共産主義者同盟(統一委員会)

 

■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

■ENGLISH

■リンク

 

□ホームに戻る

『戦旗』第1328号(2009年5月20日)




 
  不当解雇阻止! 階級的労働運動の再生を

  恐慌下、貧困化攻撃打ち破れ

  沖縄―岩国―神奈川を結び労働者階級は反戦闘争を闘おう


  北延伸、新誘導路の供用開始許すな

  7月三里塚現地闘争に決起しよう



 全国でたたかう同志・友人の皆さん、『戦旗』読者の皆さん。日本帝国主義ブルジョアジーは、麻生以下自公政権も、小沢民主もともに腐敗した姿を覆い隠しようもなく、到来した世界恐慌のさなか、全くその展望を見いだせないままに漂流している。われわれはかかる経済危機を、まさしくブルジョアジーどもの支配の危機、政治危機へと転化すべく、日夜奮闘するのでなくてはならない。

 ブルジョアジーどもがまやかしの「好況」「繁栄」を装うことがもはやかなわなくなったという点において、現状は人民と革命派にとってのまたとない好機である。資本家どもと労働者人民の利害は対立しこそすれ一致などせず共有もできはしないということを、あらためて人民の中に分け入って、今こそ訴えなければならない。

 朝鮮民主主義人民共和国の「ミサイル発射」を口実とした戦時体制づくりに続き、麻生は南米で発生したとされる「新型インフルエンザ」の流行に際しても、「国家の危機管理上の重要課題」と言いなして対策本部を設置、さらには「集会の自粛」要請にまで言及してみせた。また、総選挙の争点のひとつとして「安全保障」を掲げる構えである。ブルジョアジーとプロレタリア上層部に対して、「危機」を突破してお前たちの「安全を保障」するのは自分たちなのだとアピールしようという肚だ。しかしその具体的展望など何があろう。呼号される「危機」の二文字にわれわれはわれわれのたたかいの前進を見る。奴らの恐怖をそこに見る。「危機」とは誰にとってのそれであるか、敵は誰であるのかを、われわれは今こそ人民に指し示そう。排外主義、愛国主義と対決し、海の向こうに連帯の手を伸ばそう。



  ●1章 「グアム移転協定」―米軍再編協定を粉砕しよう


 開会中の国会で、いわゆる「グアム移転協定」(「第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」)の批准が狙われている。二月十七日、米国務長官クリントンと外相中曽根とで署名されたこの協定は、在沖海兵隊のグアムへの移転と新基地建設、それへの日帝の資金拠出について(もちろんそれ自体も許しがたいが)のみ言及しているわけではない。米軍再編計画のこれ以上の遅延は許されないとばかり、〇六年五月のいわゆる「ロードマップ」(「再編の実施のためのロードマップ」)をあらためて法的に根拠づけようしているのであり、「米軍再編推進」協定そのものだ。絶対に許してはならない。

 協定は国内的には表向き、「財政支出の明確化」を強調してみせている。グアムへの海兵隊の移転・新基地の建設に際する巨額の支出に関してその上限を定め(当たり前だ!)、米帝によるそれ以外への流用を認めない、としている(当たり前だ!)。ただそれが目的であるならばそれだけ言及していればいい。しかしいっぽう協定は日本語訳で三分の一をも占める冗長な前文でわざわざ、くだくだとしつこく「ロードマップ」に言及してみせる。くりかえし「ロードマップ」の存在とその内容について「認識」し「想起」し「再確認」しさらには「強調」したあげくに、見逃すことの出来ない核心点はやはり前文の中にある。「ロードマップにおいて、その全体が一括の再編案となっている」「沖縄に関連する再編案は、相互に関連している」「嘉手納飛行場以南の施設及び区域の統合並びに土地の返還は、第三海兵……隊の要員……の沖縄からグアムへの移転を完了することにかかっており」「同部隊の……移転は(1)普天間飛行場の代替施設の完成に向けての具体的な進展並びに(2)グアムにおいて必要となる施設及び基盤の整備に対する日本国の資金面での貢献にかかっている」のだと、すべてを一体の「パッケージ」として押し出している。

 「ロードマップ」の合意から実に丸三年も経て、改めて日米防衛当局がこの協定を結びさらに批准に持ち込まねばならないのは第一に、沖縄をはじめとした人民の反撃のたたかいの前に米軍再編計画が遅々として進んでいないからだ。沖縄で、岩国で、神奈川で前進する人民の反基地・反米軍再編のたたかいを、「ロードマップ」「グアム移転」の国際公約化を背景に叩きつぶそうとするあからさまな共同の意図がある。

 さらに第二には、「政権交代」が切迫する情勢下、今後の「新政権」の手足を今から縛っておきたいという事情がある。インド洋で米艦船への給油を行う「新テロ特措法」に反対し、「対等な日米関係」を公言する小沢率いる民主党が政権奪取をうかがう今日、新政権下でも米軍再編を推進する「確約」を取り付けておかないことには米帝は安心ができない(小沢にそれを言わせているのは人民の憤激とたたかいの前進あればこそである)。基地建設の費用を引き出せないことになりかねないからだ。そしてそれが出来るのは、たとえ参院で否決されたとしても衆院における与党の議席「三分の二」の再議決で通せる、今をおいてない。まさにほかに選択の余地のない、日米防衛当局によるぎりぎりの方策として「グアム移転協定」はある。

 第三に、ただただ米帝の世界戦略の中に従属させられている、というばかりではなく、日帝自身のもくろみも協定には含まれている。既に外務省所管のシンクタンク「平和・安全保障研究所」の理事長西原正(元防衛大学校長)は〇七年九月段階で「日本にとっての米軍グアム基地再編」なる提言において、〇五年2プラス2における中間報告「日米同盟〜未来のための変革と再編」での確認にもとづき、グアム基地を自衛隊の基地として、特に航空自衛隊について、訓練空域に制限の多い国内ではできない訓練を実施すべく、恒常的に活用すべきだとぶち上げている。金を出す以上、口を出す余地も担保しておきたい、というのが日帝の思惑である。かかる意味において、ただ緊縮財政下における「巨額の財政負担」と米帝への「屈従」ぶりばかりが問題であるかのごとくに麻生政権を批判する日本共産党はじめ議会内政党は誤っている。

 四月五日、オバマはプラハにおいて演説し、原爆を投下したことへの「道義的責任」に言及しつつ、核廃絶を目指して具体的行動を起こすことを宣言した。そこだけを見れば結構なことと言うべきではあるが、アメリカが帝国主義として歩むことを止めるわけでもない。日帝に対しての通常兵器のよりいっそうの強化、負担の肩代わり、戦略上の一体化を求めて来ることは明らかだ。オバマの欺瞞を明らかにしつつ、核も帝国主義戦争もない時代をたぐりよせよう。



  ●2章 沖縄―「本土」貫いて米軍再編を阻止しよう


 協定の批准=米軍再編を許さず、実質的に阻止する人民のたたかいは、各地で前進している。沖縄県議会は既に三月二十五日、協定を批准しないよう麻生らに求める意見書を採択した。米軍再編が、金科玉条のごとく言われる「沖縄の負担の軽減」になど絶対につながらないことを見抜き、暴露している。嘉手納基地の昨年度の騒音発生回数は、この五年間での最高を記録した(四月一日)。「本土」への訓練移転は「軽減」につながってなどいない。五月一日には『読売新聞』がオスプレイの名護への配備計画を報じた。これによれば一二年秋から一四年夏にかけて、既存のヘリと入れ替えて配備することが、〇九年会計年度の「海兵隊航空計画」にうたわれている。騒音も、墜落の危険も増大することは疑いない。この現実のどこが「負担の軽減」だというのか!

 また辺野古の新基地建設に対しては、違法・でたらめな環境アセスメントに対するたたかいが取り組まれている。四月一日、沖縄防衛局は五千四百ページものアセスメント準備書を提出。二十二日からの三日間、名護など三カ所で形ばかりの住民説明会を開き、何も答えることなく逃げ帰った。これに対する反撃として意見書の提出が全国に呼びかけられている。説明できない、説明する気もない準備書など、手続きの体をなしていない。違法で不当なものだ。沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団の呼びかけに応えて、全国から意見書を集中させよう! 五・一五沖縄闘争に決起し、勝利しよう。

 岩国においても人民のたたかいは福田市政を追いつめている。三月二十三日には爆音訴訟が起こされ、続いて四月十二日には愛宕山への米軍住宅建設を許さない住民集会がかちとられ、「この地に星条旗は掲げさせない」と宣言した。四月二十四日、米軍住宅受け入れを内諾している市の内部文書について市は非開示とした。そうせざるを得なかった。文書を公開すればすべては終わり。市民に対して国も県もともに嘘をつき続けて来たことがばれ、再編計画受け入れは頓挫せざるを得ないからである。非開示を決めたことに対して、行政訴訟も準備されている。そうなれば福田市政の敗北は必至だ。先の読売の報道では、岩国にはF18ホーネットに替えてステルス機能と垂直離着陸機能を持つ「F35」の配備が計画されているという(二〇一六年)。オスプレイ同様、垂直離着陸機の騒音の凄まじさと墜落の危険はつとに指摘されるところだ。このようなものを招き入れさせて絶対になるものか! 「グアム移転協定」批准阻止のたたかいは議会内においてのみ取り組まれるのではない。自公が数をたのみに押し切る構えだとしても、それを食い破り協定の実質破綻に追い込んで行くことは全く可能だ。五月十二日には委員会採決の予定といわれ、国会行動が取り組まれる。沖縄―「本土」を結び、アジア・世界民衆との連帯のもと、米軍再編を粉砕しよう!



  ●3章 不当解雇を許さず、階級的労働運動の前進を


 大不況下、労働者に対して首切りの嵐が吹き荒れている。今年三月の完全失業率は二月から一気に0・4%跳ね上がって、4・8%となった。既に解雇の波は昨年秋からのいわゆる「派遣切り」=非正規雇用労働者を対象としたそれにとどまらず、正規雇用層へと及ぼうとしている。日本国内においても今年中に失業率が空前の6%に達し、年末までに二百七十万人が失職するとの予測もある(大和総研による)。

 おりしも連合の前会長鷲尾悦也は四月二十九日、こともあろうに叙勲を受けて小躍りし、「労働運動がいただいたもの」などと許すまじき暴言を吐いた。労働者のたたかいが、天皇に認められるためになどあるものか! 冗談ではない! しかしまさにその時期、その腐敗を荒々しく乗り越えるメーデー闘争が各地においてたたかわれた。都下においては「全都野宿者メーデー」と、「自由と生存のメーデー」が弾圧をはね返してたたかわれた。また五月一日には東京・日比谷メーデーをはじめ全国で、既存の指導部をハナから相手としないメーデーが、様々な形態でたたかい取られている。日帝足下、爆発的に伝播しているのはあいにくインフルエンザなどではない。資本からすればそれよりはるかに恐ろしい、労働者、非正規雇用層の決起なのである。



  ●4章 6月国際連帯運動を前進させよう


 恐慌下、排外主義の嵐が吹き荒れようとしている。

 四月十一日、埼玉県蕨市で「在日特権を許さない市民の会」が滞日の認められたフィリピン国籍の児童を標的とした外国人排斥デモを行い、それを批判し抗議した二名が逮捕された。法相の決定が出た後の、しかも児童の通う学校近くで個人名を挙げながらのデモ行進には、「度の過ぎた弱いものいじめだ」と、右派の側からさえ批判、疑問が投げかけられていたが、彼らは「市民運動」を標榜しつつそれを強行した。従来の右翼ファシストの主張、手法とは意識的に一線を画した、新たな排外主義運動が勃興しているのだととらえなければならない。復古・反動志向ではなく、「市民」を標榜し合法性を強調する運動スタイルなど、言ってみればまことに戦後民主主義的な彼らはしかし、戦後日本が産み落とした最も唾棄すべき鬼っ子であるというべきだ。右派の側からも、従来のありようを批判しつつ「乗り越える」動きが現れている、ということであり、監視と批判を怠ってはならない。滞日外国人労働者との連帯を今こそ強めなくてはならない。とりわけても、労働者であるということすら認められずに低賃金での奴隷的労働を強いられるアジアからの研修生、実習生たちの置かれた情況は深刻だ。労働組合を中心に各地で開始された連帯・支援の動きをさらに促進し、アジア人労働者の苦汗労働で恐慌を突破しようとする日帝のもくろみを粉砕しよう。入管法―入管体制の強化・改悪を許すな。

 また、三月期からの「ミサイル」キャンペーンは在日朝鮮人民に対する排外主義―抹殺攻撃としてかけられた。安保理議長声明をてこに、日米は共和国へのさらなる軍事的経済的圧力を強めようとしている。在日朝鮮人民の「資産凍結」をなど、絶対許してはならない。

 四月二十八日、フィリピンISAに参加しようとしたアジア共同行動の派遣団が、まったく不当な弾圧を受けた。空港に長時間の足止めを強いられ、「ブラックリストに載っている」とされた一名が翌日、入国を許されず強制送還となったのだ。日比連帯運動への妨害であり敵対だ。弾圧をはねのけてかちとられたISAの成果を、予定されている六月アジア共同行動へとつなげよう。戦争と貧困に反対するたたかいを六月期、全国で組織しよう。アジア人民と連帯し、恐慌を世界革命へと転化しよう。

 ブルジョアジーどもがまやかしの「好況」「繁栄」を装うことがもはやかなわなくなったという点において、現状は人民と革命派にとってのまたとない好機である。資本家どもと労働者人民の利害は対立しこそすれ一致などせず共有もできはしないということを、あらためて人民の中に分け入って、今こそ訴えなければならない。

 朝鮮民主主義人民共和国の「ミサイル発射」を口実とした戦時体制づくりに続き、麻生は南米で発生したとされる「新型インフルエンザ」の流行に際しても、「国家の危機管理上の重要課題」と言いなして対策本部を設置、さらには「集会の自粛」要請にまで言及してみせた。また、総選挙の争点のひとつとして「安全保障」を掲げる構えである。ブルジョアジーとプロレタリア上層部に対して、「危機」を突破してお前たちの「安全を保障」するのは自分たちなのだとアピールしようという肚だ。しかしその具体的展望など何があろう。呼号される「危機」の二文字にわれわれはわれわれのたたかいの前進を見る。奴らの恐怖をそこに見る。「危機」とは誰にとってのそれであるか、敵は誰であるのかを、われわれは今こそ人民に指し示そう。排外主義、愛国主義と対決し、海の向こうに連帯の手を伸ばそう。

 

 

 

当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006-2007, Japan Communist League, All Rights Reserved.