共産主義者同盟(統一委員会)


1373号(2011年6月5日) 政治主張






■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

■ENGLISH

■リンク

 

□ホームへ

     6・11反原発全国行動に決起しよう

  6月アジア共同行動の成功を

  現闘本部守り抜き第三誘導路建設阻止

  沖縄・辺野古、高江新基地建設阻止!




 3・11を画期として我々は今、歴史的な攻防の真っ只中にある。被災地における階級矛盾は拡大し、脱原発を求める膨大な人々の声と行動が広がっている。他方で財界は原発維持の巻き返しを開始し、さらに新自由主義的復興計画が画策されている。自衛隊の賞賛をはじめとする国家主義的な煽動と統合の動きも続いている。このなかで、政府・財界と対峙する労働者人民の自律的運動の社会的ヘゲモニーをいかにして拡大するのか。そしてこれまでの社会システムや生活様式そのものを問い返そうとする労働者人民の自然発生的な動きのなかで、資本主義を根本的に批判し、新しい社会の展望を共産主義者がいかに組織するのか。我々の任務を以下に提起する。


 ●第1章 全国で6・11反原発闘争に決起しよう!

 ▼①福島第一原発事故の現状

 福島第一原発は依然としてまったく収束に向かっていない。東京電力は五月十二日、一号機で燃料棒が完全に露出してとけ落ち、圧力容器に穴を開けて格納容器へと漏れ出して、いわゆる「メルトダウン(炉心溶融)」の状態になっていると発表した。その後、東電は二、三号機でも一号機と同じように「メルトダウン」している可能性があると発表した。しかも東京電力は暫定解析の結果として、三月十一日の地震発生直後から炉心溶融が始まり、翌朝には燃料の大半が溶け出し、圧力容器を破って格納容器へと達していたと発表した。官房長官枝野は三月十二日の一号機の爆発や十四日の三号機の爆発の際、記者会見で「原子炉容器の健全性は保たれており問題ない」と繰り返してきたが、その発表そのものが根拠のない「デマ」であり、「大本営発表」だったことがあらためて明らかとなった。許しがたいことだ。
 これまで最悪のシナリオとして、燃料棒が格納容器へと溶け出し二千八百度という高温状態で冷却水のなかに落ちれば、チェルノブイリ事故と同じように激烈な水蒸気爆発が発生し、格納容器を含む原発施設を完全に吹き飛ばし、半径数百キロにもわたって高濃度の放射能を拡散する可能性が指摘されていた。すでにメルトダウンの状態にあるとすれば、これまでのところ大規模な水蒸気爆発は発生せず、この事態は回避した可能性もある。だがそれでも、今後安定的な冷却に失敗すれば、燃料がさらに格納容器を溶かして地表へと溶け出し、土壌や地下水へと広がり広範囲に高濃度の汚染を拡大しつづける危険がある。東京電力は格納容器ごと水で満たす「冠水」による冷却計画を発表していたが、一号機ではすでに格納容器が破損して約三千トンもの汚染水が漏れ出しているのが発見されており、この計画はすでに失敗した。さらに一号機では、五月十四日のロボットによる測定で毎時二千ミリシーベルトという極めて高い放射線量が測定された。二千ミリシーベルトは、その場で嘔吐、出血、脱毛、さらに二時間もいれば50%の人間が死亡する急性放射線障害を引き起こすレベルである。人間が立ち入ることはできない。東電の発表からだけでも事態は依然として収束から程遠い。原子力は決して人間がコントロールすることができないことを我々はまざまざと見せつけられている。我々は今後も放射能汚染が継続されるなかでの生活を長期間にわたって強いられることになる。

 ▼②すべての原発を停止し、廃炉へ

 もはや原子力が人間によって制御できない危険なエネルギーであることを否定できるものはいない。すでに大量の被曝者、被曝地域が生み出され、多くの人々が生活を破壊され、故郷を追われている。誰がこんな状態を作り出したのか。この責任は誰にあるのか。そのことを鮮明にし、全人民的な反原発の声を全原発を廃炉にする力へと転化し、さらに政府・東電をはじめとする日帝独占資本の支配体制の打倒を目指す、階級闘争の新たな流れを創りだす必要がある。
 ヒロシマ・ナガサキでの被爆経験を起点とし、第五福竜丸事件から八〇年代の全世界的な反核運動の高揚へと、労働者人民の反核・反原発運動は戦後継続して続けられてきた。日本では大地震と津波の危険が高いということから、数々の反原発裁判でも危険性が繰り返し指摘されてきた。だがこうした声を弾圧し封殺して、政府が原発を増設し続けてきた背後には、核兵器の製造能力を保持せんとする政府のバックアップが存在していた。さらに電力市場を独占する電力会社、原発建設の利権に群がる大手電機メーカーやゼネコン、ポストと資金で組織された東京大学を中心とする学界、莫大な広告料で買収されたマスコミという、構造化された産官学の癒着体制、いわゆる「原子力村」が形成されていたのである。ここに「原子力は安全」「クリーンなエネルギー」というデマで人民を洗脳するイデオロギー装置が生み出された。いまその欺瞞は福島第一原発の悲惨な光景によって白日の下に晒されているが、それでもなお「原子力村」は健在だ。四月五日、自民党内の原発推進派議員は「原発を守るために」として「エネルギー政策合同会議」を発足させた。参与となった東電顧問(元副社長)の加納時男は五月五日付『朝日新聞』インタビューで「東電をつぶせと言う意見があるが、株主の資産が減ってしまう」とか「低線量の放射線は『むしろ健康にいい』と主張する研究者もいる」などと発言している。また日本経団連の会長米倉弘昌は菅政権の浜岡原発一時停止の要請に対し、「政府がこれほど無責任だと、企業内行動の倫理観にも影響する」とこれを批判した。これが奴らの本音だ。暴論を吐きながら責任を回避し、原発利権を維持しようとするこうした奴らを絶対に許すことはできない。
 産官学癒着体制を粉砕することは、労働者人民にとってまさに現在的な課題である。文部科学省は、福島県の学校などでの屋外活動を制限する放射線量を年間二十ミリシーベルトとすると発表した。だが二十ミリシーベルトは、十八歳未満の作業が禁止されている放射線管理区域の六倍にあたり、原発作業員が白血病を発症し労災認定を受けている線量である。さらに放射線の影響は年齢が小さいほど大きい。またこの二十ミリシーベルトは外部被曝の線量値であり、塵を吸い込むなどして放射線源を体内に取り込む内部被曝の影響は考慮されていない。政府・文部科学省は学校を中心とする地域の支配秩序を維持するために、子どもの命・安全を犠牲にしているのだ。こんなことを絶対に許してはならない。政府による安全基準のなし崩し的な放棄を糾弾し、産官学癒着体制による政策立案の体制を打ち砕き、労働者人民が子どもたちの命を守るための運動を創りだすことが喫緊の課題となっている。

 ▼③全国で反原発闘争に起とう

 全国各地で原発の停止、廃止を求める声が高まっている。さらに大量のエネルギー消費を前提とした現在の社会システムや生活様式を問いかえそうとする議論も広がっている。
 政府に守られた電力資本が事業を独占し、利潤獲得のために電力を過剰に生産し、販売のためにメディアを動員しながら消費欲求を駆り立ててきた構図は、他の商品生産と同様に帝国主義・独占資本の必然の帰結である。地球温暖化問題さえも「原発はクリーンなエネルギー」という議論へと捻じ曲げられてきたが、そこにも明らかに大量生産、大量消費社会を前提とした独占資本の収奪システムの貫徹が意図されていた。「原子力村」に象徴的に現れた日帝・独占資本の支配体制・権力構造を打倒し、これに代わる労働者人民による新しい社会を構想していくことなしには、真に環境と調和した生産と消費のシステムを展望することはできない。
 六月十一日、脱原発百万人アクションが呼びかけられている。菅政権は浜岡原発の停止を決定したが、これは二~三年後に防潮堤が完成するまでの一時的な措置である。また菅首相は浜岡原発以外の原発を停止する可能性がないことを明言している。さらに原発プラント輸出を推進してきた仙石副官房長官は「日本海側、瀬戸内にある原発はまず心配ない」「原発を堅持する」と主張しつづけている。財界と菅政権による原子力政策の見直し拒否を許さず、すべての原子炉の停止を実現するためには、全人民的な政治行動を断固として拡大させることが必要だ。脱原発百万人アクションを歴史的な闘いとしてすべての労働者人民とともに成功させよう。地域や職場、学園で広範な反原発運動を呼びかけよう!そしてその闘いの只中から、日帝・独占資本を打倒し、新しい社会を展望するポスト3・11の新しい民衆運動のうねりを創り出そうではないか!


 ●第2章 労働者階級人民の利害貫く、被災者支援を!

 東日本大震災の発生から三カ月が経過したが、被災地では瓦礫の撤去や仮設住宅の建設も難航し、被災者は先の見えない避難所生活を強いられている。その一方、菅政権が組織した「復興構想会議」(議長・五百旗頭真防衛大学校長)は五月十四日、第五回目の会合を開き「中間的整理案」をまとめ、政府に消費税、所得税、法人税、化石燃料への課税など臨時増税の検討を求めた。またこれに先立つ第三回目の会合では、日本経団連、経済同友会、日本商工会議所への聞き取りが行われた。経済同友会は提出した提言のなかで、東北地方の「復興」を通じて「国際競争力ある国内外に誇れる広域経済圏の創成をめざす」ことを主張し、産業活性化のために「規制緩和、特区制度、投資減税、各種企業誘致策などあらゆる手段を講じ、民の力を最大限に活かす」ことを要求している。さらに第一次産業について、「農地の大規模化、他地域の耕作放棄地を活用した集団移転、法人経営の推進、漁港の拠点化など大胆な構造改革を進め」「『強い産業』としての再生をめざす」とした。日本経団連も同様の提言を提出し、「政府における強力な指揮命令権をもった司令塔の確立」を求めるとともに、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加や成長戦略、社会保障改革といったこれまでの政策を維持するよう政府に求めた。
 日帝ブルジョワジーは破壊された東北地方で、資本が主導する新自由主義的な「復興」を実施することを要求しているのである。そこには小泉構造改革が競争原理を導入して、労働者人民の生活を破壊し、雇用を不安定化し、医療をはじめとする地域のセーフティネットを崩壊させ、極端な輸出依存構造を生み出し、格差と貧困を拡大させたことへの反省など微塵もない。このようなブルジョワジーの火事場泥棒的な「復興」を絶対に認めるわけにはいかない。
 一方で被災地においては様々な矛盾が拡大している。すでに多数の解雇や雇い止めが発生している。福島第一原発から三十キロメートル圏内だけで約五万七千人が失業し、被災地全体の失業者は百万人にも上ると言われている。雇用が確保されたとしても、住宅などの二重、三重のローン返済や、農地・牧草地、漁場の放射能汚染など、過酷な困難が強いられることになる。だが被災者には何の罪もない。問われるべきは防災対策と原子力政策における政府の責任である。人民の安全よりも、資本の生き残りと軍事力の増強をこととしてきた歴代政権こそが責任を取らねばならない。そして思いやり予算をはじめとする軍事予算の撤廃、法人税の増税による被災地人民への生活保障がいまこそ必要だ。被災地人民のあらゆる生活要求を支持し、解雇撤回をはじめとする被災地労働者の闘いを全力で支援しよう。政府・財界が画策する新自由主義的復興計画を粉砕し、被災地人民を主体とした生活再建・地域再建を支援しよう。
 大阪釜ヶ崎では、「宮城県で運転手として働く」という求人に応じた労働者が、騙されて福島第一原発内で防護服を着て給水作業をさせられるという重大な事件が発生した。数日間もの間、線量計すら渡されないまま、危険な作業を強制されていたのだ。原発には被曝労働が必ず伴う。それを担わされてきたのは歴史的に最下層の日雇労働者であった。今回発覚した事件以外にも、同様の詐欺的行為が行われている可能性がある。絶対に許すことはできない。
 震災と原発事故の惨状は、労働者人民に過酷な犠牲を強いると同時に社会的、階級的な矛盾を露にし、事実を持って政府と東電にその政策の責任を厳しく問うている。だが、それを打ち消すかのように国家と政府の責任を曖昧化する国家主義的な復興イデオロギーがばら撒かれている。その最悪のものこそ、天皇によるメッセージ発表と被災地訪問だ。震災発生五日後の三月十六日、天皇は異例のビデオメッセージを発表した。右翼勢力はその内容を捉えて、「自衛隊への激励」として宣伝している。さらに五月中旬までに東北三県で避難所などを訪問し、大手メディアも「その映像に心を動かされた人も多いと思う」(朝日新聞)などとこぞって賞賛報道を垂れ流している。国家主義煽動によって国家責任を曖昧にし、被災地人民に「自己責任」を押し付ける「復興イデオロギー」を粉砕しなければならない。
 我々は被災地人民の生活要求と政府に対する批判を断固として支持し、政府・独占資本の責任を追及する全人民的な運動を組織する必要がある。階級闘争の前進で右翼・国家主義者の煽動を粉砕しよう。


 ●第3章 6月アジア共同行動を成功させよう!

 3・11を画期として我々は今、歴史的な攻防の真っ只中にある。被災地における階級矛盾の拡大、脱原発を求める膨大な人々の声と行動、他方での財界による巻き返しと新自由主義的復興計画の画策、自衛隊の賞賛をはじめとする国家主義的な煽動と統合の動き。この事態のなかで、政府・財界と対峙する労働者人民の自律的運動の社会的ヘゲモニーをいかにして拡大させていくのかが先進的活動家の共通の課題となっている。我々共産主義者は、その課題の実現のためにともに奮闘すると同時に、そのヘゲモニーの政治内容をめぐって、徹底した資本主義批判と日帝国家権力批判、被抑圧人民への連帯、さらに資本主義社会に代わる共産主義の実現に向けた闘いを提起し組織しなければならない。これまでの我々の闘いの総力を結集して、この過程を全力で闘い抜こう。
 第一に、6・11脱原発百万人アクションを全国で取り組もう。原発に対する危機感、政府に対する不信感と怒りはかつてなく高まっている。地域、職場、学園で大胆に行動を提起し、日本階級闘争の歴史を画すような全人民的闘いを実現し、菅政権・財界を震撼させようではないか。
 第二に、六月アジア共同行動各地集会の成功のために奮闘しよう。六月アジア共同行動は、反原発を掲げると同時に、韓国からゲストを招請し、これからの闘いを創意工夫をもって組織し、また同時に国際主義の質を持ったものとして創りだすための議論の場となる。また普天間基地の嘉手納統合案が取りざたされるなか、日米両政府は近く外務、防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)を開催しようとしている。当然のことだが、嘉手納統合は嘉手納基地の強化にほかならず、地元沖縄には強い批判が存在している。普天間基地は即時閉鎖、すべての基地の撤去以外に進む道はない。沖縄や岩国では、米軍施設を返還(建設中止)させて被災者を受け入れよ、という声が高まっている。震災下の日米合同作戦を利用した日米同盟強化を許さず、沖縄・岩国・被災地をつないで反戦・反基地の闘いを前進させよう。
 また五月九日付『毎日新聞』は、日米政府がモンゴルに核廃棄物の処分場を建設するための極秘計画を進めていると報じた。日比経済連携協定で日本からフィリピンへの医療廃棄物が問題となったように、植民地従属国に矛盾を押し付けながら原発と核兵器製造能力を維持しようとする策動を、アジア人民と連帯して絶対に粉砕しなければならない。六月アジア共同行動をそのような闘いとして成功させよう。
 第三に、震災状況下の今こそ、労働運動の一大前進を実現しよう。被災地で階級矛盾が激化するなかで、今こそ労働者階級の闘いが求められている。解雇や失業の問題だけでなく、生活再建、地域再建といった被災地人民が抱える課題全体を共有し、労働運動が社会的な勢力として再生するためには、労働組合の活動を軸としながら、市民運動やNGO、学生や被差別大衆の運動など、様々な社会運動がこれに連帯し、労働者階級の社会的ヘゲモニーを構成する必要があるだろう。これまでの闘いの総力を結集して、この歴史的な六月の過程を全力で闘い抜こう!



 

当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006-2007, Japan Communist League, All Rights Reserved.