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『戦旗』第1280号(2007年3月20日

 

米韓合同軍事演習フォールイーグルを中止せよ

反戦・反基地闘争を全国で闘おう

改憲手続き法案粉砕!

辺野古新基地「事前調査」阻止

 

 すべての労働者、学生、市民のみなさん。

 二〇〇三年、全世界の人民の反戦闘争の高揚のなかで、米帝ブッシュがイラク軍事攻撃を開始し侵略にふみきってから四年目を迎える。この侵略と占領の四周年を弾劾し、米軍―多国籍軍の即時撤退を求めて、全世界でイラク反戦国際行動が行なわれる。四年間にわたるイラク侵略・占領は何十万もの無辜のイラク人民の命を奪った。米帝はじめ各国において「対テロ戦争」の口実のもとに軒並み軍事国家化と強権支配が推進され、人民の民主的権利、生活権が剥奪されていった。これに対してイラク人民をはじめ中東、米国本国、欧州、中南米、アジアなど全世界で人民の抵抗闘争、反侵略闘争が持続し、それはいまブッシュのイラク侵略と「対テロ世界戦争」を破綻の目前にまで追いこんでいる。もちろん、米国をはじめ帝国主義者どもはこの破綻を逃れるべく、さらに一層イラクへの増派を行ない、戦争をイラン・中東に拡大し、同盟国を深く戦争に引きこむための米軍の世界的編成を推し進めている。日本の安倍内閣も米帝の戦略を最大の土台と基盤として米軍再編と改憲を有無をいわさず強行しようとしている。だが、国内的な彼らの攻撃は、米帝が世界的な人民のたたかいに追い詰められているのと同様に、大きな弱点をも抱えたものである。三月、全世界の人民とともに決起し、イラク軍事占領反対―外国軍・自衛隊即時撤退をかちとり、ブッシュの戦争にとどめをさそう。これによって安倍の米軍再編と改憲攻撃の土台を揺さぶり、人民のたたかいの高揚によってこれらを葬りさろう。

●1章 米軍はイラクから全面撤退せよ★

 昨年十一月の米国の中間選挙において米国の人民はブッシュ共和党を上下両院において敗北においこみ、はっきりとイラク侵略反対、米軍撤退の意志を示した。しかし、ブッシュにとっては戦争継続と軍事力を全面に押し出した世界支配の選択しか残されていない。一月、ブッシュ政権は「イラク新政策」と銘打って二万二千人の増派を決定した。そして、二月中旬よりバグダッドの武装組織にたいする掃討作戦なるものを開始している。この作戦は実際は一般住民にたいする無差別なそして無法な虐殺作戦であり生活破壊作戦である。

 この増派新政策によってもイラクにおける米軍支配の危機的状況が回復していくなどとは当の米軍すらもが信じていない。むしろイラク人民による米軍・イラク治安部隊への武装抵抗はますます激化し、米軍のヘリが撃墜され、米兵の死者も増加している。内戦状況はさらに混迷を深め、爆弾攻撃によってわずか一日で一千人をこえる犠牲者がでるという悲惨な状況も現出した。このような状況のなかで二月、英国ブレア政権はイラク駐留英軍七千人のうち千五百人を数週間中に、三千人を今年中に撤退させるという決定を明らかにし、また、デンマーク政府もその駐留軍を八月までに撤退させる決定を行なった。ブッシュは国内的のみならず、国際的にも孤立の道をたどっている。ブッシュ政権の延命策は、イラクからシリア、イランへの戦争の拡大である。イラクの武装勢力を支持しているとの口実によってイラン、シリアを名指しで恫喝し、軍事攻撃の準備を行ない、中東地域全体の緊張をたかめている。この戦争がはじまれば中東全域をまきこんだ戦争になる。このような残虐な侵略戦争を絶対に許してはならない。ブッシュのイラク侵略が敗退局面を迎え孤立しつつある今、全世界の人民とともにイラク侵略・占領の終了と米軍の撤退・自衛隊の撤退をかちとらねばならない。米軍の戦争はそれを支える日米同盟なくしてありえない。日米同盟の根幹に米軍再編があることはあきらかだ。日本の労働者人民はこのイラク侵略反対のたたかいを、米軍再編をぶっつぶすたたかいとしてにないぬかねばならない。

 このたたかいにおいてわれわれは、米帝国主義者の意図をしっかりとつかみ反撃する必要がある。中間選挙においてブッシュの対イラク戦争への批判の受け皿になった民主党もまた、米国支配層の政党であり、まったく人民の利害を代表するものではない。二月十六日、ブッシュ政権前国務副長官アーミテージ、元国防次官補ナイらは「米日同盟―二〇二〇年までアジアをいかに正しい方向に導くか」という提言(いわゆるアーミテージ・レポート2)を発表した。この報告は一般的な報告ではなく米政権の対日政策に大きな影響力をもつものである。共和党・民主党を貫いて超党派で米帝国主義・支配階級のアジアにおける利害を主張し、それにもとづく対日政策をあけすけに物語るものである。アーミテージは米国支配層内において「知日派」の総元締めと目される人物で、憲法九条を改悪して軍隊や交戦権をもてと日本政府に要求していることで有名だ。すでに二〇〇〇年にその第一次報告が発表され、そこでは「米国と英国との特別の関係を日米同盟のモデルとみなす」とのべ「日本が集団的自衛権の行使を禁じていることが日米同盟を制約している」として、日本に集団的自衛権の行使と憲法改悪を迫った。彼はこの提言をたずさえて、それを実現すべくブッシュ政権に参加した。以降、小泉―安倍という政権のもとでこの提言が具体化され、アーミテージはその進捗に満足の意を表明している。

 今回のレポートも来年の米大統領選において共和、民主どちらが勝ってもアジア政策、対日戦略は不変であることを明らかにし、そのレールを敷いておこうとするものである。内容的には日米同盟を世界的な同盟として発展させ、これを基軸にして軍事力と外交政策と薄汚れた「民主主義と自由」というイデオロギーでもって、台頭する中国、インド、韓国、アジア諸国、さらにオーストラリアをとりこんでいくという方向を明らかにしている。そのための日本にたいする要求は露骨である。日本が世界的な安全保障のパートナー(同盟国)になるために、改憲を後押しし、随時兵力を海外に展開できるよう自衛隊の海外派兵を恒常化する法体制・立法を要求し、日米の軍事的一体化を迫っている。具体的には、ハワイの米太平洋軍司令部と東京の自衛隊統合幕僚監部への軍人相互派遣、共同統合作戦司令センターによる日米共同作戦体制の拡充、武器輸出3原則の廃棄、兵器の日米共同開発すなわち日本と米国の軍事産業の一体化、宇宙の軍事的利用、これらを保障する軍事情報・機密の管理のための立法、日本の軍事予算の増額、など具体的で多岐にわたる。もちろんこの背後には米国の産軍複合体の利益が貫かれている。安倍政権、自民党の改憲論議はこれと軌を一にしている。

 この中心にある政策が現在進行しつつある米軍の世界的再編にほかならない。われわれはあらためて「アジアから米軍を総撤収させる」たたかいをおしひろげ全力で推進していかねばならない。

●2章 米軍再編関連法を粉砕しよう★

 昨年五月、「米軍再編の最終報告」(再編実施のための日米ロードマップ)の日米合意、そしてその実施にむけた「5・30閣議決定」から一年を迎えようとしている。この日米の交渉は、その過程を地元に秘密にしたまま、政府間の交渉で合意した。合意後もその内容は国会においても基地の地元当該地方自治体においても説明らしい説明もないまま、権力をふりまわし既成事実のようにしてすでに推進されている。このかんの例をあげても嘉手納基地にパトリオットミサイルPAC3を強行的に配備し、最新鋭戦闘機F22の配備をすすめ、また、ロードマップには規制されない海軍関連では、横須賀基地への原子力空母配備計画が推進され、佐世保には原子力空母「ドナルド・レーガン」が寄港した。三月からは福岡・築城基地において米軍機による訓練が開始された。

 もちろん、これに対する地元の不満は強い。米軍再編に関連する全国五十五にのぼる自治体のうちいまだ十六の自治体は再編計画の受け入れを表明していない。その理由は、このかんの過程が地元に秘密裡に進められたことにあるとともに、ますます、政府のいう「抑止力の維持と基地負担の軽減」がまったくウソであり、実際は沖縄についても「基地負担の増大」であり「日米の軍事一体化と攻撃力強化」であることが明白になってきているからである。このような状況のなかで二月九日、政府は「米軍再編特措法」(駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案)と米軍再編経費を含む来年度予算案を国会上程した。

 これらの法案は徹底して反人民的なものである。まず第一に、この米軍再編に総費用がどれだけかかるのか明らかにしないままに来年度予算において「調査費」などという名目で七十二億円もの予算要求をするというでたらめぶりである。政府はグアムへの海兵隊の移転だけでも七千億円という法外な支援を約束しているが、その他の再編計画にある移転、諸施設建設にかかる巨額の予算は明示されていない。第二に、グアムの移転についても米政府は「グアム統合軍事開発計画」のもとにグアムを空・海・海兵隊の集中する一大拠点として強化しており、この予算は明白に、グアムにおける米軍基地建設の費用を日本が負担すること以外の何ものでもない。第三に、いわゆる米軍再編交付金の問題である。これは防衛大臣がその対象地域を指定し、再編の進捗状況に応じて再編交付金を支給する、または関連事業への国庫負担率をあげる、というものである。地元の再編計画容認(受け入れ)の表明がない限り、一方で再編計画は着々と執行していくが、再編交付金は一切支払わない。そして受け入れ容認の場合でも四段階の進捗状況に応じて交付金を増額していく。つまり露骨に地方の首長を権力で押さえつけ、金で受け入れを強制する、日米の軍事一体化のためには憲法も地方自治もない、という実状が進行している。岩国市長の場合のように受け入れを拒否すると、政府は交付金を支払わず、再編計画を強行していく、しかも交付金は支払われない。さらに久間防衛大臣は岩国市に対する来年度の補助金を打ち切る、と通告している。

 しかし、この防衛省が主導して推進している新日米軍事同盟の基地再編は、それが法案となり人民の目にふれるなかで、多くの矛盾と負担軽減という欺瞞がさらけだされ人民の怒りをかきたてることは必至だ。沖縄、岩国、神奈川など地元・地域住民のたたかいを支援し、廃案をたたかいとろう。昨年十一月、アジア太平洋圏全民衆の共通課題として「アジア米軍総撤収」を掲げた岩国闘争の地平を踏まえて相互支援・共闘を更に強化しよう。

●3章 生活破壊、改憲に突き進む安倍政権打倒を★

▼1節 生存権破壊と闘い07春闘勝利を★

 危機を深める日帝―独占資本は、前述してきたように、米帝とともに全世界の労働者・被抑圧民族の敵対者として公然と登場すると共に、日本国内においても、労働者・被差別民衆の生存権を破壊する攻撃を激化させている。八〇年代、中曽根による総評解体攻撃と派遣法導入、九〇年代日経連による「新時代の日本的経営」と規制緩和政策、そしてこれらの総仕上げである小泉`構造改革aの推進によって、日本社会においても新自由主義的編成が進められてきた。その結果、いまや上場企業は戦後最高の利益率を更新し続ける一方、労働者階級・被差別大衆の雇用・生活破壊は進み、非正規雇用、日雇い・若者・女性・障害者など弱い立場におかれた人々から生存権の剥奪が進んでいる。非正規雇用労働者は全体の32%となったが、女性では50%超、若年層(十五―二十四歳)では50%近くであり、正社員の40%以下の低賃金・無権利・不安定雇用のもとに置かれている。また若年層の完全失業率は8・7%と、労働者全体(4・4%)の二倍水準での高止まりである。企業への優遇措置の一方で、福祉関連予算は極限まで削られ、生活保護や児童手当などが切り下げられ、生存のための最低限のセーフティ・ネットすら断ち切られつつある。

 経済協力開発機構(OECD)によると、〇二年の段階で日本の貧困率は15・3%、調査国中5番目に高い数字であり、これは今も拡大の一途をたどっている。独占大企業への富の集中と、労働者・被差別大衆への貧困の集中が進み、貧困は層として世代を超えて「世襲化」され、このような「格差拡大」が全社会的な問題となっている。

 独占資本は、労働者民衆のさらなる生存権破壊の道を強めようとしている。労働契約法制新設、労働ビッグバンなどを通し、労働者の権利を根底から破壊し、集団的労使関係の基礎を叩き潰そうとする攻撃が進んでいる。

 今春期闘争において、このような労働者・被差別民衆への搾取強化―生存権破壊とたたかい、また労働運動破壊攻撃を打ち破って、階級的労働運動の前進を勝ち取らなければならない。

▼2節 改憲攻撃と対決し安倍政権打倒せよ★

 安倍政権は、その反動的な性格をますます露わにしている。独占資本の強搾取―人民の生存権破壊と侵略反革命戦争を実現する全社会的再編の道を敷いた小泉政権を継承し、安倍は、これをさらに共和国敵視―民族排外主義によって、右から完成させようとする超右派に他ならない。中国・韓国訪問によってスタートした安倍は、いま支持率が低下する中で、その右翼的本性を全面的に発揮することによってこの突破をはかろうとしている。すでに安倍は教育問題と改憲にむけた国民投票法を成立させることに全力をあげる、と表明している。これと関連して、日米共同訓練や国民保護法計画化など朝鮮戦争準備を強化し、朝鮮総連攻撃と監視を強め、この下で在日朝鮮人民へのデッチあげ弾圧や襲撃などを行なっている。また、安倍政権は、かつての侵略戦争責任を否定する暴挙を強めている。先日アメリカ下院で提出された「軍隊性奴隷制度」に関する日本非難決議案に対し、安倍首相は「強制連行は事実上なかった」「慰安婦狩りはデッチあげ」(三月五日予算委員会)と、一九九三年の「河野談話」すら否定する発言を行った。自民党の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」は、「河野談話が米議員の事実誤認を招いた」と、その見直しを主張している有様である。これに対してはすでに韓国のソンスンミン外交通商相から不快感が示されており、日本の侵略戦争責任は、アジア規模での今日的課題として煮詰まるだろう。その根幹的なものが、憲法九条問題である。憲法九条に示される戦争放棄と軍隊不所持は全世界、とりわけアジア諸国・民衆が日本帝国主義の侵略戦争を封じるために要求したものであった。日帝支配層と天皇は、米帝のアジア侵略反革命の野望につけこみ、沖縄を米軍政に売り、朝鮮戦争協力を行って「国体護持」を果たし憲法一条に天皇制を滑り込ませたが、九条を拒否することはできなかった。安倍政権は、改憲によって九条を廃し、米帝と伍する帝国主義として公然たる侵略反革命戦争出動を実現することを使命としている。安倍は五月三日憲法記念日までに、改憲のための国民投票法を成立させることを、最重要課題として掲げた。このような安倍の暴挙を絶対に許してはならない。

 この三月―四月において民族排外主義を人民に注入し、改憲と戦争にむけた総動員体制を準備する攻撃と全力でたたかおう。卒業式・入学式をそのような場にしてはならない。たたかう学校労働者、地域住民と団結して「日の丸・君が代」粉砕! 卒業式・入学式闘争をたたかおう。

 また、法的手続も地域農民との約束も一切無視し反故にして市東さんの農地の強奪に手をかけ、東峰の森に手をかけた成田空港会社、千葉県、農水省を弾劾しよう。成田空港自体が戦争遂行体制と米軍再編のなかにしっかりと位置付けられているのだ。3・25三里塚全国集会の爆発をつきつけよう。全国から総結集をかちとろう。

 さらに、今年は四月に全国で統一地方選挙がおこなわれる。進歩的な地方議員が地域住民のなかではたす草の根の活動は実に貴重で重要なものである。四月統一地方選において改憲攻撃、米軍再編、差別排外主義と対決する候補を全国で支援しよう。

 

 

 

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