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『戦旗』第1267号(2006年8月5日

 

排外主義扇動を許さず反帝国際連帯運動の高揚を

日帝の朝鮮戦争重圧を許すな!

イスラエルによるパレスチナ・レバノン侵攻弾劾

政治集会の成功から反基地・改憲阻止闘争へ

 

 七月五日の朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)のミサイル発射訓練に対し、日帝―小泉政権は即座に九項目の経済制裁を発動した。そして七日には国連安保理諸国に対し、「武力制裁」に根拠を与える非難決議の採択を叫んでまわったのである。十六日、最終的には中国が拒否権を発動しない代わりに、「武力制裁」に道を開く国連憲章第七章を盛り込まない非難決議が全会一致で採択された。

 このなかで、関係国のなかでも突出して共和国への「武力制裁」にこだわり、実際に経済制裁を発動した唯一の国が日帝―小泉政権である。この「危機」を最大限利用して「先制攻撃論」を持ち出した日帝と対決し、米軍再編を阻止しよう。

 六月末より開始された、イスラエル軍のパレスチナ・レバノン侵略を弾劾しよう。帝国主義者の全面支援の下で、パレスチナ自治政府破壊と民衆虐殺がエスカレートしている。「拉致兵士救出」を名目にレバノン空爆を開始したイスラエル軍を許すな。イラクからの自衛隊の完全撤退を今こそ掲げ、パレスチナ・アラブ民衆に連帯しよう。

●第一章 朝鮮戦争重圧を強める日帝を許すな

 共和国のミサイル発射訓練を、そもそも帝国主義が「非難」する資格などあるだろうか。ミサイル発射そのものは、どの国際条約にも違反していない。国連非難決議では「事前通告を怠った」とあるが、例えば、三月の米韓合同軍事演習「フォール・イーグル」や五月末からの環太平洋合同演習「リムパック」でのミサイル発射訓練を、米帝や日帝は共和国に事前通告したことなどあるのか。一万発を越える核弾頭を保有する米軍は、自衛隊や韓国軍と連携して、共和国をいつでも攻撃できる体制にある。「非難」されるべきは帝国主義の側である。在日米軍再編を推し進め、共和国や中国を仮想敵として軍事的緊張を高めてきたのが日米の帝国主義ではないか。

 共和国のミサイル発射の一部始終は、米軍によって監視されていた。実際に発射されると日帝の閣僚たちは「待ってました」とばかりに飛びつき、即日経済制裁を発動した。あたかも日本がミサイル攻撃されたかのような発表をし、その政府発表をうのみにしたブルジョワマスコミは共和国の「脅威」を煽り立てた。こうした「危機」を演出しながら、防衛庁長官・額賀や官房長官・安倍、自民党幹事長・武部は「自衛のために敵のミサイル基地を攻撃する権利はある」と共和国への先制攻撃を公言するに至ったのだ。

 まさに作られた「危機」を利用して、日帝は共和国への戦争挑発と日本の戦争国家化を推し進めてきたのである。とりわけ安倍ら好戦的な政治家どもは、かつて米帝内のネオコン派が大量破壊兵器を口実にイラク侵略反革命戦争を発動したことを模倣するかのように、敵基地攻撃論を押し出した。このことに、中国政府や韓国・盧武鉉(ノムヒョン)政権が抗議するのは当然のことである。アジア民衆にとっても真の「脅威」は誰なのかが、ますます鮮明になりつつある。

 われわれは、共和国のミサイル発射をもってくりひろげられた反共和国キャンペーンに屈服し、経済制裁に賛同する日共や社民党を弾劾する。このような態度では、激化する民族排外主義扇動と対決することはできない。

 すでに日本政府の経済制裁のひとつである万景峰(マンギョンボン)号の入港禁止は、目に見える形での排外主義を民衆に扇動し、在日朝鮮人民への迫害・差別襲撃をもたらしている。七月五日から十三日までのわずか九日間で、朝鮮学校の児童、生徒に対する暴行や、学校への脅迫電話などの嫌がらせは全国で百十二件に上っている。「生野朝鮮初級学校(大阪市)の初級部一年男子児童が登校中、見知らぬ男に顔を殴打された(六日朝)。愛知朝鮮中高級学校(愛知県豊明市)の中級部二年男子生徒が下校中、男に自転車をけられ転倒(七日夕)。西東京朝鮮第一初中級学校(東京都立川市)の中級部二年男子生徒が電車内で男に胸ぐらをつかまれた(同)」(七月十四日付報道)。日帝の経済制裁が問題なのは、共和国に対して「制裁効果」があるのかどうかよりもむしろ、日本民衆のなかの民族差別を顕在化させ、排外主義へと動員し、在日朝鮮人民を迫害にさらすことにある。政府や自治体では同時に、「国民保護計画」にもとづく民衆の戦争動員を地域で着々と進めている。このことを見過ごすことなく大衆的に反撃し、動員を断固拒否しなければならない。

 われわれは在日韓国・朝鮮人民と連帯し、朝鮮戦争重圧、民族排外主義キャンペーンを許さずたたかいぬく。南北朝鮮、在日の共通の願いである朝鮮半島の自主的・平和的統一を支持し、この動きを妨害する日帝の策動と対決しよう。

●第二章 共産同(統一委)政治集会の成功をかちとる

 われわれは七月九日、東京、京都、北九州の三ヵ所で、同盟(統一委員会)の政治集会をかちとった。先進的な労働者、学生が結集し、今夏・今秋闘争への決意をうちかためた。

 各地の政治集会では、三里塚芝山連合空港反対同盟をはじめとする共闘団体からの連帯アピールを受けた上で、単一の基調が提起された。そして、労働戦線、学生戦線からの反帝闘争に向けた決意表明がうち出されたのである。

 この政治集会―基調報告において、われわれは以下のような総括と方針を確認した。まずこの一年間の総括として、第一に、釜山APEC―香港WTO粉砕闘争を全力でたたかい、国境を越えた反帝闘争として成功させたことの意義である。この一連の闘争を通じて、われわれはプロレタリア国際主義の実践を飛躍させ、反帝闘争を担う韓国、フィリピン人民との共闘を、大衆的に実現した。同時にこのたたかいのなかで、反動社民や日和見主義潮流との分岐を鮮明にし、APEC・WTOという帝国主義グローバリゼーションと真にたたかう反帝潮流の登場をかちとったのである。

 総括の第二は、階級的労働運動と国際連帯運動を二大基軸とした拠点建設を、着実に前進させてきたことだ。戦後階級闘争構造の崩壊は、新たな階級的労働運動の再建を要求している。われわれは官公労・中小民間の労働者の組織化と、労働運動活動家の形成に向けてこの一年、大きく踏み出した。同時に、反帝・国際連帯運動であるAWC運動を支持しながら、その全国的大衆運動団体としての整備に力を注いできた。

 このような組織建設の成果と、戦争と新自由主義攻勢が強まる国際・国内情勢の分析にもとづいて、今夏秋期、次のふたつを基軸にしてたたかうことが訴えられた。

 第一に、米軍再編攻撃との対決である。具体的には、十一月岩国・国際反基地闘争を頂点的たたかいとして位置づける。新たな日米同盟―米軍再編攻撃と総対決してたたかう。第二に、下層労働者の権利要求を鮮明にした階級的労働運動を、断固推し進めることである。

 すべての同志、友人の皆さん。政治集会の基調で武装し、今夏秋季の決戦をたたかおう。

●第三章 イスラエルの侵略とペテルブルク・サミット

 六月二十八日未明、イスラエル軍はパレスチナ・ガザ地域への侵攻を開始した。それは「拉致兵士救出」を口実に行われたが、何の口実にもなっていない。実際に行われたことはガザの発電所や幹線道路橋梁の破壊であり、パレスチナ民衆の生存権の剥奪なのだ。二十九日には西岸地区でハマスの自治政府閣僚と評議会議員数十名を拘束した。さらに七月二日には、ガザの自治政府首相府を爆撃し、ハマスのハニヤ首相殺害をもくろんだ。

 今回の侵攻の目的は、パレスチナ民衆の正当な選挙によって成立したハマス主導の自治政府を崩壊させ、パレスチナ民衆を思い通りに屈服させることにあることは明らかだ。

 このあからさまな蛮行に対して、ブッシュ政権は「イスラエルには自衛の権利がある」と擁護し続けた。国連安保理で七月十三日に提出されたガザ侵攻中止決議案は、米帝の拒否権行使によって否決された。この米帝の庇護のもとでイスラエル軍は、今度はレバノンへの空爆を開始し、民衆を殺戮しながらレバノンの民兵組織ヒズボラとの戦争へ突入している。

 こうした中東情勢のもとで、ロシアのサンクトペテルブルクで開かれていた主要国首脳会議(G8サミット)は十七日、議長総括を発表し、閉幕した。

 議長総括は、まず共和国に対して次のことを要求した。すなわち@ミサイル発射のモラトリアムに関する既存の約束の再確認、Aすべての核兵器および既存の核計画の放棄、B6ヵ国協議への速やかな復帰、C拉致問題の早急な解決。小泉は会議後の記者会見で、「明確なメッセージを北朝鮮側に発出することができた」と自らの`外交成果aを自慢した。

 中東情勢については「中東の現状を深く懸念し、地域に平和を回復するための決意で一致」、「国連が中心的な役割を果たし、政治的および外交的解決方法が優先されなければならない」などとイスラエルの侵攻を非難する文言すらなかった。サミットにおいて、イスラエル支持を繰り返すブッシュに対し、仏帝・シラクが「(イスラエルのレバノン攻撃について)常軌を逸している」と発言し、意見対立が表面化した。

 イランに対しては国連安保理常任理事国(米英仏中ロ)とドイツの六ヵ国が提示した包括的見返り案(イランがウラン濃縮活動を停止した場合に付与する見返りをまとめたもの)を支持し、イランに妥協を促した。

 ペテルブルクサミットにおいてまず問われるべきは、日帝―小泉政権の態度である。共和国に対する戦争に道を開く非難決議を執拗に追求し、最終的には中国と妥協したものの、サミットにおいても対共和国で強硬姿勢を貫いた。突出した戦争挑発者として現れたのが日帝であるということだ。第二に、単にミサイル発射訓練をしたに過ぎない共和国への激しい非難に比べ、実際に侵攻を行っているイスラエルに対しては一言の非難もなかった。この帝国主義どものあからさまなダブルスタンダードを許すな。パレスチナ解放闘争に連帯し、シオニストの侵略を弾劾しよう。

●第四章 全戦線で反戦・反帝闘争の前進かちとろう

 日帝と総対決し、アジア民衆と連帯して反戦・反帝闘争の前進をかちとるために、今夏・今秋、われわれは以下のたたかいへの決起を訴える。

 第一に、十一月岩国・反基地国際共同行動を頂点とする、反基地闘争を全国で推進することだ。

 共和国への戦争重圧を強める日米帝国主義と対決し、新日米同盟を粉砕する具体的なたたかいは、在日米軍再編を阻止することである。韓国、沖縄、全国の反基地闘争を結合し、住民無視・侵略準備の米軍再編を実際に食い止めよう。

 在韓米軍はより侵略的な迅速機動部隊化へと変貌しようとしているが、その一環として平澤(ピョンテグ)米軍基地の大拡張が強行されている。現地農民と支援者はいま、軍と戦闘警察を動員したテチュリ小学校破壊、農地強奪、大量逮捕と不屈にたたかい、さらなる土地の強制収用攻撃を、体を張って阻止しようとしている。この韓国民衆のたたかいに連帯し、反基地闘争の一大高揚を日本においてかちとろうではないか。十一月岩国・反基地国際共同行動を頂点的たたかいとして位置づけ、労働者・学生の総力決起を実現しよう。

 第二に、アジア共同行動が呼びかける「憲法九条改悪を許すな!アジアメッセージプロジェクト」運動を支持し、その大衆的成功をかちとろう。国民投票法案の成立阻止をたたかいながら、同時にこのメッセージ運動を民衆のなかに広く深く浸透させよう。そのことを通じて、アジア人民の反日帝決起に応える壮大な改憲阻止闘争をうちたてていくのだ。

 第三に、8・6広島・反戦反核闘争に結集することである。被爆者・二世・三世の解放、すべての核兵器廃絶、帝国主義のイラク侵略や朝鮮戦争重圧との対決などを掲げて、8・6広島現地へ全国から結集しよう。

 第四に、8・15小泉靖国参拝を阻止することだ。任期切れ間近の小泉が、公約の「8・15参拝」を狙っている。アジア人民の徹底糾弾を居直り、逆にそれを「内政干渉」として日本民衆を排外主義に組織してきたのが小泉だ。侵略的な日米同盟再編のもとで、国家・天皇のために死ぬことを礼賛する靖国神社への参拝は、今日的な天皇制イデオロギー攻撃そのものである。教育基本法改悪による「愛国心」教育の導入、日の丸・君が代強制とのたたかいと一体のものとしてとらえ、靖国参拝を阻止することだ。

 すべての同志・友人諸君!

 今夏・今秋のたたかいを全力で牽引するなかから、共産同(統一委)の革命的労働者党への飛躍をかちとろう!

 

 

 

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