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『戦旗』第1285号(2007年6月5日

 

憲法破壊、年金破壊―生活破壊の安倍政権を打倒せよ!

6月アジア共同行動を成功させよう

防衛省―情報保全隊の憲兵活動弾劾

辺野古への海自掃海母艦ぶんご%鞄弾劾!

 

 日帝―安倍政権は、五月十四日、国民投票法を可決、成立させた。これと相前後して十八日には、集団的自衛権を合憲と宣言させるための諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の初会合が行われている。

 いよいよ日帝は戦争国家化の完成へと邁進している。これと対峙できるものは、旗幟を鮮明にした、揺るぎない反戦・改憲阻止闘争のみだ。

 沖縄では5・15闘争がたたかわれた。嘉手納基地を万を超す民衆が包囲し、辺野古では不屈の実力闘争が取り組まれている。全国でも、米軍再編に対する民衆運動が粘り強く行われている。

 これら運動と固く結合し、日帝―安倍政権を打ち倒すたたかいを創りあげていこう。アジア共同行動日本連絡会議は、六月全国行動を広く呼びかけている。この成功をかちとり、国境を越えた反戦・改憲阻止闘争の高揚をかちとっていこう。

 

●第1章 嘉手納基地包囲を受け米軍再編粉砕の闘いへ

▼巨万の民衆で闘い勝ち取られた5月沖縄闘争

 日米帝は、民衆の巨大かつ粘り強いたたかいに震えつつも、依然沖縄の差別軍事支配を続けている。

 市街地の真中に位置する普天間基地は、危険性が広く指摘されつつもなお存続している。北東最大の規模を誇る米空軍嘉手納基地には、ミサイル防衛システムMDのためにパトリオットミサイルPAC3を、民衆の反対の声に暴力で対峙して配備した。また、最新鋭戦闘機F22が二月から長期駐留し、周辺住民に爆音と事故の危険性をまき散らしつつ、連日訓練を行ったのだ。

 この差別軍事支配への怒りが、五月沖縄闘争ではあますところなく表現されたのだ。

 五月十三日、嘉手納基地には一万五千人を超える民衆がかけつけた。民衆が手を結びあってつくりだす「人間の鎖」により、基地包囲行動が行われたのだ。十四日には沖縄・浦添市において、国際連帯による反戦・反基地運動として「アジアから基地をなくそう沖縄集会 沖縄―韓国連帯集会」が熱気に満ちたものとして取り組まれた。沖縄の日帝による反革命統合の記念日である十五日には、キャンプ・シュワブ周回デモが多くの注目を集めながらたたかいとられた。そして辺野古現地闘争に、多くの労働者・学生がかけつけている。

 日米帝の全体重をかけた差別軍事支配と米軍再編攻撃に、不屈の精神で多くの民衆は五月沖縄闘争に立ち上がったのだ。この地平の上に、私たちは沖縄―「本土」―アジアを貫く反戦・反基地闘争の高揚を創りだしていこう。

 

▼新基地建設のための「事前調査」を許すな

 日帝那覇防衛施設局は、五月十八日、海上自衛隊をも動員して辺野古海域調査に着手した。私たちは、この暴挙を徹底弾劾する。

 九六年のSACO合意以降日米政府は、名護辺野古への米軍新基地建設攻撃をなりふり構わずかけ続けてきた。計画内容は、昨年米軍再編による大規模な米軍部隊の移動がうたわれた結果、二本の滑走路を持つ新基地を、名護辺野古沖を埋め立ててつくるというものとなっている。しかし一切の正当性の無い、この一連の攻撃は、多くの沖縄人民の声と、人民の身体を張った粘り強い実力闘争の前に、阻止し続けられている。日帝は、環境アセスメントに着手するメドもたてられないのだ。

 そこで日帝は、環境アセスメントの事前調査という名目で調査を強行してきた。防衛省も沖縄「県」当局も、調査機器類設置ポイントに関する情報の公表さえ拒否するほどの強硬さである。そして五月十八日に始まったこの調査には、自衛隊が出動している。沖縄戦に続き、またしても軍隊が明確に民衆に銃口を向けたのだ。この暴力性は、いくら批判しても足りるものではない。米軍基地は、その根拠たる日米安保は、誰に対して銃口を向けるものなのかが、ここに明白に示されている。

 この暴力に対して、名護辺野古ではカヌー隊が組織され、陸上では座り込み行動が果敢にたたかわれ続けている。私たちは次のことを知っておかねばならない。ある座り込み参加者の発言である。「実はカヌー隊で泳げる人は少数。そういう人たちが、海に身を投げ出す覚悟でいることは相当こわいこと。でも基地建設を許し、他国の子どもたちを殺すことを許す方がもっとこわいと言い聞かせてる。ここでは計画を止めてるだけ。計画してるのは東京。全国から辺野古に来てくれたら半分はうれしいけど、半分は困る。それぞれが自分の生活する場所で行動してほしい」。

 この沖縄人民の声を胸に、全国から沖縄に連帯してたたかおう。名護辺野古実力闘争に駆けつけ、そして全国各地から日帝の暴力性を撃つたたかいを創りだしていこう。

 

▼米軍再編関連特措法の成立を弾劾する

 さらに五月二十三日には、在日米軍再編促進特別措置法が成立している。

 この法律の眼目の第一は、米軍再編に伴う基地の負担増強の受け入れ度合いに応じて交付金を出す「再編交付金」制度の新設である。1)政府案の受け入れ、2)環境影響評価の着手、3)施設の着工、4)再編の実施、と段階を踏むごとに交付金を増額する制度だ。

 しかし勘違いしてはいけない。これはアメとムチではない。どこにもアメという譲歩は無いのだ。

 そもそもこの法律は、住民や自治体に、交付金と米軍再編受け入れのどちらかを選択させるというものではない。住民・自治体がどんなに拒否しようとも、米軍再編は強制されるのである。

 また、米軍再編に反対すればこれまでのアメさえ奪われるのである。岩国では、過去に空中給油機の受け入れを合意した代償として、市庁舎建設費への国庫補助が合意されてきた。しかし既に工事は始まっているにもかかわらず国は、岩国が今の米軍再編に反対したからと建設費三十五億円を不払いにしてきたのだ。

 現在、どの自治体も財政は悪化している。沖縄など基地がおかれている地は、基地負担のためことさらである。困窮している住民・自治体に、札束で頬をたたきながら基地負担を迫る姿が、この特措法なのである。これはイジメであり、明白な差別軍事支配である。

 この法律の眼目の第二は、在沖米海兵隊のグアム移転費用の日本負担のための特例設置である。日本負担は七千億円とも言われるが、その額の根拠すら未だ明らかにされていない。しかし支払い制度は整備されるのである。一方では日帝は、財政難を根拠にして福祉・教育・地方は切り捨てている。このような軍事優先政権は世界人民の平和の敵であり、直ちに打倒されるべきである。

 しかしこのような法律を出すほどに、米軍再編反対運動は日米政権を追いつめつつある事実もしっかりと見つめていこう。基地周辺住民・自治体のたたかいを全国的運動で支え、共に勝利をかちとっていこう。

 

●第2章 改憲手続き法成立を弾劾し闘い組織しよう

 憲法施行六十周年にあたる今年、改憲手続き法である国民投票法が遂に成立した。

 首相安倍は委員会質疑で、国民投票法は「本来憲法ができた時に定めていなければいけなかった」などと発言している。あたかも、民衆の声を反映した、より民主的な憲法をつくりだそうとしているかのような振る舞いである。同様の主張は、安倍などの極右だけからではなく、一定の幅広さをもって見受けられるのが、残念ながら現実である。

 しかしこのウソに騙されてはならない。

 そもそも、この国民投票法は私たちに改憲案を提起する権利を与えていない。改憲案を提起できるのは、政権与党に独占されている。また、国民投票に向けた投票運動期間は、最長でも半年、最短では二ヶ月しか用意されていない。改憲案の内容を暴露する集会ひとつ開催するのも厳しい期間だ。しかも公務員・教職員の運動には禁止事項が用意され、明らかに労組の護憲運動潰しが狙われている。そしてこの国民投票法には最低投票率は規定されていない。

 日帝ブルジョア政権は、自分たちに都合の良い改憲案を、様々な欺瞞にくるんで出すであろう。そこでは、やはり憲法九条は狙われるだろう。九条は決して安倍のパフォーマンスのみではない。経済界もまた九条改悪を繰り返し主張している。九条改悪は、日帝支配層の総意なのだ。

 実際、各財界は国民投票法成立にこぞって歓迎の意向を表明した。また、今年年頭に出された経団連の「御手洗ビジョン」が九条改悪を訴えていたことも記憶に新しい。誰のためのどのような改憲案になるかは、火を見るより明らかである。

 この改憲案に対し、その反動性に多くの人民が気づき、憤激が組織される前に、こっそり投票を成立させようとするのが、この国民投票法である。いかにも日帝らしい姑息なやり方である。これが「美しい国」の姿なのである。

 このような、日帝支配層のふざけきった攻撃に屈するわけにはいかない。国民投票法によれば、最短で三年後には国民投票が行われることとなる。これを迎え撃つたたかいを、改憲を通して戦争国家化の完成を狙う日帝打倒のたたかいを、さらに力強く推し進めていこう。

 

▼懇談会発足弾劾、集団的自衛権行使許すな

 国民投票法だけでは満足せずに安倍は、国民投票法の国会審議と並行して、集団的自衛権行使を研究させる私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を四月二十五日に発足させている。この懇談会には、現憲法での集団的自衛権行使は可能と主張する面々が結集している。結論ありきの懇談会である。

 安倍はこの懇談会の初会合で、「新しい時代の日本が何を行い、何を行わないのか明確な歯止めを国民に示すことが重要だ」と発言している。そして懇談会に対し、四事例に即した憲法解釈見直しの検討を要請している。それは、第一に公海上で攻撃を受けた米軍艦船の護衛であり、第二に米国を狙った弾道ミサイルの日本での迎撃である。第三は自衛隊海外派兵の拡充であり、第四は攻撃された他国軍隊の救援や他国軍隊への医療や輸送などの後方支援である。また、懇談会座長を務める元駐米大使の柳井も、集団的自衛権は違憲ではなく「行使できる必要最小限の範囲がある」と発言している。

 この懇談会の狙いは明白である。集団的自衛権の行使を容認するであろうこの懇談会のお墨付きをもって、改憲を待たずに安倍は、米帝と共にさらなる侵略反革命への道、米軍再編の強行を突き進める限り突き進もうとしているのだ。各地での米軍再編とのたたかいと結合して、この解釈改憲攻撃に立ち向かい、政権打倒のたたかいを組織していこう。

 

●第3章 6月アジア共同行動を推進し、成功させよう

 アジア共同行動は六月に全国での国際連帯集会をよびかけている。東京で十七日、京都で十九日、神戸で二十日、大阪で二十一日、福山で二十二日、そして北九州で二十四日となっている。この六月アジア共同行動を支持し、全力で支援していこう。

 またアジア共同行動は、米軍再編と対決する全人民的運動を創出しようと岩国全国集会の十月開催をよびかけている。六月集会のよびかけとあわせて、各地でこの集会の成功に向けた運動を創りだしていこう。

 

▼反基地・改憲阻止闘争を国際共同闘争で闘おう

 この六月アジア共同行動は、まずもって安倍政権の改憲攻撃・米軍再編との対決を、アジア人民との共同闘争に高めるたたかいとしてある。

 日帝―安倍政権は新日米軍事同盟の強化を軸にした攻撃を進めてきている。集団的自衛権行使への策動、日米間の朝鮮戦争共同作戦計画の具体化、各地方での国民保護条例の実働化にみられる国内労働者人民の動員体制の構築などが進められている。

 この攻撃に対するたたかいを組織すると共に、沖縄など既にたたかっている様々な民衆運動を支え抜いていこう。これら全国・全アジア・全人民の諸闘争の力を結合させて、安倍政権打倒のたたかいを創造していくことが決定的に問われている。プロレタリア国際主義を貫き、反基地闘争―反戦闘争としてたたかい抜いていこう。

 

▼朝鮮戦争準備と一体に激化する民族排外主義

 朝鮮総連、在日朝鮮人民に対する弾圧が激化している。四月二十五日には、在日本朝鮮留学生同盟中央本部など四カ所が、拉致事件の捜査として強制捜索されている。日帝―安倍政権は様々な国際会議の席上で、朝鮮民主主義人民共和国への敵視と制裁措置を声高に主張している。米帝をも越える日本の突出ぶりは、六カ国協議などで進められる朝鮮半島問題の平和的解決の、今や最大の阻害物ですらある。

 しかし歴史的にも明らかなように、排外主義攻撃に立ち向かわずに国際連帯も労働者解放もありえない。民族排外主義とたたかうアジア共同行動の旗の下に結集し、六月集会を成功させよう。

 

▼労働者階級人民の利害を貫く国際共同闘争を

 そして六月集会の成功をかちとることで、労働運動の国際的結合の強化と、帝国主義の新自由主義グローバリゼーションとのたたかいをつくりだしていこう。

 WTO・FTA・APECなどグローバリゼーションとのたたかいを、反帝闘争としてたたかいうるか否かが、国際的な運動の中でも大きな分岐点となっている。しかしグローバリゼーションは、明確に帝国主義資本の利害に貫かれたものである。政策レベルでは解決しえないのだ。私たちは、帝国主義とたたかう全てのアジア民衆と共に反グローバリゼーションをたたかうアジア共同行動を、全力で支援していこう。

 韓国階級闘争との結合、米帝・アロヨ政権とたたかうフィリピン人民との結合、全世界の反戦闘争と結合した国際反戦闘争のさらなる前進。これらを六月集会の成功を通してさらに推し進めていこう。

 

 

 

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