共産主義者同盟(統一委員会)


1398号(2012年7月20日) 政治主張






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   反戦・反核・反原発・被爆者解放 8・6広島へ

 オスプレイ配備阻止!

 増税、戦争準備―改憲につき進む野田政権打倒!





  六月末、野田政権は大飯原発三、四号機の再稼動にゴーサインを出した。歴史的暴挙だ。徹底弾劾する!
 この暴挙に対し、巨万の民衆が立ち上がった。六月二十九日夕方、首相官邸前に二十万人が押し寄せ、官邸前大通りを占拠し、「再稼動反対」を叫んだのだ。実に六〇年安保闘争以来の規模である。また大飯原発のある福井県おおい町では集会、デモ、ゲート前座り込みと現地闘争が取り組まれた。
 こうした原発再稼動との攻防の一方、野田政権は、米軍航空機MV―22(通称、オスプレイ)の岩国―沖縄配備を強行しようとしている。沖縄の全島的な怒りは日増しに高まっている。
 原発にせよオスプレイにせよ、資本の金儲けと在日米軍の維持のためには、民衆の生命や生活など「どうでもよい」というのが野田政権だ。その上、消費増税で貧困層を絞り上げようとしている。
 この最悪の政権に真っ向から立ち向かうことが、すべての労働者人民に問われている。反原発・反基地闘争、生活と権利の破壊攻撃とのたたかいを束ね上げ、集約し、野田政権打倒の怒りの決起を組織しよう!


 ●第1章 岩国、沖縄へのオスプレイ配備を阻止せよ

 オスプレイの沖縄配備は、日本政府が公式に認めるかなり前から、沖縄の反基地運動から警戒されてきた。
 オスプレイの特徴は、主翼両脇のプロペラの向きを、離着陸時は上向きにしてヘリコプターのように垂直離着陸ができ、水平飛行時は前向きにして固定翼機のような高速飛行ができる点にある。だが、九〇年代初頭の試作機段階から事故が多発。墜落して激しく大破・炎上する映像は、多くの市民の目に焼きついている。
 日本政府は、オスプレイが普天間基地の「代替施設」としての辺野古新基地に配備される予定であることを隠し続けてきた。言うまでもなく、計八回に及ぶ墜落事故を引き起こしたオスプレイ配備を公表すれば、辺野古がますます絶望的になると判断したからだ。
 沖縄民衆のたたかいの前に、辺野古が一歩も前に進まないなか、またしても一方的に日本政府は普天間基地へのオスプレイ配備を宣言した。だが折りも折、四月にモロッコで、六月にフロリダ州で墜落事故を立て続けに起こした。
 米軍は「人為的ミスで、機体に問題はない」と火消しに躍起だ。振り返れば二〇一〇年、米政府は、トヨタ自動車には「ブレーキに欠陥がある」との消費者の声を受けて大規模リコールを起こしたことがある。しかし事故原因を調査した結果、運転手のミスであることが判明した。ひるがえって今回、米軍がオスプレイを製造したベル社、ボーイング社に「リコール」することはな。「リコール」や欠陥機の責任追求は米軍と米軍需産業が結託した軍産複合体の利害に反するからだ。最も重要なことは、米軍が兵士の生命さえ、軽んじているということだ。実戦配備から三十件以上の事故をひきおこしているオスプレイだが、米軍にとっては兵士の生命より、速く・多くを輸送して作戦能力を高めることの方が重要だからだ。事故原因の調査はろくに行われていない。
 こんな危険で操縦不能な欠陥機を、それがどこであろうと飛行させること自体が犯罪行為だ。しかし、いかに墜落事故が多発する欠陥機であろうと、米軍としては航続距離や輸送力、巨費を投じた開発費からして、みずから配備を断念することはない。日本政府もまた米軍の意志に忠実に従い、岩国―沖縄配備を虎視眈々と狙っている。
 七月下旬に岩国基地に陸揚げして「一時駐機」したうえで、東北、四国、九州などの計六ルートでの低空飛行訓練をおこなう。そして十月初旬から普天間基地で本格運用――こんなシナリオを勝手に描いているのだ。
 このシナリオを実現するため、森本敏防衛相が七月一日、沖縄を訪問し、仲井真弘多沖縄県知事と会談した。森本は(オスプレイ配備で)「米海兵隊の持つ航空輸送支援能力、災害支援・人道支援が格段に向上する」とヌケヌケと語った。これに対し、仲井真知事は、「安全性に疑問が持たれるものを持ってくるのは断然拒否する」と応じ、さらには、6・17宜野湾市民五千人の怒りの決起に背中を押される形で、「事故が起きたら(米軍基地を)即時閉鎖撤去する」とまで語っている。
 同日、森本は岩国市役所で福田岩国市長と、山口県庁で二井県知事と相次いで会談した。これに対し、住民を先頭に抗議行動が取り組まれている。二井知事は「まずは安全性を国として確保を」と陸揚げに反対する意向を伝えたという。だが、岩国基地の強大化や愛宕山米軍住宅建設を受けて入れてきたのが、福田市長であり二井知事である。住民やAWC山口の仲間達は、県庁前で抗議・申し入れ行動をおこない、オスプレイ配備だけでなく岩国基地そのものとたたかう意志をつきつけた。
 沖縄、岩国のたたかいに連帯し、オスプレイの搬入から飛行訓練、基地への配備を阻止するたたかいに立ち上がろう。6・17宜野湾市民大会に続き、七月二十二日には県民大会も準備されている。またオスプレイ配備阻止と一体に、普天間基地の固定化を狙う改修工事に反対し、普天間基地のゲート前で座り込み闘争が続いている。普天間の即時閉鎖・撤去を、沖縄―「本土」貫いてたたかいとろう。


 ●第2章 反原発闘争を闘い抜き、8・6広島に決起しよう

 野田政権は大飯三、四号機の再稼動を政治決断した。これは菅政権当時、打ち出された「脱原発依存」(それ自体、具体性のない展望であったが)をも実質的に放棄し、「3・11」以前の原発推進政策に回帰する、という宣言にほかならない。つまり、福島第一事故をあたかもなかったものであるかのようにふるまい、原子力を「安価で安定的」な基幹エネルギーとして位置づけなおすということだ。実際、野田政権は大飯再稼動を突破口に、伊方、泊など各地の原発再稼動を狙っている。
 野田は恥知らずにもこう述べた。大飯原発が止ったままだと、電気不足によって「命の危険にさらされる人も出る」。電力料金が高騰し、経営危機に陥る企業が増え、「雇用の場が失われる」。こうした、民衆に対する恫喝まがいのセリフに反論する前に、そもそも福島第一の事故によって日々、被曝を強いられている福島の人々、土地も仕事も住む家も失った人々に対して、政府は責任をもって補償しているのかを問わなければならない。もちろん、まともな補償はない! 無理やり「事故は収束した」と宣言し、そうしたペテンをもって福島県民を放置しているも同然だ。「国民生活を守る」などとよく言えたものである。
 「事故収束」などとんでもない話だ。一号機の格納容器では一万ミリシーベルトという驚くべき高さの放射線量が計測され、人間はおろかロボットすら近寄れない状態となっている。高濃度汚染水が日々、行く当てもなく蓄積されてい。四号機の燃料プールは倒壊の危険性が指摘されてきたが、七月一日には冷却装置が三十三時間停止し温度が急上昇する事故が発生した。燃料プールにある未使用の燃料二百四本を含む千五百三十五本の燃料棒がもし露呈するようなことになれば、これまで以上の放射性物質が拡散することになるのだ。こうした状態で何が「事故収束」だ!
 野田の言う「電気不足」云々は、関西電力が自らに都合よく情報操作したデータに基づくもので、実際には企業の持つ自家発電や、他地域からの電力融通を勘定に入れていない。関西電力は原発が廃炉決定されると、そのとたん原発が不良資産になり、一挙に赤字になることを恐れている。その背後には株主、大銀行の利益がある。これは他の電力会社も同様である。
 つまり野田は一部ブルジョアジーの利益を体現し、それを覆い隠す口実に「国民生活を守る」と大嘘をついている。しかしそんなことは多くの民衆が気がついている。
 何が「福島を襲った地震・津波が起こっても事故を防止できる」だ! 福島第一は津波襲来以前に大地震でどれだけ損傷していたかもわかっていない。東洋大学教授の渡辺満久氏(活断層研究)は、大飯原発直下に存在する複数の断層が、活断層である可能性があると指摘している。その調査もしないまま、原子力安全・保安院は「活断層ではない」と断定した。津波対策はといえば、防波堤は二年後に完成。福島第一にすらある、免震棟もない。野田首相の指示を受け、再稼動の準備に入った大飯原発では、起動直前に警報が相次いで出されるという事故が起きている。だが、その事故はただちに公表されなかった。電力会社の「隠蔽体質」がここでも露呈している。
 東京電力が六月に国会に提出した事故調査最終報告書を見れば、電力独占資本の本質はいよいよ明瞭だ。事故原因は「想定した高さを上回る津波の発生」と強調し、全面的な責任回避をはかっている。だが、八百六十九年に東北を襲った貞観地震津波について調べた学者が、巨大津波が再来する可能性を警告していた。それに備えた防波堤を作るべきであったにも関わらず、おそらくは経費削減のためであろう、作らなかった。巨大津波が事故の原因だとしても、備えを怠った責任があるのは明らかである。ところが、東電は対策をとらなかったのは「国の指示がなかったため」などと責任を国になすりつける。
 確かに、原発の安全管理に国は責任がある。見逃した原子力安全・保安院の責任は重大だ。だが、東電にまったく責任がないのであれば、東電には原発を安全に運転する能力がそもそもなかったことになる。それは他の電力会社にも十分当てはまる理屈だ。
 事故を生み出し、事故が起きたら隠し、あげくの果てに、取り返しがつかなくなれば住民には知らせず、自分だけ「撤退」。まさに電力独占資本の本質だ。
東電の会長にせよ社長にせよ、当時の経営陣はいまだ誰一人として刑事的・民事的責任を問われていない。恥知らずにも、清水前社長に至っては、東電の子会社に悠々と天下る始末だ。責任者が誰も裁かれないのでは、また同じ過ちを繰り返すに決まっている。
 一方で、六月二十日、原子力規制委員会設置関連法案が可決・成立した。規制委は、福島第一原発事故の対応で批判を浴びた、経産省の原子力安全・保安院、内閣府原子力安全委員会など既存の原子力規制組織を解体し、一元化した、独立した規制組織だという。これによって、原発を推進してきた産・官・学のいわゆる「原子力ムラ」が解体に向かうだろうか? いや、原発推進の野田政権の下では絶対ありえない。規制委員会のメンバーがいずれ推進派で占められることはまちがいないからだ。加えて、規制委の方針を実行する事務局も従来どおり、推進派の官僚たちが担うだろう。したがって、何の「期待」もできない。
 むしろ、規制委設置法と同時に改正された原子力基本法のなかに、新たに「我が国の安全保障に資すること」なる文言が加わったことが重大である。これは核武装する能力の誇示であり、その準備を示している。
 これまで自民党や官僚たちは、原発推進政策で、核武装できる「潜在的力」を保持する一方、建前としては「非核三原則」を掲げてきた。旧原子力基本法も原子力保持の目的を「人類社会の福祉と国民生活の水準向上」としていた。ところが、ここにきて突然「安全保障に資する」すなわち軍事への転用、核武装を公言してきたのだ。
 この「安全保障に資すること」という文言は、ろくに審議もせず法案も全文公開しないまま、マスコミにも伏せられて突如、付け加えられた。中国や韓国など近隣諸国が日帝の核武装を警戒し、批判したことからようやく明るみに出た。
 秘密裏に進められる核武装の策動を全面的に暴露しなければならない。日米軍事同盟の強化―米軍再編と一体の、自衛隊の実戦部隊化と核武装を断固阻止しよう!


 ●第3章 日帝―野田政権打倒に起ちあがろう

 連日のように首相官邸前が「再稼動反対! 野田を倒せ!」のコールであふれかえるなか、野田首相は「大きな音がするね」(六月二十九日)と余裕の言葉を吐いていたという。だが、野田政権に余裕があるわけではない。
 「民主党の掲げてきた公約を守る」ことを大義名分に、小沢グループが七月に入り集団離党。民主党の分裂が決定的となった。
 野田政権は、「普天間基地の県外移設」を目玉とする「対等な日米関係」、「コンクリートから人へ」に示されるムダな公共事業の削減、「官僚主導から政治主導へ」に示される「政治改革」など、公約で触れた一切のことが実現できなかった。野田政権になってからは、公約では一切触れていなかった「消費増税」に突っ走った。そのためには自公とも連携した。政権交代の「大義」は完全に消失した。
 これに対し、公約作成の中心人物である小沢一郎がその子分とともに反旗を翻したのは必然的帰結であろう。消費増税反対に加え、「脱原発」も掲げようとしている。そのため、一部市民運動のなかには小沢グループに期待する声も聞かれる。だが、小沢は根っからの新自由主義者であり、自衛隊の海外派兵を進めてきた政治家だ。ファシスト橋下w大阪市長との合流も大いにありうる。小沢が唱える「消費増税反対」やら「脱原発」は、選挙に勝利するための方便に過ぎないのである。
 独占資本の利益を守り、財政危機を乗り切るためにこそ消費増税・大衆収奪を実現する。中国と対抗し、アジア・世界の市場権益を守るためにこそ日米同盟を強化する。これは没落帝国主義・日本が、帝国主義である限りにおいて選択せざるをえない政治路線であり、民主党の政権交代はこの路線変更に一指も動かすことができなかった。小沢グループにもそれはできない。
 原発の廃炉を求め、戦争準備と格差社会をうちやぶる力は、労働者・民衆の団結した闘争以外にない。いま闘争の条件は急速に拡大しつつある。橋下や小沢ら、二大政党を批判し民衆の不満を糾合する勢力への警戒を強めつつ、反原発運動、反戦・反基地闘争を全国各地で推進しよう!
 7・16さようなら原発十万人集会への決起をはじめ、全国で反原発闘争を組織しよう。そのなかで沖縄・岩国オスプレイ配備とのたたかいや、日帝の核武装との対決を打ち出し、反原発闘争と反戦反基地闘争の結合をかちとろう。
 その成果をもって、8・6広島集会へ全国から結集しよう。
 昨年、原爆ドーム前で行われた「8・6広島青空集会から9・6『山口のヒロシマ・デー』へ!連続実行委員会」主催の青空集会に対し、「在特会」ら排外主義勢力が敵対行為をはたらいた。やつらは、「核武装断固支持!原発を守れ」などと叫び、権力と一体となって8・6闘争つぶしに登場した。「在特会」らはこの間、単なる排外主義を超えて、反原発運動や反戦運動に狙いを定めた攻撃をしかけてきている。「在特会」らの敵対を粉砕し、8・6広島集会の成功をかちとろう!


 

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