共産主義者同盟(統一委員会)
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『戦旗』第1342号(2010年1月20日) 排外主義粉砕、右翼ファシスト―在特会解体! 恐慌下、階級的労働運動の前進をかちとろう ■(第二新年号)第4章 09年の闘いの前進を確認し、2010年階級闘争を闘いぬこう ●第1節 2009年の総括 共産主義者同盟(統一委員会)は、〇九年を貫いて、全国で人民のたたかいの先頭にたってたたかってきた。〇九年のたたかいの総括は以下の通りである。 (1)第一に、自公政権を打倒し、労働者階級人民のたたかいの新たな段階を作り出してきたことである。 新自由主義政策を推し進めてきた自公政権は、階級対立の拡大と階級闘争の激化を新たに生み出してきた。労働者階級人民の生活は破壊され、広範な働く貧困層を構造的に生み出してきた。自公政権に対する労働者階級人民の怒りは増大し、自公は衆議院選挙で大敗し、野党へと転落した。自公政権を打倒したのは、広範な労働者階級人民の怒りであった。一方、民主党は、こうした労働者階級人民の怒りの一部を糾合するかたちで、鳩山連立政権を発足させた。鳩山連立政権は、全世界における新自由主義グローバリゼーションの帰結としての世界恐慌の勃発と、これと連動した新たな長期不況への突入という事態のなかで、東アジア共同体構想をはじめブルジョアジーの新たな延命方向を模索している。同時に、この政権は、自公政権に対する人民の批判を、一定程度代弁しようとすることで政権を獲得したが故に、生活破壊に反対する人民の要求とたたかいのまえに、いかにこれをごまかして懐柔していくのかに汲々としている。こうした鳩山連立政権に対し、労働者階級人民は、引き続き、反戦反基地・反貧困闘争を容赦なくたたきつけてきた。すでに、後期高齢者医療制度、障害者自立支援法、こうした悪法の廃止へと追い込み、製造業派遣の禁止、登録型派遣の禁止などを内容とする労働者派遣事業法の見直しも進もうとしている。こうしたすべてが、自公政権を打倒し、いま、民主連立政権を規定している労働者階級人民の反政府闘争の成果である。〇九年を貫いて、労働戦線を中心に、反政府・反貧困闘争が各地で広範に取り組まれた。こうしたたたかいをさらに前進させ、二〇一〇年を労働者階級人民の新たな大攻勢の年としなければならない。 (2)第二に、全国で、反戦・反基地闘争を前進させ、日米安保と対決するたたかいを大きく前進させたことである。 〇九年は、反基地闘争においても新たな局面を切り拓いた年となった。自公政権によって推進されてきた米軍再編―日米軍事同盟(日米安保)の新たな再編強化は、沖縄、岩国、神奈川を先頭とする各地の住民と、これと結合した全国の労働者階級人民のたたかいによって大きく揺らいできた。そして、このたたかいが、鳩山連立政権をも規定してきた。すなわち、各地の反基地闘争とこれと結合した労働者階級人民のたたかいが、反基地闘争をめぐる新たな局面を作り出してきたのである。 その中心は、沖縄である。辺野古新基地建設を許さない沖縄のたたかいは、日米安保の再編成を進める日米両政府に真正面から立ちはだかってきた。そして、沖縄のたたかいと結合し、「本土」各地で、辺野古新基地建設を許さないたたかいが〇九年、一貫して取り組まれた。 また、岩国基地に対しても、岩国住民のたたかいとこれに連帯したたたかいが全国で取り組まれた。特に、アジア共同行動日本連絡会議や岩国労働者反戦交流集会実行委のたたかいは、岩国市民を支えるたたかいとして〇九年を通して一貫して取り組まれ、十一月二十八日―二十九日には、韓国の反基地闘争活動家も参加した国際集会がアジア共同行動日本連絡会議の主催で開催された。それは、岩国と、沖縄、神奈川との結合に貢献した。さらに、岩国と韓国の反基地闘争を軸としたアジア太平洋諸国地域の反米軍(基地)闘争との連帯を推し進めた。岩国米軍基地問題を、東アジア共通の闘争課題へと押し上げてきた。また、岩国基地反対闘争を推進する労働者反戦交流集会実行委のたたかいは、労働者の反戦・反基地闘争を広範に再建するたたかいとして大きな前進を遂げた。それは、岩国住民のたたかいを支持する全国の労働者階級の結集水路となりつつある。 神奈川でも、九月原子力空母ジョージ・ワシントンの横須賀母港化一カ年には再度、全国からの結集でたたかいが組織された。米軍再編に反対する神奈川の反基地闘争も〇九年を貫いて取り組まれた。 われわれは、沖縄、岩国、神奈川を貫いて、〇九年、反基地闘争、日米安保に反対するたたかいを全国で推進した。二〇一〇年、引き続き、反基地闘争の大攻勢、大前進を実現しなければならない。 (3)第三に、プロレタリア国際主義に基づく反帝国際共同闘争を前進させ、国際的な反帝統一戦線の新たな段階を切開いてきたことである。 〇九年九月、アジア共同行動日本連絡会議は、AWC(米日両帝国主義のアジア侵略・支配に反対し、アジア人民の連帯を推進するアジアキャンペーン)第三回国際総会を京都で開催した。国際総会には、米国、韓国、台湾、フィリピン、インドネシアの反帝勢力とASA(アジア青年学生協会)、ILPS(国際民衆闘争同盟)のふたつの国際組織の代表が結集した。この総会は、世界恐慌のもとでのアジア太平洋地域における共同の反帝闘争と各国地域の労働者階級の相互連帯の課題を新たに明確にするものであった。また、新たな組織体制(人事)と規約を討議採択した。総会では、沖縄、岩国、神奈川の反基地闘争を支持し、アジアから米軍を総撤収させる決議を採択した。また、横浜APECに反対し、これを国際的な反帝共同闘争でたたかう決議を採択した。AWCは、アジア太平洋地域における反帝闘争の国際統一戦線組織として新たな前進を切り拓いた。帝国主義グローバリゼーションに対決する国際的な共同闘争が、ますます要求される一時代が本格化している。AWCは、これに応える国際組織としてその新たな段階を切り拓いた。 〇九年、アジア共同行動日本連絡会議は、三月総会の開催、五月沖縄闘争、六月アジア共同行動、夏期反戦合宿、九月国際総会、十一月韓国労働者大会への結集、十一月岩国国際集会の開催など、さまざまなたたかいを推進した。また、九月国際総会に連動して、「資本主義にかわる新たな社会を展望する」フォーラムを開催し、社会主義をめぐる大衆的で国際的な討議を組織した。国際的な反グローバリゼーション闘争は、労働者階級自身の新たな社会建設の展望を模索する地平をすでに獲得している。こうしたAWCのたたかいを支持し、その発展のために全国で奮闘した。 (4)第四に、〇九年を通して、諸戦線でのたたかいを大きく前進させてきたことである。われわれは、〇九年を通して、アジア共同行動を全面的に支持し、大衆的決起を促進するとともに、同時に、政治共闘を軸に反帝派の反戦闘争を断固として推進した。首都圏における反戦闘争実、関西における反戦実による、反戦闘争と天皇即位二十年祝賀反対闘争をはじめとした街頭闘争を果敢に推進した。また、主に関西において、在特会などの排外主義勢力による在日韓国・朝鮮人に対する襲撃に断固として対峙しぬき、こうした統一戦線の発展に奮闘してきた。さらに反帝闘争拠点としての三里塚闘争を、現闘、行動隊を先頭に反対同盟と連帯してたたかい抜いた。また、〇九年、入管闘争、女性解放闘争、部落解放運動、障害者解放闘争、被爆者解放闘争、反弾圧闘争、こうしたすべての戦線で奮闘し、たたかいを前進させた。 ●第2節 2010年の方針 二〇一〇年、労働者・学生は、全国で、反戦反グローバリゼーション・反基地・反貧困・国際連帯のたたかいを推し進め、労働者階級の反戦反政府闘争を総力で前進させていかねばならない。 鳩山連立政権は、自公政権に対する労働者階級人民の怒りの一部を糾合することで出発した政権である。自公政権のもとで進められた新自由主義政策による、社会保障制度の解体と市場化、雇用をめぐる規制緩和などによって、貧富の格差を拡大し階級矛盾を劇的に激化させた。三人に一人は非正規雇用となり、広範なワーキングプアが構造的に生み出され、労働者階級の生活と権利はことごとく破壊されてきた。こうしたことに対する自公政権への人民の怒りが鳩山連立政権の誕生へと結果した。鳩山連立政権は、それ故に、人民の要求を完全には無視できない。そうすれば、自公政権と同様の運命が待つだけだからである。だが、鳩山連立政権の本質は、いきづまった日本ブルジョアジーの新たな延命方向を模索しつつ、人民支配の新たな強化を狙う、あくまでブルジョアジーの階級的利益を代弁する政権にほかならない。 鳩山連立政権のもとで、労働者階級人民は、新たにたたかいを強化しなければならない。人民の生活と権利を防衛するたたかいを全面的に強め、大攻勢を強めねばならない。政府に対する反戦闘争、反基地闘争、反貧困闘争、これらをより強化し、鳩山連立政権を追いつめていかねばならない。労働者階級人民の状態は、たたかいぬきには何一つ変らず、そればかりかより悪化していく一方である。徹底して人民闘争の政治的な大攻勢を組織しなければならない。反戦・反基地・反貧困を掲げた、労働者階級の反政府闘争、労働者階級の政治闘争を一切の要において、その前進を推し進めなければならない。 一方、階級矛盾の激化とともに、外国人排斥を叫ぶ排外主義勢力の動きも活発になってきた。「在日外国人の特権を許さない市民の会」(在特会)や「主権回復を目指す会」などの活動が、特に関西などで顕著であり、非常に活発化している。この連中は「行動する保守」を標榜し、特に在日韓国・朝鮮人に対する徹底した憎悪と襲撃をエスカレートさせている。こうした排外主義勢力と断固としてたたかい、大衆的に包囲し解体しぬくたたかいを強めねばならない。 二〇一〇年は、日米安保五十年である。米軍再編をめぐる攻防、辺野古新基地建設を阻止し、米軍再編を粉砕していく実践的たたかいによって、安保五十年にあたっての実践的解答をたたきつけねばならない。また、本年は同時に、韓国併合百年にあたる。一切の反動的キャンペーンを粉砕してたたかおう。民主党政権の東アジア共同体構想に連動して、天皇訪韓策動も強まっている。〇九年反天皇闘争の地平を継続し、こうした策動を許さずたたかわねばならない。 (1)以上を踏まえ、二〇一〇年、まず第一に、全国で反戦・反基地闘争を反安保闘争として総力で推進することである。 鳩山連立政権は、基地問題で、米軍再編合意の実施を迫る米政府と、辺野古新基地建設を許さない沖縄人民の間で立ちすくんできた。だが、それは、鳩山連立政権が、本当に民衆の利益を代弁する政権だからではない。鳩山連立政権は、基地をおしつけられる沖縄人民の怒りを何とか懐柔し、日米安保の根幹をより盤石なものへとしていこうと狙っているのである。沖縄や岩国など米軍再編によって新たな基地建設や基地の大強化をおしつけられる住民のたたかいが、自公政権を打倒し、そして、鳩山連立政権を規定してきたのである。鳩山連立政権は、こうした民衆の声に完全に敵対しては政権そのものの維持さえおぼつかない。 だからこそ、全国の反基地闘争にとって、二〇一〇年は大攻勢の年である。米軍再編を破綻させ、辺野古新基地建設をはじめ全国の基地強化を粉砕する全人民政治闘争を組織しなければならない。その天王山に沖縄のたたかいが位置している。一月名護市長選、今秋の沖縄知事選は、決定的位置をもつ。辺野古新基地建設を許さず、名護市長選、沖縄知事選に勝利しよう。沖縄人民に連帯し、辺野古新基地建設を粉砕しよう。米軍再編を阻止し、日米安保に反対する全人民政治闘争を爆発させよう。 岩国においても、米軍再編―基地大強化に反対するたたかいをさらに爆発させよう。岩国市民は、爆音訴訟、愛宕山訴訟、公有水面埋め立て処分取り消し訴訟、愛宕山協議文書非開示取り消し訴訟の、四つの岩国基地訴訟を開始した。岩国基地訴訟を全国から支援し、沖縄と並び岩国基地強化反対闘争を全人民政治闘争へと押し上げよう。アジア共同行動日本連絡会議は、毎年、岩国で岩国市民を支援する国際集会を開催してきた。また、労働者反戦交流集会実行委は、労働者階級の反戦反基地闘争の大衆的な再建を目指してたたかってきた。岩国基地強化反対闘争を、労働者階級の反戦反基地闘争としてさらに前進させねばならない。岩国市民と連帯した岩国連帯運動の恒常的な統一戦線を前進させよう。二〇一〇年、こうしたたたかいをさらに発展させねばならない。 神奈川においても、米軍再編―基地強化に反対するたたかいのより一層の前進を実現していこう。沖縄、岩国、神奈川を結合した反基地闘争を全人民政治闘争として組織し、反基地闘争の大攻勢の年としなければならない。日米安保五十年に際し、全国で反基地反安保闘争の爆発をたたきつけよう 。 (2)第二に、十一月横浜APECに対する反帝国際共同闘争を爆発させることである。 本年、APEC(アジア太平洋経済協力会議)の日本開催が計画されている。このAPECは、新自由主義グローバリゼーションの帰結として生起した世界恐慌と米帝の歴史的没落傾向が明白となり、かつ、日帝も長期不況から脱却しえないという状況のなかで、アジア太平洋地域における新たな帝国主義支配秩序の形成をめざす帝国主義諸国の利害対立の場である。APECを通して、帝国主義諸国は、アジア太平洋地域の資本と貿易の自由化を推し進めること、アジア太平洋地域における帝国主義支配への反乱要素を共同で封殺すること、こうした共同利害で歩調をより密にすることを狙っている。同時に、アジア太平洋地域における権益増大を狙う米帝、東アジア共同体構想を打ち出す日帝―鳩山政権が、この地域において絶大な影響力を有するに至った中国とのヘゲモニー争いを全面化させながら、この地域全域にわたる帝国主義ヘゲモニーの争奪戦を激化させていこうとしている。日本各地で諸閣僚会議を積み重ねながら、十一月には横浜で首脳会談が予定されている。 また、韓国では、G20が今秋予定されている。これもAPECと同様である。帝国主義国を先頭に、破綻した資本主義世界経済の新たな再編成と新たな支配秩序の編成にむけた利害対立とヘゲモニー争いが繰り広げられようとしている。これらは、各国地域の労働者階級にとっては、自らをつなぐ鎖を誰がどのように強めていくかということしか意味しない。 帝国主義グローバリゼーションのもとで、各国地域の労働者階級は貧困と無権利を強制されてきた。労働者階級は、断固として、G20、APECに対して、国際共同闘争で立ち上がるだろう。われわれは二〇一〇年、G20、APECに反対して、アジア太平洋地域における反資本主義勢力、反帝国主義勢力の総結集でこれらを迎え撃っていく。特に、横浜APECに対して、米軍再編―反基地闘争と固く結合してたたかわねばならない。米軍再編―神奈川における米軍基地強化反対闘争と不可分のたたかいとして横浜APEC粉砕闘争を、反帝国際共同闘争でたたかおう。 (3)第三に、こうしたたたかいの中で、アジア共同行動日本連絡会議のたたかいや労働者反戦交流集会実行委のたたかいを支持し、その発展のために奮闘することである。 アジア共同行動日本連絡会議のたたかいは、アジア太平洋地域の反帝勢力と共同の闘争を推進するという大きな地平を確固たるものにしてきた。昨年のAWC第三回国際総会は、その新たな前進を画するものとなった。アジア共同行動日本連絡会議のたたかいは、アジア第三世界諸国の反帝闘争への連帯、また、こうしたことを共通の課題とする帝国主義国のたたかいの共闘、これらを実践的な共同闘争として推進するたたかいである。反資本主義・反帝国主義・国際主義をめぐる実践的で大衆的な共闘組織として前進してきた。帝国主義グローバリゼーションのなかで、国際共同闘争の必要性はますます増大している。時代が要求するたたかいなのだ。アジア共同行動日本連絡会議のたたかいを支持し、その発展のために奮闘しよう。二〇一〇年、反戦反基地闘争、反APEC国際共同闘争などを通して、その発展を一層推し進めよう。 また、労働者反戦交流集会実行委は、岩国基地拡張に反対する労働者・労働運動の連帯運動の水路としての位置をもって前進してきた。それはまた、岩国反基地闘争に連帯することを通して、労働運動のなかにおいて広範に労働者反戦闘争を再建していくたたかいでもある。労働者反戦交流集会を呼びかけるとともに、これに結集するすべての先進的な労働組合のたたかいを支持し、沖縄、岩国、神奈川を貫く広範な労働者反戦闘争の大衆的な再建を推し進めていこう。 (4)第四に、われわれは昨年までのたたかいを引き継ぎ、各戦線のたたかいを体系的に推し進めていく。 ▼①政治共闘を軸とした反帝闘争の推進 われわれは、首都圏の反戦闘争実、関西の反戦実を軸に、反帝派の政治共闘を前進させてきた。二〇一〇年も、こうした反帝派の共闘を強め、反戦反基地闘争をめぐる国会行動、米大使館行動など、街頭政治闘争を果敢にたたかっていく。日帝は、横浜APECにむけて、〇八年G8サミットを上回る警備体制を準備している。重弾圧体制を粉砕し、反帝派の街頭政治闘争を断固として前進させよう。 また、関西などを中心に活発化する在特会などの排外主義勢力によって繰り返される在日韓国人・朝鮮人に対する襲撃を絶対に許さず、これを大衆的に包囲し解体させていくための広範な統一戦線形成を支持し、ともにたたかっていく。 ▼②農地強奪を許さず三里塚闘争勝利を 成田空港会社は昨年十月、北延伸滑走路の供用開始を強行した。七月には、先行して、東峰の森を破壊して建設した新誘導路の供用を開始した。天神峰・東峰地区の農道をずたずたにし、集落のつながりを破壊しようとした。工事そのものをもっての農民たたきだし攻撃だ。さらに第三の誘導路を画策し、市東さんの家と畑を取り囲むような攻撃をかけようとしている。 一方で、空港会社は、「訴訟」をもっての農地強奪攻撃を強めている。市東孝雄さんに対して耕作権裁判、そして、農地法を「根拠」にした「明け渡し」=農地強奪裁判(農地法裁判)を起こしている。さらに、天神峰現闘本部強奪を目的とした裁判、千葉県による鈴木さんの一坪共有地強奪裁判も、同時進行でたたかわれている。 これら農地強奪―三里塚闘争破壊攻撃としての民事裁判において、千葉地裁で反動的訴訟指揮を執り続けているのが民事第五部の仲戸川裁判長である。天神峰現闘本部裁判において、反対同盟が証拠申請していた証人調べ、現闘本部そのものの実地検証を昨年六月の口頭弁論で却下した。さらに、十一月十二日の最終弁論では、空港会社側代理人が直前に行なった訴状変更を「訂正」として認めたのである。反対同盟側の防御権を踏みにじり、弁護団の異議申し立てをことごとく却下した。仲戸川は超法規的に空港会社を守り抜いた。この不公正きわまりない裁判は二月二十五日が判決の期日と決定された。不当判決を絶対許さず、断固たたかおう。 本年の三里塚闘争は一月十日、「用地内」デモと団結旗開きをもって開始された。土地収用法をもってしても、成田治安法をもってしても奪うことができなかった天神峰現闘本部を、空港会社は卑劣な手法で強奪しようとしている。成田空港がハブ空港になりえないことは明白であるにも関わらず、「羽田―成田一体運用」なる国交省方針のもとに、成田空港を延命させようとしている。許しがたいことに、空港会社社長森中小三郎は年頭記者会見で、南側延伸を主張した。 反対同盟と三里塚勢力は、この攻撃を実力で粉砕する。危険きわまりない延伸滑走路は即時閉鎖されねばならない。「用地内」でたたかう市東さん、萩原さんをしっかりと支え抜き、空港廃港までたたかいぬこう。反帝闘争拠点としての三里塚闘争を防衛し、3・28三里塚全国集会に全国から結集しよう。 ▼③改悪入管法反対 入管闘争の前進を 日帝は昨年、改悪入管法の成立を強行した。自公政権下でなされたものであるが、一定の法案修正で民主党が妥協したことによって成立したのであり、鳩山政権もこの入管政策を引き継いでいる。この改悪は、外国人台帳制度と在留カードをもって、法務省―入管当局が外国人を一元的に管理しようとする攻撃だ。戦後、入管法、外国人登録法によってなされてきた入管体制を、これまで以上に国家権力の集中した管理の下に置こうとするものである。 経済危機と貧困化を背景に少子化が進むなかで、日帝ブルジョアジーは、労働力不足が日本経済を制約することを恐れ、必要に応じて移民労働者を活用できる国家への転換をはかっていこうとしている。外国人の一元的な管理強化は、移民労働力導入にむけた体制整備としてある。 なによりも日本の入管体制の根幹には、在日朝鮮人・韓国人に対する支配の歴史があり、改悪入管法もそれを引き継ぐものにほかならない。われわれは、これまでの入管闘争の地平をうけ、在日朝鮮人・韓国人との連帯を強め、日帝の入管体制とたたかっていく。引き続く朝鮮民主主義人民共和国への敵視政策、台頭する排外主義勢力とのたたかいを強化し、入管闘争の前進をかちとっていこう。 ▼④女性解放闘争の前進をかちとろう 米兵の性暴力事件に対するたたかいは、女性解放闘争の重要なたたかいとして取り組まれてきた。戦争と軍隊が、平和、人権、財産を破壊する。軍隊の抑圧的性格は、戦時・平時にかかわらず、はっきりと現れる。他民族殺戮に駆り立てられる米兵は、性暴力事件を多発させている。これを告発し断罪するたたかいは、米軍基地と軍隊の本質を指弾するたたかいであり、被害女性の正義を実現するたたかいである。昨年を通して、広島事件を弾劾するたたかいや、岩国国際集会における「軍事基地と女性」ネットの取り組みなど、軍隊の性暴力とのたたかいは粘り強く取り組まれてきた。こうしたたたかいを断固支持し、元日本軍「慰安婦」たちのたたかいに連帯し、同時に、今日の軍隊による性暴力とのたたかいを結合させてたたかおう。 恐慌下、大失業攻撃が進むなかで、女性労働者にその矛盾が集中している。女性労働者のたたかいを階級的な労働運動の重要で不可欠な一翼として意識的に推進しよう。 ▼⑤狭山差別裁判再審を闘いとろう 昨年、自公政権の崩壊のなかで、狭山差別裁判において新たな動きが始まった。これまで行なわれることがなかった裁判所、検察、弁護団の三者協議が初めて行なわれ、弁護団が一貫して要求してきた証拠開示に対して、証拠の存在を明らかにするように裁判所が求めた。しかし、検察は引き続き証拠隠しを続けようとしている。こうした情勢のなかで、石川一雄さんを先頭にして改めて裁判所を動かそうとするたたかいが開始されている。狭山差別裁判の再審を切り拓いていくことは、部落解放闘争を前進させる大きなたたかいである。 地域において部落解放闘争をたたかう部落民とともに、狭山差別裁判糾弾闘争を改めて強化していこう。階級矛盾の激化のなかで、差別排外主義攻撃が強まっている。強まる部落差別攻撃と対決していこう。 ▼⑥保安処分攻撃と対決し障害者解放闘争の前進を 鳩山連立政権は、障害者自立支援法の撤廃を宣言した。これは、この悪法の撤廃にむけて立ち上がってきた障害者をはじめとしたたたかいの勝利である。だが、民主党は、新法の設立に向けて、より巧妙で危険な新法を準備していこうと策動している。障害者の自己解放闘争を封じ込め、差別糾弾闘争を解体していくことを策動しているのだ。民主連立政権に対するたたかいを強め、こうした策動を打ち砕いていこう。同時に、精神障害者を犯罪と結びつける差別キャンペーンが強まっている。アエラ糾弾闘争はこうした差別キャンペーンに対するたたかいである。精神障害者に対する差別キャンペーンを粉砕し、保安処分攻撃と対決するたたかいを前進させよう。 ▼⑦被爆者解放闘争を反戦反核―反帝闘争として闘おう 米帝は、共和国、イランに対して、「核開発」を理由に国際的な敵視政策を強めてきた。だが、核兵器を独占することで世界支配を貫徹しているのは、米帝をはじめとした国連安保理常任理事国―五大国である。帝国主義の言う「核不拡散」は、自らの核独占世界支配体制を護持することを目的としている。オバマが、「核のない世界」を掲げ、ノーベル平和賞を受賞するなど、もはやたんなる茶番にほかならない。しかも、オバマは授賞式でアフガニスタン戦争の必要性を訴える始末であった。日帝も、原発のプルサーマル化を進め、核武装の技術的可能性を常に保持している。 われわれは、被爆者、被爆二世のたたかいに連帯し、あらゆる核兵器、核開発に反対してたたかおう。反戦反核闘争を一層前進させよう。8・6広島、8・9長崎を、反戦反核―反帝闘争としてたたかおう。 ▼⑧完黙非転向で権力弾圧うち破ろう 一昨年の洞爺湖サミット反対闘争に対する事前弾圧としてたたかう労働者をでっち上げ逮捕―起訴した京都府警・京都地検の意を受けて、京都地裁は有罪判決を打ち下ろしてきた。完黙―非転向の獄中闘争でサミット反対闘争破壊の国家権力の意図を完全に粉砕したことに対する政治弾圧である。同時に、労働者の権利剥奪を狙う反動判決である。弾劾し、たたかおう。 日帝は、横浜APECに向けて弾圧体制を強化しようとしている。国際反帝共同闘争の爆発を封じ込めようとする一切の弾圧攻撃を跳ね返し、横浜APEC粉砕闘争を爆発させよう。 ■第5章 階級的労働運動の飛躍的前進を実現しよう すべての労働者階級の仲間のみなさん。 二〇一〇年の年頭において、階級的労働運動の闘うべき方向について提起し、ともに闘うことを呼びかけたい。危機を露呈しながらも、労働者からの搾取と収奪の強化によって生き延びようとする、帝国主義―資本主義に対する階級的反撃の本格的な開始のために、労働者階級の歴史的な存在をかけて闘いにたちあがろう。 ●1 労働者階級の現状 二〇一〇年の冒頭において労働者階級をとりまく情勢と、労働者階級の生活の現状は極めて困難なものとしてある。 第一に労働条件の悪化、賃金の低下がつづいている。労働者の生活水準の劣悪化がひきおこされている。さらに社会保障の切り捨て等による生存権自体の危機が進行している。この間の世界金融恐慌による世界的な景気後退のなかで、倒産・失業が拡大し、国内失業率は政府の発表でも昨年九月には5・3%(三百六十三万人)で高止まりしている。実際の失業率は14%ともいわれている。 とりわけ深刻なのは非正規雇用の労働者である。新自由主義政策下での規制緩和のもとで、雇用の流動化、不安定化が拡大し、景気の安全弁として非正規労働者が簡単に解雇される事態が拡大し、生活が根こそぎ解体されている。年収二百万円以下の労働者が一千万人も存在している。国内的・国際的に労働者の生存権が危機に瀕しているのである。 第二に、このことは労働者階級の存在にもとづく意識の転換を要求する。戦後的な企業による労働者の生涯的な抱え込み、企業意識による階級支配の実現によって労働力の再生産をおこなうという構造を再編し、基本的に企業的共同性を解体し、自己責任と能力主義という資本の利益の全面化を労働者に強制し、資本へのより全面的な隷属を強いるのである。 戦後的企業内的共同性の解体(大企業の上層労働者は別として)と個人への解体は、戦後的な階級意識を解体させ、浮動的な、その日暮し的な生活と、将来への展望の喪失による資本への隷属として表現される。 第三に、このような状態におかれる労働者階級は今までどおりではない、新たな自らの生活と生存権、将来への展望と社会的・階級的共同性の獲得にむけた流動を開始せざるをえない。生き、かつ労働する労働者は自らの労働の歴史的、社会的意義についての自覚を本質的にもとめる。 労働者階級は、歴史的に資本制社会の成立とともに登場し、日々の経験の中で、自らの搾取され抑圧される存在を自覚し、労働者の階級としての存在を自覚し、自らの解放にむけて階級闘争を歴史的に世界的、世界史的に闘いぬいてきた。そして、労働者の血に染められた赤旗のもとで労働者階級の解放の未来が、自らが支配階級となり、共産主義を実現することにあることをしめしてきた。 もちろん、階級闘争は支配階級との攻防によって実現されるものであり、予定調和的にすすむものではない。スターリン主義や、資本の買収による「プロレタリア上層」の裏切りと労働者の反動的な組織化等によって、現在においても国際的勝利は困難な段階にある。 だが、新自由主義の攻撃という歴史的な資本の攻撃に対して、反グローバリゼーション運動として、資本主義に対する労働者の存在を明らかにする闘争が国際的な結合をもって闘いぬかれている。この闘争は、貧困からの脱出として、資本主義そのものの打倒へといたっていないとはいえ、労働者階級の新たな階級闘争の本格化をしめすものである。 企業内的支配を根拠とした階級支配から、個に解体されて資本の隷属を強制される階級支配への転換のなかで、ふたたび階級としての自覚と共同性の獲得を階級闘争として開始する段階が開始されている。同時に、このことは、新自由主義の修正の範囲にとどめ、労働者階級の政府―資本への本格的な反撃へのたちあがりをあいまいにする勢力との闘いとしてもある。 労働者階級は、歴史的な帝国主義と植民地への分裂のなかでの国際的な結合の分裂と利害の対立、国内における「プロレタリア上層と下層」への分裂、そして「プロレタリア下層」における雇用形態と労働条件等による分裂という、支配階級によるその利害の対立の組織化という攻撃に反撃し、国際的・国内的に新たな結合と団結への闘いを自覚的に開始しているのである。 ●2 新自由主義の破産とオバマ・鳩山政権の登場 労働者階級の国際的な胎動の開始のなかで、新自由主義グローバリゼーションの破産を鮮明にした米国発の国際金融恐慌がおこり、世界的な不況をもたらした。このなかで、当面の危機の乗り切りとして、アメリカではオバマ政権、国内では鳩山政権が登場した。 これらの政権の登場には歴史的・現在的な根拠が存在する。その根拠とは、戦後の統一的世界市場の編成の現段階性である。六〇年代後半、戦後的な米帝の世界支配、統一的世界市場と世界的な軍事支配の盟主としての位置が、他帝の復興とベトナム革命を始めとする革命運動の前進のなかで危機に瀕した。 米帝はこれに対して、ニクソンの二つの声明に代表される戦後的な米帝の世界支配からのより争闘的な世界支配への再編にうってでた。八〇年代においてより攻勢的な「パックス・アメリカーナ」というレーガンの巻き返し戦略のもと、サッチャーの「市場原理主義」と結合し、「アングロ・サクソングローバルスタンダード」を世界的に強制し、金融的利権を米帝に集中することを「金融工学」なる「詐欺」的手法をもつかい、また世界の戦争化への動員としておこなってきた。だが、この転換も歴史的、必然的に破産した。イラン・アフガンの戦争の長期化、そして昨年の米国発の世界金融恐慌である。 統一的世界市場はたしかに、ソ連崩壊や中国の「改革開放」という資本主義化のなかで、地勢的拡大は実現した。だが、盟主米帝の後退と統一的世界市場の収縮と軍事的後退という歴史的な必然をおしとどめることはできなかったのである。 かかる世界の再編期という情勢のなかで登場した、はじめてのアフリカ系大統領の出現は危機に瀕する金融独占資本をはじめとする独占資本の別の政策による防衛策である。財政出動等による国家による独占資本の救済と、一定の擬制的な社会保障の実現は、独占資本の救済が目的であり、また自らの政権を実現させるほどの労働者人民の憤激の高まりによる階級支配の危機から資本主義を防衛するための当面する対応である。新たな統一的世界市場の編成の展望が存在するわけではない。 鳩山連立政権の登場も同様の情勢を根拠としたものである。 日帝は、戦後米帝の世界支配のもとで「復興」し、米帝と結合することをもって「成長」し、国内的にも独特の「相対的に安定」な階級支配を実現してきた。だが、戦後世界体制の崩壊のなかで、この構造の破産のなかで戦後支配の転換を強行してきた。 七〇年代に開始され、中曽根「戦後政治の総決算」によって本格化し、「新時代の日本的経営」によって路線化された戦後体制からの転換は現在、危機にいたっている。拡大する階級矛盾にたいする新たな支配の政治的・経済的根拠は存在しない。鳩山政権は階級支配の構造的脆弱性をとりつくろうにすぎず、国家による独占資本の救済(「新時代の日本的経営」を維持した)と階級矛盾の激化に対する一定の社会保障の実現を矛盾的に行うにすぎず、新たな階級支配の展望をつくりえない。 現在の帝国主義の危機は、歴史的なものであり、その脱出の道は基本的にないのである。 現在の労働者をとりまく情勢は、資本主義の歴史的、国際的な危機の段階に規定されたものである。 問われているのは、労働者人民の生存権的閉塞と社会的な流動を、新たな階級的解放へと表現する展望である。まさに、支配階級とのこの点をめぐる攻防である。鳩山連立政権―独占資本に対する労働者の要求を徹底してつきつけ、その実現のために自らの力で闘うことが必要である。 ●3 労働運動の現段階と課題 八〇年代から開始され、全世界を覆った「新自由主義」という攻撃は、金融資本をはじめとする資本の利益のもとに、露骨に労働者の既得的利益を解体し、流動的で不安定な雇用をつくりだし、欲しいがままに解雇、労働条件の切り下げをおこなうことであった。これは、同時に戦後的な相対的安定な階級支配からの転換であったし、資本主義の危機の深化の表現としてもあった。当然にも、この歴史的で世界的な攻撃に対して国際的に労働者は起ちあがり、「反グローバリゼーション運動」としての闘いが国際的な結合もふくめて実現された。 この闘いの中心となったのは、最も苛酷な搾取と収奪にさらされる移民労働者や非正規の労働者である。だが、正規雇用の労働者は非正規労働者の利益の防衛を課題としつつも、労働者階級の本格的な反撃を組織するまでにはいたりえなかったことも事実である。たしかに、「反グローバリゼーション」として労働条件の切り下げに対してストライキをはじめとして闘いぬかれ、資本主義そのものへの批判は国際的に拡大した。このことのもつ意義は断固として確認しなければならない。 だが、それは、資本主義の改良へと不断に向かう傾向を同時にはらみ、労働者階級の本格的な新たな反撃、階級闘争の新たな高揚とまではいたっていない。だが、「新自由主義」が必然化する、資本の利益のみを追求する国家・社会、著しい貧富の格差の拡大、貧困の拡大、生存権自体の危機は、労働者階級にこのままでは生きられないという現実をあきらかにしたのである。 国内においても、中曽根政権以降本格化し、「新時代の日本的経営」として総資本によって路線化された攻撃に対して、プロレタリア下層とりわけ非正規労働者の生存権の解体にたいする反撃が社会的動きとして開始された。 その第一は、実践的には、労働運動を階級的に推進しようとする部分を中心として、非正規労働者の要求が労働運動の中心的な課題としてかかげられ、民間中小を中心として、非常勤、派遣、パート等の有期雇用の労働者の組織化が拡大された。同時に派遣法や労基法等の労働法制の改悪、規制緩和による労働力の流動化と権利の解体という、戦後的な支配からの転換に対する闘いとして粘り強く闘いぬかれた。また、最低賃金の引き上げや均等待遇の要求としてプロレタリア下層の全国的運動として実践化されてきた。 この闘いは、「新自由主義」の攻撃に対して、戦後的な労働運動の企業内本工主義という負の形態を新たに突破していくものとしてあった。この実践的な闘いは、非正規労働者の広範な闘いへの登場として現在前進しつつある。労働運動における基軸的な課題となっている。この間、中小労働運動において、とりわけ地域合同労組等において非正規労働者の解雇等をめぐる争議が拡大し、勝利的な成果をあげている。また、労組としての定着が確実に前進してきている。非正規労働者が自らへの全く不当な資本への隷属の攻撃にたいして、闘いをとおして労働者として自覚し、仲間との結合、労組としての組織に定着してきているのである。労働運動において、非正規労働者の労働条件の引き上げと生活を守ることは労働者の団結の形成に不可欠のものであり、正規労働者にとっても労働組合にとっても団結の内実を問うものである。これらの地平は労働運動の新たな地平を形成するものであり、労働者階級内の分裂を階級的に止揚していく新たな階級闘争の構造の開始である。 第二は、戦後的な階級支配の転換の攻撃のなかで、労働運動の戦後的な構造自体が転換を要求され、新たな労働運動の構造が模索されはじめたことである。戦後総評は、一部の民間中小をのぞけば、いわゆる「終身雇用、年功序列、企業内労組」の構造にあり、産別といっても大手を中心とする企業内労組連合であった。この点が総評の弱点のひとつであった。民間大手を中心とするIMF・JCの育成と合理化のなかで総評解体の根拠は形成された。公務員労働運動も基本的には同様であり、連合の結成として戦後的な労働運動の構造は再編されたのである。同時に、労働者の多数をしめる民間中小の組織化は戦後労働運動の基軸とはならなかった。この点の克服なしに、新たな労働運動の前進はないといえる。 この課題の実現にむけた闘いが本格的に開始されてきている。非正規労働者の組織化という実践的課題との苦闘をとおして、企業内正規労働者を中心とする労組からの転換が様々な形で問われ、それに答えようとする闘いが開始されているのである。非正規も含めた労組、産別労組と地域労組の関係等をめぐって極めて実践的な闘いが闘われている。これは、労働組合を最も必要とする層の組織化のための闘いであり、労働組合の階級的性格の再構築の闘いとしてある。 第三に、これらの闘いは全国的な、国際的なものとして実現されていることである。民間中小を中心とする階級的な要求と、とりわけ非正規の権利と生活を防衛・拡大させる闘いは争議と支援をとおして全国的な運動としてとりくまれる闘いとして拡大してきており、闘いの教訓が共有化されてきている。労働者階級、とりわけ下層労働者の階級としての自覚と自らの存在の社会的な自覚が開始されているのである。 また、国際的な労働運動の結合も、階級的なものとして確実に前進しており、実践的な争議課題等めぐる共同闘争や、国内の外国人の権利や労働条件をめぐる闘いの組織化も前進している。そして労働運動にとって不可欠の反戦闘争において独自に労働運動としての取り組みが全国で開始されている。 これらの闘いは、階級的な労働運動が戦後的な制約を自ら突破していくという胎動であり、連合等という産業報国会的な政府・資本に対する隷属への反対派的批判や、戦後的構造への回帰としてではなく、政府・資本に対して闘い、労働者階級の普遍的な階級的利益を守り前進させていく全国的な労働運動としての新たな前進である。 ●われわれの段階 われわれは、共産主義者同盟(統一委員会)の結成において、歴史的なブントの綱領的・実践的な課題の克服を本格的に開始した。それは、プロレタリア革命における主体たる労働者階級の歴史的革命性と現実的存在への立脚の問題であり、同時に戦後階級闘争構造に規定された左翼反対派としての戦術領域の問題の克服である。 革命的労働者党としてのブントの建設を、とりわけ労働運動の戦略的方向を、戦後階級闘争構造と崩壊をみすえた、新たな階級闘争構造の建設という階級闘争・革命運動の課題のうちに実践的に深化しようとしたのである。 そしてプロレタリア下層、民間中小の労働者の労働組合づくり、組織化を中心としながら、戦後的労働運動の階級的な転換を実現することをめざしているのである。階級闘争の歴史的な、全体的な総括をぬきに、自己の経験のみに依拠した赤色労働組合主義や、現実的な根拠をぬきに戦後総評型の復権のみをめざすという限界とは異なる、現実的な労働者の生活と権利を防衛し、かつ労働者の大衆的で自主的な団結体としての労働組合を拡大・強化することを根拠に、政府・資本と全面的に対決し、政治闘争・反帝統一戦線の形成と結合した、新たな労働運動を中心とする階級闘争の構造を建設しようとしている。 第一に民間中小における労組づくりを合同労組(ユニオン)づくりとして位置づけ、全国各地で日々多くの同志が闘っている。その闘いは基本的に二十四時間の闘いであり、労働者の全生活にかかわるものである。労働相談・争議をとおして労組に組織化するのは相当の粘り強い闘いが必要である。労働者の生活と権利をまもるためには、争議において団交や社前闘争、労働委員会や裁判等の手段を駆使し、現実的に要求を実現しなければならない。それによって労働者が労組を、仲間の存在をみずからのものとして自覚していくのである。同時に、争議の相互支援をとおして地域を根拠に中小の労働者の企業内をこえた結合が実現していくのである。 第二に、正規・非正規の労働者の団結と労組としての組織化である。民間中小においては、正規・非正規という雇用形態をこえた労組としての結集を組織している。また、公務員においては、根深い職員組合という限界のなかで、外注化をはじめとした攻撃に対して、外注先の労働者の労働条件の引き上げをはじめとして、非正規労働者との結合の実現のための闘いを課題として粘り強く闘っている。また、業種的、産別的な労組のなかで本工と非正規の労働者を同じ労組に組織化する事例も拡大している。戦後労働運動をこえる闘いの重要な要は、雇用形態をこえた労組の組織化を実現しうるかである。労働者の労働組合としての団結の現在的内実をつくりだすために、職場的・地域的現実のなかで闘っている。 第三に、このような労組の組織化を根拠に労働運動の全国的な構造の強化のために闘いぬいている。中小労組の全国的な結合のための闘い、非正規切りに対する闘い、最低賃金の引き上げや均等待遇の実現の闘い、労働法制の改悪に対する闘い、国鉄闘争等という闘いをとおして、労働運動の階級的な反撃と新たな再編の実現のために闘いぬいている。労働運動が労働者の、とりわけ下層労働者の利益を実現していくためには、全国的な闘いと構造が不可欠である。地域の闘いと、産別的・業種的労組づくりを結合させ、戦後構造をこえる労働運動の全国的構造を強化していくことこそ、われわれの闘いである。 第四に、労働運動の階級的な推進にとって、不可欠な国際連帯、労働者の反戦闘争の拡大のために闘いぬいている。 「反グローバリゼーション」運動として国際的な労働運動の結合は大きく前進した。「新自由主義」に対決する各国の闘いは、資本にたいする労働運動の国際連帯を必然化した。共通の敵に対する闘いが実現された。韓国をはじめとする労働運動との連帯、争議の支援という実践的な結合が拡大している。この闘いこそ、労働者が階級としてみずからを自覚し、その存在を歴史的・世界的なものとして組織する闘いである。この闘いを系統的に組織すると同時に、外国人労働者の権利と労働条件をめぐる闘いを推進した。 外国人研修生・実習生の苛酷な条件下における闘いをともに闘っている。これは、国内の労働者にとって不可欠の自らの闘いとしてある。 そして、戦後労働運動においても激烈に闘われた労働者の反戦闘争の継承・発展を実現する闘いにおいても前進を確実にきりひらいている。労働者の階級性の発展にとって不可欠の反戦闘争は全国的な結合をもって拡大しようとしている。とりわけ米軍再編にたいする大衆的で、粘り強い闘いは、労働者・労働運動こそが反戦闘争の先頭にたつことの必要性を自覚しながら闘いぬかれている。「他国の労働者に銃をむけることを最大の犯罪とみなす」という労働者の階級性を前進させることは、労働運動の階級的前進にとって不可欠の課題であると同時に、自ら解放の武器を獲得していくものである。帝国主義国の労働運動にとって不可欠の闘いの前進のために全国で闘いぬいている。 われわれは、ある意味で自らの現在的な力量をこえるともいえるこれらの闘いを、新たな階級闘争の構造と、戦後労働運動の限界を突破していく闘いとして牽引していくために、さらに労働運動の只中から実践的に推進しなければならない。 労働者階級の自己解放運動をプロレタリア社会主義革命として実現するために。 ●二〇一〇年における闘いの方向 二〇一〇年において、われわれは現在までの労働運動の地平を更に前進させるために闘わなければならない。階級的労働運動の強化と労働者階級の反撃を実現しなければならない。 この闘いは、戦後階級闘争構造の解体のうえに、新たな階級闘争構造を労働運動を中心として創造していく闘いである。総評解体以降の階級的な労働運動の実践的地平を決定的に飛躍させることである。 戦後総評は、戦後復興と高度成長、戦後「平和と民主主義」のなかで五五年体制における労働運動としてあった。このなかで労働者階級は戦闘的な要求と闘いを実現してきた。「新左翼」の労働運動も基本的には「左翼反対派」としてあった。米占領軍や政府―資本の攻撃のなかで構造化された企業内労組、終身雇用、年功序列型賃金のもとに相対的安定期としての構造のなかにあった。 だが、七〇年代からの世界的な再編期への突入、国内における戦後五五年体制の再編の開始、とりわけ中曽根「戦後政治の総決算」の攻撃のなかで、五五年体制が崩壊し、総評解散―連合結成となり、戦後的な労働運動の構造は解体された。 だが、階級的な労働運動を防衛しようとする労組活動家と戦闘的な労組は、困難な情勢のなかで苦闘しながら労働者階級の利益のために闘ってきたのである。そして新自由主義攻撃の全面化のなかで新たな労働運動への自己転換への模索が本格的に開始されている。 戦後的な労働運動の構造の崩壊のなかで、五五年体制の崩壊のなかで、労働者階級の利益の前進のためには、新たな階級闘争の構造と労働運動の構造を創造していかなければならない。すでに戦後社民と戦後労働運動はない。労働者階級の利益の全体と労働運動の全体の前進を実現しうる構造を新たに創造するほかにはない。 その根拠は多数をしめ、同時に最も苛酷な抑圧と搾取のなかで生存権すら解体されようとするプロレタリア下層、中小・未組織の労働者、とりわけ非正規雇用の労働者に依拠し、戦後的な労組構造と団結を転換していくことである。そのために地域と産別の結合と正規―非正規をふくめた労組構造を建設していくことである。また、労働者階級の要求と自主性による闘いをとおした階級的共同性を実践的につくりだしていくことである。 このためにわれわれは第一に、その基礎となる労働組合の組織化を一層強化していかなければならない。地域における下層の組織化を合同労組(ユニオン)運動として強化・拡大していくことを中心として、業種的・産別的な労組の拡大を実現していかなければならない。また、公務員においても賃下げ攻撃等に対する闘いを強化し、労組的な転換を実現していかなければならない。重要なことは、労組の強化のために非正規の労働者の組織化を拡大していくことである。地域においては、個人加盟もふくめて非正規労働者の結集と定着をはかっていくこと、公務員や産別的な労組では、非正規も含めた労組、または非正規の労組づくりと労働条件の改善のためにたたかわなければならない。 第二は、労働運動の階級的な前進のための課題を闘いぬくことである。労働運動の全国的な結合のための闘いである。最低賃金の引き上げ、均等待遇の実現のための闘い、派遣法抜本改正をはじめとする労働法制の闘い、外国人労働者とりわけ研修生・実習生の権利と労働条件の防衛の闘い、正念場をむかえている国鉄闘争の勝利のために闘う闘争団を支援していく闘い、闘う教育労働者への処分攻撃に反撃する闘い、そして米軍再編に対決し、アジアから米軍総撤収を勝ち取る闘いをはじめとする反戦闘争の決定的な強化、労働運動の国際的な連帯の推進等という課題を全力でたたかっていかなければならない。 第三は、このなかで、全国的な労働運動の階級的な転換を共通の課題とする労働運動の活動家の結合を強化していかなければならない。労働運動・労組の社会的な階級的な位置を拡大し、政府・資本にたいして反撃を本格化していくためには階級的な労組指導部・活動家の共通の闘いが必要である。このための組織を粘り強く形成していかなければならない。 第四は、青年労働者層の組織化である。非正規労働者の多くの部分は青年層であり、現在と未来にわたって劣悪な労働条件におかれている。労働運動の階級的な前進のためには青年層の組織化が不可欠である。 全ての闘う仲間のみなさん、階級的労働運動を闘い、労働者階級の解放の未来へともに闘おう。 ■第6章 さらなる行動・連帯の輪を! 共産主義青年同盟(学生班協議会) 世界同時不況が慢性化するなか、未だに富める者は世界中で戦争し、彼らの覇権拡大と資本増大のために、多くの「持たざる者」たちが生活や生命を犠牲にされている。米国では、新自由主義路線と「対テロ戦争」を推し進めたジョージ・W・ブッシュ前大統領がその基本政策に行き詰まりを迎え、「変革」を訴えたバラク・オバマが大統領の座に就いた。 日本においては、八月、衆議院総選挙で「国民の生活第一」を訴えた民主党が衆議院で過半数を占め、政権交代が成し遂げられた。そもそも、小泉政権以降急速に進められた新自由主義政策によって、国内の貧富の差は格段に開いた。その政策とは、社会保障費や地方財政の歳出抑制と、大量のドル買い介入による為替政策の推進、労働者派遣法や労働基準法の改悪による雇用破壊などが挙げられる。これらによって、製造業大企業は利益を上げ、金融の自由化が進んだ。一方、労働者には、特に若年層を中心に「ワーキング・プア」や「ネット難民」といった貧困層が増大し、遂に二〇〇七年の日本の貧困率は15・7%とOECD(経済協力開発機構)加盟三十カ国中四番目となった。 麻生―自公政権は、こうした世界同時不況による景気後退と雇用不安の状況に対し、民衆が納得のいく具体的政策を打ち出せなかった。とりわけ、労働市場の規制緩和や教育・社会保障費等の制限など、民衆に慢性的な生活不安を引き起こした従来の新自由主義政策から転換しようともしなかった。こうした麻生自公政権への不満が政権交代をもたらしたのだ。 しかし、政権交代によって登場した鳩山政権は、さまざまな政治課題において迷走を続けている。軍事問題だけを取り上げても、急務とされた普天間基地返還問題を巡り、米国政府と日米軍事再編の枠組みさえ問い直すことができずにおり、沖縄の住民の意思を尊重した具体的政策はいまだ選択されていない。しかし、岩国米軍基地をめぐっては、愛宕山開発事業の政府買収や岩国民間空港化の予算計上を図るなど住民の意向を無視した動きを明らかにしている。鳩山政権とは、国民生活第一をかかげ、国民中心の政治を訴えつつ、本質はブルジョア政権そのものであり、私たちが期待を寄せるような政権では決してないのだ。 ●1、2009年度活動総括 躍進のための第一歩として 昨年度、私たちの周りにはこれまでにないほど多くの仲間が集まった。この仲間たちは、私たちの活動を通して、世界の資本主義・帝国主義の矛盾と、「変革」を求めて蠢く時代の雰囲気を敏感に感じ取り、自らの自由と権利が実現される社会変革を求めて集まったのである。 彼・彼女たちの多くが、フィリピンで貧困に苦しむ民衆の現状を目の当たりにし、それを尻目に開発に明け暮れる巨大資本の暴挙に衝撃を受けた。まさに、同年代は「生きづらさ」に喘いでいた。大学に入学してもいつまで授業料が払えるかわからない。学生は授業カリキュラムと就職講座に忙殺されている。学生は学内で自由な活動ができない。学生はみな就職難に苦しんでいる。たとえ就職できたとしても、景気の先行きによっていつ解雇されるかわからない。毎日、強搾取と酷使の連続で、自殺や過労死する若者も少なくない。そもそも、大学どころか高校さえ行けるかどうかわからない家庭もある。国内の格差は広がるばかりである。こうした身近な閉塞感は、フィリピンでも同様だったとはいえ、それに対抗しているフィリピンの労働者・民衆・学生の情熱と対比すれば、日本のほうはもっと冷え込んでいる。日本の学生は、資本主義と帝国主義に規定された生活に忙殺されているのだ。 フィリピンの状況とこれに立ち向かい闘う民衆の姿を見て、多くの仲間が日本国内の矛盾に気づき、立ち上がりを開始したのだ。これは、フィリピン・スタディツアーを中心とした国際連帯運動の蓄積によるものだ。こうした仲間たちを先頭に十月三里塚闘争においては、多くの仲間とともに全国総決起集会へ決起することができた。また、援農や反対同盟との交流を通して、問題発生から四十年以上が経過した現在でも、その本質が全く変わっていないことを学んだ。「一〇・一四米軍集団レイプ事件を忘れない!全国行動」では、闘う学生団体「あすじゃ」が主体的に行動を担うとともに、多くの学生や他の共闘団体と団結・連帯し、全国的な行動を成功させた。また、「岩国現地行動二〇〇九」では、AWCとともに開催した岩国国際集会と、「あすじゃ」が企画した「前夜祭」をともに成功させた。集会後のデモでは、統一パーカーを着衣し斬新なコールを皆で叫んだりして、米軍再編反対の声を周囲の人々の五感に訴えた。この行動は、近年では最も多くの学生・青年の仲間とともにやり抜いたものであった。 五月沖縄連帯行動でも、新しい仲間が基地問題に関心をもって行動に参加した。八・六広島―八・九長崎の行動でも、被爆者・被爆二世との連帯を深めながら反戦・反核の意志を改めて確認できた。十月には関西における岩国基地問題講演会の成功を勝ち取り、十一月岩国現地行動の大成功を導くきっかけになった。また、天皇在位二十周年祝賀反対闘争への取り組みや「在日特権を許さない市民の会」(以下、在特会)による在日韓国・朝鮮人に対する排外主義的扇動、襲撃に対する抗議闘争を広範な市民、労働組合の仲間とともに闘ってきたのである。 私たちは、反帝・反戦・反核・反差別・反グローバリゼーションを基本路線に一年を通して粘り強く闘い抜いてきた。そうした中で新たな学友たちの結集を勝ち取ることができたのだ。閉塞感の蔓延する中で、しかし、これを打ち破り、変革を求める学友たちは確かに存在するし、その数は決して少なくないことを二〇〇九年の闘いは指し示しているのだ。二〇〇九年で切り開かれた地平を足場に二〇一〇年の新たな闘いを開始していかなければならない。 ●2、2010年行動方針 ▼1、横浜APEC首脳会談粉砕! 帝国主義打倒のために 世界はまさに激動の時代を迎えている。私たちの活動も躍進しつつあり、そのなかで新しい年度を迎える。私たちの課題は、それぞれの持ち場での日常的な活動に依拠しながらも、世界中に拡大する民衆の闘いに連帯し、大多数の人々の貧困と搾取の上にしか成立しない支配体制を、真の意味で変革する社会的運動をつくることだ。さらには、私たちのための未来社会の展望を、私たち自身で考えなければならないということだ。現在、全世界の民衆が直面している課題は、資本主義の枠内では決して解決することのできない、資本主義社会システムそのものの矛盾であり、これを維持して利益を独占しようとする権力者によって引き起こされている問題である。 では、私たちはどのような方針をもって具体的活動を行う必要があるのか。まずは、資本主義・帝国主義世界を徹底的に批判しなければならないということである。その具体的活動として、今年十一月に開催される横浜APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議に対し、徹底した抗議の闘いを組織することである。 日米両帝国主義支配も含め、新自由主義グローバリゼーションに反対する取り組みとして、私たちは二○○五年香港WTO反対闘争、二〇〇八年G8洞爺湖サミット抗議行動を成功させた。 APECはアジア太平洋地域の貿易投資自由化を目指すものである。新自由主義グローバリゼーションの破綻が国際的にも現実化しているなか、G8諸国のうち、米国・日本・カナダ・ロシアの四カ国がAPECに参加しており、また、二十一の参加国・地域のGDPを合計すると、世界のGDPの約六割を占める。これは、首脳宣言などに表れるAPECの指針が世界経済に多大な影響を与えるということである。 私たちは、アジアも含めた世界の労働者・市民の国際連帯を基盤とし、民衆の手による自由と平等が実現された平和な社会をつくることを目的としている。そのために、私たちはこうしたAPEC体制を即刻粉砕しなければならない。権力による弾圧をはねのけて、全世界の民衆とともにAPEC首脳会議抗議行動を貫徹しよう。主催国である日帝足下の労働者・人民とともにその最先頭で闘いぬこう。 ▼2、さらに意識的な反戦行動を! アジア民衆と戦争のない世界を 次に、アジア民衆とともに戦争や軍隊のない世界をつくるためには、私たちがこれまで継続的に行ってきた個々の課題を、戦争や軍隊の問題と有機的に関連づけて意識的に取り組むということである。今年は「韓国併合」から百年、日米安保五十年であり、また来年には満州事変から八十年、日米開戦から七十年を迎える。東アジア地域との友好関係を構築するためには、まず日本政府がこれまで侵略戦争と差別を繰り返してきたことに謝罪し、正しい歴史認識をもって戦後補償を行なうことが不可欠である。これまで、反戦・反基地運動を担ってきた私たちにとっては、いま一度、日本帝国主義の戦争責任を問い直す作業や、それを基盤とした具体的活動が必要である。 具体的方針として、まず挙げられるのは、個別的であった反戦・反基地・国際連帯の課題を、「戦争責任問題」のひとつの運動として意識的に取り組んでいくことである。特に、八・六広島・八・九長崎における反戦・反核の取り組み、フィリピンや韓国などの民衆との連帯行動等々において、この意識は必要不可欠である。私たちは、アジア太平洋戦争という侵略戦争を、否、近現代における日本帝国主義の侵略行為すべてと、何億もの無辜の民衆の尊い生命が奪われた歴史的事実を直視し、再度、こうした歴史認識を継承するアジア民衆と同じ立場に立って声をあげていかなければならない。 そして、現在行われている米帝の戦争とそれに加担する日本政府の政策を糾弾し、米軍基地反対の意志を示していかなければならない。具体的には、岩国基地機能強化反対、愛宕山の米軍住宅化反対、普天間基地の辺野古移設反対、高江のヘリパット建設反対など、この間取り組んできた反基地行動をいっそう強化することである。 さらに、侵略戦争の背後には、格差・貧困の問題があることを、私たちは再度強く認識すべきである。戦前、日本帝国主義は、危機からの脱出をアジア侵略と戦争経済に求めた。 さらに、当時の日本政府は、国家権力や巨大資本に対する民衆の憤りをさらに立場の弱い者たちへと矛先を向けるように仕向け、侵略戦争や帝国主義支配を正当化させていた。その例として、現在でも根強く残る在日朝鮮・韓国人差別問題が挙げられる。特に、戦前においては関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件が、戦中においては朝鮮人強制連行・酷使などにそれがはっきりと表れている。 戦後になっても、政府は、こうした差別を存続・強化する政策をとってきた。政府は、戦後一貫して、在日朝鮮・韓国人民の待遇を一切改善しようとしてこなかった。また、朝鮮総連への強制捜査を、二〇〇五年十月から二〇〇八年十月までの四年間に二十二回も行ったことは、国家権力主導による差別排外主義政策そのものである。さらには、こうした差別排外主義は、経済危機をも背景に保守的な市民や青年層にも拡大している。とりわけ、「在特会」が最近目立った動きをしている。昨年十二月に彼らが行った京都朝鮮第一初級学校に対する襲撃をはじめ一連の事件は全くもって許しがたいし、私たちは徹底糾弾しなければならない。彼らは、自民党が第一党であり与党であった「五五年体制」が崩れた現在でも、否、その体制が崩れたばかりだからこそ、活動を活発化させているのだ。私たちは、こうした動きを在日朝鮮・韓国人民に連帯して、なんとしてでも粉砕しなければならない。 もちろん、こうした差別排外主義は、在日朝鮮・韓国人差別問題だけではなく、障害者差別や女性差別、部落差別、野宿労働者差別などにも表れることを忘れてはならない。私たちは、この間、米兵による女性レイプ事件を糾弾する行動に力を入れてきた。今後もこのような取り組みを継続して行うし、同時にすべての女性差別に対して抗議し、女性解放運動の推進を図っていく。あらゆる差別を許さず、差別排外主義と徹底して闘いぬかなければならない。 ▼3、さらなる学習と議論の場を! 私達の未来社会を形成するために 三つめは、政権交代を成し遂げた今こそ、私たちの未来社会を展望するために、新たに学習や論議を進めなければならないということである。特に、民主党政権の政策に対する批判を強めることが必要である。 民主党は、新自由主義路線の若干の修正により、日本を帝国主義国家として生き残らせようとしているに過ぎないブルジョア政権であるが、私たち学生・青年が注目すべき問題は、民主党の文教政策であろう。特に、大学などの高等教育についての政策については注目しなければならない。民主党は高等教育政策についての問題を、①奨学金制度改革、②高等教育の機会の保障、③大学改革と国の支援のあり方の三つにわけて言及している。 ①について、「大学は奨学金を大幅に拡充する」とし、「大学生と専門学校生の希望者全員が受けられる奨学金制度を創設する」という政策を掲げている。②について、国際人権A規約の「高等教育無償化条項」の留保を撤回し、「漸進的に高等教育の無償化を進め」るとしている。③については、「世界的にも低い高等教育予算の水準見直しは不可欠」だとし、「産業振興的な側面だけでなく、学問・教育的な価値に十分に配慮」を行うとしている。 日本の高等教育は、国際的には高授業料・低奨学金という低水準ということで知られている。奨学金について、現在、公的な奨学金制度は日本学生支援機構によるものがあるが、この制度ですら、卒業後に返還を求める貸与奨学金である。鳩山新政権は、ほとんどが貸与である奨学金制度を抜本的に見直し、給与の割合を大幅に増やす政策をとるべきである。 また、授業料・入学金について、国際人権規約の高等教育無償化条項を留保しているのは、日本とマダガスカルだけである。先進諸国、特に欧米では、デンマークやフィンランド、フランスなどを初め、授業料・入学金が無償か格段に低い国がほとんどである。日本の大学授業料が国立で約六十~八十万円、私立で百三十万円というのは、他のOECD諸国と比べて異様に高い。民主党のマニフェストどおり、授業料の漸進的無償化が必要であるが、これは、奨学金制度も含めて優先的に高等教育予算の確保が必要だということである。また、同時に、国立大学の運営交付金の見直しなど、小泉構造改革路線下で進められた大学改革についても抜本的な見直しが必要である。 そして、民主党の文教政策で最も危険視すべきは、民主党が掲げる「日本国教育基本法案」である。この法案には「日本を愛する心を涵養し」とあり、二〇〇六年に改悪された教育基本法第二条で「我が国と郷土を愛する」とした文言よりもさらに国家主義を強める危険性を持っている。さらに、この「日本国教育基本法案」は、近年の民主党マニフェストには掲載されておらず、多くの民衆がこのことを見落としている可能性がある。 このように欺瞞的な民主党政権ではなく、真に労働者・市民が主人公となれる政治体制・社会形成のあり方を今こそ模索すべきではないだろうか。現政権への批判を高め、学習し論議を活性化させて私たちの未来社会建設にむけた活動を強化していかなければならないのである。 ▼4、さらに大きな連帯の輪を! 新しい組織建設のために まず、第一は、今後も継続して全国の大学拠点化の推進を日々の活動からつくりだし、反帝学生運動の再建に向けて、「あすじゃ」への大衆的組織拡大を強化するということである。「あすじゃ」の大衆的組織的拡大は、ゆっくりと丁寧に、しかしすぐに取りかかる必要がある。第二は、「あすじゃ」活動を通してさらに多くの学生層を獲得しつつ、この層のなかから一人でも多く学生共産主義者として結集する同志をつくることである。「あすじゃ」活動を通して相互の信頼感を育み、日常的な任務や活動、個々の課題を、多くの仲間や同志と団結しながらつくることで組織と運動は活性化されるものである。そうした過程を経ながら共産主義青年同盟の建設を強化すべきである。「あすじゃ」の大衆的組織拡大と共産主義青年同盟の建設強化は相互浸透的に行われるべきであり、こうした活動が革命党建設・労働者党建設の基盤形成の一翼を担うのであり、全力をあげて「あすじゃ」のいっそうの発展・拡大と共産主義青年同盟建設の勝利を勝ち取ろう。全国の学友は、「あすじゃ」へと結集してわれわれとともに二〇一〇年の闘いに立ち上がろう。 |
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