共産主義者同盟(統一委員会)
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『戦旗』第1324号(2009年3月20日) 米軍基地再編攻撃打ち破れ 派遣切り・賃金カットを許すな 金融恐慌下、貧困化攻撃と対決しよう 反戦・反帝かかげ国際共同行動の前進をかちとろう 本年二月十六日来日したヒラリー・クリントン米国務長官は中曽根外相と会談、「沖縄駐留海兵隊のグアム移転に関する協定」なるものを取り結んだ。この「協定」はその表題に「グアム移転」などという文言を掲げているはものの、その実は米軍再編に関する日米合意内容をパッケージにした米軍再編協定以外の何物でもない! 沖縄人民はすでに弾劾の声をあげている。沖縄人民のたたかいに結合し、「米軍再編協定」弾劾! 協定批准阻止! を掲げ米軍再編攻撃とたたかっていこうではないか! 日帝麻生と米帝オバマとの反革命会談が二月二十四日行われた。支持率の急落にあえぐ麻生首相にとって、圧倒的支持率を誇るオバマ大統領との会談は願ってもない「好機」であったことは間違いない。しかしオバマ新大統領はアフガニスタンへの増派を強行しようとし、さらにまたイスラエルの「防衛権」なるものを擁護し、中東・アラブ・パレスチナ人民の虐殺を正当化する帝国主義者であることは明白である。日米の両帝国主義首脳の会談なぞ、たたかうアジア人民・全世界プロレタリアート人民にとって弾劾の対象でしかない! その麻生政権は政権の命運がつきようとしている現在、ソマリア沖に自衛隊を派遣しようとしている。一方、国内においては貧困化攻撃が激化し、労働者階級は生命維持ギリギリの状況にたたき込まれている。貧困化攻撃を強め、ソマリア派兵を強行する麻生政権を許すな! 3・29三里塚全国総決起集会に結集し、「反戦の砦」三里塚から麻生政権打倒へ攻めのぼれ! ●第1章 日米同盟の強化弾劾! 米軍基地をたたき出せ 二月二十四日、米ワシントンにおいて日米首脳会談が行われた。 支持率低迷にあえぐ麻生政権の政権浮揚策として位置付けられたこの会談も、あまりの準備不足により共同記者会見すら組織できずに、なんら具体的な中身が確認されたものにはならなかった。一方オバマ新大統領は主要な問題意識を当日の施政方針演説にさきながらも、日本のアフガニスタン支援や米国債引き受けに繋げるという思惑をもって会談に臨んだと言われている。 確かに会談の中身はとぼしいものではあったが、オバマは「日本は偉大なパートナー。日米同盟は東アジアの安全保障の礎石」と持ち上げ、日米の同盟強化だけはしっかりと確認してきた。またアフガニスタン問題では、「国際社会がこれまで以上に努力する必要がある。治安やインフラ整備の分野で日本の積極的役割を歓迎したい」として、アフガニスタンへの日本の一層の関与を要請している。 すなわち拙速感が漂う無内容な会談であったが、安保・アフガニスタンという日米同盟の強化だけは強調されたということだ。日米同盟の強化とは何か。それは改めていうまでもなく米軍再編の協力であり、日米軍事一体化であり、「対テロ」を目的とする「国際貢献」にほかならない。 この首脳会談に先立つ十七日、ヒラリー・クリントン米国務長官と中曽根外相が会談を行い、「日米政府は米国のアジア政策の礎石」であることを再確認した。その具体策として「沖縄駐留海兵隊のグアム移転に関する協定」に両外相が署名している。 「グアム移転」を表題に掲げている本協定は、米帝が海兵隊のグアム移転の莫大な経費を日帝に負担させようとする意図にもとづくものであることは間違いない。しかもこの移転費用が水増し請求であることは、すでに〇六年段階で沖縄タイムス等で暴露されている。 そしてこの協定の問題は、移転費用の水増請求ばかりにあるのではない。 本協定は〇六年に「2プラス2」で合意した米軍再編に関する合意内容を「協定」として再確認するものであり、麻生政権はこの「協定」を条約として扱い国会で批准するとしているのである。 協定第三条には「移転は、ロードマップに記載された普天間飛行場の代替施設の完成に向けての日本国政府による具体的な進展にかかっている。日本国政府は、アメリカ合衆国政府との緊密な協力により、ロードマップに記載された普天間飛行場の代替施設を完成する意図を有する」と明記されている。第九条の二項にも同様の中身が書かれている。 つまり本協定の最大の特徴は、海兵隊のグアム移転を掲げながらも普天間の辺野古移設=巨大海上基地建設、さらに厚木―岩国、キャンプ座間などの米軍再編に関する合意内容(ロードマップ)のすべてをパッケージにした協定であるということだ。 オバマ、クリントンは麻生政権の命運が尽きていることを見越したうえで、たとえ民主党政権になったとしても米軍再編を「協定」として保障させようという意図であることは明白である。すなわち「沖縄駐留海兵隊のグアム移転に関する協定」なるものは米軍再編攻撃そのものであり、沖縄人民そして岩国・厚木・座間市民により一層の基地被害を強制する協定以外のなにものでもない!この協定の条約化とは、米軍再編―米軍基地機能強化と拡大のための条約化に他ならない。 一方日帝はこの米軍再編を土台として、米軍・自衛隊の一体的運用を進めている。日米同盟を根拠とした自衛隊のさらなる参戦をソマリア派兵として強行しようとしているのである。 クリントン米国務長官の来日と首脳会談という一連の流れを見る時、米帝は明らかに自公政権以降の政権を視野に入れた対日外交政策を展開している。しかしその実は旧来の米軍再編を踏襲した政策であり、オバマ新体制であろうとその路線に「変化」はないということである。米軍再編と「対テロ」を名目とする「国際貢献」への支援を、日帝といかに意志統一していくのかという米帝の国家意志に「変化」ないということである。 自公政権であろうと、民主党政権であろうと、辺野古新基地建設をはじめとする在日米軍再編を二国間条約として許してはならない。全国で米軍再編阻止闘争のさらなる高揚を勝ち取っていこう! 沖縄人民、全世界プロレタリア人民とともに米軍再編攻撃を粉砕していこうではないか! ●第2章 ソマリア沖派兵阻止−「海賊対策法」制定許すな 日帝―麻生政権は日米同盟を根拠としながら、自衛隊のさらなる参戦―海外での軍事展開を進めようとしている。麻生はソマリア沖での「海賊」対策として、海上自衛隊艦船をソマリア沖に派兵することを決定した。防衛相浜田は「海上警備行動」を拡大解釈して「準備命令」を出した。三月にも派兵を強行しようとしている。呉の海上自衛隊が出動することになっている。 麻生政権は「海上警備行動」を拡大解釈した上で、これとは別に「海賊対策新法」案の作成に入っており、国会に法案を提出しようとしている。「海賊対策新法」とは自衛隊のソマリア沖派遣の際、焦点となっている武器使用基準を緩和する目的で提出される法案である。 自衛隊法に基づく「海上警備行動」では「正当防衛・緊急避難」のみの武器使用が認められている。また「海上警備行動」では海外での自衛隊による武器使用はグレーゾーンとされてしまう。故に、この武器使用を明確化するために新法制定が目論まれたのである。 二月二十五日政府は与党対策プロジェクトチームによる「海賊対策」新法の骨子を提示し大筋で了承した。 その新法の中身は、「海賊対策を警察活動と位置付けたうえで、海上保安庁が対処できない場合、首相の承認を得て海上自衛隊が行動する」(二月二十六日『東京新聞』)として、武器使用に関しては警察活動について定めた「警察官職務執行法」を準用しながら別の規定も追加するとしている。これにより「自衛隊法に基づく海上警備行動で認められている@正当防衛A緊急避難の場合に加え任務遂行のための武器使用を可能にした」「具体的には、海賊船の接近自体を海賊行為と定義し、海賊が攻撃を始める前に停船目的で船体を射撃できる。逃走する海賊船への武器使用も可能」(同前)とされている。 すなわち、対策新法は「海賊対策」を口実とする自衛隊の海外での軍事展開―銃火器の無制限的使用を可能としているのである。しかも今回の派兵はあくまでも「海賊」に対する「警察活動」であるため、従来の「武力行使」にはあたらないというレトリックが使われている。銃火器で武装した軍隊の展開が、「警察行動」として議会に対する報告義務もないまま強行されようとしているのである。 そもそも「海上警備行動」などというものは本来的には海上保安庁の仕事である。それを海上自衛隊までに拡大し、もって海外派兵を行なうということ自体がデタラメなのである。また政府はソマリア沖で武装展開する人々を一般的に「海賊」として規定しているが、それが事実に対応しているのか否か、そしてそれが事実だとしてもその理由はなにかという本来論議されるべき論議は全く行っていない。ただ中国や韓国に先を越されるというだけで、拙速に自衛隊を派遣するというのが政府の発想である。すなわち自衛隊のソマリア沖派兵は、はじめに派兵ありきであり、明らかに海外での軍事展開―恒常的自衛隊の海外派兵、強いて言えば侵略軍としての自衛隊建設に向けた国家意志の現れに他ならない。「海賊対策」「警察活動」を口実とした、自衛隊の恒常的海外派兵攻撃そのものである。 麻生政権は昨年十二月十二日、給油継続法成立を衆議院再議決で強行した。さらに今、ソマリア沖派兵をなそうとし、今後、米オバマ新政権のアフガニスタン増派方針に応じた地上軍派兵になし崩し的につき進もうとしていることは明白である。政権末期状況にある麻生政権は「外交的成果」として自衛隊派兵―参戦に突き進もうとしているのである。 労働者階級の貧困化がドラスティックに進行しているときに、巨額の血税を派兵につぎ込み、戦争問題を「外交的成果」として印象づけ、自らの政権の延命を画策しているのだ。まさに、貧困化と戦争の攻撃を劇的に強めようとしているのは明らかである。われわれは戦争問題と貧困化問題を関連付け、これらの攻撃と対決していかなければならない。自衛隊のソマリア派兵を阻止しよう! 「海賊対策法」制定を許すな! ●第3章 貧困化攻撃を打ち破る春闘に勝利せよ 米帝から全世界に波及した金融恐慌は絶望的な深まりを続けている。内閣府は二月十六日、〇八年十〜十二月の国内総生産(GDP)の速報値が年率換算でマイナス12・7%であったと発表した。七四〜七五年恐慌以来の落ち込みであり、小手先の財政政策をもって、世界で最初に不況から抜け出せるなどという麻生の考えがいかに見当違いのものだったのかが明白になっている。 日帝ブルジョアジーは自己の延命のために派遣労働者、期間工を解雇し路上にたたき出している。われわれは新自由主義に基づいて労働法制の改悪を繰り返してきたことの結果として、現在の雇用形態があることを忘れてはならない。簡単に雇用計画を打ち切り、また労働者を分断していく資本の冷酷な意図が貫かれたことの結果である。 新自由主義政策と冷徹な経済政策をとる現代帝国主義の根底からの批判が問われている。それはまた、労働者階級の利害を鮮明にして資本と対決していく実践的たたかいが問われているということでもある。われわれは今こそ、下層に位置する労働者の権利をはっきりと掲げ、労働者階級の団結した力をもって〇九春闘をたたかっていかなければならない! すでに、日帝ブルジョアジーは〇九春闘に対して 並々ならない反動的「決意」を示している。 〇八年十二月十六日に「二〇〇九年経営労働政策委員会報告」(以下「経労委報告」)なるものが日本経済団体連合会から発表された。この文書はまさに〇九春闘をたたかう労働者に対する挑戦状といっても過言ではない。 「経労委報告」では、まず現状を「現在はオイルショックとバブル崩壊後の長期不況に続く第三の危機的状況」として描く。そしてその「過去の経験・教訓」において「一九七三年の第一次オイルショックを受けて七四年の春季労使交渉時に大規模なストライキが実施され……大幅な賃上げとなった」が、その結果「マクロ経済に悪影響を与え一九七四年は戦後初めてマイナス成長になった」、と露骨なまでにストライキと賃上げ要求に敵対した総括を出している。その上で、以降はストライキも賃上げもさせない「企業の存続を重視した労使の努力」によって危機を乗り越えたことを強調している。 すなわち、労使協調路線こそが経済的危機からの脱却であるかのように主張しているのである。 われわれは国鉄、中小民間、官公労を貫くたたかいと非正規雇用労働者のたたかいを結合させた労働運動の前進を、労使協調路線を大きく突破するたたかいとして位置付け、〇九春闘をたたかっていこうではないか。 第二に「経労委報告」では、「今次労使交渉・協議は雇用の安定に努力する」と、雇用と引き換えに総人件費を抑制する方針を打ち出している。いわく、「国際競争力の維持・強化のためには、市場横断的ベースアップ、個別企業内における一律ベースアップ」はしない。さらには、「生産性向上を伴わない賃上げはインフレの亢進を招く恐れがある」と脅しをかけている。また最低賃金については、「最低賃金の引き上げにあたっては……景気後退の深刻度が増す……二〇〇九年度の最低賃金の審議では…極めて慎重に対応することが求められている」として、生活保護費以下の最低賃金を引き上げることにさえ事実上反対している。ワークシェアリンングの名による賃下げどころか、最低賃金さえ引き上げないというブルジョアジーの要求は労働者階級の生存権さえ破壊してもかまわないという主張である。 われわれは明確に「生活できる賃金をよこせ」の大運動として本春闘をたたかわなければならない。 そして第三に「経労委報告」では外国人労働者について、「専門的・技術的分野の高度人材の積極的受け入れ」「一定の資格や技能を有する人材の幅広い受け入れ」を謳ってはいる。しかし、移住労働者のなかで「専門的・技術的分野」の資格で就労しているのは、全体の16%しかいないと言われている。その圧倒的多くは不況が始まると真っ先に首を切られ、低賃金、無権利のなかで働かせられている。「経労委報告」はこうした現実を意識的に無視した形で、外国人労働者の労働力を都合よく収奪しようとしてるのである。 われわれは外国人労働者との連帯という課題を掲げたたたかいとして、本春闘をたたかい抜かなければならない。滞日フィリピン人などのたたかいに連帯していこうではないか。 不況が深まり、貧困が深まるほど労働者階級人民は戦争に駆り出されやすくなる。かつて一九二九年の大恐慌も戦争によって「解決」されたという事実を忘れてはならない。「反貧困」「反失業」と「反戦」のたたかいをしっかりと結び付けてたたかうことが今ほど問われている時はない。労働者の生存権をかけたたたかいとして〇九春闘を断固としてたたかい抜き、同時に反戦運動の社会的高揚をかちとっていこうではないか! ●第4章 3・29三里塚に総決起し麻生政権を打倒しよう そして今春、われわれは「反戦の砦」であり戦後日本階級闘争の一方の軸である三里塚の現地総決起集会に断固決起していかなければならない。 われわれは第一に今春三里塚現地闘争を、北延伸阻止・新誘導路建設阻止を掲げてたたかい抜く。空港会社社長・森中小三郎は、〇九年年頭に「平行滑走路の二千五百メートル化と成田高速鉄道の完成を目指して整備を強め、空港能力の向上に努めてまいります」(『千葉日報』一月一日)と述べている。すなわち、「二〇〇九年十月北延伸工事完成」に向けた攻撃を強めることを宣言しているのだ。言うまでもなくこの森中発言の中には、空港反対同盟農民がその地で生活し営農していることへの言及は一切ない。すなわち、生活破壊・営農破壊を前提にして滑走路の北延伸工事を強行しようということである。 また森中は「空港容量の更なる拡大が必要」と主張し、成田空港の年間離発着回数をむりやり三十万回に拡大しようとしている。森中は、新自由主義―市場原理に見合った空港運用だけを考えているのである。 しかし三里塚の「用地内」―東峰・天神峰にはそこに具体的に生活している農民が存在するのだ。そして森中が主張する新自由主義的―市場原理で運営される空港とは、東峰の森を破壊し、農道をズタズタにし、あまつさえ農家の頭上四十メートルに飛行機を飛ばすということをもって生活と営農を破壊しようという代物に他ならない。 三里塚芝山連合空港反対同盟のたたかいに連帯し、生活・営農破壊攻撃を許すな!農民たたき出し攻撃を粉砕し、滑走路北延伸工事を阻止しよう! そして第二に、空港会社による市東さんの農地強奪を断固粉砕しなければならない。訴訟の形式をとった農地収奪攻撃を弾劾するたたかいに決起しようではないか。 昨年十月十七日、空港会社は市東さんの農地に対して「土地賃貸借解約」の訴訟を起こした。市東さんの畑の明け渡しと出荷場等の撤去を求めてきた。これは土地収用法同様の悪辣な土地強奪攻撃である。そもそも、農地を防衛することを目的とした農地法を「根拠」にして、農地を強奪しようということ自体、空港会社が決定的矛盾に陥っていることを示しているのである。ブルジョア法的論理さえ無視してまでも市東さんの農地を強奪しようとしているのだ。 土地強奪を許すな。市東さんとともに断固として「農地死守」のたたかいに立ち上がろう! さらに第三として、われわれは「反戦の砦」である三里塚闘争を、反戦反基地闘争と一体のものとしてたたかい抜く。 三里塚闘争四十三年の歴史は空港反対闘争であり同時に反戦闘争であった。全国の反戦勢力が結集するまさに「反戦の砦」である。われわれは米軍再編反対・米軍基地撤去、そしてソマリア沖自衛隊派兵阻止を掲げて、三里塚現地闘争に決起しようではないか。プロレタリア国際主義の旗を鮮明に掲げた反戦勢力として、反対同盟とともに断固として現地闘争をたたかい抜こうではないか! |
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