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『戦旗』第1327号(2009年5月5日)




 米軍再編粉砕! 新基地建設阻止! 許すな自衛隊海外派兵

 沖縄―「本土」貫き決起しよう

 不当解雇絶対阻止!

 労働者階級が反戦闘争の先頭に





 全国のたたかう労働者・学生のみなさん! 『戦旗』読者のみなさん!

 日帝・麻生政権は四月五日の朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)による人工衛星打ち上げを「ミサイル発射」だと言いなし、その迎撃のために自衛隊を実戦配備し、労働者人民を臨戦態勢のもとに動員しようとしてきた。またこれと並行して、国会においては辺野古新基地―米軍再編実施のためのグアム移転協定が衆議院で強行可決された。今こそ排外主義煽動と対決し、日帝の戦争国家化とたたかい抜いていかなくてはならない。在日朝鮮人への人権侵害・政治弾圧をゆるさず、日帝による臨戦態勢構築を弾劾してたたかおう。米軍再編・日米軍事同盟強化とたたかう地元住民のたたかいに連帯し、アジアからの米軍の総撤収の実現に向けてたたかおう。沖縄反革命統合三十七ヵ年を糾弾し、五・一五沖縄現地闘争に決起しよう!



 ●1章 共和国への排外主義扇動弾劾、侵略戦争動員体制を許すな


 四月五日に行われた朝鮮民主主義人民共和国の人工衛星の打ち上げに対して、日本政府・麻生政権はミサイル防衛(MD)システムを発動した迎撃態勢をとり、さらに四月十日には共和国への独自制裁の一年延長と追加制裁措置を決定した。われわれはこれらの日本政府の動きを徹底的に弾劾する。

 日本政府はまさに臨戦態勢をもって事態に臨んだ。日本政府は人口衛星の打ち上げを「ミサイル発射だ」と一方的に決め付け、あたかも日本に向かってミサイルが実際に打ち込まれるかのごとく騒ぎ立て、朝鮮民主主義人民共和国に対する排外主義を煽動してきた。そして、共和国が試験通信衛星「光明星二号」を打ち上げると発表したのを受けて、三月二十七日には共和国が発射した「飛翔体が事故などによって我が国に落下した場合に備える」などとして浜田靖一防衛大臣によってミサイル防衛(MD)システムを使った「破壊措置命令」が発令された。これを受けて防衛省は、海上配備型迎撃ミサイルSM3を搭載したイージス艦「こんごう」と「ちょうかい」を日本海に展開させ、加えて地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)を秋田、岩手、さらには東京など首都圏の計九カ所に配備した。また、このような自衛隊の実践配備と連動して、地方自治体においても「危機管理本部」などが設置され、「国民保護計画」にそった形で非常体制がとられた。まさに、共和国による人工衛星の打ち上げという事態を利用して、地方自治体を通して労働者人民を臨戦態勢に動員していくことが図られたのだ。

 ところで、一九六六年に採択された国連宇宙条約はすべての国に対して、宇宙探査・利用の自由、宇宙空間の領有禁止、平和利用などの原則を定めている。人工衛星の打ち上げはあらゆる国に認められている権利である。この点で国際法上の手続きをとって進められた今回の共和国による人工衛星の打ち上げには国際法上の何の問題もない。これまでどの国の人工衛星の打ち上げも制裁の対象にされたことはなかったし、他ならぬ日本もまた種子島の宇宙開発センターから独自のロケット発射実験を繰り返してきた。しかし、日本政府は共和国による人工衛星の打ち上げを「長距離弾道ミサイルの発射だ」と一方的に強弁し迎撃と制裁の対象にしてきた。このような日本政府の主張は、何か説得力ある証拠をもってなされてきたものではない。それはただ、共和国に対する恐怖と敵対心、排外主義を煽り、それを利用して支持率の低迷にあえぐ政権の浮揚と臨戦態勢への総動員を狙うためのものであった。

 マスコミもまた麻生政権の「ミサイル発射」キャンペーンに全面的に合流した。テレビ、新聞、週刊誌などで連日のように「ミサイル」問題が騒ぎ立てられ、共和国に対する敵意と排外主義が煽られ続けた。なぜそれが「ミサイル」といえるのかを自ら検証することもなく、政府の発表をそのまま垂れ流し、臨戦態勢への労働者人民の動員の旗振り役となったブルジョアメディアをもまたわれわれは弾劾しなくてはならない。

 事態は実に恐るべきものだ。それは、アメリカ帝国主義・ブッシュ前政権が「イラクが大量破壊兵器を保有している」と一方的に決め付け、それを口実にしてイラクに対する侵略戦争へと突進していったことを想起させる。われわれは政府やメディアによる排外主義煽動と対決しぬき、虚構の「ミサイル発射」を口実にした臨戦態勢の構築・侵略戦争動員態勢づくりに対する正面からの反撃を組織していかなくてはならない。

 今回の共和国による人工衛星の打ち上げを理由にして、日本政府は四月十日には日本独自の制裁の期間を半年から一年へと延長し、在日朝鮮人が祖国訪問時に持参できる金額をより制限するなどの追加制裁措置を閣議決定した。虚構にもとづくこの制裁の延長・強化をわれわれは弾劾する。だが、事態はそれだけにとどまらない。政府・与党内では朝鮮総連などへの資産凍結、在日朝鮮人の再入国原則禁止などさらなる制裁措置も検討されてきた。また、自衛隊が「敵基地攻撃能力」を持つべきだという先制攻撃の論理さえ公然と口にされ始めている。

 このような事態を放置しておいてはならない。アジア共同行動日本連絡会議は、一連の事態のなかで、四月六日には大阪の防衛省近畿局に対して、四月八日には東京の防衛省に対して抗議行動を展開してきた。排外主義と正面からたたかい、在日朝鮮人に対する人権侵害・政治弾圧に反対し、侵略戦争動員態勢づくりを阻止するたたかいへと立ち上がろう。



 ●2章 グアム協定粉砕! 沖縄―「本土」を貫く闘いを


 四月十四日、政府・与党の賛成多数によって「在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定」の協定締結案件が衆議院本会議で強行可決された。それは沖縄県議会での協定反対決議、直前の県議会と沖縄反基地運動による上京団の対政府・国会要請行動を踏みにじっておこなわれたものだ。われわれはこれを徹底的に弾劾しなくてはならない。

 日本政府・麻生政権はこの協定を「沖縄の負担軽減」のためとしている。しかし、それはまったくの欺まんに他ならない。

 このグアム移転協定の核心は、なによりも二〇〇六年五月の日米ロードマップにもとづいて、米軍再編の完全実施を図ろうとする点にある。つまり、辺野古に新たな基地を建設しなければ、米国は「嘉手納以南の基地返還」にも応じないとして、普天間基地の「県内」移設―辺野古における新基地建設を「法的拘束力」をもって推進していこうとするものだ。

 グアム移転協定はまた、外国での基地・関連施設の建設のために巨額の税金を投入することを確約するという前代未聞の協定でもある。沖縄からグアムへの海兵隊の移転費用は、総額で一〇二・七億ドルと算出され、日本側が総計六〇・九億ドルを負担するという。今回の協定には、このうち米軍向け隊舎の整備に関連する「真水事業」のために日本側が上限二十八億ドルを直接負担することが明記されている(家族向け住宅などその他の整備費は、事業主体へ出資・融資する国際協力銀行に日本政府が出資する形でおこなわれる)。だが、日本政府は米軍向け隊舎がどれだけ必要になるのかも明らかにできていない。巨額の税金を差し出すことを約束する一方で、その根拠となる事業の具体的な規模さえ明らかにできないでたらめぶりだ。また、日本政府が宣伝する沖縄からの「海兵隊員八千人の削減」についてもあいまいなものになってきている。「(移転を)実行する時点で実際に何人動くか分からない」(外務省・梅本和義北米局長)など実に無責任な発言がなされているのだ。

 いずれにせよグアム移転協定は、辺野古新基地建設―米軍再編完全実施のための恫喝であり、それを「沖縄の負担軽減」と言いなす欺まん的な協定だ。求められているのは普天間基地の即時閉鎖と辺野古新基地建設の中止であり、沖縄からの軍事基地の全面的な撤去である。沖縄人民と連帯し、グアム移転協定の締結を許さずにたたかおう。現地でのたたかいと結びついてたたかうことが決定的に重要だ。沖縄防衛局はこのかん辺野古沖で実施していた環境影響評価(アセスメント)の年間調査を三月までに終了し、四月からは提出された準備書の公告縦覧が始まっている。それは結局「環境への影響はない」として新基地建設にお墨付きを与え、辺野古新基地建設の「二〇一四年完成」に向かってまい進しようとするものだ。新たな段階に入った辺野古新基地建設策動に対して、現地でたたかう命を守る会、ヘリ基地反対協との連帯を強め、現地闘争への決起と全国各地における連帯行動をさらに強化していこう。また、東村高江でのヘリパッド建設阻止闘争をめぐっては、住民による座り込み・監視行動に対して、那覇防衛局が「通行妨害禁止」「テント小屋撤去」を求める仮処分申請を那覇地裁に提出するなど司法の手を借りたたたかいへの弾圧に踏み出している。だが、高江の住民は「住民の生活を妨害しているのは誰なのか」「ヘリパッド建設こそ人権侵害だ」として敢然とたたかい抜いている。この住民のたたかいと連帯し、ヘリパッド建設を阻止しよう。

 今年は一六〇九年の薩摩による琉球侵略から四百年、一八七九年の日本・天皇制権力による「琉球処分」から百三十年目にあたる。このような歴史の節目のなかでたたかい抜かれている沖縄人民の反戦・反基地闘争、沖縄解放闘争に連帯し、五・一五沖縄現地闘争に立ち上がっていこうではないか。同時に、これを「天皇在位二〇年」の奉祝キャンペーン、アキヒト・ミチコの「ご成婚五十年」のキャンペーンが張られるなかで、天皇・天皇制の戦争責任を追及し、天皇制・天皇制イデオロギー攻撃を粉砕するたたかいとして発展させていこう。

 一昨年秋、沖縄人民は「復帰」後最大規模の十一万六千人の総決起で「九・二九教科書検定意見撤回を求める県民大会」をかちとった。それは沖縄戦の真実を歪曲しようとする日本帝国主義国家権力に対する沖縄人民の怒りの爆発であった。沖縄戦は、日本帝国主義のアジア侵略戦争における敗北の過程で「国体護持」=天皇制の延命のための「捨て石」作戦としておこなわれ、おびただしい数の犠牲を沖縄人民に強制した。日帝の敗北後も「天皇メッセージ」によって、沖縄は米軍政の支配下に留め置かれた。一九七二年の日帝による沖縄反革命統合は、日米安保体制のもとで在沖米軍基地を永久固定化しようとするものであった。薩摩による琉球侵略四百年、「琉球処分」から百三十年にあたる今日、われわれはあらためて日本の近現代史を対象化し、沖縄人民の解放闘争に連帯し、沖縄差別軍事支配を打破するたたかいを共に担い抜いていかなくてはならない。沖縄―「本土」を貫くたたかいで安保粉砕・基地撤去をかちとろう! 日帝による沖縄反革命統合三十七カ年を糾弾し、五・一五沖縄現地闘争に決起しよう!



 ●3章 反戦・反基地闘争を闘い、日米のアジア支配打ち破れ


 沖縄をはじめとして各地で米軍再編・基地強化とたたかう住民に連帯する運動をつくりだしていくことは、全国の労働者・学生にとって、日米帝国主義のアジア軍事支配・侵略戦争体制づくりを打ち破っていくための現在におけるきわめて重要な課題である。

 沖縄や神奈川とならんで米軍再編の焦点のひとつとなっている岩国においては、このかん愛宕山を守る市民連絡会が呼びかけた「愛宕山の米軍住宅化は絶対に許さない!請願署名」が当初の目標を大きく上回る十一万人に達し、四月七日には岩国現地からの上京団によって防衛省に対する署名提出行動がおこなわれた。またそれに続く四月十二日には、「愛宕山に米軍住宅も米軍施設もいらない!」というスローガンを掲げた「四・一二愛宕山大集会」が二千人の結集で成功裏にかちとられた。その集会アピールは「生活を脅かす愛宕山への米軍住宅、米軍施設に反対し、愛宕山開発が市民のために有効につかわれることを強く訴えます」「米軍住宅も米軍施設もつくらせない為さらに運動を強めることを決意します」と市民の意思を力強く明らかにしている。岩国においては、これに先立つ三月に爆音訴訟原告団が結成され、原告は四百七十八人に達している。これは岩国市民による初めての爆音訴訟であると同時に、厚木基地からの空母艦載機の移転の差し止めをも要求し、日米政府の米軍再編計画に正面から挑戦する画期的なたたかいだ。

 米軍再編とのたたかいはひとり基地周辺住民だけのたたかいなのではない。それは日米軍事同盟を基軸にし、そのために基地周辺の住民に犠牲を押しつけることをいとわない日本政府のあり方、膨大な労働者に貧困を強制しながら巨額の軍事予算をもって侵略戦争体制づくりにまい進する日本政府のあり方を問うたたかいであり、日米帝国主義と対決する全国的、全人民的な課題なのだ。沖縄、岩国、神奈川をはじめとする現地住民のたたかいと連帯し、米軍再編―日米軍事同盟強化に対するたたかいを全国的、全人民的な闘争へとさらに大きく押し上げていくためにたたかおう。

 同時にまた、そのたたかいとアジアにおける反戦・反基地闘争の結合を推進し、アジアから米軍の総撤収をかちとるアジア人民の共同闘争の前進をかちとっていこう。ムンゴ里米軍訓練場拡張阻止闘争をはじめとする韓国における反基地闘争、米比合同軍事演習バリカタンの実施を弾劾し、それへの参加を口実にした米軍のフィリピン再駐留とたたかい続けるフィリピン人民のたたかいをはじめアジア各地での反基地・反米軍闘争に連帯してたたかおう。また、基地強化がすすめられようとするグアムにおいても先住民をはじめとしたたたかいがある。アジアにおける反戦・反基地闘争、反帝国主義闘争の国際連帯を進め、日米のアジア支配を打ち破るたたかいをさらにいっそう前進させていこうではないか。

 全国のたたかう労働者・学生のみなさん! 『戦旗』読者のみなさん! 排外主義煽動と対決し、日帝の戦争国家化を粉砕しよう! アジア人民と連帯し、日米のアジア支配を打ち倒して労働者人民の世界を築きあげていくために共にたたかおう!


 

 

 

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