1388号(2012年2月20日) 政治主張 |
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米軍再編を許すな! 普天間基地即時無条件撤去! 海兵隊岩国移転阻止! 3・11反原発総決起を 労働者階級の利害貫き12春闘闘おう 橋下―維新の会のファシズム攻撃粉砕 日・米帝は二月八日、共同文書をもって在日米軍再編のロードマップ(行程表)の見直しを行うことを発表した。 日帝―野田政権は、「グアム移転先行実施」「沖縄の負担軽減」などと喧伝しているが全くのペテンである。「辺野古移設は堅持」と確認した上で、グアム移転の規模を縮小し、かつ海兵隊が「ローテーション派遣」と称して韓国、オーストラリア、日本各地を自由に展開するというものだ。米帝―オバマのアジア太平洋戦略的重点化を具体化するものにほかならない。在日米軍再編の改悪であり、日米軍事同盟の新たな強化である。しかも「千五百名の海兵隊」移転候補地として岩国をあげ、米軍基地強化に反対する住民の民意と真っ向からぶつかっている。 帝国主義と労働者民衆の対立は、さらに深刻となっている。欧州危機の影響で世界の失業者は初の二億人超となり、世界的規模で広がる貧困と格差は社会不安を引き起こし、資本主義の基盤を掘り崩している。資源・市場争奪の火種は尽きることがなく、とめどなき抗争や地球環境破壊が進行している。現代世界を動かしている資本の利潤追求の運動、この防衛のための帝国主義による軍事支配の強化、これらの息の根を止めることなくして、もはや解決の道は存在しないのだ。 日本においても、独占大資本による原発輸出・再稼働推進と民衆の棄民・貧困化が推し進められている。これらとたたかい、新たな時代を切り拓く階級闘争の再生をかち取っていくことが急務である。 ●第一章 帝国主義のイラン戦争重圧弾劾! ▼1節 米帝、日帝、欧州各国帝のイラン制裁弾劾! 米帝のイラクからの撤退に伴い、中東地域支配をめぐる緊張感が高まっている。イランの核兵器開発疑惑への対応をめぐり、米欧が追加制裁を軸に包囲網構築を加速している。米帝は、イラク侵略反革命戦争によって確立した支配が、米軍撤退後、イランの影響によって揺るがされることを恐れ、また欧州連合は「残された数少ない地政学上の脅威」を封じ込めるために、イランの国力を弱める経済的な締め付けを開始した。 米帝はイラン原油禁止措置に踏み切ると共に、昨年十二月三十一日には、イラン中央銀行と取引がある海外金融機関を制裁対象とする「国防授権法」を発効させ、イラン産原油の中心的輸入国である中国・日帝にも輸入削減を要求した。これを受け、一月二十日のイラン制裁をめぐる日米実務者協議では、輸入削減方針が確認された。欧州連合も一月二十三日、イラン産原油禁輸措置を決定した。 そもそも核武装したイスラエルの脅威が原因で引き起こされた事態である。イラン海軍は、年頭一月一日、二日と連続してホルムズ海峡周辺でのミサイル試射演習を行い、「ホルムズ海峡を封鎖する」と警告。また、アハマディネジャド大統領は、一月半ばには、中南米の反米諸国を歴訪し、反米同盟の結束をアピールした。「帝国主義者の暴挙に歯止めをかける」(ベネズエラ・チャベス大統領)。「地域和平にはイスラエルの核破棄が先決」(ニカラグア・オルテガ大統領)。エクアドルやキューバでも、イラン支持を取りつけた。イランは、一方で、二月にペルシャ湾やホルムズ海峡周辺で大規模軍事演習を実施すると表明し、他方で、イランからの先制的な原油輸出停止と国際原子力機関(IAEA)の代表団受け入れなど、硬軟おりまぜた駆け引きを展開している。 引き続く帝国主義の中東諸国への介入、侵略反革命戦争重圧を弾劾しよう! ▼2節 危機回避と米軍改編のオバマ一般教書演説 このような中、一月二十四日、オバマ大統領は次期再選をにらんでの一般教書演説を行った。オバマは、「フェア(公正)」というキーワードを多用し、野党・共和党との対決姿勢を打ちだし、「富裕層への増税」「雇用創出」「生活支援」などを中間所得層にアピールした。ここには、米帝の抱えている深刻な国内状況がある。 オバマ大統領ですら、「豊かに暮らせる人が減り、かろうじて暮らせる人が増えているこの国の問題……」と言わざるをえないほどに貧富の差はひろがっている。昨秋以来、米国民衆が「私たちは99%」、「ウォール街を占拠せよ」と立ち上がり始めている。オバマは、給与税(社会保障税)の延長や住宅取得支援策の拡充などで中間層の生活支援を表明し、この沈静化をはかっているが、オバマ・民主党には決して問題を解決することはできない。米連邦議会の四割強は資産百万ドル(約七千七百万円)を保有する富裕層で、上位はむしろ民主党が多い。このような実態のみならず、格差は厳しい雇用情勢から生み出されており、その根拠は米帝が推進してきた新自由主義政策にある。より根源的には資本主義生産様式そのものにある。生産手段と社会的富の私的所有を根本的に変革しない限り、失業と貧富の拡大は止むことはない。 オバマは、危機を深めるアメリカ社会・米帝国主義の舵取りにやっきである。年収百万ドルを超える高額所得者への増税(30%)と合わせ、破綻を深める米国財政を繕うために、昨年の与野党合意に基づいて、国防予算を今後十年間で四千九百億ドル削減することを決定した。具体的には、国防戦略(二正面作戦)を見直し、前半五年間で国防費約二十兆円削減を行うとしている。 イラクやアフガニスタンからの米軍撤収以降は、地上戦力は維持しないとしながらも、「中東での継続的なプレゼンス(存在)を確保する」とし、イランに対しては武力行使も排除しないと表明している。新たな戦略の中心は、中国の台頭を念頭に、アジア太平洋地域への戦力の重点化に置き、日本などとの同盟関係を強調した。米軍の規模縮小に伴って、同盟国すなわち日本に一層の負担の肩代わりを求めることが、「刷新的で創造的な解決策」だと言うのだ。 米国防戦略のアジア太平洋重点化が鮮明になった中で、在日米軍再編の新たな改編が始まっている。 辺野古新基地建設阻止のたたかいと米国防予算削減に追いつめられた日帝・米帝は二月八日、「グアム移転」と辺野古新基地建設のパッケージを切り離し「グアム移転の先行」という新たな日米合意の共同文書を発表した。 これはという「沖縄の負担軽減」などというものではない。野田の国会答弁の中にある通り「(米軍の)アジア太平洋への関与を果たすため」というのが真の目的である。海兵隊グアム移転そのものは規模を縮小し、在沖海兵隊の一部は「ローテーション派遣」にするという内容である。沖縄の基地はそのままにし、米海兵隊部隊は、日本―韓国―オーストラリアの間で、軍事情勢に応じて移動させるというものである。しかも、この移動先として岩国基地を検討しているのだ。海兵隊千五百名を岩国に移転しようというのである。岩国住民は、即座に反対の声をあげている。 沖縄を、米軍のアジア太平洋展開の拠点基地として維持し、海兵隊の展開範囲を西太平洋全域に拡げて、対中国・対朝鮮民主主義人民共和国の軍事的包囲をさらに強めようとするものである。 野田政権は「グアム移転先行」などとかかげながら、この米軍の戦略に全面的に荷担しようというのだ。米軍再編の新たな改悪協議である。 断固弾劾する。 ●第二章 増税―生活破壊強める野田の施政方針演説 オバマ一般教書演説の同日、民主党・野田首相は、衆参両院本会議で、就任後初の施政方針演説を行った。 政権として施政方針を表明するに、野党側の政治決断に言及するという異色の演説は、翼賛政治を求める日本帝国主義の危機を物語るものである。 ▼1節 消費税増税を明言 財務省によると、国債や借入金を合計した日本の「国の借金」(二〇一一年度末)は、約一〇二五兆円に達した。国民一人あたり約八百二万円の借金である。 十一・五兆円の復興債の発行、円高への介入のための外国為替資金証券十五兆円増額、原子力・交付国債の五兆円への増額……など、状況に対応したものもあるが、財政悪化は構造的なものである。 二〇〇五年には、経済財政諮問会議の日本21世紀ビジョンは、日本の貿易赤字を見越し、「輸出立国」から「投資立国」へ、を打ち出していた。資本の蓄積は、生産手段の拡大の壁に突き当たると、投資による利子や配当による資本の増殖へと移行していく。英国が一八九〇年ごろ、アメリカでは、一九二〇年代には、その転換を果たしていた。日本帝国主義も、昨年の海外企業のM&Aは過去最高の五兆円を超え、海外子会社から得た配当金は三兆一千億円と、十年前の三・三倍に増えた。それらは、国民国家の財政へとは入らず、多国籍資本・資本家たちの懐に入る。 このように、資本の蓄積・巨大化とともに、財政は悪化し、そのツケは労働者民衆の増税や社会保障削減となって降りかかってくるのである。 日本21世紀ビジョンでは、その転換の時期を二〇三〇年代に置いていたが、二十一世紀に入っての急速な賃下げ・雇用破壊によって、財政悪化を下支えしてきた家計貯蓄率が急速に低下した。一九九〇年代には10%を超えていたものが、今や2%を割る寸前にまで来ている。そこに震災・原発事故が起こった。日本の支配階級の危機感は大きい。ギリシャやイタリアをはじめとする・欧州各国のの財政危機は、もはや対岸の火事ではない。 野田政権は、これを背景に、税と社会保障の一体改革、政治・行政改革への「不退転の覚悟」を述べたのである。 他方で、増大する企業の内部留保は三百兆円に近づいている。昨年来、円高を背景に海外企業の買収件数は過去最高となり、株配当も増大している。これに手をつけることのない、民衆への増税は、砂漠に水をまくようなものである。現に欧州では、経済危機を受け、軒並み消費税を20%台に上げる検討に入った。 ▼2節 原発事故「ステップ2完了」なるペテン 3・11原発事故は、原発の「安全神話」を完膚無きまでに打ち砕いた。現在も放射性物質は排出され続け、事故収拾のメドは立っていない。それどころか福島四号炉の使用済み燃料プールも不安定な状態にあり、対処もままならない状態にある。 にもかかわらず核技術の保持、戦略産業としての原発輸出などを求める官僚・財界の圧力に押され、「すぐさまに影響がない」から始まり「収束宣言」に至る非科学的な嘘っぱちを政府は繰り返してきた。 野田・施政方針では、「ステップ2完了は、廃炉に至る長い工程の一里塚に過ぎない」と慎重な物言いこそすれ、「原子力安全行政への信頼回復とその機能強化」を繰り返し、実質的な原発推進宣言を行ったと言える。 ▼3節 「アジア太平洋の世紀」銘打った、FTAAP構想 FTAやEPAなどの経済連携協定は、関税障壁や投資規制をなくし、より有利な企業条件を獲得するためのものである。海外侵出に打って出る独占資本・多国籍資本の企業展開には大きな旨味がある。しかし競争力の弱い産業分野や、一定の社会的規制の下にある医療や農業分野では、他国資本の参入によって壊滅的な打撃を与えられかねない。TPPは、環太平洋地域での新ルール(市場開放の対象は関税だけでなく、検疫や技術基準、知的財産権、政府調達など二十四分野にわたる)を掲げた危険な代物である。野田は「(企業にとって)自由な貿易投資ルールを主導する」と、独占大企業の利益に立って奮闘することを宣言した。 ▼4節 「公共財としての日米同盟」弾劾! 野田首相は、日米同盟を日本の「外交・安全保障にとどまらず、アジア太平洋地域そして世界の安定と繁栄のための公共財」と持ち上げた。公共財の維持には、相応の負担が必要だ。まさに米帝・オバマによる新国防戦略に沿った方針である。また野田は南スーダンでのPKO本格部隊派遣を「インフラ整備に汗を流す自衛隊」とほめたたえたが、その狙いは、先行している中国をにらみ、資源確保に向けたアフリカでの足場固めであることは明らかである。 激化する資本間抗争に勝ち抜くことで、延命を図ろうとする帝国主義ブルジョワジーの意向に沿った野田の施政方針は、島ぐるみで米軍基地強化に反対する沖縄民衆の民意を踏みにじり、「日米合意を踏まえ」の一点で、普天間基地の名護移設を強行しようとするものである。高江における暴力的な工事遂行、閣僚の相次ぐ差別発言、沖縄防衛局によるアセス資料の明け方運びこみなど、常軌を逸した事態が沖縄においては進んでいる。 ●第3章 すべての労働者と連帯し反原発闘う春闘を ▼1節 労働者階級の利害に立った春闘へ再生を 世界的規模での資本間抗争・帝国主義間抗争が激化し、経済的混迷が深まる中、労資対立は深まる一方である。だが労働運動は、未だ大きな困難局面にある。失業者(十五~二十四歳男性9・7%)・非正規雇用労働者(34・4%、民間38・7%)が増大し、労働組合員は九百九十六万人(厚生労働省調べ)とピーク時(九四年)から二割も減少した。この打開ではなく、既成労組は既得権の防衛にしがみつき、弱い立場にある労働者は、不安定・低賃金・劣悪雇用に投げ入れられている。この下で、失業・半失業状態にある青年労働者の一部から、資本がもたらす労働者間競争を反映し、社会的弱者や他国民衆を排撃することで自らの存在意義を見いだす排外主義的な風潮が台頭している。 日本経団連は、一月二十三日、経営側の交渉指針となる「経営労働政策委員会報告」を発表、「賃金抑制」を公然と主張した。連合が給与総額の1%引き上げを求めていることに対し、東日本大震災や超円高による業績悪化、産業空洞化への懸念などをあげ、「企業の危機的な経営環境に対する認識が甘い」と一喝した。そして定期昇給制(定昇)廃止、ベースダウンに言及した二〇〇四年以来の厳しい姿勢を示した。また、まるで戦時中の「撃ちてし止まん」を彷彿とさせるような忠誠心を、日本のみならず海外展開する世界中の労働者に要求している。曰く「企業理念の徹底化による一体化と求心力」、曰く「競争力強化策の議論を尽くす労使パートナーシップ対話」……。 闘う労働者・労働組合に敵対し、骨の髄まで資本の手代となり下がっている大企業労組、自動車や電機・鉄鋼各社大労組は、早々と要求見送りを決め、「定昇維持」攻防へと集中してしまった。いま労働組合は「正社員クラブ」という汚名を与えられているが、まさにそれを地で行くような体たらくである。企業の国際競争力強化のためと、非正規雇用や派遣法を受け入れ、原発推進すら掲げてきた帝国主義労働運動派には、もはやなにも期待することはできない。 他方、全労協や左派労働運動は復興連帯・脱原発の12春闘を掲げ、非正規雇用労働者・滞日外国人労働者の権利確立・均等待遇と攻勢的な賃金・権利闘争を提起し、これに抗する流れを切り拓こうとしている。 労働者階級全体の利害に立った春闘を再生していくために、失業を含む雇用形態を超えた団結を作り出し、総資本への反撃を編み出すことが必要である。資本家たちが、社会的富を独占し、「海外移転」「投資立国」へと舵切りしていくことを許してはならない。それらの富は労働者・勤労民衆のものなのだ。 12春闘をすべての労働者の連帯春闘として闘おう。 ▼2節 3・11全国で反原発の総決起を 野田首相は、昨十二月十六日、事故収束を目指した工程表の「ステップ2」として、原子炉の「冷温停止状態」の達成を宣言した。十八日にはこれら完了を踏まえて、本年三月末をメドに避難区域の見直しを図る方針を示した。これは単なる推測・希望的観測でしかありえず、未だ放射性物質が東北・関東に拡散し続け、高汚染地域(ホットスポット)が出現している。食品の汚染拡大、下水の汚泥、ゴミの焼却灰、稲わら、腐葉土等の汚染が続き、瓦礫がコンクリートに混入されて新築物件に高放射能値が出るなど、「収束」には程遠い状態にある。 この「収束宣言」は「原発再稼働・原発輸出ありき」の全くのペテンである。高まる批判を受け、一月六日、細野原発事故担当相が原発四十年で原則廃炉の法改正案を提出したが、十日余りで、例外規定を設け二十年延長可能と馬脚をあらわした(一月十七日)。経済同友会の長谷川代表幹事は、「再稼働を求める助けになる」と絶賛している。十八日には、経産省原子力安全・保安院が、大飯原発の再稼働に向けて、ストレステストを妥当とする審査書を提出した。四月末には北海道電力泊原発三号機が運転を停止し、国内で稼働する原発はゼロとなる。そうなれば再稼働や原発輸出が危うくなる。この事態をめぐっての攻防局面にある。 このような中、橋下大阪市長、民主党前原政調会長、ソフトバンクの孫正義社長、オリックスの宮内会長らが、液化天然ガス(LNG)調達などの意見交換を開始している。これは反原発ではなく、オリックスには電力業界の規制緩和の思惑があり、LNG確保やホルムズ海峡経由の調達をめぐって日本の軍事力強化と結びついたエネルギー路線としてある。これらに幻想を持つべきではない。 今この攻防局面は、どのような社会を選ぶのかを要求するものである。制御不能の、処理技術も未確立の、必ず被曝・被曝労働を生み出す原発を拒否し、原発再稼動阻止、全ての原発の即時停止―廃炉、さらに原発輸出阻止を掲げ、大衆的反原発闘争を実現しよう。 深刻な原発事故を引き起こした経済産業省、東京電力、電機産業資本の責任を徹底して追及しよう。すべての放射能被害の補償を実現させよう。 福島をはじめとする住民、とりわけ、子どもたちに、被曝から避難する権利・保障を勝ち取ろう。 被曝労働から原発労働者を守る規制を強化させよう。下請け・孫受けの複雑な原発労働は、労働者の被曝管理が難しいだけでなく、違法派遣や暴力団の関与などの温床となっている。先日も大飯原発の改修工事で、暴力団工藤会の関係企業が偽装請負で摘発された。労働者の健康と命を食い物にする原発産業の請負を禁止し、厳格な管理の下に置かなければならない。 これらを掲げ、3・11、福島・郡山現地闘争、大阪中之島集会(三会場)、そして前後する全国各地での反原発集会に総力で決起しよう。 |
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