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『戦旗』第1340号(2009年12月5日)




 日米安保粉砕! 米軍はアジアから総撤収せよ!

  辺野古新基地建設阻止

  「在特会」排外主義襲撃集団打倒

  全国各地で反失業・反貧困闘おう





 ●1章 世界規模で深まる資本主義―帝国主義の危機


 昨年九月のリーマンブラザーズの破綻に端を発した金融危機は、またたく間に全世界をのみこみ世界恐慌へと拡大しました。世界資本主義は、今、歴史的な大きな曲がり角に直面している。

 「景気後退は終わった公算が大きい」(アメリカ連邦準備制度理事会―FRBバーナンキ議長)、「金融危機の嵐は収まりつつある」(オバマ大統領)。支配層は、あたかも今回の「危機」を脱したかのようにふれ回っている。たしかに、各国政府は莫大な公的資金を投入した結果、「金融大手の経営は最悪期を脱し、市場は落ち着きを取り戻している」とも言われている。危機対策として公的資金を受け入れたシティ・グループやバンク・オブ・アメリカなどの金融大手四社は、四~六月期決算で軒並み黒字を確保している。

 しかし、公的資金の投入も、本質的な「危機」の解決にはなっていない。住宅ローンなどの銀行業務の本業で焦げ付きが現在までも急増し続け、前述四社の不良債権合計額は前年同期の二・八倍の千億ドルに迫っている。六月末の住宅ローン延滞率は一年前より二・八ポイントも高い9・2%、七月の差し押さえ関連手続きは前年度比32%増の約三十六万件と、いずれも過去最悪を記録しているのだ。今年に入ってからのアメリカの金融機関の破綻は百社を超え、一九九二年以来十七年ぶりに百社を上回りまった。十一月一日には、商業金融大手のCITグループが破綻、総資産規模では六月に破綻した自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)に次ぎ、アメリカ国内で過去五番目の大型破綻となっている。

 加えて、銀行救済への公的資金の投入も、各国に大きな重しとなっています。欧州連合(EU)加盟国がこれまでに投じた公的資金は約二兆九千億ユーロ(約三百八十兆円)で、これは域内総生産(GDP)の三割にものぼります。GDPの八割に当たる一兆二千億ポンドを投入したイギリスは、国際通貨基金から緊縮財政を迫られた。アメリカでは、二〇〇九会計年度(〇八年十月~〇九年九月)の財政赤字は一兆四千百七十一億ドル(約百二十八兆八千億円)と過去最悪を記録している。

 より深刻なのは、アメリカの個人消費の冷え込みが、大きな足かせとなっていることだ。この間、アメリカの個人消費は、世界の約三分の一にも達していた。ところが金融危機にはじまった恐慌の拡大を、ブルジョアーは労働者に矛盾を押し付けることで乗り切ろうとしている。これは、アメリカの雇用や消費を悪化させ、世界中に一気に不景気を拡大させているのだ。今年十月のアメリカの失業率はついに10%をこえ、四月から六月期のアメリカ個人消費は前期比0・9%減と不振が続いている。



  ●2章 新自由主義グローバリゼーションが危機を増大


 一九八〇年代のアメリカ・レーガン政権、イギリス・サッチャー政権によってはじめられた新自由主義は、全世界に押しつけられ、貧富の格差を拡大してきた。この下で、多くの労働者・民衆が貧困を強要される一方、莫大な富が大企業や大金持ちに集中して巨額の金融資産を形成してきた。その多くは生産資本に再投資されないままに「過剰な貨幣資本」としてヘッジファンドや投資銀行に集中した。そして、投機マネーとして株や住宅・土地、国際商品(原油や穀物)に流れ込み、バブルを引き起こしてきた。

 アメリカ帝国主義はブッシュ政権の下で、「貯蓄から投資へ」というスローガンをかかげ、金融の自由化―規制の撤廃を通した新自由主義的金融理論にもとづく米国型金融モデルを打ち出し、このような政策を推し進めてきた。金融の自由化と市場原理主義の経済政策を世界中に押しつけ、基軸通貨ドルの特権によってアメリカに資金を集中し、ドル高と株高を続けることで、このような金融モデルでのもとでのアメリカ経済は成り立っていたのだ。

 この三十年間に、金融部門のGDPは11%から21%にまで増加したのに比べ、製造部門のGDPは25%から13%にまで減少している。また、ブッシュ政権期の経済成長の実に約四割は住宅部門であった。

 本来ならば生産資本に投資させられるべき貨幣資本を「架空の需要」に流し込んできたのだ。しかし「金が金を生む」ことなど実際にはあり得ず、金融の利益も実体経済で現実の資本が作り出す利潤―剰余価値から転化したものに他ならない。実体経済以上に信用が膨張し、金融が肥大化するならば、そのような経済の破綻は必然だ。そして、住宅バブルの破裂と低所得者向け住宅ローン―サブプライム・ローンの焦げ付きを発端として、それは実際に破綻したのだ。

 今回の金融危機により過剰な貨幣資本を吸収していた「架空の需要」が消滅し、危機の土台にあった消費と生産の矛盾が一気に表面化し、世界的な恐慌へと突き進んだのだ。



  ●3章 資本主義の生き残りのため失業と貧困が拡大している


 ブルジョアジーは、労働者・民衆に矛盾を押しつけることで、資本主義の生き残りをはかろうとしている。全世界で、労働者・民衆を貧困と失業にたたきこんでいます。

 世界恐慌の震源地・アメリカでは、この十月の雇用統計で失業率が10・2%となり、三カ月連続で上昇を記録、八三年四月の10・2%以来、二十六年六カ月ぶりの水準にまで悪化している。

 また、世界的に見ても貧困と失業は急速に拡大している。ILO(国際労働機関が)一月に発表した年次報告では、〇八年末の失業者は一億八千二十万人に達し、前年度比で約千七十万人の増加になった。世界の失業者は過去最大規模であり、増加人数も九八年以来、最悪を記録している。これによって失業率は〇八年末で前年度末比0・3%増の6%に達している。ILOは、最悪のケースとして今年末に失業者は昨年末よりも四千万人多い二億三千万人に達し、失業率も7・1%になると予想している。また、失業にまではいたらなくても、収入が生活水準に満たないワーキングプア(働く貧困層)が急増し、〇七年末の実績十二億百万人から、〇九年末には十三億七千七百万人になる可能性があると指摘している。

 百六十年前、マルクスとエンゲルスは共産主義者同盟の綱領として書いた『共産党宣言』の中で、「かくも巨大な生産手段や交通手段を魔法で呼び出した近代ブルジョア社会は、自分が呼び出した地下の悪魔をもう使いこなせなくなった魔法使いにている」とし、「商業恐慌」をあげて資本主義社会の持つ限界を明らかにしている。同時に、「ブルジョア階級は、みずからに死をもたらす武器をきたえたばかりではない。かれらはまた、この武器を使う人々をも作り出した―近代的労働者、プロレタリアートを」とし、全世界の労働者に「万国のプロレタリア団結せよ!」と訴えました。この間の事態で、まさに決定的に明らかになったのは、決して労働者・民衆は資本主義と共存できないということだ。



  ●4章 反戦・反貧困の闘い強化し階級的労働運動の推進を


 もちろん、日帝足下の労働者・民衆も、貧困と失業から自由ではない。厚生労働省は、十月二十日、平均所得に対して半分以下の世帯の割合を示した「相対的貧困率」を発表した。二〇〇七年は、15・7%で七人に一人以上が貧困状態を強制されているのだ。また、今年九月の完全失業者数は前月から二万人増加して三百六十三万人(失業率5・3%)となった。これは、前年同月比では九十二万人の増加、十一カ月連続の増加となっていのだ。

 大失業―貧困化攻撃が強まる中、まず第一に、労働者の利害に真に立脚した階級的労働運動の建設と強化は喫緊の課題だ。すでに昨年末からの派遣労働者の切り捨てに反対す労働者・民衆の反撃が開始されている。十月二十九日の日比谷集会には、派遣法抜本改正を求めて二千五百名が結集した。階級的労働運動を軸とした失業と貧困に対決する力強いたたかいを作り出していこうではないか。

 同時(第二)に、反貧困のたたかいと反戦のたたかいを結び付けていくことはきわめて重要だ。資本主義の危機を、労働者・民衆への矛盾の転化と同時に、侵略と戦争によって乗り切ろうとするのは、帝国主義ブルジョアジーの常套手段だ。

 とりわけ現在、沖縄の普天間基地撤去と代替基地建設阻止のたたかいが大きな山場を迎えている。普天間基地の「県外・国外」移設を公約としていたはずの民主党は、アメリカの圧力の前に一挙に腰砕けとなっている。岡田外務大臣の「嘉手納基地への移設案」など、この公約を投げ捨てようとしているのだ。十月十三日のオバマ来日―日米首脳会談で、「日米同盟の深化」なるものを打ち出した。鳩山首相は、「日本外交にとって日米同盟がすべての礎だ。世界環境の変化によって日米同盟を深化・発展させ、建設的、未来志向の新しい日米同盟を作り上げていきたい」と表明している。しかし、ベトナム戦争から「対テロ」戦争にいたるまで、日米同盟は首尾一貫した帝国主義の侵略反革命戦争のための同盟に他ならない。「捨て石」とされた沖縄戦や在日米軍基地によるさまざまな被害など、帝国主の戦争によって筆舌に尽くしがたい苦痛を強要されてきた沖縄民衆の願いと本質的に対立するものだ。

 十一月七日には、岡田の嘉手納統合案に反対して嘉手納町民大会が二千五百名の参加でたたかわれ、翌八日には「辺野古への新基地建設と県内移設に反対する県民大会」が二万千名の参加で大成功のうちに勝ち取られた。『毎日新聞』の世論調査では、沖縄民衆の70%以上が、普天間基地の県内移設に反対してる。沖縄民衆は断固として普天間基地の撤去と新たな基地建設反対の声をあげているのだ。

 沖縄と各地の反戦・反基地のたたかいを結び付け、帝国主義の侵略戦争と対決しよう。このただなかに、労働者の反戦闘争を断固として作り出していこう。

 第三に、日帝足下の反戦・反貧困のたたかいを、全世界の労働者・民衆のたたかいの一翼として組織していこう。

 朝鮮民主主義人民共和国への排外主義キャンペーンや派遣労働の規制に対する「企業が低賃金労働を求めて海外へ逃げていく」というキャンペーンなど、帝国主義者は不断に日帝足下の労働者と他国の労働者を競わせ、対立させることで自らの支配を貫徹しようとしている。日本民族優越思想と差別・排外主義をまきちらす在特会などの動きはこの具体的なあらわれだ。これと対決することは、戦闘的な労働者の大きな任務である。

 この九月、AWCは第三回総会を開催し、労働者の国際連帯運動の大きな一歩を踏み出した。私たちはこのたたかいを断固として支持するとともに、『戦旗』読者のみなさんにこのたたかいへの結集を訴える。

 第四に、このようなたたかいのただなかから、共産主義を労働者の解放の希望として復権していくことだ。

 昨秋からの世界恐慌を受けて、派遣労働者の切り捨てをはじめとする失業と貧困の攻撃が日帝足下でも労働者・民衆にうち下ろされている。残念ながら我々の力不足もあってこれに対する労働者・民衆の怒りは、いったんは民主党を中心とする三党連立政権へと結実した。しかし、民主党を中心とした連立政権が労働者・民衆の階級的利害にたったものでないことは明らかでだ。そもそも、小選挙区制導入による二大政党制攻撃は、資本主義の枠内でブルジョアジーの利害を守るためのものに他ならない。

 我々は民主党を中心とする三党連立政権への幻想を打ち破り、労働者・民衆の怒りを資本主義批判へと組織し、この中から共産主義を労働者・民衆の解放の希望として復権していかなければならない。

 すでに世界では、このたたかいが大きく前進している。一九七〇年代から新自由主義を押しつけられてきた中南米諸国の労働者・民衆は、力強く社会主義への道を歩みはじめている。反グローバリゼーション運動の中からは、「もうひとつの世界は可能だ!」というスローガンをかかげ、社会主義―共産主義を資本主義社会にかわる新たな希望として主張されはじめている。日帝足下の階級闘争のただ中からも、社会主義―共産主義を労働者・民衆の希望として、その復権をかちとっていこう。

 『戦旗』読者のみなさん! 私たち共産主義者同盟(統一委員会)とともに、二〇一〇年の階級闘争の扉をこじあけよう!



 

 

 

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