共産主義者同盟(統一委員会)
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『戦旗』第1361号(2010年11月20日) 12月岩国現地に結集を 米軍・自衛隊の釣魚台軍事演習許すな 沖縄知事選伊波洋一候補必勝を 十二月四日、五日岩国において2010岩国行動が取り組まれる。四日には岩国労働者反戦交流会実行委員会主催で、労働者反戦交流集会が、五日にはアジア共同行動日本連主催で国際集会が取り組まれる。両日の行動を全力で取り組み成功させていこう。国際集会が開催される。この集会を全力で支え、おおくの仲間を誘い、総力で結集しよう。労働者階級人民の国際共同闘争として岩国闘争を闘おう。 日―米両政府が辺野古への新基地建設を推し進めようとする中、十一月二十四日、沖縄知事選が行われる。普天間基地の即時無条件撤去を掲げる伊波洋一候補を支援しよう。 日帝の領土拡張主義を粉砕しよう。そしてこれと呼応する民族排外主義勢力を社会的に包囲解体していく闘いに取り組もう。 ●第一章 12月岩国国際集会に全国から総結集しよう またもや岩国基地所属の米軍関係者による事件が引き起こされた。 九月七日午前七時十一分、岩国市愛宕山地域の牛野谷三丁目で、恩田美雄さんが米軍属の女性が運転する乗用車に轢(ひ)かれ、病院に運ばれたが、午前九時三十五分に亡くなった。岩国署は同日午前七時三十五分に被疑者を現行犯逮捕した。にもかかわらず、加害者が「素直に話している」という理由で、五時間後には身柄を釈放している。現場を見た人の証言では、被疑者は事件当時、被害者の救助に当たることなく、車中にて泣きながらいずこかへ電話をしており、通りがかった車が、加害者が逃げ出さないように進路を抑えたうえで警察に連絡したという。 十月八日、山口地検岩国支部は、加害者を不起訴処分とした。地検は処分理由について「一切コメントしない」と発表した。この説明を不服として、遺族が代理人同席で岩国支部に説明を求めたところ、①米軍が被疑者は事故当時通勤途中であったことを理由に公務中と通知してきたため第一次裁判権はアメリカ側にあることが理由であること、②そのことを公表しなかったのは上級庁からの指示であると説明したという。さらには、第一次裁判権がないことを理由に、山口地方検察庁岩国支部はほとんど捜査をなしていないことが明らかとなった。被疑者は、恩田さんに気づき、クラクションを鳴らしたとしているが、現場検証ではブレーキ痕が発見されなかった。事故回避のために適切な行動がとられたのかという点でも、大いに追及の余地がある。被害者遺族は今回の不起訴処分が不当であるとして、十月二十九日、岩国検察審査会に審査申し立てを行っている。 恩田さんは地元自治会長を務め、愛宕山を守る会の会員でもあった。愛宕山への米軍住宅建設が住民の生活を脅かすものになると立ち上がったその人が米軍軍属に殺された。しかもその後の捜査も日米地位協定によって阻まれてしまった。その無念は計り知れない。 事故の翌日には、「米軍犯罪を許さない岩国市民の会」「住民投票の成果を活かす市民の会」が連名で抗議・要請書を提出している。 事件の起きた七日には、岩国市議会全員協議会に、防衛副大臣榛葉賀津也と防衛省の官僚たちが愛宕山に米軍住宅を建設する計画を説明するために岩国市に来ていた。榛葉副大臣はこの事件について「遺憾である」「お詫びしたい」などと発言し、全員協議会の後、被害者宅を訪問している。また、米軍司令官が謝罪のコメントを発表した。 榛葉は事件に対して「再犯防止を徹底する」ともコメントしているが、これが「今まで通り、何もしない」という意味であることは、先に挙げた山口地検岩国支部の不起訴決定理由にはっきりと表れている。〇七年に起こされた海兵隊員による広島女性レイプ事件と同じように、真相究明と加害者の処罰とが、日米地位協定と米軍犯罪に関する日米密約によって阻まれようとしている。我々は恩田美雄さん轢殺に抗議し、米軍基地と米軍犯罪、地位協定を許さず闘うことを改めて宣言する。 防衛省が九月七日に説明した案によると、米軍住宅約千六十戸の内、愛宕山には幹部クラス用の約二百七十戸を建設、あわせて米兵のレクリエーション施設としてスポーツ施設、文化施設を建設するという。レクリエーション施設は、日中は市民に開放するとしている。この内容は容認派の要望をほぼ受け入れたものと説明されている。 一見、岩国市民に譲歩したように見えるが、住宅地に治外法権の米軍基地が入り込んでくることに変わりはない。愛宕山に米軍住宅が建設された場合、必然的に交通事故の可能性が高まる。恩田さんが殺された事故も、基地外に住んでいる軍属によって引き起こされたものであった。米軍のレクリエーション施設として、野球場など運動施設エリアが作られるとされているが、米兵が仕事帰りにやってくるということであるから、同様の事故が発生する可能性は必然高くなるのである。 九月二十五日から二十七日にかけて行われた住民説明会でも、市民から強い抗議の声が上がっている。 岩国全体協議会で防衛省の米軍住宅と運動施設建設案が明らかにされたことに前後して、愛宕山を巡る状況が動き始めている。九月七日の全員協議会では、推進派の市民団体や利権目当ての業界団体などが集団で傍聴行動に登場してきた。 全員協議会における米軍住宅容認派の発言には、「基地に協力しているのだから交付金を増額しろ」「工事は地元企業に受注させろ」「野球場は公式戦が出来るものにしろ」といった、目先の利益を追い求める意見が相次いだ。〇六年住民投票によって示された空母艦載機部隊の移転反対の意思や、米軍住宅反対の闘いを軽んじた、実に低い見識と言わなければならない。 しかしながら、「愛宕山を守る会」を始めとする反対運動はひるむことなく、米軍再編との闘いを続けている。八月二十一日より始まった、愛宕山跡地を見守る座り込みが毎月一、十一、二十一日に取り組まれている。この座り込みには住民の他、近隣からの支援者が参加するほか、全国から支援の檄布などが寄せられ、住民にとって、全国の支援者の存在を知らせるとともに、住民たちが愛宕山を巡る動きについて、情報を交換し、次の取り組みについて話し合う場にもなっている。「愛宕山を守る会」では、団地に立てている「米軍住宅反対」ののぼりを新たに作り直し、色あせたものと交換することを決め、闘い続ける意志を明らかにしている。岩国の闘いの盛り上がりには、神奈川(厚木基地)や沖縄の反基地との闘いとの連帯が強く働いている。全国の反基地闘争と繋がる岩国の闘いを全力で支援しよう。 岩国基地四訴訟の一つ、テーブルの裁判こと「愛宕山開発等に係る市長協議会報告書非開示決定取消請求訴訟」(行政訴訟)が終わった。この訴訟は、〇八年四月七日の段階で、国から岩国市と山口県に対して岩国基地の軍民共用化(民間空港再開)と引き換えに愛宕山に米軍住宅を受け入れるように打診が行われたことが、同八月十七日の新聞報道で明らかとなった。この報道を受け、岡田久男さんが情報公開条例に基づき、情報開示請求を起こしたところ、市はこれを非開示とした。岡田さんが異議を申し立てたところ、市は情報審査会に諮問、情報審査会が一部開示の答申を出したことに対して、市側は答申を無視して全面非開示を決定したため、岡田さんが全面非開示決定の取り消しを求めて〇九年九月二日に提訴したものである。判決は、岩国市が主張していた「原告はすでに内部文書を入手しており、それとの照合目的での全文開示請求は権利の濫用」との主張は退けたものの、原告が求めていた全文開示については、岩国市情報審査会が出した一部開示の答申が妥当だ、として、審査会が答申した一部分のみの開示を命じたのだ。 この判決がまず不当であるということを弾劾しておかなければならない。本来、原告が全文開示を求めているのであるから、裁判所の方から、市側に文書の提示を求め、内容を審査したうえで、市の審議会が答申した「一部開示」の判断が妥当なものであるかどうかを判断しなければならない。にもかかわらず、裁判所は審議会の判断に依拠して、「一部開示が妥当」との判決を下したということだ。 以上見たように、判決内容は不満の残るものであった。しかし、原告である岡田さんは控訴せず、十月二十一日に判決が確定した。岡田さんは控訴を取りやめた理由について、「判決に疑問は残るが、愛宕山跡地の防衛省への売却が迫っている。一部開示された部分を読めば、民間空港再開と交換に、市が米軍家族住宅建設を認めているのは明らかだ」(『毎日新聞』山口版十月二十二日)と語っている。判決は確定させたうえで、米軍住宅建設阻止の闘いに集中していくとしているのだ。この姿勢を断固支持し、残る三つの訴訟(海の裁判、山の裁判、空の裁判)に勝利すべくさらなる支援をしよう。 愛宕山開発計画跡地の売却を巡っては、テーブルの裁判の出発点であり、そのコピーが既に流出している「岩国市内部文書」に記されているシナリオに沿って事態が進行している。 十月二十四日に行われた岩国市議会選の結果、米軍住宅反対派が十一名、容認派が二十一名になったと報道されている。改選前の勢力図が維持された形だ。政府は今年度中に愛宕山開発計画跡地を買い取りたいとしており、今年中に大きな動きがあると予想される。 愛宕山開発地域跡地の国への売却を巡っての岩国市と山口県とのスタンスを確認しておこう。福田岩国市長や市議会主流派の言い分では、艦載機の移駐受け入れと、愛宕山の売却問題は別問題ということになっている。県の立場は、艦載機の移駐と米軍住宅の建設とは米軍再編の一環であり、米軍再編はパッケージなのであるから、普天間が決着しない限り艦載機移駐と米軍住宅の受け入れはあり得ない、という立場であった。ところが八月三十日、山口県知事二井は、定例会見の中で、愛宕山地域開発跡地に関して「地元の合意があればアメリカ軍住宅であっても容認する」と発言し、その姿勢を転換したのである。要するに、岩国市(市長やら市議会)が泥をかぶってくれるなら米軍住宅に関しては許可してもよいと言っているのである。裏を返せば、〇六年住民投票の民意を市や県も恐れているということだ。十一月二日、岩国市長と県知事とが会談を行い、今後、見解を統一していくことを確認している。愛宕山跡地売却に向かう動きを断固阻止していこう。 公共工事が軒並み減っている現状にあって、今や基地関連工事が堅い利権となっている。こうした構造は、ここ数年の沖縄―名護市の状況に似る。 辺野古の闘いでは、九七年の住民投票の後、反動の時期があった。岩国においても艦載機移駐反対の住民投票の後、井原前市長時代に政府から補助金カットなどの露骨な攻撃がかけられてきた。岩国の住民は政府による基地押しつけと闘っているということを今一度確認しておこう。 岩国基地沖合拡張に関して、これまでに二千四百億円が投入された。米軍住宅建設と米軍再編に伴う施設整備などで、今後岩国基地にはさらに二千四百億円が投入されようとしている。まさに全国で労働者が貧困に追いやられている中にあって、岩国基地に限ってみてもこれだけの金が投入されようとしているのだ。このこと自体の反人民的な性格を見ておかなければならない。 さらに、岩国の基地機能が強化されようとしている点も指摘しなければならない。 一例を挙げるに留めるが、今年九月に公表された米軍の「海兵航空計画」によると、SACO合意に基づき、岩国基地にC130空中給油機十五機を二〇一三年四月までに普天間基地から移転・配備する計画が明記された。当初は十二機とされていたものが十五機に増やされている。しかも、C130空中給油機にはミサイル発射装置、機銃が取り付けられ、攻撃能力が付与される。 さらには、二〇一四年からFA18戦闘機に代わって、次世代ステルス戦闘機であるF35にローテーション配備し、一六年の十月には十六機体制でF35を配備する計画なのである。 また、騒音被害の軽減を口実に行われた沖合拡張に伴い、基地の港湾施設は、水深十三メートル、広大なブースと新鋭設備を備え、大型艦船が複数接岸できるようになった。米軍の輸送拠点としても使用可能になったということだ。 以上見たように、岩国基地は格段に機能を強化しようとしている。そもそも、愛宕山に米軍住宅と娯楽施設を建設するという案自体が、機能強化で基地が手狭になってしまうからに他ならない。徹頭徹尾米軍の都合であり、「住民の要望を尊重」したわけではない。 普天間の移設に展望が見いだせない中で、米帝=米軍は、日本政府に対して「米軍再編はパッケージで一部変更は認めない」などと恫喝をかける一方で、再編計画の中身をいじくり回している。「弱腰外交」という批判は米帝との関係については的を射ているようだ。 こうした状況下で、全国の労働者が岩国の闘いの支援に立ち上がることは重要である。戦争と軍事が労働者の生活と権利を破壊するものであること、軍事に加担するのではなく、社会を変えることによって、労働者の利益を勝ち取っていかなければならないことを明らかにしていかなければならないからである。 改めて呼び掛ける。十二月岩国行動に全力で決起しよう。岩国の闘いを支えぬき、「本土」における反基地―反安保の闘いを強化していこう。 ●第二章 釣魚台の略奪を許すな!沖縄自衛隊の強化粉砕! 沖縄、神奈川をはじめとする反基地闘争との結合をさらに強めて、岩国への総結集をかちとろう。 一月の名護市長選の勝利と九月名護市議選の勝利は、辺野古新基地建設反対という名護市民の意思を鮮明にした。 普天間基地の「県内移設」に反対であるという沖縄人民の意思は、名護市の二つの選挙において、また、四月の県民大会において強く示されている。 十一月二十四日の沖縄知事選は、菅民主党政権の辺野古新基地建設強行方針を打ち破る沖縄人民の闘いである。明確に「県内移設」反対を表明している伊波洋一さんを全国から支援し、勝利をつかみ取ろう。沖縄―「本土」を貫いて知事選を闘うことこそ、全ての米軍基地撤去、日米安保粉砕を切り拓いていくことになるのだ。 全国の反基地闘争は結合して、沖縄知事選―伊波洋一さんを支援しよう。 民主党は沖縄知事選において独自候補擁立を断念した。 民主党は沖縄を支持基盤として放棄し、基地を押し付けることに特化してきていると言える。 沖縄で反基地の大きなうねりが生まれている中にあって、菅政権は釣魚台を巡って、中国との間での緊張を強めてきている。九月七日、巡視船「みずき」の右舷に漁船を衝突させ、中国漁船の船長らを逮捕した。その後、船長以外の船員は十三日に釈放したものの、十九日には船長の拘置延長を決定した。最終的には九月二十四日に那覇地検が処分保留で船長を釈放したことになっているが、一度火を付けた緊張関係は未だに収まってはいない。菅政権は釣魚台を「日本固有の領土」と主張し、中国との緊張を高めてきた。日帝の領土略奪―領土拡張主義こそ、民族排外主義を煽動している。断固弾劾する。 クリントン米国務長官は九月二十三日、「尖閣諸島に日米安保が適用される」と明言した。米帝は、米軍の「抑止力」を強調し、もし日中での軍事衝突が始まったとしても米軍が「守って」くれるのではないか、という世論を日本国内で喚起しようとしている。しかし、日米両政府は〇五年の日米安全保障協議委員会で「島嶼部への侵略は日本が防衛する」と決めている。必ず米軍が動くという訳ではない。日帝の領土拡張主義に便乗し、米帝は日米安保の意義を強調して、日帝に「思いやり予算」の維持を要求している。一方、先の〇五年協議委員会の決定を受けて、島嶼部の防衛力を強化するために日帝も沖縄への自衛隊配備を強化しようとしている。 以上見たように、菅政権は、中国との緊張関係を高めることで自衛隊、米軍の一体化強化、沖縄の軍事基地の「必要性」を煽り立てようというのだ。軍事的緊張を作り出すことで、沖縄に日米安保を位置づけようとする攻撃である。沖縄知事選に向け普天間基地即時無条件撤去―名護新基地建設阻止の島ぐるみの闘いが高揚するのに対して、全面的に敵対する攻撃である。 この策謀を絶対に粉砕しよう。十一月沖縄知事選勝利に向け奮闘しよう。 九州―沖縄での日米合同軍事演習阻止に立ち上がろう。 ●第三章 労働者階級人民の国際共同闘争として闘おう ソウルG20粉砕―横浜APEC粉砕の国際共同闘争と連動し、プロレタリア国際主義を貫く闘いとして、アジア太平洋地域人民とともに岩国闘争を取り組んでいこう。特に韓国反基地闘争との結合が重要だ。米軍再編の下、基地の拡張、アパッチ部隊の移駐が目論まれている韓国・群山基地に反対する人たちが岩国での闘いに注目を寄せている。米軍の世界的再編と米・日・韓三国による朝鮮民主主義人民共和国への包囲、さらに中国への対抗という、支配階層の利害のための戦争政策の犠牲になっているのは、韓国の民衆も同じである。さらにその先には、米・日・韓の軍事力に脅かされる多くの人々がいる。「アジアから米軍総撤収」を掲げて闘おう。 労働者―労働組合が主体となって岩国闘争を組み上げてきた地平をさらに拡大・強化していこう。 排外主義との対決を重要な課題として掲げ、被差別大衆が総結集する闘いを創りだしていこう。 「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する闘いが大規模に取り組まれている。外に「危機」を作り出し、国内において差別排外主義を煽るのは帝国主義の常套手段である。我々はマスメディアやネットメディアを通じて行われる排外主義煽動に断固抗議し、この動きを潰していかなくてはならない。在特会をはじめとする排外主義襲撃集団を社会的に包囲し解体する闘いを推し進めていこう。 |
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