共産主義者同盟(統一委員会)
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『戦旗』第1336号(2009年10月5日) 辺野古新基地建設絶対阻止 アフガニスタン増派反対 労働者派遣法を抜本改正せよ 全国でたたかう同志・友人の皆さん! 現代帝国主義の危機の中で、世界のブルジョアジーは国内階級支配の破綻に直面している。日本帝国主義において、一九五五年以来続いた自民党支配体制の崩壊も、その一つの現れである。この総選挙では自民党に代わって、民主党が日帝ブルジョアジーの利害を代表する党として登場してきた。われわれは、自民党支配体制を瓦解させた、われわれ労働者人民の憤激を民主党に包摂させることなく、その本来のたたかい、すなわち日本帝国主義打倒のたたかいへ押し上げていくことを強く訴えたい。 まず、AWCが提起している十一月岩国国際反基地集会へ全国から結集していこう。米帝―オバマ政権は「変革」を掲げながらも、米帝自身の世界的な軍事支配を「変革」するのではなく、むしろ強化しようとしている。日帝足下においては、とくに沖縄・岩国・神奈川に対して、強烈な重圧をかけて、基地強化―新基地建設に突き進もうとしている。これに対し、地元住民は断固とした反基地闘争を展開してきている。われわれは、こうした地元住民の反基地闘争と固く結合し、そこからアジアの米軍総撤収をかちとらなければならない。 そして10・11三里塚全国集会に立ち上がろう。日帝が全体重をかけた空港建設―住民たたき出し攻撃に対してたたかい抜く反対同盟とともに、暫定滑走路の即時閉鎖―軍事空港廃港をかちとろうではないか。 ●第1章 反帝国際共同闘争のさらなる前進を 「日米のアジア支配に反対するアジア・キャンペーン」(AWC)は九月、第三回総会を開催した。「アジア太平洋地域の労働者・民衆は団結し、戦争・抑圧・搾取に抗する共同闘争を前進させよう!」というテーマの下に、フィリピン、韓国、台湾、インドネシア、米国からの仲間たちとともに大成功をかちとり、各地での国際連帯集会を展開している。 アジア共同行動日本連絡会議は、この総会の成果に基づいて、反帝国際共同闘争をさらに推し進めていこうとしている。具体的には、第一に、世界恐慌下で、貧困化攻撃と対決する労働者階級人民の国際共同闘争を進めることである。第二に、帝国主義の戦争、軍事支配と対決する反戦闘争、反基地闘争を国際共同闘争として進めることである。とりわけ、アジアからの米軍総撤収に向けた闘いを前進させることだ。世界恐慌が政治危機へと転化する世界情勢のなかで、帝国主義による軍事支配がますます強固なものへと再編されつつある。オバマ政権はアフガニスタンやフィリピンでの「対テロ戦争」を強化しており、アジアにおいては、あくまで既定路線として米軍再編計画が強行されようとしている。われわれはこのAWCの取り組みを断固として支持し、これをアジアにおける反帝統一戦線として建設することを訴える。 目下、AWCが提起している十一月岩国国際反基地集会への全国総決起を実現しよう。 民主党を軸にした連立政権成立の過程で、米帝は米軍再編強行の重圧を強めている。日帝―鳩山政権発足前から米帝―オバマ政権は「再編計画そのものはすでに合意している」として、再編計画そのものの見直しを拒否する姿勢を明らかにしている。この過剰ともいえる米帝の反応は、米軍再編を重圧をもって推し進めるという意思の表明であろう。「普天間基地の県外移設」なる公約を掲げた鳩山民主党は、しかし日米安保をそのものを認め、「日本外交の基軸」としている。その鳩山政権が、日帝ブルジョアジーの利害を貫徹するために米帝と妥協し、米軍再編計画を受け入れる可能性は十分にある。しかし、先の総選挙で沖縄、岩国の住民は米軍再編計画に反対する候補者を当選させている。自公候補が掲げる利益誘導ではなく、住民の基地反対の意思が明らかに示されたのだ。その住民の意思をもって当選した議員、鳩山政権が選挙公約を反故にすれば、それは沖縄・岩国の住民の意思を踏みにじったことになる。われわれは鳩山民主党を支持するものではないが、住民の反基地の意思を鳩山政権にねじ込んでいき、「米軍再編計画の見直し」を米軍基地撤去というかたちで実行させなければならない。日帝の階級支配が動揺している今こそ、沖縄、岩国、神奈川の住民とともに反基地闘争をさらに前進させ、日米安保破棄―基地撤去をつかみとろうではないか。 この反基地闘争は日帝足下に留まらない。世界規模で進められる米軍再編そのものを破綻に追い込んでいかなければならない。韓国、フィリピンをはじめとする反基地闘争・反戦闘争の国際的結合を強め、軍事力による帝国主義を支配を打ち破っていこう。 ●第2章 鳩山由紀夫「私の政治哲学」批判 八月三十日の衆院選で勝利した民主党を軸にした鳩山政権が、特別国会で成立した。民主党と社民党、国民新党の連立政権であり、連立協議過程でも社民党は安保-米軍基地問題などで独自の主張をしたが、巨大与党-民主党が最終的な決定権を握っていくであろうことは明らかである。この民主党において、小沢一郎や前原誠司など反動勢力が執行部の一角を占めていることをはっきりと見なければならないが、同時に鳩山由紀夫代表自身が独自の政治信条をもってブルジョア権力としての政権確立を進めていることを批判していかなくてはならない。 八月衆院選のさなかに『Voice』九月号に発表された鳩山の文章「私の政治哲学」の中に、それははっきりと示されている。鳩山は「政治哲学」のなかで、①反共としての「友愛」を軸足にして、②「資本主義の行き過ぎ」を調整し、③新たな「大東亜共栄圏」を構想している。 まず、鳩山は祖父鳩山一郎から受け継いだ「友愛」の思想の意味を、「全体主義」批判として説明しているが、ここでの「全体主義」とはファシズムと共産主義を一緒くたにした概念である。鳩山は、祖父の一郎が公職追放にあったときにカレルギーの書物を翻訳・出版したことに触れているが、鳩山一郎がなぜ公職追放にあったのか、われわれは忘れてはならないだろう。鳩山一郎は一九三〇年にいわゆる「統帥権干犯」問題を引き起こしたために戦後、公職追放にあった。さらに、京大滝川事件に文相として主体的に関与してもいる。天皇の統帥権を絶対化し、暴虐の度を増す日帝のアジア侵略をおしすすめ、内政においては言論を弾圧した張本人なのだ。その鳩山一郎が戦後、カレルギーの『全体主義国家と個人』を翻訳するにあたって、「戦後日本に吹き荒れるマルクス主義勢力(社民、共産両党や労働運動)の攻勢に抗し、健全な議会制民主主義を作り上げる」ことが狙いだったと鳩山由紀夫は吐露している。このように鳩山一郎は労働者階級人民のたたかいに敵対し続けてきた。その姿勢の哲学的表現が「友愛」にほかならない。また、このような「友愛」の理念が自民党の綱領的文書の一つである『自民党基本憲章』(一九六五年)に書き込まれていたことを特記し、戦後「自民党が内外の社会主義陣営に対峙し、日本の復興と高度経済成長の達成に尽くしたことは大きな功績」であると、かつての自民党一党支配を賛美すらしているのだ。 ではなぜ、鳩山にとって今日の自民党はだめなのかといえば、「変化する時代環境の中で国民生活の質的向上を目ざす政策に転換できない」こと、これを批判しているに過ぎない。つまり、自民党の理念やよし、しかし今のやり方がまずい、ということを改めて確認しているのだ。その帰結として、鳩山の立場から導き出される国家目標の一つとして「資本主義の行き過ぎを正し…国民経済との調整を目指す」ということが掲げられている。鳩山はあくまで、労働者人民の利害を根本に据えるのではなく、あくまでブルジョア権力として、資本の利害を貫徹するために「調整する」事をもって自らの任務としているのだ。鳩山が賛美する過去の自民党支配体制の下では、あくまで日帝ブルジョアジーの利害が貫徹されてきた。現代帝国主義の危機の中で、資本主義社会の矛盾が噴出しているときに、鳩山が具体的にどのような政策を取るのか。日帝ブルジョアジーの利害か労働者階級・被抑圧人民の利害かといった選択を迫られるとき、鳩山の友愛の理念が、社会に噴出する矛盾のまえで砕け散るのは目に見えているではないか。 鳩山のこの立場から出されるもうひとつの国家目標が、「『東アジア共同体』の創造」である。日米安保を「日本外交の基軸」とし、「アジアに位置する国家としてのアイデンティティ」なるものを強調する。その上で、アメリカの影響力の低下を見据えて「国益を守っていく」ことを構想している。それは、『汎ヨーロッパ』を唱えたカレルギーを「EUの父」としたことを強く意識している。ヨーロッパ帝国主義に対抗するアジアの帝国主義国として、中国、韓国、ASEANなどを地域ブロックとしてまとめ上げていくことを構想するものだ。 鳩山の「政治哲学」に示された根本的な立場は、日帝ブルジョアジーの利害の貫徹そのものに他ならない。それは、労働者階級・被抑圧人民の利害とは相容れない。われわれは、自民党支配を拒否した日帝足下の労働者人民の憤激を解き放ち、日本帝国主義打倒へと突き進んでいこうではないか。 ●第3章 10・11三里塚闘争に決起しよう 空港反対同盟は十月十一日全国総決起集会を呼びかけている。この反対同盟の呼びかけに応えて10・11三里塚闘争に決起しようではないか。 空港会社は七月に新誘導路を供用し、十月二十二日に延伸滑走路の供用を開始しようとしている。この暴挙をまずもって弾劾しなければならない。延伸滑走路と新誘導路はいずれも来年三月に供用開始の予定であったのを前倒ししたものである。現在でも危険極まりない農家の上空四十メートルの殺人的離着陸を、ジャンボ機で強行するなどということが許されてはならない。 空港会社は、この延伸滑走路供用開始が危険きわまりないことを承知した上で、生活破壊・営農破壊をさらに極限的に強める意図をもって、この延伸滑走路供用開始-ジャンボ機の離着陸という危険な計画を強行しようとしている。空港会社は、一日中続く極限的な航空機騒音と、オーバーラン事故の危険を突きつけることをもって、農民を叩き出そうとしているのだ。これまでの収用法攻撃、「話し合い」攻撃、軒先工事攻撃でも農民を追い出すことができないとなると、暫定滑走路の供用をはじめた。その騒音・排ガスでも出て行かないとなると、北延伸してジャンボ機を飛ばし、新誘導路で家屋や畑を囲い込む。この間に、暫定滑走路でのオーバーラン事故やA滑走路での墜落事故が引き起こされている。空港会社が、これまで東峰地区・天神峰地区住民にしてきたことは、生活破壊に生活破壊を重ねていくという、地元農民に対するたたき出し攻撃だ。積み重なる失敗のはてに「北延伸」に追い詰められた空港会社は、それでもなお南側への延伸を執念深く企てている。空港会社の利害のためなら、人命すら関係なく、何でもやるということだ。 そもそも北延伸にいたる暫定滑走路そのものが彌縫策の積み重ねだったところに、七月新誘導路の供用開始でも十分な運用ができないとして、七月四日には第三の誘導路計画が公然化した。この計画では、市東さん宅・畑が完全に空港に取り囲まれる形となる。七月に供用された新誘導路では、すでに東峰地区住民が空港に取り込まれている。この空港会社の暴挙、人を人として見ない暴挙を絶対に許してはならない。 さらに、市東さんの農地をなんとしても強奪しようという空港会社は、農地法を根拠にして民事訴訟を起こしている。司法権力一体となり「合法」を装って、市東さんの農地を奪おうと目論んでいるのだ。しかし、裁判闘争の過程で明らかになっているのは、市東さんの農地を奪うために、数々の違法行為を重ねている空港会社の無様な姿だ。ここでは一点だけ指摘しておけば、事足りるだろう。空港会社が市東さんの畑を取得した当時、空港会社の本社は東京を所在地にしていた。つまり空港会社は不在地主として農地を保有していた。しかし、農地法は不在地主を否定しているのだ。 今たたかわれている裁判闘争において、一事が万事この調子なのだ。天神峰現闘本部裁判においても同様だ。しかし、千葉地裁の仲戸川は、被告が反対同盟である、原告が空港会社であるということをもって、まったく偏向した訴訟指揮を行っている。仲戸川は現闘本部の実地検証を行わないままに、十一月十二日の最終弁論で結審しようとしている。仮執行宣言つきの判決でもって、反対同盟の闘争拠点を破壊しようとしている。仲戸川は、原告被告双方からの実地検証の要求に耳をふさぎ、真実を明らかにするどころか、真実を隠蔽したまま証拠もろとも闇に葬り去ろうというのだ。理路を尽くさず反対同盟の要求を却下し、説明を要求すれば訴訟指揮権をもって拒否する、このように裁判の内実を破壊しているのは裁判長・仲戸川なのだ。このような裁判で下される判決を受け入れる道理は、いっさい無い。仲戸川の破壊策動を粉砕して天神峰現闘本部を守り抜かなければならない。 現地攻防と法廷闘争を一体にたたかい、天神峰現闘本部と市東さんの農地を守りぬいていこう。 民主党を軸にした鳩山政権が登場した今秋において、反戦の砦としての三里塚闘争の位置を再確認し、軍事空港廃港のスローガンを一貫して掲げてきた反対同盟とともに10・11三里塚現地闘争をたたかおう。 三里塚闘争は日本帝国主義の全体重をかけた成田空港建設強行を四十三年にわたって粉砕し続けてきた。この反帝闘争拠点としての三里塚闘争の前進こそが、民主党への甘い幻想を突き崩すのである。徹底非妥協・実力闘争を貫徹してきた三里塚闘争のように、徹底した反帝闘争の実践があってこそ、帝国主義批判は現実的な意味をもつだろう。 今三里塚にかけられた攻撃を全国の住民運動との結合の中で打ち破っていくことが重要である。「国策」-侵略反革命拠点建設を三里塚の地で粉砕し、日帝の国家目標に痛打を浴びせていくことである。日帝の国家目標を打ち砕くたたかいは、反基地闘争を先頭とした全国の住民運動に展望をきりひらき、日本の反帝闘争の国際主義的な意義を鮮明にするものである。 北原事務局長は常々、三里塚でまず勝利しようではないか、と呼びかけてきた。それは、三里塚だけの勝利を言っているのではない。労働者階級人民の反帝闘争の拠点である三里塚闘争で勝利を掴み取ることは、全国の住民闘争、反基地闘争、反戦闘争に波及する。だからこそ、全人民の闘争拠点という位置づけをもって結集し、巨万の人民の力を突きつけて空港会社を追い詰めていくことが、喫緊の課題なのである。 われわれは、反帝闘争として沖縄、岩国、神奈川をはじめとした全国の反基地闘争をたたかいぬいていく。今、三里塚闘争が沖縄解放闘争と結合して、勝利に向けたたかいを進めていくことは重要な意義をもっている。農民、労働者をはじめとする全人民が、その憤激をブルジョア政党-民主党にからめとられてはならない。自らの解放をかけたたたかいとして、10・11三里塚に決起していこうではないか。 |
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