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『戦旗』第1313号(2008年9月20日)




 原子力空母配備阻止闘争を闘おう

 10・5三里塚現地へ

 労働者人民を犠牲にする自公政権打倒

 岩国・愛宕山米軍住宅建設を許すな

 沖縄―辺野古・高江の闘いに支援・連帯し新基地建設阻止を





 
九月一日、自民党・福田が安倍についで、また政権を投げ出した。辞任の理由について、福田は「民主党が審議拒否を繰り返し、決めるべきことが決められなかった」という。しかし結局のところ、後期高齢者医療制度や物価高騰など新自由主義政策の矛盾の集中が労働者人民の怒りに火をつけ、「支持率低迷」という形で福田政権を追いつめたということだ。次の首相が誰になろうと、戦争と新自由主義政策に突き進む自民党政権に未来はない。反戦闘争、階級的労働運動の高揚でさらに攻勢をかけよう。

 北京オリンピック開会式の八月八日、グルジア軍が突如、分離独立をめざす南オセチア自治州に侵攻した。これに対してロシア軍は「平和維持部隊」を投入するとともにグルジアを空爆。ブッシュ政権はグルジアを支援し、ロシアに対する非難を強めている。グルジアはアゼルバイジャンから黒海に延びる石油・天然ガスパイプラインの中継地点に位置し、米帝の死活的利害がかかっているだけに、米ロの軍事的緊張は極限的に高まっている。

 しかしその米帝はイラク、アフガニスタンでの侵略支配が破綻し、泥沼におちいっている。アフガニスタンではイスラム原理主義勢力(タリバン)が再び勢いを増し、その支配地域は拡大している。次期大統領候補のオバマは、アフガニスタンへの増派を企図している。この米帝の「対テロ戦争」に深々と関わり続けている国が日帝だ。自衛隊の米軍支援に批判的であったNGO団体・ペシャワール会の職員が八月末、タリバンの関係者と見られるグループに殺害された。インド洋での海上自衛隊による補給支援継続を許さず、給油延長法案を粉砕しよう。



  ●第1章 原子力空母の横須賀への配備を断固阻止しよう


 
原子力空母ジョージ・ワシントンは、八月二十二日未明、アメリカ西海岸のサンディエゴ基地を出港した。そして九月二十五日には横須賀に入港し、母港化を強行しようとしている。横須賀配備を断固阻止し、母港化を許さない闘争に今こそ立ち上がるときだ。

 言うまでもなくジョージ・ワシントンは、原子炉を動力として搭載した空母だ。艦内には小規模の原発に匹敵する加圧水型原子炉が二基、備わっている。これが横須賀を母港として常駐することは、原子力発電所が東京湾に浮かぶのと同じことである。万が一、メルトダウン(炉心溶融)事故を起こした場合の被害は横須賀市内にとどまらず、都心を直撃する可能性がある。「被爆から約十年間で風下の百二十万―百六十万人が、がんで死亡する」との推定も出ている。

 米海軍は「原子力空母は安全で、事故が起きたことはない」と繰り返してきた。日本政府関係者や横須賀市長も「米海軍が安全と言っているから、安全」とあきれた追従ぶりを示してきた。ところが五月の火災事故は、その「安全性」に根拠などないことを自己暴露した。当初、「ぼや」程度と発表されたが、実際には高熱で鉄製の内壁が溶けたり、ゆがみが生じたりするなどの大きな損傷があった。もし大量に積まれているであろう弾薬などに引火したら当然、原子炉も巻き込んだであろう。原子炉火災―炉心溶融の危険性を日常化する兵器が、横須賀に常駐することを決して許してはならない。

 さらに、今回の火災事故の具体的内容そのものが、即座に詳細に報道されなかったことこそ、原子力空母の危険性を鮮明にするものだ。

 日本の法令と専門機関によって「監視」されているはずの原子力発電所でさえ、事故隠しを繰り返してきたのは周知のとおりである。まして軍事機密を盾にしたアメリカの原子力艦船を「監視」することは不可能だ。事故隠しはより巧妙に行われるだろうし、日米政府が必死になってそれを行うだろう。

 そのことは、八月に発覚した、米原子力潜水艦ヒューストンの放射能漏れ事故をみればよくわかる。放射能漏れは〇六年六月から〇八年七月までの約二年間、続いていた。しかし、発覚して一年半以上もこの事実は隠され、横須賀、佐世保、沖縄(うるま市)に入港を繰り返していたのだ。この程度の放射能漏れは「人の健康、海洋生物、環境に対し悪影響は及ぼさない」(米政府)というが、程度の問題ではない。それが隠され続けてきたことが問題なのだ。

 以上見てきたような原子力空母としての危険性ばかりでなく、ジョージ・ワシントンが、交替前の空母キティホークと比べ、その攻撃性が格段に増していることを見ておかなければならない。まずそれは、原子力で航行するため、燃料補給の心配なしに、いつでもどこにでも出撃できる強大な能力を持っている。また、これまでより艦載機が増え(キティホークを十機上回る約八十機)、積み込める武器、弾薬は一・八倍となる。

 ジョージ・ワシントンは九二年の就航以後、アフガニスタン、イラク侵略反革命戦争において、実に一万七千回に及ぶ攻撃飛行をおこなってきたと言われる。この空爆によって、イラクやアフガニスタンの人民が無差別に虐殺されてきたのである。まさに人民の血にまみれた空母なのだ。

 さらに、「寿命が五十年」のこの最新鋭空母が母港化されれば、横須賀は「アメリカ国外で唯一の空母の母港」という現状が将来にわたって固定化される可能性が高い。日本政府の「思いやり予算」は、財政破綻に瀕したアメリカ政府にとって大いに魅力がある。日米安保が現状のままであるかぎり、居座ろうとすることは目に見えているのだ。

 さらに別の角度からジョージ・ワシントン配備を見れば、それは艦載機の岩国基地への移駐を強行する攻撃でもある。七〇年代以降、空母艦載機が厚木基地から離発着し、周辺住民を騒音地獄に叩き込んできた。一九七七年にはファントム機が住宅街に墜落し、一家三人が死亡するという痛ましい事故もあった。これに対し周辺住民は飛行差し止め、爆音被害に対する補償を要求して、地道な裁判闘争をたたかってきた。

 この艦載機が岩国移駐に移駐すれば、「沖合に移設された滑走路だから、騒音被害はなくなる」などというが、とんでもない欺瞞である。商業新聞ですら「騒音は広島の宮島まで届く」と報じているし、NLP(夜間離発着)訓練も行われることだろう。国家権力は全体重をかけた圧力で賛成派の岩国市長を当選させた。逆境のなかで岩国市民の苦闘が続いている。厚木にも岩国にも、艦載機はいらない。岩国、厚木の住民の粘り強いたたかいに連帯して、空母配備―艦載機配備を阻止するために、たたかおう。



  ●第2章 反帝・国際主義で米軍総撤収の闘い組織しよう


 
横須賀母港化阻止闘争を、我々は反帝・国際主義のたたかいへと押し上げていくために奮闘しなければならない。沖縄、岩国をはじめとする全国の反基地闘争だけでなく、韓国、フィリピンをはじめとするアジア各国・地域の反帝闘争と結合する、米軍総撤収に向けた闘争の一環であることを鮮明にするということだ。

 ジョージ・ワシントンが米海軍において占める位置をおさえておこう。ジョージ・ワシントンは在日米軍司令部ではなく、第七艦隊に属している。その第七艦隊は、ハワイに本部のある太平洋艦隊(世界最大の海軍部隊)の傘下にあり、西太平洋からアラビア海までを任務海域とする攻撃部隊だ。実際の戦闘においては、ジョージ・ワシントンを中心とする空母打撃群と水陸両用即戦団という戦闘部隊を持っている。この両戦闘団が、アフガニスタン、イラク侵略反革命戦争の最前線を担ってきた(詳しくは、『戦旗』一三〇九号を参照)。

 石油資源の確保や中国・ロシアの封じ込めなど、米帝の死活的利害のかかった地域である「不安定の弧」の東端において、新たな原子力空母が配備されることの意味は大きい。それはこの地域における米帝の軍事的覇権、支配の強化を意味する。たしかに、米帝はイラク占領に失敗し、膨大な戦費を消費しつつ泥沼に陥っている。またアフガニスタンでも「対テロ」戦争が破綻し、イスラム原理主義勢力が拡大している。米帝の国内経済も戦費の圧迫とサブプライムローンの破綻で危機的状況にある。しかし、だからこそ米帝はより凶暴に、世界の利権を防衛しようとするだろう。これは、次期大統領が誰になろうと、米帝が帝国主義である限り避けられない選択だ。

 民族解放闘争、反帝闘争をたたかう中東・アラブ人民やアジアの民衆の立場から見れば、日本を母港とする原子力空母の配備は重大な脅威になる。したがって、原子力空母配備とたたかうことは、反帝・国際主義の立場に立つものにとって当然の任務といえる。

 日帝は、この間、新日米軍事同盟を根拠にして、イラクへの「復興支援」、アフガニスタンへの「補給活動」を名目に、自衛隊をこれら侵略反革命戦争に投入してきた。米軍再編のもと、自衛隊の司令部と部隊が深々と米軍と一体化している現在、米太平洋軍―第七艦隊の強化は、日米のアジアにおける軍事的覇権の強化、支配の強化に直結する。横須賀港を、日米両軍の中東・東アジアへの出撃拠点としてはならない。



  ●第3章 9・25横須賀現地闘争を闘いぬき今秋闘争に邁進を


 
八月十六日から十七日にかけて、アジア共同行動日本連は横須賀で夏期反戦合宿を開催し、合宿後には総決起集会・デモをたたかった。二日間の合宿では、横須賀基地の現状を把握するとともに、神奈川でねばりづよく反基地闘争をたたかってきた方々から話を聞き、交流した。総決起集会の後、横須賀基地の海上自衛隊と米海軍に対し、それぞれ抗議申し入れをおこなうとともに、横須賀市内デモを貫徹した。

 〇六年、〇七年と、米軍再編の焦点である岩国において、国際反基地闘争をたたかったアジア共同行動はいま、沖縄、岩国、神奈川をはじめとする反基地闘争の結合を実現していくために奮闘している。

 進行する米軍再編、新日米軍事同盟をいかにしてくいとどめ、粉砕するのか。何よりも、実態として存在している「軍事基地問題」そのものが、軍事同盟と真っ向から対決する場にほかならない。

 沖縄・辺野古では、基地建設のために、まったく違法な「環境現況調査」が開始されている。この攻撃はまず、海上自衛隊掃海母艦「ぶんご」を投入することをもって開始された。現在、ヘリ基地反対協を先頭に、阻止行動がたたかわれているが、防衛局に指示された業者が暴力的「調査」を強行している。全国の労働者、学生は辺野古現地にかけつけ、阻止行動に加わろう。また、七月に沖縄県議会で可決された「辺野古新基地反対決議」を受け止め、防衛省への抗議行動を断固たたかおう。高江のヘリパッド建設も許してはならない。

 岩国基地が、嘉手納基地とならぶ巨大な海兵隊基地として拡張・強化されている。艦載機移駐に反対し、愛宕山の米兵住宅への転用を断固阻止しよう。岩国市民と共にたたかおう。神奈川では横須賀、厚木だけでなく、キャンプ座間への米陸軍第一軍団司令部の移駐や、相模原補給廠への高機動多目的装輪車(ハンビー)搬入など、米軍再編が急ピッチで進んでいる。こうした具体的な攻撃とたたかうことなくして、日本における反戦闘争を語っても空語だ。

 沖縄、岩国など各地で正念場を迎えている闘争が多々ある。そのなかでも、横須賀・原子力空母横須賀配備阻止こそ、今秋、喫緊に問われている第一級の闘争課題といえる。かつて一九六八年一月、米原子力空母エンタープライズの佐世保寄港阻止闘争(エンプラ闘争 )は街頭実力闘争として爆発し、佐世保市民に圧倒的共感を生み出すとともに、ベトナム反戦運動の全人民的な高揚を切り開いた。いまこそ戦争、軍事基地に反対するすべての労働者人民は横須賀闘争に総決起するときである。

 同時に横須賀闘争は、韓国の反基地闘争、フィリピンの革命運動に呼応する、国際反戦闘争の一部だ。

 李明博(イミョンバク)打倒闘争が高揚する韓国で、米韓合同訓練場のムゴン里がさらに拡張されようとしている。これにたいし住民は住民対策委員会を結成して国防部と対決している。ムゴン里は〇二年、米軍の装甲車に女子中学生が轢殺された地域であり、反米闘争の発火点となった。駐韓米軍の再配置は、在日米軍再編と一体の動きだ。韓国の反基地闘争としっかり結合して、横須賀闘争に決起しよう。

 フィリピンでは現在、米帝が沖縄の海兵隊約四千人規模を常駐させ、米比合同軍事演習をおこなっている。この米帝の庇護のもとで、アロヨ政権は革命運動に対する血なまぐさい弾圧を強行している。オプラン・バンタイ・ラヤ(自由の防衛作戦)のもとで九百人以上の民衆が虐殺され、二百人近くが拉致・行方不明となっている。

 帝国主義のアジア支配―世界支配を打ち破るたたかいの一環として、日米帝国主義の軍事同盟の根幹と対決しなければならない。その核心として横須賀闘争に決起しよう。

 最後に、共産同(統一委員会)はすべての労働者人民に、一連の今秋期闘争の重要な環として、横須賀闘争をたたかうべきことを訴える。横須賀闘争を突破口に、10・5三里塚全国闘争、十一月岩国国際反基地闘争、そして沖縄現地派遣(辺野古、高江)に決起しよう!


 

 

 

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