー・アメリカ・ファウンデーション(新アメリカ財団)』が……集計したデ―タによると、CIAがパキスタンで〇四年から一二年七月二十四日までに実施した無人機による空爆は計三百十一件で、政権別に見るとブッシュ大統領時代にあたる〇四年~〇九年一月の間に行われた空爆は四十四件。残る二百六十七件はすべてオバマ政権下で実施されている。報告書はCIAによる無人機攻撃について『数百人もの罪のない人々が犠牲になっている。秘密裏に実施され、市民が違法に殺されても事後調査が行われているのかどうかすら国際社会は分からない』と厳しく……指摘している」(同207頁)。「およそ戦争にかかわる彼の姿勢は、歴代大統領でいえば同じ民主党のジミー・カーターというより、共和党出身で軍人だったセオドア・ルーズベルトに近い。いずれもオバマ氏と同様にノーベル平和賞を受賞した米国の大統領だが、『軍事においてこれほど積極的な大統領は過去数十年を振り返ってもいない』(二〇一二年四月二十八日付け、ニューヨーク・タイムズ紙電子版)とさえ言われる」(250頁)。
 これ以上何をか言わんや。オバマの笑顔の裏には何の罪もない人々の死体が累々と積み上げられている。まさに、歴史的に特筆されるべき残虐性をもった帝国主義者がオバマ大統領なのである。そしてこのような戦争政策を遂行してきた大統領がその反省、総括、事実糾明が一切なされることなく再選されたのである。われわれは徹底した帝国主義者としてオバマの所業を暴露していかなければならない。
 そして、このオバマと共同歩調をとってきたのが日帝―野田政権である。野田政権は「日米同盟の深化を確認」して、具体的には、沖縄―普天間基地の移設問題、日米ガイドラインの再改定を第二期オバマ政権との間ですすめようとしてきたのだ。
 野田政権は米帝の軍事戦略のままにオスプレイの沖縄配備―飛行訓練の開始という事態を放置し、日米軍事同盟の強化をもってアジアにおける権益確保をしようとしている。そのための犠牲にされるのが沖縄人民であり、岩国市民であり、全国各地で米軍基地被害を被っている人民なのである。オスプレイ配備に端的に見られるように、日米帝国主義は沖縄人民と全国の労働者階級人民の生存権・生命を脅かしてでも米軍再編をなしとげようとしている。アフガニスタンやパキスタンで罪のない人民を自国権益のために殺害しているように、米軍再編のためには沖縄や岩国の人々の生命を脅かすことに何のためらいもないのが日米帝国主義である。
 沖縄の島ぐるみ決起と結合して反帝闘争に立ち上がろう!


 ●第二章 オスプレイ配備反対、沖縄の闘いと結合を

 九月九日の「沖縄県民大会」十万人の決起は、オスプレイ絶対拒否の沖縄人民の総意を鮮明にした。そして「県民大会実行委員会」は、十二月に百五十人規模の対政府直接行動を計画していた。この動きは国会の衆議院解散―総選挙騒動で見送られることになったが、こうした計画が具体的に進行していたという事実の中に、日本政府に対する沖縄人民の怒りが渦巻いているのだ。われわれは今後においても、沖縄人民の怒りに結合し、ともにオスプレイ反対行動に立ち上がってかなければならない。
 オスプレイはまったくもって危険な輸送機であり、在日米軍そのものが危険と欺瞞に満ちているのだ。
 MV22オスプレイは過去三十年間に何度も墜落事故を起こし、延べ三十六人もの死者を出している。この一事だけをとってみても、いかに危険な輸送機であるかが容易に理解できる。従来のヘリコプタ―であればオートローテーションという機能によって、たとえ飛行中にエンジンが停止したとしても、プロペラが下からの風を受けて多少の揚力を維持することができる構造になっている。しかしMV22オスプレイにはこの機能がない。グライダーとヘリコプターの機能を併せ持つオスプレイは四十七トンと非常に重く、これに比して両翼のプロペラが極めて小さいため重量を支えるのに無理がある。よってオ―トロ―テ―ションが機能せず、トラブルが発生した場合、そのまま高速落下してしまうのである。そしてオスプレイはその構造上、操縦は極めて複雑であり、人間には制御不可能であるためコンピューター制御にせざるを得ない。このコンピュターに何らかの不具合が発生した途端に墜落してしまうのだ。
 MV22オスプレイは墜落することが前提の輸送機であり、「危険」ではすまされないほど、本来ならば頭上を飛ぶことすら許されない飛行物体なのだ。そしてこのような危険極まりない代物が傍若無人に運用されていることに最大の問題がある。
 十月に普天間に配備されたMV22オスプレイが、日米合同委員会の「運用ルール」を踏みにじってわがもの顔で飛び回っている。十月二十三日には初の夜間飛行訓練が強行された。十一月六日には編隊飛行訓練を行い、キャンプ・ハンセンやキャンプ・シュワブで十三回の同時離着陸を繰り返している。この編隊飛行訓練は米フロリダで墜落事故の原因となった訓練である。明らかに、でたらめな運用が強行されているのである。そして、このようなでたらめな運用が「本土」でも策動されているということを忘れてはならない。オスプレイの低空飛行訓練を許してはならない。オスプレイ配備反対は沖縄―「本土」を貫いた課題なのだ。
 そして沖縄では、米兵による性暴力事件・暴行事件が頻発している。
 十月十六日深夜、米海軍兵二名が女性への強姦事件を引き起こした。これに対応して在日米軍は二十三時から翌五時までの夜間外出禁止令を発令し、司令官が沖縄副知事に「謝罪」した。しかしその舌の根も乾かない十一月二日、読谷村で禁止令を破った米兵が深夜民家に侵入し中学生に暴行し負傷させるという事件が発生している。さらに十一月十八日、那覇市で酒に酔った海兵隊中尉が住居侵入事件を起こしている。
 明らかに在日米軍は沖縄人民に対して侮蔑的に対応しているのだ。「綱紀粛正」を繰り返し、夜間外出禁止令をもってしても米兵による暴行事件はけっしてなくならない。これこそが米軍基地の実態なのである。基地があるところ、かならず米兵による暴行事件が発生する。そして基地周辺住民は「日米地位協定」「日米安保」のためにそのことの受忍を強要される。われわれはこうした構造をこそ根底的に変革していかなければならない。アジアから米軍総撤収をかちとる闘い、米軍再編―日米軍事一体化を阻止する闘いが今ほど求められている時代はないのだ。2012岩国行動でかちとられた地平を継承し、沖縄人民の闘いと結合してオスプレイ配備反対を闘おう!


 ●第三章 IAEA関係閣僚会議粉砕!全原発即時停止―廃炉

 IAEAと日本政府は、「原子力安全に関する福島閣僚会議」を十二月十四日から十七日にかけて開催する。われわれは、このような会議の開催を許さない。「安全」を標榜するのであれば、全原発の即時停止と廃炉を行うべきである。そして、まずもって福島第一原発事故による被曝被害補償をきっちり行うことである。
 IAEAこそ五大国(国連安保理常任理事国)の核独占管理の下に、核兵器で世界を軍事的に支配し、「核拡散防止」という名目をもってこの独占を護持するための機関に他ならない。同時に、核エネルギー管理を独占することをもって原子力(核)の利権を五大国に集中させてきたのである。まさに核兵器と核発電の利権を独占する「国際機関」がIAEAである。
 「福島閣僚会議」の位置付けが外務省のHPに掲載されている。それによれば「国際的な原子力安全の強化に貢献することを主な目的としている。東京電力第一原子力発電所事故から得られたさらなる知見及び教訓を……国際社会と共有し、国際原子力機関(IAEA)行動計画の実施を含む原子力の安全強化に関する……状況を議論する機会」とされている。原発事故から得られた知見・教訓をもとに国際的に「安全強化」を議論する場として位置付けられているのである。しかしIAEAが、かつてチェルノブイリ事故に関して国際放射線防護委員会(ICRP)と結託して放射線被曝による健康被害の隠蔽を図ってきたことは有名な話である。また、核エネルギーの利権を追求する国際機関が、その利害に反した結論を出すはずもない。そもそも福島第一原発事故はなんら収束しておらず事故は継続中である。再稼動を前提にした「原子力の安全強化に貢献する」ために「得られた知見及び教訓」など何もない。唯一その「知見・教訓」があるとすれば、それは原発は即時停止されるべきということしかない! 福島閣僚会議は全原発停止―廃炉という全人民の利害に真正面から敵対することは間違いない。
 IAEAの福島入りと閣僚会議の開催の政治目的は明確である。第一に、本会議はあくまでも原発政策の推進と再稼働を目的にした「安全強化」会議である。第二に、そのことにIAEAという国際機関を使って国際的な「御墨付き」を与えようということである。つまり、「福島閣僚会議」とは福島第一原発事故を利用した原発推進会議に他ならないということだ。
 福島の人々の怒りを忘れてはならない。現在、「福島の女たち」などが呼びかけた抗議行動が予定されている。われわれは福島の人々と結合した反原発闘争を展開していこう。11・11反原発国会大占拠に続き、全人民闘争としての反原発闘争を前進させよう。再稼働阻止全国ネットワークとともに、再稼働阻止を現地攻防として闘おうではないか! 反戦・反基地・反原発を貫いて闘おう。


 

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