1402号(2012年10月5日) 政治主張 |
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IMF・世銀 東京総会粉砕! オスプレイ配備弾劾! 11月岩国行動の成功をかちとろう 福島連帯! 全ての原発を廃炉に! 九月九日、「オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会」が十万人以上の大結集をもって開催された。度重なる重大事故を「人為上のミスにすぎない」と偽り、オスプレイ配備をあくまで強行する日米両政府にたいして人民の怒りが燃え上がった。人民の運動と広範な反対の世論が両政府の前に強固にたちはだかった。中国・韓国においては日帝の領土拡張主義にたいして人民の憤激が爆発している。 日帝は、現状にたいする人民の蓄積した不満を排外主義の方向にそらし、みずからの戦略に集約するために「維新の会」などの利用を位置づけている。橋下らは、これに迎合し、小泉改革を継承することを公言し、消費税増税を承認し、憲法改悪、集団的自衛権をとなえてその反人民的本性をあきらかにしつつある。今秋は衆議院の解散―総選挙をみすえて日本政治経済の転換をめぐる大きな政治的決戦の位置にある。自民党、民主党の反人民政治、維新の会の危険な策動を暴露し、対峙し、あらゆる戦線で大胆に闘いぬこう。 ●1章 9・9沖縄―「本土」貫きオスプレイ反対の決起爆発 「オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会」は「復帰」以降最大規模の十万一千人が参加して開催された。集会には沖縄全四十一市町村の首長たちや県議会の各会派銀議員も参加し、「オスプレイ配備計画の撤回」を決議した。仲井真知事は、「市民運動と行政は異なる」などの口実をつけて出席をせず、以降の政府との妥協の道を残した。オスプレイは最近でも四月以降にモロッコ、米国で墜落事故を起こし、九月六日には、米国南部の市街地に事故を起こし緊急着陸している。しかし、政府は「機体の欠陥ではなく人為的ミスである」と米軍の見解をオウム返しに伝えて、予定どおりに配備をゴリ押ししようとしている。これにたいして、人民の憤激はますます高まっている。集会に参加した自治体首長は「民衆の反対の決議を意に介せず配備を強行すれば、民主国家の崩壊を意味する。それでも配備を強行するなら人を集めて阻止し、座り込みも辞さない覚悟だ」(浦添市長)、「反対運動が一過性で終わってはならない」(嘉手納町長)と今後の取り組みの重要性を強調し、以降、町民大会、村民大会に引き継いでいく方針をのべた。集会には米軍基地労働者の労組である沖縄全駐労もはじめて代表が参加した。さらに、参加した経済界の代表ですら、「この集会の様子をみて、日本政府はそれでも配備を強行できるだろうか。県民の反対を押し切れば次は全基地撤去の運動に広がりかねない」と語っている。「県民大会」としては同日、宮古大会に千五百人を結集し、また八重山大会にも五百人が参加した。「安全性への懸念」にくわえて、過重な基地負担にたいする沖縄人民の怒りは文字どおり島ぐるみの闘いとして発展してきている。 この日、「本土」においても各地で沖縄の闘いに呼応して、オスプレイ反対の集会・デモが闘われた。十二機が搬入されている岩国においては、はじめて住民団体以外も共催して連帯集会が開催され、三百人以上が参加した。住民投票の成果を活かす岩国市民の会の大川さんは「万が一、岩国の空に飛ばされてしまえば、普天間への道筋をつけてしまうし、全国の低空飛行の足がかリになる。岩国の闘いは重要な意味を持っている。欠陥機は即刻アメリカに返品しよう」と沖縄の民衆とともにオスプレイ反対運動を継続していく決意をのべた。 また、同日、静岡県御殿場市の米海兵隊キャンプ富士の前でもオスプレイ配備反対の集会とデモが闘われた。労組・市民団体など百二十名が参加し、オスプレイの持ち込み反対を訴えるとともに、市内にある陸上自衛隊富士演習場において在沖縄米軍による実弾射撃訓練の中止を訴えた。 東京においても沖縄集会に連帯して、国会包囲の同時アクションが行なわれた。国会議事堂前には労組や市民団体など1万人が参加した。高橋哲哉さんの「日本政府の政策を許している本土のわれわれの責任をかけて日本の政治を変えよう」という呼びかけのあと、参加者が手を繋ぎ国会を完全に包囲した。 このような人民の反オスプレイ運動の高まりにたいして、政府は日米安保を盾にあらゆる抵抗を粉砕して岩国で試験飛行を行ない十月に普天間へ配備という計画をゴリ押ししている。口先では「安全が確認されるまではいかなる飛行運用もしない」といいつつ執拗に沖縄、岩国に受け入れを迫っているのである。 森本防衛相は八月三十日、モロッコでの事故検証結果なるものをもって再度岩国市を訪れ、福田市長と会談をした。米軍岩国基地では当のオスプレイ十二機が搬入され試験飛行にむけて待機している。もちろん、事故原因は最初から「パイロットの操縦ミスによる事故」という結論はみえみえのサル芝居である。しかし、福田市長はそれに飛びつき、「日本の安全保障上、オスプレイの重要性は認識している」「防衛相指揮下の分析評価チームが行なった結果に基づくものであり、信頼のおけるもの」と受け入れた。そして、公開面談のあと森本と二者の秘密会談を行なった。受け入れ条件の見返りの取引きを行なったとみられている。皮肉にもその翌日の六日にはオスプレイが米国の市街地で緊急着陸するという事故が起こったのである。さらに、森本は十一、十二日にフロリダの事故原因の報告をする、という名目で沖縄と岩国を訪れ圧力をかけた。報告はモロッコの報告と同様、「人為ミス」という米軍の報告を追認したものであった。仲井真知事は、県民大会の大きな圧力をうけて「普天間での運用は無理がある。搬入運用をさけてほしい」と対応し、従来の姿勢を変えることはできなかった。 十四日、防衛省政務官神風は岩国市議会の全員協議会に出席し、試験飛行について地元の同意を要求した。基地容認派が多数をしめる議員のなかで、「大きな事故を何度もおこし、機体に問題を抱えている」と強い反対の意見もあがった。 九月十七日、米国防長官パネッタが中国訪問の途中に急きょ日本に立ち寄ってオスプレイの安全確保策なるものを合意し、かつオスプレイの飛行訓練基地を普天間基地から「本土」の自衛隊基地にも拡大して設定することをも合意した。「安全確保策」の骨子は、普天間配備後に全国各地で行なう低空飛行訓練において、米海兵隊の当初想定していた地上六十メートルの高さでなく、航空法が定めている最低安全高度百五十メートルを遵守させるというだけである。そして、原発施設、住宅密集地、市街地上空の飛行は極力避ける、というだけである。 九月十九日、野田政権は無責任な「安全宣言」を行った。九月二十一日、岩国基地で試験飛行が開始された。十月には沖縄配備を強行しようというのである。 これに対し沖縄の民衆は憤激を倍加させている。沖縄への「配備ありき」の根本はなんらかわらず、沖縄人民の声は一顧だにされていない。また、米軍の約束など、現行の騒音防止協定が守られて来なかった事実が物語るように、何の効力もない欺瞞でしかない。さらに、訓練の自衛隊基地への拡大は、沖縄の負担軽減への配慮などというポーズをとりながら、この機を利用して日米の軍事一体化を大きく進めようという策動にほかならない。米軍の沖縄、岩国、そして「本土」飛行区域をはじめ全国で配備撤回の闘いをおしすすめねばならない。 ●2章 原発推進、排外主義に突き進む野田政権打倒 ▼2章―1節 反原発闘争に敵対する野田政権 政府は九月十四日、閣僚で構成する「エネルギー環境会議」において新たなエネルギー戦略を決めた。昨年の福島第一原発事故により、従来の原発推進路線を転換し、腐敗の温床である原子力村や政・官・学・マスコミの推進勢力を一掃し、再生可能エネルギーを柱とする新たなエネルギー政策をうちたてることが、全人民の要求になってきた。そして、以降の各種世論調査においても、政府の作為的な意見聴取会においてすら、「原発ゼロ」が圧倒的に多数をしめたのである。くわえて昨年から持続する反原発運動の昂揚や首相官邸への定期的包囲行動は、原発推進の政府に対しても大きな圧力となっていた。 しかし、注目されてきたこのエネルギー戦略の決定は「二〇三〇年代に原発稼動ゼロを可能とする」という目標をかかげたような形をとりながら、実質は原発を維持し、将来も原発推進に道を開くという欺瞞的なものである。第一に「当面は原発を重要な電源と位置づけ、政府が安全を確認すれば再稼動をする」という方針が眼目となっている。「既存の原発の運転を四十年に制限する、新増設はしない」と方針を付加しているが、三〇年代にゼロにしようと思えば、運転期限四十年以前に廃炉にせねばならない。これは計画自体の矛盾であり、デタラメさを示している。第二に、「原発維持が前提となる使用済み核燃料の再処理事業を継続する」という方針を打ち出している。高速増殖炉「もんじゅ」は廃炉ではなく、「放射性廃棄物の減量研究」に転用するとしている。誰の目にも矛盾であることが明白である。 この政府案にたいしてすら、ブルジョアジーは強固な反対を繰り返してきた。経団連会長の米倉は、あいかわらず原発ゼロによる国内産業の空洞化でもって政府を恫喝し、また電気料金の倍増で大衆を脅迫し、原発ゼロはポピュリズムだと中傷をくり返した。 経済同友会、日本商工会議所もこれに同調し新戦略撤回へと巻き返しを図った。また、国際的にも、原発メーカーと結託した米国が新戦略骨抜きを求めて強力な介入をしてきた。これらの圧力をうけて、政府は新戦略の閣議決定すらもできず、これを単なる参考文書に格下げする、という取り扱いにしている。政府をしばる閣議決定ではないということはただの紙切れにすぎないことを意味する。こんな内容の新戦略ですら総選挙後にすぐ撤回し変更する道筋をつけているのである。 全原発の停止、廃炉に敵対する野田政権を人民の力で打倒しよう。 福島の怒り、全国各地の再稼動阻止のたたかいと結合して反原発闘争を前進させよう。 ▼2章―2節 領土拡張主義を祖国敗北主義で打ち砕け 八月以降の独島、釣魚諸島をめぐる事態は緊迫した局面を迎えた。八月十日、韓国の李明博大統領が歴代大統領としてはじめて独島を訪問した。年末の大統領選挙にむけて彼がどのような思惑を抱いていようが、日本軍「慰安婦」問題についての日本の不誠実な対応や拒否についての韓国憲法裁判所の昨年の判決は正しいし、これに基づいて李明博が日本政府に謝罪と賠償を要求したのは当然のことだ。また天皇にたいする謝罪要求は当然である。政府は李明博大統領発言を「外交上、きわめて無礼な行為」と大仰に非難した。これに対して韓国の一日刊紙は「天皇は日本人にとって神のような存在だったかも知れないが、韓国人にとっては抑圧と侵略と軍国主義の最高責任者にすぎない」と正しくのべている。 また、独島は日本の帝国主義的領土拡張の過程で日本が一方的に閣議決定して編入したものであり、歴史的にも日本の「固有の領土」ではない。韓国では、日本政府・支配層による独島支配の野望にたいして人民が反日を叫んでたちあがった。しかし、日本政府、ほとんどの政党、マスコミはこの意味を意図的に無視し、それどころか歪曲して対抗的に日本民衆の民族排外主義、領土拡張主義、天皇主義をあおっている。 他方、中国との関係においては、政府は釣魚諸島を日本人地主から購入し、「尖閣諸島の国有化」を宣言することによって、中国との対立を深めている。釣魚諸島については日中双方が領有権を主張するなかで、日中国交回復以降、この問題は棚上げとしておくことを双方が確認していた。しかし、あたかも国交回復四十周年の今年四月、東京都知事石原が狙いすましたかのように釣魚諸島の東京都購入という方針を米国でぶちあげた。原発の再稼動問題と消費税増税問題とに追いつめられている野田政権は、「尖閣諸島の国有化」問題と対中対決を利用して民衆の意識を民族排外主義とナショナリズム、領土拡張主義へと転換しようとした。それはアジア太平洋を焦点にすえた米帝の経済・軍事戦略と結合し、中国との対決を強化していく日帝の政治軍事路線を具体化するものであった。すなわち野田政権が一貫して推し進めてきた集団的自衛権の見直し論議、核武装を可能にするための原子力基本法への安全保障目的条項の挿入、宇宙技術研究の軍事目的への拡大、そして動的防衛力重視・沖縄の防衛重視・これらに民衆の合意を獲得し統合していくことを狙ったのである。このために右翼勢力の動向をも利用し、迎合し、民族排外主義・天皇主義をあおりにあおった。国会においては「李明博大統領の竹島上陸と天皇陛下に関する発言に抗議する決議」「香港の活動家らによる尖閣諸島不法上陸に関する決議」を社民・共産等の反対を除き圧倒的多数で可決した。野田首相は「竹島は不法占拠。尖閣諸島は領有権問題など存在しない」「領土、領海の保全のため不退転の覚悟で臨む」などと言明した。 九月にはいって中国政府は度重なる警告に耳をかさない野田政権にたいして国有化反対の行動を強め、全国で人民の大衆的抗議行動がはじまった。日本大使館、日本企業が対象となり十五日には、小泉首相の靖国参拝の抗議行動を凌駕するにいたった。 日本政府、財界、マスコミはいつも中国の人権弾圧を非難しながら、反日抗議行動に際しては、中国政府のデモ弾圧、禁止を要望するという利己的な姿を暴露している。 われわれは、釣魚諸島問題がこれまでも一貫して沖縄解放闘争の昂揚の時にこれを抑圧する意図をもって打ち出されてきたことに留意せねばならない。オスプレイの普天間基地への強行配備、辺野古新基地建設問題、そして、自衛隊の沖縄への配備増強問題、これらいずれにも強固な沖縄人民の反対の闘いが存在する。政府はそれを抑圧し、きりくずすために、排外主義扇動を強化している。とりわけオスプレイは機動性と航続力をもち米軍の広範な太平洋優先戦略にとって、そしてそのための日米防衛協力にとって不可欠な兵器であり、「日米同盟の深化」を象徴する兵器である。「日米同盟の深化」をいう日本政府にとって配備に異議を唱えることはできない。また、米軍も飛行訓練の制約は最小限にしようとして、効力のある安全策などには合意しない。この結果、日米両政府にとって、オスプレイの配備を「尖閣諸島」を含めた「南西諸島」の「抑止力」強化のため必要であるといいくるめたり、「尖閣諸島」問題をもって沖縄人民を排外主義と領土ナショナリズムに統合することがきわめて重要となっている。 この敵の意図をしっかりと暴露し沖縄―「本土」つらぬく反基地闘争のさらなる前進で、この攻撃を打ち砕こう。 ●3章 IMF・世銀総会を粉砕しよう 十月九日―十四日、世界各国の財務大臣・開発担当大臣・中央銀行総裁を中心に経済界、研究者、メディア関係者が集まってIMF(国際通貨基金)・世界銀行の総会が東京で開催される。総会は毎年ワシントンで開催されるが、三年に一度米国外で開催され、今回は日本が立候補して東京開催のはこびとなった。日本の立候補の理由について財務省のホームページでは、世界経済の不透明性の中で、世界経済の安定と希望ある「再出発」をめざしたものであり、東日本大震災からの復興の姿をみてもらい、日本経済の活力に触れてもらうことである等々とのべている。停滞する日本経済をふまえて、世界経済のなかで今一度存在感をしめし、いわゆる成長戦略の契機をつかもうとするブルジョアジーの願望があらわれている。 しかし、世界資本主義をとりまく現実は不透明などという生やさしいものではありえない。世界経済は二〇〇八年の米国を震源とする世界恐慌から立ち直ってはいない。米国はじめ各国は経営にいきづまった金融機関等に注入した財政の赤字処理に苦しんでいる。今その世界的焦点がユーロ危機であり、ブルジョアジーはこの危機の全世界への波及に戦々恐々とし、全力をあげてその発現を先送りするために奔走している。その政策が極端な財政支出削減と福祉政策の削減、増税による労働者人民への犠牲のおしつけである。八〇年代以降の帝国主義のグローバルな展開のなかで、投機が極限化していき、社会が1%と99%へとますます両極化していき、リーマン・ショックから世界恐慌をもたらした。そして今また、経済の回復をはかり再建するという名目で99%が搾取収奪にさらされているのである。 ユーロ危機のもとでは、ギリシャ、スペイン、イタリアをはじめとして、労働者人民はEUの財政支援と引き換えに年金のカット、医療・教育など社会サービスのカット、人員整理解雇、賃金のカットの攻撃に否応無くさらされている。これに対する憤激は各国において階級闘争として発展している。欧州レベルにおける共通の攻撃のもとで闘いの結合もふかまりつつある。 この労働者人民の災禍をもたらした新自由主義を世界各国に強制する尖兵となってきた国際機関こそIMFであり、世界銀行である。彼らのホームページにいうような、世界経済の見通しや金融市場の動向を論議したり、発展途上国の経済開発や貧困削減に資する、というような 機関ではないのである。現に第三世界にあってはこの欧州に先立って七〇年代からIMF支配の荒波にさらされた。各国の構造的な赤字財政へIMFからの融資が行なわれたが、その条件として構造調整政策(SAP)が押し付けられた。そして構造調整の名のもとに貿易自由化、民営化、借款返済、緊縮財政による社会サービスの削減が押し付けられ、未発達な経済構造がますます従属的に帝国主義に組み込まれ、人民に塗炭の苦しみをおしつけたのである。 IMF・世界銀行の果たしてきた反人民的な役割を暴露し、全世界の労働者人民と結合してIMF・世界銀行総会粉砕にたちあがろう。総会の日本開催を許さず決起しよう。 国際連帯の旗を掲げて今秋闘争の最前線でたたかおう。 |
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