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『戦旗』第1284号(2007年5月20日

 

改憲手続き法案強行採決弾劾! 集団的自衛権研究粉砕!

日帝―安倍政権の打倒を

教育関連三法の改悪案強行採決徹底弾劾

排外主義粉砕! 反帝国際連帯運動の前進を

 

 全国のたたかう労働者・学生のみなさん!

 日帝・安倍政権は、四月二十七日の日米首脳会談で「日米同盟」のさらなる強化をうたいあげるとともに、国民投票法案、米軍再編推進法案、イラク特措法延長をはじめとした一連の戦争法案の国会での成立に向かってまい進してきた。沖縄においては、那覇防衛施設局が四月二十四日以来、辺野古でのV字型滑走基地の建設に向けた「事前調査」に着手した。また、安倍政権のもとで在日朝鮮人民および朝鮮総連に対する政治弾圧が激しさを増している。

 この五月後半から六月にかけてのたたかう労働者・学生の任務は鮮明である。排外主義とたたかい、全国の職場、地域、学園と国会前を結んで一連の戦争法案の成立阻止に向けて全力で立ち上がり、そのたたかいへと一人でも多くの労働者・学生を組織していくことである。そしてまた、沖縄人民に連帯し、辺野古新基地建設―「事前調査」を阻止する現地での支援行動をはじめとしたたたかいを広げていくことである。

 アジア共同行動日本連絡会議は、辺野古現地での連帯行動と嘉手納基地包囲行動を軸とした五月沖縄現地闘争に各地から立ち上がり、さらに六月にはたたかう韓国・フィリピン人民との国際連帯のもとにアジア共同行動集会を全国各地を貫いてたたかいとろうとしている。六月アジア共同行動の成功を全力で支え、排外主義と戦争攻撃を激化させる日帝・安倍政権との対決をおしすすめよう!

 

●1章 「事前調査」強行弾劾 現地闘争を軸に闘おう

 那覇防衛施設局は四月二十四日午前、辺野古新基地建設に向けた周辺海域の現況調査(事前調査)に踏み出した。防衛施設局の作業船や警戒船など二十隻以上が出動し、さらに海上保安庁の巡視船が阻止行動を繰り広げる反対派のカヌーを取り囲み、ときに強制的に排除しようとするなど物々しい雰囲気のなかでこの「事前調査」は始まった。

 そもそもこの「事前調査」は環境アセスメント法に規定されたものですらなく、正規の調査期間を少しでも短縮することを目的として防衛施設局が恣意的な判断で強行した違法行為である。にもかかわらず、二十四日に沖縄県から「公共用財産使用協議」の同意を得た那覇防衛施設局は、いよいよ本格的にこの事前調査をおし進めていこうとしている。調査ポイントを確認した後、サンゴ礁や海洋生物の調査のための調査機器を海底に設置するとされているが、この調査ポイントについては防衛省も沖縄県当局も「調査に支障が出る」として公表を拒否している。さらに、五月九日の日本テレビの報道によれば、政府は海上自衛隊の動員さえ決めたという。阻止行動を妨害・排除し、キャンプ・シュワブと接続したX字型滑走路基地建設のためのなりふりかまわぬ攻撃がかけられているのだ。

 辺野古現地では、二十四日朝から海上での阻止行動が連日展開されている。これに呼応して、防衛省前でも「辺野古への基地建設を許さない実行委員会」による緊急抗議行動が取り組まれた。四月二十八日にはヘリ基地反対協の呼びかけでキャンプ・シュワブを包囲する抗議行動が取り組まれている。連休明けの五月七日からは、辺野古漁港に隣接する護岸にテントが設置され、沖合いでの座り込みも始まった。

 四月三十日、訪米した防衛相・久間は、日米防衛相会談で、普天間移設―辺野古新基地建設について、「昨年のロードマップの一部を変えたりすることでなく、そのままの形で実現することが重要」という米国防長官ゲーツに対して「地元の理解を得ながら一日も早い返還を実現していく」と表明し、米軍再編最終報告にのっとって、辺野古新基地建設をおし進めていくことをあらためて表明した。これを弾劾し、事前調査―新基地建設阻止のためのたたかいに立ち上がろう。全国から辺野古現地でのたたかいに決起しよう。

 日米政府の思惑通りに事が進むわけでは決してない。命を守る会、ヘリ基地反対協をはじめとした辺野古・名護の住民は、全国からの支援をも受けながら、十年におよぶ粘り強いたたかいと海上での実力阻止行動で九六年SACO合意―辺野古沖合いへの海上基地建設を破綻に追い込んできた。このたたかいの地平に立脚し、全国からの支援・連帯を集中し、再度日米政府のもくろみを挫折させ、米軍再編粉砕の展望を切り開いていこうではないか。

 

●2章 日米軍の共同作戦体制強化策した日米首脳会談

 日米首脳会談のために訪米した安倍は、在米朝鮮人をはじめとする抗議デモに迎え撃たれた。ワシントン、ニューヨーク、シカゴなどで一斉に、日本軍「慰安婦」の強制動員を否定する安倍を弾劾する抗議行動がおこなわれた。「慰安婦」問題は首脳会談の議題とならないとされていたが、国際的な非難の広がりのなかで、急きょ議題に組み込まれた。安倍は「困難な状況にあった人たちに心から同情する。とりわけつらい状況に置かれた点については申し訳ない気持ちでいっぱいだ」というあいまいな言葉で、ブッシュに対して(!)「謝罪」したとされる。しかし、安倍は日本軍性奴隷制度の被害者に対して明確な謝罪をしたことがないし、今回の首脳会談においても誰が「慰安婦」を動員したのかについては語らなかった。われわれは、安倍および閣僚による一連の発言を弾劾し、あらためて日本軍性奴隷制度の犠牲者およびすべてのアジアの戦争被害者に対する国家謝罪と補償を要求してたたかう。

 四月二十七日におこなわれた日米首脳会談は、日米軍事同盟の強化の推進をあらためて確認する場となった。米軍再編の推進を確認した四月三十日の日米防衛相会談、そして五月一日の日米安全保障協議委員会(2+2)もそうである。

 報道発表によれば、首脳会談で安倍は「かけがえのない日米同盟を確認し、揺るぎない同盟として強化していく」と表明し、ブッシュもまた「同盟関係がこれほど強かったことはない」と応じた。安倍はまた、泥沼のイラク戦争についても「イラクの安定、復興に向けた米国の努力を理解、支持する。日本は米国とともにある」と述べ、イラク特措法の延長に向けた決意を表明した。さらに、「安倍内閣の使命として、戦後レジーム(体制)からの脱却をめざすと説明した」と述べ、集団的自衛権を研究する懇談会を設置したことを説明したという。加えて、「北朝鮮問題」をめぐる議論では、ブッシュが「北朝鮮が合意を履行しない場合、さらに制裁措置をおこなう用意がある。われわれの忍耐力には限界がある」と発言している。まさに、日米軍事同盟―日米軍の共同作戦体制の強化のための会談であり、戦争会談と言うにふさわしいものである。

 首脳会談に続いて行われた日米の防衛・外交担当大臣の会合である日米安全保障協議会(2+2)ではまず、「軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)の締結を合意し、弾道ミサイル防衛(BMD)の整備前倒しを確認した。「軍事情報包括保護協定」は、ミサイル防衛をはじめとする日米間の高度な軍事情報・機密情報の共有と秘密保持に関する協定で、情報の側面から日米両軍の一体化を促進するものだ。また、弾道ミサイル防衛(BMD)に関しては、日本のイージス艦「こんごう」に海上配備型迎撃ミサイルを搭載するための改修を今年度末までに前倒しして実施し、さらに他のイージス艦三隻についても改修の予定を早める確認をした。また、辺野古新基地建設をめぐっては、「着実に実施する決意を再確認」した。

 このような日米軍事同盟強化―日米軍事一体化は、「北朝鮮の脅威」を口実に推進されている。今回の(2+2)では、米国務長官ライスが「米国は日本の安全保障のためにあらゆる範囲の抑止力で対抗する意思と能力がある」と述べ、朝鮮民主主義人民共和国に対して恫喝を加え、核戦争体制の意義を強調している。だが、軍事強化を圧倒的に進め、東アジア情勢に軍事的緊張をつくりだしている主要因がこうした日米の動向であることは明らかだ。

 日米軍事同盟を「世界とアジアのための」と位置づける安倍政権のもとで、日米の軍事一体化―日米両軍の侵略反革命戦争出動体制づくりは加速度的に進んでいる。これと真っ向から対決し、米軍再編―日米軍事同盟強化を粉砕するたたかいに立ち上がろう。

 

●3章 改憲手続き法案制定弾劾 米軍再編特措法案成立阻止

 第166通常国会が終盤を迎えるなかで、日帝・安倍政権は、国民投票法案、米軍再編推進法案、イラク特措法延長など一連の戦争法案を一気呵成に成立させていこうとしている。そして、いよいよ本格的に憲法改悪に向けた動きを強めてきている。

 四月二十四日、自民党は「新憲法制定推進の集い」を開催した。これは、四月五日に安倍が新憲法制定議員同盟の会長でもある自民党のドン中曽根康弘に対して、「国民的理解を踏まえるために、運動を展開してもらいたい」と要請したことをも受けて開かれたものである。

 この「集い」で安倍は、「自民党総裁として、憲法改正を必ず政治スケジュールにのせる」「私たちの時代にこそ、宿題を果たさなければならない」として、憲法改悪への決意を強く表明した。それを受けて中曽根は、国民投票法案が成立すれば「いよいよ憲法問題がみなさんのものになる。そういう気持ちで努力したい」と述べている。いよいよ九条改悪を核心とした憲法改悪に向けた「国民的運動」の本格的組織化が支配者階級の側から始まろうとしている。これと正面から対決し、日帝・支配者階級の野望を粉砕するたたかいをつくりだしていこう。

 明文改憲に向けた動きと並行して、九条の実質的破壊を進めようとする攻撃も本格化している。安倍政権が首相の私的諮問機関として四月二十五日に発足させた「安全保障の法的基盤の再構築に関する有識者懇談会」がそれである。これは、これまでの憲法解釈では禁止されていた集団的自衛権の行使を明確に容認に転じさせるためのものである。座長の柳井俊二(前駐米大使)をはじめ、岡崎久彦(元駐タイ大使)、葛西敬之(JR東海会長)、北岡伸一(東大院教授)などすべてのメンバーが、集団的自衛権の行使を容認するように憲法解釈を変更、あるいはそのように憲法自体を変えることに積極的な人物だ。

 集団的自衛権行使の容認とは、実際には世界各地で米帝の侵略戦争・軍事作戦に自衛隊も共同作戦をもって参画していくためのものである。先にあげた懇談会のメンバーの一人である葛西敬之は「『自分が撃たれないかぎり、一発も撃ち返さない』などと言って、日本の安全が守れるでしょうか」(中央公論〇五年一月号)と述べている。だから、米帝と肩を並べて先制攻撃がおこなえるようにしようという論理である。侵略反革命戦争出動体制づくり―憲法改悪に公然と向かうこのような動きを絶対に許してはならない。

 安倍はまた、四月二十一〜二十三日におこなわれた靖国神社の春季例大祭に「内閣総理大臣」の肩書きで供え物を奉納した。われわれはこれを弾劾する。安倍はそれが明らかになった翌日の記者会見で、「参拝をするしない、またお供え物を出した出さないということについては申し上げない」「(供え物を奉納したことについては)肯定も否定もしない」などとふざけた発言をかさね、これが「外交的配慮」示すものだと報道されているが、むろん問題の本質はそんなことにあるのではない。新たな侵略戦争の時代に戦死者の「英霊化」を図ろうとする動きをわれわれは徹底的に弾劾する。

 

●4章 反戦・反基地、反改憲を国際主義貫いて闘おう

 全国のたたかう労働者・学生のみなさん! 日米軍事同盟強化と憲法改悪に突き進む日帝・安倍政権の打倒に向けて、全国の職場・地域・学園から反撃を組織していこう。

 この五月後半から六月にかけて、以下のたたかいを共におし進めていこうではないか。第一に、国民投票法案強行可決を弾劾し、米軍再編推進法案、イラク特措法延長など一連の戦争法案の成立阻止に向け、たたかいに立ち上がることである。侵略戦争体制づくりに向けた動きへの抵抗を職場・地域・学園につくりだし、広げよう。そして、国会を抗議の声、反戦の声で取り囲もう。

 第二に、辺野古新基地建設阻止闘争に連帯し、全国から支援・連帯を集中するとともに、沖縄と「本土」をつらぬく米軍再編粉砕闘争を現場から発展させることである。そして、そのたたかいを国際共同闘争として推進していくことである。「戦略的柔軟性」の名のもとでの駐韓米軍の再編・強化とたたかう韓国人民の反基地闘争、「対テロ戦争の第二戦線」として米軍駐留の恒常化が狙われているフィリピンで政府の弾圧・暗殺攻撃に屈せずたたかうフィリピン人民のたたかいと連帯した共闘闘争で、アジアからの米軍総撤収に向けた展望をさらに大きく切り開こう。

 第三に、激化する在日朝鮮人への政治弾圧を許さず、民族排外主義との対決をおし進めていくことである。安倍政権の共和国敵視政策のもとで戦争前夜とも言える朝鮮総連や関係団体への不当な政治弾圧が続き、また民族学校生徒をはじめ在日朝鮮人に対する嫌がらせや暴言・暴行などが拡大している。これを絶対に許してはならない。民族排外主義との闘争は反戦闘争・階級闘争の試金石だ。民族排外主義攻撃と対決し、在日朝鮮人の生活と権利を防衛するたたかいに立とう。

 第四に、これらのたたかいの成果をアジア共同行動日本連絡会議が呼びかける六月アジア共同行動へと結実させていくことである。アジア共同行動は、たたかう韓国、フィリピンの仲間を迎えて全国各地でアジア共同行動集会を開催する。その成功をもって日本階級闘争の反帝国主義の国際主義的な発展をかちとろう。国際主義に貫かれた反戦・反基地・反改憲運動の前進をかちとろう。共にたたかいの最前線へ!

 

 

 

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