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『戦旗』第1261号(2006年5月5日

 

●韓国―沖縄―全国を貫く闘いで米軍再編に風穴を

●五月沖縄闘争に決起しよう

新日米同盟「最終報告」徹底弾劾

共謀罪粉砕! 教育基本法改悪阻止!

「北朝鮮人権法案」粉砕!

 

 四月七日、防衛庁長官額賀と名護市長島袋とが、辺野古崎新基地に「V字型滑走路」を建設するという最悪の形で合意した。島袋市長も防衛庁も「基地は要らない」という名護市民、沖縄人民の心底の願いを、騒音問題と環境問題、さらには振興策にすり替え、「合意」を成立させたのだ。辺野古崎新基地=V字型滑走路建設「合意」を徹底的に弾劾する! 同七日、韓国では、韓国国防部が、基地拡張のための三度目の強制執行をかけてきた。平澤農民が今年の稲作を始めようとする時に、農業用水路を破壊して農作業を妨害してきたのだ。このような暴挙を断じて許してはならない。

 沖縄、岩国、座間そして平澤の反基地闘争の結合をさらに強め、米帝、日帝の新軍事同盟と対決しよう。

 共謀罪の新設、外国人登録法の改悪、さらには教育基本法改悪、国民投票法案など治安弾圧体制の強化と改憲に向けた攻撃がかけられてきている。これらの法案の成立を阻止しよう。

●第一章 辺野古沿岸への基地建設「合意」を徹底弾劾する★

 四月七日、防衛庁長官・額賀は名護市長・島袋に対し、辺野古崎新基地に「V字型滑走路」を建設するという新たな案を提示し、「合意」を強制した。

  このV字型滑走路案とは、@陸側に平時の有視界飛行の離着陸用と悪天候時の計器飛行の着陸用、A海側に悪天候用の離陸用―の二本の滑走路をV字型に設置するというものである。防衛庁はこの案であれば「米軍機の飛行ルートが辺野古、豊原、安部の三地区の上空を通らない」と説明している。しかし、これは米軍の実態を無視した机上の空論だ。計画上では集落の上空を飛行しないと言っても、キャンプ・シュワブを含めて、北部全体が海兵隊の拠点となれば、傍若無人に飛行することは必至である。しかも、防衛庁案の飛行ルートはかろうじて集落上空を避けているという程度のものであって、騒音も事故の危険もあるのだ。

  防衛庁―額賀は島袋市長に対し、飛行ルールの厳守については「政府を信用してくれ」と言ったという。噴飯ものである。十八日に開かれた衆議院安全保障委員会では額賀も防衛施設庁長官も、普天間で連続離発着訓練がおこなわれているという事実を知らなかったと発言している。合意案自体がそうしたデータを無視して作られているのだ。その一方で、宜野座村の東肇村長は協議の際、国が「代替施設ではタッチアンドゴー(連続離発着訓練)はおこなわない」と明言したという。いずれも米軍からは何の言質もとっておらず、空約束にすぎない。

  米軍は普天間でも嘉手納でも騒音防止協定違反を繰り返してきた。政府はこうした事態を「米軍の運用上必要」として野放しにしてきたのだ。そうした実態を知り尽くしている沖縄人民がこの合意に納得できるはずがない。

  名護市長も、額賀の約束など空約束に過ぎないことは百も承知であろう。この「合意」までに日帝―防衛庁は島袋市長ら沖縄の首長を繰り返し東京に呼びつけ、防衛庁に閉じこめて、重圧をかけてきた。名護市長・島袋はその圧力に最終的に屈服したのである。

  島袋市長にかけられていた重圧を察するとしても、彼の行為は決して許すことはできない。沖縄では、島袋市長や稲嶺県知事らに対して新基地建設反対を貫くよう求める申入れが取り組まれてきた。防衛庁の呼び出しに応えて、市長が名護から東京に向かうことに対して、また那覇空港から出発する事に対して、阻止行動が取り組まれてきた。また、名護市に隣接する宜野座村では、四日に村民総決起大会が開催され、平日にもかかわらず住民の四分の一にあたる一千名が参加している。こうした取り組みにもかかわらず、島袋市長はこの間一貫して政府の方を向いていた。協議の間、「防衛庁との協議内容を明らかにせよ」という名護市民の要求を「政府と協議中であるから明らかにできない」として公開を拒否した。協議内容をひた隠しにし、市民の意見を伺うこともなく勝手に「合意」し、名護市民の意志を踏みにじったのだ。しかも「合意」案は、従来の政府案よりも施設の規模が拡大している。辺野古に海兵隊の一大軍事施設を欲しがっている米軍にとっては願ったり適ったりだ。弁護の余地など一片もない。

  翌八日に防衛庁に呼び出された沖縄県知事・稲嶺は、「県は県のスタンスを堅持する」として、辺野古崎新基地=V字型滑走路建設を拒否している。稲嶺は、「九九年に合意した辺野古沖基地建設以外は受け入れられない」との立場と報じられている。それは、その合意の付帯条項である「十五年使用期限」「軍民共用空港」ということが、辺野古崎新基地建設では全く無くなっており、稲嶺の立場でも受け入れ難いものになっているということだ。さらに、辺野古崎基地建設を強行しようとする小泉政権は、「安保は国の専管事項だ」という論理をもって、県知事が有する公有水面に関する権限を特別措置法で奪い取ることも検討している。基地建設のためにはかつての協力者も切り捨てる。日本政府に信義などない。

  七日の「合意」に名護市民は怒りをもって応えている。十一日には名護市で合意反対の緊急集会が取り組まれた。

  沖縄タイムスが十五日から十七日にかけておこなった電話による世論調査によると、県民の71%が沿岸案に反対しており、68%が「合意」に不支持と回答している。名護市を含む北部地区についても、V字型滑走路反対が61%、「合意」反対は62%に上っている。沿岸案反対という稲嶺県知事の態度に関しても、支持が71%、不支持が17%と圧倒的な結果が出ている。名護市民―沖縄人民の要求は、集落上空をギリギリで回避してくれればよい、などというものではない。戦争のための基地は沖縄には要らない、ということだ。

  日帝―防衛庁、外務省の意図は、遅れている「日米同盟・未来のための再編と変革」の「最終報告」に決着をつけるため、どんな手段をもってしても、沖縄の首長を屈服させるということだ。沖縄人民のたたかいを孤立化させてはならない。

  東京では、毎週月曜日の防衛庁抗議行動をおこなっている「辺野古実」を中心として、会談ヘの緊急抗議行動が取り組まれている。七日当日も、防衛庁前では、額賀―島袋の会談への抗議行動が取り組まれており、「合意」が明らかになると、直ちに弾劾行動を取り組んだ。八日にも同様に、稲嶺―額賀会談抗議行動が取り組まれている。防衛庁前での取り組みに決起しよう。

  岩国基地については、厚木からの空母艦載機の移駐とともに、普天間基地の整理に関連して、@普天間基地のKC130空中給油機を移駐させ、一方で訓練については、鹿屋基地(鹿児島)とグアムとの間で分散(三分割)する、A岩国海兵隊の大型輸送ヘリ「CH53D」はグアムへ移駐する、B基地内に民航用ターミナルを設置する―の三点が決定したと報じられている。岩国市は三月末に合併し、それと同時に市民投票の結果も無効となったと宣伝されている。しかし、四月六日には「住民投票の成果を活かす市民の会」が発足した。さらには、市長選期間中におこなわれた朝日新聞の電話調査によると、米艦載機受け入れ反対が69%という結果が出ている。また、白紙撤回を掲げる前市長が、自民党が推薦する候補を支持率で大きく上回っていると報じられている。岩国市民の願いも基地機能の強化反対にあるのは明らかだ。

  日帝―防衛庁は、名護市長との「合意」を突破口として、基地を抱える自治体に対して、「合意」を取り付けようとしてくるだろう。再編計画容認に傾く自治体も現れ始めている。これまでの通常型空母「キティー・ホーク」に代わって、原子力空母「ジョージ・ワシントン」の配備が検討されている神奈川県の横須賀市では、市長が、安全性が確認できれば容認するとこれまでの反対姿勢を変えてきている。このような変節を許してはならない。

  日帝―防衛庁、外務省は、今月中に最終報告(実施計画)を取りまとめ、五月二日には日米安全保障協議委員会(2+2)を開く予定である(四月十九日現在)。だが、それまでに全ての自治体が「合意」することは不可能だ。2+2の後にたたかいが本格化する。日帝が、米帝とともに、アジア全域での侵略反革命戦争に公然と参戦するための合意を粉砕しなければならない。

●第二章 平澤基地拡張の強制執行農地破壊・不当逮捕弾劾★

 四月七日、韓国国防部は、平澤米軍基地拡張予定地を確保するための三度目の強制執行をかけてきた。田に水を入れる作業を妨害するために、主要農道のうち二つにコンクリートを流して封鎖し、ポンプも破壊、さらには農地へとつながる橋を破壊して撤収した。

  動員された警察官、作業員は数百名。統一ニュースによると六百名、他にも警察部隊一千名、作業員三百名との情報もある。いずれにせよ金と権力にものを言わせた人海戦術を仕掛けているのだ。

  これに対し、住民と支援者は拡張予定地二百八十五万坪の田圃の約60%に水を供給する一号線農水路を守りぬき、さらに一度封鎖された二号線、三号線についても政府側が撤収した後で、重機を動員し、凝固前にコンクリートを掘り出して復旧している。

  七日の阻止闘争の中で、負傷者や逮捕者も出ている。三十一名が連行され、内二名が逮捕されているという状況だ。

  平澤農民の命懸けのたたかいの前に、政府によって雇われた警備員や作業員の間にも強制執行への疑問を抱く者も出てきた。ある重機運転技師は「ここに来たのを本当に後悔する」と言って仕事を放棄して帰ってしまった。こうした作業員などの動きを警察が慌てて阻止したという事も伝えられている。また、強制執行の様子はインターネットを通じて発信された。平澤汎対委が呼びかける国防部への「サイバーデモ」の呼びかけに応じて、国防部に抗議文が殺到している。

  韓国・国防部は、基地拡張のために平澤農民に耕作そのものをさせまいとしている。これに対して韓国民衆の広範なたたかいが取り組まれている。米帝の世界規模での戦力再編―「対テロ戦争」の世界規模での拡大ということが、日米軍事同盟再編―米軍基地の出撃拠点としての全面的な強化、韓国米軍基地の再編強化といった形で結びついている。まさに日韓の民衆は共通の敵とたたかっているのだ。われわれはこの間、岩国、沖縄、座間、滋賀県の饗庭野、そして韓国―平澤と、反基地、反戦のたたかいを全力でたたかいぬいてきた。たたかいの地平をさらに発展させ、日韓民衆連帯の力で米軍再編を粉砕しよう。

●三章 反基地―改憲阻止を軸に5月闘争を全力で闘おう★

 「日米同盟・未来のための変革と再編」最終報告が出された後、米軍再編をめぐるたたかいはいよいよ本格化する。六月下旬には小泉が訪米し、首脳会談の場で最終報告の成立を大々的にアピールする計画だ。絶対に許してはならない。全国二十三の市民団体でつくる「日米軍事再編・基地強化と闘う全国連絡会」(安次富浩、金子豊貴男共同代表)は十七日、国会内で記者会見し、在日米軍再編による基地の機能強化に反対する声明を発表した。全国で反基地闘争を推し進め、新日米軍事同盟と対決していこう。

  五月十三日から十五日にかけて取り組まれる沖縄の5・15闘争は、名護市長の「合意」糾弾、新基地建設白紙撤回、普天間基地無条件返還を勝ち取るためのたたかいである。日帝―防衛庁は県知事・稲嶺に対する恫喝を強めている。しかし、政府は、公有水面に関する知事の権限を取り上げる特別措置法の制定をちらつかせながらも、内心沖縄人民の怒りが爆発することを恐れているのだ。3・5県民大会には三万五千人が結集した。何より辺野古沖基地建設計画は辺野古住民をはじめとする沖縄人民のたたかいによって撤回させられたという事実がある。政府、一部マスコミは反対運動を「環境保護運動」と限定し、「県外からきた人間がやっている」などとデマを流しつづけているが、このたたかいに参加した人には真実は明らかであり、辺野古のたたかいに沖縄全土はもとより全国から圧倒的な賛同が寄せられた事実は決して覆せるものではない。辺野古での座りこみは四月十九日で丸二年を迎えて現在も取り組まれている。五月沖縄現地闘争に決起しよう。また、東京では、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックが呼びかける5・15集会が取り組まれる。首都圏に残る人はここに結集しよう。

 四月十三日、自民、公明両党の教育基本法改正に関する与党検討会は、改定与党案をまとめた。注目された愛国心教育については、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできたわが国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」という記述となった。与党合意を成立させるために自民党が公明党に大幅に譲歩した結果と言われている。自民党が追求していた「宗教教育の涵養」(靖国教育)は盛りこむことができず、また、削除を求めていた「(教育は)不当な支配に屈することなく」という部分はそのまま残されることとなった。こうした内容に、自民党内からは早くも不満の声が上がっている。自民党幹事長・武部らは今期中に成立させるとしているが、党内の不和もあり成立に関しては不透明な状況となっている。われわれはこの与党案の文面だけを眺めて、「反動性が弱まった」などと安心してはならない。愛国心教育は、「日の丸」「君が代」の強制という形ですでに始まっている(『戦旗』一二五九号参照)。卒・入学式での処分を連発している東京都教育委員会は、四月に入り、職員会議での「挙手や採決の禁止」を指示し、教育現場への支配を強めてきている。

  文部省もまた、高校の社会科教科書の検定において、イラク派兵の是非や竹島の帰属を扱った個所に難癖を付け、政府の見解を押し付けるなど、生徒が政府の政策の是非を問う力をつけることすら恐れているのである。今回出された教育基本法改定案の文面がいかなるものであれ、改憲攻撃と一体のものである。戦後体制と決別するために何としても改定しようとしているのだ。教育基本法の改悪、国民投票法案の成立を阻止しよう。

  五月、いよいよアジア・メッセージ・プロジェクトが始動する。アジア共同行動(AWC)の仲間とともにこのプロジェクトに全力で取り組み、憲法改革阻止の広範な運動を作り上げていこう。六月アジア共同行動の成功をかちとろう。改憲阻止とは現憲法の条文をただ守りさえすれば良いというものではない。現憲法は三権一体の国家権力によって常にないがしろにされてきた。憲法九条を利用した反戦のたたかいが、あるいは奪われた権利を取り返そう、権利を勝ち取ろうとする人民のたたかい(三里塚、沖縄、反差別のたたかい等々)こそが、権力の横暴をけん制し、現憲法を憲法たらしめてきたのだ。

  五月二十三日、狭山闘争が取り組まれる。狭山事件は「冤罪」事件であると同時に、その根本には「部落差別」がある。この闘争もまた、国家権力によって奪われた基本的人権を取り戻すためのたたかいである。5・23狭山闘争に決起しよう。

  イラクは、いまや「内戦」状態にある。米英を中心とした多国籍軍による侵略、占領はとうに破綻している。米英帝は自ら生み出した「内戦」に何の手の打ちようもなく、撤退の糸口を必死に探している。米国内では、ブッシュ大統領に対して、共和党内からもイラク戦争の失敗を認めよとの突き上げが起こっている。また、ラムズフェルド国防相に対しても将軍クラスからの批判が公然となされている。ネオコンの走りであるフランシス・フクヤマ(『歴史の終わり』の著者)は転向声明を出すわで、今やガタガタの状態だ。こうした中で、日帝―小泉政権は自衛隊撤退の機会を失い、次の交代部隊を派兵しなければならないという状況に追いこまれている。五月二十八日、北富士においてサマワ模擬施設訓練に反対する行動が取り組まれる。イラク戦争の失敗の一方で、自衛隊はサマワで戦場での展開、占領地での宣撫工作などの「訓練」を積み、米帝とともに共同軍事作戦を遂行するための経験と能力を獲得してきた。自衛隊を直ちにイラクから撤退させなければならない。忍草国有入会地守る会と忍草母の会の呼びかけに応え、北富士でのたたかいに立ち上がろう。

  日本において、新自由主義に伴う経済格差の固定化=格差社会化が問題となっている。そうした中で、人民の不満が、排外主義の形をとって噴出している。排外主義は「嫌韓」「嫌中国」あるいは「嫌米」といった形で表れると同時に、日本の内側においても、より弱い立場の者への排撃といった形で表れてきている。多くの人たちが新しい雇用形態に不満を抱きながら、グローバル化の中ではやむをえないと考え、ある者はその中で上昇することを志向している。そうした中で、ドビルパンの労働政策を完全に粉砕したフランスの学生・労働者のたたかいは、グローバル化に伴う労働条件の改悪という国策に、労働者階級の利害を対置させてこれを粉砕したという意味で、階級闘争の新たな展望を指し示している。日本においても労働者階級の利害をはっきりと押し出してたたかおう。

 

 

 

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