共産主義者同盟(統一委員会)
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『戦旗』第1275号(2007年1月1日)
戦争と貧困、排外主義の吹き荒れる21世紀 帝国主義打倒、プロレタリア解放の闘いの強化を 改悪教育基本法成立弾劾! 防衛庁「省」昇格法成立弾劾 改憲―朝鮮戦争に突き進む安倍政権を打倒せよ ●はじめに 年頭にあたって、すべての労働者人民の皆さん、『戦旗』購読者の皆さんに共産主義者同盟(統一委員会)より挨拶を送ります。二〇〇七年の年頭を取り巻く内外情勢は、労働者階級人民にとって極めて深刻なものとなっている。昨〇六年において、米帝―ブッシュ政権によるイラクへの侵略戦争、朝鮮民主主義人民共和国への「制裁」発動を始めとする戦争情勢は一段と深刻化し、また米帝―多国籍資本を中心とした国際金融資本によってグローバリゼーションは加速度的に進行した。〇六年は全世界の労働者階級人民にとって戦争の危機、搾取と収奪、階級抑圧による生活の危機が一層強化された年であった。日本にあっては、日帝―安倍政権が、小泉路線を継承するかたちで成立し、米帝―ブッシュ政権との同盟、多国籍資本との連動の政策を一段と強化し、北東―東アジア―アジア全域で労働者階級、人民への敵対の策動を強めている。日帝―安倍、総資本は一方で対「共和国」の戦争準備の策動を強め、他方で搾取と収奪の強化、二極化する社会―格差の拡大政策を展開し、日本労働者階級人民に対して攻撃を加え、戦後かつてない生活、生存の危機の状況にたたき込んでいる。また「共和国」問題を「踏み絵」とし排外主義扇動の攻撃を強め支配の重要な手段としている。しかし〇六年はこのような帝国主義と多国籍資本の全世界にわたる大攻勢にもかかわらず、労働者階級と被抑圧民族、人民は九〇年代からの打ち続く攻撃に耐え抜き、ようやく反撃への大きな一歩を実現した。〇六年は二十一世紀のプロレタリア革命運動にとって、極めて重要な記されるべき年としてあった。労働者階級人民は戦争とグローバリゼーションへの反撃を確実に拡大した。イラク、アフガン、パレスチナにおける帝国主義の侵略―占領に対する抵抗運動、解放運動は前進し米帝―ブッシュの体制を脅かしている。十一月の米国の中間選挙では共和党が大敗した。中、南米における反米左派政権は拡大し、フランスの相次ぐ労働者や移民労働者の反乱、アメリカの反戦運動、移民労働者の運動の高揚、さらに韓国―フィリピンをはじめ東アジア諸国の労働者農民のたたかいの拡大など、全世界の労働者人民の運動は大きく確実に前進したのである。日本においても〇六年、日帝の戦争政策―米軍基地の拡大攻撃に反対する沖縄、岩国、神奈川の運動が大きく前進し、教育基本法改悪反対の運動の高揚、さらに「小泉改革」の化けの皮がはがされ「二極化と格差の拡大」に対決する労働者階級の争議による反撃が拡大に転じた。また障害者を始めとした多くの被抑圧人民の「福祉切り捨て」に反対する運動が展開された。〇七年は昨年のたたかいを引き継いで二十一世紀初頭の歴史的趨勢である戦争とグローバリゼーションの不可避の進行とこれに対決する労働者階級、被抑圧民族人民の解放運動の形成と発展という構図をより鮮明な形にしていくであろう。わが同盟は全世界のプロレタリアートに連帯し、日本帝国主義と日本巨大独占企業の打倒のために全力でたたかい抜く。二十一世紀をプロレタリア革命―プロレタリアートの真の解放の世紀とするために、労働者階級と人民の自己解放運動の先頭に立って活動したたかい続ける。わが同盟はブントの党派性を堅持し、すべての活動を通してわが同盟を労働者階級解放の党、すなわち革命的労働者党として自己を確立していく。またそのために永続的に自己を改革していく。 二十一世紀の初頭の情勢の根底にあるものは、生産力の飛躍的拡大―資本の自由化による全世界の資本主義化の飛躍的前進である。二十一世紀の資本主義世界はいわゆる二十世紀における一七年ロシア革命以降の「社会主義圏」への対抗からは解放されており、資本―多国籍企業の利潤獲得のための争闘の場と化している。資本の無制限の自由、労働者階級からの搾取、労働者人民からの収奪を好き勝手に行おうとしている。過剰資本にあえぐ金融資本は自らの投資先を求めて全世界的にまた社会のあらゆる分野に矛先を向けてきた。資本の論理によって全世界を解体再編する運動である。確かに帝国主義諸国の経済成長率は、総じて、〇から三パーセントという具合に鈍化し、停滞の色を濃くしているが、中国、インドなどの第三世界では急速な経済成長が実現され、二十数億の人口が資本主義に強引に組み込まれてきている。マルクスが『ドイツ・イデオロギー』で展開した世界が二十一世紀の今日、ますます速度を速めて貫徹されている。世界は生産力の拡大、交通と通信と貿易の発展によって、古い障壁は打ち破られますます一体化していこうとしていると言って過言でない。 帝国主義と多国籍企業によって、この資本主義化は現実的に推進されていく。この過程は、帝国主義間の対立と抗争、とりわけ中心国米帝の二十一世紀の世界再編成の政策、この同盟の中身をめぐる軋轢として、また、帝国主義の第三世界からの石油を初めとする第一次産品の植民地的収奪、および資本輸出、資本主義化をめぐる軋轢として展開されている。また帝国主義諸国にあっては、二極化する社会への再編をめぐる軋轢として展開されている。ここでは中心国米帝、金融資本は金貸し資本への傾向を強め、国際金融マネーを操って利鞘を稼ぐ国家への性格を強めており、投機にまつわる不安定性を全世界的規模で増大させている。また日帝や欧州帝は生産への投資であり、第三世界、旧労働者国家の資本主義化を促進している。戦争とグローバリゼーションは帝国主義の世界支配とその下における多国籍企業、金融資本の展開によって進められているのである。 ところでこのような資本展開、帝国主義支配の再編成の中で、この資本主義、帝国主義を打ち破り新たな社会建設を可能とする革命の主体が成熟していることを確認することが重要である。基本的には全世界で大量の低賃金プロレタリアートが形成されていることであり、帝国主義国でも社会の二極化が進行して「プロレタリア下層」が、拡大している。もちろん侵略と収奪に喘ぐ被抑圧民族、差別と抑圧、切り捨て攻撃にさらされる被抑圧人民、生活破壊、生存権否定の攻撃は「資本の論理」の貫徹の中で、一層進められている。二十一世紀の革命はますます増大する労働者階級を主体とする革命であり、とりわけ帝国主義国の下層労働者、第三世界の低賃金労働者を主体とする革命である。世界の資本主義化によって形成される古い諸共同体的諸関係、諸価値意識を解体して生み出される単一市場と交通形態の発展による接近、またにもかかわらず資本主義強国―帝国主義国の対立と抗争、また帝国主義と第三世界の分裂、植民地的抑圧、また民族排外主義による対立、分断、帝国主義国内における差別分断、被抑圧人民への支配の強化、こういった二十一世紀的状況を根底から変革するために、全世界で増大するプロレタリアートの歴史的意義は大きいのである。民族と国境の壁、排外主義を乗り越えて団結する労働者階級の国際的連帯による運動の発展は今日の資本主義、帝国主義を打倒していく中心環を形成する。また労働者階級は自らが国民としてある民族と国家との連関において、とりわけ帝国主義国の労働者にあっては、植民地諸国―第三世界の被抑圧民族人民への歴史的な侵略戦争―植民地支配に対する反省と自己批判の立場が不可欠である。また被抑圧人民への連帯においても歴史的な差別分断支配への歴史的反省が不可欠なのである。もちろん、現在実現される国際連帯運動は東アジアの連帯運動、AWC運動に結実化しているように、この点を踏まえこれをより越えた、すなわち帝国主義国労働者の一国主義的枠組みを乗り越えた運動、たたかいとして前進している。ともあれ革命の主体として労働者階級、被抑圧民族、被抑圧人民は二十一世紀初頭、資本主義、帝国主義に対する抵抗運動を強め、それぞれ独自の内容をもって自己解放運動に立ち上がっている。また国際点連帯運動も発展してきている。この意味で現代のプロレタリア革命の主体は現に成熟しているということができる。 主体の成熟の中で、またとりわけ重要なことは、労働者階級の現実を代表する労働者政党の存在である。この資本主義、帝国主義の危機をプロレタリア革命に転化する革命的労働者党の存在であり、建設のための努力である。全世界における労働者階級の様々な運動、活動、たたかいの中から、この運動の代表としてそれぞれの国で労働者党を作ることである。日本の地で、日本の労働者階級を代表する労働者党―革命党建設するということだ。わが同盟は日本における革命的労働者党建設のためにたたかいぬく。日本では小泉改革のもと労働政策が根本的に転換され、非正規雇用が全労働者の三分の一(政府の統計)にまで跳ね上がり、既存の正規労働者に対してもリストラ―倒産攻撃、賃金カット―労働条件の悪化の攻撃がかけられてきた。資本家とほんの一部のプロレタリア上層に富が集中し、他の圧倒的多数の労働者が深刻な貧困に喘ぐ社会が到来した。青年と女性はとりわけ深刻な生活危機に追い込められている。また被抑圧人民諸階層への社会福祉政策は投げ捨てられて、徹底した差別切り捨て攻撃が強まっている。また戦争のための軍事基地強化、戦争イデオロギーの注入のための教育基本法の改悪など生活と権利、政治的自由の破壊の攻撃が強まっているのである。革命的労働者党は一切の労働者階級の自己解放運動を代表して、また「プロレタリア下層」の利益に依拠して、自己の階級的力を確立し、また他の被抑圧人民の解放運動、市民住民、学生、農民などのあらゆる被抑圧階層に連帯して活動し、労働者党として自らを鍛えていく。 そして最後に確認するべきことはこの二十一世紀初頭のプロレタリア革命は労働者階級の過去の革命運動を継承しつつ、あらたなる革命運動、階級闘争を創出していくことによって可能となるということだ。資本主義の発生と生成、成長と爛熟という歴史的過程において、あるときは政治権力を獲得し「社会主義世界体制」をも作り上げた、労働者階級の資本家や帝国主義者に対するたたかいの歴史、自己解放運動の歴史をすべて継承していく。しかし重要なことは一七年ロシア革命が切り開かれ、四七年中国革命が成立しキューバ革命やベトナム―インドチャイナなどの革命の勝利にもかかわらず、それら多くは、共産主義運動のスターリン主義的変質、一国社会主義論と階級の解放無き社会建設の綱領的ドグマの前で、無残にも敗北、解体した。二十一世紀、このスターリン主義の敗北を乗り越えるために、階級闘争の根本からの再建、革命運動の新たな創造の課題がプロレタリアートの前に突き出されている。帝国主義と資本主義に真っ向から対決する労働者階級の運動、労働者階級の国際的共同行動動、連帯活動の断固たる推進、労働者階級と被抑圧人民の連帯活動の独自の形成、労働者ソビエト(前提としての労働組合)を基礎にした運動の推進を指標とするプロレタリア革命運動を構築していこう。労働者党と革命的プロレタリアは、あらゆる人民が自己解放を勝ち取るために、新しいたたかいに挑戦していく。わが同盟は与えられた世界史的な任務に応えるために〇七年を全力でたたかいぬく。 すべての労働者人民、戦旗購読者の皆さん。 わが同盟と共に労働者階級、被抑圧人民の自己解放を目指して、激動の〇七年を粘り強くたたかいぬきましょう。
■第一論文 ブント再建、統一大会の地平(綱領―路線)に踏まえ同盟活動の成果を打ち固め日本革命に向けて前進しよう 共産主義者同盟(統一委員会)政治局 ●一章 06年の活動、獲得した地平と問われる課題 わが同盟は〇四年四月にブント再建―統一大会をかちとり、また〇四年、〇五年と2CC、3CCを同盟規約にのっとって実現してきた。現在の地平に立ってわが同盟の組織建設をふりかえるならば、わが同盟は、まず同盟の思想、組織的基礎である綱領を確定主体化し、ここで組織の結束を強化したこと、また路線を確定し、この実現のために組織体制を作り、全同盟をあげた組織活動を展開したこと、このような革命的労働者党としての本来あるべき党のかたちを自らのうちに確実に蓄積してきたこと、このことが何よりの成果として確認できる。わが同盟は、同盟総体としてまた同盟員個々として組織活動を頑強に展開してきた。そして一連の活動を通して、われわれは、およそ、労働者階級、被抑圧人民の自己解放の組織たるべき「党」の建設、「現代の革命的労働者党」の建設の基本的なスタイルと方策、更に考え方、組織思想を獲得してきたのである。現在の同盟建設の地平の一切の確信はここにある。同盟の綱領(的立場)の確定、路線の確定、そして組織の確立をあくまで一体的に、統一的に実現すること、綱領―路線を確立し組織を通してこれを実践すること、こういったある意味では政党にとって常識的、一般的課題である原則的内容を、われわれは革命党的次元において物質化してきたのである。しかし組織的に実践し実践を通して自らを強化していくことは、極めて困難なことである。旧来の一次ブント、二次ブントの轍を踏まず乗り越えていくことは、われわれにとって何よりも重要なのである。われわれはこの現在までの地平に踏まえて、現在、労働者党建設の活動の最後の領域をなすところの、同盟組織の活動実践とその総括、検証、組織活動の活動に則した総括、現実の基盤にたった活動の意識的な対象化、活動内容の創造、ここを明らかにすること、党建設のこの領域に歩を進めていかなければならない。現在の最も重要な課題―主体的課題はこの点にある。すでにわれわれは組織統合以降、二年以上の活動を展開している。確かに統合の当初は、旧組織の現状を踏まえつつ、これを新たな次元において組織的に一体化させつつ、統一した活動を作り出すことで精一杯であった。とくに統一的な指導部の建設、政治局、中央諸機関をとにかく建設し、展開していたのだった。当初はここが重要であった。そして、われわれは〇四年四月以降、全同盟の組織的配置を早期に完了させ、統一活動実現の地平を確立したのである。3CCでは統一的な同盟活動の総括が一定可能になっている。大会以降、すでに三年に近い年月が経ち、われわれは粘り強い活動を展開出来るようになった。今重要なことは活動を総括し新たな方針を提出することである。具体的な事柄に踏み込んだ内容の検討である。〇五年の3CCでは同盟の活動路線に踏み込んだ諸方針を確認した。この実現、実施の具体的な総括がいま問われている。〇七年の活動の開始に向けて、組織実践の具体的総括と創造的方針の決定の作業に取り組まなければならない。 ところで、検討作業において、活動展開の一般的な不十分性を指摘することだけが「総括」とされ、ここに終始したり、または配置問題にすり替えられたりする、総括パターンを脱却することが重要である。とにかく問題の指摘だけの確認に終わることが最もまずいのである。問題は、現在の活動においていかに組織と組織員が生き生きと活動し共産主義者、革命家として強化されているのか、組織としての団結結束が作り出されているのか、あるいはその逆なのか。また、総括と新たな方針、創意と工夫とは何か、こういったことが正面から、必ず、検討されるべきである。真のボルシェビキ党へわが同盟は前進しなければならない。確かにいまだ総括や方針を突っ込んで確認できない、あるいは変に深めるべきではないところもあるだろう。しかし同盟が活動しているところ、とくに基本路線(階級的労働運動、アジア共同行動、反戦―拠点防衛、学生運動、地方拠点の新たな階級闘争構造の創出)に関しては、確実なる、歯を食いしばった活動の対象化、文章化が必要である。もちろんここでは党活動一般、組織建設一般の教訓についても常に明らかにされるべきである。こういった組織総括に関する同盟の力、能力を作り出していくことが重要なのである。綱領―路線、組織の確立に加えて、同盟の活動の総括と教訓、方針検討を同盟自身の力で成しとげ、作り上げていくことによって、われわれは一つの政党へと、このわが同盟を着実に建設していくことができるのである。 現在、われわれは組織統合以来、作り上げた党活動と階級実践の基本的スタイルをしっかりと対象化し、総括し方針を策定していくべきである。実際、この一年間の活動においてわれわれは、3CCで確認した点、とくにアジア共同行動の強化と活動家建設、階級的労働運動の路線深化と活動家建設、反戦闘争と地区党建設、学生運動と活動家作りなどの点で政治的にはもちろん、組織建設的にも、確実に前進していると評価できる。また労働戦線、AWC戦線において総括と方針領域でのまとまった文章も策定されているのである。この提出された諸文書をより掘り下げて現在的に検討し総括していくことも重要である。成果と問題点を明確にし、次の同盟活動を作り出していくこと、ここに現在の組織建設の中心的課題があるのだ。何よりも〇七年にむけて、とくに路線に基づき実践した諸活動をその結果において、別の言い方をすれば成果において対象化していくスタイルが重要である。今重要なことは十の失敗例ではなく、一つの成功例である。十の問題の指摘ではなく一つの問題の克服の内容なのである。あくまでもすでに以前から明らかとなっていた問題点、限界だけの再確認に終始することなく、もっと具体的な政策、活動内容が前進と創造の角度から問題が検討され、事態打開、現状打破のための積極的方針が打ち立てられなければならない。 ◆1節 06年の闘いとその地平 ▼1項 プロレタリア解放―共産主義革命を目指すわが同盟の存在とヘゲモニー形成 〇七年の現在までのわが同盟の組織的地平の第一は、わが同盟が日本帝国主義に対決しプロレタリア革命を目指す革命党派として存在することを、広く内外に明確にしたことにある。共産主義革命を目指す政治勢力として明確に日本階級闘争の中に、地歩をもって登場したことにある。もちろんこれを可能にした同盟の活動を、われわれが生み出してきたということでもある。現在全世界で戦争とグローバリズムの激烈な進行の中で、この危機を「プロレタリア解放―共産主義」に転化する革命的労働者党の存在が最も鋭く問われている。内外の情勢、階級情勢は結局現代の危機を見据え、労働者階級、被抑圧人民の解放に転化する頑強な労働者党の存在の如何が、諸問題の帰趨を決してしまうのだということを明示している。こういう世界情勢、国内情勢の下、ともあれ、わが同盟は着実に日本における革命的労働者党の建設の確実な一歩を刻印した。組織の実態建設で確実に一歩を刻印したことの意味は大きい。 九〇年を前後するソ連スターリン主義体制の崩壊を重要な要因とする国際共産主義運動―左翼運動の後退と、九〇年代に激化し、〇〇年代に入って、一層深まっているグローバリズムの重圧による旧来の共産主義運動―左翼運動の分解と分散化は、全世界的にまた日本においても進行した。わが同盟は〇四年ブントの再建を掲げて、このような九〇年代の「逆流」に抗して、分派の統合を成し遂げ、共産主義運動の防衛と発展のために立ち上がった。 二十一世紀初頭の国際情勢は急速に変化した。米帝―ブッシュ政権による〇三年のイラクへの侵略戦争と軍事占領は九〇年代の帝国主義と資本主義の基本的な延命の運動が、爆発的な形で全世界の労働者階級と被抑圧人民の犠牲と災禍をもたらすものであることを明らかにした。この傾向は一層激化する必然性を持っている。しかし〇〇年代の戦争―グローバリズムの激烈な進行は全世界で、労働者階級人民の解放運動の新たな高揚をもたらしている。アラブ―中東、イラク―パレスチナ、中南米、そしてフランス、韓国、フィリピンなどでたたかいは拡大している。東南アジアのタイやネパールの民主化をめぐる運動も発展しているのである。 わが同盟は帝国主義、資本主義による戦争と抑圧、搾取と収奪の根本的な廃止、労働者階級人民の自己解放の基本方向は、「プロレタリア革命―共産主義」の実現によるしかないことを「綱領的立場」として明確化し、激しく動く現代世界に向きあってきた。また戦争とグローバリズム、戦争と貧困、排外主義が激化する時代状況を見据え、階級的労働運動、国際主義、反戦闘争を基軸とした「総路線」を確立してきたのであった。組織の建設に関しては自らを労働者階級解放の党―「革命的労働者党」として規定し、押し出し、中央集権制を堅持する「ボルシェビキ型」の組織づくりを目指してきたのであった。 日本の労働者階級人民の運動、また党派の運動状況を見るならば、全世界の運動の再度の高揚に比べて、いまだ低迷から脱し切れていない。とりわけ日本の左翼党派の現状は、日本共産党や社民党の低落化傾向、新左翼における宗派、革共同の存在の維持とその他集団の分散化、後退は著しい。 戦争とグローバリズムの一層深刻化していく二十一世紀の現代世界において、確かに、今全世界で労働者階級、被抑圧民族人民の解放運動が一定の高揚を見せているが、この運動はプロレタリア解放―共産主義革命と結び付くことなしには勝利の展望はない。極めて困難な事態に直面せざるを得ないだろう。また日本の階級闘争の困難な現状を見るとき共産主義革命を目指す潮流の意義、役割が一層浮き彫りになっているのである。労働者階級を革命の主体として措定し労働者階級の革命を目指すことである。 二十一世紀初頭の国際階級闘争にあって、この間もっとも問われていることは、「プロレタリア解放」の立場に立つ革命的労働者党を日本―世界で建設していくことにある。わが同盟は合同大会以降、ブント主義の復権を掲げあくまで日本における労働者党の建設のためにたたかってきたし、これ以降もたたかっていく。われわれが確認すべき第一の最も重要な点は、われわれが共産主義革命の綱領―路線を確立し、実践してきたこと、と同時に、わが同盟の実態的建設を一定の階級的基盤の獲得、政治的影響力の拡大の形で実現させてきたこと、ここにある。 ▼2項 わが同盟組織の原則的建設の闘い、組織建設の前進と現在の地平 わが同盟の組織的地平の第二は、政治勢力作り―ヘゲモニー形成を可能とした組織建設の原則的な推進、組織建設の前進にある。いうまでもなく社会的に一定の地歩を確立することは、同盟が「プロレタリア解放―共産主義」を貫く活動を展開し、同盟を組織的に確立させ、組織建設を前進させることが不可欠である。組織建設の伴わない影響力一般、組織の実態建設に裏打ちされない政治一般は、本来の革命党、労働者党の在り方ではない。プロレタリアの解放運動は本来、組織の建設が媒介されて初めて、次の前進が可能となるものである。 わが同盟はこの一年間、3CCで採択された「深化された路線」の実践のただなかにあっても、同盟組織の原則的建設、一般的普遍的な建設をすすめてきた。あえていえばボルシェビキ党を規範、「型」とした基本原則、わが同盟規約の実現の活動である。ここでは「ネット型組織論」や中央集権制を否定した横の連合、個人の自由を基礎にした純粋民主主義組織論などの諸運動勢力の傾向と自らを区別し、われわれの組織原則を貫徹してきたのである。 全体的にいって、この一年間、まず何よりも、政治局を先頭にした中央指導部(党中央部)の建設を大きく前進させた点にあるといって過言でない。また各級系列―特に地方委員会―県委員会―地区党の建設は今一歩であり、各産別、階層別フラクションの建設も同様であり、また委員会―細胞建設については十分に検討するべき状態にないという現状である。中央部の建設の成果を固めつつ、地方委員会の確立、強化を目指すのが今後の課題であるだろう。 イ)政治局建設 ロ)中央書記局。中央諸機関建設 ハ)地方委員会建設 ニ)委員会―細胞建設 会議への参加、機関紙活動、定期上納を三大原則とする委員会活動、細胞活動は一定の原則は堅持されているが、会議の定期化が困難なところもある。組織的な総括軸の一つとしてとりあげられるべきだろう。学生系列ではこの点が重視されており、組織の建設と拡大につながっている。 ホ)前線、戦線建設 ヘ)その他青年同盟など、キム学班協の会議建設。 ●二章 この一年間の全体的な政治的総括、情勢の分析評価 この一年間の活動にあって、わが同盟は3CCの基本的な確認に基づき日本帝国主義と総資本の打倒のために、必死に活動してきた。釜山APEC、香港WTOを始め、沖縄名護新基地建設、日米軍事再編―岩国、座間などの基地強化、三里塚空港北伸などの攻撃に全力で反撃してきた。とりわけ〇五年十一月釜山と十二月香港には国境を越えて大量の部隊を動員し一つの決戦としてたたかいぬいた。このような諸闘争を担いながらわが同盟は、基本路線である階級的労働運動の構築、AWC運動(支持)の拡大、反戦闘争の前進、地方拠点における新たな階級闘争構造の創出を目指して、粘り強い活動を進めてきたのである。また昨年十一月には岩国に全国から結集し反基地闘争の前進を勝ち取った。多くの労働者、また諸団体が参加し、また世界からの共闘団体の参加を実現し、AWC運動の日本における一つの前進を切り開いた。 この一年間の階級闘争の現状、帝国主義と資本主義の基本動向、また左翼諸派、諸潮流の動向の特徴をあげるならば以下である。 全世界の労働者階級人民の運動は、アメリカ帝国主義の石油資源獲得のためのイラク侵略などの戦争政策や日、米、欧州の多国籍企業のグローバル展開に対して反撃するかたちで、広範に形成されてきた。中東におけるイラク、アフガン、パレスチナの解放運動、ヨーロッパにおけるフランスの学生、労働者の巨大デモ、ゼネスト、移民系青年の反乱、そして中南米におけるベネズエラ、アルゼンチン、ボリビアなどにおける反米左派政権の成立、また東アジアでは韓国―フィリピン、ネパール、タイなどにおけるたたかいである。アメリカではイラク反戦闘争の高揚や移民労働者の職場放棄を含む百万人を越えるデモが実行された。全世界では反戦争、反グローバリズムの運動が連携し発展しつつある。 帝国主義と資本主義による戦争―グローバリズムの攻撃は一層進行した。米帝は「対テロ戦争」を一層推進した。イラク、アフガンの軍事占領、イスラエルの「分離の壁」建設への支援、イランの核開発を口実にした制裁、戦争策動、朝鮮民主主義人民共和国への制裁発動と封じ込め、中国への「台湾カード」をつかった危機の激化、フィリピンでの合同軍事行動と米軍基地作り策動、さらに日本を軍事的パートナーとする米軍への自衛隊の従属的再編などである。また日帝は日米軍事再編による自衛隊の米軍への協力、一体化を一層進め、イラクへの軍隊派遣、占領に踏み込んだ。「靖国」―「独島」―「釣魚台」をことさらにもちだし、軍事外交を強化している。中国、韓国に公然たる敵対を開始しているのだ。 またグローバリズムの進展はこの間、急速に進んだ。これは米帝国主義の資本主義化の基本政策であると共に、全世界の多国籍企業の基本政策である。米帝はIMF、WTOを通した関税障壁の撤廃と資本の移動の自由を要求し、多国籍企業はこれを支持している。この結果、労働者階級人民への搾取と収奪は激化した。一握りの富める者と圧倒的多数の貧しい者への世界と社会の分解である。第三世界に対する帝国主義、多国籍資本による資源の収奪、また労働者・農民からの搾取、また先進資本主義国におけるいわゆる「中流」の消滅と圧倒的多数が貧困化する「格差社会」の出現、搾取、収奪の強化である。ヘッジファンドなど過剰資本と化した金融マネーの実態経済から切り離された国際的な投機の動き、またBRICSの台頭に示された後発諸国の急速な資本主義化―低賃金労働者からの搾取の拡大、こういったことが進んだのである。 日本おいては、小泉路線を継承して安倍政権が誕生したが、安倍は一層、規制緩和、構造改革を唱え、「格差社会」を礼讃しこれを前提とした「再チャレンジ」を唱えている。また御手洗経団連会長は、奥田路線の核心である日本の「高コスト賃金」の執拗な攻撃を継承しつつ、より以上に、大企業への大幅な減税を政府に迫っているのである。日帝と総資本によって、グローバリズムの進展に身構えた労働者階級、人民への大リストラ攻撃が打ち下ろされている。トヨタや日産をはじめとする巨大企業が史上空前の利益を上げているにもかかわらず、労働者階級への「賃上げ」は停止され、年金、医療の制度改革によって実質生活費は切り下げられている。重要なことは多くの労働者が非正規雇用者にされ、有期雇用、臨時、パート、派遣、請負などへ転落させられていることである。昨年暴露されたところによれば、トヨタ、キャノン、松下などのいわゆる「勝ち組」といわれ、空前の利益を上げている大独占企業が「偽装請負」という法律違反によって労働者を徹底して搾取していることが明らかとなった。日帝は独占体の要求を入れて、三年間の派遣条項を削除し、派遣労働者を永遠の派遣会社のピンハネの対象に落とし込めようとしている。また外国人職業訓練制度を悪用した、最低賃金を大幅に下回る時給三百〜四百円という現代の奴隷労働がトヨタなどの系列会社で計画的に実行されているのである。正社員は管理職のみという時代に再編させられようとしているのだ。このままでは正規雇用は半数を割るのも時間の問題といわれている。「ニート」「フリーター」などという形で多くの青年が失業、半失業の状態にあり、ますます拡大の傾向を見せている。実際年間収入が二百万円以下の階層が拡大しており、生活破綻寸前の状況に追い込まれている。政府、財界は労働者支配を全面的に改編するために、これを支えるための労働法制の改悪と「優勝劣敗」「自己責任」「勝ち組―負け組」のイデオロギーを宣伝・扇動しているのである。連合は高木会長の下、「非正規の組織化」などを打ち出しているが、実際的に、全く地位向上の取り組みをしていない。大企業正規職の既得権益へのしがみつきと資本への生産協力、利潤追求に躍起となっているのである。おおくの労働者階級は帝国主義と資本主義の攻撃の下に放置されているのが現状である。 また日本帝国主義―総資本の攻撃は、改憲と教育基本法改悪を軸に戦争国家づくりに突き進んでいる。排外主義と治安弾圧の強化、独島の強奪と共謀罪の攻撃など歴史を画した戦後体制を突き破る凶悪な攻撃である。安倍政権は敗戦帝国主義としての制約を突破し、軍事外交政策、統治形態の改編、排外主義的国民統合、グローバリズムにみあう労働政策、社会政策へ、また治安体制、国民分断の差別主義の攻撃を強めている。自民―民主の保守二党制への移行、教育基本法の改悪、天皇制―「日の丸、君が代」攻撃―「作る会教科書」攻撃、大学の産学共同路線―学内治安体制確立、女性、障害者、部落大衆など被抑圧人民への差別抑圧の強化、沖縄人民への軍事負担の一層の強化など国家、社会の全レベルで改編、改悪の攻撃が吹き荒れているのである。また「共和国」への攻撃にむけた東アジアの米軍基地の再編、その一環としての沖縄―岩国―神奈川米軍基地の強化、戦争拠点化の攻撃が強まっている。 党派、潮流の現状は世界的にいって、たしかに中東―中南米―東、東南アジアにおいて、またフランス、アメリカ、イタリアなどにおいて反戦、反グローバリズムの運動が高揚を見せているが、いまだ新しい共産主義運動を掲げる集団、潮流は少ない。左翼勢力の前進はあっても、マルクス主義やレーニン主義の復権やスターリン主義の批判の集団は極めて少ない。わが同盟にとってとりわけ重要な事は、AWC運動で共闘する韓国の民主労働党などの左派勢力とフィリピン共産党の現状と路線である。韓国では左派勢力内部でNL派とPD派の党派闘争が激化しており、またこれらの潮流内部でも急進派、穏健派の諸グループが存在している模様である。フィリピン共産党はILPSの国際共闘を路線化し独自性を強めている。またアメリカ反戦運動の大衆的呼び掛け団体であるANSWER連合の指導団体であった共産主義潮流のWWPは分裂した。この様に革命的翼は極めて困難なところにある。またしかし他方で、世界社会フォーラムの指導系譜、社民や改良派や自由主義者やここにくっつき組織戦術で利をむさぼろうとする第四インター系が成功しているわけでもない。あくまでプロレタリア革命―共産主義の綱領的内容、共産主義運動の総括と新たな社会建設の構想が問われているのである。 また日本においては、日共、社民党、宗派主義諸派、日和見主義中間派はその傾向と存在を変えていない。日共は「ルールある資本主義―よりましな政府」の綱領―路線を一層反動的に深め「天皇制や安保」の容認へと踏み込んでいる。スターリン主義的統制のもと労働者階級、人民の抵抗運動、解放運動への立ち上がり、運動の発展に敵対し、桎梏と化している。二大政党のはざまで議会的後退が進んでいる。社民党は確かに昨年の大会で「安保ー自衛隊の容認」路線を修正し「反対」に変更した。反改憲と反格差社会を掲げて福島党首の下、議席の回復を目指している。しかしこの集団も路線の修正自体を過去の総括から導き出すことも無く、また新しい社会の構想を打ち立てるのでもなく、あくまで資本主義の枠内での政策のあれこれの提示に終始している。およそ党派というには中身のない社会のムードを当てにした議会主義の政党にしか過ぎない。それゆえ、日共とは別の意味で断固たる大衆行動に打って出ることはできない。さらに宗派主義諸派は確かにこの間、労働者階級人民の運動への暴力的敵対、左翼組織への破壊攻撃の現象を少なくさせている。しかしこれらの集団の運動と組織、立脚点は何一つ変化してない。革命組織への敵対、運動の分断と破壊を存在意義とする宗派組織も現にその影響力を強めているわけではない。実際、弱めている。また中間主義諸派はこの間幾つかの集団が分裂し、再編されているようであるが、彼らはわが同盟が指摘したように総じてプロレタリア解放―共産主義という「綱領的立場」を曖昧化させ、ネット型組織論へと一層転落しており、反帝闘争、実力闘争、大衆行動に対する忌避、回避という日和見性の本質は深まっていくばかりの現状にある。「かけはし」によるフィリピン共産党への「テロ集団規定」による敵対はこの本質の表れである。この策動はわが同盟と多くの労働者人民の反撃と何よりも釜山APEC、香港WTOの大衆的爆発によって当面は粉砕された。またブント系諸派においても現状に踏まえた粘り強い討論と共闘が必要である。蜂起派の諸君は現在「持たざる者」の運動の前進を勝ち取っている。また首都圏委や年誌グループの人達も問題意識を深め、社会運動に積極的に関わるスタンスを強化していると思われる。革命党、労働者党の建設に踏み込んでいくという次元をわが同盟は堅持して討論していくべきでありこの対象である。 ●三章 路線実現のための活動と問われた課題 わが同盟は〇四年の合同大会、〇四年の2CC、〇五年の3CCを通して綱領―路線の確定とこの実現のための組織体制の整備を行ってきた。〇五年の3CCでは、路線内容の一層の深化と路線実現のための組織体制の強化について決議し、以降、日本の階級闘争構造の新しい創出に向けて、また日本帝国主義との全体系を持ったたたかいの構築に向けて、路線の実践的推進、組織活動の強化に取り組んできたのであった。イ)階級的労働運動の構築、そのための活動家集団の建設、ロ)アジア共同行動の推進、そのための活動家集団の建設、ハ)反戦闘争―階級拠点の維持と発展のための活動の強化、学生運動、活動家集団の建設、女性解放運動など被抑圧人民の自己解放運動と活動家建設、ニ)拠点地方委員会―地区党の強化、地区階級闘争構造の新たな創出である。3CCではとくに階級的労働運動とアジア共同行動の展開を重視し、活動を強めることを確認したのであった。また3CCにおいてわれわれは、各路線を一層、深めて(絞って)確定し、またそこにおける組織の建設―組織方針をも具体的な目標をあげて設定し、以降活動してきた。 ◆〈A〉節 階級的労働運動の構築 この点に関しては、基本的な組織の体系、展開の確立があったものの今一歩、労働組合拠点建設においては十分な成果を獲得できていない。3CCでは中小―零細、未組織労働者、パートや契約、派遣などの非正規雇用者に依拠した階級的労働運動の組織化の路線と全労協を中心的な労働運動潮流として位置付け強化していく路線を明確化した。この一年間、3CC決議を実践してきた。 この一年間で階級的労働運動に問われる実践的課題を具体的につかんだし、また一定の労働運動潮流建設、労組建設においても具体的前進、成果をあげてきている。 まず第一にあげるべきものはわが同盟が3CCでより明確にした帝国主義―資本による労働者支配の転換の攻撃の性格の分析、解明の内容と、下層労働者に依拠した階級的労働運動の構築、全労協の強化をメインにした階級的労働運動の構築の路線の正当性が一層明らかになったことである。 情勢でも明らかにしたように国境を越えたグローバリズムの進行の中で、労働者階級は過去の存在形態が許されなくなっている。日本においてはいわゆる「国民総中流」の時代から「格差社会」の時代への再編である。資本主義世界では膨大に発生する過剰資本の常態化、一方では多国籍企業による世界展開と競争の一層の激化、他方では国際金融マネーによる世界展開と投機の激化がすすんでおり、総じて搾取と収奪は益々エスカレートしている。一方では富が集中し他方で絶望的な貧困が常態化する社会が固定化されようとしている。労働者階級にあっては大企業の本工―正規職が主に労務管理を行い、それ以外はすべて有期雇用、派遣、臨時、日雇い、パートなどに置き換えられようとしている。とくに日本おいては、労働者階級に対して旧来の攻撃とは明らかに質を異にしたリストラ、合理化の大攻勢がかけられているのである。日帝と総資本は戦後の労働政策を全面的に改定し、戦争とグローバリゼーション下の労働政策を確立しようとしているのだ。基本的に景気回復すれば旧来のように賃金が上昇し本工が多数が占めていくということはもはやない社会への改編である。日帝や資本は旧来の政策を否定しているということだ。労働法制の全面的な改悪を進め労働者の抵抗と団結を破壊し、生み出される圧倒的多数の下層労働者、貧困層の抵抗を潰して支配を強化しようとしているのだ。大企業は正規職を減らし下請け、孫請けからの収奪を強め、この下請け、孫請けでも正規職はより減らされている。また公務員関係では人員削減と労働強化、現業部門の民営化、非正規職への転換の攻撃が進んでいる。青年労働者の失業率は8%台であり、しかも圧倒的多数が非正規の不安的雇用状態にある。失業者がホームレスになる可能性も拡大している。年収二百万、三百万以下の労働者が益々拡大しているのである。 このような拡大する非正規職―不安定雇用労働者に依拠して正規も含む下層労働者、中小零細の労働者に依拠する労働運動の活性化こそ労働者階級の未来を引き寄せる最大の道である。 イデオロギー面の特徴、「格差社会」の正当化、圧倒的多数の労働者が非正規、不安定雇用者となり何の権利も与えられず、失業半失業の状態にある社会、そのシステムを正当化するために、日帝政府と財界総資本はイデオロギー攻撃を強めている。すなわち旧来の「会社に協力し生産性を上げてこそ賃金は上がる」という一種の企業防衛イデオロギーを踏み越えて、「人間の能力は本来不平等」「優秀な者が勝ち劣るものは脱落して当然」「人のことを考えるのは損、自分の利得だけを考えろ」こういった優勝劣敗、弱肉強食、エゴイズムの正当化攻撃が蔓延している。そして圧倒的多数の下層労働者には「自分の能力がないから現在の状態は仕方がない」というかたちの自己責任意識が打ち込まれているのである。基本的に優性イデオロギー攻撃である。「ニート」「フリーター」「ホームレス」などという形で、一切、「失業問題」「雇用問題」という社会的課題を不問にし、ひたすら当人個人を攻撃する。一つの偏見の下に「ニート」という用語があることは明らかだ。労働者階級の連帯、団結による政府、資本に対するたたかい、またそこからする生活と権利の防衛、「新しい社会への展望」こういった労働者階級の本来的運動がないならば、絶望的な生活危機にある階層は、より下層のより「弱者」への攻撃に向かうことは容易に予想される。差別排外主義、民族排外主義へ解体的に取り込まれていく。日本の労働者階級が今ここでフランスの労働者階級、学生が示したようにデモとストライキで社会改革の中心となって登場することは極めて重要である。 連合労働運動と連合指導部の行き詰まりと破産は、ますます明らかとなっている。連合は組織労働者の圧倒的部分を占めているが、基本的には大企業労働者と公務員の本工、正規職で占められており、また指導部のイデオロギーの軸は、同盟・JCの「生産性向上による賃金アップ」にある。しかし現在のグローバル下の資本の本工削減、無権利の非正規職への転換、あるいは労使交渉の労組単位から個別個人への転換など旧来の労働法制の全面転換の攻撃の中で、まったくこの連合の運動と理念は破産した。現在では左派労働運動の発展の防波堤という反共の役割しか意味がなくなっている。確かに会長の高木が「非正規の組織化」を打ち出しているが、これは旧来の組合の擁護のための付け足しでしかない。実際非正規労働者の資本とのたたかい、運動は全く取り組まれていない。 連合労働運動の空洞化を見据え、また連合指導部の破産を突き破り、正規―非正規を貫いた戦闘的潮流による労働運動の再建がいま鋭く問われている。わが同盟が3CCで明らかにした諸内容はますます現実的重みをもって、われわれの前に据えられている。 ▼この一年間の実際上の活動の教訓 階級的労働運動の構築の活動において教訓を上げるなら次のことであるだろう。 1)わが同盟の階級的労働運動推進の指導体系と体制をもっと強力に作り出していくことが重要だという点である。 現在、わが同盟の労対指導部は整備され、ようやく全産別的、全国的な活動を集約し、重要課題を設定し、討議し、決定し、文章化できるようになってきた。しかし地方委労対の建設、地区―細胞の労組指導的領域は極めて不十分なのが現状であり、この克服が今後の課題だ。また同盟と活動家集団と労組という観点から見れば、全国の活動家が集まって労働運動活動家交流集会を開催し、現在の労働運動展開内容を検討しており、また全国に民間中小、各地区合同労組、あるいは交通、自治体、教労、郵政などで職場活動が着実に行われている。われわれは基本的にこの労組活動家交流会をもっと拡大し階級的労働運動建設の主体的根拠にしていかなければならない。 2)非連合民間―中小労組を中心とする全国労働運動潮流の強化発展を一層強力に進めていくことが重要である。 構造改革、リストラ、「格差社会」を打ち破るには、総じて下層労働者に依拠した戦闘的な労働運動を作り出し、社会的に一定の影響力、インパクトをもつ事が決定的に必要である。既成の連合労働運動を打ち破る中小未組織、非正規、パート、派遣などの労働者が階級的な力を形成していくことだ。わが同盟が分析したように連合は行き詰まり、非連合の原則的な労働運動潮流の合流の動きが加速している。わが同盟はこの事態を真剣に受け止めて今まで以上の対応が必要である。民間、中小の労働運動の発展を、わが同盟ができる限りの力で支え、発展させることである。企業別組合の限界の突破―産別職種別組合への脱皮、本工組合の限界の突破―常用、非正規労働者を貫いた労組の建設の課題をわが同盟が先頭を切って実現していかなければならない。 3)プロレタリア解放にとっての労働組合の重要性を確認し、その位置付けを深めて労組の建設、拡大の活動の活性化を図ることが重要だ。 革命的労働者党にとって労働組合の建設と労働運動潮流の建設はプロレタリア革命に向けて避けて通ることはできない必須の、不可欠の課題である。資本主義が発展し労働者階級が主要な生産関係を担っている先進国においては、労働者階級が階級形成するにあたって労働組合的団結を形成することは物事の重要な一歩であり、最大の導水路である。確かにこの間の確認で「党派はノンセクトや他党派の作った組合に政治闘争を持って介入すれば良い」とか「労働組合は大衆団体だから労働者が自然発生的に作るものであり、党派はこれを草刈り場にすれば良い」とかいう古い総評時代の固定観念や歪んだレーニン主義は否定された。単に情勢的にだけではなく本質的に、一般的にいって革命的労働者党、共産主義者、革命家は労働組合を常に建設しなければならない。 マルクスによれば「自分の労働力を高く売るために労働者は相互に結び付くのであるが、これはやがて労働者にとって他の労働者の結び付きが直接の賃上げよりも重要な意味を持つようになる。労働者の団結が目的となって現れる」、この最初の形態が労働組合なのである。明らかにマルクスは労働組合を労働者階級の団結形成、階級形成の第一歩と考えていたのは明らかだ。これがマルクスの労働者階級の存在規定なのである。レーニンの労働組合論は「分断され孤立した労働者が他の労働者と団結できる最初の形態であり、団結を通した信頼と共同の確信の形成が新しい社会を作る力に発展していく」というものである。この意味で労働組合は共産主義の学校であるとしたのである。もちろんマルクスもレーニンも政治闘争、経済闘争の枠組みからいえば、政治闘争による労働者の団結形成、権力闘争をになう結束を何よりも重視していた。しかしこの場合でも労働者階級が自己解放運動を進めていくにあたって、まず労働者が他の労働者と団結し自らを階級形していく端緒、第一歩を踏み出すことを、決定的に重視していたのであり、この労働者階級の団結、この圧倒的多数の存在が社会全体を規定していく事の重要性を認識していたのである。確かに労働者の団結様式は労組に限らず、様々な運動体組織体の形で存在する。しかし労組とは、他の政治サークル、市民団体、ボランティア団体のあれこれとは決定的に異なり、労働者その者が働き賃金を得て生活の糧を得ている存在である以上、資本制社会にある労働者にとっての一般的な在り方でなのある。労働者が日々資本に支配されるここにおいて資本に反撃すること、運動、抵抗、そのために団結することは最も一般的な在り方なのである。この労働者の団結組織が労働組合なのである。労働組合は労働者にとっての自己解放の過程の一つの普遍性において存在する。普遍的形態である。労働者党の綱領的立場から捕らえ返せば以上のことが確認される。 それゆえ、共産主義者、革命家は労組建設の先頭に立たなければならないのである。もちろん労働組合といっても現在では戦争に協力したり、資本に協力したり、また共産主義に敵対することを存在意義にしていたりする反動的組合が多い。それゆえ現にある組合一般を美化しても仕方がない。現代世界は労働者階級の解放を巡って労働運動の潮流的分裂を現実化させているのである。われわれはあくまで、帝国主義、資本主義の戦争とグローバリズムに反対し、抵抗する左派労働運動潮流の内部での労働組合作りを任務としなければならない。労働現場であるいは労働と雇用を巡る現場において、格差主義、能力主義による労働者の分断と二極化が持ち込まれ、圧倒的多数の労働者は分断され、相互に対立させられながら、生活危機的な貧困化を強制されているのである。ここを打破できるのは労働組合運動の強力な発展が最も重要となるのは明らかだ。したがって労働者党であるわが同盟の任務も明らかだ。 ところで、わが同盟が現実的に労働組合を建設していこうとした場合、次の諸点が重要となる。この間の労働運動実践の総括をまとめるならば、第一は情勢的な意味で、圧倒的に生み出されつつある下層労働者の生活と生存を守るために、いま労働組合を結成し資本権力に反撃していくことが、極めて重要であるということだ。また労働者がこの組合結成を巡る攻防の中で、労働者同志の信頼と共感、共同性を打ち立て自己の解放の可能性を掴み取っていくことそのもののうちに、階級としての形成が始まり、「プロレタリア解放―共産主義」への端緒が形成される。ここでの攻防と試練なくしては次への立ち上がりの中身も貧困と制約に付きまとわれる。第二には連合労働運動が基本的に破産している現在、これを乗り越えていくためには、戦後の日本労働運動の総括の視点が重要であり、いわゆる「総評労働運動」の総括にまで掘り下げいていく必要がある。総評労働運動の限界性を突破する視点の確立、内容イ)企業内組合の限界性、ロ)本工―正規職に制限された運動、ハ)大企業、公務員に制限された運動の突破、その方向として、産別―職種別運動、臨時工、社外工、パート、派遣などの非正規職の権利を擁護する運動、ハ)中小、零細、下請けの労働者を権利を擁護する運動が構築される必要がある。しかしその一方で総評の同盟との分裂、IMF・JCとの対立とたたかい、三池闘争や「スト権スト」、郵政、国鉄などの生産向上―合理化攻撃とのたたかい、日教組の反戦―平和教育などのの積極的評価やいわゆる「地区労運動」の積極的評価も必要である。 そして第三には、下層労働者を労働運動の主体として重視していく場合にあっても、基本的には常勤―正規職の資本や当局の賃下げ―合理化攻撃に抵抗する運動を積極的に位置付ける運動を一方の軸にした、そして他方の軸に非正規職の運動があるという労働運動を目指していくべきなのである。正規―非正規、本工―臨時工、民間大手―公務員―中小、零細を貫いた労働者を労働組合の主体とする労働運動の構築が必要なのである。 第四にはもちろんわが同盟は、中小未組織を主要な実践的な場所とし、非正規を重要な労組主体、労働運動主体とする路線を貫徹するものである。合同労組はわが同盟の極めて重要な労働組合組織化の形態である。 4)労働組合活動家、労働運動を進める活動家作りを一層前進させ、同時に労働者党として直面する課題に対する労働運動の指導内容を、粘り強く創造していくことが重要である。 わが同盟は3CCで大量の合同労組を担う活動家集団の建設を確認し、活動してきた。そして活動家作りの一環として全国、全階層、全産別からの総結集で全国労働運動活動家交流会を前進させてきた。ここで多くの経験と成果を討論し、現在の労働運動の現状と課題について論議しまた方針を策定してきたのである。この交流会運動は階級的労働運動派の活動家形成で重要な役割をを果たしている。またこれと連関して各地方、各階層別、各産別では独自に労組活動家会議がもたれている。基本的には労研社研を目指す労働運動活動家集団の結集体である。わが同盟は、この全国活動家交流会、地区活動家交流会の一層の充実を図り、より拡大していくために努力していかなければならない。 また活動家集団が持つプロレタリア革命運動上の意義についても同時に確認しておこう。そもそも、革命的労働者党は階級の内部に入って階級の解放運動を断固として推し進める存在であるが、しかし理論的綱領的には労働者一般とは異なる意識的集団であり、階級組織、大衆組織から分離した内部規律を持った集団なのである。それゆえ階級の内部から自己解放のために立ち上がる運動から形成される階級の先進的部分、先進的活動家とは区別される。ここに党とは別の一つの先進的な活動家集団の存在意義がある。問題はこの階級の内部から立ち上がってくる先進的な活動家集団の役割の発揮、階級の現実の運動と結び付く現場の運動の中核体の建設の如何、別にいえば形成の如何が、今日の労働運動の帰趨を決すると言う事だ。また党自身がこの現場の活動家集団を作りきれるかどうかが重要なのである。革命に向けた階級の運動を、労働運動活動家集団それ自体が直接的に階級の現実を代表して担うのであり、まさにプロレタリア解放―共産主義と現実の運動の接点をなすのである。単なる党の下部組織ではない、「伝導ベルト論」ではない活動家集団の存在意義がある。この階級の中核体をわが同盟が作り上げていくのだ。 また労働運動の指導内容に関しては、実践の結果として、多くの課題が突き出されている。民間中小の関連では、労働組合が企業別組合であることからくる限界とこれをこえるための産業別、職種別組合への再編、そこにおける課題、交通、医療、介護、清掃などの全国形成の方針、あるいは民間中小労働運動を発展させるのは小なりといってもナショナルセンター的主張内容、あるいは機能を持たなければならないことなどである。ここでは全国一律の生活賃金要求、最低賃金の引上げなどが重要な課題となる。また「格差社会―優勝劣敗社会」「競争、能力主義」「自己責任」イデオロギーに対決する労働組合の側からの「未来社会の提示」の内容づくりである。「平等と連帯と共生の社会建設」「公正な社会建設」など、労働組合的綱領の再創造が問われている。わが同盟が目指す労働運動とはあくまでも連合支配をつき崩す戦闘的な労働運動潮流の再建であり、労働者階級に「展望、希望」を指し示す社会的な勢力の建設である。この意味で明確にナショナルセンターの位置にある。さらに労組それ自身が全国各地ですべての被抑圧人民、諸階層と連帯し、帝国主義、資本主義に反対しアジア人民との連帯結合を果たしていくものである。日本における新たな階級闘争構造の実現、またアジアにおける新たな人民の共同行動の建設にある。その基軸に労働運動は存在するものである。わが同盟は4CCを契機として、階級的労働運動の路線の一層の推進のために全党あげて、労組活動家の大量の建設のために活動を強化していかなければならない。 5)わが同盟の労働組合活動の現在の課題。 労働者党的実践、活動を具体的に反省分析し、階級的労働運動の構築のために更なる活動の指針を作りあげていく必要があるだろう。 ◆〈B〉節 AWC運動の推進 わが同盟が組織合同以降、一貫して力を注いできたアジア共同行動を支持拡大する路線の意義はますます明らかとなってきた。わが同盟はAWC運動の原則的な発展を支持し、運動を拡大していかなければならない。 この間の総括、確認として1)あくまでも、東アジアでAWC運動を責任を持って作り上げてきた政治集団、グループの信頼、結合を追求し、より以上の政治的結合を強め、それによって運動を確固としたものとして安定化させ、継続する。フィリピンの反帝組織、韓国AWCグループを中心団体としつつ台湾やアメリカなどの集団と結合していくことである。反帝国主義と国際連帯、アジアでの実際の共同行動の構築、この強固な立場を確認しつつ、現実の運動、課題に取り組んでいけるということは非常に大きな意味を持つ。いわゆるインターの活動である。いま日本の諸勢力、諸潮流が韓国詣でを始めた。しかし実際はたんなる運動の課題、大衆団体の付き合いでしかない。現地の政治団体との結び付きがわが同盟の最大の党派性なのである。もちろん〇五年の釜山APECにみられる「フォーラム」を巡る「混乱」や香港WTOにおけるAWC主催による韓国勢力とフィリピン勢力の合流の目論見の不具合など本質的な政治的共闘の中身にかかわる問題が発生し、わが同盟の現在の力では困難な問題にも直面した。しかも一方では、CPPは独自性を強め、民主労働党―民主労総の指導部―政治勢力内部の対立は激化の傾向にあり、他方では「社会フォーラム系」の一部や四トロ系の反CPP策動、あるいは左派反帝派への敵対が執拗に繰り返されている。このような時こそ困難を乗り越えて、わが同盟は反帝派、国際主義派の政治集団と系統的な結合を目指さなければならないのである。われわれはこの課題に正面から答えていくことに躊躇してはならない。もちろん本質的な意味では日本の左翼勢力が巨万の力でアジアの解放運動を結合させてくことが事態の打開の重要な鍵であることは明らかだ。 今一つ確認しておくべきことは、学生戦線においてASAによる香港WTO粉砕の共同行動が成功したことであり、ここで共闘団体と交流できた。またこれとは別に新しく民主労働党の学生組織と討論できる構造を獲得しており、「日帝の戦争責任問題、米帝の東アジア支配、日米多国籍企業のアジア進出と搾取」などの政治問題が今後討議されていくであろう。東アジアを貫く学生活動家集団の結合の第一歩が作られた意義は大きい。 2)同盟の指導体制の引き続きの強化を進める。中央の政治運動指導委員会の確立、強化の意義 同盟の政治運動における全国指導体制の確立、その中でのAWC運動領域の指導内容の確立は急務の課題であった。全国統一の方針、路線の確定、この点は大きく進んだ。今後は以下の組織上の課題をより一層進める必要があるだろう。同盟組織の中央機関に続いて地方委員会段階でもまたできるところは地区段階でもAWCの独自担当をもうけて、計画的な運動作りを可能にしていくべきであり、中央と地方、地区の指導の一体性と厚みを作り出していくことだ。AWC運動はわれわれにとって政治闘争と並ぶ重要な政治的闘争であり、重要な路線であり一貫して計画的な独自の総括方針が問われるものである。各地方、地区の諸運動をできる限りAWC運動に関連付け運動に統合していく必要がある。また労働戦線、学生戦線、被差別戦線においても積極的なAWC運動への参加のスタイルを確立していくべきだ。とくに労働戦線、被差別戦線はいまだ十分に対応できていない。各労組―とりわけ拠点労組では積極的な計画が必要である。被差別戦線は女性解放運動の立ち上げの現段階性を踏まえつつ、当初からAWCを課題として設定する方向も重要だ。学生戦線は独自の角度からフィリピン派遣、韓国学生運動との結合など、当初からAWC運動の一翼を担い展開しているが、これをより拡大していくべきだろう。 また同盟―AWC活動家集団―大衆団体の立体的構造を確立していくことが重要である。3CCで確認したように党の体制を整備しつつ、労働者階級人民を広範にAWC運動に立ち上がらせる立体的構造を確立する事が現在重要だ。とくにAWC活動家集団を一定の規模で作り上げること、また労組や市民団体、学生自治会などの大衆的諸組織が一定の規模で運動に取り組むこと、ここで初めて、運動の社会的影響力を持った潮流化が勝ち取られる。あくまで党、階級、大衆の主体的な構造をAWC運動において独自的に確立していくのである。こういった観点からの総括、方針提起が求められていく。 3)AWC活動家集団の建設 活動家集団はAWC推進のプロフェッショナルとして作られる。各系列から派遣して作る。現在的に各運動体の担当者として確定されメンバーに固定される。重要なことはAWC活動家集団は一方ではAWC運動の意識的な発展―アジア人民との交流と共闘、日本全国の潮流的拡大―を見据えながら他方では現実の大衆団体運動体の現在的状況、それぞれの運動の現実にそった労働者、諸階層人民の意識をしっかりと受け止めて、これを現場において統一するという役割を果たすということである。いわゆる先進的活動家、しかもAWC運動内容を実現する技術を持つ存在である。 4)労働者階級、全人民の側からの運動への立上がり、結合構造の確立 まずわれわれの主体的陣形を構築することである。AWC運動の位置付けとして労働者階級、被抑圧人民、諸階級層が総結集して、この運動を生みだしていく点だ。労働運動、学生運動、市民住民運動、被差別者の解放運動―女性解放運動、障害者解放運動、部落解放運動、沖縄解放闘争などが、それぞれの独自的な運動の発展を踏まえつつ、より積極的にAWC運動に結び付いていくことである。階級の解放運動の実態を基礎にしたAWC運動の形成である。そのためにはやはりまず同盟のヘゲモニーの下にある諸運動体、諸大衆団体の総結集による、意識的な運動形成から出発しなければならない。とくに労働運動、学生運動、女性解放運動は重要な総括の対象となっていくだろう。 5)政治的統一戦線、広範な左翼勢力の結集 AWC運動は労働者階級、被抑圧人民、諸階層の共闘として作られていくものであるが、同時に他の政治集団、政治潮流との統一戦線の場としてもある。とりわけ労働運動内部における左派潮流との共闘は重要である。左派労働運動内部の他のグループとのAWC推進の協力関係の形成が重要である。また教労戦線の反戦派教師との協力も重要である。さらに学生におけるノンセクト集団、また人士、知識人などとの協力である。またブント系諸派、蜂起派との共闘、地方段階における社民系や中間派系などとの協力もある。 6)またこれとは別に同盟のAWC運動の直接的な体制をがっちり作っていくことだ。全国幹事会―全国事務局体制を確立し、また国際幹事会の開催のための活動をしっかりと行っていく。海外への派遣体制、アジアからの受入れ態勢の確立、そのための財政の確立など実践的な多くの任務に同盟の力で対応していく。 ◆〈C〉節 地方拠点における新しい階級闘争構造の創出 〇五年の3CCでは主に階級的労働運動の推進とAWC運動の推進の二つの重点的取り組みについて確認したのであるが、この4CCではこれに加えて、わが同盟が目指す路線貫徹の目標形態である、新たな階級闘争構造の実現について、積極的にとりあげ総括し、方針を出していくべきである。われわれは路線実現のための当面する課題の一つとして「拠点地方、地区における新たな階級闘争構造の創出」を上げ確認している。労働組合拠点をバックに被差別者の解放運動、市民住民運動、学生運動、青年運動、あるいは在日外国人の運動などのあらゆる諸運動を統合し、ネットワークで結び、これによって新しい階級闘争構造を作り上げ、大量の戦闘的な運動の前進、大量の階級形成を実現していく構想であった。いうまでもなく戦後の社会党―総評の存在とこれを前提とした反戦派、新左翼党派の運動は前者の崩壊と共に決定的な転換をせまられた。一つの階級闘争構造が崩壊し、これにとって代わる階級闘争の構造の創出が問われた。もちろん連合労働運動を解体した階級的労働運動派が社会の主流となりすべての人民の諸運動を規定するという理想型は願望できるものの、それは決して現実的に近い時間的射程においては設定できないのである。それゆえわが同盟は、左派労働運動の階級的復権、それも社会を規定できるようなナショナルセンター、全国センターの形成とここからするダイナミックな階級闘争構造の実現、こういうことを戦略的課題、長期的課題として設定し、粘り強く、目的意識的にたたかいぬいていくことを決意したのであった。またしかし当面は、全国潮流的な意味で左派労働運動の本格的再興を前提とした運動をうんぬんすることはできない状況の中で、あくまでこの全国的な階級闘争構造の転換と新しい創出を目指して、拠点地方、拠点地区から主体的に「新たな階級闘争構造の創出」を確認し、活動を進めてきたのである。 基本的には帝国主義権力や資本の動きの特徴、「つくる会」などの民間反革命の動き、また民主党―連合の動向、日共潮流や社民系の動向。中間派や宗派の動き、あるいは労働運動、被差別者解放運動、諸社会運動、また労働者階級、人民の生活状態、運動傾向、こういった事柄に対する分析。また日共系や社民系、中間諸派―グループの運動構造分析、わが同盟の作り出す運動との接点と共闘の可能性、また党派闘争の内容確定などである。またわが同盟の政治展開、運動づくり、計画的な年間の運動、闘争、他党派に対する党派性と確定と中心的団体による運動統合などの諸戦術が問題となる。あくまで「階級闘争構造の転換、創出」のテーマに沿った総括、方針が検討されるべきである。教訓をしっかりと確定し確認していく必要があるだろう。また一般的にはいかなる指導内容か、いかなる組織作りか、いかなる活動家形成かということにも結び付くはずである。 ◆〈D〉節 反戦、反基地、反改憲、全人民的政治闘争を担う全国左派潮流の建設 昨十一月岩国反基地闘争は多くの労働者、市民、学生、女性などの結集によって成功裡に勝ち取られた。現在、米帝―ブッシュ政権と小泉を継承した日帝―安倍政権は「共和国」への戦争準備のために日米軍事再編を一段と加速し沖縄と並んで岩国、神奈川を一大軍事基地にしようとしている。また安部政権は日米同盟の強化の下、戦争のできる国家への大改造を目指し、改憲、教育基本法の改悪、共謀罪制定などの超反動の攻撃を強めている。労働者階級人民には基地が強化される現地で、また国家意志が決定される政府中枢で、断固たる行動を展開することは極めて重要だ。多くの労働団体、市民住民団体、学生組織、青年組織、被差別団体など広範な人民を結集させて、政権に対決する構造をたたかいとっていかなければならない。また多くの政治集団、左派のグループの合流を勝ち取っていくべきであるだろう。十一月岩国反基地国際集会は現地住民の粘り強い反対活動を起点にして、初めて実現されたものであり、またAWC運動の取り組みよって東アジア、アメリカなどの世界からの反戦派が参加したものであって、重要な意味があった。このような意義に踏まえつつ、わが同盟は日帝―安倍政権、総資本に対決する全人民的政治闘争の潮流を建設するために二〇〇〇年代粘り強く活動していかなくてはならない。日本の新左翼は六〇〜七〇年代の階級的高揚期の後退と共に、分裂し、その後、宗派問題や中間派の日和見的傾向への後退の問題を抱え現在に至っている。しかしながら左派が大きく結集して反帝国主義、反資本主義の共同行動を行うことは大きな意味がある。わが同盟は全国的な左派潮流の建設を目指してたたかいぬく。 |
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