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『戦旗』第1295号(2007年11月20日




給油新法案粉砕! 防衛省―軍需産業の癒着弾劾!

日帝―福田政権打倒

階級的労働運動のさらなる前進を

労働契約法案の成立を許すな

新自由主義政策、福祉切り捨て、格差拡大、生活破壊を許すな



 十月二十八日、アジア共同行動日本連絡会議(以下、AWC日本連)が主催した岩国国際集会は二百名を越す人々が結集し、大成功をおさめた。

 十月十四日には、広島市内において、岩国基地所属の米海兵隊員四名が少女を強姦するという事件を引き起こし、また、集会直前にも夜間離発着訓練が行われ、岩国市民の間に改めて米軍基地を抱えることへの不安と怒りが高まっている。デモ隊に対しても街頭から熱い声援が送られた。

 岩国をはじめとして、基地に反対する自治体に対して、日帝―福田政権は全体重をかけて屈服を迫っている。また福田政権は、臨時国会を延長してまで「新テロ対策特措法案」など戦争体制へと突き進もうとしている。

 10・27―28岩国闘争の勝利を引き継いで、十一月アジア共同行動の各地区集会を徹底的に支持・支援しよう。アジア国際連帯運動を推進しよう。



●第一章 岩国現地で全国総決起闘争を闘いぬいた意義


 アジア共同行動は昨年十一月に続き、十月二十八日に岩国国際集会を開催した。われわれは、このたたかいを全面的に支持し、全国総決起で岩国国際反戦闘争をたたかった。

 十月二十七日、学生、労働者がおのおの企画した、反基地フィールドワーク、反戦集会が取り組まれた。この取り組みに参加した人たちの多くが、翌二十八日の、AWC日本連主催の取り組みに合流したのである。

 岩国闘争の第一の意義は、在日米軍再編、反基地闘争の現場である岩国で全国総決起闘争をたたかったということである。そして、第二の意義は、改憲―戦争攻撃を阻止し、日帝―福田政権を打倒するたたかいとしての総決起であったということである。

 新日米軍事同盟を進め、改憲攻撃を一挙に推し進めてきた安倍政権が労働者人民の批判の前に瓦解し、自公政権の未曾有の危機の中で福田が首相に就任した。安倍政権が推し進めてきた日帝―自公政権の日米同盟、改憲攻撃の根幹に米軍再編―基地問題がある。沖縄、岩国、座間、横須賀をはじめとする米軍基地の再編無くして、日米同盟の強化は一歩も進まない。このことを見据えるとき、岩国現地闘争を全国総力決起でたたかったことは絶大な意義がある。

 防衛省は十月三十一日、米軍再編交付金の対象となる地方自治体三十三市町村を発表した。岩国市や沖縄の名護市、金武町、宜野座村、恩納村、神奈川県の座間市といった米軍再編計画に反対する(あるいは、そのままで受け入れることを躊躇している)自治体はことごとく外された。この再編交付金という仕組みは、米軍再編への協力度を防衛省が評価し、点数をつけた上で、当該の地方自治体に提示し、地方自治体からの交付要求を受けて交付するというものだ。どの自治体が検討の対象になるかということも含めて、防衛省の裁量に任されている。再編交付金の犯罪性は、一つには、これが地方交付金減額もあって財政難にあえいでいることを見越した、ごり押しであるということだ。さらには、地方自治体を通して、住民自らが積極的に基地を受け入れているかのごとき形式を作り出すということにある。まさに政府に対する敗北感を幾重にもわたって植えつける許しがたい攻撃だ。

 ここで、米軍再編を受け入れた自治体では、どのような事態が起こっているか見てみよう。米原子力空母ジョージ=ワシントンを母港として受け入れることを決めた神奈川県横須賀市では、八日、日米合同の原子力事故防災訓練が行われた。原子力空母から放射能を含んだ冷却水が漏れ出した、との想定で行われたのであるが、日米合同の調査隊が出動して調査を行い、米軍のケリー司令官が市長を訪ねて人体に影響の出る放射能レベルではなかったとする調査結果を報告、再発防止に努めると陳謝して終わるという内容であった。この訓練には住民を参加させず、またそれは、住民が本当に危惧している、深刻な事故の際の避難といった内容でも無かった。まさに、原子力空母は安全だとアピールすることに終始したのである。

 十、十一月岩国臨時市議会では、市庁舎建設費用調達のために合併特例債を発行するという議案を、岩国市長が再提案したところ、受け入れ容認派がまたも拒否した。これに対して、岩国市は、地方自治法の規定で、自治体が議会議決によって義務的経費の予算を執行できなくなった場合に、市長が議会に理由を示して再度審議を求めることができ、否決されても首長の権限で執行できる「原案執行権」がみとめられていることから、「原案執行権」の行使も含めて再度提出するという方針を固めていた。これに対して、総務省が「適用に疑義がある」などとして横槍を入れてきたのである。これまで妥当としてきた法解釈すら変更して、岩国に屈服を迫っているのである。絶対に許してはならない。

 山口県もまた、国と一体となって岩国市民に屈服を迫っている。行政レベルにおいて、市長をはじめ、市議会の基地強化反対派は孤立無援のたたかいを強いられている。中国新聞が行ったアンケート調査によると、山口県議の実に八割が基地強化に賛成ないし容認という立場をとっている。

 十一月五日、国が「米軍住宅の候補地」としている岩国市の大規模宅地造成事業「愛宕山地域開発」について、井原市長と、山口県の西村亘副知事が、造成地周辺の自治会長らへの説明会に出席した。当初市は副知事を招いて、市全域の住民対象の説明会を目指したが、県側が難色を示し、周辺地区の自治会長八十一人に限定された。しかし実際には会場に約百人が詰めかけたのである。

 井原市長が「再編問題に結論が出ていない状況では、米軍住宅転用は考えられない」としたのに対して、西村副知事は「国への売却は県としてぎりぎりの選択。この方法以外に二百五十一億円の赤字が見込まれる愛宕山問題の解決策はない」と述べた。県側は明言こそしないが、米軍住宅への転用を認めている。

 岩国基地の沖合移設という名目で行われた一連の愛宕山開発と沖合移設事業に対しては、移設とは名ばかりの基地拡張であるとの疑いは、基地に反対する市民の共通認識であったし、われわれもそう主張してきた。愛宕山開発では、愛宕山の地盤が予想以上にしっかりしたものであったことから、連日発破作業が行われ、近隣の住民は騒音、振動、粉塵といった被害を受けてきたのだ。にもかかわらず、米軍再編によって、基地機能の強化ばかりか、米軍住宅まで造られようとしている。十月十四日に広島で起こった米海兵隊による少女集団暴行事件、そして、これまでも繰り返されてきた米軍犯罪が住民の不安を高めている。市と県による説明会の場においても、米軍住宅にはあくまで反対するという意見が寄せられている。海兵隊員による少女暴行事件では、広島県警が、被害者と容疑者との供述に食い違いがあるなどとして、起訴はせず、書類送検で済ませようとしている。警察までもが米軍の立場を重んじているということは、多くの市民の怒りを掻き立てるものとなっている。

 このように、日帝―防衛省は全体重をかけて岩国市民のたたかいを押しつぶそうとしている。しかし、この状況の中で、岩国市民のたたかいを支え、井原市長を支えていこうという運動が、全国各地で起こっている。市庁舎建て替えのためのカンパ活動が取り組まれているほか、十二月一日には、超党派の運動として、岩国市役所建設補助金カットに対する一万人抗議集会が開催されようとしており、実行委が立ち上げられている。

 日帝―福田政権・防衛省による兵糧攻めの前に、崩れる自治体も現れている。キャンプハンセンの日米共用化計画に対して、金武町、宜野座村、恩納村の各首長が容認する姿勢を示した。住民が反対しているにも関わらず、首長が屈服したことは、住民に対する裏切りであり、政府の攻撃が有効なものであると保証することになる。

 井原市長の強固な姿勢は、岩国市民が米軍に対して憤り、防衛省(当時は防衛庁)・山口県に対する不信を強め、住民投票で明確な意思を示したからこそである。住民の決起というに等しい直接民主主義こそが、帝国主義の暴圧と対峙している。このたたかいは、沖縄での十一万人集会に代表される人民の決起が、日帝―安倍政権下での歴史改竄攻撃に対して打撃を与えたのと等しい内容を持っている。

 岩国闘争が、沖縄、神奈川と並んで、反基地闘争の拠点となっている。これまでも、われわれは、沖縄、神奈川をはじめとする全国の反基地闘争・反戦闘争を結合し、アジア、アメリカの反戦・反帝闘争との共闘を追求してきた。攻撃が集中し、新たなたたかいの拠点となってきた岩国においてこそ、それが実現できると確信し、AWC日本連の提起を支持し、総力決起で立ち上がったのである。

 二十七日に取り組まれた、住民懇談会「岩国市民のたたかいは継続する」と、二十八日に取り組まれた「アジア米軍撤収・日米軍事同盟反対!岩国基地の強化を許さない総決起集会」には、岩国で反基地のたたかいを長い間取り組んでいる田村順玄市議が、市議会と全国行脚で忙しい中駆けつけ、発言を行った。また、「住民投票の結果を活かす市民の会」の大川さんも、懇談会全体に参加したほか、二十八日の集会でも発言した。こうした信頼関係がつくられている。また、米軍基地への抗議デモに対しても、街頭の市民から圧倒的な声援が送られた。こうした信頼にこたえ、これまで以上にたたかいを強化していかなければならない。

 先に見たように、岩国の中から、そして沖縄や神奈川他、全国各地で反基地をたたかう人々の中から、互いに結合して共通の敵とたたかわなければならないという動きが生み出されてきている。こうした動きを注意深く見守りながら、この動きを応援していこうではないか。



●第二章 アジアからの米軍総撤収掲げた国際共同闘争


 岩国闘争は、韓国、フィリピン、台湾、米国、タイからの参加で文字通り国際共同闘争として大勝利が掴み取られた。岩国闘争の第二の意義は、国際共同闘争としての成功を勝ち取ったことである。
 二十八日の岩国国際集会では、日本=アジア共同行動日本連絡会議、韓国=AWC韓国委員会、フィリピン=BAYAN(新民族主義者同盟)、中国・台湾=労働人権協会、米国=ANSWER連合が共同で作成した、「イワクニ・アピール」が採択された。この中では、東アジアにおける戦争の危機を招いている元凶が、米日両帝国主義であることがはっきりとうたわれており、国際的に統一した課題としての反基地闘争―反米闘争と、アジアからの米軍総撤収を提起している。イワクニ・アピールは、国際的な議論を通して慎重に造られたものであり、AWCの活動の精華とも言うべきものである。



●第三章 労働者、学生、市民の総決起としての岩国闘争


 昨年の岩国闘争を引き継ぎ、さらに昨年を越える発展は、労働者・学生・市民が自らのたたかいとして岩国闘争を企画し、準備し、組織して結集したことである。第三の意義は、労働者、学生、市民の総決起として岩国闘争をたたかったということである。

 学生は、反侵略アジア学生共同行動(AASJA)が主催して、岩国基地と愛宕山のフィールドワークと、「10・27岩国から未来をつくろう!学生シンポジウム―岩国から戦争や差別のない世界を私たちはどう実現するのか」と題した討論集会を開催した。韓国からピョントンサ(平和と統一を開く人々)、フィリピンからはバヤン・ムナのメンバーを招いたほか、AWC国際集会参加のために来日した米ANSWERの活動家も参加した。また、本集会への岩国市民の参加も勝ち取った。ゲストのほかにも、集会に参加した沖縄の学生から、九月の十一万人集会の報告がなされ、それを受けて東京の学生が高江ヘリパッド阻止闘争に参加した報告を行った。また、北海道から参加した学生は、アイヌ民族差別問題について報告した上で、来年の洞爺湖サミット粉砕闘争への参加を呼びかけた。

 シンポジウムでは、AASJA女性部会が作成した、広島市での米海兵隊による女性強姦事件に抗議するアピールが採択された。続く討論の中で、フィリピン・ゲストから、この問題はフィリピンで起きたニコルさんに対する暴行事件と同じものであるとして、二つの事件をつなげた共同闘争が取り組めないかという提起もなされた。

 また、二十八日以降も、バヤン・ムナ活動家のスピーキング・ツアーを取り組み、学園現場での講演活動を運営した。このように、学生の取り組みはこれまで培ってきた国際連帯運動の地平の上に運営され、大成功を勝ち取った。

 また、労働者は労働組合を中心として、労働者反戦交流集会実行委を立ち上げて、岩国のフィールドワークと、反戦交流集会、住民との懇談会などを開催した。新自由主義―生活破壊と対決する労働者、労働組合が反戦を課題として岩国へ政治決起したことの意義は大きい。集会に参加した運輸労働者は、労働者が戦車や自衛隊の物資を輸送するなど、労働者の戦争動員、戦争協力が通常の労務として組み込まれているという厳しい実態を報告した。こうした状況下で労組が反戦のたたかいを担っていくことは困難ではあるが、同時に重要な意味を持っている。集会の中では、全港湾から朝鮮戦争時に労働者がいかにたたかったかという報告がなされた。

 昨今、ロストジェネレーションと呼ばれる世代から「希望は戦争」などというショッキングな言葉が生み出されるに至った。

 ところで、「希望は戦争」の出典である、赤木智弘の文書「『丸山真男』をひっぱたきたい――三十一歳フリーター。希望は、戦争」(論座〇七年一月号)そのものは、論旨に混乱があるものの、「侵略戦争」願望というよりは、「アナ―キーな内乱」願望というべきものであり、裏を返せば、新しい左翼運動への期待を、左翼批判という形で行っているのである。

 日帝があおる、差別排外主義と海外派兵路線と一体となった「戦争待望」が、民衆の間から生まれてきているという状況が、様々な「読み方」を生み出す背景となっている。われわれは、日帝のとってきた新自由主義=構造改革路線の結果として二つの「戦争願望」が起こっていることをしっかりと受け止めた上で、政治宣伝を行い、自国帝国主義とのたたかいに若者たちを決起させていかなければならない。そのためにも、反帝の内容を持った反戦運動の内容を創りだしていかなければならないのである。

 岩国国際集会の成果をもって、学園、労働現場の仲間達に積極的に働きかけていこう。



●第四章 全ての自衛隊を撤収させ自公政権を打倒しよう


 十一月一日、海上自衛隊のインド洋派兵の根拠である「テロ対策特措法」の期限が切れた。海上自衛隊の撤退が始まったが、政府―防衛省は一刻も早く派兵を再開しようと企んでいる。また、参議院で第一党となった民主党は、自公連立政権の補給支援特別措置法案に反対するとしているが、民主党もまた、形を変えて自衛隊を派兵しようとしているのであり、これとも対決していかなければならない。

 米帝=ブッシュ政権は特措法期限切れに先立ち、日本から給油を受けていた各国の大使を招集し、政府の要人やら民主党の幹部等を呼びつけて恫喝を行った。さらには、訪米を目前に控えた福田に対して、給油を再開しろ、米軍再編を進めろと、ゲーツ国防長官を尻たたきに寄越して、土産の催促を行ったのである。十一月訪米―日米首脳会談は、日米軍事同盟が外交の軸であることを再確認するものである。自民党が多数をしめる衆議院では、十三日に補給支援特措法案を通過させている。

 米帝=ブッシュ政権は、イラクでの武力闘争が小規模化したとして、イラクでの作戦が一定の効果を現したと盛んに宣伝を繰り返している。しかし、どれだけイラクでの戦果を誇ろうとも、対テロ有志連合の破綻はすでに覆うこともできない状況に至っている。「対テロ」戦争の最大の協力者の一人であったパキスタンのムシャラフ大統領は、最高裁で自らの大統領就任違憲判決が出されそうになるや非常事態宣言を発し、反対派の弾圧に乗り出した。トルコはクルド人武装組織への越境攻撃の準備を開始している。また、フィリピンでは、米帝の軍事的・経済的・政治的支援を背景に、左派活動家に対する「政治的殺害」、野党議員の拘束など、非合法の運動弾圧が横行している。これもまた、フィリピン人民の広範な糾弾活動などによって国際的にも政府・国軍の非合法活動として認知されているのだ。

 このように破綻した「対テロ」戦線を、日帝―福田政権は、あくまで国際協調の場であると主張し、自衛隊の派兵延長を目論んでいる。先の参議院選挙で、安倍政権への批判票を糾合して大躍進を果たした民主党は、小沢代表の「辞任表明」―「撤回」騒動で、安倍政権の末期と同じ醜態をさらした。こうした失点を回復しようと思ってか、参議院では補給特措法通過を妨害するようであるが、自民党―民主党ともに自衛隊の海外派兵を前提にしている政党である。国会の中に展望を見出すことはできない。沖縄における人民の決起が安倍政権下での歴史修正主義に一撃を加えたように、また、沖縄や岩国、神奈川のたたかいが米軍再編を押しとどめているように、人民のたたかいが状況を創り出すのである。今こそ、イラク・インド洋に派兵され続けている全ての自衛隊を撤退させよう。補給支援法案を粉砕し、日米軍事同盟の根拠を打ち砕き、自公政権を打倒しよう。

 十月岩国国際集会の成功を受け、十一月二十四〜二十八日にかけて各地で開催されるアジア共同行動の取り組みを全力で支援していこう(二十四日京都、二十五日東京、二十七日大阪、二十八日神戸)。二十六日にはアジア共同行動が進めてきた九条改悪阻止の「アジア・メッセージプロジェクト」の署名提出行動が行われる。一筆でも多くの署名、メッセージを獲得すべく、取り組みを強化しよう。

 

 

 

 

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